ちなつ「ストーキング!」 あかり「いぇい!」(128)

ちなつ「あかりちゃんあかりちゃん!」

あかり「どうしたの、ちなつちゃん」

ちなつ「ちょっと街までお出かけしない?」

あかり「え?」

ちなつ「私、あかりちゃんと町にお出かけしたいなっ」

あかり「う、うん、いいよっ!」

あかり(わあ、これってデートなのかなあ、ちなつちゃんとデート、嬉しいなあ)

ちなつ「ほらほら、あかりちゃん早く早く!」

あかり「あわわ、ちなつちゃん待ってよぉっ」トテトテ

ちなつ「早くしないと置いて行かれちゃうよ!」

あかり「う、うん、ごめんね、ちなつちゃん」

あかり「……って、置いて行かれる?」

ちなつ「しっ!」

あかり「ち、ちなつちゃん、突然隠れてどうしたの?」ボソボソ

ちなつ「だって、隠れないと気付かれちゃうでしょ?」ボソボソ

あかり「え、だれに?」ボソボソ

ちなつ「結衣先輩に」ボソボソ

あかり「え?」

ちなつ「ほらほら、あそこ、駅の入り口、よーく見て?」

あかり「駅の入り口……?」

あかり「……あ、結衣ちゃんだ」

ちなつ「最近、結衣先輩って良く1人でお出かけしてるみたいだし、何してるんだろうなーと思って気になってたのよね」

あかり「え、じゃあ、町にお出かけするっていうのは……」

ちなつ「うん、結衣先輩のおっかけをする為だよ?」

あかり「え、えええ……てっきりちなつちゃんとデートだと思ってたのに……」ガクリ

ちなつ「あかりちゃん?」

あかり「う、うう、ストーキングなら1人ですればいいのに……」

ちなつ「し、失礼ね、ストーキングじゃないわよ、これは、その……純愛よ」

あかり「ううう……」

ちなつ「……それにね、やっぱり一人だと、心細いし……あかりちゃんが居てくれたら、心強いかなって……」

ちなつ「その……迷惑、だったかな」

あかり「ち、ちなつちゃん……」

あかり(あかり、馬鹿だな、ちなつちゃん、こんなにあかりのことを頼りにしてくれてるのに……)

あかり「ううん、迷惑とかじゃないよ、ちょっと驚いただけ……」

ちなつ「あかりちゃん、いやなら無理にとは……」

あかり「い、いやじゃないよ、理由はあれだけど、ちなつちゃんとお出かけするのは、その、楽しいしっ」モジモジ

ちなつ「そっか……あかりちゃん、ありがと」ニコ

あかり「え、えへへ……///」

ちなつ「というわけで、ストーキング続けるわよ、あかりちゃん!」

あかり(あ、ストーキングだって求めるんだ)

ちなつ「結衣先輩、誰かと待ち合わせしてるのかな、さっきから全然動かないけど……」

あかり「京子ちゃんと遊びに行くのかな?」

ちなつ「もしそうなら偶然を装って合流しようね、あかりちゃん!」

あかり「う、うん……あ、ちなつちゃん、誰か来たよっ」

ちなつ「……え」

あかり「あ……」

ちなつ「あ、あかりちゃん、あれって……」

あかり「う、うん、ちなつちゃんのお姉さん……だね」

ちなつ「……え」

あかり「……ちなつちゃん?」

ちなつ「……ええ」

あかり「……大丈夫?」」

ちなつ「えええええええええええええええええ!!!!!」

ちなつ「何でお姉ちゃんが結衣先輩と会ってるの、というか、というか、何か手とか繋いでるんだけど、なになになんなのこれっ」

ちなつ「あ、あ、あ、あかりちゃん!」ガシッ

あかり「は、はいっ!」ビクッ

ちなつ「なんなの?」

あかり「あ、あかりも判んないよぉ……」

ちなつ「ひょっとして、お姉ちゃんは結衣先輩とデートしようとしてるの?」

あかり「う、うん、そうなのかも……」

ちなつ「……」

あかり「ちなつちゃん?」

ちなつ「……ゆるせない」

あかり「え?」

ちなつ「例えお姉ちゃんでも、ゆるせないよっ!」

あかり「ち、ちなつちゃん、眼が怖いよ……」

ちなつ「あの泥棒猫、とっちめてやるんだからっ!」ノッシノッシ

あかり「ちょ、ちなつちゃん、ちょっと待ってっ……」グイッ

ちなつ「と、止めないでよあかりちゃん!」

あかり「だって、あかりたちの勘違いかもしれないよ!?デートじゃなくて、ほら、何か別の用事があったって可能性もっ……!」

ちなつ「別の……用事……」ピタッ

あかり「そ、そうそう、だから、ね?もう少し、様子を見てみよう?」

ちなつ「……例えばどんな用事の可能性があるって言うの?」

あかり「そ、それは……あの……、恵まれない子供達の為に募金活動をするつもりだとか……」

ちなつ「……あかりちゃん」

あかり「は、はい……」

あかり(流石に無理があったかなあ……)

