俺「ここはどこだ……あれは麻雀卓……?」(195)

俺「ここは一体……なんか学校っぽいけど」

?「あのー、あなたはどちら様でしょうか?」

俺「き、君は――松実玄ちゃん!?」

玄「は、はいっ! えっと、どこかでお目にかかりましたっけ?」

俺「ちょ、ちょっと質問していいですか!?」

玄「ど、どうぞ」

俺「ここってもしかして阿知賀女子学園?」

玄「? ええ、そうですよ」


俺「なんてこった……俺はとうとう二次元へと到達してしまったのか!」

?「>>1よ……>>1よ……」

俺「あ、頭の中に声が響いてくる!? だ、誰だ!」

     ____
   /__.))ノヽ

   .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ
  .しi   r、_) |

    |  `ニニ' /
   ノ `ー―i

?「ワシはアニメの神様、略してアニ神様と呼ぶがよい」

俺「あ、アニ神様だって? 一体何者なんだ!」

神「いつもアニメをこよなく愛し視聴し続けている>>1に褒美を与えに来た」

俺「ほ、褒美だと? まさか!」

神「そうじゃ、お前を二次元に放り込んでやった」

俺「ま、マジスか」

神「マジじゃよ」

俺「俺、阿知賀の子たちときゃっきゃウフフできるの?」

神「できるんじゃよ」

俺「きたああああああああああああああああああああ」

神「ほっほっほ、喜んでいるようでなによりじゃ」

俺「で? で? 俺これからどうすればいいんですか?」

神「>>1の好きなように行動するとイイ」

俺「俺の好きなように?」

神「そう、>>1の好きなようにじゃ。このセカイはワシの力によって>>1都合良く因果をねじ曲げておる」

俺「つまりどういうことですか?」

神「ご都合主義満載ってことじゃよ」

俺「ま、マジでこの俺がアニメの主人公属性になったのか……」

神「そういうことじゃな。とりあえずここでは>>1は赤土晴絵の代わりにコーチ兼顧問という立場になっておる」

俺「赤土さんカワイソス(´・ω・) 」

神「しゃーない」

俺「でも俺麻雀打てないことはないけどそんなに詳しくないですよ?」

神「さっきも言ったがそこら辺も主人公補正で何とかなる」

俺「マジスか」

神「マジじゃよ」

神「しかも出血大サービスとしてさらにもうひとつ特典がある」

俺「まだあるんすか! すげぇ!」

神「>>1が困ったときに世界中の皆から助言を得ることが出来るシステムを搭載しておいた」

俺「……説明オナシャス!」

神「つまり>>1が何をするのか迷ったときに誰かに呼びかけることによって適切なアドバイスが得られるのじゃ」

俺「2ちゃんで安価するみたいな感じですか?」

神「正にその通りじゃ。うまく活用すればR指定クラスのキャッキャウフフも夢ではない」

俺「やべぇ」

神「今のところはこんなところかの。必要があればその都度ワシが現れて説明をしてやる」

俺「……」

神「どうした>>1よ?」

俺「どうして俺にここまでしてくれるんですか? 俺はただのしがないアニメ好きですよ?」

俺「アニメは沢山観てますけど上には上がいるし、こんなに良くしてもらえる理由が」

神「ストップじゃ」

俺「アニ神様?」

神「>>1よ、アニメを愛するものは皆平等じゃ。今回はたまたまおヌシだっただけのこと」

神「他のものにも平等にチャンスが与えられることもあろう。今は黙ってこの状況を楽しんでおけ」

俺「アニ神様……ありがとうございます!」

神「うむ、>>1よ、エンジョイするんじゃぞ」

俺「神様、ありがとう……ありがとう……」

玄「あのー? もしもし?」

俺「あっ、えーっと」

玄「お気分でも悪いんですか? 保健室に案内しましょうか?」

俺「いや、いいです、すみません」

玄「そうですか? それで、あなたは一体……」

俺「えーっと、確か俺は」

玄「確か?」

俺「おおっとぉ! 俺は>>1と言います。今日赴任してきた教師です」

玄「6月に赴任ですか……珍しいですね」

俺「ですよねー」

俺(疑われてるよなぁ。怪しさ満点だもんなぁ)

俺「それじゃあ俺は職員室に行かないと」

玄「どうして真っ直ぐ職員室に向かわれなかったんですか?」

俺「うぐっ……それはそのー、あれだ。麻雀部があるって聞いてね」

玄「! 麻雀打てるんですか!?」

俺「あー、囓った程度なんだけど」

玄「ヨシ、ヨシ、これはイケルかも!」

俺「あの、松実さん?」

玄「はっ、はい! あ、すみません。なんでもないですー。うふふ」

俺「じゃあ俺は一旦失礼するから……」

玄「はい……それでは先生また後ほど」

俺「すげぇなアニ神様」

俺(設定として必要な情報が頭の中にインプットされてる)

俺(職員室に入ることで情報が解禁になる仕組みだったんだな)

俺「そして当然の如く顧問不在だった麻雀部の顧問にさせられる、と」

俺(別れ際の台詞……玄ちゃんにはわかってたっぽいな)

俺「松実玄……恐ろしい子! さて、放課後の部室にやって来たわけだが」

俺(入って良いのだろうか?)

?「あのーすみません。そこに立たれてると部室に入れないんですけど」

俺「こ、この声は!」

俺「新子憧ちゃん!!」

憧「はぁ、そうですけど。知り合いでしたっけ? みたことないような」

?「あこー! 遅れてごめーん!」

俺「さらにこの声は!」

穏「いやー、落とし物しちゃってさー」

俺「高鴨穏乃ちゃんやん!」

穏「うわっ! なにこの人誰っ!」

憧「穏乃も知らないの?」

穏「うん、知らないよ」

俺「俺はかくかくしかじかで――」

憧「ふーん、顧問の先生なんだ」

穏「おおおおおっ! ついにウチの部にも顧問が来たぞー!」

憧「うるさい! でも、これでちゃんと夏の大会にも出られそう」

俺「夏の大会?」

俺(知ってるけど知らない振りしとくか)

憧「そう、全国に行って昔の仲間と麻雀打つの!」

俺「へぇ……」

俺(のどっちですね、わかります)

俺「とにかく中に入ろうか」

憧「おっ、なんだなんだ先輩いらっしゃったんですかー」

?「さっきから外でなに騒いでるの」

俺「灼ちゃんキター!」

灼「んなっ、な、なにこの人……変質者?」

俺「興奮してすみません。だからその携帯で通報しようとするのはやめてもらえませんか」

穏「違いますよー! この人はなんと――麻雀部の顧問でーす!」

灼「顧問……? えぇ……」

俺「心底イヤそうな顔するのはやめてください。本気で凹むんで……」

玄「あ、もうみんな来てたんだ」

?「さ、寒い……」

俺「侑ちゃんきたあああああああああああああ!!」

侑「ひうっ!?」

憧「先生うっさい!」

侑「だ、誰この人ぉ……?」

玄「ほらお姉ちゃん、さっき話した麻雀部の顧問になった新任の先生だよ」

侑「あぁ、この人がそうなんだぁ」

俺「えっと、みんな揃ったみたいだから改めて自己紹介を――」


俺「オッケーオッケー、みんなの名前と顔は覚えたよ」

俺(最初っから知ってたけども)

