橘純一「もっとみんなと、イチャイチャしようよ+!」(370)

【森島 はるか】

森島「ねえ、橘君」

純一「……ん? はい、どうかしましたか?」

森島「うーんっとねぇ~……ちょっといいかしら?」じぃー

純一「は、はい…?」

純一(な、なんだなんだ? 先輩、僕の顔をずっと見つめて……ハッ!?
   まさか先輩っ……そんな、こんな昼間っから駄目ですよ……っ!)ドキドキ…!

森島「………」すすっ…

純一「も、森島先輩っ……?」

純一(か、顔が近いっ…! やっぱりそうだ! これは、これはっ……!)ぷるぷるっ…!

森島「えーいっ!」ぷちっ

純一「優しくお願いしまっ───……あたぁっ!?」

森島「んー……おっ、やっぱりそう! すっごく長い白髪を見つけたよ!」ふりふり

純一「あたた……え? あ、白髪が……なるほど…ありがとうございます森島先輩……」

森島「気にしないでいいわよー! ……でも白髪ってこんなに長く伸びるものなのねぇ……ふんふん」

純一(なんだ、期待して損したよ……いや! でも、あの至近距離で先輩の顔を見れたんだ!
   それだけで……その、彼氏的なことでは十分幸せだよね! そうだよね!)

森島「一見、白いってだけで別に普通の髪と一緒よねぇ~」まじまじ…

純一「……あ、あの、先輩? そんなに僕の白髪をまじまじと見つめるのは…」

森島「え? だめなの?」

純一「駄目じゃないですけど、ちょっと恥ずかしいというか……その…」もじもじ…

森島「そうなの? ふーん、私は別になんにも思わないけどなぁ~」くいくいっ

純一「…………っ」ぴくっ

純一(あれ? なんだこの、少しずつ溢れ出る感情は……?
   先輩が僕の白髪を指先で弄ぶ姿に……なにか、不思議な猛りを感じ始めているのか…?)ドキドキ…

純一(ま、まさかっ! 僕は確かに変態紳士として曲がりなく謳歌する者だと自負しているつもりだけど……
   そこまでのレベルにまで達しているとは到底思って……)

森島「あ、切れちゃった」ぶちっ!

純一「っ……」ドキン!

純一「!?………!?」ドキドキ…

純一(な、なんだっ…? 今の心臓の高鳴りは…っ?
   びっくりした、本当にびっくりした……先輩が僕の白髪を引きちぎった瞬間……!)

純一(───とっても、興奮……しちゃったかもしれない…っ!)

森島「?」

純一(これは……これはおかしいこと、だよねっ? 違うよねっ?
   変態紳士とか、そういったことで説明できるほどのことじゃないよねこれって!)

森島「……橘くん?」

純一(ただ単に先輩が白髪をちぎったことに、ちょっと驚いただけだよこれって!
   ば、馬鹿だなぁ……そんなこと、そんなことありえるはずがないのに────)

森島「たちばなくーん! どうかしちゃったの? 具合でも悪いのかなー?」ぱらっ…

純一「!?」ドキン!!

純一(せ、先輩がっ……! 千切った僕の白髪を無造作に地面にす、捨てたぁっ!)ドキドキドキ…!

純一(す、凄い…! なんだこれ、ものすごく僕は……その行為がとても……!)

純一(こ、興奮しているのかもしれない……!)

森島「うん? わお! 橘君……顔真っ赤!」

純一「……えっ? あっ、え、か、顔真っ赤ですか……?」ドキドキ…

森島「うんうん、すっごーく顔が真っ赤よ? やっぱり風邪とか引いちゃったのかしら……んー、どれどれ」ぴとっ

純一「も、森島先輩っ…?」

森島「あ、ほら動かないのっ。こうやっておでこ同士をくっつけあってね?
   体温を測ったりするんだけど……あ、やっぱり顔が熱い、かも…? あれ?」

純一「………?」

純一(あ、あれ? 何時もだと僕、こんな事してもらったら嬉しくて熱が上がって誤解されることが多いのに……)

純一「………っ」

純一(───まさか、僕……嬉しくなってない? 先輩とおでこをくっつけあってるのに、こうやってイチャイチャできて
   いるのに……あんまり興奮してないとでもいうのか…っ?)

純一(馬鹿な! あり得るわけがない! ……だけど、現実は僕の興奮が下がりつつある、のかもしれない)

森島「あれれ? おかしいなぁー……確かに熱っぽかったのに、今は大分よくなってるみたいよ橘く───」すっ…

ぶちっ

純一「っっ!?」びくん!

森島「あ、ごめんなさいっ! おでこ近づけたときに、橘君の髪の毛を一緒につかんでたみたいで……だ、大丈夫かな?」

純一「……えっ? あ、はい大丈夫です!」

森島「そ、そお? まあ大丈夫よね! まだまだ若いし、そんなこと気にしなくていいお年頃だもの!」

純一「え? あ、あー……なるほど、大丈夫ですよ!」

純一「うん……」

純一(……今の髪を引きちぎられたことは、別に興奮しなかったな僕…いや! 当たり前だよ!
   まあ、それに、さっきも白髪を引きちぎられたことは別にどうだって思わなかったしね…)

純一「……ん?」じっ

森島「とりあえず、天然ものだし自然に吸収されることを願って……ぽいっと」ぱらっ…

純一「っ!?」ドッキン!!

純一(き、きたーーーー!! こ、これだよ! この言葉に出いない溢れ出る猛りっ!!)

純一(なんだなんだ!? どうしてこうも僕、嬉しいんだろう!?
   ……え? もしかして…僕、こうやって僕の一部を蔑にされることに……)

純一(興奮するのだろう、か……?)

純一「…………」

純一(……大丈夫かな、僕。これってちょっと流石に頭おかしいのかもしれない…そんな気がする)

森島「ふぅー、うん、オッケー! 
   ごめんなさい、橘君……さっきの痛かったよね? 赤くなってない?」

純一「だ、大丈夫です! そのっ……ハァハァ…せ、先輩!」

森島「うん? なにかな?」

純一「そ、そのですねっ……ハァ…ハァ…せ、先輩もっと…!」

森島「もっと?」

純一「もっと……僕のこと、をですねっ……!」ドキドキ…!

森島「キミのことを?」

純一「………ぐっ!」ぎりっ…

森島「??」

純一「───罵ってほしいです! 先輩!」

森島「え?」

純一(だぁああああー!? 何言っているんだ僕はァー!)

純一(だがしかし! 僕は耐えきったのだ!
   あのままであったのなら僕は、もっと酷いことを口走っていたはずだから!)

純一(こ、これが僕が我慢の限界のライン……だったんだ。
   流石にあれやこれを言っていたのなら僕を飼いならす超人の森島先輩でさえ……ドン引きだっただろう)

純一(───罵ってほしい、これが僕が口に出せた最上級の上品な言葉だったんだ。
   くそっ、恐ろしいな僕の紳士的な向上心は……果ては無いのかもしれないよ……)

森島「………」ポク…ポク…

純一(……あ! 先輩、森島先輩が悩んでらっしゃる! 
   いやこれは、僕が言った言葉をゆっくり解釈しているのかもしれない……ああ、どうか先輩、無事に受け取ってください…!)

純一(確かに堪え切れずに言った言葉ですが! 只のギャグとして受取ってくれて構いませんから! お願いします! 先輩!)

森島「───………なるほど、ね」チーン

森島「うん、なるほど。君が言ったことはキチンと私に伝わったわ!」

純一「あ、ありがとうございます!」

純一(伝わったんだ!?)

森島「どういたしまして! ……でもね、橘くん。私は君の願いを叶えることは無理かもしれないわ…」

純一「えっ…?」

純一(どうして悲しがっているんだ僕は! これでいいんだよ!)

森島「私はね、橘君……キミと付き合ってから色々なことをやってきたつもり」

純一「はい、そうですね……女装とか、女装とか…」

森島「ふふっ! それでね? キミと一緒にやってきたことはみーんな楽しくって、
   私の中で一生の思い出として残り続けると思うの!」

純一「……ありがとうございます、先輩」

森島「ううん、こっちこそお礼をいいたいぐらいよ? だから橘君はとっても素敵な……ご、ごほんっ。
   わ、わたしの彼氏なんだからねっ…?」

純一「は、はいっ……!」

森島「ッ……だ、だからね! そんな、素敵な私の彼氏は……どぉーんなに頑張っても!」

森島「キミを悪く言う言葉を、思いつくことが出来ないのっ」びしっ

純一「……僕の悪い部分が、思いつかないって事ですか?」

森島「そ、そうなのっ! 君はとっても……か、かっこよくて! 年下なのに頼りがいがあって……
   そんな君と一緒にいると、私はいっつも……ドキドキしっぱなしだから……うん、言えないの!」

純一「森島先輩……」

森島「えへへ……うん、だからね。キミを罵ることなんて私には出来ない。
   どんなに橘君が望んでも私はそれに答えることは出来やしないの」

森島「私には……君が欠点のないべリグーな男の子って思ってるから、そんなこと言えないわ。
   ……でも、ちょっとだけエッチなのはどうかなーって思うけど……」

純一「あ、ごめんなさい……」しゅん…

森島「あ、ううん! 別に気にしなくていいからね? ……だって、私は…その…」もじもじ…

純一「え……?」

森島「その、ね? そんなところも………すき、だって思ってるから……気にしちゃダメ、よ?」

純一「そんな所もって……あ…」

森島「あ、ちょ…違うんだからねっ! ただ、好きになった君が変態さんだっただけで…!
   えっちなことをするのが好きってわけじゃ…っ」

純一「えっ、あっ、はいっ! わ、わかってます! 大丈夫です!」

森島「……むー、絶対にそう思ってたさっき!」

純一「お、思ってません! 命の誓ってそう言いきれます!」

森島「……本当かなぁー」じぃー

純一「あ、あはは……」

純一「あはは……はは」

純一(先輩、こんなにも僕のことを思っててくれたんだな……僕なんか白髪で興奮していたド変態なのに…)

純一「………先輩」

森島「むむむ? なにかな?」

純一(顔真っ赤だな先輩……)

純一「あはは、その、ですね……あの、ちょっといいですか?」

森島「だめ」

純一「こっちもだめです」

森島「……反抗的だなぁー、もっと先輩を敬わなきゃダメだぞっ」ぴっ

純一「ええ、わかってます。でも…僕は森島先輩の彼氏なんで」

純一「先輩とは、対等のつもりですよ」すっ…ぎゅっ

森島「あっ……」ぴくんっ

純一「森島先輩、今日は手をつないで帰りましょう!」

森島「あ、うんっ……手をつなぐの久しぶりな感じがする、かも」

純一「あはは、そうですか? あ、そっか……いつもはもっと腕組んでべったりだから───」

森島「そ、そういうことをはっきりいわないっ」ぎゅう ぎりり!

純一「いたぁー!?」

森島「あ、ごめんなさいっ! 大丈夫だった橘くんっ?」

純一「………」

森島「た、橘君っ? 俯いてどうかしたのっ? 」

純一「………」

森島「橘君……?」すっ…

純一「えいっ」ちゅっ

森島「んっ!」

純一「───あははー! ひっかかりましたね、森島先輩~!」

森島「っ……ひ、卑怯よ橘君! そんな手を使ってくるなんてっ……」

純一「ええ、まぁ、先輩は帰宅路時はあんまり……キス、させてくれないんで」

純一「ちょっと痛がったふりをしてみました、どうでしたか?」

森島「………」

純一「あ、あれ? 先輩……?」

森島「……ふんっ!」ぷいっ

純一「え、あっ……先輩!」

森島「橘君なんか、もうしーらないっ」すたすた…

純一「そ、そんなぁ! せ、先輩! スミマセンでした!
   ちょ、ちょっと先輩を驚かせたくて僕……!」すたすたっ…

森島「………」ぴた

純一「先輩……ごめんなさい、どうしてもしたくて…そうですよね、ちゃんと
   確認取ってからとか、雰囲気を大切にしながらのほうが……」

森島「………」

純一「……すみませんでした! 許してください!」ばっ

森島「…顔、上げて橘君」

純一「はい……」

ちゅっ

純一「っ……はい?」

森島「…ん、ふふっ……お・か・え・し」

純一「…お、おかえし…ですか」

森島「だって癪じゃないっ、私だって橘君のこと騙して良い気になりたいもの!」フフン

純一(とは言ってるけど、顔は真っ赤で恥ずかしそうだ……可愛いな、森島先輩は)

純一「…見事に騙されました、流石です森島先輩」

森島「わお! でしょでしょ! うーん、これならもっと君の事をからかうことができそうねぇ~」

純一「え、だめですよ! 僕は先輩がすることだったらなんだって信用しちゃいますから!」

森島「そ、そうなの? ふーん、そうなんだ~……へ~…」

純一「な、なんですかその悪そうな顔は……」

森島「……それじゃー、橘君、ちょっといいかしら?」

純一「え? ……このタイミングでなにかするつもりですか?」

森島「うん、そうだよー?」

純一「でも、流石に僕でも騙されることは無いと思うんですけど……」

森島「この下僕~」

純一「───っっっっ!?」

純一「もり、しま……せんぱい?」ドキドキドキ…

森島「うん? どうかしたのカナ?」

純一「なんでっ、急にそんなこと…を?」

森島「んー……なんとなくだよ? ド変態な橘君!」

純一「っっっっっ!?」ドキン!!

森島「……あれれ~? 虫より価値が低い橘君、どうかしたのかな?」

純一「っっ……せんぱっ…やめて…!」ドキドキドキ

森島「やめて? おっかしいなぁ~……どうみても君の表情は嬉しそうに見えるよ?」

純一「そ、そんなワケない…でふ!」ぶるぶるっ…

森島「ねえねえ橘君……ちょっと靴の裏汚れちゃったから、綺麗にしてくれないかなぁ?」

純一「靴の裏は、汚くなるのが普通……」ぐぐっ…

森島「え、そうなの? でもでも、私は汚れてるって言ってるんだよ?」

純一「っ……森島先輩が、そう言っている…?」ドキドキ…!

森島「うん! そう! 私が汚れてるって言ったら?」

純一「………」ピシリッ

純一「───それは汚れています!」

森島「綺麗にしてって言われたら?」

純一「ハァハァ……な、舐め取ってでも綺麗にします!」

森島「ふーん、でも橘君の唾液の方が汚いから……イヤかも」

純一「えッ……!」

森島「フフッ、でもね? 橘君にはもっとふさわしいところがあるかもしれないなぁ~」

純一「ど、どんなところですかっ!? な、なんだってします! お願いします! やらせてください!」フンスフンス!

