ほむら「ホムウッ!」(292)

目を離した隙ににさるって落とすのはやめろと言っただろ!

こいよアグネス!

ほら遠慮スンナよ1

すまぬ……

流石に今回は続きから…
さるさんはSS書きにとっての…モンキーなんだよJOJOォォーーー

きたきた!
さあさあ!

杏子「この野郎ッ!」

サヤタナ「無駄ァ!」ガシィィン

杏子「受け止められたァ!?」

サヤタナ「AGGAAAAAAAA!!!!!」ブォン

杏子「速いッ!」ヒュッ

ズパパパパ

杏子「う、うわああああああ!!!」グォオオォォォン

バッシーッ

杏子(ううっ!まるで二階か三階から飛び降りたみたいに強烈!またしても掠っただけでこの威力だとォ!!)

まどか「杏子ちゃん!サヤタナちゃんごめんッ波紋をぶん流してあげるッ!!」

ゴッ

ガッパァァ

サヤタナ「……なんなのその攻撃はさぁ……」

まどか「効いてない…!?」

マミ「きゃぁっ!」バチバチィ

ほむら「うぐぅ!こ、これは波紋が…!地面から波紋が流れ込んでいる…!?」バチッ

サヤタナ「飲み込んであげる…!!!」グニュォン

まどか「まずいッ!は、波紋の呼吸をッ!!」コォォォ

ゴパァァッ

サヤタナ「ムッ!?」

まどか「セ~~フ……」

マミ「どういうことなの鹿目さん!波紋の呼吸を使えば倒せるんじゃなかったの!?」

まどか「レインコートの表面を雨滴が流れるようにッ!波紋がサヤタナちゃんの体を通って地面から皆に流れているんです!もっと強力な波紋じゃなきゃぁ効きません!!」

マミ「そんなぁッ!それじゃあ一体どうやって倒すっていうのよぉ!すでに太陽は沈みかけているわッ!!」

ほむら「絶体絶命…!」

monkey

サヤタナ「鹿目まどか…これが波紋か……人間は問題なく吸収できると思っていたのに……この世界の人間はみんな波紋が使えるのか」

ドガッ

グニョオォォォ

ほむら「うわああああああああーっ」

まどか「ほむらちゃん!波紋の呼吸をしてーーッ!!」

ほむら「無理に決まってるじゃないのよぉぉーー!」

サヤタナ「ふむ、やっぱり鹿目まどかだけみたいね……」

ほむら「こ、このぉ…!」コォォォォォ

バチィィ

サヤタナ「むっ!これはまさかっ!」

まどか「やればできるじゃん!」

ほむら「な、何が……」ハァ ハァ

杏子「おいマミ!無敵のティロ・フィナーレで何とかしてくれよぉ~~!!」

マミ「無茶言わないでよ!魔法少女の攻撃なんて、もはやサヤタナには無意味だわ!」

杏子「だがもう太陽は建物の影にッ!すでに隠れてしまったッッ!どうしようもねーーっ」

マミ「……そうか、そういうことね…!」

マミ「佐倉さん!暁美さん!急いでサヤタナをどうにかして空中に投げるのよぉッ!あとは私が…!」

ほむら「巴マミ……心得たわ!!」

杏子「おいどういう意味だ!」

ほむら「なんとしてもこいつを上にッ!上にさえ向けてしまえばァァッ!!」

まどか「……だったらそれは、軽い方がいいよね」ダッ

ほむら「まどか!?一体何を――!?」

マンキー

スプ スプ

ガバァッ

ズブズブズブ

ほむら「まどかぁぁぁーーっ!!!」

杏子「奇怪!あいつッ自分からサヤタナに吸収されに行ったぞッッ!」

サヤタナ「ムムッ、全てを諦めたかッ!」

まどか「全てを諦めた…?ノーノー、それは全然違うよサヤタナちゃぁん……」

まどか「外側に波紋を流しても駄目ならあとは内側しかないよねぇぇ~~~!!!!」バチバチィ

ド シャン

サヤタナ「ガフッ!?」

ほむら「や、やったッ!体を真っ二つにしてやったわ!」

ズズッ ズズズッ

杏子「戻ろうとしたってそうはさせるかよォォォォォ!!!」ザシュッ ブァァァン

マミ「上手いわ佐倉さん!槍で上半身をあっさりと空中に放り投げてくれたわねッ!」

マミ「そして喰らいなさい!角度75度のティロ・フィナーレをーーーっ!!!」

だが落とさん

ギュゥゥーーン

サヤタナ「HUOOHAAAAAAAAAA―――ッ!!」

サヤタナ「この程度の攻撃であたしがやられるとでも――ハッ!」

シュー シュー

サヤタナ「UUOAHAAAAAAAAAAA!!!!」

サヤタナ「上空は……上空は未だッ!太陽がああぁぁぁぁぁあぁぁ!!!」ピシッ パキィッ


ほむら「何か落ちてくるわ」

ドッジャ~~ン

杏子「石になったサヤタナか……」

マミ「危なかった……上空に打ち上げるのがあと少し!後少しでも遅れて夜になっていたならッ!こいつを倒すことはできなかったかもしれないッ!!」

マミ「下半身もちゃんと石になってるわね……」ツンツン

杏子「こいつ放っておいて大丈夫なのか?」

まどか「とりあえずうちに持って帰ってみるね」

ほむら「危険よまどか!やめた方がいいわ」

まどか「うーん……じゃあ仁美ちゃんに聞いてみようかな」

ほむら「仁美に?」

まどか「紫外線照射装置とか作ってるかもしれないし」ピッ

ほむら「そんな都合のいい設定があるわけ――」

まどか「あ、仁美ちゃん?紫外線照射装置とか作ってないかな?」

仁美『ありますわよ』

まどか「じゃああとで借りたいんだけどいいかな」

仁美『勿論ですわ!お友達への協力は惜しみません!!』

まどか「ありがとう仁美ちゃん!またね!」ピッ

ほむら「そんなことだろうと思ったわよ」

 

まどか「それにしてもほむらちゃんひょっとして波紋のセンスあるんじゃないかな?」

ほむら「は、波紋の…?」

まどか「さっきとっさにやってたよね?私から流れた波紋エネルギーが残ってたのが伝わったのかも!」

ほむら「そ、それくらい普通じゃぁないの?」

まどか「そんなことないよ!普通考えられないことだよ!波紋の呼吸法、一緒に練習してみない?」

ほむら「え、えぇっと……そうね、やらせてもらうわ」

まどか「やったね!私も本格的に修行してみようかなって思ってたから、一緒に頑張ろう!」

ほむら「分かったわ。どうやら波紋がないと柱の女達には勝てないみたいだもの……どの道選択なんてないのよッ!」

マミ「あのぉ、それって私達にもできたりするのかしら…?」

杏子「そうだ!このままあいつらにやられっぱなしなのは癪だからなッ!なんかねーのかよっ!!」

まどか「うーん……二人はあんまり波紋に向いてないような……」

マミ杏「がーーん」

まどか「じゃあ波紋の先生にかけあってみるからオッケーが出たら一緒に頑張ろうね!」

ほむら「えぇ」

ほむら(波紋の先生って…鹿目家以外に伝わってるものなのかしら……)

マミ「あなた達頼りになってしまうのは何か寂しいわね……魔女なんだから私達魔法処女がどうにかしなければならない問題なのに」

杏子「くそっ、イラつくなぁッ!!」ダンッ

マミ「私達にできることは普通の魔女を退治することだけなのかしら」

杏子「そういやぁ気になってたんだけどよォ……奴らが魔女を吸血魔女とかにするだろ?そしたらグリーフシードはどうなるんだ?」

マミ「あっ……この間のお菓子空間の魔女の時は手に入らなかった…!!」

杏子「このままじゃぁ奴らにグリーフシード全部持ってかれちまうな」

マミ「させないわっ!私達にできることはッ!」

杏子「魔女を倒して奴らの戦力拡大を防ぐことッ!!」

マミ「魔女に成長する使い魔もできるだけ倒すようにね」ニコッ

杏子「うっ……魔力は節約するべきだとは思うんだが吸血魔女にするよりマシだ……仕方ねえなぁ!!」

さる

数日後―病院―

まどか「えぇっと、上条君の病室は……ここだね」スッ

まどか「……あれ?」ギィィ

まどか「こ…これはッ!さやかちゃんが付きっきりで看病してる!なんて献身的な介護――」

恭介「あぁ!さやかもっと優しく!そこはダメッ!ダメッ!ダメッ!」

恭介「ああ!優しくして!服を脱がせないで!感じる、うあああああダメ!もうダメ~~」

まどか「!!!」サッ

まどか「あ、あれ~おかしいなぁ目にゴミが入ったのかな……見てない!私はなぁんにも見てない!」

まどか「鹿目まどかはクールに去るよ……」

さやか「ってちょい待てぇー!まどかは変な誤解をしているッ!」

まどか「もう、身体拭いてただけならそう言ってくれればいいのに……」

さやか「いたの分かんなかったのに言えるわけないじゃんか」

恭介「じゃあ今日も――」

まどか「パウッ」ドスッ

恭介「うげぇぇっうふっかはっ」

まどか「そうそう、そうやって肺の中の空気全部吐き出して~……しばらく呼吸はできないけど心配無用だよ」ティヒヒ

恭介「ぐはっ!」ミシィ ミシメシッ

ビキ ベシ ミシ!

恭介「痛みが!骨折した腕の痛みがッ!ぜ…ぜんぜん」

さやか「いやもうこれも定期だし、今更そんな大げさなリアクション取らなくても……」

恭介「ごめんごめん……でもやっぱり鹿目さんは凄いね。呼吸法で腕の痛みを消してくれるなんて」

まどか「また痛みが出てきたら呼んでね?」

恭介「ありがとう……これでバイオリンに集中できるよ」グッ

まどか「リハビリ頑張ってね」

この味は……
ウソをついている『味』だぜ……
>>1

さやか「いやぁ~相変わらずまどかには世話かけますなぁ~」

まどか「その言い方だとさやかちゃん上条君のお嫁さんみたいだよぉ」

さやか「なっ!何言ってんのよぉ!そんなんじゃないって!!」プイッ

まどか「それにしても早く治せるようになるといいのにね……」

さやか「現代医学では無理でも、まあ何年かしたらきっと……それまではまどかに頼りっぱなし……」

まどか「……さやかちゃん?」

さやか「ねえまどか!前から言ってるけど私にも波紋の呼吸教えてよ!そしたら私だけで何とかできるはずだし!!」

まどか「でも、さやかちゃんもあんまり、そのぉ……」

さやか「才能か!?やっぱり才能なのかぁ!?くそぅ、私にも才能さえあれば……」

まどか「だって先生にも微妙って言われたよね?」

さやか「そこをなんとかぁ……」

まどか「うーん……とりあえず今日から私とほむらちゃんで先生のところに修行しに行くんだけど、良かったらついてくる?」

さやか「行かせて頂きます!頑張っちゃいますからねぇ~~~!!」

>>1は俺じゃねーか!

まどか「お待たせほむらちゃん!」

さやか「悪いね待たせちゃって」

ほむら「いえ、平気よ」

ほむら(上条恭介がまどかのおかげで怪我を気にしていない……つまり、さやかが魔法少女になる確率はほぼゼロッ!!勝ったも同然だわ)

まどか「じゃあ早速先生に会いにいこっか」

ほむら「そういえば波紋の先生って誰なの?」

まどか「誰って…先生は先生だけど?」

ほむら「質問を質問で返さないで!テストだと0点になるわよッ!!」

まどか「???」

さやか「何処まで行くの?」

まどか「とりあえず公園の噴水前に来て、って」

ほむら「こないだも思ったけれどあなた達は耳を傾けるという言葉を知らないのかしら」

最初から読みたいんだけどどうすりゃいい?