ちなつ「……有り得る、有り得るよ、それ!」

あかり「え……」

ちなつ「優しいお姉ちゃんと結衣先輩なら、そういう可能性だってあるよね!流石あかりちゃん!ナイス発想!」

あかり「え、えへへ」

ちなつ「よし、あかりちゃん、そうと判れば、もう少し二人を追跡するよっ!」

あかり「う、うん……あれ」

ちなつ「どうしたの、あかりちゃん」

あかり「い、いや、なんでもないよぉ」

あかり(……今、駅の反対側に京子ちゃんの姿を見たような……気のせいかなぁ)

ちなつ「……」

あかり「……」

ちなつ「あかりちゃん」

あかり「な、なあに、ちなつちゃん」

ちなつ「募金活動って、ラブホテル街でするものなのかな……」

あかり「さ、さあ……」

ちなつ「お姉ちゃんと結衣先輩、2人でラブホテルに入って行ったんだけど、あのなかで募金活動するのかなあ」

あかり「あ、あかりに聞かれても……」

ちなつ「……」

あかり「……」

ちなつ「うがあああああああああああ!お姉ちゃんと結衣先輩、やっぱりガチなんじゃない!」

ちなつ「そんな、そんな馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ゴロンゴロン

あかり「ち、ちなつちゃん、道路で転がったら危ないよおっ」

ちなつ「う、うう、まさかお姉ちゃんに好きな人を奪われるなんて……」ウルッ

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「あかりちゃんっ……あかりちゃぁんっ」ギュッ

あかり「……よしよし」ナデナデ

ちなつ「う、ううっ、ひっく……」ギュ

~数時間後~

~公園~


あかり「ちなつちゃん、大丈夫?」ナデナデ

ちなつ「……うん」ヒック

あかり「そっか……」ナデナデ

ちなつ「……あかりちゃん」

あかり「なあに」ナデナデ

ちなつ「ごめんね……慰めてくれて」

あかり「そんなの……当たり前だよ……」ナデナデ

ちなつ「……ありがとう」ギュ

あかり「……」ナデナデ

あかり「もう、こんな時間だけど……ちなつちゃん、どうする?」

ちなつ「……今日は、家には帰りたくないな……あかりちゃん、もし良かったら……」

あかり「……ん、うちにお泊りしてくれて、いいよ」

ちなつ「……ありがとう、あかりちゃん」

ちなつ「わたし、あかりちゃんがお友達で、本当に良かったと思う」

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「私ね、あかりちゃんにいっぱい助けて貰ってるし……」

ちなつ「何時か、恩返しできると、嬉しいな」

あかり「……」

あかり(あかりだって、ちなつちゃんから、いっぱい大切なもの、貰ってるよ……)

あかり「あかりと一緒に居てくれて、ありがとう……」

~翌朝~

あかり「ちなつちゃん、本当に大丈夫?」

ちなつ「うん……流石に一度は家に帰らないとお母さん達に怒られちゃうしね」

ちなつ「正直、お姉ちゃんと顔を合わせるのは気が重いけど……」

あかり「あの、あかりも一緒に行こうか……?」

ちなつ「もう、そこまでしてくれなくても大丈夫だって、もう泣いたりしないから、ね?」

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「じゃ、昨日はありがとう、あかりちゃん」

ちなつ「ばいばい……」




ちなつちゃんは、その日、結局、学校に来なかった



~赤座家~


あかり(ちなつちゃん、どうしたんだろ……やっぱり、昨日の事が堪えてるのかな……)

あかり(電話にも出てくれないし……)

あかり(……結衣ちゃんや、京子ちゃんも、学校休んでたし……)

あかり(みんな、どうしちゃったんだろう……)

あかね「あかり」

あかり「あ、お姉ちゃん、おかえり……」

あかね「どうしたの、何だか疲れた顔をしているけど……」

あかり「えへへ、何でも無いよ、お姉ちゃんこそ、何か顔色蒼いよ?」

あかね「え、ええ……ちょっと、お友達が心配で……」

あかり「おともだち?」

あかね「……そうね、あかりも無関係とは言えないし……説明しとかないと……」

あかり「え?」

あかね「……あのね、あかりのお友達のちなつちゃんのお姉さんがね……」




「昨日から行方不明なの」


あかり「……え?」

あかね「昨日から携帯に電話しても連絡がつかないし……」

あかね「お家に行っても、鍵かかかってて反応がないし……」

あかね「だから、お姉ちゃん、ちょっと心配で……」

あかね「あかりは、ちなつちゃんから何か聞いてない?」

あかり「……」

あかね「あかり?」

あかり「あ……うん、あかりは何も、聞いてないよ……」

あかね「そう……」

あかり(ちなつちゃんのお姉さんが、行方不明……?)