森島「えっとね~それじゃあ~」

純一「わ、わんっ!」

森島「……あ、そうだ! これなんかどうかなっ?」

純一「わん?!」

森島「私の家の、ボロ雑巾の役目とか!」

純一「オッフ!」

森島「むむむ? どうやら気にいってくれたようねっ」

純一「わん! ………え、あ、いや……御冗談ですよね…?」

森島「……」にこにこ

純一「わ、わん! 喜んでぇ!」

森島「うふふっ、それじゃ橘君! 私の家まで四足歩行で行くわよっ!」

純一「わんわーん!」だっ!

森島「───はぁーあ! すっごい楽しかったぁ!」テカテカ

純一「えっ………」ぴたっ…

森島「ほんっと橘君ってサイコーよね! わおわお!」パチパチパチ!

純一「あ、あのっ……これって…?」

森島「うん! ちょっと橘君を……騙してみた感じかなっ」

森島「さっきも言ったけどね、橘くんを罵るなんて私には無理だから……
   思っても無いことを言ってね、君を騙してみようかなーってやってみたら」

森島「ふふっ、意外とおおハマりだったわね! う~~~んっ!
   橘君も本当はわかってたくせに、ここまで乗ってくれるなんて……本当に流石よね!」

純一「は、はい………最初から、わかってましたよ僕には…ええ、本当に…」すっ…ぱっぱっぱ…

森島「前から思ってたけど、橘君の迫真の演技って目を見張るものがあるわよね!
   こう……なんていうのかしら、躊躇が無いというか、身体全体で感情を表しているというか……とにかく凄いわ!」

純一「あははっ……それは、そうですよ。僕はなんてたって紳士ですからね…」

森島「わぁお! なるほどねぇ~……恐るべし紳士ね! 私も見習なくちゃ!」

純一「…………」ほろり…

森島「うーん、でも……さっき自分でしておいてなんだけど。橘君…」

純一「……はい、なんでしょうか?」

森島「人にね、暴言を吐かれるとか……罵られるのってどんな気分なのかしら?」

純一「えっ?」

森島「そういうことで……嬉しがる人がいるってのは、まあ、知っているんだけどね。
   でもでも、私は普段の生活で暴言とか吐かれたとこ全くないから……ぜんぜんわからないの」

純一(まあ、森島先輩に対して暴言を吐く奴なんていないだろうなぁ……塚原先輩でさえ、文句止まりだし)

森島「だからね、橘君……ちょっとお願いがあるんだけど…いいかな?」

純一「はい? おねがい、ですか…?」

森島「そう! お願いなんだけど……ちょっと私を罵ってみてくれないかな?」

純一「………うんっ?」

森島「へ、変なことをいってるのはわかってるんだからねっ?
   でもね、今のうちに経験しておかなくちゃ駄目かなって……思ってるんだけど、いけないことかな?」

純一「あっ、いや! 別に悪くは無いと思いますけど……僕が先輩を罵るんですか?」

森島「そ、そうなのっ! やっぱりできないかな…?」ちらっ…

純一「う、うーん……ものすごく難しいですけど……はい、やってみます…! 先輩の頼みですし…!」

森島「わぁお! 流石ね橘君! じゃあ早速お願いするわ!」すっ

森島「わくわく…」

純一(わくわくしていらっしゃる……なんだろう、この人を罵る日が来るとは思いもしなかったよ…っ)

純一(く、くそっ……なにも思いつかないよ! でも、先輩の頼みだ…!ちゃんと考えて、きちんと期待にこたえなきゃ…!)ぐぐっ…

純一「──こ、この天然悪女!」びしっ

森島「………………」

純一「………………」

森島「……………」


森島「……………っっっ!」ぞくりっ

森島「っ……んっ……!」ぶるるっ…

純一「……えっと、森島先輩…?」

森島「………ぇ…ぁ…ん…?」

森島「ハッ!? えっ!? ち、違うのたちばなくっ…!」ぶんぶん!

純一「は、はあ……?」

森島「っ………あ、そのっ……えっと~……」

純一(ど、どうしたんだろう先輩……顔真っ赤にして…もしかしたら怒っちゃったのかな!?)

純一「せ、先輩! やっぱりっ───」

森島「た、橘くんっ…!」ばっ

純一「──え、はい…?」

森島「あのね…? その、なんというかな……えっと、あの……もう一回、お願いできるかな…?」もじもじ…ちらっ

純一「えっ? な、なにをですか?」

森島「……の、罵るの……もう一回だけ、言ってくれない…?」じぃー…

純一「……ええっ!? も、もう一回ですか!?」

森島「だ、ダメならいいのっ…! ただのお願いだから、ダメっていうのならそれで……」

純一「…………」

森島「……っ……っっ……」もじっ…

純一(…いや、そんな顔で言われちゃったら断りようが…)

純一「わ、わかりました! ではもう一回先輩を……罵りますよ!」

森島「ぐ、グーット! どんときていいわよっ…!」

純一「こ、このっ……男たらし!」

森島「んっ……!」ドキン!

純一「っ……」

純一(なんだこの反応は…っ? 先輩がすっごく、可愛く見える…!
    いや、普段から天使のように可憐な方だけど! 今日の森島先輩はなんだか……!)ドキドキ!

純一「………むっつりスケベ」ぼそっ

森島「ひっ…!」ぶるっ…

純一「……空気読めない…」

森島「っ……」びくんっ…

純一「こ、このラブリー!」

森島「ひゃぁうっ……!?」びくびくん!

森島&純一「はぁっ……はぁっ……!」

純一「せ、先輩っ……どうでしたか…?」

森島「…あ、うんっ…! ……その、ね……よかったよ、うん…!」

純一「そ、そうですか? 良かったとは……その、僕の罵り具合がってことです、よね…?」ドキドキ…

森島「………」もじっ…

純一「………」

森島「……うん、そうかな…うん……」ちらっ…

純一「……森島先輩、その…」

森島「なに、かな……?」ドキドキ…

純一「……まだ僕が、先輩を罵り足りないって言ったら……どう、しますか?」

森島「えっ……?」

純一「……どうしますか?」

森島「っ………そ、それは………そのっ……」

森島「っっ……」ぎゅっ…

森島「とっても、良いと思う……かな?」

純一「っっ……!」

森島「……橘くん…手、つないで良いですか…?」

純一(敬語!?)

純一「あ、うん……いいですよ…?」すっ…

森島「ありがと……」ぎゅ…

純一「………えっと、その……これから…どうしますか…?」

森島「………橘くんの好きな所で……いいよ?」ぎゅう…

純一「じゃ、じゃあ…僕の家とか……ちょうどいいかもしれませんね!」

森島「たちばなくんのお家……?」じっ…

純一「あっ…いや、ダメだったらいいんですけど…!」

森島「…………」ぶんぶん…

純一「……えっと、首を横に振るっていうことは…」

森島「……ふつつか者ですが、よろしくおねがいします…」

純一(なにを!? なにをよろしくされたの僕!?)

純一「じゃ、じゃあ……さっそくですが……行きましょう、か……」すたっ…

森島「………」ぴたっ

ぐいっ

純一「あ、あれ? ……先輩? どうかしましたか?」

森島「…………」じっ…

純一「……えっと、そんなに見つめられても……どうしたらいいのか、僕には…」

森島「…………」じっ…

純一「………っ」

純一(───わかる、わかってしまう! あの瞳は! あの訴えかけてくるあの瞳は!
   森島先輩の絶大的な魅力を至らしめている魔の瞳!)

純一(先輩が何を思い、何を欲し、何をするか。あの瞳によって全てを相手に分からせることが出来……
   ……そして魅了された相手は決して逃げることなどできない、魔の輪廻!!)

純一「……ごくり」

純一(───期待に、答えるしかない! 僕は……僕は森島先輩の彼女なんだ!
   橘純一、変態紳士の名をかけて……いざゆかん!)

純一「……こっちにこい、はるか。オレの家にいくぞ」

純一(はっずぅううううううう!!)

純一「じゃ、じゃあ……さっそくですが……行きましょう、か……」すたっ…

森島「………」ぴたっ

ぐいっ

純一「あ、あれ? ……先輩? どうかしましたか?」

森島「…………」じっ…

純一「……えっと、そんなに見つめられても……どうしたらいいのか、僕には…」

森島「…………」じっ…

純一「………っ」

純一(───わかる、わかってしまう! あの瞳は! あの訴えかけてくるあの瞳は!
   森島先輩の絶大的な魅力を至らしめている魔の瞳!)

純一(先輩が何を思い、何を欲し、何をするか。あの瞳によって全てを相手に分からせることが出来……
   ……そして魅了された相手は決して逃げることなどできない、魔の輪廻!!)

純一「……ごくり」

純一(───期待に、答えるしかない! 僕は……森島先輩は僕の彼女なんだ!
   橘純一、変態紳士の名をかけて……いざゆかん!)

純一「……こっちにこい、はるか。オレの家にいくぞ」

純一(はっずぅううううううう!!)

純一(これは恥ずかしいよ! オレとか言っちゃってるよ!
   なんだこれ……やってしまった、流石に森島先輩も引いて───)

森島「……キャー…」キュンキュンッ…

純一(あ、すっごい嬉しがってるっぽい! 見たことも無いよあの表情!)

森島「はいっ! たちばなくんっ……!」だだっ…ぎゅっ!

純一(ぬわぁー! や、やわらかっ……違う! こんな反応じゃ先輩を喜ばすことは出来やしない!)

純一「───これから、もっと可愛がってやるからな。あんまり離れんなよ」

森島「………」こくこくっ

純一「じゃあ行くぞ……」すたすた…

森島「はいっ!」

~~~

美也「……ん? あれ、にぃにだー」

七咲「あ、森島先輩もいるね」

中多「すっごく仲良さそう……あれ、橘先輩の手、森島先輩の胸に──」

塚原「───はい、そこまでよ」がばぁ!

美也&七咲&中多「きゃあー!?」

美也「ま、前が見えないよぉー!?」

七咲「こ、この声はっ……塚原先輩ですかっ!?」

中多(っっ……!? さっきのってやっぱり……っ! えっ? えっ? きゃぁー!!)

塚原「……ふぅ、突然ごめんなさい三人とも。ちょっと教育上に悪い光景が見えたから塞がせてもらったわ」

塚原(……まったく、あの二人は本当に人の目を考えないわね。
   橘君と付き合えば少しはしっかりすると思っていれば、ますます悪くなってるじゃないの…)

塚原(……まあ、お熱いことはいいことじゃない。でも、橘君……はるかの胸を…しながら歩くのはどうかと…
   …それにはるかも! どうして止めようとしないの!)

塚原「……はぁ、なんだか、お守りが増えたような気がしてならないわ……」

塚原「まだまだ、眼が離せないわね……あの二人」

ξ^o^ξおわり

響ちゃんの万能さは異常

次は七咲かなー

うんこいってきます

じゃあ安価っす
>>75

トイレ行ってきます故に遠目に

今回のスレは+と言うことで前回に書きました

純一「みんなと、イチャイチャしよう!」
純一「もっとみんなと、イチャイチャしよう!」
純一「色々みんなと、イチャイチャしよう!」

のお話の続きを書いています

+での書き済みのキャラ
裏表
ひびにゃん
麻耶ちゃん!
みゃー

です、それ以外ならオッケーで

ではでは

ちょっぴりおませでHな裡沙ちゃん

裡沙ちゃんかー
把握です

その次は梨穂子をかくよ
ちょいおまち

【上崎 裡沙】
純一「ん~……」

裡沙「うふふっ、もう純一くん……そんなにしたらくすぐったいよ」

純一「え? でも、裡沙の膝枕とっても気持ちがいいからさ……こうやって寝転がってると、どうもこう……」

裡沙「あっ……だめだってばっ、もう! 本当に純一くんは甘えん坊なんだから……」なでなで

純一「あはは」

裡沙「ふふっ……あ、純一くん……っ」

純一「うん? どうかしたの?」

裡沙「う、動いたんだよ…っ? お腹の中で、少しだけ…!」

純一「えっ!? 本当に!?」ばっ

裡沙「うんっ…! ほら、わかるかな……っ?」

純一「………あ、本当だ…動いてる…!」

裡沙「だよねだよねっ? 元気な子が、生まれてくるといいね~……」

純一「当たり前だよ! 僕と裡沙の子供だよっ? ……もう想像だにできなほどの元気な子が生まれるはずだよ!」

裡沙「うんっ! そうだよねっ!」

裡沙「……だって、純一くんとあたしの…愛の結晶なんだもん───」

裡沙「うへへ……じゅるるっ」

裡沙「…純一くんみたいな…かっこいい男の子がいいな………」

裡沙「あんっ……あ、純一くん、だめ…中には赤ちゃんがいるからまだ────」

じりぃぃいりりいいいいいいいいいいいいいい!!

裡沙「───はぅあっ!?」がばぁっ

じりりりりりりりっりりりいりりっりりりりい!!

裡沙「…………」ばんっ

裡沙「…………」

裡沙「………夢…」

裡沙「…………」ごしごし

裡沙「………うっ…うーーーんっ……」ぐいー…

裡沙「………っはぁ…」ぱさぁ…

裡沙「…………」

裡沙「はっ!?……もっかい寝れば、同じ夢見れるかも!」ばばっ

裡沙「はうッ!」ガン! (壁に頭をぶつけた音)

 おはようございます、みなさんはじめまして。
 あたしの名前は上崎裡沙なんです、よろしくおねがいします。

裡沙「ふんふーん……♪」さっささ…

 朝からとってもいい夢を見れてすごく機嫌がいいです。
 いつもこんな夢を見れたらいいなーなんて思ったりしてます。

裡沙「……よし」ぐっ

 ですが、夢じゃなくていずれ現実でも……なんて思ったりなんかして、きゃー! 

裡沙「きゃぁー! どうしようどうし、きゃうっ!?」ガン!

 いけないけない、いつもはこんなことはないんですけどね。
 今日は少しだけテンションが高くなってます、ごめんなさい。

裡沙「もぐもぐ……」

 朝は毎日ちゃんと食べてます。
 痩せすぎってよく友達から言われるけど、あんまり太らない体質でして。
 
裡沙「ごくごく……」

 そんなことをとあるクラスメイトに言ったら、筆舌に尽くしがたい顔をしてました。
 どうしたんだろう、なにか駄目なこと言ったかな…?

裡沙「いってきまーす」がちゃっ…

 いってきますの挨拶をすませて、あたしは学校へと向かいます。
 ですが結構、遅刻ギリギリでの登校です。

裡沙「…………」すたすた…

 家と学校はそんなに離れてはいません。むしろ近い方です。
 朝起きるのも苦手じゃないので、どうして? と思う方も多いと思います。

裡沙「……このへん、かなぁ…」きょろきょろ

 それはですね、とある人を待つためにこの時間に登校するんです。
 とある人、というのは……

「はぁっ…はぁっ…!」

裡沙(あ、きたっ……!)ささっ

 きました、あの人です。
 
純一「はぁっ…はぁっ…! や、やばい! また遅刻だよ…!」だっ…だっ…だっ…

裡沙(──きゃあ! きゃあああー!! た、たちっ…橘君っ!)はぁはぁ…

 前方の方から息を切らせて走ってくる男子生徒。
 そう、彼が橘純一……あたしの想い人です!

純一「はぁっ……はぁっ……ちょ、ちょっと休憩しよう……はぁっ…はぁっ…!」

裡沙(橘くんがっ…息を荒くしてるんだよ! う、うへへっ! すっごく色っぽいよねっ!)

 興奮が収まりません。もし手元にカメラがあったのなら、すぐにでも写真に納めてたでしょう。
 ですがそんなものはなくて、あたしは必死になって脳内hdに画像保存させます。

裡沙「はぁっ!はぁっ! …んくっ、はぁんっ…!」ドキドキ!

 もう幸せすぎて堪りません。橘くんのこの姿を見るために今日は、少し遅れての登校でした。
 調べによると昨晩の橘くんはお宝ビデオを鑑賞したために、遅刻の可能性があると断定してたんです。

裡沙(あ、ああっ~……もっとみてたいけど、あたしも遅刻寸前だよっ…急がなきゃ!)だだっ

 名残惜しいですが、橘くんを置いてあたしは学校へと向かいます。
 体力には何かと自信があるので、全速力で走っていきます。

裡沙「……ふぅ、着いた」

 モノの数分で校門前へと付きました。
 今だに登校している生徒の姿もちらほら見えます。

裡沙(……橘くんは、今日も遅刻かな)

 そう、今日も遅刻なんです。
 ことあるごとに時間ギリギリに登校することが最近多い橘君。

裡沙「…………」

 それはつまり、彼がお宝ビデオを見る回数が増えていることに繋がるんです。
 なぜでしょうか、確かに彼はお宝本を大多数を学校に隠すという強者ですけど。

裡沙「……溜まってるのかな」

 なんて思ったりしたりするけど、結局は現場を見ることは無いのでわからないです。
 彼は何を思い、そして何を考えそのようなことを続けるのでしょうか。

裡沙(ま、いずれ調べればいいよね!)すたすた…

 わからないのなら、調べればいい。
 それがあたしのモットーです。

