みゆき「狼さん、こんなのダメ、だよ……私、おかしくなっちゃうよ」(144)

ウルフルン「……いいから、さっさと腰を動かせ」

みゆき「私達、敵、なのに……こんな、こんな、こと」

狼「はぁ?お前から始めたことだろうが……黙って続けろよ」

みゆき「うぅっ、はっあ、っくぅ、ふぁっ!でももう、わたし、私……げんかいだ、よぅ」

狼「馬鹿言ってんじゃねぇ、まだ十回しかしてねぇぞ」

みゆき「でも、で、もぉ、うんっ、は、はっあっ、んんっ!」

狼「ちっ、これだから人間は弱っちぃ。あと二十回はやってもらうからな、覚悟しろよ……」

みゆき「え、えぇえ!?そんな、二十回なん、て……」


みゆき「私の腹筋、おかしくなっちゃうよぉーーー!!」

狼「だから、筋トレに付き合えっつったのはてめぇだろうが!!さっさとしろメスガキ!!!」

狼「あー、なぁんでこんなことになっちまったんだか」

みゆき「うー、狼さんのメニューきつすぎる……」

狼「ブツブツ言ってんじゃねぇ!お前が俺に組んでくれって頼んでくっから……あぁ、そうか、そうだった。事の発端はそういう、つまらねぇことで……」

数日前

狼「あー、腹ぁ減ったぜぇ……マジョリーナはまぁた大発明とやらの研究、アカオーニのバカは料理なんかできねぇし、ジョーカーはキモい」

狼「鼻にまかせて人間界に来ちまったが……そういや俺様の格好じゃぁ、店には入れねぇんだった」

狼「どーすっか……変装でもして、宵月みたろうとでも名乗るかぁ?」

狼「……気づいたら、なんにもねぇ河川敷だしよぉ。俺様もマジで腹の減りすぎてとち狂っちまったのかも……ん?」

みゆき「うん、っしょ、っとぁ!」

狼「ありゃぁ……プリキュアか?なにしてやがんだ、あんなところで」

みゆき「うーん、みんなにナイショで秘密の特訓をしよう!って、思ったはいいけど……特訓って、なにすればいいのかな」

みゆき「とりあえず、あかねちゃんが秘密特訓してた場所に来て、雰囲気は出たからウルトラハッピー!って、思ったんだけどぉ」

みゆき「うーん、ねぇどうしたらいいかな、キャンディ……って、キャンディには事情を説明して、みんなのとこにいてもらってるんだった、そうだった」

みゆき「うーん……」


狼「おいメスガキ、何してんだアホ面ぶらさげて」

みゆき「えーっとね、特訓を……ってぇ!?狼さん!?!?」

みゆき「えっ!?ど、どうしてここに!?あ!分かった、また悪いことする気?そんなこと、させないんだからぁ!」

狼「うるっせぇな、今日は商売道具も持って出てきてねぇから、なーんにもしねぇよ。こんなところでバカやってるガキがいたから、話しかけただけだ」

みゆき「……ほんとに?」

狼「おぉ、腹減りすぎてそんな気も起きねぇんだよ……前以上だ、もう一週間は……はぁーあ」

みゆき「ほんとのほんとー?」

狼「しつけぇな、なんでそこまで疑うんだ。聴こえねーのかこの腹の虫の音が、喰うぞてめぇ」

みゆき「いや、だって狼さん悪い人だし……それに、絵本に出てくる狼さんは、みーんな嘘つきだもん!」

狼「はっ、嘘くれぇ人間様もつきまくってんだろうが。んで、お前は何してんだっての」

みゆき「あー、その。えっとね……」

狼「特訓なぁ?」

みゆき「うん」

狼「……これ以上強くなられると困るし、邪魔でもするか」

みゆき「えぇ!?聞いといてそんなのないよお!はっぷっぷー!……それに、ね?私はそこまで、強いわけじゃないから。だから特訓してるんだよ」

狼「あぁ?アカンベェ狩りまくってる奴の台詞じゃねぇな」

みゆき「だってね?なおちゃんもあかねちゃんも、すっごく運動できるし。れいかちゃんはなんでもできちゃうし。やよいちゃんも、実はあぁ見えて運動神経いいし」

狼「なんつー女子だてめぇら」

みゆき「だから、私は違うんだってば……運動音痴でしてこれが、ははは」

狼「まー、頭にそんなもんつけてればな」

みゆき「…………」

狼「……面倒くせぇな、泣くなよ」

みゆき「運痴じゃないもん……ウルトラハッピーに甘くて……美味しいクロワッサンだもん」