あかり(どうしたんだろう、ちなつちゃんの家で何かあったのかな……)

あかり(い、いや、それ以前に……)

あかり(ちなつちゃんのお姉さんは、結衣ちゃんと会った後、ちゃんと帰宅したのかな)

あかり(そもそも、どうしてあの二人はラブホテルなんかに……)

あかり(駅で見かけて京子ちゃんは、結衣ちゃん達のことを知ってたのかな)

あかり(……)

あかり(あ、もしかして……)

~翌日~

~娯楽部~


あかり「ちなつちゃん……来てくれたんだ」

ちなつ「……家の郵便受けに、こんな手紙、入ってたしね」


『吉川ともこさんの事でお話があります、放課後、娯楽部まで来てください あかり』


あかり「……やっぱり、ちなつちゃんはずっと家に居たんだね」

ちなつ「……うん、お姉ちゃんが帰ってくるかもしれないから、ずっと家に居たよ」

ちなつ「お姉ちゃん、きっと、結衣先輩と二人で過ごすのが楽しすぎて、帰るのが遅くなってるんだと思うの」

ちなつ「お母さん達は、お姉ちゃんが行方不明になったとか騒いで、警察とか親戚の家とかを走り回ってるけど」

ちなつ「そんなに心配する必要ないのにね」

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「多分、今日くらいにはひょっこり帰ってくると思う、そしたら、そうしたらね」

ちなつ「私、お姉ちゃんと、ちゃんと喧嘩するよ、だって、お姉ちゃん私が好きな人盗ったんだもん、喧嘩くらいするよ」

あかり「あのね……」

ちなつ「もしかしたら、もう二度と口きかないかも、そんなのは嫌だけど、けど、お姉ちゃんはそれくらいひどいことしたんだから」

あかり「ちなつちゃんのお姉さんは、家出しちゃったんだと思うの……」

ちなつ「いえ……で?」

あかり「う、うん……多分、昨日、私達がストーキングしてたのに気付かれてたんじゃないかなって」

ちなつ「……そんなヘマはしてないけど」

あかり「えへへ、あかりが見られちゃったかも……」

ちなつ「……もし、そうだとして、どうして家出なんか……」

あかり「ちなつちゃんを傷付けないようにするため、とか……?」

ちなつ「私を……?」

あかり「うん……」

あかり「だって、ちなつちゃんが好きな子を、奪う形になっちゃったんだし……」

あかり「その事で喧嘩になったら、ちなつちゃん、傷ついちゃうでしょ?」

あかり「だから、そうならない為に……」

ちなつ「姿を消した、と?」

あかり「……うん」

ちなつ「……なにそれ」

あかり「……」

ちなつ「ひ、酷い、お姉ちゃん、酷いよ……喧嘩すら、喧嘩すらさせてくれないの?」

ちなつ「そんなの、そんなのって、あんまりだよ……せめて、せめて、正面から文句くらい、聞いてよ……」ウルッ

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「ずるい、お姉ちゃん、ずるいよぉ……」グスッ

あかり「ちなつちゃん……」ギュ

ちなつ「あかり、ちゃん……」ヒック

あかり「……もう、結衣ちゃんのことを好きでいるの、止めよ?」

ちなつ「……え?」グスッ

あかり「ちなつちゃんが結衣ちゃんのことを好きでいる限り、きっとともこさんは戻ってこないと思う」

あかり「だから、だから、ね?もう、結衣ちゃんの事は、諦めよう?」

ちなつ「あかりちゃん、何を……」ヒック

あかり「あ、あかりじゃ……あかりじゃ、駄目、かな?」

ちなつ「え?」

あかり「あかりじゃ、結衣ちゃんの代わりに、なれないかな?」

ちなつ「あかり……ちゃん?」

あかり「あかりなら、他の子に盗られる心配はないよ?だって、だって……」

あかり「あかりは、ちなつちゃんの事だけが好きだから、ちなつちゃん意外、見ないから……」

ちなつ「……!」

あかり「だから、ね?ちなつちゃんも、あかりの事を……」

ちなつ「……あかりちゃん」

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「ありがとう……私の事を、慰めてくれようとしてくれてるんだよね……」