~~~~

裡沙「………」

 授業は退屈です。もちろんそれは橘くんの姿を見ることができないからです。

裡沙(なにしてるのかな、橘君……ちゃんと起きて授業受けてるかな…)1

 常に橘くんの動向を観察しているあたしにとって、この時間は苦痛でしかありません。
 
裡沙 もんもんっ……!

 ですが、逆に言えば……色々と想像し放題なんですよねこれって。
 だからあたしは橘くんともし初デートに行くならどこに行くかと想像を膨らませます。

裡沙(まずはっ……映画とか見るんだよ! そしてそしてっ…その後はゲーセン、かな?
   ああいう所入ったこと無いから、橘君にリードしてもらって……えへへっ)にやにや

 こういった想像はとっても楽しいです。
 にやにやがとまりません。

黒沢「………?」

 隣席の子がすごい目で見てきますけど、今のあたしは気づいてないと思います。
 
裡沙(ああ、橘君っ! もう大好きだよぐへへ~……)

高橋「こら、上崎さん!」ぽん!

裡沙「ふぇっ!?」ばばっ

高橋「授業中に寝てはいけません、わかりましたか?」

裡沙「は、はい……すみませんでした…」シュン…

 こういったケースは、いつも反省してます。

裡沙「………」ぼぉー…

 お昼休みです。今は教室の中で友だちと一緒に御飯を食べてます。

裡沙「………」ぼぉー…

 ちょっと意外、と思ってる方がもしかしたらいるかもしれません。
 昼休みなら彼の元へと行き放題じゃないか、とか。

裡沙「もしゃもしゃ……」

 ですが、このタイミングで彼の尾行は危険なんです。
 それはなぜなのか、なんて言われちゃえばそうですね。

裡沙「……絢辻、詞…」ぎりっ…

 そうです、彼と一緒のクラスメイト。
 あの分厚い鉄面皮で覆った悪魔みたいな女が。

 彼と一緒に行動する事が多い昼休みは、危険なんですよ。

裡沙「じゅるっ……じゅるるるるるるッッ!」

梨穂子「あ、上崎さんそのジュース……」

裡沙「え? あ、ごめんなさっ……これ、桜井さんのやつだったよね…っ?」

梨穂子「い、いいんだよ! ダイエットだって思えば……思えば、ね…」ほろり…

裡沙(んきゃぁああ!!! たちばなくんが…走ってる走ってる!)

 午後の授業は合同体育です。
 他のクラスと一緒に授業受けるんです、中々楽しいですけど、嫌なこともあります。

絢辻「…………」

裡沙「っ……!」

 そうです、見たくない顔を見てしまうことですよね。
 できれば存在自体を消し去りたいのですが、そうも行きません。犯罪は流石にアウトだと思いますから。

裡沙(だけど、だけどねっ…! 
   女子の方の授業は……ドッチボール!! これはチャンスだよ裡沙!!)

 天はあたしに味方をしてくれたようです、これなら合法的に痛みつけることができるじゃないですか!

裡沙(今に見てなさい、絢辻詞……普段から橘くんにしていること、このあたしが仕返ししてあげるんだから…っ!)

 気合を入れ、闘魂注入。
 ぱんぱんと頬を叩き、いざコートの中へ。

棚町「……おっ? なんだか気合はいってる子がいるわよ恵子ぉ~」

田中「う、ううっ……」

棚町「なに怖がってんのよ! だーいじょうぶ、アタシがきちんと守ってあげるから~」

裡沙「いたい……」とぼとぼ…

 惨敗でした。これでもかってぐらいに負けてしまいました。

裡沙「うっ、うう~……」ぐすっ…

 あたし的には活躍したほうなんですが、どうも周りの動きがおかしくて。
 調子が狂わされ、上手く動くことができませんでした。

裡沙「……はぁ~…」

 しかも、ここぞというばかりに! 
 相手チームに渡ったボールを……絢辻詞がキャッチし!
 
裡沙「くっ、くううううう……っ!」ぎりっ…

 ……あたしを綺麗なフォーム……

裡沙「っっ……………はぁ…」とぼとぼ…

 悔しがっても、仕方がありません。
 こうなった結果があるのだから、あとからとやかく言ってもしょうがないです。

裡沙「………おでこ、怪我しちゃった」

 保健室にいって、バンソーコーをもらいにいこうとおもいます。

裡沙「……あれ? あの姿は…」  

ちょいご飯食ってうんこする

四十五分あたりでかえってくる
落ちたらそれまで

いまからかく

 保健室のドア付近で、見慣れすぎて興奮してしまうほどに見慣れた男らしい背中が見えました。
 どう見ても橘くんです、神様ありがとう!

裡沙「たちばなくんだっ……!」ささっ

 ……ここで安易に駆け寄ったりはしません、むしろ駆け寄る勇気がありません。
 橘くんもあたしのことを憶えているはずがありませんし。
 あたしの方もこのタイミングで思い出して欲しくもありません。

裡沙「………」じっ…

 静かに、気配を消し去り、いつも通りに壁と一体化を済ませます。
 そうなるとあたしの姿は誰にも発見されることはないんです、凄いでしょ?

裡沙「たちばなくんっ…たちばなくんっ」

 体育終わりの、汗で濡れた髪もとてもセクシーで、これはもう一週間は色々と困りません。

裡沙「はぁはぁ………ふぇ…?」

 すると、橘くんの影に隠れるようにしていた人が、廊下側へと出てきました。
 どうやら保健室に入ってたようです。

裡沙「あ、あれはっ……!」

 どうみても絢辻詞です、神様のばか!


裡沙「ぎりりっ……なんなのかなっ…いつもこうやってあたしと橘くんを邪魔してっ…!」

 あたしはそう言いつつも、少しづつ後ずさりをすませます。
 あの女、この距離からでも感づいて来る場合があるのです。恐ろしい事この上ないんです。

裡沙「仕方ないよっ……ここは、ひとまず───……え?」

 後ずさった足が、不意に止まりました。

裡沙「………泣いて、る…?」

 信じられない光景が、目の前に広がっていました。
 あの、絢辻詞が……静かに泣いていました。

裡沙「………泣くんだ、あんな人でも…」

 なんだかわからないけど、すこしだけ、ほんとうにすこしだけ。
 あの女が「人間味」をだしているところを見て、あたしは……

裡沙「──あっ!!あの女橘君に抱きついた!!! くにぃいいいいいいいいい!!!」ぎりりりり!!

 やっぱりそんなことは勘違いだったようです。

 放課後になると、橘くんの姿は見えなくなります。

裡沙「…………」

 それはどうしてか、なんて聞かれれば。
 それはあたしがあえて尾行をしないからです。

裡沙「屋上の風、やっぱ冷たいよ……」ぶゅううう……

 橘くんの尾行について。
 あたしはひとつの約束事を一人で決めていました。

裡沙(……頑張ってるのかな、橘君)

 それは橘くんが、あのトラウマを持ちつつも。
 恋愛という大きな壁に向かって立ち向かう姿を。

裡沙「…………」

 見たくはなかったからです。

裡沙「………どうして、頑張れるんだろう」

 あたしには、今の橘くんは理解できません。
 いや、理解したくないといったほうがいいのかも知れません。

裡沙「…………」

 約束事───それは、彼が頑張ってる姿を決して見ないこと。
 なぜか、なんて聞かれれば単純にそう……見たくないからです。

裡沙「…………」

 彼はあんな辛い思いを抱え、それなのにまた恋愛をしようと頑張っている。
 どうしてなんでしょうか、まったく理解不能なんです。

裡沙「だって、あたしは……貴方のことはなんだってわかってるから…」

 彼が経験した重いトラウマは、あたしにしか理解ができない。
 だからこそ同じ傷の痛みを知っているあたしは、彼の行動が理解できません。

裡沙「……あたししか、彼をわかってあげられないんだよ…橘君」

 それは現実味を全く帯びてはなく、あたしだけの妄言なのかもしれない。
 ……なんて誰かが言いたいのかも知れませんけど、そんなことはありません。

裡沙「…………」じっ…

 現実はそこまで甘くはない。
 彼がどれほどの奇跡を起こそうとも、どれほどの頑張りを見せようとも。
 
裡沙「貴方が経験したトラウマは……絶対に貴方を不幸にするんだよ」

 トラウマは、次のトラウマを生み出します。
 それを理解しているはずなのに、彼は次の恋愛へと踏み出した。

裡沙「…………」

 彼はまったく悪くはないんです。こうなった運命が悪いんです。
 ……そして、あたしが悪いんです。

裡沙「…………」

 屋上から見える、グラウンドの端っこ。
 木々に隠れて見えにくい場所ですが、上からは丸見え。

裡沙「…………」

 そして今、あたしの眼下ではひとつの恋愛が終りを迎えました。

裡沙「…………」

 走り去っていく女子生徒。
 黒い髪がはためき、なにやら顔を抑えている姿は泣いているのでしょうか。

裡沙「………橘くん」

 その後に残された、一人の男子生徒。
 項垂れ、頭を垂れ、そして今にも膝をついてしまいそうなぐらいに落ち込んだ。

 彼の姿でした。

裡沙「…………」

 あたしはその姿を見ながら、カバンからひとつの紙を取り出します。
 それはさんざん女の子の………橘君に近づき、怪しい関係を作ろうとした女の子たちの。

 そして橘くんの悪口を書いた紙切れでした。

裡沙「…………」

 大量に用意されたその紙は、あたしが三日三晩寝ずに作り上げた最高傑作。
 あたしが調査し、尾行し、時間を惜しまず作り上げたものでした。

裡沙「……橘君、ごめんね」

 その大量の紙の中で一枚を手に取り、あたしは空へと掲げます。
 絢辻詞の悪口が書かれた、その紙は。
 
裡沙「……………」

 その紙は、一枚も使われてはいません。

裡沙「……使えるわけ、ないんだよ」

 ───びりびりと、その一枚をやぶきます。
 風にのって、その千切れた紙は空へと浮かび、そして流れていきます。

裡沙「ごめんね………」

 あたしは、謝り続けました。
 ごめんなさい、本当にごめんなさい……何もかもを橘くんに打ち明けたくて。
 でも、それをしたらダメだってことはわかっていて。

裡沙「……そしてごめんなさい、絢辻さん」

 あたしは彼女のことは嫌いです。
 ほんとうに嫌いです、心の奥底からだいっきらいです。
 
裡沙「………」

 なにかと突っかかってきて、橘くんを虐めて、あたしの尾行を邪魔して。
 これほどまで人を嫌いになれるのかって思うぐらいに人を憎んだことは初めてで。

裡沙「……でも、貴方と橘くんが…」

 絶対にうまくいかないことを、わかってたのに。
 そのことを、彼のトラウマを、彼の悪い部分を。

裡沙「……きちんと言わなくて、ごめんなさい」

 ──風にのって流れていく、あたしの努力の結晶。
 あたしが書いた悪口は、けっして悪い方向に行くとは限らない。

 トラウマを抱えた彼は、決してそのトラウマを口にしない限り。
 あの人は、いつまでたっても恋愛は出来やしないと思いながら。

 あたしの邪魔は、彼と彼女にとってはいいハードルとなったはず。
 乗り越え、突き進み、その先に待っている答えに立ち向かえたはず。

裡沙「……あたしの邪魔は、ただのいい起爆剤だったはず」

 だけど、それをわかっていたからこそ。
 あたしは絢辻さんに強く尾行をしなかった。

裡沙「……嫌な女の子、だよね」

 眼下にみえる、彼の姿。
 薄暗くなっていくうちに、彼の姿はもう見えなくなるだろうと思います。

裡沙「……まだ、大丈夫だよ。橘君」

 貴方はまた、トラウマをおった。
 トラウマのせいでトラウマを負い、そして次へと進んでいくはずです。

裡沙「そんな馬鹿で、可愛い貴方を……あたしは好きになりました」

 どんなに傷つこうとも、先へと進む貴方。
 頑張り、頑張り続けてなおも答えを求めようとする貴方。

裡沙「……ずっとずっと、ずっと…」

 ……あたしは、そんな可愛い貴方を見続けます。

 あたしは、本当にわるい子です。
 彼が望むことならなんだってしようと、あの冬の公園で誓ったはずなのに。
 それでもあたしがすることは、彼を悲しませることばかり。

 近頃、そんなふうに思い始めたあたしは。
 そんな自分の過去をどうすることもできやしません。

 だったらどうすればいいのでしょう。
 あたしには、ひとつの名案がありました。

裡沙「…………」

 時間はギリギリ、遅刻間際。
 既にあたしの走りでも学校に付くことは叶わないと思います。

裡沙「……もうすぐ、かな」

 家は学校からそう遠くありません、むしろ近いです。
 朝は別に弱くはなくて、むしろ強い方だって自負しています。

裡沙「───あ、きた……」

 そしたらどうして?
 なんて疑問を持つ人がいるでしょうけど、あたしはとある人を待っているんです。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

裡沙「っ……っっ……!」

 その人は、とてもかっこよくて。
 その人は、とてもちから強くて。
 その人は、とてもお馬鹿さんで。

「んくっ…はぁはぁ……!」

 その人は、とても頑固者で。
 その人は、とても強がりで。
 その人は、とても淋しがり。

裡沙「………今だよ、裡沙っ…行くならいましかないんだよ…っ」

 あたしは、そんな貴方を好きだから。

裡沙「っ……にょし! あ、かんじゃっ──ひゃうっ!?」バターン!