俺「えっと、とりあえず俺が顧問になったけど、あんまり実力は期待しないでね?」

憧「またまたー、そんなこと言ってー。実はめっちゃ強いんでしょ?」

俺「いや、そんなことは……」

穏「うおおおっ、期待で胸が熱くなってきたぁぁ!」

灼「ふん……実際大したことなかったらどうするの? ……晴ちゃんが顧問だったら良かったのに」

俺(灼ちゃん、ほんとうに申し訳ない)

どんな顔してこれ書いてんだろ

玄「さ、とりあえず一局どうですか? 先生の実力試しと言うことで」

穏「おっ、いいですね! 早速打ちましょう! アタシいっちばーん!」

憧「あ、じゃあ私も打つ打つー」

灼「軽く捻る……」

侑「じゃ、じゃあまずは私は観てるね……」

俺「ちょ、ちょっと待って……」

俺(俺マジでそこまで麻雀強くないんだよな……)


俺「ツモ!」

俺「ツモ!」

俺「ロン!」

穏「うおーっ! 先生強ぇぇぇっ! いい人が顧問になってくれてよかったよー!」

憧「ほら、やっぱり謙遜だった。めちゃくちゃ強いじゃないですかー」

侑「す、凄い……です」

灼「……チッ」

>>24
そらもう真顔よ

玄「これは……本当に全国いけるかも!?」

穏「よぉぉぉっし! 待ってろよ和! 今会いに行くぞー!」

憧「インハイまであと一ヶ月以上あるっての」


俺「……」

俺(馬鹿ヅキだった……。これがアニ神様の力か)

俺「よーし、俺全国行っちゃうぞー」

玄「もう先生ってば。俺じゃなくて俺たちですよ」

俺「あ、あはは、そうだね」

俺(やばい、楽しいわwwwwwww)

俺(さて、俺の目的と言えば阿知賀女子の子たちとにゃんにゃんすることなわけだが)

俺「一体誰とにゃんにゃんするべきか……」

俺(誰か一人に絞るべきか、それとも今時流行りのハーレムルートを目指すか……)

俺「そうだ、こんなときこそみんなに助言を求めるべきなんじゃ」

俺(せっかくのシステムだ、活用してみよう)

俺「というわけで>>31、俺はどうすればいい?」

俺「一応ね、一応言っておくけど俺は侑ちゃん派だから! 俺は侑ちゃん派だから!」

俺「大事なことだから二回言ったわ。じゃあよろしく」

侑ちゃんに鬼畜攻め

俺「ねぇ松実さん……じゃややこしいから侑さん」

侑「は、はい……あの、なにか?」

俺「君どうしてこの蒸し暑い中そんなディープストライカー並の重装備なの?」

侑「はぃ? あの、ディープ……ってなに」

俺「観てるだけでこっちが暑くなるんだけどそれどうにかならない?」

侑「あ、あのあの、でも私寒がりで……」

俺「寒がりったって異常でしょそれは。俺で良ければいい病院紹介しようか?」

侑「ふ、ふぇぇぇ」

憧「あーっ! 先生が玄のお姉ちゃん泣かせてる!」

俺「あっ、あの、これは違うんだ!」

俺(おい>>31! どうしてくれんだおい!)

憧「侑ねぇどうしたの? セクハラでもされた?」

侑「ううん……違うけど……」

穏「おーなになに、なにがあったの?」

灼「うわ、早速不祥事ですか……幻滅しました」

玄「お姉ちゃん泣かないでー?」

俺(まずい……ここはなんとかフォローしないと)

俺「待ってくれ! 最後まで俺の話を聞いてくれ!」

俺「つまり俺はこう言いたかったんだ! 侑さん、そんなに寒いなら俺が暖めてあげるよ……ってね!」

皆「……」

侑「えっ……ふぇぇぇぇぇ!?」

憧「ひゅーひゅー、先生やるぅ!」

穏「え、なに、一体なにがおこってるの?」

玄「うわーうわー、なんか顔が熱いよー」

灼「ドヤ顔でセクハラって……ますます幻滅です」

俺(ふぅ……主人公補正とギャルゲーで培った知識でなんとかなったぜ……)

俺「さ、さぁ息抜きはこれぐらいにしようか」

俺(これ以上の追求は身が持たない)


侑「…………ふぅ」

俺(うーむ、ギャルゲー式だと特定のキャラと会い続けて好感度あげるのがセオリーだけど)

俺(やっぱりここは侑ちゃんでしょ、侑ちゃん一択)

俺(安価? 知らんわそんなん)

俺「よっしゃ、それじゃ俺はこの松実侑ちゃんを選ぶぜ」

憧「先生、なに独り言喋ってんの? キモイよ?」

俺「あ、はい、すみません。で、もうすぐ県大会なんだっけ」

玄「そうなんです、まずは県大会で優勝するのが第一目標ですね」

穏「それで全国に行って和と遊ぶんだー!」

憧「ほんとにお前は気が早いなぁ。ま、アタシもそのつもりだけどねん」

俺「で、ぶっちゃけ勝てそうなの?」

皆「……」

俺「え、なにこの空気……」

灼「ウチの県には晩成高校があるから」

俺「晩成高校?」

俺(あーはいはい、晩成ね晩成。知ってるけど知らんふりしとこ)

