-4月・市立病院-
赤沢「それじゃ、これからもよろしくね。恒一君」
恒一「こちらこそ。今日は態々ありがとう」
・
・
・
恒一「ふぅ…」
「(とんでもない学校に引っ越してきちゃったな)」
「(呪われた3組か…毎月誰かが死んでいく現象…)」
「(信じ難い話だけど皆真剣な顔してたしな…)」
「(いない者制度っていうのを守ればいいみたいだし、あまり気にしない方がいいのかな)」
-夜・市立病院エレベーター-
見崎「(やっぱり未咲が死んじゃったのは災厄のせいなのかな…)」
「(…約束してたお人形、届けに行くからね)」
エレベーター「何これ痛い」バチッ ジジジジッ
見崎「きゃっ!な、何!?」
エレベーター「うわああああああああ!」ギュララララッ
見崎「え?え!?…ぼべっ!」ゴシャッ
エレベーター「」ガッシャーン カラン カラン …
-翌朝-
ザワザワ ガヤガヤ
恒一「…ん、今日は病院内が騒がしいな」
早苗「おはよー、ホラー少年♪」
恒一「おはようございます、水野さん」
「えっと、随分騒がしいですけど…何かあったんですか?」
早苗「あー、それはね…」
「昨日の夜、エレベーターが落下する事故があったの」
「それで…その時乗ってた女の子が亡くなったんだって」
恒一「そうなんですか…怖いですね…」
早苗「そうねぇ…」
「しばらくエレベーターは怖くて使えないかな」
-5月・登校初日-
恒一「東京から引っ越してきた榊原恒一です」
「どうぞよろしく」
王子「病気はもう大丈夫なのかな」
恒一「うん、なんとかね」
猿田「東京とこっちではどうかの?」
恒一「んー、そんなに変わらないよ」
綾野「でもさぁいいよね~東京!夜見山みたいな田舎町って最近ますますパッとしないしさ」
勅使河原「だよなぁ、面白いこともねぇしなぁ」
恒一「あっちはあっちで嫌な事あるよ。街はザワザワしてて落ち着かないしね」
猿田「住んでたらそういうモノかもしれんのぉ」
綾野「そうかなぁ?東京暮らしとかしてみたいなぁ~!」
恒一「僕は東京よりこっちの方が静かでいいかな」
風見「東京に住んでた者ならではの意見だね」
王子「お父さんが大学教授なんだってね。それでどこか外国に研究に行ってるって」
恒一「あれ?なんでソレ知ってるの?」
風見「みんな知ってるよ。久保寺先生が言ってたからね」
恒一「なるほど。前の中学の事も?」
桜木「大体の人は知ってますよ。三神先生から聞きましたから」
恒一「そうだったんだ」
勅使河原「どうせだったら三神先生が担任ならよかったのになぁ。美人だしキリッとしてるし、なぁ望月!」
望月「え…う、うん!」
恒一「あ、あはは…」
綾野「おやおや?こういっちゃんは綺麗なお姉さんはお好みではないのね」
恒一「そういうワケじゃ無いよ」
桜木「じゃあ榊原君はどういうタイプが好きなんですか?」
恒一「んー、明るくて元気な人かな」
綾野「ほほぅ、それなら私とかオススメだよ~!」
・
・
・
赤沢「恒一君、ちょっといい?」
恒一「えっと確か赤沢さん…だっけ?」
赤沢「ええ、災厄と…『いない者』について話しておきたい事があるんだけど」
恒一「!?それって話して大丈夫なの?」
赤沢「状況が変わったのよ」
「市立病院のエレベーター事故は知ってるわよね?」
恒一「もちろん知ってるよ」
赤沢「実はあの事故で亡くなった子…『いない者』になる予定だった見崎鳴さんだったのよ」
恒一「そ、そうだったの!?」
赤沢「クラスメイトが死んでしまった…しかもどうやら彼女の姉妹も同じ日に急死してるらしいのよ…」
