エレン「初めての壁外調査だってのに天気が悪い」(62)

壁外調査前日

エレン「天気…悪いですね」

リヴァイ「そうだな」

エレン「少し雨も降ってるし…」

リヴァイ「雨が降ろうが雷が落ちようが壁外調査はその日行くもんだ」

リヴァイ「そんな事よりてめぇはさっさと準備を済ませて寝ろ。壁外調査は明日なんだぞ」

ペトラ「こらエレン!兵長とお喋りばっかしてないで準備しなさい」

エレン「は、はい!」スタスタ

リヴァイ「エレン」

エレン「は、はい!?」

リヴァイ「壁外調査はいつ何が起きるか分からない。念入りに準備しろ」

エレン「は…はっ!」

翌日

門「ゴゴゴゴゴゴ…」

エルヴィン「進めええええええ!!!」

馬「ヒヒィン!」

エルヴィン「第57回壁外調査を開始する!!」

エルヴィン「前進せよおおおおお!!!」

ミケ「スンスン」

ハンジ「ん?…!」

ハンジ「10m級接近!!」

ハンジ「そのお腹の中に何が入っているか気になりますが…援護班に任せます!」

エレン「あの…オルオさん」

オルオ「あぁ!?」

エレン「俺の同期は…巨人に勝てますかね!?」

オルオ「はあ!?お前この1ヶ月何してやがった!」

オルオ「いいかガキンチョ!壁外調査ってのはいかに巨人と出会わないかにかかってんガチン」

エレン「うわ!」

オルオ「ほ、ほれより前に集中しお!雨が強いんだから視界が悪い!馬から落っこちて死ぬぞ!」

エルヴィン「長距離索的陣形展開!」

ライナー「じゃあな。アルミン」

ジャン「巨人にびびってションベン漏らすなよ!」

アルミン「うん!ジャンもね!」



???「…」ズオオオオ


パアアアアアアン

アルミン「!?」

アルミン(黒い煙弾!?周囲を無視して陣形の中心に迫っているのか!?)

アルミン(間違いない…奴は…)

アルミン「奇行種だ!!」

奇行種「」ズシンズシン

ネス(奇行種か!今奴に陣形を壊させる訳にはいかない!)

ネス「シス!俺が腱を削ぐ!お前は項をやれ!」

シス「了解!」

奇行種「」フラフラ

ネス「!?何だ!?

奇行種「」バターン

ネス「な、何だ!?急にぶっ倒れたぞ!」

奇行種「」モワモワモワ

シス「こ、こいつ!口から黒い煙を…」

奇行種「」ズオオオオン

ネス「ぐあ!何だ!?」

奇行種「グボオオオ!!」ドシンドシンズシン

ネス「くっ!追うぞ!!」

シス「り、了解!」

ネス(何なんだこいつは!?とにかく止めねば!向こうには確かアルレルトが…)

アルミン(あ、あいつは突然倒れた途端黒い煙を吐いて…そして起き上がってまた黒い煙を吐きながら僕の方に…)

ネス(あの野郎…動きが不規則だ!早くなったり遅くなったり…)

ネス「タイミングよく撃たねぇとな…」

奇行種「グゴオオ」ズシンズシン

ネス「遅い…今だ!!」バシュウ

ザク

ネス(捉えた!!)ザシュ

奇行種「グエエエ!」ドシャア

ネス「シス!今だ!!」

シス「うおおおおおお!!」

ジャギィン!!