―公園―

ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド 

\ママ見てー噴水の上に人が立ってるー/ \子供は見ちゃいけませんっ/

ほむら「……」

まどか「あれだよ」

ほむら「やっぱり!?噴水のてっぺんに立ってシルクハットと仮面してるなんてどう見ても変態じゃないのよぉぉ!!」

まどか「先生は変態じゃないよぉ!」

???「そこの黒髪のあなた……私を侮辱したわね……痛めつけてあげるわ」

ほむら「はい?そんなこと全然――」

???「フンッ」フワッ

トン

スゥォオオオオオオオ

ほむら「水面の何やら細い棒の上に……な、何者なの!?」

ドザザザザザァ

クルゥゥウウウウウ

バギャッ

ほむら「ゲ!なんなのよぉーーっ!!」ズザァァーー

???「うふふ、まだまだね」

ほむら「いい加減正体を見せなさいッ!」

???「あら、まだ気が付いてなかったの?」スッ

ほむら「――ッ!!まさかっ!いえ、そんな…あ…あなたはーーーっ!!」

ほむら「早乙女先生ッ!!」

早乙女「YES I AM!」チッ♪チッ♪

ほむら「先生が乗っているのは…まさか教鞭…!?」

>>44

早乙女「鹿目さんから聞いたわ……暁美さんも波紋の世界に入門したいんですって?」

ほむら「そんな、一体どういう関係が……」

さやか「ずっと先生って言ってたのにねぇ?」

まどか「うちのママと早乙女先生って知り合いなの。その関係で、早乙女先生も波紋習ってたんだけど、いつの間にかママより上手になっちゃってたみたいで」

早乙女「私がいつまでも童顔のままでいられるのは波紋のおかげなのよ……やだもうっ!なんてこと言わせるのよぉ!」

ほむら「……」

早乙女「……コホン!とにかく、やるというからには徹底的に叩きこむわよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「なっ、なんて『スゴ味』なのかしら……!!でも、こんなところで負けるわけにはいかない!」

早乙女「まずは波紋の呼吸法を身につけること……それができたら次に進むわ」

さやか「先生ッ!あたしもなんかしたいです!」

早乙女「美樹さんは日常生活中も波紋の呼吸をしなさいっていった言いつけを守れるようになってからです」

さやか「うっ……努力します……」

去る

一週間がたった!

ほむら(この一週間まどかとさやかと一緒に早乙女先生に波紋を習っている)

早乙女「うふふ、三人ともいい感じになってきたわね……呼吸法矯正マスクもなかなか様になってきたわよ」

ほむら「ありがとうございます」

さやか「コヒュー…コォォォ……ふぅー危ない危ない」

早乙女「美樹さんはやっぱりまだ慣れないみたいだけど」

さやか「いやいや、マスクのおかげでこれでもかなりマシになりましたよッ!」

まどか「これで波紋の基本はマスターだね」

早乙女「魔女とやらに勝てそうなの?」

ほむら「いえ、まだまだです……まだまだ波紋を極めなければ勝てそうにありません」

早乙女「そう…石仮面の連中が復活したっていうのは信じられないわね……」

ほむら(早乙女先生とさやかにも魔法少女や魔女のことを成り行き上話してしまった……しかしこれは逆に好機ッ!)

ほむら(使い魔や魔女に波紋のエネルギーが有効なことは分かっている……つまりッ!ワルプルギスにも波紋は有効である可能性は高い!!)

ほむら(先生ほどの使い手が一緒に戦ってくれるとしたら……勝機はそこにしかないッ!!)

早乙女「それでは次の修行をしたいんだけど、今日はもう遅いから明日にしましょう」

まどさや「はぁーい!」

ほむら「ではお先に……」スタスタ

ほむら(最近全然魔女退治ができてないわね……マミや杏子は大丈夫かしら)

ザッ

ほむら「ッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら(後をつけられている……ちょうどいいわ、波紋を使って…!!)

ほむら「並木を伝う!緑色≪エメラルドグリーン≫の波紋疾走≪オーバードライブ≫!!」ゴァァァァ

ドキューーン

\グエァ/

ほむら「私の後を付けているのは誰ッ!」

マミ「お、落ち着いて暁美さん!私よ巴マミよ!!」バァーン

杏子「あとあたしな」ババァァン

ほむら「マミ!杏子!」

むう

マミ「しばらく会ってないから、ソウルジェムが濁ってるんじゃないかと思ってグリーフシードを持ってきたのよ」

ほむら「それはありがたいわね……波紋は痛くなかった?」

マミ「何かピリッと来ただけで済んだけど……凄いじゃない、もうそこまで使いこなせるようになったのね」

ほむら「全く、何度挫けそうになったことか……」

杏子「そんな厳しいのか?その変なマスクも修業の為か?」

ほむら「これ付けて学校生活させられたのよ……今なら人前で余裕でムーンウォークできるわ」

杏子「わーお!そいつぁやべぇな……」

ほむら「ところで魔女の方はどんな感じなの?」

マミ「……それが酷い有様よ」

杏子「全然魔女がいねーんだ」

ほむら「……つまり……奴らが動いている、と…?」ゴゴゴゴゴゴ

マミ「恐らくは……」

杏子「使い魔まで残らずだ……僅かに残ってる魔女をぶっ飛ばしてようやく二個手に入れたぐらいだ……」

ほむら「くっ…少ない!圧倒的少なさッ!このままではワルプルギスの夜を倒すどころかそれまで無事でいられるかが不安ッ!!」

さる殺し

 

杏子「そういやぁさぁ……今まではずっと綺麗に保ってきてたから気にしなかったんだけど……」

ほむら「――ッ!」ドッキィーン

杏子「ソウルジェムが濁ったら……一体どうなるんだろうなぁ」ドドドドドドドド

ほむら「そ、それは……」

杏子「なあほむら、何か知らないか…?あたしもマミもQBには聞いてないんだよ……」ゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「……私…私は……」ゴクリ

ほむら「私は知らないわ……何も」ファサァッ

杏子「ふーん……」

マミ「ところで暁美さん、人が本当のことを言ってるかどうかがどうやって分かると思う?それはね……顔の皮膚を見ると分かるんですって」

マミ「『汗』とかでテカるでしょう?その感じで見分けるんですって……『汗の味』を舐めればもっと確実に分かるそうよ」

マミ「汗をかかないのね…………」

ほむら「……えぇ…何が言いたいのかしら」

ドドドドドドドドドド

マミ「……いえ、別に舐めたりはしないわよ?」

ほむら「舐めたら今後一生軽蔑するわ」

 

杏子「QBに聞きてぇんだけど最近見ないんだよなぁ」

ほむら(正直助かったわ……今の状況はあまり『良』とは言えない……)

ほむら(せめて何かッ!何か一つでも好転しているのならッ!二人のショックは和らいで魔女になる可能性は減るというのに…!)

杏子「あんまり濁らせたくないんだけど」ジー

早乙女「暁美さーん、忘れ物よー!」

ほむら「早乙女先生?」

早乙女「もう、そそっかしいんだか、ら……」

ほむら「……早乙女先生?」

早乙女「そ、それはアァァァァァーーーーーっ!!!!『エイジャの赤石』!!」

杏子「えっ?」

早乙女「どうしてあなたが持っているのよぉぉぉーーーっっ!!!」

ほむら「『エイジャの赤石』…!それはホムウが言っていた奴らの目的!まさか杏子のソウルジェムのことだったとでもいうのッ!?」

杏子「えっえっ?」

ほむら「……なぁーんて、そんなわけないわよね」

早乙女「あなたどこでそれを手に入れたの!?」

杏子「どこって言われても――」

早乙女「盗んだわねッ!盗んだのねェェッ!!それはあなたが持っていていいようなものじゃぁないのよッ!」

杏子「いや違う……あんたが何を言ってんのかさっぱり分かんねぇけど違うと断言できるッ!」

ほむら「早乙女先生、あれは多分杏子の持ち物だと思うから……」

早乙女「黙らっしゃい!とにかくエイジャの赤石は没収よッ!」グゥォォォォ

ほむら「波紋ッ!杏子逃げてッ!早乙女先生は勘違いをしているわ!!」

杏子「み、見りゃぁ分かるッ!こいつマジでプッツン来てやがるってなぁ!!」ダッ

早乙女「波紋疾走ーーーッ!!」ブォォン

マミ「なっ!棒を投げたッ!しかしものすごい勢いでぶっ飛んでいくわッ!!」

ほむら「ただの棒じゃぁないッ!あれは教鞭ッ!波紋が通りやすいように油を塗った特別な教鞭だわッ!!」

ドギュゥーーン

バリィィィ

杏子「がはっ!」

 

早乙女「決まったッ!私の波紋はッ!あの少女の筋肉を操作して行動をさせているッッ!!」

杏子「か、体が勝手にィィーー!?ソウルジェムを投げやがるぅ~~~っ!!!」ブワァァ

早乙女「さらに!生命磁器への波紋疾走ッ!」ドッギャァァァァン

早乙女「これでエイジャの赤石は取り戻した!あとは逃げるのみッ!」ダッ

ほむら「さ、流石早乙女先生!落ち葉を集めてすぐさまキャッチするための網を作ったッ!」

マミ「呑気に言ってる場合じゃないわよ!佐倉さんのソウルジェムが盗られちゃったわよ!」

ほむら「……ハッ!まずい!ディ・モールト!ディ・モールトまずいわ!!」カチリッ

マミ「ハッ!暁美さんが消えた…?それより佐倉さんは大丈夫かしら……」

スタスタ

マミ「佐倉さん大丈夫?今きっと暁美さんが取りに行ってくれてるわよ…話せばきっと……?」

ドドドドドドドドドド

マミ「佐倉さん…?」ユサユサ

杏子「……」

マミ「…………これは……佐倉さんはッ!あぁぁっ!佐倉さんは既に……既に死んでいる…!!」

早乙女「ふぅ……これで一安心ね……エイジャの赤石、石仮面の奴らに渡すわけにはいかないものね」

早乙女「それにしてもこれ、なんか違う気がするわね……」

ほむら「早乙女先生」

早乙女「あら暁美さん。ねえこれ、本当にエイジャの赤石かしら?なんだか違う気がするんだけど」

ほむら「結構前から違うって言ってましたけど」

早乙女「ひょっとして私、何か勘違いしてた…?」

ほむら「えぇ」

早乙女「……いやんもうっ!私ったらおっちょこちょいっ!キャッ!恥ずかしい!!」カァァァ

ほむら「……」

早乙女「……オホンオホホーン……はいこれ、彼女に返しておいてね」

ほむら「はい……正直、もういろいろと遅いような気もするんですけどね」

早乙女「ん?」

ほむら「……いえ、ひょっとしたらってこともありますから」

マミ「佐倉さん!一体どうしたの!?しっかりしてぇ」ユサユサ

ほむら「……」

早乙女「えっ私?そんなに強い波紋にした覚えはないんだけど……」

マミ「暁美さん……佐倉さんがぁ……」グスン

ほむら「……」スゥッ

杏子「……ハッ!」

マミ「佐倉さん!気が付いたのねッ!!」

杏子「あたしは今死をほんのちょっぴりだが体験した……い、いや…体験したっていうよりは全く理解を超えてたんだけど……」

杏子「ありのまま今起こったことを話すぜ!あたしはソウルジェムを投げさせられたと思ったらいつの間にか死んでいた!」

杏子「な、何を言ってるのか分からないと思うけどあたしも何をされたのか分からなかった……頭がどうにかなりそうだった」

杏子「臨死体験だとか仮死状態だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない!もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

マミ「暁美さん……『汗』を…かいているわね……」ゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「……こうなったら仕方がないわね……ソウルジェムの秘密をひとつ教えてあげるわ」

頭がどうにかなるまえに死んでるだろwwww

杏子「ソウルジェムがあたしらの魂だとッ…!」

マミ「これが壊れてしまえば……私の命もそこまで……」

ほむら「嘘だと思うのならQBを探し出して聞いてみるといいわ……もっとも、答えは同じでしょうけどね」

マミ「……」ガタガタ

杏子「飲んどる場合かーッ!」バシ

ガシャーン

杏子「QBだッ!奴を探し出してぶっ飛ばすッ!そうでもしなきゃぁ気が収まらねぇ」ズン ズン ズンッ

ほむら「……あなたは探しに行かないの?」

マミ「わ…私は……ちょっと家に帰るわ……」フラァァ

ほむら(流石にショックが大きかったみたいね……でも幸いなのはッ!今回のマミは気丈!きっと立ち直ってくれると信じている……)

早乙女「暁美さんの言っていた魔法少女……許せないッ!私の大切な教え子をこんな姿にしてしまうなんて…!!」

早乙女「あなたに何が何でも波紋を叩きこんで魔女だけでなく!QBとやらもギャフンと言わしてやらなきゃぁ気が済まないッ!!」

ほむら「え…えぇ……」

早乙女「明日からはヴェェリィィハードな修行だから覚悟しておいてね!」

翌日

早乙女「名付けて『地獄昇柱』≪ヘルクライム・ピラー≫!」

ほむら「こんな塔があったなんて……どんな中身なのかしら」

まどか「せ、先生!いきなり『地獄昇柱』に挑まなきゃいけないんですか!?私も話でしか聞いたことないけど、たくさんの修験者が死んでいったっていう『地獄昇柱』に!」

さやか「ゴクリ……こいつぁやばそう……」

ほむら「それで、一体どんな中身になっているの?」

早乙女「この塔の中に落ちればよく分かる……」

ほむら「え」

ドガァッ

まどか「先生!?まさかッ!」

ドボォン

さやか「ぷはっ…ッ!?」ヌルヌル

ほむら「こ…これはッ!油≪オイル≫だわ!油が大理石の表面を流れ落ちてくる」

早乙女「素手で柱の頂上まで登ってくるのよ!出口はそこしかない……登れぬ場合は死ぬまで外に出られない……」

ほむら「つるっつるっの柱!これを登るのッ!?『地獄昇柱』!」

「円柱」は!