玄「毎年のように県代表に選ばれてる強豪なんです」

侑「うー……私自身ないよぉ……」

穏「ちょっとそんなネガティブ思考でどうするんですか! 前向きに前向きに」

灼「あつくるし……」

俺「いや、高鴨さんの言うとおりだ。勝つイメージって大事だからね」

俺「よし、それじゃあ県大会突破に向けて猛練習だ!」

皆「はいっ!」

穏「うぁー今日もつかれたー!」

憧「さすがに腕あがんないわもー」

穏「うぁ、あれ晩成の制服っぽいけど」

憧「初瀬!」

初「あこ……おまえなんで晩成に来なかったんだよ!」

穏「あこ……?」

憧「あぁ……アダ中の時の仲間だよ」

初「その制服……お前阿知賀に行ったのか!? あそこ今麻雀部あんの?」

憧「あるんだなそれが」

初「お前まさか晩成だとレギュラーが難しいからって」

憧「ちがうちがう、ただ昔の仲間と全国で麻雀が打ちたかっただけ」

初「全国ぅ~? 中学の時私と同じぐらいの実力だったお前が? そんな阿知賀が晩成に勝てるわけない!」

憧「去年までだったらそうかもしれない。でも今のウチには優秀なコーチがいるんだよねー」

俺「へいへーい! 二人ともさっさと乗れーい!」

初「……あ、アレ?」

憧「ぅぁ…………そう、アレ」

初「――ぶははははっ! あ、アレが優秀なコーチ! 只の陽気で変なおっさんじゃん!」

初「――ぶははははっ! あ、アレが優秀なコーチ! 只の陰気で変態なおっさんじゃん!」

穏「でも先生は凄いんだよ! めっちゃ麻雀強いし! 多分そこらへんのプロよりも!」

初「っはっ……はは……はぁ……アレがプロより強い? んなわけないない」

憧「あるんだなそれが。二分連続二回目」

初「はっ、そんなハッタリが通じるわけ――」

俺「おーい、二人ともあんまり遅いと置いてくぞー」

穏「はーい! 今行きまーす!」

憧「ごめん、それじゃいかなきゃ。県大会でまた会お」

初「あ、おい……憧のやつ」

?「どしたー?」

初「あ、小走先輩!」

小「アレか? ジャージの子とその仲間」

>>44概ね間違ってない

小「あの子手にすごいマメがあった。ありゃ相当打ってる」

初「――!」

小「まぁ心配しなさんな。私は小3の頃からマメすらできない」

小「ニワカは――」


俺「あっ! やべっ! 俺も買い物があったんだった!」


憧「もー先生ってばかっこ悪すぎー! あはは、初瀬今しがたぶりー」

初「戻ってくるの早すぎだろ……で、先輩、続きは」

小「いや、別になんでもない……」

侑「うー緊張するー」

俺「リラックスリラックス、緊張は大事だけどしすぎは厳禁だ」

侑「ひゃぅっ……あ、肩もみ暖かい……」

憧「お、今日も早速侑ねぇにセクハラですかい? 先生も好きだねー」

俺「ばばばばっきゃろう! 好きとかそんなんちゃうわ!」

灼「焦るところが何ともアヤシイ」

俺「そんなことないってマジで! これマジだから!」

玄「あはは、みんな緊張感薄いなー」

穏「うおーっ! やったるぞー!」

憧「アイツはまた一人で盛り上がってるし……ま、そのほうがアタシも気が楽だけど」

穏「おー人がいっぱいだぁ! この人たち全員対戦相手!?」

玄「あれトーナメント表!」

穏「え……」

灼「いきなり初戦の相手が」

皆「晩成高校!」


穏「……!!」

憧「関係ない。どうせあたる相手だよ」

玄「うん」

灼「全国行くならどのみち当たる」

穏「――よし! 晩成を倒す!」

俺「じゃあ景気よく行くか」

憧「恥ずかしいけどいっちょやっときますか」

侑「うぅ、恥ずかしい……」

玄「がんばろお姉ちゃん!」

俺「せーの! 絶対勝つぞ――」

皆「おぉーっ!」


【県予選一回戦スタートです!】

初「小走先輩頑張ってくださーい!」


玄「――ツモ、ドラ7。8000オールです」

小「」

初「」

俺「」

俺(むごいわー)

侑「ロン……」

憧「きたきた、ツモっ」

灼「……ツモ」

穏「ロン、2600です!」


晩成高校の皆さん「」


俺「うーんこの」

憧「ふぅ……なんか……とりあえずやれたのかな」

玄「うん……大変だったけど」

俺「ぶっちゃけ俺には余裕にしか見えなかったけど」

灼「またこの人はすぐ調子に乗る」

侑「大変だったよぅ……」

俺「あーうん! めっちゃ大変だったよね、うん」

憧「でたわー先生の侑ねぇ贔屓。これで麻雀強くなかったらただの変態だよねー」

灼「いつでも通報の準備は出来てる」

俺「勘弁してくださいすみません」

俺(強いのはアニ神様のおかげなんだけどな……)

穏「みんなみんなみんな! 新聞見た!?」

侑じゃなくて宥じゃね?

俺「どうした?」

憧「あーあれでしょ? 長野の優勝校」

穏「清澄……和のいる学校――!!」

玄「和ちゃんやっぱり勝ち上がってきたんだ!」

穏「これで全国の舞台で会える……!!」

憧「しず燃えすぎ」

俺「とにもかくにも俺たちが県代表だ。胸を張っていこう!」

穏「はいっ! うおーっ! やる気334%だーっ!」

玄「穏乃ちゃんホントに元気だねー」

侑「なんだか暖かい……」

灼「……穏乃の熱気!?」

>>59誤植の指摘ありがとう。今変換してみたけど無かったわ。コピペするか

穏「武者修行……ですか?」

俺「そう、全国大会で勝てるようにこれから週末の休みと夏休み前半を利用していろんな学校と対戦だ」

憧「お金とか大丈夫?」

俺「なんか後援会とか発足したらしいから全然問題ナッシング」

灼「適当な返事ですね……でもその案には賛成です」

玄「質問でーす。どこの学校と対戦するんですか?」

俺「それはね君たちが喜ぶと思って長野の決勝戦に進出した高校とカードを組んである」

穏「!!」

俺(いい反応だ。アニ神様の力に感謝だわ)

俺「みんな保護者に許可をもらってくること。オッケー?」

皆「はーい」

俺「それじゃあ来週から早速出発だ!」

皆「おー!」

宥「風越……なんだか寒そうな名前」

玄「お姉ちゃん、それは流石に因縁つけすぎかも……」

?「お待ちしておりました。阿知賀女子の皆さんですね」

俺「はい、今日はお世話になります。顧問の>>1と申します」

?「こちらこそお世話になります。あ、私キャプテンを務めています福路と申します」

俺(キャップキター)

穏「うおー流石名門校……凄く強そう」

憧「実際あのキャプテンの人はめちゃくちゃ強いらしいからねー」

灼「県予選個人戦で優勝してる」

福「あらあら、おだてないでください」

宥「す、すごいオーラが……寒い……」

福「こちらへどうぞ。対局の準備はしてあります」

穏「うわ広っ! ウチとは段違いじゃん!」

玄「さすが全国常連校の名門は違うねー!」

?「おっ、きたきた。あたしに倒されるためにはるばる奈良からやって来た」

穏「むむっ、聞き捨てならない台詞が……」

福「ほーら、あまり失礼しないの華菜」

池「はーい」

福「もうこの子ったら……失礼しました」

俺「いえいえ、気にしてませんから」

俺(池田ァ! そしてみはるん、文堂さんにドムさんや! マジで風越やん!)