あかり「え、違うよ、ちなつちゃん、私は本気で……」

ちなつ「……あかりちゃん」

あかり「は、はい……」

ちなつ「私ね、あかりちゃんの事……大好き」

あかり「ち、ちなつちゃんっ……!」パァッ




ちなつ「凄く大切な、『友達』だと思ってる……」



あかり「あ……」

ちなつ「だからね、これからも、あかりちゃんには私の友達でいてほしいの……」

あかり「……」

ちなつ「……ごめんね、あかりちゃん」

あかり「……」

ちなつ「……私は、結衣先輩の事は、諦めないよ」

ちなつ「お姉ちゃんが私と喧嘩すらしてくれないって言うなら、それでも構わない」

ちなつ「お姉ちゃんが戻ってくる前に、結衣先輩を取り返す算段を……」

あかり「……戻ってこないよ」

ちなつ「え……?」

あかり「ともこさんは、多分……いや、絶対戻ってこないよ」

ちなつ「あかり、ちゃん……?」

あかり「やっぱり……欲しい物を手に入れるにはこうするしかないんだよね……」

ちなつ「あかりちゃん、どうしたの……?」

あかり「……ちなつちゃん」

ちなつ「あ、あかりちゃん、怒ってるの?けど、私は……私は、結衣先輩を諦めることなんて……」

あかり「もういいの、ちなつちゃん」

ちなつ「あかり、ちゃん」

あかり「もういいの、判ったから、全部、判ったから……」

ちなつ「手に、何を持ってるの……?」




あかり「ちなつちゃん、だあいすき……」



あかり「はぁ……はぁ……」

ちなつ「……」

あかり「やったあ、取れた、取れたよちなつちゃん……」ハァハァ

あかり「思ったより、固かったなあ……」

あかり「けど、けど、これで、ずっと、一緒に居られるよね……」

あかり「ずっと、あかりだけを見てくれるよね……」

あかり「ね、ちなつちゃん……」

あかり「だいすき……」


チュッ


あかり「けど、どうしよう、畳とか、真っ赤になっちゃった……」

あかり「拭いたら、取れるかなあ……」

あかり「……京子ちゃん達が見たら、驚くだろうなあ……」

あかり「どうしよう……」

あかり「……」

あかり「まあ、いいか……今日はもう、疲れちゃったし……」

あかり「お家に帰ろう……」

あかり「はい、ちなつちゃんは、あかりの鞄に入れてあげるね?」

あかり「ちなつちゃんの髪も、真っ赤になっちゃったから、お家のシャワーで洗い流してあげる……」

あかり「えへへ、お礼とかいらないよお、ちなつちゃん……」

あかり「だって、もうあかりは、ちなつちゃんの恋人なんだし……」

~翌朝~

~赤座家~

ピピピピピピピピ


あかり「……むにゃ」

あかり「むう……今何時……」ゴソゴソ

あかり「……え」

あかり「うわ、うそ、もうこんな時間っ!」

あかり「あ、あわわわ、早く学校行かないとっ!」


ドタバタ



あかり「い、いってきまーす!」

~放課後~


あかり「ふう……今日は朝から遅刻して、大変だったなぁ……」

あかり(まあ、大変なのはこれからなんだけど……)

あかり(部室の畳とか、どうしよう……)

あかり(ちなつちゃんの胴体のそのままだし……)

あかり(確か、包丁も置いて来ちゃったはず……)

あかり(これを全部今日一日で始末するのは、大変だよねえ……)

あかり「はぁ……」

京子「おーっす、あかり、ひっさしぶり~」

あかり「え、きょ、京子ちゃん!?」

京子「なーに驚いてるの、あかり」

あかり「い、いや、京子ちゃん最近学校に来てなかったから……」

京子「うん、ちょっと風邪ひいててね……けど、今日から部活復帰するから、安心して?」

あかり「……え」

京子「ほらほら、部室行くよ~」グイグイ

あかり「きょ、京子ちゃん、押さないでぇっ!?」

あかり(う、うそ、京子ちゃんが部室に来るなんて、想定外だよっ)

あかり(どうしよう、部室の様子見られたら……見られたら……)

~娯楽部~


あかり「……え」

京子「んー、久しぶりの部室~♪」ゴローン

あかり「……」

京子「あかりー、お茶入れておくれ~」ゴロゴロー

あかり「え、あ、うん……」

あかり(え、どうして、どうして、昨日の痕跡が、全部なくなってる)

あかり(ちなつちゃんの血も、胴体も、包丁も)

あかり(全部、全部消えちゃってる……)

あかり(なんで……)

京子「あっかりー、お茶早く~」バンバン

あかり「あ、う、うん……」

結衣「遅れてごめん」ガラッ

あかり「……!」

京子「結衣ー、遅いよ~」

あかり「ゆ、結衣ちゃん……」

結衣「あかり、お茶入れてくれてるの?私の分もお願いできる?」

あかり「……う、うん」

あかり(京子ちゃんだけじゃなくて、結衣ちゃんも……)

京子「いやあ、あかりのお茶は美味しいねえ……」

結衣「うん、何時もありがとうね、あかり」ニコ

あかり「あ、あはは……どういたしまして……」

京子「……」ズズズ

結衣「……」ズズズ

あかり「……」ズズズ

あかり(京子ちゃんも、結衣ちゃんも、普段通りだ……)

あかり(昨日のあの赤い痕跡も、部室から無くなってる……)

あかり(……もしかして)

あかり(もしかして、全部、全部、夢だったのかな……)

あかり(……そんな事、無いよね)

あかり(だって、だって今日の朝)

あかり(お部屋に置いてある、ちなつちゃんの首に、行ってきますって挨拶してきたし……)

あかり(夢じゃ、ないよね……)

京子「あかり?」

あかり「ふえ!?」

京子「何だか、顔色が悪いよ?」

あかり「そ、そうかな……」

結衣「うん、調子悪そうだ……今日は、早めに帰る?」

あかり「かえ……る……」

あかり(そうだよ、家に帰って、ちなつちゃんと会えば、あれは夢じゃなかったって判るはず……)

あかり(ちなつちゃんが私の物になったって言うのは、夢じゃないはずだよ……)