その昔波紋法を復興しようとした鹿目家によって建てられた

高さは24m 最大円周7m20

つるつるに磨きあげられた大理石でできており 円柱の頂上からは油がとめどなく流れ出してきて塔内全体を濡らす

下に落ちた油は地力を利用して再び頂きに押し上げられまた噴き出すという永久機関!

この油に波紋を流し続けて登らなければならない……

波紋の持久力を試す修行!

人呼んで「地獄へ昇る柱!」

ジワジワ ツルゥ~

ほむら(なんてこと……柱に波紋でひっついているのが精一杯で一センチ指を動かしただけでも相当の疲労だわ……)

ほむら(もし……一度でも……一度でも柱から落っこちたら……もう二度と柱を登る体力はないッ!待っているのは飢え死にのみ!)

ヌルヌル ヌル ヌルゥー

さやか「ゴボゴボゴボ」

まどか「さやかちゃん!長引いたら長引いただけ体力を消耗しちゃうよ」

 

さやか「冗談じゃないよ――ッ!最近呼吸法についていけるくらいになったばかりのーーーッあたしの波紋でーーーーッ!」

さやか「この柱にくっついて登るなんてできるわけがない!」

ほむら「確かに私もこれは厳しい……魔法を使ってもどうにかできるかしら……」

さやか「ほむら!あんたの魔法でどうにかできないわけぇ!?」

ほむら「む…無理よ……私の魔法はこういうことには向いていない……」

さやか「そんな……せ…先生~ッ!ま、まさか……の、登る能力がないからってあたしを見殺しにしたりしないですよね……」

さやか「あたしは波紋の呼吸がまともにできるようになってまだ一日…ちょっと脅して気合い入れてから後で本当は助けてくれるんですよね?ハシゴとかでさあ」

早乙女「……」

さやか「う!」

ほむら「あ…あの早乙女先生の目……ソウルジェムの濁りきった魔法少女を見るかのように冷たい目だわ」

ほむら「残酷な目…『かわいそうだけどあしたの朝には魔女となって呪いを生むのね』って感じの!」

まどか「……ほむらちゃん、今何て…?」

ほむら「えっ」

さやか「『魔法少女』が『魔女』に……『魔女』になるだってェェェーーーッ!!!」

ほむら「し…しまった!つい……ついうっかり!」

「聞いたわよ暁美さん」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「あぁっ…まさかっ……この声はまさかッ……」バァァン

マミ「魔法少女が魔女になるですって……?」ゴゴゴゴゴゴ

杏子「この耳で確かに聞いたぞ……」ドドドドドド

ほむら「マミに杏子!なぜっ!?なぜこんなところにいるのよぉぉぉ~~~ッ!!」

マミ「魔法少女が魔女を生むなら……みんな死ぬしかないじゃないッ!あなたもッ!!私もォォッ!!」ジャキィッ

ほむら「マ…マミィィ――ッ!!!!」

マミ「……なぁ~んてね」スッ

ほむら「……えっ」

杏子「あたしらはもう知っているのさ……昨日こいつをとっちめたからなぁ!」バァァァァン

QB「ウヒャ~くちぐった~い」

ほむら「QBッ!」

こいつはうっかりだ!

杏子「こいつが全て答えてくれたよ……あたしらの正体をなぁ!」

早乙女「ということは、どうやら暁美さんの言ったことは間違いないということね」

マミ「そうですよ早乙女先生……私は自分の部屋へ行って2時間眠った……そして…目を覚ましてからしばらくして……」

マミ「自分が人間じゃないことを思い出し……泣いた……」

杏子「つまりこういうことらしい――」

こいつは宇宙人でエネルギー問題の解決とかのためにあたしらを利用してたんだよーッ!!

な、なんだってー!

早乙女「吐き毛を催す『邪悪』とはッ!何も知らぬ無知なるものを利用することだ…!!自分の利益だけの為に利用することだ……」

早乙女「異星人が『少女』を!てめーだけの都合で!」

マミ「暁美さん!私達は大丈夫だから!あなたは波紋の修行をしっかり頑張ってね!!鹿目さんとサヤタナさんもね!」

さやか「サヤタナじゃないです美樹さやかですからッ!」

ほむら「えぇ……ありがとう二人とも」

ほむら(正直魔法少女の正体を喋った時はどうなるかと思ったけど……なんとかなったわね……後はこの柱を登るだけ)

ほむら(しかしこれが鬼門!少しでも気を抜いたら絶対に辿り着けないッ!!)

さやか「あんたは平気なの?魔法少女の運命を知ってて」

ほむら「最初はショックだったけど……人間いつか慣れるものよ」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「それより早くここを登りましょう」

さやか「うぅっ、全然登れない……」

まどか「さやかちゃん……さやかちゃんは『できるわけがない』ってセリフを4回だけ言っていい……いい?4回だよ?私も昔ママにそう言われた」

さやか「…?」

まどか「一点集中!『水鉄砲は穴が小さい方がイキオイよく遠くまで飛ぶ!』ということだよ!」

ほむら「まどか、一体何の話をしているの?」

まどか「ほむらちゃんも聞いてて。血液の流れには誰でもほんの少しだけエネルギーができる…栄養分を運んだり体温を調節したりするほんのちっぽけなエネルギー……」

まどか「でもね、波紋使いはある一定のリズムでその小さなエネルギーを体全体からしだいしだいに集めてくるの」

まどか「円盤投げの選手がぐるぐるの円運動の加速によって力を蓄積させるように……だんだんだんだん小さなエネルギーを大きなものにかえる…」

まどか「そのリズムがある一定の"呼吸法"のリズムで、そのエネルギーが太陽の振動≪バイブレーション≫!生命のほとばしり『波紋』なんだよ!」

さやか「何言ってんのか分かんないよぉ!!」

まどか「いい?4回…さっき一回言ってたからあと3回『できるわけがない』って言っていいから……私は先に行くね」ピタァァァ

ほむら「私も!」ピタァ

さやか「よぉーしあたしも!」バシィ

ヌルヌル ヌルゥー

さやか「うっ……やっぱり無理!できるわけがない!!」

まどか「今言ったね?『できるわけがない』…って……後2回だよ」

さやか「なんでそんなにスルスル登れるわけ!ズッケェー!!」

ほむら(さやかほどじゃぁないけれど…私もかなり疲れる……一体まどかはどうやってあんなに素早く……)

ほむら「……ハッ!まさか……いえ、でもさっきの話……そういうことね!」

さやか「ほむらなんか分かったの!?」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「ッ!」ビクッ

まどか「さやかちゃんには言っちゃ駄目だよ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

さやか「そんな殺生なッ!アドバイスなしでできるわけがない!」

ほむら(なぜ?まどかは友達思いのいい子なハズ……いえ、それとも…友達思いだからこそ!まどかは自分で気付かせようとしているのかもしれない……)

28時間経過

まどか18m地点
ほむら15m地点
さやか0m地点

さやか「丸一日経ってるのにまどかはあそこからほとんど進まず、ほむらもやっとあそこに着いたところ……」

ほむら「……」ブルブル

さやか「ああ!体重を支えているほむらの指がだんだん!い、今にも!」

ほむら「……」ブル ブル

さやか「はがれそうだッ!ほむらの波紋も限界なんだッ!頑張れほむらー!」

ほむら「……」スッ

さやか「ホッ」

ほむら「……」グググ ブルブル

さやか「ま…またはがれそうだッ!指先だけしか付いてない!」

スッ

さやか「もう……ほむらでさえあんな状態なのに……あたしに登ることなんてできるわけが……はっ!」

ゴォォォォォ

ほほほ

さやか「あの指ははがれそうなんてもんじゃなくて!逆に……」

『水鉄砲は穴が小さい方がイキオイよく遠くまで飛ぶ!』

さやか「ま…まさかッ!た…試してみよう!」

コォォオオオ

ザザザ

さやか「波紋のパワーの謎とは!!これかッ!」

ザン

ピタァーッ

さやか(やった!くっついた!波紋でくっついた!!)

さやか(手の平の方がぴたりとくっつくから体重が支えられるイメージがあった!でも実際は奇妙だけどその逆!)

さやか(一点集中ゆえ指先!波紋は指先だけの方が強い!なんてことはない謎だったぁ!!)

ほむら(ようやく気が付いたみたいね……とはいえ、私も余裕なんかないわ)

さらに24時間経過

まどか22m地点
ほむら18m地点
さやか16m地点

さやか(流石にまどかは速い……でも、ほむらがこの辺でもたついてる理由が分かったよ)

さやか(下からじゃぁ分からなかったけど、この円柱は上へ行くほどオーバーハングしてる形になってるんだ……)

さやか(ここからが大変ってわけだね……でも、不思議と波紋のおかげかお腹も空かないしトイレにも行きたくならない……)

さらに3時間経過

まどか23m地点
ほむら19m地点
さやか18m地点

さやか「おおっ!なんだあれは!あ…あれは~~~~~!!!」

さやか「ひっひっヒビだッ!あそこに丁度指が引っ掛かりそうなくらいの割れ目があるッ!」

ジワジワ ジワ

さやか「うッ…うッ…うれピーッやったね!ひと息つけるじゃん!」ガシッ

ガゴン

 

さやか「な…何今の!?なんか変なスイッチみたいな……!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「な、なにこれは?」

まどか「大変……気を付けてッ!何か噴き出してくるよッ!」

ボッ

シュゥゥ

ショバァアァァァァァ

ほむら「これはッ!超高圧で吹きだす油ッ!油があたかも水晶の壁の様に行く手を遮ったッ!」

さやか「なんなんだぁこいつぁ…!」ソーッ

まどか「触っちゃ駄目だよさやかちゃん!」

ドドドドドドドドド

ポロッ

スパパァァァッ

さやか「あぁっ!落ちてきた石の破片が真っ二つにィ!!」

ほむら「向こうが透けて見えるから薄い油膜の様に考えたけれどとんでもないわ!逆にカミソリのように鋭い超高圧の膜ッ!」

2時間経過

ほむら「勢いは一向に止む気配がないわね……」ジーッ

さやか「うっ…怒ってる?怒ってるほむら!?」

ほむら「……」フイッ

さやか(あちゃぁ~……でも、あんなところにひびがあったら誰だって手を入れて休んじゃうと思う!誰だってそうする、あたしもそうする)

さやか「……って考えてる場合じゃない!どうにかしなきゃぁこのまま死んじゃう!」

ほむら(別にさやかに怒ったわけじゃないわ……ただ…ただ!さやかにここを突破できるのかという不安ッ!)