 だからこそ、あたしも頑張りたいって思い始めたんです。

「おわっ!? だ、大丈夫……っ?」

裡沙「いひゃいっ……」

「た、立てるかな…? すっごい勢いで転んでたけど…?」

裡沙「え? あ、ははははいっ…! だ、だだだっだだだだ………」

「……えっと、本当に大丈夫?」

裡沙「んくっ………は、はい! 大丈夫なんだよ!」ばっ

「お、おうっ! そっか……それなら安心だよ!」

 あたしは、そろそろ頑張らないといけないから。
 貴方の頑張りに合わせて、あたしも頑張らないといけないから。

裡沙「えっとその、ね……貴方も遅刻寸前なのかなっ…?」

「……。あ!!そうだった!! 遅刻だよ遅刻! 急ごうよ!」

 今もなお、三年になっても頑張り続けてる貴方に。あたしは最後まで、付き合い続けます。

裡沙「は、はい……!」

「う、うん! あ、そういえば……君の顔、けっこう見るんだけど名前を聞いてなかったよね…っ?」 

裡沙「え、えええー!? けっこう……っ!?」

「え、うん……なんだか最近、よく見るんだけど……名前、聞いてもいいかな?」

裡沙「あ、うんっ! あたしの名前は……上崎 裡沙っていいます…!」

「上崎さんか……なるほどね、ああ、それじゃあ僕の名前も言っておこうか!」

純一「僕の名前は橘純一! よろしくねっ」

裡沙「………はい!」

 ───この彼の笑顔を、一生壊させないように。あたしは、これからの生き方を変えていく。

イチャイチャ…? うん、裡沙ちゃん終わりなんだ

このおはなしの後に、前回の裡沙編に入るとお考えください

次はりほっちでごわす!うんこ!

いまからかくです

【桜井 梨穂子】

梨穂子「……」ぐぅ~

純一「……もしゃもしゃ」

梨穂子「……」ぐぅ~~

純一「もぐ……」

梨穂子「……」ぐぅうう~ぐう…

純一「ごくごく……」

梨穂子「……」ぐううううううぅうう~~

純一「もぐ……ごくん」

梨穂子「……」ぐうううううううううううううううううううううううう

純一「………」すっ…

梨穂子「!」パァァァアアア!

純一「……ぱくっ…もぐもぐ…」

梨穂子「……」ずーん

純一「もぐ……なあ、梨穂子。あのさ…」

梨穂子「………」ぐぅううううう……

純一「そろそろ、やめたほうが見のためじゃないか……?」

梨穂子「………」ぐううううううっ! ぐぐ!ぐう!

純一「もしゃもしゃ……あの、腹の音で会話してる感じになってるしさ、そういうのって女の子的に…」

梨穂子「………」ぐぅ~…

純一(か、会話してんのかこれ! もしかして……ッ!?)

純一「……り、梨穂子?」

梨穂子「………」ぐぅ?

純一「ごくり……うそ、だろ?」

梨穂子「………」ぐっぐうっ! ぐぅうー!

純一「……ごめん、ちょっと可愛いかもって思ったけど、そうでもないかも」

梨穂子「ええぇー! どうしてぇ~!?」

純一「いや、ちょっと……腹踊りみたいな印象を受けて、なんかこう……萎えた?」

梨穂子「ひっ…ひっどぉ~い! ちょっと期待した感じで言ったくせに~~~!!」

純一「いやいや……凄いって思うよ? うん……大丈夫大丈夫…梨穂子は可愛いからいいよ、大丈夫…」

梨穂子「ちゃんと目を見ていってよぉ~! ……女の子に、可愛いって言う時はきちんと目を見て言わなきゃダメなんだよっ?」

純一「リホコカワイイ」

梨穂子「だーめ! そんなんじゃ、だ~~めっ!」

純一「リホコノオナカカワイイ」

梨穂子「むぃいいいいいい!! ほんっと純一ってばイジワルだよ~~!!」

純一「イジワルなんかじゃないよ、幼馴染としての愛情だよ」

梨穂子「デマカセばっかり! そうやってす~~~ぐ逃げるんだから!」

純一「じゅるじゅる……」

梨穂子「もうっ…! さっきも食べさせてくれるのかな~、なんて思ってればやっぱり食べさせてくれなかったしっ」

純一「あれはまぁ、イジワルだったけどさ……いやいや、お前だってダイエット中だろ?」

梨穂子「そ、そうだけど……でも! 可愛い幼なじみがお腹すきすぎて「おなかすいたよー!」ってお腹鳴らしてるんだよ?
    そこは純一、ドンッと男らしくやんなきゃだめだよ~」

純一「いやだ、なぜか、それはこれは僕の昼飯だから」

梨穂子「……ふんだっ」

純一「まぁ、それでもさ……ちょっとは可哀想だなって思ってたりするよ。多分だけど」

梨穂子「そこは自信を持って行って欲しかったりするんだけど~……?」

純一「いやいや、梨穂子。それは流石に高望みしすぎじゃないか?」

梨穂子「えっ……どういうこと?」

純一「僕が梨穂子のこと、可哀想だなって思うことについて」

梨穂子「……えっ? 純一は…可哀想って思ってくれたり、しないの…?」

純一「うん、しない」

梨穂子「…どうして?」

純一「このダイエット企画が六十七回目だから」

梨穂子「………うん、だよね。っはぁ~…」

純一「流石にもう、可哀想とかそんなこと思う気力もわかないよ」

梨穂子「ううう……どうしてこんなことになっちゃったんだろ……夏までには痩せたいのにぃ~」

純一「ああ、あのビキニ着るってやつ? ムリムリ! 梨穂子ムリムリ!」

梨穂子「ちょ、ちょっと! そんな断言しなくてもいいでしょ~!」

純一「んなこといったてさ、梨穂子はまあ……がんばることは大切だってことを皆に教えるよね、報われないけど」

梨穂子「報われないなら教えきれてないよぉ!」

純一「……はぁ~、まあ、あえて今まで聞かないでおいたけどさ梨穂子」

梨穂子「えっ? なに?」

純一「どうしてそこまで……痩せようとするんだ?」

梨穂子「どうしてって……それはまあ、痩せたほうがね、着たい服とか着れるとか~…」

純一「うんうん」

梨穂子「あとはさっきもいったけどね、ビキニ~とか可愛く着れたりとか~……」

純一「そうだね、痩せるって言えば定番な答えだよ」

梨穂子「あとはね、駅前のケーキ屋さんに売ってるシュークリームをいっぱい食べれたりとか~……」

純一「うんう……うん?」

梨穂子「あとはあとは! おなかい~~~っぱいリンゴパイを頬張ってぇ~~~……えへへ~…」ジュルル

純一「おい」

純一「ダメじゃないか梨穂子! まったくもってリバウンドどころの話じゃないよ!」

梨穂子「う、うぇっ!? そ、そうかなっ…?」

純一(無自覚だと……っ? そもそも梨穂子の発想自体が食に侵されすぎてる…!グルメ細胞でも有るのかコイツには…)

純一「───仕方ない、どうやら……ここにきて僕が立ち上がらなければならないようだな」がたっ…

梨穂子「えっ…?」

純一「驚く無かれ、この橘純一……実はこのかた太ったことがない!」

梨穂子「う、うん…幼馴染だからしってるよ?」

純一「ああ、実におかしな話なんだよこれが……ね」

梨穂子「?」

純一「お正月」

梨穂子「おもち!」

純一「…誕生日、七五三、ひな祭り、春休み、夏休み、秋の季節!」

梨穂子「ケーキ! 金太郎飴! 雛あられ! お団子! 焼肉! おいもおいも!」

純一「……パーフェクトだ、そして本当にどうしようもないな梨穂子…」

梨穂子「えっへへ!」

純一「褒めてない! …まぁ、僕が言いたかったのはこういうことだ」

純一「これらすべて、僕はお前と同じ時間を過ごし……そして同じ量を食べてきたんだよ僕は!!」

梨穂子「…………はっ!?」

純一「どうやら理解したようだな梨穂子……僕はお前とほぼ同じく、いずれとして食を嗜んできた人間だ…」

梨穂子「でも、太ってはない……!」

純一「そうだ。だが一方、梨穂子は……うん、太った!」

梨穂子「……ポッチャリナダケダヨ」

純一「やかましい! 梨穂子、だから僕はお前に伝授してやる!」

純一「どうやって痩せるのか……この僕が、本気になってね」

梨穂子「っっ………ほ、本当に…出来るの純一が…?」

純一「まかせろ、お前の知っている幼馴染は……役に立つぞ」

梨穂子「じゅん、いちっ…!」

純一「さあ! 僕の手をとれ梨穂子! お前を美のコロシアムに連れてってやろう!」

梨穂子「さぁー! いえっさぁー!」ぴしっ

純一「まずは一つ目! それは運動だ!」

梨穂子「運動? ……純一、それは基本的なこと過ぎてどうかな~」

純一「ほほう、いうねえ梨穂子……なら梨穂子はきちんと運動はしているのかな?」

梨穂子「あったりまだよ! 仮にもダイエットを口にしているからね~」

純一(仮にも……?)

梨穂子「だから私はダイエット関係の運動はっ! おちゃのこさいさい~なんだよ~うふふ!」

純一「……ま、まあえらく自信満々だけど、とりあえずやってみよう!」

梨穂子「おっけぇー!」

三十秒後

梨穂子「はぁっ…! はぁっ…!」ぐたー

純一「おい、よくあんなコト言えたな言えたな三十秒前の梨穂子……腹筋五回でヘロヘロじゃないか!」

梨穂子「うへぇ~……だめだよ、飲み物頂戴じゅんいち~」

純一(ぐっ……だ、ダメだこいつ…! ダイエットなんて言いながら、絶対にこれまできちんとした基礎を行なってきてないよ!)

梨穂子「ごくごくっ……ぷはぁ~! やっぱりりんごジュースは美味しいよ~」

純一(運動後にりんごジュース…ッ!? しかもたいして動いてないくせして……!!)

純一「……わかった、なるほど、十分に理解できたよ梨穂子…」ぐぐっ…

梨穂子「うん? なにがわかったの~?」

純一「……お前の、その腐れ切った根性にだ!!」ばっ

梨穂子「くされっ……えええっ!?」

純一「駄目だ、そんなんじゃダメだぞ梨穂子……絶対に将来後悔することになるぞ……
   …良いのか、歳をとっても消えないたるみ、そして余った腹回りの皮膚……」

梨穂子「ひっ……」

純一「お尻は垂れ、二の腕はぷるっぷる、太ももハリが無くなり最終的には………」

純一「二つの胸も、ダメになる!!」びしっ

梨穂子「ッ……!?」

純一(あ、これってナチュナルにセクハラったな僕……)びしっ

梨穂子「そ、そんなぁ~……残酷過ぎるよぉ~……」しくしく

純一「お、おうっ……だからなっ! 梨穂子……がんばろうよ?」

梨穂子「うっうっ……そうだよねえ、頑張らないとだめだよね~……うっうっ」

純一「梨穂子」

梨穂子「……うん? ひっく…なあに、純一…?」

純一「大丈夫、今まで失敗続きだったけど……これからはそうじゃないはずだよ」すっ…

梨穂子「純一……」

純一「さあ、がんばろう! 僕はちゃんと最後まで付き合ってやるから……あの時だって、
   そうだっただろう?」

梨穂子「あの時って……あ、私が風を引いた時の…?」

純一「うん。その時だって僕は最後までお前の面倒を見切ったんだ……今回だってやれるさ」

梨穂子「……うん、ありがと純一…」

純一「よし! そうと決まれば電話だ!」

梨穂子「……電話?」

純一「おっ、いいところに公衆電話が……ぴっ、ぽっ、ぱっと!」prrrrrrr

梨穂子「えっ? えっ? ど、どこに電話かけてるの純一……?」

純一「───あ、もしもし! こんにちわ、おひさしぶりです! あ、いえいえ……そんなっ…あはは!
   ……なるほど、また今度伺わせて頂きますね……あと、それと例の件ちゃんと繋がりましたよ」

梨穂子「??」

純一「ええ、ええ……はい、大丈夫だと思います。いえ、大丈夫です! お任せ下さい!」

梨穂子(誰なんだろー……すっごく親しそうだけど、女の子かな…?)ちらちらっ

純一「はい、はい……わかりました! では、また今度に! ───梨穂子お母さん!」がちゃ

梨穂子「えっ……ちょ、純一!? な、ななななっ……お、おかっ……!?」

純一「うん、お前んちのお母さんの電話だよ」

梨穂子「どうして!?」

純一「いやー実は前回でさ、梨穂子の風邪の面倒みた時えらく気に入られちゃってさ~…いやまあ知らない中じゃないから、
   気に入られるも何もあれなんだけどね!」

梨穂子「え、ええー……お母さん、私に黙ってなにやってるのっ…!」

純一「まあいいじゃない、それよりも、喜べ梨穂子! ダイエットの運動ができるぞ!」

梨穂子「えっ? どういうこと……?」

純一「ああ、それがさ────」

プール施設

梨穂子「お、おおーっ……!」

純一「……お前のお母さんが、前もって用意してくれてたんだよ」

梨穂子「…みたいだね、色々とそそっかしい人なんだから…」

純一「こら、お前の為に用意してくれてたんだぞ? きちんと後でお礼を言っておくように!」

梨穂子「もう言ったよ~! そ、それよりも……純一っ…あのね……!」

純一「うん? どうかした?」

梨穂子「どうもするよ~! ど、どうして私……! スクール水着なのっ?」

純一「えっ……だってそれしか梨穂子、切れる水着無いんじゃ……」

梨穂子「あ、ありますぅ~! ちゃんと、うちにある水着できれるやつが……きれるやつが……」

純一「……あるの?」

梨穂子「………ぐす」

純一「な、ならいいじゃないか! ほら、一番お前にあったヤツのほうがいいって絶対!」

梨穂子「う、うんっ……そう、だよね……これから着れるようになればいいだもんねっ…」

純一「よし、ではとりあえずあそこから行くぞ! 梨穂子! ダッシュだ!」びしっ

梨穂子「は、はい!」だっ つるっ びたーん!

