雪乃「比企谷君を監禁した」 (385)
ガチャガチャ
八幡「……おいおい、どういうことだよ」
八幡(目が覚めたらいきなりベッドに拘束されてたなんて、わけがわからないよ……)
八幡(ああくそ、両手両足を手錠で縛られてる……)
八幡「おーーーい! 誰かーーーーー!」
八幡「……何やってんだ、こういう時って誰も来ないのがお約束だろうに」
「呼んだかしら?」
八幡「えっ」
雪乃「……気分はどうかしら、比企谷君」
八幡「はぁ? ……はい!? えなにこれ一体どうなってんの」
八幡「ああわかったぞ、ドッキリだろ。そこら辺の俺が見えないところに由比ヶ浜が潜んでんだろ」
雪乃「不正解よ。由比ヶ浜さんはいないわ」
八幡「……じゃあ戸塚? 平塚先生?」
雪乃「いいえ、違うわ。……私だけ」
雪乃「ここには比企谷君と私、二人だけしかいないわ」
八幡「…………」
八幡「おい、雪ノ下。もしかしてこれって」
雪乃「やっと気づいたのね、そうよ。あなたは私に監禁されているの」
八幡「……何がしたいんだよ」
雪乃「まだあんまり考えていないけれど」
八幡「そんな無意味なことする奴じゃないだろお前は」
雪乃「無意味ではないわ。これはあなたを守るためにしたことよ」
八幡「いらねー気遣いすんなよ……自分の身くらい自分で守れますけど」
雪乃「自分から傷を負いに行っているあなたが言うの?」
雪乃「あなた、今まで他人から散々な目に遭わされて、嫌われて、嘲笑されてきたのよね?」
雪乃「にも関わらず、どうして自分を投げ出して他人を助けるの?」
雪乃「あなたには何も得はないのよ? 傷が増えて、下手をすれば他人から更に嫌われる」
雪乃「……だから私が守ってあげるのよ、比企谷君」
八幡「だからって俺を隔離するこたぁねぇだろ」
雪乃「私があなたを守れるのはそばにいる時だけなのよ? どうしても、無防備になってしまう時間が出てくる」
雪乃「その点、こうして動けなくしておけば他人と関わることは絶対にないわ」
雪乃「それに勘違いしないでほしいのだけれど、私はあなたを隔離したつもりじゃなく」
雪乃「いらないものを全て比企谷君から隔離したのよ。そこの所を忘れないように」
八幡「なんだそりゃ……」
雪乃「ねぇ比企谷君、そろそろ夕飯の時間なのだけれど」
八幡(知らねぇよ……)
雪乃「良かったら食べない?」
八幡「……この状況でどうやって食えばいいんだよ。アホか」
雪乃「あなたに罵倒されるなんて世も末ね。比企谷君こそ、こんなことも思いつかないなんて頭が固いのかしら」
雪乃「――私が食べさせてあげるのよ」
八幡「お断りしm」
雪乃「どうして?」
雪乃「ど う し て?」
八幡「ッ!?」ゾクゥ!
八幡(雪ノ下の眼から……光が消えた………!?)
八幡「ど、どうしたんだよ雪ノ下」
雪乃「質問に答えなさい比企谷君」
雪乃「私にご飯を食べさせられたくない、その理由を教えなさい」
八幡「そ、それは………」
八幡(やべぇ、やべぇよ何この状況)
八幡(選択を誤ったら間違いなく殺される、間違いない)
八幡(てかどうすればいいんだよ、選択ミスったら即DEAD ENDってどんなクソゲーだよ)
八幡(……ここは、媚でも売ってみるか?)
八幡(下手に刺激するような言葉を言うより生存する確率はずっと高いだろ)
八幡「は、恥ずかしかった……というか」
雪乃「………///」
雪乃「だ、だからって即答で断らなくたっていいじゃない……もう、いけずなのね」
雪乃「でもダメよ、許さない。あなたは私の手を借りて食事をするの」
八幡(食べさせられんのは不可避なのかよ……死ななかっただけいいと思おう)
雪乃「ご飯を作ってくるから、しばらく待っていて」
八幡(………助かった、のか)
八幡「ふう……」
――――――
――――
――
雪乃「出来たわよ、比企谷君」
八幡「お……おう」
八幡(すっげ、豪華杉)
雪乃「ほら、口を開けなさい」
八幡(あ……そうか、食べさせられるんだった)
八幡(ここで拒否しても俺の身の安全が脅かされるだけだから従うしかない)
雪乃「……あーん」
八幡「あ、あーー」
モグモグ
八幡(う、美味い……悔しいが小町の飯より美味い)
雪乃「……♪」
雪乃「どうやら気に入ってくれたみたいね」ニコニコ
八幡(雪ノ下の笑顔――こんな形で見ることになるなんて)
雪乃「もっと食べさせてあげる……あーん、して?」
八幡(……どうしてこうなった)
八幡(……何も考えるな、考えたところでどうにもならん)
八幡「あー」
モグモグ
雪乃「ふふふ」ニコニコ
――――――
――――
――
八幡「ごちそうさま、でした」
雪乃「お粗末さまでした」
雪乃「ふふ……全部食べてくれた」
八幡「雪ノ下、風呂はどうするんだよ」
雪乃「お風呂……入りたい?」
八幡「そりゃそうだろ……俺は清潔にしないと蕁麻疹が出るんだ」
雪乃「だめ」
八幡「上げて落とすな!」
雪乃「代わりに、体を拭いてあげるから」
八幡「いや、風呂にしようぜ」
雪乃「あなたに決定権があるとでも思っているのかしら」
八幡「…………」
雪乃「濡れタオルを持ってくるわ」
八幡(気が変わって風呂に入れようとかしてくれねぇかな……そしたらどうにかして逃げ出せるんだが)
八幡(ねぇよなぁ……)
雪乃「お待たせ」
雪乃「四肢を手錠で拘束しているから、脱がせてはあげられないのだけれど」
雪乃「別に全部脱がなくても問題はないでしょう? はだけさせるだけで拭くことはできるわ」
八幡(う、……っわ……雪ノ下に脱がされかけてる)
八幡(これなんてエロゲ? いや、そんなことを言っている場合じゃないなんてことはわかってるけど)
雪乃「肌、綺麗なのね」フキフキ
八幡「……そうか?」
雪乃「ええ。あまりに綺麗だから――」
ぺろっ
八幡「っは!」
雪乃「つい、舐めてしまいたくなるわ……」
雪乃「あら、唾液がついてしまったわ。拭きなおさないと」フキフキ
雪乃「……んふふ」
八幡「さ、さっさと……拭けよ」
雪乃「いいじゃない、満更でもないくせに」
八幡「んなことねぇよ」
雪乃「そう、じゃあ次は別のところにしてあげる」
八幡(やめるっていう選択肢は……ないんですね、わかります)
雪乃「ぺろっ」
八幡「っ……!」
雪乃「ぺろ、んちゅ……ちゅうう」
八幡「やめろ、雪ノ下っ」
八幡「体を拭くんじゃなかったのかよ、おい!」
雪乃「はぁ……あむ、ちゅうううっ」
八幡「っ」
雪乃「ふぅ……ふふふ」カシャ
八幡(し、写真……?)