あかり「……うん、京子ちゃん、結衣ちゃん、あかり、今日はもう、帰るね……」




帰宅して、部屋を見てみたら


ちなつちゃんはいなくなっていた



~翌日~

~娯楽部~


ガラッ


あかり「……」

京子「お、あかり、やっほー」

結衣「こんにちわ、あかり、今日は調子大丈夫?」

あかり「……」

京子「んー、元気ないぞ~?」

あかり「……して」

結衣「え?」

あかり「……かえして」

京子「あかり?」

あかり「ちなつちゃん、かえして」

京子「え?」

あかり「ちなつちゃん、返してよ……返してよっ!」

結衣「あ、あかり、どうしたの、落ち着いて?」

あかり「かえして、かえして!ちなつちゃんは、私のなの、やっと私の物になってくれたの!」

あかり「だから、だから返してよ!京子ちゃん!結衣ちゃん!」

京子「あかり……」

あかり「ちなつちゃんだけは、ちなつちゃんだけは渡さないんだからっ……!」

京子「あかり、包丁なんて持ってたら危ないから、ね?」オロオロ

結衣「そ、そうだよ、悪ふざけにしても、ちょっと度を過ぎてるぞ?」オロオロ

あかり「はぁ……はぁ……はぁ……返して、返してよ……」

京子「あかり……」

あかり「ちなつちゃん、かえしてよぉぉっ……」

結衣「もう、聞く耳くらい持ってよ……」

京子「結衣、これはもう、しょうがないよ……」

結衣「はぁ……そうだな、怪我でもしたら元も子もないし……」

あかり「な、何を言って……」


ビリッ


あかり「あうっ……!?」

あかり(な、なに、身体がしびれて……)