純一「あ……」

梨穂子「……よいしょっと、行くっよ純一ぃ~!!」だっ

純一(ッ……ノーダメージ……だと…ッ!?)

~~~

梨穂子「これって……ウォータースライダー…?」

純一「そうだ、しかも中々に有名なところらしいぞ!」

梨穂子「有名って~……どういう意味なの?」

純一「乗ったら分かるさ、それじゃあ二人お願いします」

「はい、こちらにどうぞー」

梨穂子「じゅ、純一……なんだか怖くなって…」

純一「大丈夫だって、ほら、見てごらん梨穂子」

梨穂子「えっ? あ、これって……ゴムボート?」

純一「そうだよ! ここは小さなゴムボートに乗って滑るところなんだ!
   ……しかも二人で乗れるすぐれものらしいよ?」

梨穂子「ふぇ~~」

純一「じゃあ梨穂子が前の方に……」

梨穂子「え、純一が乗ってよ~!」ぐいぐいっ

純一「え、え~っ? だ、だってそれはっ…!」

梨穂子「そこは男の子として先に乗るべきだよ~」

純一「お、おいっ…ちょ、そんなに押すなよ…!」

梨穂子「そらそら~! えへへ~!」

純一(な、なんだなんだ急に梨穂子積極的になって……ハッ!?
   そういえば梨穂子は僕の幼馴染! 僕の苦手分野を知っているやつだ…!)

梨穂子「ほらほら~! お前、高いトコロ恐いんだろ~! ぶへへ~!」(純一アイ)

純一(って顔が言っているような気がしてならない!)

純一「くっ……仕方ない、じゃあ僕が先に乗るよ……」ぼすん

梨穂子「あ、ありがと~! ごめんね純一~……」どすん

純一「あ、ああ……いいよ、大丈夫。梨穂子もしっかりと座れよ……」ドキドキ

純一(しまった……僕はなんてことを、自分から墓穴を掘るなんて…ううっ…
   登ってる時は大丈夫だったけど、滑ってる時は大丈夫かな……)

梨穂子「うわー……恐いけど、ちょっと楽しくなってきたかも~」ドキドキ

「それじゃあ、行きますねー。しっかりとお掴まりくださいね」ぐいっ

純一「は、はいっ……う、うわぁああああー!」ずさぁあああー!

梨穂子「え、え、え、えええきゃあああああー!」ずさぁあああー!

純一「えっ、あっ、ちょっ……!! こええええええええ!!」

梨穂子「きゃああー!! きゃあきゃあー!!」

純一「うわぁああああああああ!! ……ぐっ…!」

純一(あ、あんまり叫び続けるのも男としてどうなんだ!?
   精一杯の紳士道を呼び覚ませ! 僕は……僕は……!!)

純一「うおっ……うおおおおおお!! 楽しいぜっ────」

梨穂子「きゃあああー!」もにゅん!

純一「───うぉおおおっ!?」びくん!

純一「な、なんだろう!? 急に背中に柔らかいものがっ……梨穂子!?」

梨穂子「きゃあ、きゃああー!! ……あぅ?!」ばっ

純一「り、梨穂子……あのそのっ!」

梨穂子「うっきゃああー!? ご、ごめっ…純一、でもっ…勢いが乗りすぎて離れられっ……!」ぐいぐいっ

つるっ

純一「っ……」もにゅにゅ!

梨穂子「ひぁっ…!」びくっ…

純一「……僕、このゴムボートから飛び降りようか?」

梨穂子「ふえっ!? だ、だめだよっ! そんなコトしたら怪我しちゃうから~……っ!」

純一「で、でも…梨穂子はこんなくっつき合ってる状況…嫌だろっ? だからっ…!」

梨穂子「………!」ぎゅうっ

純一「り、梨穂子……っ?」

梨穂子「っ……わたしは大丈夫だからっ……純一も、お願い……このまま腰に手を回させてくれないかな…?」

純一「あ……うんっ…僕は、大丈夫だけど…!」ドキドキ

梨穂子「わたしも、へいきだから……」ドキドキ

ずさあああああああ……ばっしゃーーん!

「はいー! お疲れ様でしたボートの回収を……あらあら、うふふ」にこにこ

純一「……えっ!? あ、いや違いますこれは…!」

梨穂子「……」ぎゅう…

純一「り、梨穂子っ…!? もう終わったよ!? 離れて離れて!」

梨穂子「う、うん……」すっ…

純一「……っ?」

「くすくす、それではボートの回収をさせていただきますね~」
~~~~

純一「……はぁ~、ただたんに滑っただけなのに変に疲れちゃったよ」

梨穂子「そうだね……」

純一「?……どうしたんだよ、梨穂子…さっきから様子が変だぞ」

梨穂子「え? そう、かな……そんな事、ないよ」

純一「そう…か? じゃあ、さっそく次に行くぞ?」

梨穂子「うんっ」

純一「よし、次は……あの流れるプールにでも行くかっ」すたすた

梨穂子「………」じぃー…

梨穂子(……顔のほてりが収まらないよ、う、うう~…ばかばか、変に意識しない意識しない!)

梨穂子(でも、純一のふっきん………ちょっと割れてたな、えへへ…ぽこぽこってしてた…)によによ…

梨穂子(……はっ!? だ、だめだめっ! なんて変なことを考えてるのわたし!)

梨穂子「う、ううっ……」ぷしゅー… すたすた…

~~~~

純一「浮き輪を借りてきたよ、梨穂子これに掴まって泳ごうよ!」

梨穂子「う、うんっ! けっこう人がいるね~」

純一「プールといえばココ、って言うぐらいだと思うしな。
   よし、それじゃあ入ろう!」

梨穂子「結構深いね~……あ、純一浮き輪浮き輪~!」

純一「大丈夫だって、掴ませないとかそんな意地悪しないよ」

梨穂子「絶対に考えてたでしょ~!」

純一「うっ……ちょ、ちょっとだけだって! ちょっとだけ!」

梨穂子「む~」

純一「とりあえず泳ぐよ! ほらほら! すぃーって!」

梨穂子「ほっ…ほぁ~…! すごいすごい! 流れてるよ~!」

純一「そりゃそうだよ、流れるプールだもん」

梨穂子「でもでも、わたしこんなの初めてだから結構新鮮だよ~!」わくわく

純一「へ~……じゃあ、もうちょっと楽しませてやろう…!」

梨穂子「えっ……何する気なの、純一っ……?」

純一「梨穂子、浮き輪の上に乗って!乗って!」

梨穂子「ふぇ? ……えっと、こうかな?」

純一「おっけー! よし、じゃあ行くぞ~」ばしゃばしゃ

梨穂子「わぁー! はやいはやーい!」すぃー

純一「あはは、だろ? 流れるスピードと、僕の泳ぎですごく早く感じるんだ」

純一「まあ、周りの人に迷惑に成らない程度に泳ぐから心配しなくても大丈夫だよ」

梨穂子「…………」すぃー…

純一「……うん? どうした梨穂子、あんまり楽しくないか?」

梨穂子「…ううん、そうじゃないの。ちょっと、昔のことを思い出しちゃって~…えへへ」

純一「昔?」

梨穂子「……よく昔はね、純一と私と二人で…こうやって泳ぎに行ったなぁ~…なんて思ったりして」

純一「ああ、そうだな~……確かに夏休みとかよく学校のプールに行ってたよ」

梨穂子「うんうん、純一はすっごく泳ぐのが得意で……私は全然泳げなくて」

純一「そうだな、それで僕がいっつも泳ぎを教えてた」ばしゃばしゃ

梨穂子「……そうだね、そしてまた今日も…純一が私に色々と教えてくれてる」

純一「……あの頃から全く変わってないな、僕ら。あはは」

梨穂子「………」ぱしゃ…

純一「……梨穂子?」

梨穂子「………」ぎゅいぎゅい!

純一「え、ちょ……あんまり浮き輪の上で暴れるなよっ。ひっくり返っても知らないからな……って…」

梨穂子「……純一」じっ…

純一「えっ? あ、その……梨穂子? 顔が近いんだけど…?」


梨穂子「知ってるよ……わざとそうしてるの」じぃー

純一「そ、そうなのか…あんまりこっちに体重を載せるなよ…本当にひっくり返っても知らない…」

梨穂子「……ねぇ、純一、あのね」

純一「あ、うん……どうかした?」

梨穂子「…………」じっ…

純一「………っ?」

梨穂子「………」ぱしゃ…

純一「っ? ……梨穂子?」

梨穂子「純一って……本当に変わらないよね、普段は私にちょっと冷たく接してくるけど。
    ここぞって時にはキチンと構ってくれる」

純一「そ、そうかな……? ちょっと、梨穂子…手をおでこに置くのやめろって…っ」

梨穂子「…えへへ、いやなの?」

純一「別に……ちょっとくすぐったいだけだよ」

梨穂子「そっか~……あはは、じゃあ耳とかも弱いよね~純一は~」

純一「あっ……ちょ、やめろって梨穂子…! うひっ…! あ、ほら変な声出ちゃっただろ…!」

梨穂子「あははっ……ほんっと、純一は変わらないよね。ずっとずっとそうなんじゃないかって思うぐらいに…」ぱしゃ…

純一「…何がいいたんだ、梨穂子は?」

梨穂子「うーん? なんだろうね、私には……まだいつも通りの子供の私には、よくわかんないよ…」

純一「…………」

梨穂子「身体ばっかり大きくなっちゃって、それに見合って大きくならなかった……モノは、
    全然子供のままでどうしようもなくて……」

純一「……そんなことないだろ、いつかちゃんとそのモノってやつも成長するはずさ」

梨穂子「そうかなー? あはは、でも、ありがと純一……キチンと話を聞いてくれて。
    絶対に誤魔化して、なにそれ胸のこと? なんて聞いてくると思ってたけどね~」

純一「僕だって空気ぐらい読めるさ」

梨穂子「……そう、だよね。えへへ~…純一はやっぱり大人だな~」

純一「あっはっはっは!」

梨穂子「そうやってすぐに調子乗るトコロは、まだ子供っぽいけどね~」

純一「うぐっ…」

梨穂子「くすくす………でもね、純一」

純一「うん?」

梨穂子「私は……今度のダイエットはぜったーいに諦めないんだ」

純一「おっ、どうした急に。やる気だな?」

梨穂子「…うん」

純一「……?」

梨穂子「ねぇ……純一、ひとつだけ。約束してもいいかな」じっ…

純一「どうした? 約束って?」

梨穂子「あのね、純一………私がもし今回のダイエットに成功した時はね」

純一「お、おう……」

梨穂子「………」

純一「梨穂子…?」

梨穂子「……キスしていいか、な?」

純一「ぶっはぁ!? はい!?」

梨穂子「………だめ?」こくん…

純一「だ、だめって……だ、ダメに決まってるだろ!? どうしてそんなこと急に…!!」

梨穂子「………」じっ…

純一「っ………お前、梨穂子、僕のことからかったな…?」

梨穂子「……にへへ~、純一~私から迫られても、ちゃんと焦るんだね~えへへ~」にやにや

純一「あっ…あったりまえだろっ? 急に変なこと言われたら、誰だって…!」

梨穂子「ふ~ん……そうなんだ、純一はキスしていいって言ったら焦るっと…メモメモ」

純一「メモるんじゃない!」

梨穂子「あはは~!」

純一「ったく……そんなこというんだったら、僕から今この瞬間にキスしていいぞ梨穂子!」

梨穂子「えっ……」びくんっ

純一「ほらほら~? どうだ、したいんだろ~? ぐへへ、ん~? むちゅ~?」

梨穂子「…………」ぴくっ

純一「あははー! どうだ、それが僕のさっきの心境だ────」ちゅっ

純一「……った、んだ……?」

梨穂子「…………」ドキドキ…

梨穂子「…えへへ、しちゃった」カァアア…

純一「りほ、こ……?」

梨穂子「……っ……っ……」もじもじ…

純一「……今の、どうして…えっ?」

梨穂子「…やだった?」

純一「えっ!? あ、いやー……じゃ、なかったよ、うん」

梨穂子「…わたしも、嫌じゃなかったよ…うん」ボッ

純一「……でも、なんで、お前…」

梨穂子「………あ、あれかな~…その、前払い的な感じ…かな?」

純一「前払いって……さっきのダイエットのやつ、か?」

梨穂子「う、うん……そう、だよ。これからダイエットを成功するために…景気づけみたいな感じだよ…?」

純一「お、おうっ……それなら、そんなことなら……別にいいのかもしれない、きがしないでもないかな…?」

梨穂子「いいと思うんだよ…っ! だ、だからねっ……その、純一……」ちらっ

純一「な、なんだっ…?」

梨穂子「……こ、今度は…ダイエット成功したら……その時は、純一のほうから……」

梨穂子「して、ほしいな……?」

トイレに行かせてください

いまからかく

純一「……ぼ、僕から?」

梨穂子「…………」こく…

純一「…………お、おう……り、梨穂子が言うのなら……うん、してやっても……」

純一「……いいと、思わなくもない!」ぼっ

梨穂子「……えへへ、ありがと純一…」

純一「…………」ポリポリ…

梨穂子「……純一、今日はとっても楽しかったよ」

純一「…そっか、それはよかった。でも、な梨穂子」

梨穂子「うん?」

純一「…まだまだ今日は終わってなんかいないんだ。まだまだ、これからだぞ」

梨穂子「……うん、そうだね、純一」

純一「あはは」

梨穂子「にへへ」
~~~~~