雪乃「見て、比企谷君……」
八幡「な、雪ノ下っ! お前ぇっ」
八幡(首筋に、赤い……)
雪乃「何を驚いているの? キスマークをつけただけよ」
雪乃「比企谷君はもう私のもの。そう言っているだけじゃない」
八幡「だけ……って、おい」
雪乃「ふふふ、ふふふふふ……」
雪乃「もう、離さない」ボソッ
八幡「」ゾクゥ
ブーッブーッ
雪乃「……ちっ」
八幡(舌打ちしやがった……)
ピッ
雪乃「はい、もしもし。……あら、小町さん」
八幡(な、小町!?)
雪乃「比企谷君? さあ……知らないわ。ごめんなさい」スッ
八幡「ん、んんっ」モゴモゴ
八幡(こいつっ、口をふさぎやがった!)
雪乃「そう、由比ヶ浜さんも」
雪乃「まぁ、どうせひょっこり戻ってくるでしょう」
雪乃「……心配しなくてもいいのではないかしら。比企谷君だし」
八幡(そいつぁどういう意味っすかねぇ)
雪乃「そうよ、大丈夫。ああ、いえ、こちらこそ」
ピッ
八幡「……小町」
雪乃「残念ね、もう小町さんにも会えないわ」
八幡「はあ!?」
雪乃「言ったでしょう? あなたはもう私のもの……他の誰にも見せないし、渡さない」
雪乃「例え、あなたの妹でもね」
八幡(目が、怖い……)
――――――
――――
――
雪乃「では比企谷君、おやすみなさい」
八幡「……ああ」
八幡(布団はかけてくれるんだな)
八幡(しかし寝づれぇ)
もぞもぞ
ぎゅっ
雪乃「……比企谷君」ピトッ
八幡「どわあっ!?」
雪乃「大きな声を出さないで……部屋の防音はしっかりしているけれど、私の鼓膜に防音機能はないの」
八幡「お前なんでここで寝るんだよ」
雪乃「自分のベッドで眠ることの何がいけないのかしら」
八幡「他のベッドで寝ろよ」
雪乃「無理よ、ここにはベッドが一つしかないの。それにあなた、家主をソファか何かで寝させる気?」
八幡「なんなんだよお前……」
雪乃「うるさいわ、早く寝なさい。……それとも寝かしつけられたいの?」
八幡「なんでそうなる」
雪乃「そんな体勢じゃ眠り辛いでしょう? フォローくらいさせてちょうだい」
八幡(ってもよ、俺に拒否権なんて無いようなもんだろ)
八幡(拒否ったらどうなるかわかったもんじゃない)
八幡「……あいよ」
雪乃「……よしよし、良い子ね」ナデナデ
八幡(俺はガキか)
雪乃「目がとろんとしてきたわね……眠たい? もう寝てしまうのかしら」ナデナデ
八幡「さあ、な」
雪乃「相変わらず素直じゃないのね、気持ちいいのでしょう?」ナデナデ
八幡(や、べ……)
雪乃「……おやすみなさい」チュッ
八幡「………………」ガクッ
――――――
――――
――
雪乃「比企谷君、起きなさい」
八幡「……ん、雪ノ下」
八幡(そうだ、俺はこいつに監禁されて)
雪乃「やっと起きたのね、おはよう」
ちゅっ
八幡「――ッ!?」
雪乃「おはようのキスよ、比企谷君」ニコニコ
八幡(甘ぇ……)
八幡「……はっ! ちょっと待て、学校は」
雪乃「今日は土曜日よ? ……あなたにはもうあんなところには行かせないけれど」
八幡「は、は?」
雪乃「朝ご飯を作るわ。美味しく作るから」
八幡(……………)
雪乃(さて、どうしようかしら)
雪乃(朝食だし、やっぱり食べやすいものがいいわよね)
雪乃(それと栄養バランスも考えないと……野菜をちょっと多めに)
雪乃(後は……)
雪乃(………………ふふっ)
雪乃(ちょっとだけ……少し前に取り寄せた媚薬を……)
雪乃(仕方ないのよ、監禁している以上性欲処理の問題も入ってくるのだから)
雪乃「出来たわ、比企谷君」
八幡「おおう……」
八幡(朝飯だってのに豪勢すぎんだろおい)
雪乃「ん」
八幡「……あー」パクッ
雪乃「どう? お口にあっているかしら」
八幡「ああ、美味いよ」
雪乃「よかった」
雪乃「……ふふ」ニコニコ
雪乃(食べたわね、後で楽しみにしていて)
八幡(嫌な予感がする)
――――――
――――
――
八幡「……ごちそうさま」
雪乃「お粗末さま」
八幡(やべぇよ……順調に餌付けされてる気がする……)
八幡(このまま雪ノ下に胃袋を掌握される前に逃げ出さないとマズい)
八幡(……んだが、どうすりゃいいんだよ)
八幡(いくらなんでも雪ノ下を欺いて拘束を解いてもらおうなんて無理だ)
八幡(力ずくでどうにかするのも正直ダメだろう)
八幡(――あれ? これって手詰まり?)
