オーク「買い物するかな」 (29)
オーク「生肉と野菜と・・・あと油も買わなきゃ」
オーク「しっかし人間と戦争した直後だってのにこの市場の混みようは何なんだ?」ガヤガヤワイワイ
オーク「今日は祭りでもあるのだろうか?あいや、そこの御仁!」
ゴブリン「ん、どうしたね?」
オーク「市場のこの状況はどうしたことか、何かあったのですかな?」
ゴブリン「知らんのかね君?人間界との戦争で大量に捕虜を得たもんで、商屋共が奴隷市を開いておるのよ」
オーク「奴隷?人間に小間使いでもさせようってのかい」
ゴブリン「それもあるが・・まあ人間奴隷の仕事なんて限られとるじゃろ。特に女はな」
オーク「なるほど・・道理で色めき立っているわけだ。ここにいる連中の目は尋常ではない」
ゴブリン「下衆な奴らじゃ。見たところ君はまともなようだ。悪いことは言わん。さっさと用を済ませて帰った方がいい」
オーク「そうだな・・・時間を取らせてすまない」
ゴブリン「礼には及ばんよ。もう暗い、気をつけて帰りなさい」
オーク(人間奴隷・・・か)
オーク(争うことは嫌いだった、昔から)
オーク(悪魔の末裔として生まれながら争い事を極度に嫌がる俺に親は辛く当たった)
オーク(でも、誰かを傷つけるよりは何倍もマシだと思えた。友人達は出征から帰ると決まって人間をどんな風に殺しただとか、彼らの非力さを馬鹿にする)
オーク(俺はそんな誇らしそうな友人達に対して何とか笑顔を作るのがやっとだった)
オーク「奴隷市なんて・・・馬鹿馬鹿しい」
しかし、翌日俺は奴隷市が開かれる広場に足を向けていた
オーク「何で俺はここに来てしまったんだ・・・」
オーク(・・・買い物ついでの興味本位に過ぎない。一通り見物したら帰ろう)
オーク「しかし、昨日に増して人通りが多い。週末だからか?」
狼男「出征してた兵士が帰ってきたのよ。周りをよく見てみろ、佩刀してる偉丈夫ばかりだろ?」
誰かに問うたわけではないが隣の狼男が得意そうに答えた
オーク「なるほど、確かに厳つい面構えの奴ばかりだ」
狼男「あんた人の事言えねえだろ」
狼男「あんたいいガタイしてるし動きも機敏そうだ。あんたこそ兵士じゃないのかい?」
オーク「俺は日雇いの役夫さ。力には自信があるが人は切らん」
狼男「ふーん、そうかい」
狼男はそう言うと興味を失ったようで人混みの中に消えてしまった。
オーク(やけに馴れ馴れしい奴だったな・・・)
オーク(しかしこう人が多いと見たい物も見れんな)
オーク「やれやれ、競りが見れる場所を確保するだけで一刻もかかるとは」
オーク(しかし、苦労した分かなり見やすい位置取りが出来た)
オーク「さて、実際奴隷なぞ街中で荷物持ちしか見たことは無いがどんなものか。」
どんな奴隷>>18
ドS女王様系女騎士
オーク「何なのだ?あの奴隷・・・競りの元締めが狼狽える程豪快に振舞っている」
女騎士「下賤なクズ共の視線が痛いわぁ~。亜人の分際で私を奴隷にしようなんて生意気なのよ!!」
元締め「おいっ!大人しくしないか!!」アセアセ
オーク「・・・皆、怒るより先に唖然としているな。無理もない」
女騎士「ちょっと!その汚らわしい手先で私の柔肌に触るんじゃないわよ!」ゲシッ
元締め「あぁん!」
元締め(な、何なのだ!この言いようもない高揚感は!?)
元締め(戦争で散々に痛めつけてやった人間風情に足蹴にされたというのに・・・)
元締め(気持ちいい・・・だと?)
元締め「・・・・・・もっと」ボソッ
女騎士「なぁに?もっと大きな声で言いなさぁい?」グリグリ
元締め(おおおおん!!これだぁ~!こいつは高く売れるぞぉ~!)
元締め「もっと力の限り踏み込んでくださぁ~い!!」ハァハァ
女騎士「おらおら!もっとキャンキャン喚きなさい!」ドゴッドゴッ
オーク「・・・帰ろう」
そんな異様な雰囲気の中、競売はスタートした。
だが、眼前で奴隷による主従逆転SMショーを見るハメになった客の反応は冷たく、手は挙がらなかった。
オーク(当たり前だな。弱々しい人間を奴隷としてこき使うのも厭われるが、あんな奴隷なぞ誰も欲しがらん)
オーク「・・・馬鹿馬鹿しい」スッ
元締め「おっと!そこのガタイのいいお兄さんが手を挙げた!他に誰もいないみたいだし即決ゥ~!」
オーク「!?」
オーク(なぜ俺は手を挙げたのだ・・・!?)
シリアス路線でドS女騎士とか無理ぽ
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