梨穂子「ふぁあ~~~~~……今日はたのしかったぁー!」

純一「そうだなー、久しぶりに泳いだしなぁ」

梨穂子「……でも、これで痩せたのかな?」

純一「……ノーコメントで」

梨穂子「……だよねー、ただ単に遊んだけで───えっと、その……あれだったしね…うん…」もじもじ…

純一「そ、そうだなっ……あれだったしな…うん…」ポリポリ…

梨穂子「……あのさ、純一」

純一「…うん? どうした梨穂子?」

梨穂子「今日はその~……手をつないで帰ろっか? えへへっ」

純一「手……繋いで? あはは、なんだか昔みたいだなこれって」

梨穂子「うんっ、なんだか今日はずっと昔の話ばっかりしてたから……どうかなーなんて思って」

純一「そっか……ああ、いいよ梨穂子」ぎゅっ

梨穂子「あっ……うん、ありがと純一…」

純一「あはは、どうしてお礼をいうんだよ」

梨穂子「うーんと……色々、かな?」

純一「色々? ……結構なんだか思い当たるフシがいっぱいあるきがするな…」

梨穂子「っ! ぜ、絶対に私が思ってることと純一が思ってること違うよそれ~!」

純一「わかってるよ、じゃあ帰るぞ梨穂子」

梨穂子「あっ……うんっ!」たった…

純一「………今日は、僕の方もありがとな」すたすた…

梨穂子「え、どうして?」すたすた…

純一「……色々、と。だよ」

梨穂子「……あはは、色々と、だね」

純一「うん、梨穂子……ダイエット絶対に成功させろよな」

梨穂子「あったりまえだよ! 今度はちゃんと成功……うーん…」

純一「おい、どうしてそこではっきり言わないんだよ…」

梨穂子「……えっとね、あはは、その…もし成功したら…純一からって……ことは覚えてる、かな?」

純一「えっ? あ、うん……男に二言はないぞ!」

梨穂子「そ、そっかー……でも、ね。それって成功したら……一回きりってことなのかなって」

純一「え、どういう意味だそれ?」

梨穂子「……だったらね、これからもずっと…ずっと、純一が私にダイエット教えてくれるのなら……」

梨穂子「………また、キス、できるのかなぁー……なんて、えへへっ」

純一「梨穂子……お前…」

梨穂子「あ、ち、違うよっ!? そのっ……あのねっ! 私はそのー……なんていうかね、えっと~…っ」

純一「…………梨穂子」

梨穂子「は、はいっ!」びしっ

純一「………」

梨穂子「………」ドキドキ…

純一「……ふぅ、わかった! だったらいつだって、お前のリバウンド時には……キスしてやる!!」

梨穂子「ふぇっ!? ……ほ、ほんとに?」

純一「ああ! もし成功しても、いつだってしてやる!!」

梨穂子「お、おおっ~…!」ぱちぱち

純一「っ……だ、だから頑張れな! 梨穂子!」

梨穂子「うんっ! 私…ダイエット頑張るんだよ!」ぐっ!


純一「……というかさ、どっちもキスってもうもはや、約束もなにもないような気が…」

梨穂子「……」ぐぅー?

純一「……お腹で返事をするなよ」

りほっち終わりだよ
りほっちは苦手でしたすみません

次は七咲で

ごめんやっぱ愛歌先輩で

【飛羽 愛歌】

茶道部

愛歌「………」ズズッ…

愛歌「梅昆布茶、素晴らしく……美味」コト…

愛歌「…………」

愛歌「そう思わないか……橘純一」

純一「ええ、まあ、確かに……でも僕は味のある梅昆布茶よりは…」

愛歌「………」じっ

純一「……ええ、梅昆布茶大好きです僕」ズズッ…

愛歌「だろう……」ずずっ…

純一「……でも、あまり飲み過ぎるとまたトイレに行きたくなりますよ」

愛歌「……」ぴくっ

愛歌「………それは互いに忘れろといったはず」ことっ…

純一「……すみません」

純一(忘れろって言ってもなぁ…あれから一ヶ月ぐらい立ったけど、
   あの時のことはなかなか…)

純一(だ、だって一緒にトイレに入って……まあ、その、聞いてしまったわけだから…
   僕としては何事も無くこうやってお茶を飲んでいる関係のほうがどうかと…)

愛歌「……あまり、性的な目で私をみるな」

純一「み、見てませんひょ…!」

愛歌「……」じっ…

純一「………」ずずずっ…

純一(……正直、気まずいよ。何度かこうやって飛羽先輩からお呼ばれしてお茶を飲んでるけど…
   うん、断らない僕もどうかと思うんだけどね…)

純一「……ふぅ、素晴らしいお手前でした」ことっ…

愛歌「うむ」こくり

純一「……それで、その、今日はどういったご用件でしょうか?」

愛歌「要件……とは?」

純一「えっと、まあ……こうやって呼ばれたわけですから、なにかしらの意味があったのかなぁっと」

愛歌「これといって……特になし」

純一「……あ、はい。なるほど…そうでしたか…」

純一(では何で呼ばれたんだ……!? わからん!!)

愛歌「……」ことっ…

愛歌「橘純一」

純一「えっ? はい、なんですか…?」

愛歌「今日は……感謝する」

純一「あの……どうして?」

愛歌「身勝手な誘いを……断らなかっただろう」

純一「えっとまぁ、そうですね……飛羽先輩からのお誘いでしたし…それに僕も暇でしたしね」

愛歌「そうか……ならよし」ずずっ…

純一(せ、先輩がお礼を述べた…っ!? なんだこれ!? 貴重過ぎる!)

純一「……っ~~~……あの、先輩…」

愛歌「なにかな」

純一「……その、先輩は……あれですよね、なんというか…」

愛歌「うむ」

純一「…………か、可愛らしい人、ですよね…」

愛歌「………え?」

純一「あ、あははっ…! えっと、そのですね…あの~
   こういった機会ですし、普段思ってることを言ってみようかなっと~…」

純一(ああ、駄目だ…! 会話がまったくもたない! 梅原が言ってたけど、
   女の子と会話に詰まったときは、女のこのいいところを取り敢えず褒めとけ!
   ……なんて言ってたから試してみたけど……)

愛歌「………」

純一(ほら、やっぱりだめだ! まったくもって会話が繋がらない!
   そもそも僕は飛羽先輩に嫌われてる可能性があるんだから……こんな事言っても…!)

純一「あっ……えっと、そのっ…ごめんなさい、忘れてください……はい…」

純一(ああ、もう! なんだっていうんだ本当に! この人相手に僕は紳士パワーなんて出しきれるわけ……)

愛歌「………」かぁあ…

純一(わけ……)

愛歌「………」ぼっ

愛歌「…そん、なこというなっ……橘純一…!」ぷいって\

純一(………あれ?)


愛歌「っ………っ……」ずずっ…

純一「…………」

愛歌「………」ちら

純一「…………」じっ…

愛歌「っ!……」ぷ、ぷいっ

純一「…………」

純一(……あ、あれ? なんだこの反応は……えっと、もしやすると…これ……)

愛歌「…………」もじもじ…

純一(───て、照れてる……ッ!?)

純一(う、嘘だそんなことーっ!? だ、だがしかしあの表情は確かに照れてるように見えなくもない…!)

愛歌「……あ、あんまり…」ぼそっ

愛歌「……こっちをみるな、ばか…」

純一「っっっ!?」

純一(ばか!? 飛羽先輩がっ……馬鹿と言ったのか!?
   普段なら「こっちを見るな……橘純一」なんて気取って言うはずなのに…!)

純一「……かわいい」

愛歌「………っ」ぴくっ

純一「……飛羽先輩、可愛い」

愛歌「っっ……」ぴくぴくっ

純一「…………」

愛歌「…………」もぞっ…

純一「………かわ」

愛歌「っ……んっ!」ぐわっ!

純一「う、うわぁ!? あぶなっ!?」ばっ…!

愛歌「…………」ぴたっ

純一「………さ、流石に…湯のみを投げるのは、ダメですよ…?」

愛歌「っ……わかっているっ……」すっ…

純一「…………」すっ…

愛歌「………」

純一(顔真っ赤だ…)

純一「……あの、飛羽先輩…」

愛歌「………なんだ」

純一「えっと……えらく、その……」

愛歌「まて」ずいっ

純一「は、はいっ?」

愛歌「その先を言うのは……少し、待て」

純一「…はあ」

愛歌「…………橘純一、その…」もじもじ

純一「な、なんですか飛羽先輩…?」

愛歌「っ……そのさっき…」

純一「さっき…?」

愛歌「……ごくりっ…」ぎゅっ

愛歌「───さっきいった、可愛いというのは……本当か?」

愛歌「…………」ちらっ

純一「え、ええ……それはまあ、本当にそう思って行ったんですけど…」

愛歌「…………」

純一(なんだろう、僕確かに飛羽先輩のことは可愛い人だなって思って入るけど…
   そ、それほどまで照れることだったんだろうか……いや、まぁ、急にカワイなんて言われればそうなるかな…?)

純一(いやでもしかし、それでも、相手は飛羽先輩だ……ここまで照れるなんて予想だにしなかったよ)

愛歌「……事実だと橘純一はいうのか」

純一「は、はいっ! 確かに僕は飛羽先輩を可愛いって───」

愛歌「っ」ぴくんっ

純一「──思って、ます……よ?」

愛歌「…………」ぷしゅー…

愛歌「………そう、か」ズズっ…

純一(なんだか嬉しそうだ……)

純一「………」

愛歌「橘純一……おかわりは、いるか?」

純一「えっ? あ、はい…ありがとうございます──ですけど、これからちょっと用事がありまして…」

愛歌「え……用事?」

純一「は、はい……まあ大したことはないので、また戻ってくることも……出来ますけど…?」

愛歌「…………」

純一「…………」

愛歌「いや、いってくるがいい……」

純一「わ、わかりました……それでは、お茶美味しかったです」すくっ…

愛歌「……うむ」

純一「………」すたすた…

愛歌「───橘純一…」

純一「え、はい? なんですか?」くる

愛歌「……次回、誘ってもいいか」

純一「…かまいませんよ、いつでも来てください」

愛歌「…………」

純一「…………」

愛歌「…そう、か。なら次もまた誘うだろう」

純一「は、はい……ではこれで」

愛歌「………橘純一、またこい」にこ…

純一「っ!………」

愛歌「どうした?」

純一「あっ……いえ、わかりました……では、これで…」がらら…ぴしゃ

純一「………っ?」ドッドッドッド…

純一(な、なんだなんだっ……先輩、飛羽先輩っ…あんなふうに笑う人だったっけ…っ?)

純一(も、もっと不敵に怪しく笑う人だって思ってたのに…なんだよ、か、可愛いなって思ってないんだからな!)

純一(……なんだろう、今の僕のテンションは。少し、落ち着こう……はぁ~)

純一「……先輩、なんだか最近になって少し…僕に対してちょっと友好的になってる気がするなぁ…」

純一(お茶会をし始めてからだろうか……いや、もっと前から…あれだな、トイレ事件があってからな気がする)

純一(……先輩、もしかしたら僕のこと……嫌ってはいないのかな)

純一「…………」

~~~~~

教室 

純一「ふぃ……高橋先生は今日も綺麗だったなぁ」がらり

純一「課題を忘れてただけで、あそこまでの指導っぷり……流石だね、僕のハートもずっきゅばっ──」

愛歌「………」

純一「きゅん………飛羽先輩!?」

愛歌「……きちゃった」

純一「え、ええっ!?」

梅原「──おっ? 大将! どこいってたんだよぉ!」がしっ

純一「うわっ…梅原! え、それは昼休みに先生に課題の提出を忘れたから謝りに……って、ちょ、梅原…!
   これはどういったことなのか分かるか…?」ぴっぴっ

梅原「何言ってたんだよお前さん、眼の前の先輩様は大将の為に来たんだろ…?」

純一「えっ……?」

梅原「せっかくの……出来た彼女なんだから、きちんと大切にしやがれよ!じゃあな!」たっ

純一「う、梅原っ!? か、彼女って……ええっ!?」

くいくいっ…

純一「えっ……飛羽、先輩…?」

愛歌「………」

純一「ど、どうしたんですか…僕の袖を引っ張って…?」

愛歌「一緒に、御飯をたべよう………橘純一」

純一「……はい?」

愛歌「私が作ってきた……愛妻弁当だ」ぱさぁ

純一「えっ、うぇえええー!? あ、あいさっ……あ、でも美味しそう…」

愛歌「橘純一の好物で……全て揃えてきたぞ」

愛歌「たべるがいい」

純一「ごくり………」

純一「これ、本当に飛羽先輩が……?」

愛歌「手に縒りをかけて作ってきた」

純一「……本当に、先輩が僕に…」

純一「じゃ、じゃあ……頂きます!」ぱくっ

愛歌「どうだ?」

純一「もぐもぐ……あ、すっごく美味しいです! 先輩!」

愛歌「……………」

愛歌「───そうか、それは私も……とっても嬉しい」

純一「………」ぽろっ…

~~~~

純一「───んはぁっ!?」がばぁっ

純一「はぁっ…はぁっ…! あ、あれ……っ?」

純一「こ、ここは……茶道部…?」

純一「……ということは、さっきまでのは…夢?」

純一「…………」

純一(い、いやっ……だとしたらどこから夢で、どこまでが夢だ…?
   先輩に誘われてお茶をしたところまでは現実だった気がするけど…!)

純一(僕はその後、茶道部を後にして……いや、それもまた夢か!?
   やばい、どうしようとってもテンパッて……!?)

愛歌「……なにをそんなに慌ててる」すすっ…

純一「う、うわぁああ!?」

愛歌「っ……いきなり大きな声を出すな、心臓に悪い」

純一「えっ、あ、ごめんなさい……えっと飛羽先輩…?
   僕って何時ぐらいから寝てましたか…?」

愛歌「………お茶を飲んで世間話をしてからすぐ」

純一「え、えっと……それじゃあ僕、あのー…」

愛歌「なんだ」ずずっ…

純一「…せ、先輩に……可愛いっていったことは、ないですよね…?」

愛歌「…ないな」

純一(じゃああれは夢か! ほっ……あんな先輩の表情、夢じゃなかったらおかしいよ…)

愛歌「とりあえず……飲んだらいい、落ち着く」

純一「あ、ありがとうございます……あれ? これ…」

愛歌「……どうした橘純一」

純一「えっとその、先輩って……梅昆布茶好きでしたよね…?」

愛歌「よくしってる……確かに好物」

純一「じゃ、じゃあ……これはなんで緑茶なんですか…?」

愛歌「…………」ぴくっ

純一「…………」

愛歌「………別に、なにも理由など…」

純一「かわいい」

愛歌「っ」びくん

純一「…………………」

愛歌「…………………」

七咲「なっ、何を笑ってるんですか…?私、真面目に言ったんですからね?」

七咲「…ひどいです、しんごさん」

七咲「でも…」

七咲「そんな貴方も、好きなんですけどね?」チュッ

七咲「ふふっ、」

逢プラス~恋の魔法篇~
おわり

純一「飛羽先輩……」

愛歌「なんだ、橘純一……」

純一「……その、えらく可愛らしい反応しますね…」

愛歌「……」

純一「その反応、前に見たような気がしないでもないんですが……気のせいですよ、ね?」

愛歌「……気のせいだ」

純一「そっかー……よかった、よかった~……」

愛歌「…………」

純一「………」ずずっ…

純一(絶対に気のせいじゃない…!!これ、絶対に前に行ってるはずだ…!!
   そしたら僕は、先輩に可愛いって言った後に寝てしまったということか…!?)