八幡「……暇。こいつ解いて」
雪乃「ダメよ。逃げ出すでしょう」
八幡「チッ」
雪乃「だから、逃げ出さない程度に解いてあげる」
カチャ
雪乃「両腕を自由にしたわ。本でも持ってきましょうか?」
八幡「あ、ああ。頼む」
八幡(どうせなら足のやつも外せよ)
雪乃「とりあえずこれだけ持ってきたわ」ドサッ
雪乃「好きなものを読んでいて。私もそばにいてあげるから」
八幡(いや、それはいらない)
八幡「……雪ノ下」
雪乃「何かしら、読書は気が向かない?」
八幡「トイレ行きたいんだけど」
雪乃「……どうしようかしら」
八幡「さすがにここで垂れ流すのは嫌だぞ、お前もここで寝るんだし」
雪乃「そうね」
カシャ
カシャ
雪乃「腕と腕を繋いだわ」
雪乃「これで離れられないでしょう?」
八幡「多分引きずって外にいけるがそれでもいいんだな」
雪乃「あら、そんなことをしたら警察に捕まるけど」
八幡「ですよねー……」
八幡「鎖が短すぎて二人で入るしかないとか……」
雪乃「ほら、早くしなさい」
八幡「なんでこっち見てんだよ」
雪乃「鎖のせいで振り向くことすらままならないのよ」
八幡(こいつ……はかったな……)
八幡「……ん」チョロチョロ
雪乃「……///」
八幡「なに赤面してんだよてめぇ」
雪乃「いえ、なんでもないわ」
雪乃「それより排泄は終わったのだから、早く戻りましょう」
八幡「……あいよ」
カシャ
八幡「またつけんの……?」
雪乃「仕方ないでしょう、監禁しているのだから」
雪乃「両腕の拘束は解いたままだから本位は読めるでしょう」
八幡「……これ読も」
雪乃「その赤い本を取って」
八幡「これか」
雪乃「ありがとう」ペラッ
八幡「」ペラッ
雪乃「」ペラッ
八幡「」ペラッ
雪乃「」ペラッ
八幡(……いつもの部活とあまり変わらんな)
八幡(俺の足が自由じゃないのと、雪ノ下との距離が近いのを除いて)
八幡(まるで監禁されてないみたいじゃないか……なんか俺、微妙に落ち着いてね?)
八幡(美味い飯も出してくれるし、これ監禁じゃなくて居候みたいだな)
八幡(いや、外出禁止で動けないから一応監禁でいいのか)
八幡「」ペラッ
雪乃「」ペラッ
八幡(……なんだ、なんか、体が熱い)
八幡(気のせいか……?)
八幡「雪ノ下、暑くないか」
雪乃「……いいえ。気のせいよ」
八幡「そうか」
雪乃(…………♪)ニヤッ
八幡「……ん」ペラッ
雪乃「」ペラッ
八幡「っ、……」ペラッ
雪乃「んちゅっ」
八幡「ふあっ!?」ビクゥ
雪乃「ちゅ、じゅるるる」
八幡「あ、ぅ……やめ……ろ」ガクガク
雪乃「……キスマーク、2つ目よ」
雪乃「すっかり癖になってしまったみたいね……がくがく震えて、声も漏らしてしまって」
雪乃「……そんなによかったの?」
雪乃「ねぇ、答えてちょうだい。気持ちよかった? 気持ちよかったわよね」
雪乃「どうなのかしら? 比企谷君、答えなさい」
八幡(だからその目やめろ怖い)
八幡「……察しろ、男の口からんなこと言わせようとすんな恥ずかしいから」
雪乃「あら、ごめんなさい」
雪乃「……確かに一理あるわ。恥ずかしいものね、首筋を吸われた快感でびくびくと体を震わせて」
さわっ
雪乃「ここをこんなに……大きくしてしまうんだもの、ね」
八幡「う、うぅ……」
雪乃「……夜までお預け」
雪乃「今のうちにたくさん溜め込んでおきなさい……その分後で気持ちよくなれるから」
雪乃「ふふっ」
八幡(怖い……)
雪乃「というわけで、読書はおしまいよ」ガチャ
八幡「あ、お、おい!」
雪乃「お昼ご飯まで、あなたの身体で遊んであげる」
雪乃「たっぷり溜め込むのよ……」ツツー
八幡「くぉ……」ビクン
雪乃「敏感ね……どこを触ってもこうなるのかしら? いじり甲斐があるわ」
八幡「や、やめろ雪ノ下」
雪乃「どうして? あなたの身体はこんなに悦んでるのに」
八幡(出た! お決まりの『ぐへへへ、そんなことを言っても体は正直だぜぇ』だ!)
雪乃「こことか……いじってほしそうにビンビンなのだけれど」クリッ
八幡「んあっ!」ビクン
八幡(乳首……!?)
雪乃「この反応……あなたもしかして乳首でシたことがあるのかしら」クリクリ
八幡「ねぇよ……っ」
雪乃「そう、意外ね」クリクリ
八幡「はぁんっ! やぁ、やめぇっ」
雪乃「静かにしてもらえないかしら。声も我慢できないの?」クリクリ
八幡「…………っ」ギリッ
雪乃「歯を食いしばってもダメなものはダメだと思うのだけれど」クリクリ
八幡「ぅ……あ、ああああっ!」
雪乃「……情けないのね」クリクリ
八幡「ゆ、雪ノ下……おかしくなりそうだっ」
雪乃「いいのよ」
雪乃「おかしくなっても、いいの」
八幡(また……あの目)
八幡(っ!? 目が、逸らせない……!)