綾乃「と、歳納京子、大丈夫!?」

京子「綾乃、ナイスタイミング~♪」

綾乃「携帯に着信が残ってたから駆け付けたら、赤座さんが包丁持って2人に襲いかかろうとしてたから」

綾乃「咄嗟にスタンガン押し付けちゃったんだけど……」

結衣「いや、助かったよ、下手したら殺されてたかも……」

京子「そうそう、お手柄お手柄♪」ナデナデ

綾乃「あっ……///」



きっかけは、まりちゃんの一言だった


まり「おねえちゃん、おねえちゃん!」

結衣「ん、どうしたの、まりちゃん」

まり「ミラクるんのお姉ちゃん、今日は来ないの?」

結衣「あー、うん、今日は来ないよ」

まり「うー……」

京子「まりちゃん、ミラクるんのお姉ちゃんに会いたいの?」

まり「うん!」

まり「あのね、まりね、ミラクるんのお姉ちゃんを、ころしたいの!」

結衣「ま、まりちゃん……?」

京子「うーん、まりちゃんの腕力で殺せるかなあ……」

結衣「いやいや、京子、そういう問題じゃないだろ!」

京子「じょ、冗談だって、結衣」

結衣「あのね、まりちゃん」

まり「なあに?」

結衣「ミラクるんのお姉ちゃんは、私達と親しい子なんだよ」

まり「うん」

結衣「親しい子が不審な死を遂げると、私達に疑いの目が向く可能性が高いんだ」

まり「ん?」

京子「私達が初めて殺した子は、小学校の頃の同級生だったからねえ、あの時は凄く苦労したよ……」

結衣「あれは、京子が言いだしたんだろ、『私を苛めてる子が居るから殺して』って」

京子「結衣も二つ返事で了承してくれたじゃん」

結衣「まあ……そうだけど……」

結衣「と、とにかく、私達はそれ以来、殺しが病みつきになったんだけど、やる時はなるべく自分とは関わりのない子を殺すようにしてるの」

まり「ううー……けど、ミラクるんのお姉ちゃんころしたい……」シュン

京子「……結衣、まりちゃんが可哀そうだよ」

結衣「け、けど……」

京子「せっかくまりちゃんに芽生えた初めての感情なんだし、私としては想いを遂げさせてあげたいなあ……」

結衣「うーん……けどなあ……成人するまでの間は、なるべく警察から疑われるような殺人はしたくないんだよ」

京子「……あ、じゃあさ、ちなつちゃんのお姉さんにお願いするっていうのはどう?」

結衣「ちなつちゃんのお姉さんに?」

京子「そうそう、こないだあかりに写真見せて貰ったんだけど」

京子「ちなつちゃんのお姉さんだけあって、ミラクるんにちょっと似てるんだよ」

結衣「……なるほど、お姉さんにミラクるんの仮装をして貰えば、まりちゃんも納得してくれるかも……」

京子「お姉さんと私達は直接的な関係は薄いし、疑いが向く可能性も減らせると思う!」

結衣「……相変わらず、京子は悪知恵だけは働くよな」

京子「えへへ///」

結衣「よし、じゃあ、その作戦で行ってみようか?」

京まり「「おー!」」

プルルルー


結衣「もしもし、吉川ともこさんでしょうか?わたし、赤座あかりさんの友達の船見結衣と言います」

結衣「実は、あかりのお姉さんからちょっと頼みごとをされまして……はい……」

結衣「ありがとうございます、じゃ、明日の朝、駅前で、はい、はい、宜しくお願いします……」


ピッ


京子「どうだった?」

結衣「うん、何とかうまくいきそう」

京子「ふふふ、私が考えた『あかねさんがラブホテルで待ってます~ご案内します~作戦』、に穴は無いよ、結衣君!」

結衣「作戦名そのまんまだな、おい」

京子「じゃ、明日は私とまりちゃんでこっそり尾行するから、結衣、誘導の方お願いね~」

結衣「ん、わかった」

~ラブホテル~

~個室~


バーンッ


ともこ「あかねさぁぁぁん♪お待たせしましたっ♪」


ビリッ


ともこ「……!?」ガクッ

結衣「……相変わらずこのスタンガン、良く効くなあ……」

結衣「さて、まりちゃんが来る前にともこさんにミラクるんの衣装着せてあげないと……」ズルズル

結衣(何気に、私ばっかり働いてないかこれ……)

結衣(まあ、けど京子に危険度の高い仕事をさせるわけにはいかないし……)

結衣(こういう雑用引き受けてくれる人、いないかな……)

結衣(あかりにでも頼んでみようかな、あかりは私達が殺人鬼だって知ってるし……今回の件は教えてないけど)

結衣(……けどあかりはメンタル弱いから、関わらせるのは無理かな……)

~数分後~

結衣「はい、まりちゃん、ミラクるんのお姉ちゃんだよ」

京子「ちょっと年はいってるけど、魔法の力で成長しただけだよ~」

まり「……」ジー

ともこ「……」グッタリ

京子(うーん、やっぱり、ちなつちゃんじゃないと駄目なのかな……)

結衣(もしそうなら、私達でともこさん始末しよっか)

京子(ですなぁ)