狼「わかったわかった、いや、今美味いとかそういう話はやめてくれ、悪かったから」

狼「んで、特訓ってわけか」

みゆき「うん。少しでもみんなに近づいてー、それでいざって時に、はっ!っとその成果を発揮できれば」

狼「……」

みゆき「ウルトラハッピー!でしょ!?どうかなこの作戦!キャンディはとーっても賛成して、くれたんだけど」

狼「頭ん中お花畑だな、お前」

みゆき「よ、よく言われるけどあんまりだ!」

狼「そもそも、特訓してどうなりてぇんだ、お前は。そこんとこも決まりきってねぇから、何していいかわからねーんだろうが」

みゆき「えっと、と、とりあえず、体力と筋力をつける!で、強くなる!うん!」

狼「まぁお前ら肉弾戦ばっかだしな、アホかってくらい……どっちにしろアホだが。あーアホくせぇ、聞いて損した」

みゆき「アホアホ言わないでよぉ!はっぷっぷー!……そういえば、狼さんって結構すらっとしてるのに、筋肉すごいね」

狼「おぉ?まぁ悪の三幹部として箔がつくように、鍛えてっからなぁ」

みゆき「鍛える?」

狼「……じゃぁな、次会うときは容赦しn」

みゆき「ま、待ってよぉ!文脈でわかるでしょ、何をお願いするか!」

狼「分かるからこそ、面倒だからかえるってんだろが!!アホかお前はこのアホ!!!」

狼「大体なぁ、敵であるお前になんの義理があって、そんなこと……んんっ!?クンクン、こ、こいつぁ!?」

みゆき「え?どうしたの狼さん、耳立てて、尻尾振って私の鞄の方へ……?」

狼「お、おい、メスガキ!なんだこの、う、美味そうなにおいはよぉ!ど、どっかでたらふく喰ったことがあるような、そういう臭いがすんぞ、おい!」

みゆき「え?あー、そういえば途中でお腹空いちゃわないように、って思って。あかねちゃんちによってお好み焼きを買ったんでしたー」

狼「お、お好み焼き!?ってぇと、あの中々美味いあれか!?!?」

みゆき「……狼さん、よだれすごいね」

狼「あ、当たり前だろうが……一週間喰ってねぇんだぞ!?」

みゆき「……どーしよ、っかなぁ。でも私、困ってるしなー、うーん」

狼「……調子のんなクソガキ、今なら最後の力振り絞って、その鞄を奪い取ってやるくれぇは……」

みゆき「そしたらこの鞄、川に落とそーっと」

狼「鬼だ!!てめぇは人間の風上にもおけねぇ鬼だくそがぁああああああああ!!!」

アカオーニ「ぶえっくしょい!!」

マジョリーナ「あああー!! 発明品が吹っ飛んだだわさ!!」

支援

現在

狼「……なーんて、くっだらねぇ問答から始まったこのアホのくっだらねぇ特訓が始まって、数日たったわけ、だが」

みゆき「うー、狼さーーーぁん!このスクワット変だよぉ!こんな体勢で腰落とせないよぉはっぷっぷーーーーー!!」

狼「こいつマジで運動音痴っつぅかダメすぎる……」

みゆき「だ、だからぁ!狼さんのやり方がきつすぎるんだ、よぉ!もーちょっとやさしく……」

狼「ナマ言ってんな!!俺様がピエーロ様に認められるためにやったメニューは、この十倍以上なんだぞ!!」

みゆき「わ、わたし別にそんなのになりたいわけじゃ、ないもーん!」

狼「うっせぇ!口答えしたから、十本追加なそれ」

みゆき「うわぁああん!狼さんの鬼ぃいい!!」

狼「一緒にすんな、言ってんだろ狼って」

みゆき「はっぷ、っぷ~~」

狼「グテーっとしやがって、休憩終わったらもう1セットだからなこら」

みゆき「わかったよもー……で、今日もこれね」

狼「おう、これがなかったらこんなもんに毎回付き合ってねーからな……いっただっきまーーーす!!」

みゆき「すっかりお好み焼きが好物だよね、狼さん」

狼「腹に入ればなんでも一緒だっての」

みゆき「意外だったよー。二回目からも、ちゃんと来てくれるなんて……どうして?」

狼「マジョリーナのババアがものすげぇ発明、とやらにいそしんでやがってな。まだまだかかりそうで、そんな中での定期的な食料供給はありがてぇから、嫌々付き合ってやってんだよ」