八幡「や、い、イくう、ああああああっ!!」ビクンビクン
八幡「うぁ、……ぁ」ヘタッ
雪乃「……イッてしまったの? 乳首だけで?」
雪乃「変態」
八幡「違う、違うんだ……」
八幡(こんなこと、したことないのに……どうしてなんだよ)
雪乃「何が違うと言うの? あなたは乳首を刺激されただけで絶頂した変態よ、その事実は変わらないわ」
八幡「……く」
雪乃「……まぁ」
雪乃「そんなあなたも好きだけれど」チュッ
八幡「!」
雪乃「どうしたのかしら、驚いた顔をして」
雪乃「まさか、今ので私が比企谷君のことを嫌いになったとでも思ったのかしら」
雪乃「ありえないわ、絶対に」
雪乃「……寧ろ、一層好きになったわ。私の愛撫であんなに悦んでくれたのだから」
八幡「………………」フイ
雪乃「恥ずかしいの?」
八幡「全然」
雪乃「心配しなくてもいいのよ、あなたは羞恥の感情にも快感を感じるようになるのだから」
雪乃「ふふ、気持ちいいことは幸せなこと……そうでしょう?」
八幡(なんなんだよそれ)
八幡(怖すぎる……)
雪乃「比企谷君、次は何をして欲しいのかしら」
雪乃「キス? また乳首責め? ……性器はダメよ、まだお預け」
八幡「してくれなんて言ってねぇよ」
雪乃「あなたの目は期待しているようだけれど?」
雪乃「『目は口ほどに物を言う』と言うでしょう? 口でいくら拒否しても、目は嘘をつけない」
雪乃「あなたの目は、心は『もっとしてほしい』と私に伝えたのよ」
八幡(意味がわからない……)
雪乃「…………ふふ」
雪乃「……ねぇ、あなた自分のことを猫みたいだって思ったことはないかしら」
八幡「まったくない」
八幡(話が急に変わり過ぎだろ、それと俺のどこがカマクラに似てるんだよ)
雪乃「そうなの? 結構似てると思うのだけれど」
雪乃「不貞腐れた時の目があなたにそっくりなのよ」
雪乃「それと、顎のあたりをなでてあげると喜ぶのも」サワサワ
八幡「ふぁ……」
雪乃「ほら、やっぱり」
雪乃「……ちゅっ」
八幡「っ」ビクッ
雪乃「あ……ごめんなさい。あなたがあまりにも可愛すぎるから、つい」
八幡(無心だ……心を無にするんだ)
雪乃「照れているの? ……こんな言葉、言われたことなんて無いでしょう」
八幡「ねぇけど。悪いかよ」
雪乃「いいえ? 寧ろそうでよかったわ……私が最初に言えたのだから」
雪乃「最初に言えた、さいしょ、はじめて、初めての相手……ふふふ」ブツブツ
八幡(怖い怖い怖い)
八幡(目の焦点あってねぇよどこ見てんだお前は)
雪乃「比企谷君っ」ギュー
八幡「うわっ!?」
雪乃「すきぃ……」モフモフ
八幡(俺の腹に顔をうずめてどうするんだよ)
雪乃「ふふ、ひきがやくんでいっぱい、ふふふふふふ」モフモフ
雪乃「あは、ひきがやくんのにおいだぁ……すきぃ……」クンクン
八幡(ああああああ振りほどきたい)
雪乃「しあわせ…………」
雪乃「」コテン
八幡(寝やがった……)
八幡(……雪ノ下がこんなに甘えてくると、なんだか変な気分になるな)
八幡(………そっとしておくか)
――――――
――――
――
雪乃「……ん」ムクッ
雪乃(今の時間は……嘘、5時半!?)
雪乃「ひ、比企谷君! ごめんなさい! ごめんなさい!」
八幡「うおっ!?」
雪乃「あ……寝ていたのね」
八幡「……両手を縛られてちゃ読書も出来ないしな」
雪乃「お腹空いたわよね……本当にごめんなさい」
八幡「別にいいよ、そんなに腹へってな――」グー
八幡「………………」
雪乃「………………」
八幡「い……いいからさっさと作って来い、はよ、はよ!」
雪乃「はいはい、そうするわ……ふふふ」
雪乃(……比企谷君はこんなにも優しい)
雪乃(なのに、なのにどうして人間は比企谷君を傷つけるの?)
雪乃(どうして比企谷君は傷つかなくてはいけないの?)