奇行種「」プシュウウウウ

アルミン「やった!!」

ネス「ハァ…ハァ…でかしたぞ…」

シス「あ、ありがとうございます…」

ネス「それにしても何なんだコイツは?死んだふりをして口から黒い煙を吐く奇行種なんて初めて見るが…」

シス「分かりませんが…不気味ですね…」

ネス「あぁ…取りあえずこの異常事態を団長に伝えにいくか」

一旦休憩

再開

ゴオオオオォォォ

アルミン(なんだ…空で何かが飛んでいる…黒い塊のようなものが…)

アルミン「!?」

ネス「アルレルト!!」

アルミン「は、班長!!!」

ネス「あ!?」

アルミン「空で何が飛んでいます!こっちに向かってきてます!!」

ネス「ああ!?何が飛んで…」

ドオオオオオン

黒い竜「…」

ネス「巨人じゃない!?なんだコイツは!?」

シス「くそ!化け物め!!」バシュウ

ネス「よ、よせ!!」

ネス「くそ!」バシュウ

シス「うおおおお!!」

グシャア

黒い竜「」グイ

ネス「な!?」

ドオォン

アルミン「え?」

黒い竜「」ドスンドスンドスン

アルミン「ひっ!」

アルミン「外の世界にはあんな化け物がいるのか!?」パカラパカラ

黒い竜「」ドスンドスンドスン

アルミン「駄目だ!僕も死ぬ!殺される!」パカラパカラ

アルミン「くっ!行け!!逃げろ!!」

馬「ヒヒーン!」

黒い竜「」バシィン

アルミン「がっ!」ズザザザザ

アルミン「うう…ハァハァ…」

ドスン

アルミン「!?」

黒い竜「…」ズズズズ

アルミン「あ…ああ…」カタカタ

黒い竜「…」ペラ

アルミン「はっ…」

黒い竜「…」

黒い竜「」

黒い竜「」ドスンドスンドスン

アルミン「え?…何だ…?」

アルミン「フードを…めくって…」

アルミン「顔を…確認した…?」

ライナー「アルミン!」

アルミン「!!」

ライナー「どうした!?」

アルミン「ライナー…」

アルミン「あいつは…一体…」

ライナー「とにかく馬に乗るんだ」

ライナー「でないと壁外じゃ生きてきけないぞ」

アルミン「う、うん…」

黒い竜「」ズシンズシン

ライナー「あいつか…どう見ても巨人じゃないが…」

アルミン「…あいつにはきっと知性がある」

ライナー「なんだって?」

アルミン「先輩を踏み潰し、ワイヤーを掴んで叩きつけた」

アルミン「そうだ!非常事態の煙弾をあげないと…」

パアアアァァァン

アルミン「!?」

ライナー「待て。ジャンが撃ったみたいだ」

ジャン「なぁ、壁外には巨人以外にもあんなのがいるのか?」

アルミン「外の世界の本でも見なかった…どうみても異様だよ…」

ジャン「そうだ!お前ら知ってるか!?」

アルミン「?」

ライナー「何をだ?」

ジャン「右翼索敵が一部壊滅したらしい!足の速い巨人がわんさかとわいてきたそうだ!」

ジャン「しかもその巨人のほとんどが気味の悪い黒煙を吐きちらしてたらしい!なんでか知らねぇが…」

アルミン「!?」

アルミン「ジャン」

ジャン「あぁ!?」

アルミン「巨人をそんな風にしたのはきっとあいつだ」

ジャン「何!?」

ライナー「アルミン…お前何か知っているのか?」

アルミン「…うん」

アルミン「僕の近くにいた先輩達が奇行種と戦っていたんだけど…」

アルミン「その奇行種の様子が変だったんだ」

アルミン「突然倒れたと思ったら黒い光を放って…起き上がったら狂ったように叫んだり走ったり…」

ジャン「それで…そいつはどうなったんだ?」

アルミン「先輩達が何とかして倒したんだけど…」

ライナー「その奇行種が狂ったのはあの怪物の仕業だと何故思った?」

アルミン「それは…まずあの黒いオーラが全く一緒なんだ」

ライナー「確かに奴も黒い光を纏っているが…」

アルミン「そしてその奇行種が倒されたすぐ真上をあいつが飛び回っていたんだ」