福「それじゃあ2卓に分かれて対局をしましょう」

穏「はいはーい! あたしあの人と戦いたいです!」

池「おっ、アタシをご指名とはなかなかお目が高い……でも手加減なんかしてあげないし!」

穏「もちろん手加減無用でお願いします! そうじゃないと修行にならない!」

憧「おー燃えてるねぇ。でもあたしも案外そういうの嫌いじゃないんだよねー。あたしもまざるまざるー」

ド「では私が入りましょう」

福「あらあら、いきなり始めちゃって」

俺「ウチの穏乃がすみません」

福「ふふ、構いませんよ。元気があってとっても気持ちの良い子ですね」

俺「なんだかんだでウチの中心ですからね」

玄「それじゃあキャプテンさん、私と打ってくれますか?」

福「はい、喜んでお相手させていただきますね」

灼「じゃあ私も」

吉「それじゃあもう一人は私が――」

俺(うーん、この光景胸熱だなぁ)

池「ツモ! ザンクだし!」

穏「ああっ、あたしの親がぁぁ……」

池「ふふん、この程度で全国とはたいしたことないね。所詮は奈良県代表ってことか」

憧「おーっと、その台詞は聞き捨てならないなぁ。まだ始まったばかりですよっ!」

池「おーおー、威勢だけってのはやめてくれよっ!」

――

池「ぐしゅっ……うぐっ……!」

福「あらあら華菜どうしたの?」

ド「それが……オーラスで阿知賀の親倍に振り込んでしまって……結果最下位に」

池「ちょ、ちょっと油断しただけだし! 本当はアタシのほうが何倍も強いんだし!」

福「ほら泣き止んで華菜。そんな顔をしてるとツキが逃げてしまうわよ?」

池「すっ、すみませぇん……!」

憧「そっちはそっちで玄がなんか生気を失ってるみたいだけど」

灼「あ、あのキャプテンはちょっとおかしい」

穏「どうしたんですか?」

灼「まるでこっちの手牌が見えてるようだった……」

憧「そんなことって……」

宥「ううん、灼ちゃんの言ってること本当だよ。本当に見えてるみたいに打ってた」

俺「流石ですね福路さん」

福「たまたま運が良かっただけですよ、たまたま。うふふ」

俺「そ、そうですか」

俺(この人がとんでもないドSに見えるのは俺だけなんだろうか)

穏「よーっし、じゃあ次はキャプテンさんお願いします!」

福「はい、それじゃあ打ちましょう」

宥「じゃあ私も……」

俺「宥さん頑張れ! 頑張って!」

灼「まーた始まった」

皆「お疲れ様でしたー!」

穏「いやー強かったねキャプテンさん! 結局一度も勝てなかったー」

憧「ありゃ本当の化物だよ……全国ってあんな人がいっぱいいるのかなー」

宥「うう……私のもともと少ない自信がもっと少なくなったかも」

玄「お姉ちゃん元気出し――」

俺「大丈夫! 宥さんなら大丈夫! 俺が保証する!」

玄「あ、あはは……ほらお姉ちゃん先生もこう言ってくれてるし頑張ろう、ね?」

宥「……うん」

福「来週はまた長野にいらっしゃるんですよね? 次はどこと対戦なさるんですか?」

俺「次は……確か鶴賀ってところです」

俺(モモちゃん、今俺が会いに行くよ)

福「そうですか。それではご健闘をお祈りしています」

俺「ありがとうございました。ほら、みんなもお礼言って」

皆「ありがとうございましたー!」

池「次は絶対ウチが勝つし! だからまた打とうなー!」

憧「今日もやって参りました長野! いやー、まさか一生のうちここまで続けて長野に来ることがあろうとは」

玄「でも観光とか何もしてないのがなんだかおもしろいね」

灼「なにかおもしろいところあった……?」

穏「観光よりも対局ですよ対局! 武者修行なんだから!」

俺「まぁ最後の対戦相手と戦った後なら息抜きに観光していくのもいいんじゃないかな」

俺「まずは今日の対局に集中しよう」

皆「はいっ!」

宥「鶴賀……なんだか寒そうな名前」

玄「お姉ちゃんはもうなんでも寒いんだね……。うん、それでいいんだよお姉ちゃんは」

俺「まったくもってその通りですね」

?「お待ちしてました。阿知賀女子麻雀部の皆さん」

俺「どうも、私が顧問を務めている>>1です」

?「これはご丁寧に。私は加治木と申します。さ、案内するのでついてきてください」

穏「おーなんだかここの部長さんも格好良くて強そう」

憧「だねー。ウチの部長もあれぐらい格好良かったらいいのにね」

灼「なにか言った?」

憧「べっつにー。なにも言ってませーん」

俺「ほら、はしゃがない。ちなみに部長は加治木さんじゃないから」

穏「え!?」

憧「マジ?」

俺「まじまじ」

む「どうも、部長を務める津山睦月です」

ワ「そして私が元部長の蒲原智美だ。ワハハ」

妹「せ、妹尾佳織です。よろしくお願いしますっ!」


玄「なるほど、加治木さんたちはもう引退されてるんですね」

加「あぁ、もう予選も終わったことだしな」

憧「それよりもあたしはあの人が元部長だって事に驚きだよ」

灼「……たしかに」

ワ「? ワハハ」

穏「あれ、ひーふーみー……聞いてたより一人足りない?」

加「ん……、あぁモモそこにいたか」

穏「え、あたしの後ろには誰も――」

モ「どうもーっす……」

穏「うわああああびっくりしたー!」

俺「マジでステルスなのな……全然気づかなかった」

む「えっと、顔合わせも終わったので早速対局に移りましょう」

穏「お、おぉ……一瞬頭から飛んでた」

宥「穏乃ちゃんがそうなるなんてよっぽどビックリしたんだね」

モ「ふっふっふー。今日のやる気十分の私を見つけられないとはまだまだですね」

ワ「おーモモ。今日は確かにいつもよりは濃いな」

妹「充分薄いですよー。違いがわかりませーん……」

玄「濃いとか薄いとか一体なんのことだろう……?」

俺「そこは対戦してみればわかるんじゃないかな?」

玄「はぁ」

穏「じゃあ早速一番強い人とやらせてくださいっ!」

加「それじゃあ私が行こう。流石にまだ後輩たちには負けていないはずだ」

モ「先輩が行くなら自分も行くっすよー!」

灼「じゃあ私もとりあえず一局」

俺(さぁステルスモモが生で見られるぞ!)

支援
なんJ臭がハンパないww

穏(よし、高目! ここはリーチで更に上を目指すっ!)

穏「通ればリーチ行きますっ!」

モ「ロン、7700っす」

穏「え、あれ? あれー?」

穏(おっかしいなー。あんな見え見えな手に振り込んじゃった)

加「フ……」

――

モ「ロン、リーチ一発っす」

灼「ま、また振り込んでしまった……」

灼(どうしてだ? 穏乃も私もどうしてあんなに簡単に振り込む? 格別おかしな打筋じゃないのに)

俺「あーあー、翻弄されてますなぁ」

俺(地味に加治木さんもあがってるんだよなぁ。まるでコンビ打ちだ)

俺「これは…麻雀卓!?」

???「俺はアカギ…アカギしげる…さっさと始めよう」

???「人に鬼と書いて傀(カイ)と呼ばれています。始めましょうか」

???「あンた…背中が煤けてるぜ。始めよう」

俺「」

>>95何でや、なんJ関係ないやろ!