「突然2人も死んでしまうなんて偶然にしては出来過ぎじゃない?」
「たぶん今年は『ある年』なのよ」
恒一「そんな…」
赤沢「一度始まってしまった災厄は止められない…」
「それでも対策係は出来る限りの事はやるつもりよ」
「いつ何処でどんな事が起きるか分からないし、恒一君も気を付けてね」
-休み時間-
恒一「……」
勅使河原「お、どうしたサカキ?元気無いな~」
風見「何か困りごとかい?」
恒一「…あのさ、二人とも怖くないの?…3組の災厄」
勅使河原「…そ、そりゃあ怖いさ」
風見「たぶん怖くない生徒なんて一人もいないんじゃないかな」
恒一「…そうだよね」
勅使河原「で、でもよ!ただ怖がってても気が滅入っちまうだけだろ?」
「俺らも中3なんだし中学校生活最後の1年を出来る限り楽しまねぇとな!」
風見「君の場合はもう少し危機感を持った方がいいかもしれないけどね。災厄の事も受験の事も」
勅使河原「んな!?」
風見「でも勅使河原の言う通り、ただ怖がって暗い雰囲気を作っていても何も意味は無いんだ」
「榊原君も、もう少し気を楽に持った方がいいよ」
恒一「確かにそうだね」
勅使河原「…よし!んじゃ気分転換に校舎案内でもしますか!」
風見「そうだね、榊原君にも早くこの学校に慣れてもらいたいし」
恒一「うん、ありがとう」
-体育の時間-
恒一「君も見学?」
高林「うん、生まれつき心臓が弱くてね…」
恒一「そっか…」
高林「でも、ここからの眺めはとてもフェアだからあまり気にして無いんだ」
恒一「…と言うと?」
高林「女子の体育の様子をじっくり見れるからね」
「たとえば今、綾野さんが思いっきり転んだでしょ?彼女は運動が苦手だからいつも転ぶんだ」
「可愛いでしょ?」
恒一「確かに可愛いね」
高林「それと杉浦さんと佐藤さんの胸を見てみなよ」
「あの巨乳が走った時なんてもう発作が起きそうなくらい興奮しちゃうよ!」ハァハァ
「ちなみに今日は見学だけど桜木さんも結構な巨乳だよ」ハァハァ
恒一「そうなんだ…」
高林「うっ!……ちょっと具合悪いから保健室行ってくるね」
恒一「う、うん…」
「(あ、また綾野さんがコケた)」
-三神家-
怜子「どう?夜見北初登校の感想は」
恒一「良い人ばかりで不自由しそうにありません」
怜子「そっかー」
恒一「ただ、災厄の事は少し心配ですけどね」
怜子「そうね…まぁお互い頑張りましょう」
-ある日-
勅使河原「はぁ…進路指導か」
「覚悟はしてたけど、改まって先生とそんな話するってのも憂鬱だよなー」
風見「高校進学率は今日日95パーセント以上だ。大丈夫、今からでも頑張れば君にも行ける高校はある」
勅使河原「励ましてんのかよ、それ」
風見「そのつもりだよ」
勅使河原「お前はどこ行くんだよ?」
風見「…N校」
勅使河原「ん?お前そんなに頭良かったっけ?」
風見「が、頑張ってるところさ」
勅使河原「…ほほう、そういう事か。まぁ精々頑張れよー」
「そういやサカキは高校どうすんだ?」
恒一「来年の春には父さんが帰国するし東京の高校に」
勅使河原「やっぱ東京に戻るのかー」
赤沢「その手があったか」ズイッ
勅使河原「うおっ!?何だよ赤沢」
赤沢「私も東京の私立に行こうかな」
中尾「!?赤沢さん、東京行くの…?」
赤沢「東京なら一人暮らしかな」
中尾「…っぐ(榊原死ね榊原死ね榊原死ね)」ギロッ
恒一「…?」
勅使河原「…お前ら無駄に苦労してんのな」
ザァァァァァァァー ゴロゴロゴロ…
恒一「(雨止まないな…)」
桜木「あの、榊原君!」
恒一「桜木さん?」