雪乃(比企谷君が偽悪的だから? なら人間は表面でしか物事を判断出来ない愚か者の集まりよ)
雪乃(思考が卑屈だから? そんなものは比企谷君に限ったことじゃない)
雪乃(ほら、大した理由もない。それなのに比企谷君は傷つけられている)
雪乃(比企谷君の目が腐ってしまったのは、きっと汚らしい人間世界に汚染されてしまったから)
雪乃(私だけ……比企谷君を守れるのは私だけ)
雪乃(恨まれてもいい、憎まれてもいい、好かれようだなんて微塵も思わない)
雪乃(ただ、比企谷君が幸せなら……それだけでいい)
――――――
――――
――
(食後)
雪乃「比企谷君、少し話があるの」
八幡「なんだよ」
雪乃「その、あなたは……帰りたいかしら」
八幡「そりゃ、まぁな……」
雪乃「私は……帰って欲しくないわ」
八幡「……だろーな、監禁するくらいなんだから」
雪乃「比企谷君、私があなたを監禁した理由を……教えてあげると言ったら?」
八幡「聞くだろ……なんで監禁されたかぐらいは知る権利がある」
雪乃「……一応予想を聞いておこうかしら」
八幡「俺で人形遊びを」
雪乃「ふざけているの?」
八幡「ちょ、だって」
雪乃「人形に愛を囁く趣味はないのだけれど」
八幡「……おい雪ノ下」
八幡「お前まさか……ヤンデレ?」
雪乃「……? なにかしらそれは」
八幡「いややっぱなんでもない」
八幡「え、何? 俺が監禁された理由ってさ、雪ノ下が俺のことを……好きだから、ってことか?」
雪乃「そうよ」
八幡(ヤンデレ確定……だと……)
八幡「……なんなんだよ、告白するなら普通にすればよかったじゃんかよ」
八幡「どうして、監禁なんか」
雪乃「ひとつ聞いていいかしら、比企谷君。あなたは自分が何故傷つけられるのか考えたことはある?」
八幡「まぁ……ある」
雪乃「答えは……出ているの?」
八幡「……いや……それは」
雪乃「でしょうね、私にも出せなかったもの」
雪乃「理由があるならその問題を解決することで事態を収拾することが出来るのだけれど」
雪乃「理由のない暴力を止めることは出来ないの」
雪乃「……最初に言ったでしょう? いらないもの、あなたに害を及ぼすもの全てをあなたから隔離することで、あなたを守るのよ」
八幡「雪ノ下……」
八幡「こんなことしなくたって……俺は、雪ノ下に大事に思われてるって」
八幡「こんな俺を大切に思ってくれている奴がいるってだけで……十分なんだ」
八幡「傷つくことには慣れっこだからな、今更傷つきたくないなんて言わねぇよ」
八幡「……俺は、傷つくことから守ってほしいんじゃないんだ」
八幡「俺の心を受け止めて、癒してほしいんだ」
八幡「なぁ、雪ノ下」
八幡「やり直そう……今ならまだ間に合う」
八幡「俺もお前の好意を疑ったりしないし、自分を投げ捨てるような真似はしないようにする」
八幡「だから――」
雪乃「ふざけないでッ!!」
八幡「!?」
雪乃「駄目よ、駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目」
雪乃「あなたはずっとここにいて、平穏に、幸せに暮らすのよ」
雪乃「よかったじゃない……あなたの将来の夢、叶ったわね」
雪乃「『帰りたい』というのもきっと一時の気の迷いよ」
雪乃「そんなことを考えられなくしていまえばいいだけ」チュッ
八幡「ん、んんっ!」
八幡(こいつ、舌を入れてきた……)ゴクン
八幡「――!」
雪乃「ぷはっ」
八幡「雪ノ下、お前ッ! 俺に何を飲ませた!」
雪乃「媚薬よ」
八幡「はぁ!?」
雪乃「朝にも飲ませたけれど、気づいてなかったのね」
八幡「それで、俺は……」
雪乃「この薬、結構強いのよ」
雪乃「多分、何も考えられなくなるくらい気持ちよくなれるのではないかしら」
雪乃「それに約束したわよね? 『夜までおあずけ』……裏を返せば夜になったらしてあげる、ということ」
八幡「っやめろ、雪ノ下! 考え直せ!」
雪乃「もう決めたことよ……比企谷君を犯すわ」
雪乃「たっぷり、楽しみましょう」
八幡「おま、えっ」ガシャガシャ
雪乃「もがいても無駄よ? 抜け出せるわけがないわ」
雪乃「……効いてきたみたいね」ナデ
八幡「ぐぅ!」ビクッ
雪乃「ズボンがはち切れそう……窮屈なのね、出してあげる」ボロン
雪乃「……先っぽがとろとろよ? いやらしいのね」チュッ
八幡「ふぁっ!」
八幡(亀頭にキスされただけでこんなに……)
八幡(体が、痺れて熱い)
雪乃「んふふ」チロチロ
八幡「く、あ」ビクッ
雪乃「あむ、じゅぽっ」
八幡「―――ッ!」ビクッビクッ
雪乃「……ん」
雪乃「どうしたの比企谷君? 出したいの?」
雪乃「そうよね、こんなにひくひくさせているのだから」ナデ
雪乃「どうせ出すなら……中で出しなさい」
八幡「雪ノ下……やめろ、それだけは……ッ」
雪乃「問題ないわ、生理周期的に妊娠する確率は限りなく低いのだから」
八幡「そうじゃ、な……あぁッ!」
じゅぷっ
雪乃「ふふ、入った」
雪乃(破瓜の痛みは大したことないのね……覚悟していたのに拍子抜けだわ)
八幡「う……あ……」
雪乃「気持ちいいの? 比企谷君」
雪乃「動くわよ……」パンパン
八幡「んん、んうう!」
雪乃「声が出てしまうのがそんなに恥ずかしいの? 仕方ないわね」パンパン
ちゅっ
八幡「んむっ!」
雪乃「じゅるっ、ちゅうう」
ぱんぱん
八幡「んっ! んぅう―――!」ドピュドピュ
雪乃(私の中で出してる……ちょっと早いかしら?)