穏「ま、負けたぁぁ……」

憧「また派手にやられたねぇ」

灼「長野……長野は魔境かなにかなのか……」

玄「灼ちゃんまでこんなにダメージ受けるなんてよっぽど凄い打ち手なのかな?」

モ「そんなことないっすよー。今日はいつもの半分ぐらいしか消えられてませんし」

宥「その消えるってなんなのかなぁ?」

ワ「ワハハ、モモは他人よりももの凄く存在感が希薄なんだ。だからほとんどの人間は対局中でもモモへの注意が薄れてしまう」

ワ「それこそリーチしたのにも気づかなかったりとか」

灼「そんなオカルトが……!」

加「だが事実だ。体験した分身に染みてわかるだろう?」

灼「ぐぬぬ……」

俺「やーお見事。貴重なもの見せてもらいました。全然見えてませんでしたが」

モ「そう言ってもらえるとステルスモモの面目躍如っすねぇ」

憧「まーあたしも人のこと言えないけどね」

宥「私も……」

俺「そういやそっちはあまり見てなかったけどどうなったんだ?」

憧「まさか役満をかまされるとは思いもよらなかったよ」

妹「きょ、恐縮ですぅ……」

ワ「カオリンまたやらかしたのかー」

む「私も巻き込まれましたけどね……」

穏「おおー、役満かぁ! はいはい! 次あたしとお願いします!」

妹「は、はいっ」

玄「じゃあ私もお邪魔しようかな」

憧「じゃああたしはそのステルスとやらを味わってみましょうか!」

モ「どうぞどうぞ、受けて立つっす!」

加「本日は貴重な体験ありがとうございます」

俺「いやいや、こちらこそ」

加「私も皆も久しぶりに楽しく打てていますよ。――こうして皆で打っていると少し麻雀部が名残惜しくなります」

訂正

加「麻雀部が名残惜しくなります」←×
加「麻雀部が恋しくなります」←○

俺「別にこれっきりってこともないでしょう? これからもみんなで楽しんで打っていきましょう」

加「その通りですね……。少しセンチメンタルが過ぎたようです」

俺「いえいえ、青春ですよね」

俺(俺ももっとなんかやっとけばよかったなぁ)

――

皆「お疲れ様でしたー!」

穏「うーん、全敗はしなかったけど負け越しかぁ。長野レベル高いなー!」

憧「まったくだよ。この人たち倒した清澄ってどんだけ強いんだって話」

加「清澄か……あれはまさしく人外と言っても良かったな」

玄「そ、そこまで言いますか」

加「あぁ、あれを生で体感したらその恐ろしさがわかるよ……。化物と言えば龍門淵の天江もそうだが」

宥「あ、龍門淵って次対戦するところ」

灼「そこにも化物が……」

モ「ま、そこは対局してみてのお楽しみっすよね」

俺「それじゃあお礼を言おう。せーの」

皆「ありがとうございましたー!」


加「あの」

俺「はい?」

加「先ほどの言葉、感心するところがありましたのでお礼を」

俺「いやいやいや、そんなお礼を言われるようなことでは」

加「>>1さんの言われたとおり別に皆で麻雀を打つことがなくなるわけではないですよね」

加「これからも楽しく打っていこうと思います。まぁ皆の前では恥ずかしくて言えませんが」

俺「頑張ってください。今日は本当にありがとうございました」

加「阿知賀女子の武運を祈っています。ではまたいつかどこかの卓で」

憧「あーもう、長野の景色も見慣れてきたなぁ」

玄「3週連続3度目の長野だもんね」

灼「でもその強行軍も今日で終わり……」

穏「きたぞ龍門淵!」

――

宥「龍門淵……なんだかさむ」

憧「はーいはい、それはもういいから」

?「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

灼「し、執事?」

俺「生で見るの初めてだわ俺……」

穏「うおー……すっごいピカピカだぁ」

憧「ここ本当に学校? ウチとは世界が違いすぎる……」

宥「寒くない……私ここに住もうかな」

玄「だ、だめだよお姉ちゃん!」

ハ「お待たせ致しました。こちらが対局室になります」

――

透「お待ちしておりましたわ!」

純「こいつらが奈良代表?」

一「こいつらとか失礼だよ純くん」

智「よろしく……」


衣「――――!」


穏「――ッ!」

穏「……………………」

俺(し、穏乃がレイプ目に……! 興奮するわ)

衣「また衣の勝ちだー」

憧「あの子3回も河底であがったよ?」

灼「異常……」

穏「――! 衣さん本当に強いですね! 本当に清澄は……和は衣さんに勝ったんですか!?」

衣「? いや、衣に土をつけたのはノノカじゃない。清澄の嶺上使いだ」

穏「え?」

透「……ちなみに今の衣は月も欠けてて力の半分も出せてませんわ」

宥「月?」

玄「嶺上?」

穏「何言ってるか全然わからないけど……」

穏「もうひと勝負オナシャ……お願いします!」

俺(噛んだ)

憧(噛んだ)

玄(噛んだ)

宥(噛んでる……)

灼「噛んでる」

穏「そこうるさいなっ! それでどうですもうひと勝負!」

衣「いいのか?」

穏「はいっ!」

俺(穏乃はメンタル強いなぁ。俺ならキレて帰ってるわ……)

穏「くぅー! 全敗したけど楽しかった!」

衣「ころもも久しぶりに愉しめた! 感謝するぞ!」

穏「絶対にまた、打ちましょうね!」

衣「う、うむ! いつでもころもの前に立つといい!」

透「今日はどうもお疲れ様でしたわ。有意義な時間を過ごせました」

一「うんうん、流石に奈良の優勝校だけあってなかなか良い勝負が出来たね」

純「まぁ俺たちの勝ちだったけどな」

智「……失礼」

俺「なにはともあれかなりレベルアップできました。本当にありがとうございました」

皆「ありがとうございましたー」

透「わたくしたちの代わりに打倒清澄! よろしくお願いしますわ」

穏「――はいっ! 頑張りますっ」

俺「ということでもう夏休みなわけだし、せっかくだから長野観光してから帰ろうか?」

憧「さんせいさんせーい! 色々寄って帰ろうよ!」

玄「そうだよね、折角の夏休みだもん。部活も大事だけど遊びも大事だよね」

宥「暖かいところならどこでも……」

灼「今の時期はどこも暑いと思うんだけど……」

穏「あっ、それじゃあさ――」


穏「折角だから海行こうよ! 海!」

穏「海だー!!」

憧「海だー!」

玄「海だよー!」

灼「恥ずかしいからやめて」

宥「うう……恥ずかしいし寒い……」


俺「あっちー」

俺(水着回きたあああああああああああああ!!!!!)