ドドドドドドドドドド

ガシィ

まどか「ハッ…ハッ……や…やった……!!」

まどか 登頂成功

まどか「ゼーハーゼーハー……せ、先生ーッ!一体どこにいるんですかッ!?」

まどか「油の噴射を止めて下さい!じゃないとさやかちゃんとほむらちゃんがッ!特にさやかちゃんはこのままだと突っ込んじゃう性格ッ!」

まどか「なんとかしてくださいよーっ!!!」

さやか「このままじゃ埒が明かない……あたしは行くよほむら!」

ほむら「待って!用は波紋でこの柱を突破できればいいのよね……」ゴゴゴゴゴゴ

さやか「…?ほむら、あんた何をするつもり?」

まどか「二人とも大丈夫!?待ってて!今先生を呼んでくるから」

ほむら「先生を、呼んでくる…?いいえまどか、その必要はないわ…その必要は全然ないのよ……」

まどか「どういうこと?」

ほむら「こうするの」シュパァァン

さやか「変身した!?」

まどか「駄目だよ!波紋以外は使っちゃいけないんだよ!!」

ほむら「私が相手にするのは魔女よ……魔法と波紋ッ!二つを組み合わせなければ勝つことなど不可能ッ!」

ほむら「さやか、どうしても攻略法がないというのなら……」スルゥ

ほむら「私の片足だけ脱いだ波紋をよく通すシルク製のタイツに触れていてもいいわよ」ゴゴゴゴゴゴ

さやか「あんた、一体何を……」

ほむら「足ではくっつく波紋を流し続ける!すかさず盾を傾けて砂時計を発動!波紋を砂時計に流して砂の流れるスピードを極限までダウンッ!」ギュゥゥゥン

ほむら「するとぉぉ~~~……周りの世界はッ!時を止めることなく登りきる前までのジェットコースターのように緩やかに進んでいくッ!!」

さやか「す、すげえ!!」

ほむら「さやか!私のタイツに触れたわねッ!それはすなわちッ!!私と同じ時間を歩むことを許可したという証…!」

ほむら「まずは私がこの油膜を超える……」COOOOOOO

バシァ

バババババババ

さやか「凄い!油の噴出するスピードも遅くなってるから全く問題がない!」

ダッ

バーーン

ほむら「はぁ…ハァ……は、波紋の呼吸を保たなければ……」

ほむら「さやか、今のうちに…!」

さやか「……」ゴゴゴゴゴゴ

ほむら「何をしてるの!二つの波紋をコントロールするのは想像以上にしんどいのよッ!このままだと盾を維持するのが不可能に――」

ポイッ

ほむら「なっ!なんですってぇ~~~!!!どうして私のタイツを手放したのよ!これじゃああなたは緩やかな時の世界から破門されてしまうッ!」

さやか「いいんだよほむら……きっとこれはあたしの力で乗り越えなきゃぁならない壁なんだ…試練なんだ……」

さやか「刻むよ波紋のビートォォォ!」

ブオァアァァ

バチィィィィ

ほむら「さ…さやかぁぁーーーッ!!!!」

まどか「さやかちゃぁぁーーん!!!」

ドドドドドドドドドド

10秒後

まどか「さやかちゃんがいない……まさかっ、油圧に飛ばされて下に落ちたとか…せ…切断されちゃったとか……」

早乙女「鹿目さん、あそこを見て」

まどか「あっ!先生!?」

ドドドドド

まどか「ああッ!取り囲む壁にしがみついているのは……さやかちゃん!」

ほむら「柱から壁まではゆうに10m以上ある…それに油面の下じゃなく油面の上2mのところに向かって私以上の位置に……やるわねさやか」

早乙女「さやかは……バリアーの下面を滑ったのよッ!」

早乙女「当然油圧は壁のところまで遠くなれば弱くなっている!そこで!」

早乙女「壁寸前で油の弾ける勢いを利用して油面の上へジャンプ!美樹さんは下に落ちるどころか逆に3mも上昇したの!」

早乙女「自分のマイナスを逆に利用するなんて賢いわね!テストでもあれくらい賢かったら嬉しいのに……」

ほむら「あんな方法もあったなんて……負けていられないわね…私もはやく登らなければッ!」

さやか「や…やってやった!うぐぐぐ……でももう呼吸が限界……」

ズルゥ

さやか「うぅっ滑ったっ!」

ガシィッ

さやか「ま、まどか!」

まどか「大丈夫さやかちゃん!?せ、先生!手を貸しちゃったこと許して下さい…!」

早乙女「構わないけど、鹿目さんも結構限界じゃない?」

まどか「わわっ、手が油で滑っちゃう!」

さやか「でっ!?離さないでよ絶対に!!」

ほむら「こっちもギリギリなんだけど……」

数時間後

早乙女「全員登頂成功ね。よくやったわ……暁美さんの波紋の使い方は上手だったから今回はお咎めなしにしてあげる」

ほむら「ど、どうも……」

早乙女「修行のメニューはたっぷり用意してるわ…死ぬほど感動してちょうだい」

グモォォォオオオ

ほむら「だ、誰!?」

さやか「あぁっ!あなた達は!!」

早乙女「これから先は少々荒っぽくなるから二人にも師範代になって貰います!」

知久「やあまどか、順調に修行は進んでるようだね」

詢子「仕事休んでまで手伝ってやるんだ…感謝しろよぉ~?」

まどか「ママ!パパ!」

ほむら「この二人も鹿目家……波紋が使えて当然という訳ね」

それから修業は厳しさを増していった

詢子「1秒間に10回の呼吸ができるようになれ!!」

まどか(く……くっくるピーィ)

知久「10分間息を吸い続けて10分間吐き続けろッ!それができたらマスクを取ってやる!」

さやか(げ~~~な……なんてこった~~~)

早乙女「『呼吸』よ!『呼吸』だけ鍛えれば自然に筋肉もパワーも鍛えられる……波紋法は『呼吸』のリズムにその全てがあるのよ!」

ほむら(別に筋肉はいらないのだけれど……)

三人が修行している間マミと杏子は魔女を探す

柱の女たちより先に倒してはグリーフシードを手に入れていった

そして!

ワルプルギスの夜が訪れる前日となった!!

早乙女「あなたのそれ本当にエイジャの赤石じゃないのよね…?」

杏子「違うって言ってるだろいい加減にしろっ!」

早乙女「そんな……それじゃあ一体どこにあるのかしら」

詢子「あれ?和子知らなかったんだっけ?」

早乙女「詢子は知ってるの!?」

詢子「うちの居間に飾ってあるよ」

ほむら「そんな堂々と!?」

詢子「パパとマミさんって子が取りに行ってるはずなんだけど、そういや遅いなぁ……」

まどか「私ちょっと見てくるね」

ほむら「待ってまどか、私も行くわ!一人だと襲われたら危険よ」

さやか「確かに……いつその魔女とやらが襲ってくるかも分かんないもんね」

―まどかの家―

まどか「パパーいないの~?」

ほむら「この家、なんだか様子がおかしいような……」

知久「マミさーーーんッッ!!!」

まどか「寝室の方からパパの声…!パパーー!!」ダッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

まどか「うっ…こ、これは…!」

マミ「……」ドクン ドクン

知久「くっそぉ……」

まどか「パパッ!?マミさん!?」

ほむら「お、おかしい……四人いるわ……タッくんは部屋の隅で震えている…まどかのパパさんはそこにいるのに……」

ほむら「マミは!巴マミは片足でもう一人の人間に持ち上げられているッ!!マミを支えているのは…誰っ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

クルゥゥゥゥ

ほむら「エ……エシヅキ……!!」

エシヅキ「……」ググググ

ほむら「くっ」ギラッ

エシヅキ「フン……この部屋は、エイジャの赤石がなかったようですわ……ということは、別の部屋にあるはず……」

ブオンッ

知久「ぐえぇっ!!」ブワァァ

まどか「パパッ!」

エシヅキ「他の二人はまだこの家にエイジャの赤石があることをつきとめてはいない様子」

ほむら「マミの体を放り投げられてパパさんは気絶している……マミは…マミはっ!!胸に穴を開けられているッ!!」

ほむら「一撃……マミほどの魔法少女がやられるなんて、きっと不意の一撃だったに違いないわ……」

ほむら「エシヅキ……よくもマミを……」ゴゴゴゴゴゴ

エシヅキ「どいてください!いま…あなた達の相手をしている暇はありませんの」

ズズズズ

エシヅキ「へぇ~……いい鋭い眼をするようになりましたわね……でも早死にしたくなかったらどくことですわぁっ!」ドォァォオン

ピタァァ

バァァァン

エシヅキ「ぬうう~~!これはッ!?」

ほむら「何を驚いているのかしら?私がどくのはビルの破片が落ちてきたときだけよ」

バチバチィッ

エシヅキ「あらぁ、波紋が表皮のガードを破って中にまで流れつつありますわ……」

まどか「ほむらちゃんだけじゃないよ……私も成長したんだからねーーっ!!」ブォォ

エシヅキ「フンッ!」パシィィィ

まどか「受け止められたッ!?」

エシヅキ「ふむ……意外……鹿目まどかだけでなく暁美ほむらまで成長しているとは……」

エシヅキ「だが!あなた達程度の波紋使いなら余裕ですわぁ~~~!!」メキ メキ

ほむら「くっ……」

まどか「あぐぅ……」

エシヅキ「このまま指をへし折って波紋を流せないようにしてから体内に取り込んで差し上げますわぁっ!」

ギャルルン

ギャァァーーン

エシヅキ「うっ!……はっ!!」

ほむら「やっと気が付いたようね……絹でできたリボンを撒きつけさせてもらったわ……波紋が伝わりやすいように植物油をたっぷりと染み込ませてあるリボンをね!!」

エシヅキ「馬鹿なッ!怪しいしぐさや動きがあれば見破っていたはず!」

まどか「私がいたから後ろのマミさんが見えなかったのかな……?」ドドドドドド

ピィーーン

エシヅキ「ヌ…ヌウウ!あ…あれはッ!先程巴マミの首からリボンをひっぱっていたなんてッ!」

ほむら「見知った顔にするというのは少々心が痛むけれど、覚悟して貰うわよ!」

ビキビキッ ビキビキ

OOHHHHHH

ボォォン

エシヅキ「GOHHHHH」

ほむら「マミさん……あなたがいたから私は安心して修行に励むことができた……グラッツェ!マミさん!」

まどか「パパの波紋の特訓のおかげだよ……グラッツェ!パパ!」

ゴォオオオオ

ほむら「今までワルプルギスの夜の対策ばかり練ってきた私は、当然あなた達の対策を立てるのにも慣れている……」

ほむら「それに、魔法少女は本来ぶっつけ本番で魔女と戦うもの……あなたは魔法少女を馬鹿にしていたようだけど、策を考える能力は魔法少女に及ばないようねぇ―!」

エシヅキ「うぬぬぅ~~~……き…きさまぁ~~~~~」

まどか「怒るの?エシヅキちゃん?波紋で腕を斬られて怒りくるうのォ~~~~~?」

ほむら「どんどん怒るといいわ!私はあなた達に埋め込まれた毒の指輪のおかげで夜もぐっすり眠れず頭に来てるのよッ!」

まどか「パパやマミさんをこんなにして……私も怒ってるのッ!」

エシヅキ「う……うう……」ポロ ポロ

まどほむ「?」

エシヅキ「う~~うううあんまりですわ……」ポロポロポロ

エシヅキ「HEEEEEEEYYYYYYYYYY」

エシヅキ「あァァァァんまりですわァァァ!!!!」

ほむら「な…何なの!?な…泣いている……怒髪天を衝く勢いで襲ってくると思ったら…予想外!」

まどか「ダダっ子の様に泣き喚いてるよ!」

エシヅキ「AHYYYY AHYYYYY WHOOOOOOO!!!」

エシヅキ「わァァァァァァたくしのォォォォォォうでェェェがァァァ~~~~~!!!」

まどか「ご…ゴクリ」

ほむら「不気味だわ……逆に不気味ッ!怒るよりも恐ろしい…!早くとどめを刺しましょう」

ピタァァ

まどか「うっ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

エシヅキ「フー……スッとしましたわ~…ワタクシ少々怒りっぽい性格でして……激昂してトチ狂いそうになったときはこうやって泣いて頭を冷静にしているんですの」

ほむら「な…!?」

エシヅキ「それにしても驚きましたわぁ~…暁美ほむらがここまで強くなっているだなんて驚愕ですわ……」スッ

ドグシァッ

まどか「マミさんの腕をッ!?」

カシィーーン

エシヅキ「フンッ!少女同士の体というのはやはりぴったりの様ですわね……そのうち一体化してもっと動かしやすくなるでしょう」

ほむら「こ…この外道ッ!!」

エシヅキ「あら、恐れたわね……私を恐れましたわね……」

ほむら「うっ……」

ほむら(分からない……確かに魔法少女はぶっつけ本番の戦闘ばかりと言ったけど、それはあくまで敵が魔女である場合!)

ほむら(こいつは魔女は魔女でも石仮面の魔女なのよ…!一体どんな攻撃パターンで……)

ドッヒャァァァ

グルルルン

ドスドスドスッ

まどか「こ、この音はッ!」

ほむら「マミの髪がマミをぐるぐる巻きにしてさらに身体をぶっ刺している!!」

エシヅキ「おじぎ草という植物は驚異的なスピードで葉っぱを閉じたり開いたりできるが、これは膨圧運動という細胞間の水分の移動で動く」

エシヅキ「それと同様に私の髪も膨圧運動で自由自在に動かすことができるッ!そして私から落ちた髪は相手の髪の動きを奪う!」

エシヅキ「ホムウはホム砂嵐という風を操る流法≪モード≫をもつが…ワタクシは『髪のエシヅキ』!!」

エシヅキ「髪を操る流法!」

ほむら「髪を操るから…なんだって言うのよぉぉーーーっ!!!」ブワァァァン

ほむら「おおおおおおくらいなさい!機関部に油を塗って弾丸に波紋を込められるようにした機関銃『クラッカーマシンガン』ッ――――!!」

ドババババババ ボァァッ

ほむら「なっ!何ィィィ!?両腕を後ろにして頭を出してくるなんてどういうつもり!!!」

意外!
それは髪の毛ッ!