純一「……」

純一(……でも、よくそのタイミングで寝れたな…なんか気が動転して寝れるどころじゃなかった気が…)

純一「気が……」くらっ

純一「!?」

純一(な、なんだ…? 今、一瞬だけど気が遠くなりそうに……ちょっとお茶を飲んで落ちつ───)

純一「……っ!?」

愛歌「…………」

純一「……飛羽、先輩」

愛歌「……無念、二回目は駄目だったか」

純一「どういうことかまったくもってわかりませんけど……先輩、あの…」

純一「お茶に、なにか仕込んでます…?」

愛歌「……ザ・睡眠薬」ずいっ

純一「なっ……睡眠薬!? どうしてそんなものを……というかどこで手に入れたんですか!?」4

愛歌「企業秘密」

純一「企業が関連してるんですか!? ちょ、先輩…僕にこんなの盛ってなにを…!?」

愛歌「………」

純一「か、可愛いって言ったからですかっ…? いや、違う……それ以前に僕はお茶に仕込まれてたはず…なら、どうして…っ?」

愛歌「…………」

愛歌「……橘純一、なにか気づいたことは」

純一「気づいたこと…? いや、薬を盛られたこと以外なにも……ハッ!?」

純一(…と、トイレに行きたい!?)もじっ…

愛歌「今頃か……なかなかに我慢強い」

純一「飛羽、先輩……?」

純一(あ、だめだっ……体の力が抜けて……)ごろん…

愛歌「………」すっ…

愛歌「……気分はいかが?」

純一「なに、を……?」

愛歌「なにもしない……ただ、見ているだけ」

純一「それがっ……なんの…?」

愛歌「………仕返しだ」

純一「しかえし…?」

愛歌「そうだ……以前に仕返し」

愛歌「私がトイレで起こした粗相の……仕返しを橘純一に」

純一「なんでっ……こんなことしてもっ…!」

愛歌「私は満足……一本満足」

純一(うそ、だろっ……こ、このまま寝てしまったら確実に……ぐっ!
   飛羽先輩やっぱすごく恨んでた! あの時のこと!)

愛歌「ふ・ふ・ふ」

純一(ぐっ……ど、どうにかこんなことをやめさせないとっ…!
   でも、今の状況でどうにか打開する策なんて……!)

愛歌「心配するな……もし粗相を起こしても、きちんと処理しよう」

純一(い、いやだァー! 女の人に掃除してもらうなんて嫌だぁあー!!)

純一(……どうしよう、本当にどうしよう! 絶対に先輩は本気だ!
   ぐっ……くぅううー! だめだ、抓っても全然眠気が収まらない…!)

純一(どうにかっ……なにか、策を講じなければ……!
   横にしゃがんでいる先輩をどうにどければ、まだ……!)

純一「ぐっ……せ、先輩……?」

愛歌「……なにかな?」くすくす…

純一(ええいっ! ままよっ!)ぐいっ

愛歌「っ……なに、をっ…!」

ぽすんっ

愛歌「は、はなせっ……橘純一…!」ばたばた

純一「───可愛いよ、愛歌…」ぼそっ

愛歌「っ……!?」びくんっ

純一「可愛い愛歌、もうすっごく可愛い」

愛歌「ひっ……や、やめ……っ」びくびくっ

純一「どうして? こんなにも可愛いのに、前髪なんかで隠してないでもっと見せてよ」

愛歌「さ、さわっ……!」

純一「ほら、やっぱりかわいい」

愛歌「…………」ぼっ

ちょっとトイレ
マジでやっちまったわ

ごめん
いまからかく

純一(きた、これが僕の戦略…! そして勝ち残れる唯一の手段!
   あれが夢じゃないというのであれば……僕はこれをするために躊躇はない!!)

純一(今、漏らしてしまうよりは後の報復を選ぶ!
   いざ行かん紳士橘!! 打倒の時はもう目の前だ!)

愛歌「はぁ…はぁ…」

純一「……愛歌」

愛歌「気安く……人の名前を呼ぶな…!」

純一「ごめん、でも……僕は愛歌のことは…もっと近い距離でいたいんだ」

愛歌「………えっ…?」

純一「───愛歌、とってもかわいいよ。僕はそんな風に気取って喋るところも…
   …いつもみたいに、不思議な空気を纏わせている所も…可愛いって思う」

愛歌「………」ぞくぞくっ…

純一「だから……愛歌、僕は可愛いって言わないで。なんて言われても…困るんだ。
   こんなにも可愛いって思っているのに、君はそれを認めてくれない…」

愛歌「や、やめ……はなせっ……たちばなじゅん───」

純一「…本当に可愛い女の子だよ。愛歌…」ちゅっ

純一(おでこにだよ! 口とか責任取れないからね!)

愛歌「っ…………」

愛歌「………ふぁ……っ?」

純一「かわいいよ」

愛歌「………ぁ…」ぷしゅー…

純一「…………」

純一(───来た!! これで勝った!! 僕の勝利は決まった!!)

愛歌「…………」もぞっ…

純一(……よし、ここから恥ずかしがってる飛羽先輩をどうにか押し切り!
   そしてこの場からどうにか逃げ出してトイレに駆け込む! もうそのあとはどうにだってなればいい!!)

純一(まずはっ……トイレだ!!)ぐいっ

愛歌「あ……橘…」

純一「……すみません、もう僕は行きます…やらなくちゃいけないことがあるので」

愛歌「……置いていくつもりか…?」

純一「何言ってるんですか、僕は何も悪くはない…それは先輩にだってわかっていることでしょう」だっ

愛歌「…………」

純一(トイレトイレトイレ!!!)

がららっ!! だだっだっだだ!!

純一(気が……ぐっ、駄目だトイレまで持たせるんだ!!)だだっ!

「きゃっ……!?」

純一「うぉおおおおおおー!」だだだ

「な、何だったんだぁー? アイツは……ってオイ!? 愛歌!?」だっ

愛歌「……るっこ…」

夕月「おまっ…どうしたんだよっ? お前さんがそこまで弱ってんの始めてみたぞ…!?」

愛歌「…………」

夕月「ど、どうしたんだ? なにがあったん──……っ!……アイツかぁっ!?」

愛歌「少し……待てるっこ」ぐいっ

夕月「な、なんだっ…? 何処か痛むのかっ? 酷いことされたんだろ…っ?」

愛歌「橘純一は……なにも、悪くない」

愛歌「悪いのは……この、わたし」

夕月「…………」ぶわぁっ

夕月「お、おまえっ…愛歌っ…なにもそこまでかばわなくてもっ…!」オーイオイ…

愛歌「感謝する……るっこ」

愛歌「心配してくれて……私は大丈夫だ」

夕月「っ……!」

夕月「うぉおおー! 愛歌ぁあああー!!」ぎゅうっ

愛歌「………」ぽんぽん…

愛歌「………にやり」

~~~~

純一「ぐがぁー……すぴー……」

梅原「フンフーン……っておわ!? た、大将!? 何で寝ながらションベンしてやがんだっ!?」

 ───ここ最近、茶道部メンバーが冷たくなってるのは気のせいだろうか。

梨穂子「……純一は、ちゃんと責任取れる男の子ってわかってるからね」

夕月「死ねッ! 鬼畜ポルノ野郎!!」

純一(なんて言われるし……なんだっていうんだ、一体…はぁ~)

愛歌「やっほー」しゅた

純一「うわぁ!? せ、先輩…!?」びくぅ

愛歌「久しぶりだな……橘純一」

純一「え、ええまぁ……というかこの前は本当になんてことしてくれたんですか!」

愛歌「イッザ……ジョーク」

純一「ジョークで済まされるほどの問題じゃなかったですよ!?」

愛歌「まあ待て……少し落ち着け橘純一」ずいっ

純一「……まあ、僕も色々とやっちゃった感は否めないのであれですけど…」

愛歌「だろう……そして私が来たのもその件だ」

純一「その件?」

愛歌「謝罪を述べに来た……すまなかった橘」すっ…

純一「えっ……」ぎゅー

愛歌「……何をしている」

純一「えっと……先輩が謝ってるので、また夢じゃないかって思って…」

愛歌「これは夢じゃない……れっきとした現実」

純一「は、はあ……まあ僕の方こそスミマセン、あんな事言ってしまって…」

『かわいいよ』

純一「…はい、そんな感じのこと言ってしまっ──……え?」

愛歌「……」カチッ

『愛歌……かわいいよ、たまらないぐらいにかわいい』

純一「…テープ、レコーダー……?」

愛歌「うむ」

純一「っ……なぜ、そんなものを……?」ダラダラダラダラ…


愛歌「この前の謝罪は済ませた……そして次」

純一「……トイレの件、まだ根に持って…?」

愛歌「こくり」

純一「ぐっ…そ、それでなにを脅そうっていうんですか!
   ぼ、僕は負けませんよ…!」

愛歌「…………」

愛歌「いや、このテープレコーダーは……使用しない」ぶんっ ガッシャーン!

純一「えっ……なにを…?」

愛歌「橘」

純一「は、はいっ?」

愛歌「私は……橘の生が良い」

純一「……どういう意味ですか?」

愛歌「私はこれからずっと……橘のことを恨む」

純一「ま、まあ…それなりのことをしたと、わかってますしいいですけど…!」

愛歌「つまりはあれだ……また、あの手を使うなのつもりだろう?」

純一「……かもしれません」

愛歌「なら、その時まで待っている」

純一「えっ……?」

愛歌「ふ・ふ・ふ」

純一「せ、先輩もしかして……また、可愛いって言われたいんですか…?」

愛歌「っ……」ぴくっ

愛歌「……多くは語らない、それが主義」

純一「かわいい」

愛歌「フライングは効かない」

純一「…ですよね」

愛歌「期待しているがいい……間を開けること無くまた来る」

純一「くっ……なら、僕も立ち向かうまでです!」

愛歌「……なおよし、その意気込み…買って出る」

純一「………」バチバチバチ…

愛歌「………」バチバチバチ…
~~~

物陰

夕月「まあ、うん、こんなこったろうと思ってたよあたしゃ」

梨穂子「え~~!? そうなんですか!?」

夕月「当たり前だよ、あの愛歌がアイツごときに凹ませられるとは思えないからね」

夕月「……というか、ほんっとアイツらはバカップルすぎやしないか?」

梨穂子「まあそうですね~……多分ですけど、付き合ってる自覚ないの学校の中であの当の二人だけですよ?」

夕月「校内じゃ有名だもんなぁ~…」

梨穂子「一緒にトイレに入ってるトコを大勢にミられてますからね……うん」

夕月「…りほっちも、大変だね。だが、まあ自覚ない二人だから付け入る隙はたくさんあるはずだぜっ?」

梨穂子「もぉー先輩ったら……私は愛歌先輩の幸せを願ってるんです! ……あと、純一のも…」

夕月「……大人だね~、だから好きだよりほっちは」なでなで

梨穂子「えへへ~」

夕月「───さてさて、あの二人……まだキスも済ませてないだろうにね。
   あんなふうにじゃれあってんのはいつまで続くことやら…」

夕月「まあでも、愛歌……橘って呼べたことは、一歩リードなんじゃないか? ええ?」

まなまな終わりなんだ………
途中、ちょっと粗相起こしてスミマセン

次で最後にする
やってない娘は次回 全部終わらせるつもりでやるよ

じゃあ最後の娘
>>315

七咲

七咲はあく

ひびにゃんは前以下の

純一「みんなと、イチャイチャしようよ+!」

で書かれてるのでそれをどうぞ

では今から書く

【七咲 逢】

橘家 純一部屋

七咲「あーせんぱい~」ごろごろー

純一「……ん? どうしたの?」ぺら…

七咲「いえ、特に用はないんですけどね……」

純一「うんー?」

七咲「ちょっと、こっち向いてくれませんか?」

純一「えー? なになに……」

ちゅっ

七咲「んはっ…はい、ありがとうございました。では」ごろごろー

純一「………」

純一(!?)

純一「な、七咲……?」ぱさ…

七咲「……ん? はい、どうかしましたか?」ごろ…ぴた

純一「うん、僕のベットの上で楽しんでる所すまないけど……今のは…?」

七咲「………」ぎゅう

七咲「キス、ですけど…?」こくん…

純一「……いや、うん、わかってるけどね。その、僕の枕を抱きしめながらいうのやめて欲しいな…」

七咲「え? どうしてですか? ……別にくさくなんかありませんよ?」くんくん

純一「こう気持ち的にね…っ! くさくないって思ってるけど、あんまり気分的に…!」

七咲「……センパイのにおい、私は好きですよ、ふふ」

純一「あ、ありがとう……じゃなくて! 七咲! 女の子としてだな…男の部屋でそうベットの上で…!」

七咲「ベットの上で?」

純一「ああの、そのっ……ううっ……だぁー!!」ばっ

七咲「あっ……せんぱいの枕を! 返してください! せんぱい!」

純一「これは僕の枕だよ! 返せも何も!」

七咲「今は私が楽しんで使ってる枕です! せんぱいは寝るときにでも使ってください!」がばぁっ がしっ

純一「た、確かに……いや! そうじゃなくて! 楽しんでるって何?!」ぐいぃいー!

七咲「楽しんでるっていうのはそのままの意味ですっ! くぃー!!」ぎりぎり……

純一「ちょっ……こら! 七咲の全力なんてっ…僕がかないっこなんか…っ!」じりじりっ…!

七咲「なら離したらどうですかっ! 私は絶対に負けを認めませんよぉ……っ!」みちみちっ…

純一「……あっ!? まって、なんか枕から変な音───」ぶちん!

七咲「え……あ、きぁああー!?」バターン! ゴッ!