雪乃(薬で興奮させているから当たり前だけれど)
雪乃(一度じゃ満足できないわ……もっと搾り取ってあげる、比企谷君)パンパン
八幡「は、んぁ!」ゾクゾク
雪乃「快楽に身を任せなさい、欲求に素直になるのよ」パンパン
雪乃「もっと気持ちよくなりたいのでしょう? それでいいの」パンパン
雪乃「邪魔な考えや意識なんて、忘れてしまいなさい」パンパン
八幡「」プツン
雪乃「……ふふっ」
八幡「はぁ、はぁあ!」ズンズン
雪乃「んっ、……ふぁ!」
雪乃「そうよ比企谷君っ、もっと突き上げなさいっ!」
雪乃「ひ……やぁあぁ! 駄目っ、イッちゃ……っ!」
八幡「ぐぅうう!」ビュクッ
雪乃「ひきがやくんっ、あ、ああああ!」ビクンビクン
八幡「……、雪ノ、下ぁ」
雪乃「分かっているわ、もっと……しましょう」
――――――
――――
――
雪乃「……ん」
雪乃「疲れて、寝てしまっていたのね」
八幡「………………」
雪乃「比企谷君、起きていたの」
雪乃「着替えさせてあげるわ、そんな格好じゃ風邪をひくから」
八幡「なぜ着替えが」
雪乃「サイズも丁度のはずよ、調べたから」
八幡(……どう調べたかは聞かないでおこう)
雪乃「上から脱がすわ」カチャ
八幡(何この肌触り、どんな生地使ってんの)
雪乃「はい、次は下」カチャ
八幡「あ、ああ」
八幡「……」
雪乃「どうしたの、そんなに赤くなって」
雪乃「昨日はさんざんここで交わったじゃない」
八幡「そういうことを言うのはやめてくれ……」
八幡「いいから早く変えろ」
雪乃「はいはい」
八幡「……雪ノ下」
八幡「朝チュンからこんなこと言うのもなんだが」
八幡「出してくれないか、ここから」
雪乃「駄目」
八幡「即答すんなよ……」
八幡「……なんで駄目なんだ、俺は乳児期から高校までずっとぼっちでも生きて来られたんだぞ?」
八幡「そんなに俺のことが信用ならないか」
雪乃「ええ」
雪乃「今のあなたほど信用できないものもないわ」
雪乃「どうせ、外に出たい一心で適当な言葉を並べているだけなのでしょう」
雪乃「……駄目、許さない」
雪乃「外には辛いことしかないのに、わざわざ行く必要があるの?」
八幡「楽しいことだってあるかもしれんだろ」
雪乃「確証はないのね」
雪乃「余計な事を考えるのはやめなさい、そんなことをしてもあなたは幸せになんてなれない」
八幡「今だって幸せじゃねーんだけど」
雪乃「それは手錠のことを言っているのかしら」
雪乃「比企谷君が逃げ出さないとわかったら外してあげるわ」
雪乃「……そもそも比企谷君の幸せとは何? どこにあるのかしら」
八幡「自宅で小町とだらだらする」
雪乃「ならここを自宅にして、私とだらだらすれば問題ないのね」
八幡「なんだよその理論」
雪乃「では妹として朝食でも作って来ようかしら」
八幡「……いらねぇ」
雪乃「……え?」
雪乃「どうしたの比企谷君? 食欲がないの?」
八幡「ああ、ねーよさっぱりだ」
雪乃「それでも何か食べないと……」
八幡「どうしても飯を食わせたいなら条件でもつけるか」
八幡「『俺をここから出す』、そう誓うなら食ってやるよ」
雪乃「……そう、あなたはここで死ぬのが望みなのね」
八幡(ちげぇよここから出たいんだよ思考がかっとビングしすぎだろ)
雪乃「なら、私も一緒に死んであげる」
雪乃「あなたと同じように死ねば、きっと一緒に逝けると思うわ」
八幡「…………は?」
――――――
――――
――
結衣「絶対なにかあったんだよ、ヒッキーに!」
雪乃「……でしょうね」
平塚「しかしどうしたというんだ比企谷は……」
雪乃「引きこもり気味でシスコンの彼が家に帰らない時点で相当な事ですが」
雪乃「……何かの事件に」
平塚「め、滅相もないことを言うな雪ノ下!」
結衣「でも、その可能性は高いよね……」
雪乃「比企谷君が無事に見つかることを祈るしか……」
平塚「……ああ、それしか出来ん」
結衣「うう……ヒッキー……」
結衣「もうキモいなんて言わないから……帰ってきてよぉ」グスッ
――――――
――――
――
結衣「ゆきのん、最近顔色悪くない?」
雪乃「そうかしら」
結衣「そうだよ、顔が真っ青だよ……」
結衣「ヒッキーのこと、やっぱり気になってるんだね」
雪乃「ええ……そのおかげで食事が喉を通らなくて」
雪乃「らしくないわね……」
結衣「ゆきのん……」
結衣「……ヒッキー」
結衣「お願い、早く戻ってきて……」
結衣「ゆきのんが、ゆきのんが……」
――――――
――――
――
雪乃「……」フラフラ
平塚「……!? ゆ、雪ノ下!」
雪乃「平塚先生……何か御用ですか」
平塚「どうした、おい! 体調が悪いなら無理をして来なくてもいいんだぞ」
雪乃「大丈夫です……」
雪乃「それに、比企谷君が一人いなくなっただけで学校を休むだなんて……馬鹿馬鹿しいと思いませんか」
平塚「比企谷一人がいなくなっただけでここまで体を壊すお前も馬鹿馬鹿しいだろう」
平塚「……明日から休みでよかったな、早く帰ってゆっくり休め」
ガチャ
雪乃「ただいま……比企谷君……」フラフラ
八幡「雪ノ下……もうやめろ……」
八幡「マジでお前……死ぬ、ぞ」
雪乃「それは、あなたも同じよ……」
雪乃「……ふふ、そろそろかしら」
八幡「雪ノ下、おい、おい……」
雪乃「もうすぐ、二人で……死ねるのね」
雪乃「一緒に、眠りましょう……八幡 」トサッ
八幡「雪ノ下……雪ノ下! おい!」
八幡「待てよ……死ぬなよ……」
八幡「何か……食えよぉ……頼むから……ッ」
雪乃「……はちまん……」
雪乃「わたしに……どうして、ほしいのかしら……」
八幡「生きて……くれよ……! 死なないでくれよぉ……!」ポロポロ
雪乃「……そう」
雪乃「あなたが……そこまで言うなら……」フラッ
フラフラ
雪乃「確か、ここに……」ガクッ