みゆき「それでも、元気になったら不意打ちとかしてくるのかなー、って思ったのに……えへへ、狼さんって、実は良い人?」

狼「バカ言えバカ、食い扶持逃したくねぇからって、言ってんだろうが。あと人じゃねぇし」

狼「お前もそんなん思いつつ、お気楽にここに来るなんてよぉ。とんだバカ娘だな」

みゆき「だってもっと鍛えたいもん!」

狼「そうかよ、成果はでそうにねぇけどな、そんなことじゃ」

みゆき「だ、だって筋肉痛とかおかまいなく狼さんやらせるから……」

狼「なんで俺様が、弱っちい人間に合わせると思ってんだ。それでも本数減らしてるだけありがたいと思いやがれ。ほら、続きやんぞバカ娘」

みゆき「ば、バカバカ言い過ぎだよ!よーし!いっぱい頑張ってムキムキハッピー!」

狼「どうなんだ正義の味方的に、その目標は……」

学校

みゆき「~~~♪」

あかね「なんや、楽しそやなぁみーゆきっ」

みゆき「あ、あっかねちゃーん。そうみえた?あー、私はいつでもウルトラハッピーだけどねー」

あかね「なんや、今日の放課後も用事あるんかー?ここんとこ二日にいっぺんはそないな感じやな、自分」

みゆき「あー、ご、ごっめんねー?そーなんだー」

あかね「や、かまへんかまへん。うちとなおの部活日と一緒やし、ぼーっと絵本眺めとるよりはええ趣味やー思うで、運動するんわ」

みゆき「え、絵本は変じゃないよ!……あ、あれ?なんで運動してる、って?」

あかね「そら、みゆきがその用事やー言い出した最初のころ、えろう筋肉痛やーゆーとったからな。でも、なんやっけ?従兄弟が遊びにきよるから、その相手せんといかんやったっけ?」

みゆき「そ、そーなんだー、えへへ、体育会系で、あのー……」

あかね「なんちゅーたっけ?たしか……」

みゆき「よ、宵月みたろうさん、だよ、うん(われながら一杯一杯だなぁ)」

あかね「ふーん……今度あわしたってなー。なんや、おもろそうやし」

みゆき「あー、で、できればね……」

あかね「キャンディも、喋ったりは絶対できへんししなやーとは思うけど、見たことくらいはあるんやろ?どないな人なん?」

キャンディ「クル!?えっと、そりはそりはぁ、おっきくてぇクル~~!」

みゆき「(キャンディは特訓の間は、不思議図書館に行ってもらってるんだけど……が、頑張って!キャンディ!ごめんね!あとでおしゃれしてあげるからね!)」

キャンディ「えーっとその、フサフサでー、クルー」

あかね「はっはは、なーんやフサフサて、あの狼かーーい!ってな」

みゆき「!?」

あかね「おわっ!?な、なんやなんや、いきなりずっこけおって、ツッコミしたんうちやろ!?なんでみゆきがずっこけんねん?」

みゆき「あ、あっはは、あははははー!ごめんごめーーん!それじゃあの、私いくね!またねあっかねちゃん!じゃーねみんなー!」

あかね「おぉ、またなぁ」

れいか「みゆきさんは、また従兄弟さんと?」

あかね「せやて」

なお「親戚付き合いは、大事にしないとね。うんうん」

やよい「でも、ちょっとだけ寂しい、かな。みんなが部活とか生徒会の時は、私とみゆきちゃんとキャンディで、不思議図書館にいたり、したし。私じゃキャンディの耳、上手く結ってあげられないんだよね……」