バシバシバシバシバシ

まどか「髪の毛で全弾弾いてるッ!」

ほむら「ホムウは風圧を利用して弾丸を弾いていたがッ!エシヅキはそのまま髪を使って振り落として来るッ!!」

ほむら「しかも波紋は髪の毛を切られることでエシヅキまで届かないッ!」

エシヅキ「落ちた髪の毛と私の髪の毛をあなた達に送り込んで縛り上げ…体内に取り込んであげますわッ!!!」

エシヅキ「くらってくたばれ『死髪舞若布』≪ダンス・メカブヘアー≫の流法!」ドリュゥーーム

ドシュッ

ほむら「ぐえッえええええーーーーーーっ!!!」

まどか「ほむらちゃぁぁーーーんっ!」

ほむら「左手に溜めるッ!炎の波紋ッ!!緋色≪スカーレット≫の波紋疾走ッッ!!!」ゴァァァ ドシァァァ

ゴゴゴゴゴ

ボシィィ

エシヅキ「ぬう!自分の体を叩いて絡みつく髪を焼いたか!」

まどか「ほむらちゃん大丈夫!?」

ほむら「私は平気よ……それよりまどかは?」

まどか「私のことは気にしないで……それにしても、エシヅキちゃんの周りに髪の毛が散らばっちゃったから迂闊に手が出せなくなっちゃったね」

ほむら「上から行けばそのまま死髪舞若布の餌食に……」

ほむら(しかし私は一つの作戦を立てているッ!突っ込んだ時と飛ばされた際、マミのリボンを撒いてきた……)

ほむら(エシヅキがリボンの結界に入った時!リボンを巻きつけて波紋で倒すわ!)

エシヅキ「うふふ」ニヤニヤ

ほむら「うっ!何がそんなにおかしいの!」

エシヅキ「ワタクシの髪の毛……伸縮自在ですのよォ~~~!!!」ドワワァン

まどか「来たっ!波紋疾走連打ッ!」ババババババッ

ほむら「き…きりがない……!」

ドスッ ビシュッ ビルルルルルッ

ほむら「きゃぁぁ~~~っ!!」

グォン

ほむら(ふ…服を破り私の皮膚に食い込んでいるわ!もがけばもがくほど強く……まるでたこの触手の様にッ!!)

エシヅキ「さぁぁぁ~~てぇぇ~~~~……そのお腹に風穴を開けてあげるわァァーーーッ!!!」グォォォォン

まどか「桃色≪ローズピンク≫の波紋疾走ッ!!」ビュオッ

ギャン

エシヅキ「かはぁっ!!こ、これはぁぁ!!」

まどか「寝室の花瓶に飾ってあった薔薇だよ……波紋入りの薔薇の棘は、痛いでしょ…?」

ほむら(ここですかさず!足元のリボンを掬いあげて髪を切らせてもらうわッ!!)

ズビズバァ

ほむら「そして喰らいなさい!波紋疾走のビートッ!!」ドキュゥーーン

エシヅキ「RRRRRRRRRRUUUUUOOOHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!」

エシヅキ「こんな魔法少女ごときに……ワタクシがァァァこんな魔法少女ごときにぃィィィィィ!!!!!」

バーーーーン

ファサァッ キィーーン

ほむら「リボンタイを落としていったわね……それにちゃんとグリーフシードまで」スッ

まどか「解毒薬入ってるの?」

ほむら「あったわ」

ドロォ ゴクン

シュゴゴゴォォォォ

ほむら「ふぅー……何か、喉の辺りの突っかかりが消えたような気がするわ」

まどか「やったねほむらちゃん!ついに柱の女を一人倒したよ!!」

ほむら「ありがとうまどか…あのままだとやられていたわ」

まどか「いやぁそれほどでもぉ……ってそれよりパパとマミさんを助けなきゃッ!!」

ほむら「そうだったわ!特にマミは重傷!幸いにしてソウルジェムは無事だけれど……例え無事でもッ!マミが死を意識してしまえばその時グリーフシードへと変化してしまうッ!!」

まどか「そんなっ!急いで手当てしなきゃ…!」

ほむら「とりあえずこのグリーフシードを使ってジェムの回復、そして杏子に手伝ってもらって回復魔法を使わなければ…!」

ほむら「まずはみんなのところへ帰りましょう!」

まどか「タッくんおいで!」

タツヤ「こあかったーーっ!!」グズッ

ほむら(タッくんのことすっかり忘れてた……)

まどか「っと、その前にエイジャの赤石もっていかなきゃ」

ほむら「居間にあるって……これね」

まどか「綺麗だね」

ほむら「えぇ……まあいいわ、急ぎましょう」

タッタッタッタ


ズルズルゥ ズルルゥ…

杏子「マミしっかりしろい!こんなところでくたばるんじゃぁねぇぇーーっ!!!」

知久「うっ…すまない、僕が付いていながら……」

ほむら「不意打ちだったんでしょう?仕方ないこともあります……」

さやか「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?ワルプルギスってめっちゃでかいんでしょぉ?マミさんがいないと戦えないんじゃないの!?」

ほむら「それでも……なんとかするしかないわ」

まどか「体が治れば……体さえ治せれば……」

「みなさん!お静かに!!」

さやか「こ、この声はッ!あたしらはこの声の主を知っているッ!」

仁美「まどかさんから連絡を頂いてすっ飛ばしてきました……新しいボディを必要としている方がいるそうですね」

まどか「仁美ちゃん来てくれたんだね!マミさんが大変なの!」

仁美「うっ…!これは惨いですわ……おまかせください!志筑財団総力を挙げて必ず体を復活させて差し上げます!」

さやか「仁美いつのまにそんなことできるようになってたの!?」

仁美「……本当は、上条君の為でしたの」ボソッ

さやか「へっ?」

仁美「でも今は見滝原の危機とのことッ!私情は挟んでいられませんッッ!!」

ほむら「任せていいのね…?」

仁美「お任せ下さい……志筑財団の科学は世界一ィィィィィィィィィィ!!!」

仁美「人間を超越するほどのボディにして差し上げますわァァァァ!!」

杏子(もう超越してるんだけどな……)

ほむら「できるだけ早い方がいいわ……例えば明日とか」

仁美「不眠不休で作らせます…それではアリーヴェデルチ(さようならだ)」

ブォォオオオオォォォン

まどか「あとは仁美ちゃんに任せるしかないね……」

早乙女「知久さんはまだダメージが回復していない……」

詢子「となると戦力はあたし、和子、まどか、さやかちゃん、ほむらちゃん、杏子ちゃんの六人か……」

杏子「そのうち魔法少女はたった二人……本当に大丈夫なのかほむらッ!」

ほむら「う…うろたえるんじゃあないわッ!魔法少女はうろたえないッ!!」

まどか「……そうだよ、きっとなんとかなるよ!明日頑張ろう!」

ほむら「そうね……こんな世界もう二度とないでしょうし、どっちみち明日ワルプルギスを倒さなければ私は死ぬ……」

ほむら「必ず勝つわよッ!!」

ワルプルギスの夜襲来

ワル夜「ホハハハフフフフヘハハハハフホホアハハハフハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケノォホホノォホヘラヘラヘラヘラアヘアヘアヘ」

杏子「でやがったなワルプルギスッ!」

まどか「とりあえず、使い魔は私達に任せて!」

ほむら「さぁ……行くわよッ!」

さやか「ちょちょちょ、ちょぉッと待ったぁぁ!」

ほむら「……何?」

さやか「いやさほら、ひょっとすると使い魔だっていいやつって可能性もあると思ってさ!あたし使い魔と戦うの初めてだし、初対面で色々決め付けるのは良くないと思うのよ、うん」

ほむら「ばっ…そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」

さやか「ハロ~~ご機嫌いかがぁ~~?ハッピーうれピーよろピくねー」

使い魔「……」

さやか「さあご一緒に!ハッピーうれピーよろピくねェ~~!」

使い魔「WWRREEEYYYYYYYYYY」バキィッ

さやか「げふっ」

まどか「さやかちゃぁーーんっ!!」

さやか「……」

ほむら「……気が済んだ?」

さやか「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!」コァァァァ

和子「波紋疾走ッ!」ドギュゥーン

詢子「次から次へときりがないな」バチィーン

まどか「マミさんの意志は私が……山吹色の波紋疾走!!」ブワァァァァ

杏子「あたしらはワルプルギスだッ!頼むぞほむら!」

ほむら「時よ止まれ!」カチリッ

ドォォォーーン

杏子「これが止まった時の世界…!」

ほむら「一気に駆け抜けるわよッ!」

ゴォォォァァァ

杏子「でけぇ図体してるじゃぁねーか……容赦はしないッ!」

杏子「あたしの精神テンションは今!貧民時代に戻っている!父に絶望され魔女を恨んでいたあの当時にだッ!」

杏子「冷酷!残忍!そのあたしがあんたを倒すぜッ!」ズン

ほむら「ぶっ壊すほど…シュートッ!」ドォーーン

杏子「くらええええええええっ!!!!」

杏子「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーッ!!!」

ザザザザザザザザシュンッ

ほむら「解除」

カチリッ

ワル夜「MMMMMMMMOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH」

ほむら「やったッ!効いてるわッ!今までどんなに重火器で攻撃してもビクともしなかったこの魔女にィィ!!一矢報いてやったッ!」

杏子「やりゃぁできるじゃねーか……おいほむら!あたしの武器に波紋は流せねえのか!?」

ほむら「愚問!油を塗りさえすれば……」ヌリヌリィ

ほむら「波紋槍の完成よッ!」

杏子「多節槍ッ!こいつをワルプルギスに巻きつけて…そのまま一気に叩きつけるッ!」ジャラァァ

ワル夜「GIIIIYAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHH」

杏子「地面に引きずり下ろしてやるッ!」

グォォォーーン

ほむら「ハッ!いけない杏子!それはまずいぃ!!」

ワル夜「SYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

普通ならばそのまま地面に叩きつけられていただろう

しかしワルプルギスは常時逆様状態!

逆にッ!正常時の状態に戻そうと体を起こしたのだッ!

杏子「うっ!うああああ引っ張られるッ!」グォン

ほむら「杏子ーーっ!!」

ワル夜「KUUUUWAAAAAAAAA」ゴァァァァ

ドガァァッ

杏子「グアッ!!」

ほむら「なんてこと……空中に放り投げられて逆に殴られ…地面に叩きつけられてしまった…!!」

ワル夜「NUUUUUUAAAAAHHHHHH」

ほむら「むっ!再び逆様状態に戻ろうとしている……好機!利用しない手はない!」

スタッ

ほむら「そう…そこの位置がいい!ワルプルギスの頭が斜めになっているその位置がものすごくいいッ!」

ブォォォォォォォォン

ほむら「ロードロー……」

ほむら「タンクローリーだッ!HOOMRYYYYYYYY!!!!」

ヒュッ

ドガァァァァァァァアァン

ほむら「すかさず攻撃を続けるわッ!必殺ゥ~~~!!波紋ランチャーーッ!!」

ドガガガガガガァァン

和子「暁美さんの波紋の使い方、完璧ね」バチィ

詢子「だなっ!魔力じゃなくて波紋で戦った方が強いんじゃぁないのかぁ?」バチバチィ

まどか「でもほら、魔法じゃなきゃできないこともあるみたいだし」ドォォン

和子「ワルプルギスは退治で来たのかしら?」

まどか「……使い魔が消えないところを見たら、まだだと思いますよ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ワル夜「HUUUUUUWAAAAAAAAAHHHHHH」ドドドドドドドドド

ほむら「くっ……まさに不死身の怪物ッ!!」

ほむら(でもなぜかしら……今まで戦ってきた時よりも感じる『スゴ味』は圧倒的に少ない気がする!)

杏子「あたしを置いて暴れてんなぁほむら」バァァン

ほむら「流石杏子、あの程度の攻撃なんてことないみたいね」

杏子「当然だッ!」

杏子(あたしの全神経は今…研ぎ澄まされている……肌で微妙な空気の動きまでも分かるほどに!貧民時代のピリピリした感覚だ!!)