桜木「傘、忘れたんですか?」
恒一「うん…今日は大丈夫だと思ったんだけどね」
桜木「そうですか…」
「あ、あの…一緒に帰りませんか?」
恒一「え!?流石にそれは悪いよ…」
桜木「いいんですよ!」
「私の家は榊原君の家のさらに向こうだから」
恒一「うーん、それじゃあ頼もうかな」
恒一「そういえば修学旅行ってどうなってるの?」
桜木「2年生の時に東京に行きました」
「とても楽しかったですよ」
恒一「そっか。やっぱり災厄の関係で2年のうちに済ませてるの?」
桜木「そうみたいですね…」
「詳しくは知らないけど…昔、行きのバスが他のクラスも巻き込んでしまうような大きな事故にあったとか何とか…」
恒一「そうなんだ…」
桜木「東京っていい所ですよね」
「榊原君は東京の高校に進むんですよね?」
恒一「一応ね」
桜木「いいなぁ。私も東京の学校で勉強したいな…」
恒一「すれば?」
桜木「…うちは無理なんで」
恒一「…ご、ごめん」
桜木「……」
恒一「……」
???「■■■■■ー!」
恒一・桜木「!?」
???「■■■、■■■■■!」
恒一「なんだあの人!?ナイフ持ってる…?」
???「■■■ー!」ブンブン
桜木「危ない、榊原君!」バッ
ナイフ「チクッとしますよ」グサッ
桜木「うっ…!?」
???「■■■!?」
そういや「いないもの」役が死ぬことってあるんだっけ
恒一「さ、桜木さん!」
「こいつ…!酒鬼薔薇キック!」ドカッ
???「■■■~!」ダダダッ
恒一「くそっ、逃げられた…」
「し、しっかりして桜木さん!」
桜木「」
恒一「桜木さん…桜木さーん!!!」
-翌日-
久保寺「桜木さんが下校中に亡くなりました…」
「榊原君の証言や使用された凶器などから例の通り魔なのでは、と…」
「皆さんで桜木さんのご冥福をお祈りしましょう…」
恒一「ぼ、僕のせいで桜木さんが…」
望月「榊原君…」
勅使河原「お前が気に病むこと無いぜサカキ…悪いのは通り魔だろ。なぁ?」
赤沢「5月の死者はゆかり、か…」
杉浦「やっぱり今年は『ある年』なのね…」
-6月・市立病院-
医者「特に異常無し、と」
「ただ、まだ当分の間は激しい運動は禁止ね」
恒一「ありがとうございました」
医者「はい、お大事に」
恒一「ふぅ…」
早苗「おやおやホラー少年、今帰り?」
恒一「こんにちは水野さん」
「今終わったところです」
早苗「どうだった?」
恒一「再入院はなさそうですよ」
早苗「そっかー、ちょっと残念だな」
「…そういえば、クラスの子が亡くなったって…」
恒一「ええ…」
早苗「うちの猛もその事で怯えちゃって…」
「4月のエレベーター事故もクラスの子だったみたいだし…」
「榊原君も気を付けてね」
恒一「はい…」
恒一「(気を付けて、か…)」
綾野「あ!お仲間はっけーん!」
恒一「あれ?綾野さん?」
綾野「やっほ~!こういっちゃんサボり?」
恒一「いや、病院の帰りだよ…」
綾野「ありゃりゃ…」
鳴が死んだってことは例の義眼が使えないってことか……どうするつもりなのか楽しみだな
>>33
おにぃの年
恒一「綾野さんは?風邪でも引いたの?」
綾野「あーそうそう。げふんげふんっ」
恒一「あはは、綾野さん演技上手いね」
綾野「えへへ…なんか悔しいけどちょっと嬉しい」
恒一「嬉しいの?」
綾野「うん!部活の成果が出てるって事だもんね~」
恒一「演劇部?」
綾野「そうだよ~」
「あ、そうだ!今度見学来てみない?」
恒一「見学?」
綾野「うん!って言っても部員は私と由美と泉美の三人だけだけどね~」
ビュオオオオオッ