あかね「なんやなんや、みゆきがとられて悲しいんかやーよいっ……お?キャンディは、やよいとおるん?」

やよい「え?うん、そうだよ?」

あかね「……うーん?なんや、話ちがうなぁ」

バッドエンド王国

狼「……ちょっと出てくらぁ」

鬼「またオニ?お前さん、ここんところそうやってふらっと出かけることが多いオニー」

狼「人間界の偵察だ、偵察。報告書にもそう書いてんだろが」

鬼「オニー……バッドエナジー集めでもないのに人間界にわざわざ出るなんて、お前さんも変わってるオニ」

狼「月ノルマは達成してんだから、何しようが俺様の勝手だろ。んじゃぁな」


魔女「一息入れるだわさ……なんだい、またウルフルンの奴は留守かい?」

鬼「おぉ、マジョリーナ。入れ違いで、また人間界に行ってるオニ。ここんとこ真面目オニー」

魔女「ふぅん、まぁ確かにここでグータラしていた前よりは、随分と熱心らしいけどねぇ。張り合いがないだわさ」



ジョーカー「うっふふふふぅん、熱心なのも考え物、それもお相手によりけりぃ~だっと、思われますよぉん?偉大なる悪の三幹部のお二方ぁ~~」

鬼「ジョーカーオニ」

魔女「どういうことだわさ。あんたは何か知ってるのかい?」

ジョーカー「いぃーぇいえ~~!所詮ピエロの戯言でござぁ~~い!と、っこ、ろ、っでぇ~?お二人にすこ~し、ごっそうだんしたいことがありましてぇ、っふふぅん」

鬼「なにオニ?」

魔女「あたしゃ今手一杯だからね、あんまり難しいことを持ち込むんじゃないだわさ」

ジョーカー「いいぇいえ、どちらかと言えば質問、のようなものでしってぇ~!お二人はでっすねぇ……裏切り者が出た場合、っふふぅん?どういった対応をするべ、き!だと、おっかんがえですかぁ~?????」


鬼「オニ!!裏切りなんて許せないオニ!!!ぶっ殺してやるオニーーーーー!!」

魔女「悪のあたしらにそんなまねはたらくなんて不逞な奴だわさー!!新発明の実験台にしてやるだわさーーーーー!!!」

ジョーカー「ですよねぇ、でっすよねぇ~~ん!そっこでなんですがぁ~!みなすわぁんで……」

鬼「で、それがウルフルンの話と、なんの関係があるオニ?」

魔女「そうだわさ。話を変えるんじゃないよ、今はあいつの話をしてんだわさ!」

ジョーカー「……この流れで分からないとは、う、うっふふん、お二人は中々に鈍感さんなおかんがえのもっちぬしなんですねぇ~~~!」

鬼「何を言ってるオニ!俺様は鬼界一の切れ者だって、アオオーニも褒めてくれたオニーーーー!この頭脳で次こそはピースたnゴホンピースのじゃんけんにも勝つオニーーーー!!」