ほむら「もう一度時を止めるッ!次も行くわよ!」

杏子「任せろッ!」

カチリッ

杏子「今度こそ風穴開けてやる!」ヒュッ

ズブッシャァァーーー

杏子「よし!ここにほむらが波紋を――」

ガシィィ

杏子「なっ!なんだぁ!?槍が突然何かに掴まれたような感覚っ!」

ほむら「どういうことよぉ!!もし……もしもっ!ワルプルギスの中に何かがいるとして……そいつに槍が当たっていたのだとしたらッ!」

ほむら「そいつは杏子を伝って私に触れているも同義……つまりッ!止まった時の世界に入門している…!」

杏子「なにィィィィィ!!そんなことできるやつがいるっていうのか!?」

ほむら「いるとしたら……まずいッ!この腕を離すわよ杏子ぉぉ――ッ!!」

ホムウ「ほんの一手遅れたようねぇ……」グボァァァァ

ほむら「ホムウッ!」

ホムウ「闘技!ホム砂嵐!」

カチリッ

ドォォオオァァアァア

ドギュゥーーン

杏子「ゲブッ」

ドッグシァッ

ほむら「カハッ」

ブッシァッ

ドガッシャーーン

ホムウ「フッ……私達が生き物の……魔女の中にすら入れるということを知らなかったようね」

ホムウ「暁美ほむらの急所は外してしまったが……佐倉杏子には完全に入ったッ!」

ズズズズズズ

ゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「馬鹿な……どうしてホムウが…ここにいるの……!」

ホムウ「簡単な話……最強の魔女を吸血魔女にするためよぉっ!!」ガバッ

ホムウ「血はぁぁっ!貴様らの血だぁぁぁッッ!!!!」

ビス ビスビスッ

ワル夜「うわっはははは―――――ッ!!」

カッ

ほむら「あぁっ…ああぁぁぁっ!そんな!ワルプルギスが……吸血魔女にッ…!!」

ホムウ「どうやら、貴様の望みは完全に途絶えたようだな……」

ほむら(もう駄目だわ……ただでさえ勝てるかどうか分からなかったワルプルギスが…今度は全てパワーアップしている吸血魔女ですって……)

ほむら(そんなの倒しようがないじゃない……)

ホムウ「ムッ」

杏子「……」ズルリ ズルリ

ほむら「杏子……」

ホムウ「無駄だ!もはや闘うどころか立ち上がることすら困難なはずッ!あなたの血管や筋肉をズタぼろに引き裂いたわ」

杏子「う…うああ……」

ドス ガス ドン

ホムウ「やめろ!」

グラァ

杏子「あっ……」ドザァァ

ほむら「くっ…もうやめて杏子……立ち上がっては駄目よ……」

杏子「親父はただ平和を願っていただけだった……あたしだって…正義のために何かやらなくちゃあ……」

杏子「カッコ悪くてあの世にいけねーよ……」

シュルッ パシッ

ほむら「リボンを…?」

杏子「いいよ……一緒にいてやるよほむら……一人ぼっちは寂しいもんな……」

杏子「あたしの最後にみせる魔法は正義の魂だ!人間の魂だ!」

グラァァ

ボゴォォォ

ほむら「ッ!杏子!ビルの瓦礫が……」

杏子「受け取ってくれほむら」

ズズズゥゥン

ほむら「…………嘘……杏、子……?」

ほむら「……嘘だよね……ここまで来て…杏子が死んだりするはずないよね…?」グググ

ホムウ「立ち上がるか暁美ほむら……しかし無駄なこと」

ほむら「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ホムウ「……ワルプルギスよ…後は任せたわ……」スタスタ

ワル夜「KUUUAAAAAAAAAAAAAAAAA」

ほむら「……リボンと、髪飾り」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「……まどか…?」

和子「佐倉さんはどこ!?」

ツツー

さやか「岩の下から…血が……?」

まどか「こ…これは……まさか……」

ほむら「杏子は…ここで死んだ」

まどか「そんな……」

ゴシゴシ スチャッ

和子「悲しんでいる暇なんてないわよ……目の前に魔女がいるのよ!気を引き締めなさい」

さやか「なっ…!」

詢子「……和子の、言うとおりだ……」グッ

さやか(杏子が死んだのになんで涙一つ流さないの……と、怒りたいけど…先生の言うことは間違ってないし、先生だって気丈に振る舞ってるだけなんだ……)

さやか「早乙女先生、眼鏡逆さだよ」

和子「……」フルフル スチャッ

まどか「杏子ちゃん……」

ほむら「ううっ……杏子ォォォーーーーーーッッ!!!!」

ワル夜「FUUUUUHAAAAAAAAAHHHHHHHH!!!」

さやか「こんのやろぉ……許さない!」

ほむら「さやか……この場合!そう言う台詞を吐くんじゃないわ…いい?こういう場合!敵を討つときというのは言うような台詞を吐いてから戦うのよ」

ほむら「『我が名は暁美ほむら』『我が先輩の名誉のために!』『我が友杏子の心の安らぎの為に…』『この私が地獄の淵へブチ込んであげる』」

ほむら「こう言って決めるのよ!!山吹き色の波紋疾走ッ!」

まどか「桃色の波紋疾走ッ!」

さやか「青色の波紋疾走ッ!」

和子「波紋疾走ッ!」

詢子「波紋疾走ッ!」

バチバチバチィィン

ワル夜「ANGYAAAAAAAAAAAA」

ほむら「これでどうッ!ワルプルギスゥゥゥーーーッ!!」

ワル夜「GIII…GIIYYYYAAAAAAA」

まどか「弱ってるッ!すなわちッ!今が好機ッ!!」

「私にもやらせてもらえるかしら!」

さやか「ッ!あたしらはこの声の主を知っている!いや!あの眼差しと体の傷を知っているッ!」

マミ「地獄から舞い戻ったわ」ババァァン

ほむら「マミ――!?一体なんなのその体はッ!?」

まどか「腕から顔からお腹まであちこち機械だらけじゃないですかァァっ!!」

マミ「義手なんかじゃ済まない身体になってしまったわ……でも、そのおかげでワルプルギスの夜と戦えるの!」

仁美「志筑財閥の科学は世界一ィィィィィィィ!!巴先輩!思う存分やってしまって下さいなッ!」

ほむら「マミ……」

マミ「分かってるわ……佐倉さんの仇ッ!」

ほむら(本当の仇はこっちじゃないんだけど……今はそんなことどうでもいいわね)

マミ「くらえワルプルギス!一分間に600発の魔弾を発射可能になったこの体で繰り出すティロ・フィナーレをッ!!!」

マミ「ティロ・フィナーレェェェェーーーー!!!!!」

ボボボボギュゥゥゥーーーーーン

ワル夜「GIIYAAAAAAAAAAAAA」

マミ「暁美さん!とどめを!」

ほむら「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!山吹き色の波紋疾走ッ!!!」

ドォォァァァァン

ワル夜「うぐおおおああああ!?なああにィィィイイ!!ば…ばかな…このワルプルギスが……このワルプルギスがぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~ッ」

シューーシューー

ドザァァァッ

まどか「や……やったッ……」

さやか「服だけ残って…消滅……!」

詢子「終わったんだな」

和子「勝った!まどか☆マギカ完!」

ほむら「うっ…うぅぅぅ」ドサァァ

マミ「よくやったわね暁美さん……私達であのワルプルギスを倒したのよ」

ほむら「はい……うぐっ…グスッ……ぬううぅぅぅぅぅぅ~~~~~ッ」

まどか(杏子ちゃん!パパ!QB!終わったよ……)