俺(やっべ、女子高生の水着とかやっべ! ――はっ!?)

俺「ちょっと宥さんなんで水着の上からパーカーその他の重武装なの!? フルーアーマー宥じゃん!」

宥「だ、だって寒いから……」

俺「いやいや、日差しがガンガン照りつけてるし! 大体その格好だと脱水症状になるよ!?」

穏「あーそれは確かになるかも」

玄「お姉ちゃん、やっぱり今日は少しでも涼しい格好したほうがいいよ?」

宥「ふぇぇぇぇ……?」

俺「しかし長野観光って行ったのにまず海って」

穏「え? なにかおかしかった?」

憧「いや、長野も内陸じゃん。奈良と同じで」

灼「まさか本当に気づいてないとは」

穏「え!? じゃあここどこ!?」

玄「ここは静岡だよー」

穏「そ、そんな……結局長野観光できなかった……」

俺「ま、まぁまぁ……もう一生長野に行かないってわけじゃないだろ」

憧「そうそう、もしかしたら和に会いに行くことも有るかもしれないし」

穏「――そうだね。じゃあ今はめいっぱい静岡を楽しもう!」

皆「おー!」

憧「いやーしかし現地調達とはいえなかなか可愛い水着があってよかったー」

玄「女の子的にはやっぱりこだわっちゃうねぇ」

灼「私はそういうのよくわからないけど」

穏「泳げれば問題なっしん!」

俺(憧ちゃんはピンクの水玉ビキニ、可愛い!)

俺(玄ちゃんはワンピース水着か……メニアック!)

俺(穏乃と灼は競泳用水着……俺の好物ですやん)

俺(そして宥ちゃんは……)

俺「未だにフルアーマー!!!!! ガッデム!!」

宥「あうあう……」

すんませんがちょっと休憩させてくだせぇ
手の甲が痛いw

長さ的には後どれくらいなんだ?

規制の時間だああああああああああああああ

あ、規制とけてるw

>>1やけど連投規制に引っかかってた
これから少し間隔開けて書き込むわw

>>127
全国行く前には畳むつもり

穏「あこ、あこ……」

憧「しず?」

俺(ふたりがこそこそと話をしている……一体なにを)

憧「んふふ、オッケー! それじゃあタイミングを合わせろよー」

穏「任せとけ!」

俺「おい、ふたりともなにを――」

穏・憧「せーのっ! それっ!」

宥「え――あ、あわわわわっ!!」

俺(憧ちゃんと穏乃が両側からフルアーマーを引っ張って脱がせたー! そして――)

俺「白のワンピースきたあああああ! やったぜえええええええ!!」

宥「はぅぅ……寒いし恥ずかしい……!」

玄「お姉ちゃん可愛いよ!」

灼「いや、今日は真夏日の予報なんだけど」

俺(意外と着やせするタイプやわ……宥ちゃん最高や!)

穏「あこースイカ割りしようぜー」

憧「おっけー」

玄「あっ、私スイカ割りとかしたことないかも。興味あるー」

灼「……スイカ食べたい」

俺「――みんなとスイカ割りしないの?」

宥「あ、先生……私、身体動かすのとか得意じゃないから……」

俺「うーん、でもさ、折角海に来たんだからせめて水にぐらい触れてみたら?」

宥「でも……」

俺「いいからいいから、さ、行こう! 夏の海って案外暖かいよ」

宥「あ……せんせぇ……!」

宥(――先生の手、暖かいな)

憧「ひゅー! ありゃ真面目に宥姉のこと狙ってるよね先生」

穏「んおっ、ま、マジですか」

玄「でもでもお姉ちゃんのこと本当に好きみたいだし、お姉ちゃんも結構アレでまんざらじゃないと思うよ」

灼「えぇ……いったいアレのどこがいいというのか……」

俺「ほら、おいで」

宥「うぅ、それじゃ少しだけ……ちべたいっ!」

俺「え!? これで冷たいの? かなり温いと思うけどなぁ」

宥「それじゃ、あの……先生の手を握っててもいい、ですか? そしたら大丈夫……かも」

俺「――あ、ああもちろん!」

俺(そんなん上目遣いで言われたらコロっていってしまうよ!)

宥「じゃ、じゃあ……んっ」

俺「……」

俺(やべぇ……すっげぇスベスベしてる……)

宥「……あ、なんとか大丈夫です」

俺「そ、そうか! それは良かった! 折角海に来たのに入らないのは勿体ないからね!」

宥「はい……」

宥(先生の手からじんわりと暖かさが伝わってくる……初めて感じる不思議な感覚……なんだろうこれ?)

穏「いやー、泳いだ泳いだ!」

憧「つっかれたー。もう眠いー」

灼「私も流石に疲れたかも……」

宥「……うーん」

玄「あ、お姉ちゃん立ったまま眠っちゃ駄目だよ!」

俺「みんな流石に疲れてるみたいだな。帰りの車は眠ってても――あっ」

穏「なに、どしたの先生?」

俺「タイヤがパンクしてる……」

憧「ええっ、マジスか! えーそれじゃ帰り電車ー? だるーい」

灼「そんなこと言ってもしょうがない。泊まっていくって訳にも」

玄「それだ! ねぇ先生、日程には余裕が持たせてあるんですよね?」

俺「あぁうん、一応ね」

玄「それじゃあ今日は静岡で一泊していきましょう! お姉ちゃんももう限界みたいですし」

俺「え、ええええええ!?」

俺(お泊まりイベントきたあああああああああああああ)

俺「いやいや、でも俺は一応男だし親御さんたちが許さないでしょ」

穏「ウチはオッケーだって」

憧「うちも大丈夫みたいでーす」

灼「遺憾ですが私の親が許可を出してしまいました」

玄「私たちも先生なら大丈夫だろうとのことです」

俺「ま、マジですか」

俺(恐るべしアニ神様の力……)

俺「そ、それじゃあ今日はここらで一泊と言うことで……」

穏「やたー! 旅行だ旅行だー!」

憧「泊まりがけで遊びなんて久々かもー! 少し眠気覚めちゃったよ」

玄「灼ちゃん、みんなでお泊まりだよー」

灼「はぁ……なんでこんなことに」

玄「といいつつもお泊まりが楽しみな灼ちゃんでしたー」

灼「ちょ、なにを!」

宥「うーん……にゃむにゃむ……」

俺「あれは……麻雀卓……?」

俺「とりあえず、メンバーが集まるのを待ってみるか……」

??「打てますか?」

俺「あ、はい」

俺(なんていうか、怖そうな雰囲気の人だな、全身真っ黒の黒ずくめだし……っていうか、あの紙袋はなんだ?)