魔女「希代の天才マジョリーナ様になんて物言いだわさ!!ジョーカーのくせに!」

ジョーカー「おぉおぉお!これはこれはもうしわけありまっせぇええええん!!!」

ジョーカー「(仕方ない……私だけでなんとかします、か)」

みゆき「さーーーーん、っじゅ!やった!狼さん見てた?見てた!?今日は一回も止まらずに、腹筋終わったよーーー!」

狼「そーだな、ようやく俺様に楽させる気になったか。足押さえておくのも面倒くせぇからなぁ」

みゆき「えっへへ、成長できてウルトラハッピー!……うん?楽?」

狼「おぉ、次からは腹筋は、こう……足を七十度くらい上げて伸ばしてやってもらうかんな」

みゆき「えっ、なにsいたたたたたたた!!!!な、なにこれすっごくきついよ!?!?」

狼「ったりまえだ、本格式なんだから。その体勢をキープして三十秒だぞ」

みゆき「無理、無理無理無理だよぉおおお!おかしくなっちゃうってばぁーーー!!」

狼「大いになって、んで成長するべきだこの運痴め」

みゆき「はー、つっかれたー。な、なんか今日のメニューはいつもよりきつかった、気がするよ?狼さん?」

狼「てめぇが、なんだ、しゅーがくりょこーとやらで怠けたからだろが」

みゆき「仕方ないじゃーん、こっちにいなかったんだし。それなら狼さんも京都に来ればよかったのにー、って言ったよー?」

狼「ここ来んのにもそこそこ大変なのに、なーんでんな遠出しねーといけねーんだ」

みゆき「鬼さんは来たよ?」

狼「あいつぁ体力バカだからな」

みゆき「……狼さんがいてくれたら、少しは大凶気分も薄れたかも、なのになぁ」

狼「あぁん?なんか言ったか?」

みゆき「……なんでもないよぉーだ。はっぷっぷー」

狼「?」

狼「あー、うめぇ。このために生きてんな」

みゆき「魔女さんの研究っていうのは、まだ続いてるの?」

狼「おー、なーんかいつになく力入ってるからなぁ。おかげで俺様はこの有様だ」

みゆき「そっか、えへへへ。それじゃぁもうちょっとは、続けられそうなんだね」

狼「そこまで鍛えたいのかよ、てめぇは」

みゆき「それも、だけど……あ、もう食べ終わっちゃった」

狼「ったりまえだ、このくらいじゃぁ授業料にはならねぇぞ、おい。しまいにゃ喰っちまうからな、ほんとに」

みゆき「……じゃ、じゃぁ、ね?こっちも、食べる?」

狼「あぁん?なんだ、まだあるんじゃねーか、最初からそっちもよこせよ……」

みゆき「……」

狼「……随分と、形がめっちゃくちゃに見えんだが」

みゆき「……た、たまには私が焼いてみたい、って……あかねちゃんの、お母さんに頼んで……」

狼「……」

みゆき「みたん、だ、けど……あ、あっははは!こんな汚いの、食べられないよね!ごめんね狼さん!すぐに……」

狼「……」パクッ

みゆき「あ……」

狼「……言ったろうが、誰が作ろうが一緒だ、っての」

みゆき「あぁ……そ、そうだよね、はは、は……」

狼「ただ、見た目がわりぃのあいただけねぇ。おい、今度こんなもんを、持ってくるなら」

みゆき「……」

狼「……もっと量を多くしろや、そしたら俺様も満足だし、お前もこう……練習できんだろ」

みゆき「!う、うん!頑張るね!!」

狼「……(アホくさ、なぁんで俺様はこんなガキに気を使ってんだか)」

みゆき「美味しい?狼さん」

狼「ふつーだ、ふつーーー」

狼「休憩な。十分たったら、さっき言った腹筋はじめんぞ、メスガキ」

みゆき「わ、わかったよ……ねぇ狼さん、お話しようよ、お話!」

狼「そうやって休憩時間長くしちまおう、って魂胆かお前。悪さはすぐわかるぞ、なんせ俺ぁ悪い奴だからな」

みゆき「ぎくっ!ち、ちがうくてー、本当に狼さんとお話したいだけなんだってばー!」

狼「そもそも、話すことがねぇ。十分経ったら起こせよ」

みゆき「えー!そんなぁ、えっと、えっとね、じゃぁ!狼さんの口はどうして大きいの!?」

狼「その流れお前食われるぞこら」

みゆき「答えてくれないならどんどん聞いちゃうよー!どうして狼さんの爪ってそんなに尖ってるのーー!?」

狼「あー、うるせぇうるせぇ。黙って寝かせろバカ娘」

みゆき「どーして耳もおっきいのー?ねー狼さぁーん?」

狼「……(無視だ、無視)」

みゆき「あ、あれ?本当に寝ちゃった?狼さーん?おーい」

狼「……」

みゆき「……ねぇ、狼さん。どうして……」

みゆき「狼さんは、私に、構ってくれる、のかな」

狼「……」

みゆき「……敵だからダメだ、って、思ってた。でも、狼さんは……ねぇ、狼、さん」

みゆき「……私、おかしくなっちゃうよ」

狼「…………」

数日後

狼「(俺は大バカ野郎だ)」

狼「(敵なはずの、あのバカ娘に馴れ合って、あんな、アホなことを言わせて)」

狼「(悪の三幹部の名が、泣くぜおい。俺様は、なんだ?悪の帝王ピエーロ様の側近で、悪党で)」

狼「(それをなんだ、あのバカ娘め……分からせてやる)」

狼「(……分からせなくちゃ、いけねぇ)」

キャンディ「クルクル~、クル……クルゥ!?」

あかね「せやからなー?お好み焼きにマヨが邪道やーゆうんは、新しいものを取り入れられへん頑固もんのー……っ!?」

やよい「えー?でも、この間のとんねるzぴっ!?」

なお「あ、あそこにいるの、狼!?」

れいか「久しぶりに、現れましたね。ま悪だくみですか?」

みゆき「あ、狼さん!あっと、きょ、きょうは、あれ?なんで……」

狼「……」


狼「世界よ!!最悪の結末!!!バッドエンドに染まれ!!!!」

みゆき「!?!?!?」

翌日

狼「(これでいいんだ……アカンベェ倒されちまったから、いいとは全然言えねぇけど)」

狼「(これで、あのバカ娘も分かったろ。俺様は敵で、憎むべき相手で、そんで)」

狼「(そんで、あの河川敷にも、もう現れねぇはずだ)」

狼「(……なのに、なんで俺様は、また人間界に来てやがる)」

狼「(……なんで、こいつ、は)」


みゆき「あ……狼さん」

狼「……」

みゆき「も、もー!おっそいよー!私、もう1セットめ、終わっちゃったんだからー!はっぷっぷー!」

狼「……はっ、そのくれぇの準備運動は済ませてしかるべきなんだっての」

狼「(なんで……いんだよ。なんで、何も言わねぇんだよ……くそ、くそ!!!)」

みゆき「っじゃねー!キャンディ、今日も不思議図書館で留守番だけど、大丈夫?」

キャンディ「クル!みゆきが特訓している間、みんなのことは任せるクルー!キャンディも役に立てるクルー!」

みゆき「こ、声が大きいよ声が」

あかね「ほななー!気ぃつけやー!……うーん」

なお「……みゆきちゃん、また用事って?」

あかね「おぉ、そや。あの、宵月みたろうー、ゆうんとー、って」

れいか「疑って、おいでですか?」

あかね「……みたろうて、あれやろ。うちがみゆきの転校してきよったときに、ボケでつこた名前や。そう上手く、従兄がおるはずあれへん。とっさの嘘で、出てしもーたんちゃうかな」