ジャン「あいつ!?飛行能力があるのか!?」

アルミン「間違いないよ」

アルミン「それに…ジャンには言ってないと思うけど…あいつには知性がある」

ジャン「知性?それじゃまるで5年前の鎧や超大型みたいな…」

アルミン「うん…僕のフードをめくって顔を確認したんだ…」

アルミン「でもあいつに目らしきものは見当たらなかった…何か別の器官を使って顔を認識したのかもしれない…」

ライナー「…」

アルミン「でもあの行動…誰かを探している気がする…」

アルミン「もしかして……エレン!?」

ライナー「エレンだと?エレンのいるリヴァイ班なら右翼側を担当しているはずだが…」

ジャン「右翼側?俺に配布された企画書だと左翼後方あたりになってたぞ」

アルミン「僕の企画書だと右翼前方あたりいると記されているけど…そんな前線に置かれる筈がない」

ライナー「じゃあどこにいるってんだ」

アルミン「一番安全な位置だとすると…中央後方あたりかな…」

ライナー「中央後方か…あいつが仮にエレンを狙ってるとすればまだ安心していいだろう」

ジャン「だがあんな化け物を放っておく訳にはいかねぇだろ…煙弾が指令班まで届き、撤退運動でもするなら巨人集団は回避できるだろうが…もしヤツが鎧や超大型と同等の脅威なら、煙だけでこんな複雑な情報を知らせるのは不可能だ」

ジャン「つまりだな…俺たちでヤツの気を引いて撤退までの時間を稼げば…犠牲者が1人でも多く減るはずだ…」

ライナー「お前…本当にジャンか?俺の知ってるジャンは自分の事しか考えない男の筈だが」

ジャン「おいおい失礼だな…俺はただ…誰のものとも知れねぇ骨の燃えカスに…がっかりされたくないだけだ…」

ジャン「俺には今何をすべきか分かるんだよ!」

ジャン「そしてこれが俺たちの選んだ仕事だ!力を貸せ!!」

アルミン「……」

アルミン「……フードを被るんだ」バサ

ジャン「は?」

アルミン「あいつがエレンを狙っているなら迂闊に僕達を殺せない筈だ」

ライナー「なるほど。それで殺される確率が大幅にさがるな…ついでに奴の感覚気管とやらの調子にも期待してみようか!」バサ

ジャン「アルミン…お前はいつもエレンとべたべたつるんで気持ち悪いと思ってたが…やる奴だとも思ってたぜ…」バサ

アルミン「あ、ありがとう…でも気持ち悪いって酷いな…」

ジャン「いいかお前ら…さっき言った通りだ。奴の注意を引いて撤退までの時間を少しでも多く稼ぐんだ」

ジャン「もし前脚の筋肉を削いだのなら充分以上」

ジャン「ただし相手は未知の生物…仕留めろとな言わん。無茶だけはしてくれるな」

ジャン「…」スッ

黒い竜「…」ズシンズシン

ボオオオォォォォ

アルミン(あの黒い霧のようなものは…)

ジャン「フッ!!」パシュウ

黒い竜「…」ギロ

黒い竜「」ブゥン

パキイイィィン

ジャン「なっ!?」

ジャン(あの翼の爪で弾いたのか!?)

黒い竜「」ブオオォォ

ジャン「うっ!?」

黒い竜「グルル…」ドスン

ジャン「くっ!」

ジャン(くそ!これは顔を見られたのか!?)

黒い竜「…」ズシンズシンズシン

バシイイィン

アルミン「うあっ……!」

アルミン「うぅ!……うあぁ…!」ゴロゴロゴロ

ライナー「アルミン!!」

馬「」ヒューン

ライナー「うお!?」

ドスンドスン

アルミン「はぁ…はぁ…」チラ

黒い竜「……」

ジャン「アルミィン!!」パシュウウザク

黒い竜「……」ギロ

ジャン(う、運動精度が巨人なんかとは比べものにならねぇ!!)

黒い竜「…」ブオオォ

ジャン(はや………)

ジャン「うおおお!!」グルン

黒い竜「…」

ジャン(運良く避けれた…だが次は確実によけれねぇ…)

黒い竜「……」ググググ

ジャン(もうダメだ!!死んじまう!?ワイヤー引っ張られて終わりだ!!)