雪乃「……うっ」
雪乃「はぁ、はぁ」ガサガサ
雪乃「あった……」
フラフラ
雪乃「はち……まん……」
八幡「…………!」
雪乃「非常用の乾パン……探してきたの……」
雪乃「いっしょに……食べましょう」ビリッ
雪乃「はちまん……あーん……」
八幡「ん……」ポリポリ
雪乃「ふふ……」
雪乃「あむ……」ポリポリ
雪乃「ごめんなさい、手錠を外す力もないの……」
八幡「……いいよ、食わせてくれるんだろ」
雪乃「……ええ」
八幡「……はぁ、生き返った。まだ死んでねぇけど」
雪乃「八幡」
八幡「ん……?」
雪乃「私はあなたと一緒に死ぬつもりでいたわ」
雪乃「……でも、八幡に死なないでほしいと言われた時は」
雪乃「とても、嬉しかったわ」
八幡「そう、かよ」
八幡「なんつーか、さっきは自分も死ぬかもしれないってことはすっぱり頭から消えてたな」
八幡「雪ノ下のことしか考えてなかった……みたいな」
雪乃「…………////」
八幡「照れんなよおい」
雪乃「し、仕方ないでしょう」
雪乃「そんな青臭い台詞を何の躊躇もなく吐けるあなたが悪いのよ」
八幡「何言ってんだよわけわかんねぇぞ」
雪乃「ふん」ツーン
八幡「おいおい……」
雪乃「……ちょっと待っていなさい」テクテク
雪乃「っと、ここに」
八幡「……鍵?」
カチャカチャ
雪乃「『何か食べさせたいならここから出すと誓え』……なんて言っていたでしょう」
八幡「あー、四肢が自由に……何日ぶりだろ」
雪乃「……もう監禁は終わりよ。警察に行くなり家に帰るなり、好きにしなさい」
八幡「……それはとってもありがたいんだが」
八幡「多分、外はもう真っ暗だろ? そんな中を栄養失調気味の目つきの悪い男がうろついたらどうなると思う」
雪乃「……保護?」
八幡「通報されるだろ……すっかり棘がとれやがって……」
八幡「でー、だ、その」
八幡「……泊まらせろって言ってんだよ言わせんな恥ずかしい」
雪乃「……いいわ、是非泊まっていって」
――――――
――――
――
八幡「……ふぁ」
雪乃「」ギュー
八幡(抱き枕にされてる……)
八幡(俺が気づいてないだけで、きっと毎日されてたんだろうな……)
雪乃「はち……まん……」
八幡(やばいやばい理性ががが)
雪乃「す、き……」
八幡(あばばばばばばばばば)
八幡(だ、抱き返すくらいなら……)
八幡(そもそも俺は雪ノ下でDT卒業したんだからそんなに遠慮しなくてもいいよね)ギュー
八幡(……あったけぇ)
八幡(氷の女王だの散々言ってたけど、こいつだって)
八幡(眠い……いいや、寝ちまおうか、起こすわけにもいかねぇしな……)
雪乃「……そろそろ起きたらどうかしら、お寝坊さん」
八幡「ん……」ムクッ
雪乃「おはよう、八幡。随分と気持ちよさそうに眠っていたようだけれど」
八幡「一応お前より先に起きたけどな」
八幡「抱きつかれてたせいで起きられなかったんだよ」
雪乃「……あら、気遣ってくれたの? 優しいのね」
八幡「……」フイ
雪乃「ふふふ……」ニコニコ
雪乃「朝食にしましょう、もう出来ているわ」
八幡「いただきます」
雪乃「召し上がれ」
八幡「……こうやって普通に飯を食うのも久しぶりだな」
雪乃「また食べさせてもらいたいのかしら」
八幡「んなこと言ってねーよ」モグモグ
八幡「ふぅ、やっぱり美味いな……金払ってもいいレベル」
雪乃「あなたからお金なんて取りたくないのだけれど」
八幡「言葉のあやだよ……察せ」
雪乃「相変わらず素直じゃないのね」
八幡「悪かったな……」
雪乃「いいえ、全く悪くないわ。そういう八幡が大好きだもの」
八幡(デレすぎィ!)
――――――
――――
――
八幡「……んじゃ、世話になった」
八幡「小町には適当に誤魔化しておくから変な心配はすんなよ」
雪乃「……ありがとう」
雪乃「もしよかったら、また来てちょうだい」
雪乃「いつでも待っているから」
八幡「……気が向いたら来るよ」
八幡「じゃあな」
雪乃「ええ、また会いましょう」
バタン
雪乃「………………」
雪乃(これで、いいのよ)
雪乃「…………………………」グスッ
八幡「……はぁ」テクテク
八幡(振り返ってみると、監禁生活もそんなに悪くなかった気がする)
八幡(美味い飯は食えたし、童貞卒業出来たし……)
八幡(餓死しかけたことはおいとくか)
八幡(しかし、雪ノ下があんなに俺のことを好きだとは思ってなかった)
八幡(……あ、昨日の夜辺りから名前で呼ばれてなかったか俺)
八幡(恥ずかしい……)
八幡「……どう言い訳しようか」テクテク
「ヒソヒソ」
八幡「……?」
八幡「気にすることないよな」
「ヒソヒソ」
八幡(うるせぇな……)
八幡(内緒話ならもっと声を潜めろよ)
「ヒソヒソ」
八幡「……」
八幡(視線を感じる……)
八幡(そりゃ、結構人がいるところを通ってるし……俺をガン見する趣味の悪い奴がいてもおかしくないが)
「ねぇ、あいつキモくない?」
八幡「ッ!?」
八幡(……落ち着け、俺じゃない)
八幡(それともなんだ? 最近めっきり陰口を叩かれてないから耐性が弱くなったか)
「あー、そうだねぇ。マジキモい」
「特にさ、あのゾンビみたいな目とかヤバくない?」
「あたしもそう思ってた! 超ヤバイよね!」
「うわ、見てみろよあいつ」
「だれだれ?」
「ほら、あの目つき悪い奴」
「すげぇ、ほんとに目つき悪いわ……友達とかいなそうじゃね」
「割とガチじゃね? 見た感じ暗いしコミュ障だろ」
「友達になりたくないタイプ? んなこと急に聞かれても……あ」
「ああいうのかな、ほらあそこの歩いてる男とか」
「あれ? ……ああ、わかる」
「なんかさ、意味もなく他人を見下してそうだよね」
「俺に近づくんじゃねーよ的なオーラ出してる感じだわ」
八幡(…………!?)