やよい「でも、嘘って……なんのために?」

なお「なんであっても、嘘はいけないよ、嘘は!」

れいか「そう、ですね……先日のように、敵が突然攻めてくることもありますし……」

あかね「うーん……せやけど、みゆきてそういうキャラちゃうやん?それでもそこまでして、隠してるーことをおいそれと探って、ええもんなんやろか、と……」

入江「たしかに、キミの言うとおりだ!」

あかね「せやろ……ってぇ!?な、なんや自分!?!?!?」

れいか「い、入江会長!?!?」

入江「やぁ、青木くん。今日は生徒会もないからね、キミを見にきてみたよ」

れいか「そ、そうですか……わざわざありがとうございます」

なお「……なんのようですか、それだけじゃ筋が通ってないと思います」

入江「ははっ、緑川くんは手厳しいね。青木くんのことももちろんだけど、キミたち、星空くんのことを話していたろう?」

あかね「そ、そーですー……な、なんや、生徒会長さんはみゆきの名前まで、しっとんのやなー」

入江「もちろんさ。それで、彼女が最近なんだか河川敷で、変な男と一緒だ、ってこともね」

やよい「!?み、みゆきちゃんが!?」

れいか「本当ですか、入江会長!?」

なお「嘘だったら脳天マーチシュートだよ!?」

あかね「なお、なんや生徒会長にきついで自分、おちつきや」

入江「……四人とも、血相変えて向かってしまったね」

入江「……んっふふ、嘘は言ってませんよぉ、嘘は」

入江「……人間への変装は窮屈ですねぇ~。よ、っと」


ジョーカー「んっふふふふぅん!舞台は整いましたよぉ?うぅるっフルンすわぁん?」

ジョーカー「あなたが、わったぁしの期待通りの回答をしていただけるといいんですけどねぇーぇええ!んっふふふぅ!!」

河川敷

みゆき「はぁー、っふぅ、っはぁ。お、終わったー」

狼「おぉ。全メニューをこんな短時間で終わらせられるように、なるたぁなぁ。お前もほんと、成長してんじゃねーか」

みゆき「えっへへ、狼さんのおかげだよ、ありがと!」

狼「おぉ……これで俺様ぁ、お役ごめんだな」

みゆき「……え?」

狼「ババアの研究も一段落つきそう、ってぇ話だしなぁ。もうてめぇから、飯をめぐんでもらう必要もねぇ」

みゆき「……そんな」

狼「言ったろうが、食い扶持が確保できるまでのー、ってよぉ。次会う時は、てめぇも食っちまうからな……じゃあな」

みゆき「……嘘、だよ。嘘つき、狼さんの嘘つき!!!」

狼「……あぁん?」

みゆき「私、私のこと、食べちゃうチャンスなんて、今まで何度でもあったくせに!どうして、そうしなかったの!?ねぇ、どうして!?」

狼「……」

みゆき「私、きっと狼さんも……楽しいって、思ってくれてる、って!信じてる!」

狼「……バカを言ってんじゃねぇ、何度も言わすな、バカ娘」

みゆき「バカでいいもん!!!」

みゆき「それでも、私、私!!」

狼「……」

みゆき「私は!!狼さんのこと!!」





あかね「みゆき!」

やよい「みゆきちゃん!!」

なお「っ、不思議図書館に寄っていたら遅くなったね。大丈夫!?みゆきちゃん!!」

れいか「ご無事です……か……え?」

キャンディ「クルー!みゆきはキャンディが守るクル……く、クル?」

みゆき「あ……」

狼「……」

あかね「……どういう、ことや」

みゆき「あ、かねちゃん。あの……」

あかね「説明しぃ、どういう、ことや!!!!なんでここに、狼が、ウルフルンがおんねん!!!!」

狼「……」

みゆき「あの、あのね?それは……」