ガラス「きゃっ!エッチな風ね///」グラッ
恒一「!?綾野さん、危ない!」ガバッ
綾野「きゃっ!?」
ガラス「」ガシャーン
恒一「いてて…綾野さん大丈夫!?」
綾野「…いやだ、やだやだ…死ぬのはやだー!」
恒一「綾野さん!」ギュッ
綾野「こういっちゃん…?」
恒一「大丈夫、大丈夫だから!」
綾野「うぅ…こういっちゃ~」グスグス
-翌日-
綾野「って事があってね、こういっちゃんは私を助けてくれた王子様なの!」
赤沢「へ、へぇ…」イライラ
小椋「てかアンタ、いい加減サボるの止めなさいよ」
勅使河原「サカキ~お前王子様なんだってな!」
恒一「そ、そんなんじゃないよ///」
勅使河原「照れんなよ~」
-帰り道-
恒一「2人はいつも一緒に帰ってるの?」
望月「うん、家が近いからね」
高林「小学校からのフェアな付き合いだよ」
恒一「へぇ」
高林「む!アレは!」
望月「どうしたの?…あ!」
恒一「エロ本…?」
高林「こんなフェアな場所にこんなアンフェアな物が落ちてるなんて!」
「実にフェアじゃないか!」
「うおぉ!?こんなフェアな部分にこんなアンフェアな道具をぶち込むなんて…!フェアだ!」ハァハァ
「フェア+アンフェア=フェア!!!フェア+アンフェア=フェア!!!」ハァハァ
「うおおおおおおおお!コレは家に持ち帰ってフェアなコレクションに加えなければ!」ハァハァ
「そうと決まればダッシュだ!」ハァハァ
望月「あ!高林君、走っちゃダメだよ!」
高林「うぐっ!?」ドサッ
「…うぅ……うぐぅ……が…あぅ……が……」ガクリ
恒一「そ、そんな…」
望月「た、高林くーん!!!」
-翌日-
久保寺「―という事で高林君のご冥福をお祈りしましょう」
望月「うぅ…高林君……」
恒一「災厄…なんて恐ろしい奴なんだ…」
赤沢「6月の死者か…」
勅使河原「で、対策係さんよー。何か対策無いの?」
赤沢「う、うるさいわね!今考えてるところよ!」
>>48
あれは「いないもの」役を放棄したから死んだんだと思ったが、違ったっけ?
-7月・ある日の朝-
綾野「あ!シャーペン忘れちった…」
恒一「仕方ないなぁ、はいコレ貸してあげる」
綾野「ありがと、こういっちゃん!」
赤沢「…対策が必要ね」
勅使河原「そんな事より別に対策する事があるだろ」
ガラッ スタスタ
久保寺「▲▲▲▲…」ドスン
一同「!?」ビクッ
久保寺「▲▲▲…▲▲▲▲▲ー!!!」チャキッ
風見「包丁!?何するつもりだ…!」
勅使河原「うぉ!?何言ってるか分かんねぇけどやべぇ!」
恒一「っく…皆急いで廊下に出て!!!」ガタッ
キャ- ウワー
恒一「うぉおおお!やめろー!!!」
「酒鬼薔薇パンチ!」ズンッ
久保寺「▲▲▲!?……▲▲▲▲!!!」ブンッ
恒一「な、何!?」
千曳「やめたまえ久保寺先生!」
「ジンジョ・ウジャ・ナイネ!」ボッ
久保寺「▲▲ー!▲…▲▲▲……」ドサッ
千曳「なんとか間に合ったみたいだね」
恒一「ち、千曳先生…」
・
・
・
三神「久保寺先生は長期休暇に入るという事なので今日から私が担任を務めます」
勅使河原「マジで!?」
望月「Foooooooooooooo!!!」
-休日-
恒一「イノヤ?」
勅使河原『おう、災厄関係で大事な話があるから来て欲しいんだ』
『場所は分かるだろ?』
恒一「うん、望月のお姉さんのお店でしょ」
勅使河原『おう!んじゃ、11時に待ち合わせな』
恒一「分かった」
-イノヤ-
恒一「(勅使河原はまだ来てないか…)」
赤沢「あら、恒一君?」
恒一「あ、赤沢さん」