???????「久々に来てみれば……まだ二欠けか。まぁいい、今日は時間もたっぷりあるからな」

俺(今度は……どっかで見たことある顔だな……確か、総理大臣にこんな人居たよなぁ)

???「……へぇ……丁度空いてるのか……ククク、こいつは都合がいい……っ!」

俺(最後は……白髪? 地毛かな? 染めてるにしては綺麗だけど……)



俺「じゃあとりあえず、揃ったことだし、始めましょうか」

宥「あれ……ここどこ……?」

玄「あ、お姉ちゃん起きた?」

宥「玄ちゃん、ここお家じゃないよね? どこなの?」

玄「実は――」

――

宥「ええぇぇぇ……!? それじゃあ今日はここに泊まるの!?」

憧「そゆこと~」

灼「私はもう折り合いを付けた」

俺「まぁ修学旅行みたいなものだと思えば」

穏「修学旅行! いい響きじゃん!」

宥「あぅ……」

宥(どどどどうしよう……! 男の人と一緒に泊まるなんてぇぇぇ)

穏「ふい~温泉気持ちー」

憧「一日の疲れが取れてくわー」

玄「憧ちゃんちょっとおじさんっぽい」

灼「おじさんというよりおっさん」

憧「んなっ! 失礼ですね」

宥「……ぷくぷくぷく」

憧「で、ぶっちゃけ宥姉は先生のことどう思ってるの?」

宥「ぴっ!? ぁぷ! げほっげほっ!」

玄「ああっ! お姉ちゃんがお風呂で溺れそうに!」

穏「うわうわ、大変だ!」

灼「まさか殺人現場に遭遇するとは思いもしなかった」

憧「ちょっと! まだ死んでないです! いや、まだじゃなくて! 宥姉大丈夫!?」

宥「えほっ……う、なんとか~」

穏「良かったぁぁ……」

宥「さっきもね? 先生に握っててもらった手から暖かさが広がってく気がして……それで海に入れたの」

穏「うわ、うわわー!」

憧「聞いてるこっちが恥ずかしい……」

玄「もう、お姉ちゃん可愛いよ~!」

灼「わからない……アレのどこが……」

宥「え、え? なに、私なにかおかしなこと言った?」

憧「おかしいも何も宥姉も完璧に先生に惚れてるじゃん」

宥「…………えええぇぇぇぇっ!?」

玄「それでそれで、さっきの質問はどうなのお姉ちゃん」

宥「あぅぅ、玄ちゃぁん」

憧「いいじゃんガールズトークってことでぇ。さっさと吐いて楽になりな宥姉」

宥「せ、先生のことは……」

灼「ゴクリ……」

宥「一緒にいるとなんだか胸の奥はぽかぽかするっていうか」

宥「普段は寒くてしょうがないところもなんだか我慢できるような気がするの」

宥「さっきもね? 先生に握っててもらった手から暖かさが広がってく気がして……それで海に入れたの」

穏「うわ、うわわー!」

憧「聞いてるこっちが恥ずかしい……」

玄「もう、お姉ちゃん可愛いよ~!」

灼「わからない……アレのどこが……」

宥「え、え? なに、私なにかおかしなこと言った?」

憧「おかしいも何も宥姉も完璧に先生に惚れてるじゃん」

宥「…………えええぇぇぇぇっ!?

玄「頑張ってお姉ちゃん! 私応援するよ」

穏「教師と生徒のロマンス……熱い展開だよねぇ!」

灼「いや、そんな熱血発動する場面じゃないから」

憧「ともかく先生も絶対に宥姉のこと好きだからもうさっさとコクっちゃいなよ」

宥「コクって……ま、まさか告白のこと!? 無理無理、そんなの絶対無理だよぅ!」

穏「いや、あこの言うとおりですよ! こういうのは思い切りが肝心です!」

灼「確かに……引き延ばすとずるずるいって結局なにもできずに終わることもある」

宥「灼ちゃんまで……」

玄「大丈夫だよお姉ちゃん、お姉ちゃんならどんな男の人も一発でオッケーしちゃうってば」

憧「よっし、それじゃあどうやって告白するかみんなで考えよう」

穏「そうだね、うまくいくように段取りを考えなきゃ!」

灼「じゃあこういうのはどうだろう――」


宥「な、なんだか話が勝手に進んでるよ~……」

俺「なんとか全員分の部屋が取れてよかった……」

俺「流石にみんなと同じ部屋に泊まる訳にはいかないしな」

俺「さて、そろそろ明日に備えて寝るか――っと誰か来た」

俺(こんな時間に一体誰だ?)

俺「はーいっと……あ、あれ? どうしたの宥さん」

宥「あ、あのぅ」

俺「は、はい」

宥「い、一緒に寝てもいいですか……?」

俺「……はい?」

俺「あ、あのね? 教師と生徒が一緒に寝るというのは道義的に不可能というか」

宥「ひ、一人じゃ寒くて寝られそうになくて」

俺「そ、それなら玄さんと一緒に寝たら」

宥「せ、先生がいいんです。ダメ、ですか……?」

俺「ぬ、ぬぬぬ」

宥(ふぇぇ……みんなの言うとおりにしちゃってるけど死ぬほど恥ずかしいよぅ)

――

宥「……」

俺「……」

俺(ゆ、宥ちゃんと添い寝! 最高のイベントきたあああ)

俺「……」

俺(しかしまともに顔を見られず背中合わせ……っていうかあっつい)

宥「あの」

俺「はいっ!」

宥「暑い……ですか?」

俺「え、あ、いや? そんなことはないよ」

宥「暑いですよね……すみません、無理をさせちゃって……」

俺「いや、気にしなくていいから」

宥「……はい」

俺(あー、こういうときギャルゲーではどうしてたっけ? 頭が真っ白で思いだせねぇ)

宥「あ、あの先生に聞きたいことがあるんですけど」

俺「お、おお……何かな?」

宥「憧ちゃんたちが先生が私のことを、その、す……好きだっていうんですけど、そんなことないですよね?」

俺「そらもう大好きですよ!」

宥「え」

俺「あ」

俺(やべぇ、うっかり本音がだだ漏れに)

俺「あーいやー今のはそのー」

宥「ふ……ふぇぇ……」

俺「あ、ちょ、ごめん! お願いだから泣くのはやめて!」

俺(しまったああああああああ! 選択肢を誤ったあああああああああ)

俺「ごめん、セクハラ発言なんて教師として恥ずべき行為だよね! 死んで詫びるから許して!」

宥「ち、違うんです」

俺「え?」

宥「嬉しい……私嬉しいんです」

俺「え? え? え?」

宥「私も先生のこと好き……だから……」

俺「…………………………」

俺(きたああああああああああああああああああああああああああ)

俺「よし、じゃあ俺と結婚してくれ」

宥「……………ふぇぇっ!?」

俺「もちろん卒業までは待つよ。でも卒業したら即結婚しよう」

宥「あ、あの、私…………は、はぃぃ」

俺(どさくさプロポーズ成功きたああああああああああああ)