あかね「あんたも知っとるやろ!そいつは敵や!!!なんや、なのにそないな、なんで一緒に!!!」

なお「……納得のいく説明がほしいな、みゆきちゃん」

やよい「……きゃ、キャンディ、なかないで。なにかの、間違いだから。大丈夫。みゆきちゃんは……」

れいか「……みゆきさん?」

みゆき「あ……あ……わた、わたし、わた、し」

狼「……」


狼「ウウウーーーールッフフフハハハハハァアアアア!!!あぁあぁ、あーと一歩だったってぇのによぉ!!!!」

みゆき「……え?」

あかね「な、なんや、あと一歩て!!」

狼「俺様ぁよぉ、頭がいいからなぁ。てめぇらプリキュアをぶっ潰す作戦を立ててたわけだ、他の脳筋どもとちがうすんばらしい手で、なぁ」

みゆき「おおかみ、さん?」

狼「このバカ娘の弱みに付け込んで、ちーっとばっかバッドエナジーでちょちょいとこう、あれだ。操ってやって。そんでもう少しで完全に、俺様の手篭めにしてやれるとこだった、のによぉ」

なお「操る!?……なんて卑怯なんだ、あんたは!!」

れいか「それで……みゆきさんはここのところ、心此処にあらずなご様子だった、というわけね。下衆な」

やよい「むーーっ!!悪の秘密結社ではよくあることだけど、本当にされるとこんなに嫌なんだ!もーーー!!」

みゆき「え、え……?ち、ちがうよ?みんな……狼さん?私と、狼さんは……」

狼「そーいうこった、ざぁんねんだったなぁ……夢見がちなバカ娘よぉ」

狼「(……これでいい。これでいいんだ)」

みゆき「狼さん、そんな……そんな!違う!!みんな聞いて!私、私と狼さんは!!」

あかね「わかった、わこたから落ち着き、みゆき。辛かったなぁ、さっきはすまん。かんにんな」

みゆき「違うの、あかねちゃん!狼さんは、狼さんは!!」

あかね「あぁ、あんたの心をもてあそぶ最低なやっちゃな」

みゆき「ちが、私、狼さんは、私のために、うぅ、うぅぅぅううう」

なお「……私達の大事な友達をなかせて、ただですむと思わないでよね」

狼「おぉおぉ、勇ましいこって。だーが残念、俺様ぁ今日は商売道具をもってきてねぇ。おさらばさせてもらうぜ……」



ジョーカー「んっふふぅん、それにはおよびませぇんよ、うるっふるんすわぁん」

狼「!?!?」

ジョーカー「世界よ、最悪の結末へ」

キャンディ「クル!?空が暗く、だ、だりくる!?!?」

ジョーカー「んっふふふぅん、わたくしはジョーカーと申しますぅ。偉大なる悪の三幹部の忠実なるしもべ、手足にして道具にも劣る役立たずで、すっがぁ!あなたさまのお役にたてて光栄ですよぉん、うるっふるんさぁん?」

狼「……なんで、ここにいるんだ、てめぇ」

ジョーカー「んっふふふぅ、実はですねぇ、すっこぉーしばっかり貴方様のここのところを疑う話がでていましてぇ~。恐れながらわたくしが、んっふふ、見守らせていただっていたのでしたぁ~~っふふぅん!」

狼「……」

ジョーカー「おぉーー!ですが流石は我らが斬り込み隊長のうーるっふるんさん!プリキュアの内部破壊を目論むばかりか、失敗しても……こぉーんなにもすんばらしいバッドエナジーを発生させるぬわぁんてぇ~~!」

狼「あぁ?」

みゆき「……狼さんは……違う、狼、さん」

あかね「みゆき、みゆき!!しっかりしぃ!!」

れいか「っ!もしや、操られた後遺症でバッドエナジーに囚われやすく!?」

狼「!?く、っそが……」

キャンディ「み、みゆきは戦えないクル!みんな!変身して、みゆきを!!」

あかね「言われなくとも、や!いくでー、みんな!!」

プリキュア!スマイルチャージ!