赤沢「どうしたの?誰か探してたみたいだけど」
恒一「うん、勅使河原に呼ばれてね」
赤沢「勅使河原?」
恒一「なんか大事な話があるとか」
赤沢「へぇ」
勅使河原「ういーっす」
「って、うお!?あ、赤沢…!?」
赤沢「随分驚いてくれるじゃない。失礼ね」
「私はここの常連なの」
勅使河原「お、おう…」
赤沢「で、大事な話って何なの?」
勅使河原「ぐぬぬ…おい望月!」
望月「あ、うん。実はね、ここのお店の常連さんに15年前の3組の人が居てね」
智香「続きは私が話すわ」
恒一「あ、智香さん」
智香「こんにちは」
「その常連さんっていうのが松永って人なんだけど」
「元3組だって事を最近知って、優矢に聞いた3組の災厄について少し聞いてみたの」
赤沢「災厄のこと話したの?」ギロッ
望月「ご、ごめん…」
智香「そしたら凄い勢いでお酒を飲み始めて」
「『あの年の災厄は合宿で俺が止めたんだ!俺はヒーローなんだ!』」
「『なのに…誰もその事知らなくて結局俺はモテなかった…』」
「『畜生…!チクショー!!!』って」
一同「……」
智香「どうやって止めたの?って聞いたんだけど、それは中々話そうとしなくて」
「もっとお酒飲ませて酔っ払わせれば…と思って沢山お酒を飲ませたわ」
「そしたら『止める方法は教室に隠しといたから勝手に探せ!畜生!』」
「って言ったの」
恒一「教室か…」
赤沢「15年前というと旧校舎の方ね」
勅使河原「よし!今度皆で探しにいこう!」
「明後日なんてどうだ?」
望月「いいんじゃないかな」
恒一「分かったよ」
赤沢「ったく、なんでアンタが仕切ってんのよ」
-翌日-
勅使河原「おっす!」
恒一「やぁ」
望月「…やっぱり赤沢さんに悪いんじゃないかな」
勅使河原「いいのいいの!アイツが居ると碌な事にならないだろうし」
綾野「そんでさー、災厄の事知った親が引っ越そうとか言い出したんだけど~」
「こういっちゃんの事話したらさ~」
小椋「はいはい、良かったわね」
恒一「あれ、綾野さんに小椋さん?」
綾野「あ!こういっちゃん達どうしたの?」
綾野さん生き残れ
勅使河原「げ…演劇部って事は…」
赤沢「どういう事かしら…勅使河原?」ゴゴゴゴゴ
勅使河原「ひぃ!」
赤沢「アナタ達、私を騙したわね?」
望月「ご、ごめん…」
小椋「え?どういう事?」
赤沢「実はね、災厄を止める方法が旧校舎の3組にあるかもしれないの」
「だからそれを明日探す予定だったのよ」
「なんならアナタ達も一緒に来る?」
勅使河原「(おいおい、危ないかもしれないってのに誘うかよ普通…)」
綾野「行く行く~!」
恒一「で、でも危ないよ?綾野さん」
綾野「大丈夫大丈夫!いざって時はこういっちゃんが守ってくれるもん!」
小椋「あたしはパス…」
赤沢「あら、そう?」
「それじゃあ早速行きましょうか」
勅使河原「…はぁ」
-旧校舎・3組の教室-
恒一「うわっ、随分散らかってるね」
望月「凄い埃…」
勅使河原「足の踏み場もありゃしねぇ」
赤沢「ゴチャゴチャ言ってないで探すわよ!」
綾野「うへぇ、ちょっと窓開けて空気入れ換えようよ」ガチャガチャ
ガラスの破片「落ちますよ、お嬢さん」ピシッ
恒一「おっと」グイッ
ガラスの破片「」パリン
綾野「うわぁ!」
恒一「危ないじゃないか、綾野さん」
綾野「ごめんごめん」
・
・
・
赤沢「中々見つからないわね」
床「痛っ」バキン
赤沢「きゃっ!?」ドンッ
ロッカー「うおっ!何だ何だ!」グラッ
勅使河原「え?」
ロッカー「」ガシャーン
望月「勅使河原君!?」