マミ「――って誰ひとり死んでないでしょ!」

さやか「だ、だって…杏子は…もう……」

マミ「生きてるわよッ!だって暁美さんは持っているんだものッ!佐倉さんの命をッ!ソウルジェムを!!」

ほむら「ヒック…グスン……ふぇ?」ゴシゴシ

マミ「だからね暁美さん、佐倉さんのソウルジェム持ってるでしょ?って言ってるの」

ほむら「そんなの……私が持ってるのは、リボンと髪飾、り……ハッ!」

まどか「付いてる…!その輝きはぁぁ!間違いなくソウルジェムの輝きッ!」

さやか「バッチリ間違いなくソウルジェムだッ!」

和子「ちょっと暁美さん!どうして気が付かなかったの!?」

ほむら「……うっ――」

まどか「『うっかり』はなしで」

ほむら「えっ?」

マミ「この瓦礫の下に……佐倉さん無事だといいんだけど」

仁美「ここから先は私達がやりますので、みなさんはお急ぎになられた方がよろしいのでは?」

まどか「そっか……これで終わりじゃぁないんだよね」

ほむら「柱の女……あいつらが残ってる」ゴゴゴゴゴゴゴ

詢子「石仮面ともこれで決着だな」

和子「そうね…必ず終わらせましょう」

さやか「場所は分かってんの?」

ほむら「そう遠くないはず……ホムウがさっきこの辺にいたから…ソウルジェムの反応を辿っていけばいいわ」

まどか「ほむらちゃん怪我大丈夫?」

ほむら「平気よ……こんな傷、杏子が受けたものに比べたらなんてことないわ」

ほむら「待っていなさいホムウッ!私は必ずあなたを倒すわッ!!」

―魔女の結界―

さやか「やっぱりマミさんにも来てもらった方が良かったんじゃないかな?」

ほむら「マミは杏子の手当てをしなければならないし、どっちにしろ波紋なしでホムウ達と戦えるとは思えないわ」

さやか「それもそうなのかな……」

まどか「この門をくぐればいいのかな」サスッ

\ギャッ/

まどか「ひゃっ!な、何?何処から声が!?」

ほむら「門に触ったら突然……」

\門じゃねーズラ/

ほむら「これはまさか…吸血魔女ッ!」

魔女「どこ見てるズラ!門じゃねーって言ったズラッWWWRRRRRYYYYYY」

さやか「やっぱり吸血魔女!」

魔女「踏みつけてやるズラ覚悟するズラ」

ほむら「くっ!」

和子「待ちなさい」スッ

ほむら「早乙女先生…?」

和子「あなたは一番疲れているもの…少し休んでいなさい」

魔女「童顔眼鏡はいいズラ 可愛いズラ 丁度いいズラ 踏んづけてそこから血を吸い取ってやるズラ」

和子「可愛いだなんて…もうっ!正直なんだからッ!!でも吸血魔女に言われても何にも嬉しくありません」

魔女「WOOFHOOOFHOOOOO」ズズズゴゴゴゴゴ

まどか「これは!門の片側が持ち上がって私達を踏みつぶそうとしているッ!」

魔女「ギュゥゥ~~~っと踏んづけるズラーーーッ!!」グゥォォォォ

スゥゥ クゥゥゥ

ビシィッ

魔女「なにその棒っきれ?HYAAHAA私を殴ったつもり?笑っちゃうズラ!」

和子「さあもう行きましょう」

魔女「あれーどこ行くズラ 私を無視するなズラ」

さやか「オーノーだズラ…あんたもう波紋流されちゃったズラ」

魔女「OOOHHHHHNOOOOOO」シューシュー

ほむら「早乙女先生はやっぱり教鞭を使うんですね」

和子「まあね、大事な商売道具だもの」

詢子「そのまま殴ってもいいと思うんだけど…変わってるなぁ」

ほむら「……そろそろですよ」

ドドドドドドドドドド

フォォオオオ

ホムウ「……」

ほむら「いたわねホムウッ!」

詢子「待ちな……やつを見るより床を見るんだ」

まどか「分かってるよママ…気配が何十ってあるのに足跡は一つしかないってこと」

さやか「何十…?」

ホムウ「ほう…僅かな呼吸の流れを感じるほどになったか」ヒュゥーー

ズララァァァーーーン

魔女たち「KUUUUWWWWAAAAAAAAAAAAAA」

まどか「ひっ!」

ほむら「こいつらみんな吸血魔女と吸血使い魔だというのッ…!?」

ホムウ「さて暁美ほむらよ……私と戦う資格を得てからすこしはまともになったのかしら」

ほむら「愚問だわ…必ず倒してみせるッ」

ホムウ「ならば、手始めにこう言うのはどうかな」パチン

シュタタタタッ

魔女1「私の名はエリー!」

魔女2「ギーゼラ!」

魔女3「シャルロッテ!」

魔女4「ロベルタ!」

魔女’S「血管針攻撃ッ!」

ほむら「この暁美ほむらぁ容赦せん!」ズァァァ

バキィィン

ほむら「証明を叩き落として全員同時に触れて波紋を流す……」

バチバチィ シュー

魔女'S「GIIIYAAAAAAAAAAAAAA」

さやか「やるぅ!」

ホムウ「ほう……ついに私と闘う完全なる資格を手にしたかッ!」

ほむら「ところで、あなたもでてきたらどうなの…カーズコ!」

ピカァァ

パカァァァァァ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

カーズコ「……」

まどか「眩しいっ……!」

さやか「暗闇だから余計にそう感じてしまうっ!」

カーズコ「エイジャの赤石を渡しなさい」

和子「……ここにはないわ」

詢子「和子が二人いるみたいで気味悪いね……」

カーズコ「そうでしょうね……わざわざ敵陣に持ってくるやつはいない…だが持って来て貰おうッ!さもなくばあなた達を殺した後で周りの人間も殺してあげるわッ!」

和子「あら、私達を殺せると思ってるのかしら」

カーズコ「しかしここから数人の吸血魔女を貴様らに邪魔されぬよう外に出すこともまた容易ッ!」

詢子「嘘は言ってないようだよ和子……使い魔どもに壁になって邪魔されれば数匹の魔女が逃げるのには十分すぎる時間だッ」

まどか「先生、ここは持ってきた方がいいんじゃぁ」

和子「ッ!」バッ

ほむら「それはエイジャの赤石ッ!しっかり持ってきていたんですねッ!!」

カーズコ「フンッ」ニヤリ

カーズコ「そいつを奪うのよッ!そうすれば私達の勝ちよッ!」

ホムウ「お待ちをカーズコ様!暁美ほむらと私との闘いはまだ……どうか今一度チャンスをッ」

カーズコ「ならん!もはや目の前にあるエイジャを手に入れるのみ!」

ホムウ「ムウ……」

和子「仕方ないわね……私がカーズコの相手をするから、暁美さんはホムウの相手を」

和子「他の三人は吸血魔女たちでいい?」

さやか「了解です!」

まどか「こっちは任せてほむらちゃん!」

ほむら「えぇ……決着を付けてやるッ!」

頭回らんからちょっと休憩
保守を頼みたい…もし落ちたらもう速報行くから

とりあえず起きた
ありがとう

詢子「ちょぉっと待ったぁぁぁ!」

まどか「ママ…?」

詢子「せっかく一対一の勝負がしたいっつってんのにさぁ、それをやらせないってのは酷いんじゃぁないのぉ?」

カーズコ「人間風情がこの私に指図するつもり?」ゴゴゴゴゴゴ

詢子「おー怖い怖い…怒ったところは和子そっくりだねぇ……ほむらちゃん、銃を持ってるよね?」

ほむら「え…えぇ……あるわ……」

詢子「そいつでエイジャを撃つんだ」ドドドドドド

ほむら「エイジャを…ッ!!」

カーズコ「おのれ鹿目詢子ッ!どういうつもりかッ!」

詢子「このまま多勢に無勢で襲われたんじゃぁひょっとしたら負けちまうかもしれないだろぉ?そうなったらさぁ、あたしらの面目丸つぶれなわけよ」

詢子「だったらいっそ、敵の手に渡るくらいなら自分たちでぶっ壊しちまおうかなってさぁ」ゴゴゴゴゴゴゴ

カーズコ「ヌウ……」

詢子「どうすんだい……こちとらエイジャを撃つのに1秒とかからないんだよ……」

詢子「一対一の勝負、認めてやったらどうなのさ…?」ゴゴゴゴゴゴゴ

カーズコ「……いいだろう、敢えて貴様らの挑発に乗ってやる!」

詢子「そうこなくっちゃね!」

ホムウ「フッ……」

カーズコ「ホムウ!」

ホムウ「失笑でしたカーズコ様」

詢子「頑張りなよほむらちゃん!勝てる自信、ある?」

ほむら「アリアリアリアリアリーヴェデルチよ」ファサァッ

まどか「それ使い方間違ってないかな?」

カーズコ「ホムウ!決闘には時と場所が必要!希望を言いなさい!」

ホムウ「今宵……日付が変わる時!場所はこの結界内にある古代環状列石≪サークルストーン≫の間!」

カーズコ「古式にのっとった作法で戦いたいというね……」

和子「日付が変わるまではまだまだ時間があるわね」

カーズコ「好きに過ごすがいい…ただし早乙女和子!貴様はエイジャを持ってこの場に残れ!逃げ出さんようになッ!」

和子「そりゃそうか…当然の要求よね……」

詢子「和子、あたしは一旦外に出てくる……ここのこと頼んだよ」

和子「任せなさいな!」

ほむら「私も残ります」

まどか「私も」

さやか「じゃああたしも!」

詢子「よし!それとさほむらちゃん、一応言っとくんだけど……」

詢子「赤石を破壊したらなお!なお奴らを倒せなくなるって言い伝えがあるんだ……だから本当に破壊しちゃだめだかんな?」ヒソヒソ

ほむら「……分かりました」

時は過ぎ!日付が変わる少し前!

一行は古代環状列石に来ていた!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

さやか「なっ…何この地響きは!」

ホムウ「来たか!」

ドドドドドドドドド

VAAHOOOOOOOOO

ほむら「あれはッ!あの象はッ!ワルプルギスの夜の使い魔と思われる象なのではッ!!」

カーズコ「そう!あれはワルプルギスの象であるッ!もっとも、石仮面を使って吸血象にしてあるけどねぇぇ~~~」

ほむら「吸血象ですってェ~~」

カーズコ「これよりほむら対ホムウの一対一の古式にのっとった『戦車戦』を実施するわッ!」

カーズコ「この戦車に乗り闘技場を戦いながら走り続けるッ!どちらかが戦闘不能になったら勝負が決まるッ!ゴールは死のみ!古代ローマの戦車ですマッチッ!」

さやか「待てこらぁぁ~~~!吸血象ってことはあんたらの手下じゃないのよぉ~~ッ!こっちが不利じゃん!」

ホムウ「心配しなくても、手綱は波紋が通るようになっているから波紋で操ることができる」

さやか「本当かよぉ……」

ほむら「……」スッ

まどか「ほむらちゃん危ないよ!」

バチバチィ

ほむら「確かに通るわね…軽い波紋で操れそうだし負担もそんなにないわ」

\ワーワー/ \ワーワー/

ズォォオォン

カーズコ「ホムウ……古式のっとった戦闘装束か」

ほむら「どう見ても体操服じゃない」

ほむら「ホムウ……あなたには杏子をやられた借りがあったわね…今!ここで返すわッ!」

ホムウ「フンッ…ひとつ教えておいてあげる!第一コーナーの柱にはトラックを一周するごとに武器がかけられる」

ほむら「武器?」

ホムウ「一週目は…ティロ用大型キャノン!」

ほむら「ううっ……!」

ほむら(あんな大きくて使いにくそうなものを使えというの……いえ、普段なら便利なんでしょうけど、この勝負は揺れる戦車の上ッ!圧倒的に使い勝手が悪いッ!)

ほむら(しかし、うまくいけば停車して狙うことも可能かもしれない……狙う価値はあるッ!)

ホムウ「ナイスファイトに期待しているわよ……ほむら」

ほむら「……」

カーズコ「もうすぐ日付が変わる」

和子「それが始まりの合図」

ドドドドドドドド

ほむら(ワルプルギスの夜が来る前だったかしら……まどかが言っていた)

ほむら(明日頑張ろう、と)

カーズコ「スタート!!」

ほむら(明日っていまさッ!)

カチリッ

ほむら「どうせ時を戻しても毒で死んでしまう……だから残っていた砂時計ありったけを使って時間を止め距離を離す!」

ほむら「そしてッ!キャノンは頂くわッ!」ガシィィ

カチリッ

ドドドドドドド

ホムウ「ヌウ!いつの間に!!」

カーズコ「時を止めたかッ!」

さやか「やりやがったなぁほむらのやつ!」

ほむら「残念だけど、一撃で決めさせてもらうわ……吸血象は停止させッ!すでに私は走ってくるあなたに狙いを定めているッ!」

ほむら「くらえええーーーっ!波紋を込めたティロ・フィナーレをーーーっ!!!」

ボシュゥゥーーン

ホムウ「MMMMMOOOOOOOOHHH」

ドッギャーーン

まどか「早い!なんてスピーディな決着っ!」

さやか「ホムウは象の半身と一緒に吹き飛んでるッ!!」

ほむら「姿が見えない……これで終わり…?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「ホムウの吸血象が近づいてくる……ハッ!そうだったっ!奴らはッ!生き物の中に体を埋めることができるんだったわ!」

ズズズズズ

ホムウ「……」スゥッ

さやか「象の半身からホムウが現れただってぇ!?」

ほむら「そしてまずいっ!この距離ではかわせないッ!」

ホムウ「闘技!ホム砂嵐!」

グゥォオオオオオォ

ドグァーーーッ

ドシァッ

和子「暁美さん!」

カーズコ「ふん、他愛ない……」

カーズコ「これで終わった……エイジャの赤石を頂くぞ」

和子「終わったですって?よく見なさい」

まどか「ああっ!ホムウちゃんの腕がボロボロだよッ!」

さやか「しかもなんかうわ言のように呟いてる!」

ホムウ「ワタシナンカシンジャエバイインダー……ナマエマケシテマスー……」ブツブツ

カーズコ「なんですって!?一体なぜッ!……そういえばキャノンは!奴が持っていたキャノンはどこにいったのッ!」

ほむら「ま…またまたやらせていただいたわァん!マミのキャノンは本来リボンの魔法だったことを知らなかったのかしら?」

カーズコ「まさか……ッ!」

ほむら「キャノンをリボンの状態に戻してホムウの腕に絡みつけ波紋を流し……ホム砂嵐の威力を封じたのよ」

ホムウ「シンジャエバインダー……」ブツブツ

ほむら「トラックを一周するまでもなかったわね!ここでとどめをさしてあげるわ!」スッ

突然だが、一流のスポーツ選手には「スイッチング・ウィンバック」と呼ばれる精神回復方法がある!

選手が絶対的なピンチに追い込まれた時、それまでの経過のショックや恐怖を心の隅においやり闘志だけを引き出す方法である

その時選手は心のスイッチを入れ替えるため儀式を行う

「ユニフォームを変える」「深呼吸をする」

ホムウのスイッチはッ――

まどか「ホムウちゃんが……ホムウちゃんが…!」

さやか「な…なんだぁ~~!何やってんのあいつぅ!」

ホムウ「……」バーーン

和子「ホムウが……眼鏡を外して髪をほどいたァ~~~~!」

ほむら「……」

ホムウ「これで条件はあなたと同じ…!な…なまじ視力に頼っていたから虚を突かれた!」

ホムウ「これからは『風』だけを感じてものを見るわ!」

ほむら「……」

ホムウ「……」

ほむら「ところでこれ、吸血象が走行不能になったらどうするの?」

ホムウ「復活を待つのみッ!」

ほむら「……私にはまだ波紋を使った『クラッカーマシンガン』とかあるけど、今……今ぶち込んでも!構わないのよね…?」ゴゴゴゴゴゴ

ホムウ「……ど…ドンパチですかーッ!?」

ほむら「YES! YES! YES! "OH MY GOD"」

ほむら「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラーーッ!」ドガガガガガガガガガ

ほむら「ボラーレヴィーア(飛んで行きな)」

グシュァァァ

ホムウ「ううっ……あぁ……」シューシュー

ほむら「ハァハァ……自分自身を撃つというのは…結構嫌なものね……」

ホムウ「ほむら……決着が…ついてしまったわね……」シュー

ほむら「そうね」

ホムウ「佐倉杏子の……仇は取れたかしら……」

ほむら「えぇ」

ホムウ「……やってちょうだい」

ほむら「そうね……私は魔女に情けをかけない。ひと思いにとどめをさしてあげる」

ホムウ「良かったわね……まどか、を…救えて……」

グォォォォォォ

バチィィッ

シュー

ほむら「……」

カーズコ「くっ……ホムウは!甘かったのだッ!爪がッ!!」

シュッ

シャキィーーン

カーズコ「残るはこのカーズコのみ!だがッ!頂点に立つのは常に一人!」バーーン

和子「光る教鞭を武器にするのね」

カーズコ「このカーズコは流法は『光』!輝彩滑刀の流法!!」シャキィン

和子「私が相手をしてあげるわ……一対一でね」

まどか「先生!私達も戦います!」

さやか「そうっすよぉ!そんなルールは取り決めてなかったんですから!」

和子「いいえ駄目です!ホムウとの対決を一対一にした以上、カーズコとも一対一で蹴りをつけます」

カーズコ「……フン、阿呆め」

ほむら「ハァ…ハァ……」

まどか「ほむらちゃん…今から先生が勝負するんだって」

ほむら「そう……」

ほむら(カーズコ……奴だけは三人の中でも異彩を放っていた……早乙女先生で大丈夫なのかしら)

早乙女「姿形は私と同じでも、中身は全然似てないわね」

カーズコ「そうね……どうやら武器もあなたと私の物では全く質が違うようね」

早乙女「同じ教鞭を持って置いて……何が違うというのッ!」ダッ

カーズコ「無駄無駄ァ!」ブゥゥゥゥン

早乙女「ハッ!」

早乙女(ただ光っているだけかと思ったけど……よく見るとッ!よく聞くとッ!)