黒い竜「」ブオオオオオ

ジャン「ヒィっ!?」

アルミン「ジャン!!死に急ぎ野郎の仇を討ってくれ!!」

黒い竜「」ピタ

ジャン(な、なんだ急に動きを止めやがった…)

アルミン「そいつが殺した!!右翼側で本当に死に急いでしまった親友の仇だ!!脚の裏にこびりついてるのを見た!!」

黒い竜「…」

ジャン(アルミンの奴!頭打って混乱しちまったのか!?まずいぞこんな時に…!)

ライナー「…!」パカラパカラ

パシュウウウザク

ジャン(ライナーの奴直接前脚を!?)

ジャン(いや…いける!奴がアルミンに気を取られてる内に…!)

黒い竜「…」チラ

ライナー「くッ…!」

ガシィ

ライナー「ぐお!?」

アルミン「あ……」

ジャン「お…おい…」

ライナー「ぐっ!ぐおおおお!!」

黒い竜「…」グググ

ライナー「くッ!うおおお…!」

ブシャアア

ジャン「うわぁ!?」

アルミン「ああ……」

ジャン「ライナー!……お前……」

アルミン「……………え?」

ブシャアアア

ライナー「ぬおおおお!!」

黒い竜「……」ポタポタ

ライナー「アルミン!!」ガシ

アルミン「うわ!?」

ジャン(ライナーの奴やりやがった!!)

ジャン(ミカサがぶっ飛んでて忘れてたが、あいつもズバ抜けて優秀で頼りになる奴だったな!)

ライナー「もう時間稼ぎには充分だろ!?あいつが人喰いじゃなきゃこれ以上襲ってこないハズだ!」

黒い竜「……」バサ

ライナー「見ろ!黒い化け物の野郎!ビビっちまってお帰りになるご様子だ!!」

黒い竜「…」ゴオオオオオ

アルミン(!?…そんな!あの方向はエレンのいる中央後方…何故あの方向に!?)

ライジャンアル戦闘終了の数分後

ザアアアアァァァ

エレン「うっ…」

ペトラ「エレン?大丈夫?」

エレン「は、はい…それより…」

エレン「なんだか地面の色が変ですね…」

エレン「所々黒々としてるって言うか…」

リヴァイ「おいお前ら。地面を見てる暇があるなら前を見ろ」

オルオ「そうだぞ!いつ巨人が現れるか分からねぇんだからな!」

ペトラ「す、すいません兵長!」

エレン「す、すいません…」

エルド「だが…少し気味が悪いな…」

グンタ「…」

ゴオオオオオオオ

グンタ「……ん?」

エルド「どうした?」

グンタ「いや…一瞬向こうで黒い物が落下してるのが見えたんだが…」

エルド「気のせいだろ。そんなことより余所見してたら兵長に怒られるぞ」

グンタ「ああ…そうだな」

パアアアアアアン!

エレン「!?」

リヴァイ「なんだ?紫の煙弾?」

オルオ「向こうで何か異常事態でも起きたんでしょうか?」

ペトラ「異常事態なんてよっぽどのことなんでしょうが…どうしますか?」

リヴァィ「構わねぇ。進むぞ」

グンタ(黒い物が落下したあたりから…嫌な予感がするな…)

パカラッパカラッパカラッパカラッ

「だ、誰かあああ!!」

リヴァイ「うるせぇな…誰だ?」

調査兵「り、リヴァイ兵士長!?緊急事態です!中央後方付近にて謎の生物が飛来!!現在我が班の兵士が交戦中です!!」

リヴァイ「謎の生物が飛来?てめぇふざけてんのか?」

調査兵「嘘は一言も言ってません!全身が黒色で巨人とは全く別の姿です!この事を隣の班にも伝えてくれませんか!?」

リヴァイ「信憑性に欠けるが…お前がそういうなら仕方ない。ペトラ、聞いたな?お前が伝えに行け」

ペトラ「り、了解です!!」 パカラパカラ

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