勅使河原「うぉおおお!あっぶねー!」
恒一「無事みたいだね」
勅使河原「おい赤沢!俺殺すつもりかよ!」
赤沢「う、うるさいわね!まさか床が抜けるなんて思わなかったのよ!」
綾野「それにしても見つからないね~」
望月「あと探してないのは…掃除用具入れ!」
恒一「どれどれ…あ、天板に何かくっ付いてる!」ビリビリ
勅使河原「えーと、『災厄の止め方』…ビンゴだ!」
赤沢「カセットテープか…」
綾野「放送室なら再生できるんじゃない?」
勅使河原「よし!んじゃ行ってみるか!」
-放送室-
望月「それじゃあ再生するよ」
一同「……」ゴクリ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
松永『えー、今から災厄の止め方を言う…』
『死者を死に還せ!…以上だ、畜生!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この松永さんは短気だったようだ
恒一「死者を…」
綾野「死に還せ…?」
勅使河原「おいおい、死者なんてどうやって見分けるんだよ」
赤沢「方法が分かってもこれじゃあどうしようも無いじゃない…」
望月「そういえば合宿で止めたって言ってたよね?」
「合宿に死者を見分ける手がかりがあるんじゃないかな…?」
勅使河原「うーん」
赤沢「まぁ可能性はあるわね。三神先生に相談しておきましょう」
-小椋さんの家-
敦志「……」カタカタッ ターンッ
重機「お邪魔しまーす」ドガーン
敦志「え…」グチャッ
-8月-
三神「合宿に行く事になりました」
「災厄に関するとても重要な行事になるかもしれません」
「出来る限り参加するように」
「何か質問はありますか?」
勅使河原「はいはーい!バナナはおやつに入りますか?」
三神「入りません」
川堀「先生ー!バナナはケツに入りますか?」
三神「知りません」
猿田「ウキー!ウキキウッキキ?」
三神「何を言ってるのか分かりません」
小椋「……」
綾野「(由美、やっぱり元気無いな…)」
風見「▼かり▼▼りゆ▼▼ゆ▼▼▼か▼」ブツブツ
勅使河原「(風見…こんなに変わり果てちまって…)」
-合宿当日-
恒一「結構参加する人多かったね」
綾野「三神先生が重要な行事だって言ってたしね~」
三神「はいはい皆並んで。集合写真撮るわよー」
・
・
・
-夕食-
勅使河原「うんめぇー!」
望月「もう少し静かに食べなよ」
綾野「私これ食べられない…」
恒一「仕方ないなぁ」パクッ
赤沢「あの、先生。皆に話があるんですけど少しいいですか?」
三神「ええ、どうぞ」
赤沢「4月から不幸な事故が続き大変な中、この合宿に参加していただきありがとうございます」
「対策係を代表して、いくつかの不手際があった事をこの場を借りて謝罪します」
勅使河原「おいおい、不手際って言うか目立ったこと何もやってないじゃねーか!」
猿田「そうだぞな!そうだぞな!」
風見「▼▼▼、▼▼▼▼▼!」
一同「むーのーう!むーのーう!むーのーう!」
赤沢「うぅ…」ポロポロ
和久井「ぐっ!」ガシャン
風見「▼▼▼▼!?」
千曳「大丈夫かね!?」
三神「彼は喘息持ちで…」
千曳「薬は…切れているのか」
「電話で救急車を…繋がらない」
「誰か電話が繋がる者は居るかね!?」
峯子「あのぉ…実は昨日から繋がらなくて…」
千曳「むぅ…では私の車で病院まで運ぼう」
「三神先生、あとは頼みます」
三神「はい…」
-榊原・望月部屋-
恒一「和久井君、心配だね…」
望月「うん…」
ドンドンドン!