まり「……ミラクるんだぁっ!」パァッ

まり「お姉ちゃん、ミラクるんのお姉ちゃんころしてもいいの!?」

結衣「うん、いいよ、その為に来て貰ったんだし」ニコ

まり「わあい!」ピョンッ

京子「良かったぁ……あんなに喜んでくれてるよ、結衣」

結衣「そうだねえ、流石私の親戚……」

ともこ「……ん……あ、あれ、私……」

京子「あ、眼を覚ました」

ともこ「あ、あれ……動けない、何で……」

結衣「すみません、ともこさん、ロープで縛らせてもっらてます、もう少しだけ我慢してくださいね?」

ともこ「え……」

結衣「まりちゃん、はい、何使って殺す?ロープと鉈と、ノコギリと、あとは、まあ味気ないけど毒薬……」

結衣「色々用意してあるよ?」

まり「血がいっぱいでてもいいの?」

京子「お風呂場だから、ノープロブレム!」

まり「じゃあねー、じゃあねー……ミラクるドンキー!」

結衣「おお、トンカチか」

京子「まりちゃん、大丈夫?重くない?」

まり「うんー!」

ともこ「え、あ、あの、なにを……」

まり「よいしょっ……」

ともこ「え、ちょ、やめっ……」

まり「まじかるどんきーーっ!」


ガツンッ


ともこ「いっ……!」ビクッ

まり「あわわ……」ヨロッ

結衣「まりちゃん危ないっ……」ガシッ

まり「え、えへへ、お姉ちゃん、ありがとう……」

ともこ「い、い……いたい……あ、頭がっ……」

結衣「はい、まだ生きてるから、もう一回、頑張ろうね、まりちゃん」

まり「うん!」

まり「まじかるどんきーっ」


ガツンッ


ともこ「ひっ……や、やめっ!」


ガツンッ


ともこ「い、いたいっ!本当にいたいのっ!や、やめてっ!許してっ!」


ガツンッ


ともこ「あ、ああ……や、やめ、血が、血がこんなにっ……!」


ガツンッ


ともこ「あ、あかね、さん、たすけ……」


ボコンッ

まり「おねえちゃん、まりちゃんと出来たよ!」ニコ

結衣「よしよし、えらいえらい……」ナデナデ

京子「流石まりちゃんだねえ」ナデナデ

まり「えへへへ……」

結衣「よし、じゃあ、あとは解体してラップで包んで鞄に入れようか?」

京子「おう!」

結衣「まりちゃんは疲れたでしょ?ベッドで一休みしてね?」

まり「うんー……」モゾモゾ

ギッコギッコギッコ♪


ギッコギッコギッコ♪


ギッコギッコギッコ♪


ギッコギッコギッコ♪

~翌々日~

~娯楽部前~


京子「はぁ……久しぶりの死体処理は疲れたねえ……」

結衣「お前はほとんど何もしてないだろ」

京子「私だって袋詰めとか手伝ったじゃーん」

結衣「はいはい……」

京子「あれ、あかりだ」

結衣「ほんとだ……もう帰るのかな?」

京子「何だろ、鞄を凄く大切そうに持ってたけど……」

結衣「あー、私達に気付かないで行っちゃった」

京子「まあいいじゃん、取りあえず部室で寛ごうよ~」

結衣「だな、久しぶりにちなつちゃんのお茶飲みたいし」

~部室内~


ガラーッ


京子「やっほー、ちなつちゃんいるー?」

京子「って、うわあ……誰がこんなに散らかしたの」

結衣「どうしたの、京子……って、うわあ、部室血まみれだ」

京子「あれ、あそこに転がってるのって……」

結衣「誰の胴体だろうね」

京子「んー、あの体型は……ちなつちゃんと見た!」

結衣「……え」

京子「……」ゴソゴソ

京子「ほら、やっぱりちなつちゃんだ、生徒手帳に名前書いてある」

結衣「えー……ちなつちゃん、殺されちゃったの?」

京子「まあ、自殺ではないだろうねえ、この様子だと」

結衣「せっかくちなつちゃんを殺させないように苦労したのに……ここで殺されるくらいならまりちゃんに殺させてあげればよかった……」ガクッ

京子「まあまあ、落ち込まない落ち込まない」

結衣「というか、誰だよちなつちゃん殺したの……私達にまで疑いが回るじゃん……」

京子「多分、あかりなんだろうなあ……」

結衣「あかりが?なんで」

京子「ほら、あかり、小さい頃から私達の殺人にちょっと憧れてた所あったじゃん」

結衣「あー……そういえば……」

京子「だから、何か理由つけてちなつちゃんを殺してみたんじゃないかな?」

結衣「はぁ……殺すなら、もっと証拠が残りにくい殺し方してよ……」

結衣「こんなに派手にやられたら……もう隠せないだろ……」ハァ

京子「いや、血が染み込んでる畳を何とかすれば痕跡消せるんじゃない?」

結衣「そんなのどうやって……」

京子「まー、私に任せなさいって……」ピッピッ

結衣(電話?誰に……)