俺「やべぇアニ神様最高や……」

宥「あに?」

俺「あ、いや、なんでもないなんでもない」

宥「ねぇ先生……」

俺「な、なに?」

宥「抱っこしてもらってもいい……ですか?」

俺「え、ええええ!?」

宥「そ、そしたら! 安心して眠れそうだから……」

俺「ハイヨロコンデー」

宥「えへへ……先生あったかい」

俺(やべぇ……夢にまで見たシチュエーションが今まさに現実に……)

?「>>1よ……>>1よ……」

俺「こ、この声は――」

     ____
   /__.))ノヽ

   .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ
  .しi   r、_) |

    |  `ニニ' /
   ノ `ー―i

神「久しぶりじゃな>>1よ」

俺「あ、アニ神様!」

俺「ど、どうかしたんですか」

神「今日はいよいよ物語も佳境と言うことで>>1に重要なことを伝えに来た」

俺「重要なこと?」

神「そうじゃ……>>1がこの先どうするか」

神「つまりこの世界の住人として一生を過ごすか、それとも現実に戻るかじゃ」

俺「なん……だと……」

俺(考えてもみなかったがそうだよな……俺はもともとこの世界の住人じゃないんだよな)

俺「詳しく聞かせてください」

神「よかろう。>>1がこの世界に残ると決めた場合はワシが責任を持って生活を保障しよう」

神「都合の良い設定その他諸々を一生サポートしてやる」

俺「……」

神「しかしもう二度と現実には戻れん」

神「つまりおぬしが見てきた、見ている、そしてこれから見るであろうアニメも一生見られん」

俺「!!」

神「おぬしがこよなく愛するキャラたちとも二度と会うことは叶わんじゃろう」

俺「そんな……」

神「さぁどうする>>1よ、プロポーズまでした今、決断するほかあるまい」

俺「俺は……」

俺(俺、宥ちゃん、そして全てのアニメにとって一番良いことは――)

俺「神様、俺……現実に戻るよ」

神「ま、マジか! ワシは絶対にここに残るというと思っておったぞ」

俺「宥ちゃんのことは好きだ。でも、でもね」

俺「一人のアニメ好きとして宥ちゃんを独り占めすることは出来ないよ」

神「>>1……」

俺「大丈夫さ神様。現実に戻っても俺には愛する嫁が100人単位でいる」

俺「宥ちゃんとのお別れぐらい寂しくないよ」

神「>>1よ、それなら何故泣いておる」

俺「これは涙じゃない、ただのよだれです」

神「目からよだれが出るのか……キモイのう」

神「とにもかくにも>>1よ、それならば松実宥に別れを告げるが良い」

神「これが最後の機会となるんじゃからの」

俺「はい……わかりましたアニ神様」

神「それじゃあワシはほどよいタイミングでおぬしを現実に戻す」

俺「よろしくお願いします」

神「うむ、それではキチンとやるのじゃぞ。後悔を残すことのないようにな」

俺「はい……」

――

宥「? 先生? 今ここに誰か……」

俺「宥さん……いや、宥」

宥「はい?」

俺「突然だけど実は俺また転勤しなくちゃいけないんだ」

宥「……え?」

俺「プロポーズまでしてこんなこというなんて最低だけど……」

宥「え、あの、一体なにを」

俺「大丈夫……すぐに俺のことなんか忘れるさ」

宥「やだ、やだ……意味がわからないですよぅ!」

俺「わからなくていいのさ。これは只の夢。宥が見てる夢だ」

宥「夢じゃない! 先生は現実に……ここにいるよぉ!」

俺「じゃあな宥、みんなにもよろしく伝えてくれ」

宥「なんで! どうして急にそんなこと言うんですかぁ」

俺「みんなと過ごした2ヶ月弱……楽しかった」

宥「あ……やだ、先生が透けて……やだ、やだぁ!」

俺「画面の向こうから宥の活躍を祈ってるぜ――」

宥「せんせぇぇぇぇぇっ!!」

俺「ん……ここは俺の部屋……」

俺「そうか……俺は現実に帰ってきたのか」

俺(ほんとうに長い夢を見てたみたいだ……)

神「>>1よ、頑張ったの」

俺「アニ神様」

神「>>1は己の欲に溺れることなくアニメ好きの矜恃を貫き通した」

神「これからもその調子でアニメをユーザーとして支えていってくれ」

俺「はい……俺に出来ることを可能な限り続けていこうと思います」

神「うむ、>>1よ。それではまた会うこともあるかもしれん。それまで息災でな」

俺「はい、アニ神様も」

――

俺(はぁぁ……格好つけたけどやっぱ残ればよかったわー)

俺(冷静に考えてあんな機会もう二度と現れるわけねぇよ)

神「あ、忘れ取った。>>1よ」

俺「うおっ、ビックリしたなもう! なんですか一体」

神「オマケとしておぬしが去ったあとの世界を少しだけ見せてやろう」

俺「マジッすか」

神「うむ、マジじゃ」

俺「じゃ、じゃあ少しだけ……」

神「うむ、そーれ」

――

晴「よっし東京に出発だ!」

皆「おー!」

俺「あ、赤土さんがコーチに復帰してる」

神「おぬしがいなくなったことで世界が修正されたのじゃ」

宥「うー緊張する……」

俺(あ、宥ちゃん……あーもうやっぱ可愛いなぁ)

玄「お姉ちゃん、リラックスリラックス……」

宥「あ、肩もみ気持ちー……あれ?」

玄「どうしたのお姉ちゃん?」

宥「前にも誰かにこうやって肩をほぐしてもらったような……」

憧「そりゃ肩もみぐらいされたことあるでしょ」

宥「そうじゃなくてなんていうか……あれぇ?」

灼「ついに頭の中まで……」

宥「も、もう灼ちゃん! 変なこと言わないでよー」

――

俺「宥ちゃん俺のこと覚えて……」

神「うーむ、おぬしと深く繋がった松実宥だけがおぬしのことを多少忘れるのが遅いようじゃな」

俺「宥ちゃん……神様。もう結構です。これ以上は」

神「そうか、ではこれで終わるとしよう」

神「のう>>1よ、やはり後悔しておるのではないか?」

俺「後悔してないって言ったら嘘になる。でも間違ってはいないと思います」

神「そうか……そう>>1が考えておるならもうワシはなにも言うまい」

神「それでは今度こそさらばじゃ!」

俺「……行ってしまったか」

俺「ふー……さて、沈んだテンションをあげるためになにかアニメでも見るか」



――



俺「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」

俺「やっべ、アスミスアンドニャル子かわえええええええええええ」



>>1は浮気性のクズだからしょうがないね(ニッコリ

それにお前らだって俺と宥ちゃんがキャッキャウフフなラブラブ展開なんてあれやろ?
だからこれでええんや

それじゃあ俺は休みを満喫するために寝るわ
おやすみ

保守してくれた人みんなありがとう

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