勅使河原「俺、やっちまったかもしれねぇ!」バンッ
恒一「えっ、何を!?」
勅使河原「なぁ、二人とも風見って知ってるか?
望月「もちろん知ってるよ」
勅使河原「クソ…俺、風見殺しちまった…」
恒一「な、なんで!?」
勅使河原「風見によ…昔のこと覚えてるかって聞いてみたんだ」
「小5の合宿の時に女子風呂覗いた時のこととか色々と…」
「でもアイツ、『▼』としか言わねぇんだ…それで俺は風見が死者なんじゃないかって」
恒一「そんな…」
勅使河原「喧嘩しているうちに…気が付いたらベランダから落ちちまって…」
望月「…でも2階くらいなら死ぬとは限らないんじゃない?」
勅使河原「そ、そうか…!」
恒一「よし、じゃあ下に降りて風見君を探そう」
-1階-
勅使河原「風見…無事で居てくれ…」
恒一「ん?食堂の扉が少し開いてる」
望月「どうしたの?榊原君」
恒一「ああ、ちょっと…」
ガシッ
恒一「うわっ!?」
前島「うぅ…食堂で管理人さんが……」
恒一「前島君…!?血だらけじゃないか!」
望月「食堂に管理人…?」ソー
謙作「」
望月「うわっ!管理人さんが死んでる…しかも食堂に火がついてるよ!」バタン
恒一「そんな!?」
「っく…とにかく前島君を」
勅使河原「うお!?どうしたんだ前島!」
望月「勅使河原君、風見君は?」
勅使河原「それが…見当たらねぇんだ…」
恒一「って事は風見君は生きていて別の場所に既に移動したってことか…」
「とりあえず前島君を安全な所にお願い、勅使河原」
「僕達は火事の事を皆に知らせてくる!」
勅使河原「お、おう」
綾野「こういっちゃん…?どうしたの?」
恒一「綾野さん!食堂に火がついてるんだ!」
綾野「え!?火事!?」
恒一「うん!」
「とりあえず綾野さんは僕に付いてきて!」
「望月はそっちの部屋からお願い!」
望月「う、うん!」
・
・
・
恒一「ふぅ…一通り終わりかな」
綾野「こういっちゃん、私達も早く逃げないと…」
恒一「そうだね。望月達はどうしてるんだろ?」
猿田「火事らしいぞな」
王子「火は見えないね」
猿田「本当に火事なのかぞな?」
王子「ん、何か食堂の方が焦げ臭い?」ガチャッ
火「ちょ、刺激すんなって!」ドガーン!
王子「」プスプス
猿田「王子ー!」
綾野「何!?今の音…」
恒一「たぶん食堂で爆発が起きたんだ!」
「急ごう!」
ピンポンパンポーン
中尾『えーこちら中尾順太、中尾順太でございます』
『今から言うことはとても重要なことです』
『良く聞いて下さい』
『……リア充を殺せ!!!榊原恒一を殺せ!!!』
『(ぐへへ…赤沢さんを誑かすのが悪いんだぜ榊原!)』
ブツッ
恒一「な、なんだ今の放送!?」
有田「何だろう今の?」
柿沼「さぁ?馬鹿な中尾の嫉妬じゃないの?」
「そんなことより火事らしいし早く外に出ましょ」
望月「三神先生どこですかー?」バタバタ
「ここか!」ガチャッ
峯子「●●●●…」
望月「ひぃ!?」
峯子「●●●●●●ー!!!」ブンッ
望月「う、うわああああ!」
ガキィン!