京子「あー、綾乃?うん、わたし、京子」

京子「いやあ、私の可愛い綾乃どうしてるかなーって気になって」

京子「えへへ、照れない照れない……」

京子「あ、それとねー、ちょっとお願いがあるんだけど」

京子「お願い聞いてくれたらチューしてあげるよ?」

京子「え、チューいらないの?じゃあもう二度としてあげない」

京子「もー、泣かないでよ、冗談だから、ね?」

京子「うん、綾乃大好き!」

京子「うん、お願いって言うのはね、綾乃にしか話せない事なんだけど……」

京子「畳何とかして貰えるって」

結衣「……京子、綾乃に話したの?」

京子「いや、詳しくは話してないよ、まあ、話ても大丈夫だろうけど」

結衣「え、綾乃もそういう趣味の子なの?」

京子「いやー、綾乃はノーマルだよ、きっと殺人とかすれば壊れちゃうような子」

京子「まあ、けど、私の為になら色々と動いてくれると思うよ、いやあ、愛って偉大だよね!」

結衣「……そう」

京子「あとはちなつちゃんの胴体だけど……これはともこさんの死体と一緒に始末するとして……」

京子「首は何処行ったんだろうね」

結衣「あかりは持ち帰ったのかも?」

京子「うーん、そうだとしたら厄介だなあ……あんなの持って帰ったら流石に隠し通すの難しいだろうし……」

結衣「それも綾乃に頼んでみたら?」

京子「え?」

結衣「明日私達があかりを部室に足止めしてる間に、綾乃にあかりの部屋を探って貰ってちなつちゃんの頭を回収して貰うって感じで」

京子「おう、ナイスアイデーア!」

結衣「……まあ、ちなつちゃんの頭とご対面した綾乃が壊れちゃわないか心配ではあるけどね」

~翌日~

~放課後~


綾乃「と、歳納京子、赤座さんの家から、回収してきたわよ、鞄……」

京子「ありがと!綾乃!はい、お礼……」チュッ

綾乃「う、うふふ……うふふふふ……」

京子「んー、綾乃、もしかして、中身見た?」

綾乃「中身?ああ、吉川さん?ええ、見たわよ、あははは……」クスクス

綾乃「昨日からおかしいとは思ってたの、だって、血まみれの畳を変えたいって、普通じゃないもの、あははは……」クスクス

綾乃「けど、けどね、わたし、歳納京子の事、大好きだし、大好きだし、大好きだし、変だなって思っても、眼を瞑ってきたの」

綾乃「あ、あははは、ねえ、歳納京子、吉川さんの頭どうするの?」

京子「うん、燃やすか埋めるかするよ~」

綾乃「そ、そうなの、うふふふふ……」

京子「……綾乃」

綾乃「な、なに……」

京子「私ね、出来れば、綾乃とはずっと普通の友達でいたかった」

綾乃「歳納京子……」

京子「けど、こうなったら、もう普通ではいられないよね……」

京子「だから、選んで……私達と一緒に進むか……それとも、私達との関わりを断つか」

綾乃「……わたしは……わたしは……」

綾乃「わたしは、としのうきょうこと……一緒に、いたいわ……」

京子「……そっか」

綾乃「……」

京子「あーやーのっ」ギュ

綾乃「あ……」

京子「ありがとう……ずっと、一緒に居ようね……」

綾乃「う、うん///」

~翌日~

~娯楽部~


京子「はー……これで、まあ、一件落着かなあ?」

結衣「うん、あかりが現状を受け入れてくれれば、そうなるね」

京子「ううーん、やっぱり難しそう?」

結衣「あかりの初めての殺人だっただろうし、その戦利品には執着があると思う」

結衣「だから、多分怒るんじゃないかなあ……」

京子「やっぱりそうかぁ……まあ、大丈夫、いざとなったら綾乃を呼ぶから」

結衣「……京子は、綾乃の事、本当に好きなの?」

京子「うん、好きだよ、可愛いし」

結衣「……」

京子「え、なに、ひょっとして嫉妬してるの……?」

結衣「し、してないよ……」

京子「その割には、頬がプクーッて膨らんでるよ?」

結衣「膨らんでないっ」

京子「もー、結衣は正直じゃないんだから……」

結衣「……」

京子「もし、結衣がいやなら、綾乃は捨てるよ」

結衣「……」

京子「だって、綾乃より、結衣の方が何百倍も大切だもん」

結衣「京子……」

京子「私と一緒に人に殺してくれてから、ずっと、そう思ってたよ……」

結衣「……わ、わたしもっ……京子が最初に命令してくれてから……ずっと……」

結衣「ずっと、京子の事が、好きだった……」

京子「結衣……」

結衣「……京子」

京子「……」

結衣「……」


チュッ


ガラッ


結衣「……!」ビクッ

京子「……!」ビクッ

あかり「……」

京子「お、あかり、やっほー」

京子(うわあ、キスしてたところ見られたかなあ……)

結衣「こんにちわ、あかり、今日は調子大丈夫?」

結衣(ううう、は、恥ずかしい……)

あかり「……」

京子「んー、元気ないぞ~?」

京子(やっぱり私と結衣のキス見られた!?)

あかり「……して」

結衣「え?」

結衣(キスしてって言ったの?)

あかり「……かえして」

京子「あかり?」

京子(あー良かった、この調子だと見られてないみたい)

結衣(ふう、ひやひやした……)

~数分後~


結衣「綾乃のご活躍であかりを捕まえたのはいいけど……どうしよっか」

京子「んー、そうだ、綾乃にあかりを殺させてみる?」

結衣「綾乃に?」

京子「うん、だって結衣、雑用係ほしいって言ってたでしょ?」

京子「だから、綾乃に殺させて、処理の仕方を勉強して貰おうかなって」

結衣「……京子、前に綾乃は殺人すると壊れちゃうって言ってなかった?」

京子「別にいいんじゃない、壊れても、役に立たなくなったら捨てるだけだし」

結衣「……ふふふ、それもそうだね……」

綾乃「と、歳納京子、船見さんと何を離してるの?」

京子「ん、綾乃、あかりは縛り終わった?」

綾乃「ええ、ちゃんと縛ったわ……あ、あの、だから……」

京子「うん、ご褒美だね……」チュッ

綾乃「んっ……」

京子「綾乃、もっとご褒美ほしい?」

綾乃「……うん、ほしい、ほしいの、わたし、歳納京子からもっと、ごほうびほしいの……」

京子「じゃあ、別のお願いも、聞いてくれる?」

綾乃「え、ええ、聞くわ、なんでも聞くわ、わたし、がんばるから、歳納京子の性癖に合わせられるよう、頑張るから……」

京子「ん、良い子だね、あやの……じゃあさ……今から……」




京子「あかりを殺して?」



~結衣宅~

結衣「ただいま~」

まり「おかえり、お姉ちゃん!」

京子「まりちゃん、元気してたか―い!」タカイタカーイ

まり「きゃっきゃっ♪」

綾乃「……」ブツブツ

まり「お姉ちゃん、こっちのかみの長いお姉ちゃんはー?」

結衣「あー、うん、綾乃って言ってね、まあ、お手伝いさんみたいなもんだよ」

まり「あやのおねーちゃん、こんにちわぁ」

綾乃「……」ブツブツ

まり「おねーちゃん?」

綾乃「ごめんなさいごめんなさい赤座さんごめんなさいごめんなさい」ブツブツ

まり「ゆいおねーちゃーん、あやのおねえちゃん、へんー」

京子「あはは、大丈夫だよ、ちょーっとショック受けてるだけだしね、きっと明日にはマシになってるって」ペシペシ

綾乃「…・…」ブツブツ

結衣「……まあ、マシになってなくても別にいいんだけどね」

結衣「はい、三人ともご飯出来たよ~」

京子「わーい!」トテトテ

まり「わーい!」トテトテ

綾乃「……」ブツブツ

京子「綾乃ー、ご飯だよ、ごはん」グイッ

綾乃「……あ、ええ、そうね、ごはんたべないと、栄養のバランスよく食べないと、頭が良くならないわよね、うふふ……」

綾乃「ところで船見さん、今日の晩御飯は何かしら」

結衣「あかりとちなつちゃんとともこさん」

綾乃「そう、豪勢ね」

京子「早く食べないと、冷めちゃうよ~」

綾乃「そうね……」

結衣「うん、じゃあ」

一同「「「「いただきまーす!」」」」












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