早乙女「教鞭に付いているサメの歯の様な形の細かい微小な、しかも鋭いツメが教鞭を走っていたのだッ!!」

ズバァァァ

まどか「早乙女先生!」

早乙女「は…発想のスケールで……負けた……」

ブッシャァァァーーッ

カーズコ「フン……こんな奴が貴様らの師とは笑止!」

ほむら「まさかっ!早乙女先生が一撃で…!?」

カーズコ「ご丁寧にエイジャの赤石を持ってきてくれるとは……赤石は手に入れたッ!あとは貴様ら波紋の一族と戦士を滅するのみ!」

さやか「うっ……こいつぁやばいよ!」

まどか「先生が勝てなかった相手……でも、やるしかない!ここで負けるわけにはいかないよッ!」

ほむら「絶ぇぇぇぇぇぇ対にぃぃぃぃぃ!!負けないッ!!!」

吸血魔女「WWWRYYYYYY」

さやか「波紋疾走ッ!」バチィィ

まどか「どいてッ!」バチバチィ

カーズコ「おぉぉっとぉぉ~~~ッ!近付くんじゃぁないわッ!それ以上近付くとこいつがどうなってもいいのかしらぁ?」シャキィィン

ほむら「卑怯なッ!」

カーズコ「卑怯~~~っ??卑怯だとぉぉ~~~ッ!私の目的はエイジャの赤石で『究極魔女』になること!」

カーズコ「どんな手を使おうが……最終的に……勝てばよかろうなのだァァァァッ!!!」

カーズコ「こいつはほとんど死んでいる…だがちょっぴり生きている……あえてそうしたのは『駒』だからよッ!」

カーズコ「ウィンウィンウィンウィン」スル スルスル

ほむら「余裕を噛まして……」ギリッ

カーズコ「さあ終わりよッ!」

グォォォォ ピッカーーッ

カーズコ「ヌヌウ!これはッ!太陽の光ッ!?一体なぜェェ!!!」

まどか「今は夜のはずなのに…!こ…この光はッ!?」

キュィィィィン

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

さやか「その顔はッ!マミさんッ!!」

マミ「YES I AM」チッ♪チッ♪

杏子「あたしもいるぞ!」

仁美「私達志筑財団もいますわ」

まどか「みんな来てくれたんだねっ!」

マミ「本当は時間をかければ治るんだけど……今はこの脅威を破るためにあえてこの姿で挑ませてもらうわ!」

マミ「体内に仕込んだ紫外線照射装置ッ!」

マミ「ティロ・ウルトラヴィオレット!!!」ピッカーーーッ

吸血魔女「GGIIIIIYAAAAAAAA!!!」

カーズコ「おのれェェ~~~ッ!小癪な真似をッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

カーズコ「ハッ!」

ほむら「もう終わりにしましょうカーズコ……」

まどか「あなた達は確かに強い……でもね、人間はもっと強いんだよ」

カーズコ「こぉのぉぉ――ッ!ノミと同類の分際でェェッ!」ブァァァァ

さやか「ノミと同類…?」バチィッ

ほむら「巨大な敵に立ち向かう姿は似ているかもしれないけど、ノミ達のは『勇気』とは呼べないわッ!」

まどか「『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!人間讃歌は『勇気』の讃歌ッ!人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさだよッ!」

ほむら「魔法少女はQBに人間じゃぁないと言われていたけどね……『勇気』ある限り私達は人間なのよッ!!」

カーズコ「どちらでも同じことッ!私たち超生物に叶うはずがないッ!」ゴァァァァ

カーズコ「SSHHAAAAAAAA」ギャン

ほむら「くらえっ!」

まどほむさや「波紋疾走ッ!!!」

バッキィィーーン

ドッギュァーーン

カーズコ「BAAHHHHHHHHH!!!」ボッシュシュシュ

ドッジャーーン

ほむら「やった…波紋を流し込んでやったわ……!」

さやか「ざまぁみろぉーっ!」

まどか「さようなら、カーズコ先生……」

ドドドドドドドドドドド

ほむら「これで…全部終わったのね……」

まどか「うん……石仮面と波紋の一族の因縁は、ここで終わりにしよう」

さやか「……あれ?そういえば赤石と石仮面は?」キョロキョロ

まどか「えっ?どこだろう?」

ほむら(何かしらこの胸騒ぎ……嫌な予感がする……ッ!)

マミ「みんな大丈夫!?あとはこの紫外線照射装置でいっきに決めさせてもらうわよッ!」チュィィィン

杏子「ったく、おいしいとこ持っていきやがって」

マミ「ティロ・ウルトラヴィオレットッ!!!」ピッカーーーッ

クルゥゥゥ

ほむら「ハッ!!しまったッ!カーズコは赤石を嵌めた石仮面をッ!既に被っているゥゥッ!!!」

マミ「なっ!何ですってェェェ~~~ッ!?」

シュゴォォォォーー 

ガシャァァン

ギャワォォォォォォォォ

ボロ…ボロ…

さやか「た、たた立ちあがったァーーッ!!」

ほむら「うっ!うろたえるんじゃぁないわッ!魔法少女はうろたえないッ!」

さやか「いやあたし違う!」

シュゥゥゥゥゥ

カーズコ「……」

杏子「何がどうなってやがるんだ……あいつはどうなっちまったんだ!」

ピッ

まどか「太陽が…昇るッ!」

さやか「じゃあこれであいつは消えるッ!?」

ブァァァァァァ

バァァァーーーン

ほむら「あっ…あぁぁっ……太陽の中にいるのに……消えないッ!カーズコにもはや太陽のエネルギー…波紋は効かないわッ!!」

マミ「まさかっ…本当に……『究極の魔女』≪アルティメット・ウィッチイング≫カーズコの誕生なのーっ!?」

マミ「私が赤石の石仮面に気付いていれば……」

ほむら「奴は最後まで石仮面を隠していた……し、仕方のないことと言えば仕方のないことかもしれないけど……」

杏子「あぁっ!だがしかしッ!今回はうっかりじゃぁ済まないッ!ワルプルギスどころじゃねぇとんでもない魔女が生まれちまったッ!」

さやか「でも、一体何が変わったんだろう?」

まどか「み、見て!腕が変化していくよッ!」

モコモコモコ

グニョォォーーン

ほむら「あれはマミが食べられそうになった魔女…!腕から魔女を生やしているッ!」

杏子「あいつは…きっと全部の魔女になれちまうんだ……ワルプルギスにだってなんにだってなっちまう……」

まどか「全ての魔女……」

カーズコ「フン!もはや魔法少女も波紋の一族も恐るるに足らないわ!」

ほむら「こんなのもう、どうしようもないじゃない……せっかくワルプルギスを倒して、全部終わると思ったのに……」

ほむら「もうっ!もう帰ることさえできないのにっ!」

まどか「全ての魔女を消し去るには……」

「次にまどかは『QB私契約するよ』と言う……」

まどか「QB私契約する――ハッ!」

QB「その言葉が……聞きたかったよまどかッ!!」バァァァン

ほむら「インキュベェェタァァァーーーッ!!この期に及んでッ!まだ私を邪魔するというのかぁッ!」

QB「そうかな?もはやカーズコを倒すには波紋だけでなく最強の魔法少女の力を持ったまどかは必須だと思うけどね」

カーズコ「無駄無駄無駄ァ!何者にも私を倒すことはできないわ!!」

QB「さあまどか!願い事を言え!叶えてやろう!Hail 2 U!」

ほむら「だめェェェェェェェ~~~~~ッ!!!」

まどか「全ての魔女を生まれる前に消し去る……」

まどか「カーズコ先生がッ!」

ほむら「へっ?」

カーズコ「なにィ?」

QB「……君の願いはエントロピーを凌駕したッ!Hail 2 U!」

ブワアァァァァァァァァ

パァァァァァァァァ

カーズコ「無駄な足掻きをォォ――ッ!契約完了する前に吹っ飛ばしてやるッ!」ゴァァァ

カッ

カーズコ「……?」

カーズコ「ここはどこなの…?」

カーズコ「ムッ!そこにいるのは誰ッ!」バッ

少女「うっ……」

カーズコ「血まみれの少女……」

少女「ありがとう……迎えに来てくれたのね」

カーズコ「何の話をして――ハッ!!」

カーズコ「私の体にッ!体の中に入り込んでくるッ!!こいつの魔女がッ!」

カーズコ「OGOOOAAAAHHHHHHH!!!!」

カッ

カーズコ「ハッ!」

カーズコ「……またしても少女の前」

少女「終わるんだ……」

カーズコ「うぐっ!まただわッ!またしても魔女が入りこんでくるッ!!」

カーズコ「しかもこいつが今まで受けてきた呪いをッ!苦しみをッ!!全て一緒にッ!!」

カーズコ「BAAAHHHHHAAAAAAAAA!!!!」

カッ

カーズコ「うっ…!」

カーズコ「やはり少女の前…!」

カーズコ「まさか鹿目まどかの願いとは……!」

カーズコ「全ての魔女が生まれる前に私の中に閉じ込めることッ!その者の呪いと一緒にッ!!」

カーズコ「究極の魔女とは……究極の魔女とはッ!全ての魔女になれる……」

カーズコ「逆にいえばッ!未来永劫生まれてくる魔法少女のために魔女をッ!呪いを吸収し続けなければならないッ!」

少女「あぁっ……」

カーズコ「わ、私は何回呪いを受ければいいの!?次はど…どんな呪いを……私は…私は……」

カーズコ「私のそばに寄るなあ―――――ッ!!」

一年後

さやか「恭介、行っちゃうんだね」

恭介「あぁ、もしかしたら治るかもしれないってところが見つかったんだ……そこに賭けてみようと思う」

さやか「これであたしの波紋もいらなくなるねッ!良かった良かった」

恭介「うーん……ちょっと残念かもね」

さやか「へっ?」

恭介「もう波紋は必要なくなるかもしれないけど……これからも支えてほしいかなあとか思ってたり……」ポリポリ

さやか「そ、それって――」

恭介「この手術がうまくいったら、僕と付き合ってくれないかな…?」

さやか「……ばかッ!それじゃあ映画とかで怪物に食べられちゃうパターンと一緒みたいじゃんかッ!」ポカッ

恭介「うっ…ごめん……」

さやか「……絶対よくなるよ。いってらっしゃい」

恭介「いってきます」

マミ「杏子ーっ、いないのー?」キョロキョロ

マミ「もうっ、出掛けるんならお遣い頼もうと思ったのに……」

マミ「今日の晩御飯は杏子の好きなものにしようと思ったのになぁ」

杏子「なんだってェェェ~~~ッ!」バッ

マミ「……」

杏子「……」

マミ「どこに隠れてたのかしら?」

杏子「オーッノーッ!勘弁してくれよマミ!一緒に暮らしてるからってそんなにこき使うなよぉ~」

マミ「これくらい普通です!お願いね」ニコッ

杏子「チッ……」

マミ「いってらっしゃい」

杏子「いってきます」

魔獣「WWWRRREEEEEYYYYYYYYYY」

まどか「そっちいったよほむらちゃん!」

ほむら「任せてッ!」

ほむら「波紋疾走ッ!」バチィィ

魔獣「ANNGYAAAAAAAA」

まどか「波紋を練り込んだ魔法の矢ッ!桃色≪ローズピンク≫のフィニトラ・フレティアッ!」ヒュッ

ボッシャァァァ

まどか「今回は楽な相手だったね」

ほむら「まどかがいれば大抵の魔獣は楽な相手になってしまうわ」

まどか「もう、褒めても何も出ないよ?」

QB「やあ二人とも、グリーフキューブはあるかい?」

ほむら「かっ喰らってなさいッ!」ポイッ

QB「あれから一年か……」

ほむら「まどかがカーズコを円環の理という概念にしてもうそんなに経つのね」

まどか「本当は私がやるべきことだったのかもしれないけど……」

ほむら「いいのよまどか、吐き毛を催す『邪悪』にはこれくらいでも生ぬるいわ」

QB「魔法少女は魔女になる前にカーズコがやってきて導いていく……」

QB「おかげでエネルギー回収ノルマは全然見通しが立たなくなったよ」

ほむら「あんたも『邪悪』側の生き物なんだからちょうどいいわ」

QB「はいはい……インキュベーターはクールに去るよ」スタスタ

まどか「魔法少女と受験勉強…両方頑張らなくちゃならないってのが受験生の辛いところだよねぇ」

まどか「覚悟はできてる?私はできたよ!」

ほむら「当然」

ほむら(いつか私の前にもカーズコが現れるのだろう……当然まどかにも)

ほむら(その時あいつはどんな顔をしているだろうか?)

ほむら(でも今はそんなことはどうでもいい)

ほむら(ようやく手に入れた幸せを受け止めていきたい)

ほむら(私達は魔法少女……でもその前に)

ほむら(一人の『人間』なのだ)

ほむら(人間讃歌をこの胸に……『正義』の輝きの中にあるという『黄金の精神』を……)

ほむら(伝えていきたいと思う)


魔法少女まどか☆まどか 完

疲れた
スレタイと柱組の名前しか考えてなかったから最後の方めちゃくちゃだけど許して
エシヅキ放ったらかしだけどまあいいか

それから二回もスレ落としてごめん&保守してくれてありがとう
グラッツェ!

やべーほむらにホムウの薬飲ませるの忘れてた
あの後すぐ飲んだってことで脳内保管しといておくれ

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