八幡(俺の、ことだよな)
八幡(知るか、馬鹿らしい……他人からどう思われようが俺は――)
「あーいうのってさ、生きてる価値なくね?」
「働きもせずにぐーたらしてそうだよね」
「社会に要らないよね、あれ」
「ぶっちゃけ生きてる価値もねーだろ」
「事故って死んだら面白そうじゃない?」
「首吊りのほうがいいだろ」
「目に映るだけでさ、うざいよね。目障り」
「死んでもいい奴ってさ、こういう奴のことじゃない?」
八幡(どうしてだ……どうして見ず知らずの俺を……)
八幡「っぐ、あ……」
八幡(頭が、痛い……)
八幡(立ってられない……あそこの、ベンチで)フラフラ
トスッ
八幡(しばらく休もう……)
「……あ、あの」
八幡「……?」
「大丈夫ですか……? 頭、痛そうですけど……」
「救急車を呼んだほうが……その」
八幡「心配されるほどじゃない……帰って寝れば治る」
「で、でも」
八幡(……こいつの顔、さっき見なかったか?)
八幡(俺の陰口で賑わってる馬鹿どもの中にいたような……)
八幡(……はん、なんだよ)
八幡(そういうことか、心配するふりをしておいて俺を嘲笑いに来たんだろう、えぇ?)
八幡「……るせぇな」
「え、え?」
八幡「お前の施しなんて誰が受けるか」
八幡「ついさっきまで俺への嫌味で散々なこと言ってたじゃねえか」
「私、そんなことしてませんよ!?」
八幡「無駄だ、無駄無駄無駄無駄」
八幡「もう俺にその手は通用しない」
八幡「優しい顔をして近づいておいて、結局は俺を騙すんだろう」
「お、落ち着いてください! そんなひどいことしませんから……」
八幡「五月蝿い、黙れッッ!!」
「ひいっ!」
「き、君……どうしたんだね」
八幡「寄るな! 近づくな!! 消えろクズども!!!」
八幡「あああああああああああああああああああああああああぁぁッッッ!!!!」
+ ノ
+ ∧_⌒、∧ +
(,,゚⊿ゝ゚)+「ハッハッハッ!My name is Jonny!」
/;;;;;;;;/
し`J
+ ノ
+ ∧_⌒、∧ +
(,,゚⊿ゝ゚)+「Nice to meet you!」
/;;;;;;;;/
し`J
さるさん+出勤時間のデスコンボを食らった
保守ありがとう、書くけどすぐ終わる
――――――
――――
――
八幡(……はは)
八幡(こりゃ、ひでぇわ)
八幡(俺は雪ノ下にこんな所に行きたいなんて言ってたのか……)
八幡(………………)
八幡(……帰ろう)
八幡(俺の居場所へ)
八幡(雪ノ下……、雪乃ならきっと)
八幡(受け入れて……くれるよな……)
ピンポーン
『はい……』
『……!? は、八幡っ』
『どうしたの……? 何かあったのかしら……』
八幡「……開けて、くれ」
八幡「頼む……開けて……雪乃……」
『は、八幡……?』
八幡「早く、早く」
八幡「開けろよ、早く!」
『そ、そんなに急かさないでちょうだい……』
『ちゃんと開けるから……』
ウィーン
八幡「っ」ダダダ
ガチャ
八幡「……雪乃」
雪乃「八幡……本当にどうしたのかしら」
ぎゅっ
雪乃「!!」
雪乃「は、はちまんっ」
八幡「雪乃……ゆきのぉ……!」グスッ
雪乃「…………」ギュー
八幡「……ずっと、ここにいたい」
雪乃「えっ……?」
八幡「もう、外には……出たく、な……」ポロポロ
雪乃「八幡……」
雪乃「……苦しかった、辛かった?」
雪乃「もう、一生分の苦しみを味わったもの……ね」
雪乃「あなたの幸せがここにあるなら……ずっとここにいていいわ」
雪乃「私が、ずっと側にいるから」
雪乃「一生かけてあなたを愛して、守って、幸せに暮らすの」
八幡「ゆき、の……」
雪乃「……お疲れ様、八幡」ナデナデ
雪乃「私と二人で、生きてくれるかしら」
八幡「……っ」ギュー
雪乃「……よしよし」
八幡(……こうして、俺は外界から完全に独立し、雪乃と二人で暮らしはじめた)
八幡(雪乃の側にいるととても落ち着いて、幸せな気分だ)
八幡(彼女は俺といる時間を増やすために在宅勤務にしてくれた)
八幡(たまに手伝っているが、作業は驚くほど難しい。改めて雪乃への感謝と愛情が深まる)
八幡(料理や掃除、最近は風呂も一緒にしている)
八幡(……もう、雪乃のことしか頭にない)
八幡(雪乃に関する事以外は全く必要ないから、問題ない)
八幡(……ああ、なんだっけ、外に一人二人くらい大事な人がいたような気がする)
八幡(どうでもいいか、名前も覚えてないんだからその程度なんだろう)
八幡(もう俺には雪乃しかいらないし、な)
おわり
深夜にスレ立てるのはもうやめにするよ
お疲れ様でした
このSSまとめへのコメント
ヤンデレゆきのんよかった
最高
すばらしい
感動で涙が止まらない
すげぇ、クオリティ高くて驚いたわ