峯子「●●●●…?」
望月「…て、勅使河原…?」
勅使河原「へへっ!間に合ったみたいだな」
峯子「●●●●!!!」
勅使河原「望月…ここは俺に任せろ!」ドンッ
恒一「と、とにかく逃げよう!綾野さん」
綾野「う、うん!」
中尾「おーっと、逃がさないぜ榊原!」
辻井「リア充死ね…リア充死ね…」ブツブツ
川堀「掘らせろー!」
風見「▼▼▼…▼▼、▼▼▼▼!!!」
恒一「中尾君…!それに辻井君に川堀君に…風見君まで!?」
中尾「へへへ…逃げ場はねーぜ榊原!死ねー!」
柱「ちょっと倒れまーす」グラッ
中尾「へ?」
柱「」ドッシーン
中尾・辻村・川堀・風見「」グシャッ
恒一「た、助かった…?」
怜子「あ~れれ~?恒一君~?」ヒック
恒一「怜子さん!?」
綾野「三神先生!」
怜子「ほ~ら~恒一君も~早く逃げないと~ダメだぞ~」ヒック
恒一「怜子さん!ビール飲んじゃダメだってあれほど言ったじゃないですか!」
怜子「えへへ~」ヒック
恒一「ほら、怜子さんも早く逃げましょう!」グイッ
怜子「……」
恒一「怜子さん…?」
怜子「恒一君…私ね、思い出したの」
「自分が2年前に死んだこと」
恒一「…え?な、何を言ってるんですか…?」
怜子「私が…今年の死者だったのよ」
「どおりで始業式の日、職人室の机が一つ足りないわけだわ…」
恒一「そ、そんな…」
怜子「私、死のうと思うの」チャキッ
恒一「れ、怜子さん!」
怜子「可愛い甥が助かるなら死ぬのも本望よ…」
「それにね私、恒一君のこと実の子のように感じてたの…」
「この4ヶ月…とても幸せだったわ、ありがとう恒一君…」グサッ
恒一「そんな…怜子さん…」ポロポロ
怜子「」
恒一「怜子さん…怜子さーん!!!」
「…うっ!?」ドサッ
綾野「こ、こういっちゃん!?」
赤沢「あれ?ここどこ?恒一君どこに居るの?」ウロウロ
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-三神家之墓-
恒一「やっぱり皆、忘れちゃったみたいです…怜子さん」
綾野「私達しか…覚えてないんだよね。三神先生のこと」
「…そういえば胸はもう大丈夫なの?」
恒一「うん、何とか。あのタイミングで気胸が再発するなんてね…」
綾野「私、こういっちゃんまで死んじゃうんじゃないかって…うぅ」ギュッ
恒一「大丈夫だよ綾野さん。もう…災厄は終わったんだから」
綾野「うん、そうだね。…終わったんだよね」
恒一「さぁ、帰ろうか」
「あ、そうだ綾野さん…いや、彩!」
綾野「は、はい!」
ああ、酔っぱらって思い出す展開にしたのか
恒一「『ポチョムキン』って語感がいいよね」
綾野「うん!」
『俺達と同じく3組の災厄に苦しめられるであろう後輩達へ』
『災厄を止める方法はただ一つ、死者を死に還すことだ』
『そして死者を見つけるためには…死者を酒で酔わせろ』
『自分が死んだことを思い出させるんだ』
-終-
昨日昼寝してから『ポチョムキン』が頭から離れなくなったからテキトーに書き溜めて投下してみた
着地点分からないわ…
おやすみ
合宿こなかった
たぶん引きこもった
とりあえず乙
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