純一「七咲!?」

七咲「きゅいー……」

~~~~~~

七咲「いたた……どうしてこんな目に…」

純一「いや、うん……行動通りの目にあったと思うよ僕は」

七咲「……」むっすー

純一「うーん……ちょっと腫れてるかな、まあ七咲ならすぐに治りそうだけどね」なでなで

七咲「…どういう意味ですか、もっといたわってください、、もっと慰めてください、もっとかわいがってください」

純一「要求が多いなぁ……じゃあ、ほら。こっちおいで七咲」すっ…

七咲「…………」すすっ… ぎゅっ

純一「さあ、僕の胸の中でたんと甘えるんだよー」

七咲「……なんだか、今のセンパイちょっと気持ち悪いです」

純一「せっかく七咲の要求にノッてあげたのにっ?」ガーン

七咲「……ふふっ、冗談です。本気にしないでください」すりすり

純一(猫みたいな仕草だな……)

純一「…七咲の言うことは、全部本当に聞こえるから困るんだよね」

七咲「そうなんですか? ……じゃあセンパイ、大嫌いです」すりすり

純一「今言われても、どうも感じないな僕…」なでなで

七咲「う~~ん……んっふ~~~…」すりすり…

純一「…七咲って、そうやっておでこ摺り寄せるの好きだよね。前世猫なの?」

七咲「え? いや、そう言われても答えられませんけど……まぁ、確かに好きですねコレ」すり…

純一「いわゆる、マーキングって行為だよね。自分の匂いを他人につけ、自分のものだという証明行為だ」

七咲「……別に自分は、そこまで独占欲は強いほうじゃないって思いますけど」

純一「そうなの? でも本能がそうさせてるんじゃないかな……でもさ、おでこ擦り寄せても匂いってつかないよね普通?」

七咲「まあ、人と猫では違いますし」

純一「…………」

七咲「……せんぱい、なにか考えてませんか。えっちなこと」

純一「えっ!? そ、そんなことないよ! も、もう七咲は僕のことを何だって思ってるんだよー!」

七咲「………」じぃー

純一「……あはは、大丈夫、まあ考えてたってのは本当だけど。七咲が疑ってるようなことじゃないよ?」

七咲「では、なにを考えていたんですか?」

純一「さっきのマーキング行為についてだよ、おでこっていうのは人ではあんまり匂いはつかない……
   だからもっと効率のいいやり方が有るんじゃないかなって僕は思うんだ」

七咲(そもそも猫はおでこじゃなくて、首あたりを擦り付けますけど……ま、いっか)

純一「だからね七咲、僕からひとつ提案があるんだ」

七咲「提案?」

純一「うん、そのマーキング行為……匂いをつけるにはどう行ったらいいのか。
   それはね───」ごにょごにょ

七咲「ふんふん………なるほど、なるほど───」

~~~~~

純一「───よし、こんな感じかなっ」じりりっ…

七咲「さ、最後まで占めるんですか…っ?」

純一「当たり前じゃないか! そうしないと匂いが逃げちゃうだろ?」

七咲「は、はあ……」

純一「よし、じゃあ命名しよう……これは『ジャージ二人羽織』だ!」

 説明しよう!!『ジャージ二人羽織』とは!
 ここにあるのはひとつのジャージ、それを一人が着用する!!
 そして後に二人目がジャージの中に潜り込み、予め少しジッパーを開けておいたジャージの中に入るのだ!!

純一「うん! 僕って説明下手くそだね!」

七咲「なんとなく雰囲気でわかるじゃないですか…それにしても、ちょっと、せんぱっ…!」もぞもぞ…

純一「どうかしたの? あんまり動かれるとちょっと……」

七咲「いえ、少し狭いなって思って……う、ううんっ…!」もぞっ…

純一「そりゃあ一着のジャージに二人はいってるわけだからね。狭いのは当たり前だよ」

七咲「は、はい……ですが、ちょっとこれは……!」ぴくっ

純一「七咲……?」

七咲「……………」

純一「……気にし過ぎじゃないかな? さっきだってキスしたし…」

七咲「あ、あれとこれは違うんです! センパイは黙っててください…!」

純一「そ、そうなんだ……」

純一(女の子ってわからん……)

七咲「う、うんっ……ん、はぁっ……ふぅ」もぞっ…

純一「……えっと、良い感じになったのかな?」

七咲「え、ええ…大丈夫です。これで安心できました」

純一「安心……ああ、なるほど。あれがずれてたのなら言ってくれれば───」

七咲「ふんっ」どすっ

純一「おごっ! ……じゃ、ジャージの中の無防備な脇腹を狙うなんてっ…七咲……!」

七咲「センパイがデリカシーの無いことを言うからです!」

純一「ご、ごめん……でも、七咲のこと思っていたまでで……!」

七咲「わ、わかってますから! ……もうこの話はやめにしてください…」ぼそぼそ…

純一「う、うん。わかったこれでオシマイにしよう! ……じゃあ続きといこうかな!」

七咲「続き…? これからどうするんですか?」

純一「別になにもしないよ、ただこうやって───……こうかなっ」ごろりっ

七咲「きゃあっ!?」

純一「あっははー! ちょっと驚いたかな?」

七咲「……なにするんですか、せんぱい~…」

純一「うん? 転がっただけだよ、ごろごろーってね」

七咲「それはわかってます…! なにかするなら、まずは言ってからやってください!」

純一「そっかそっか、それはごめん。じゃあ次は失礼して……」ぎゅっ…

七咲「あっ……」

純一「……どうかな、こうやって抱きしめられるのは」

七咲「…えっと、なんだか変な気分ですね…」

純一「だよねーあはは」

七咲「まるでこう……センパイの中に入ってしまったような。ぱくって食べられてしまったような…うふふ」

七咲「そんな気分です、おもしろいですね」

純一(…そうか、なるほど。七咲を食べたみたいか…ふむ、ならこれはどうだ!)

純一「がははー!そうだぞー! 僕は七咲を食べる怪人だぞー! もぐもぐー!」

七咲「え……せんぱい…っ?」

純一「もしゃもしゃー! げははー! このおなごは丸呑みじゃー!」

七咲「え、きゃあー! やめてー! 私なんか食べても美味しくなんかないですー!」

純一(おっ、七咲もノリがいいな! じゃあもっと僕も…!)

純一「ぬわーはっはー! んむぅ~? なんじゃなんじゃ…このおなごは、いいふとももしておるのぉ~?」なでなで

七咲「あ、ちょっ……センパイっ…そんな撫でないでくだっ…!」びくんっ

純一「んなぁにぃ? ワシはセンパイなんて名前じゃねえーぞぉ! 怪人様じゃ怪人様じゃー!」

七咲「っ……か、怪人様ぁー! 私の太ももなんて、美味しくありませんよー!」

純一「そうかぁー? そしたらこの頭なんてどうじゃー! まるっこくて……いい匂いするでのー!」くんくん

七咲「えっ!? ちょ、頭の匂いを嗅がないでください…!」

純一「じゃあ丸かじりじゃー! がぶー!」ちゅっちゅ

七咲「ひゃ、ひゃうっ……!」びくん

純一「びみじゃー! がっはっはっはぁー!」

がちゃ

純一&七咲「!?」

美也「…にぃに、逢ちゃん。となりに丸聞こえ」すっ…

純一「あっ……うん! ゴメン美也…! あは! あはははは!」

七咲「みやちゃっ……!」ぼっ

美也「…もっと静かにじゃれあってね。お願い」ぎぃ…がちゃ

純一「………」

七咲「………」

純一「……なんかゴメン、七咲」

七咲「……いえ、私の方こそ悪乗りが過ぎました…」

純一「うん……」ぽりぽり…

七咲「……センパイ、あの…」もぞっ…

純一「ん? どうかした?」

七咲「……こうやって、じゃれあうのって…久しぶりな感じしませんか」

純一「……確かに、そうだね。最近は僕の受験とかで忙しくて遊ぶことも少なかったし」

七咲「…………」

純一「だからたまに休日にこうやって会ってるけど……あはは、ちょっと寂しかった?」

七咲「…ちょっとなんかじゃないです、すっごく…寂しかったです」

純一「……そっか、ごめんね、七咲」ぎゅっ…

七咲「せんぱい……受験、頑張ってください。応援してますからね」ぎゅ…

純一「うんっ、頑張るよ……七咲も部活頑張るんだよ、僕は僕で頑張るからさ」

七咲「…………」ぎゅっ…

純一「……七咲?」

七咲「…僕は僕で、なんて言わないでください」

純一「え、どうしたの急に…?」

七咲「………。センパイは今だって頑張ってます、ずっとずっと…受験のために時間を費やして一人で頑張ってます」

七咲「でも、一人で頑張り過ぎないでください。もし、悩みがあったのなら私に…
   辛いことがあったのなら……彼女の私に、キチンと相談してください」

純一「……七咲…」

七咲「私は、センパイともっと分かち合いたいです。いっぱいいっぱい会話して、じゃれあって、
   イチャイチャして……そうやって楽しくこれからを過ごしていきたいです」

純一「…ありがと、そういってくれると本当に僕は……嬉しくてたまらないよ」ぎゅっ…

七咲「ぐすっ……センパイ、大好きですから…」

純一「ああ、うん……僕も大好きだよ七咲…」

七咲「私はセンパイと一緒じゃなきゃ…ダメなんです」

純一「……そんなことないさ、七咲はとっても強い子だよ」

七咲「そんなこと、あるんです。センパイ、橘センパイ……私は貴方と一緒にいなきゃ…本当に弱くて…」

七咲「これからさき、どう一人で生きていければいいのか……そんな漠然とした悩みが止まらないんです」

純一「七咲は、大げさだなぁ……あはは」くすっ

七咲「あははっ…ですけど、せんぱい。私はこうやってセンパイとじゃれあってると……とっても心が休まるんですよ。
   今まで悩んでいたことが溶け出して、まっさらな自分へと変わっていくんです」

純一「……………」

七咲「センパイは……もう、どこにも行かせません。私だけの……大切な、大切な…」

七咲「男の人、なんですから……」

純一「……ありがとう、七咲」

純一「僕も……七咲は大切な女の子だよ。一人だけの、僕の一人だけの唯一……大好きな女の子だ」

七咲「せんぱい……」

純一「僕だって……こんな可愛くて、ちっちゃくて、気の強い……いや、気の弱いのかな?
   ───そんな君を、僕はどこにも行かせやしないさ」

純一「七咲───……逢、君は僕のモノだ。離させはしないよ」ぎゅっ…

七咲「………はい」

純一「こうやってまた……いつも通りにじゃれあってさ」

七咲「………」ぎゅっ

純一「お互いに好きだって……言い合って、キスなんかしあってね」

純一「……何処か遠く二人で、旅行なんて行ってみたいよ」

七咲「…じゃあ行きましょう、センパイの合格記念旅行に」

純一「うん、そうだね!」

七咲「ふふっ」

純一「七咲、ご心配ありがとう! ……僕は今日からまた、頑張れそうだ」

七咲「…何時だって呼んでください、私は何時何時だって駆けてきます」

純一「それはすごい! じゃあ七咲も、困ったときがあったら僕をすぐに呼ぶんだよ?」

七咲「はい、その時は……?」

純一「誰よりも早く、七咲の元へ駆け寄っていくよ。負けやしない、だって七咲は……僕のモノなんだから」

七咲「ふふっ……そう、ですね。頑張ってください」

純一「…むむ、そうなると天敵は塚原先輩か…」

七咲「あー、難敵ですね……センパイ、勝てますか?」

純一「か、勝てるさっ! つ、塚原先輩だって……ううむ…」

七咲「……じゃあ、とっても期待して待ってますよ?」

七咲「大好きな先輩なら……私の元に一番に来てくれるって」もぞもぞ

純一「……ああ、まかせろ」すっ

七咲「はい……」

ちゅっ

純一「……七咲は、キスが好きだね」

七咲「…先輩は、嫌いですか?」

純一「ううん、七咲とのキスが……僕は大好きだ」

七咲「同じです……ふふっ、せんぱいとのキスが一番好きなんです」ちゅっ

純一「あはは」

七咲「くすっ…もう一回、します?」

純一「…これからまた、できなくなるかもだしね。……うむ、いっぱい今のうちにシておこう!」

七咲「じゃあ……どうぞ」すっ

純一「………」

ちゅっ

七咲「んっ……せんぱっ、んむっ…ちょ、そんなコトしたら止まらなく────」

~~~~~~

七咲「それじゃあ、先輩……また今度に」ぺこ

純一「え、家まで送っていくよ?」

七咲「大丈夫です、走って帰りますので……先輩は勉強を頑張ってください」

純一「そっか、うん……わかった。じゃあ気をつけてね、七咲」

七咲「はいっ! 先輩も、夜はきちんと勉強してくださいねっ」

純一「えっ……?」

七咲「……部屋にあったゴミ箱、あの中───」

純一「わー!わー! わ、わかったよ! 頑張るから! 七咲も頑張ってね!」あたふた!

七咲「くすっ……はい、それではまた」たったった…

純一「またね」ふりふり…

純一「………ふぅー…」すぅー……

純一「今日も、寒いなぁー……」

純一「……でも、星が綺麗だ。あれは───……くす、なんていったかな……
   もう、覚えてないや……なんでかな、まあ、理由はわかるんだけどね……」

純一「…………」ぶるるっ…

純一「寒い! う、ううっ……風邪を引いたら怒られるどころの話じゃないぞ…!」たったった…

「にぃにー! ご飯できいてるよー!」

純一「ああ、今行くー!」たったった…

純一「…………」たっ…

純一「…………」

純一「…………」くるっ だっ!

純一「すぅううううううう────」ぐぐっ…

純一「───なっなっさぁあああきぃいいいいいいいいいいいいい!!!!」

「………っ?」

純一「だいすきだぞぉおおおおおおおおおおおーーー!!!!」

「……………」

純一「はぁっ……はぁっ……あはは!!」ぶんぶんぶん!!


「っ~~~~………」


「───わたしもでぇええええええええすっ!!」


純一「あははっ……僕もだぁああぁあああああ!!」

「………」ぶんぶん!!

「……」くるっ

「…」たったったった……

純一「……ずずっ…」

純一「……本当に、僕は幸せものだな」

純一「これから先、僕はどれほどの幸せを抱えて生きていくのかな……あはは、楽しみでしょうがないや」

ばん!!

美也「に、にぃに!? 外でなに叫んでるのっ!? ギニャー!!」ばっ!!

純一「え、ちょっ、その素早さは何美也っ……!」

~~~~~~

「ぎゃああああー!!」

七咲「っ……」くるっ

七咲「……くす」

七咲「………先輩、大好きですよ。これからもずっと、ずっと…大好きです」

逢ちゃんおっわりなんだぜ

取り敢えず今日はここまで
途中の寝落ちすみみみみませんでした

ご支援ご保守感謝感激です
このようにながらクオリティで良ければ次回もまたお付き合いください

次はどのくらいで立てるかは不明です
それまでの間に、また違ったアマガミss書くかもですが宜しくです

ではではノシ うんこいってきます

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