サニー「太陽サンサン、熱血パワゥア!キュアサニェー!」

ピース「ぴかぴかぴかりん☆じゃん、けん、ぽん!キュアピース!」

マーチ「勇気凛々、直球勝負!キュアマーーチッッ!」

ビューティ「深々と降り積もる、清き心。キュアビューティ!」

五つの光が導く未来!

輝け!スマイルプリキュア!

ジョーカー「おぉーお!なぁんと勇ましい!!」

狼「……俺様は、気が進まねぇ。ジョーカー、あとはてめぇで……」

ジョーカー「おぉっとぉ、んっふふふふぅん、そんなつれないことを言わないでくだすわぁい、うるっふるんさん。ご一緒にプリキュアを追い詰めましょうよ、っふふふぅん?」

狼「……ちっ」

サニー「追い詰める、やて?ゆうてくれるなぁこら、そこのクネクネピエロ!」

ピース「僕はキミの前ではピエロさ!だね!」

マーチ「ごめんピース、それすこぶるどうでもいい」

ビューティ「あなたがたは、許せません。みゆきさんに、謝っていただきますよ」

ジョーカー「おぉぉ、怖い、怖いですねぇ~……それで、その大事な大事なお仲間の、みーゆっきさんはぁ?どちらですぅ?」

サニー「はぁ?そんなもん、うちらのうしろおらん!?!?」

ジョーカー「はぁい種あかしー!!あなたがたが変身しているあいだにぃ~!こちらに人質になってもらっていましたぁ~っふふぅん!」

狼「!?」

ピース「お、王道を破るなんて卑怯だよ!?!?最低だよぉおおおお!!」

ジョーカー「うぅ~ん、心地良いひびきですねぇ、んっふふふうん!」

ジョーカー「あなたがたの力の源の調べは、ついていますよぉ~ん?お仲間が傷つけられたくなければ、パクトを地面においていただけますかぁ?」

サニー「っ!そないなこと、せんでも!うちらの、必殺技で!」

ジョーカー「んっふふぅ、ノン、ノンでっすよぉ?わたぁしとうぅるっふるんさんは、デコルで作られたわけではありまっせぇーん!あなた方の浄化の力、では!んっふふん?なーんともありませんよぉ?」

マーチ「っ、また、そういう敵なんだね」

ジョーカー「まぁ、効いたにしてもぉ?うるっふるんすわぁんの爪が、このお嬢さんの首を斬ってしまう方が早いでしょうけどねぇ?ねぇ、ウルフルンさん?」

狼「……おぉ、そうだろうな」

ビューティ「……みんな、パクトをおきましょう」

ピース「!で、でも……」

ビューティ「大丈夫です、チャンスを待ちましょう……さぁ」

ジョーカー「んっふふふぅ~ん、したがっていただき感謝しますよぉ~?ぷりっきゅあのみなさん」

狼「……」

ジョーカー「さ、って。それでは、この娘から、んっふふん!葬ってさしあげましょうかぁ」

狼「!?」

サニー「な、なんや話が違うぞこらぁあああああ!!!」

ジョーカー「はぁてぇ?なぁんのことでしょう?私ぃパクトを置いたらこの子が助かるぅ、なぁんて約束、しましたっけぇ~?」

ピース「うぅ、ひどい、ひどいよぉ!!!」

マーチ「さいっていな奴だね、あんた!」

ビューティ「……外道もまた道、ですがあなたの道は……全力で、否定させてもらいます」

ジョーカー「おぉ、怖い怖い。それでは、ウルフルンすわぁん?やってしまいましょうか、この子たちもお友達が傷つけば、こんな台詞もはかないでっしょう」

狼「……」

ジョーカー「……どうしました?」

狼「……」

みゆき「みんな……狼、さん……」

ジョーカー「……(情が残ったか。少しはマシかと思えば……まぁそのよりどころも、っふふん。壊してさしあげましょう)」

ジョーカー「おぉー!これは失礼を!偉大なる気高きウルフルンさんに、人間の血で汚れさせるわけにはいきまっせぇん、そうですよねぇ!ここは私に、おまかsあぶrへhぐっはぁあばぁあああああ!!?!?!?!」

サニー「!?な、なんや!?!?狼が味方のピエロの顔面をおもいっっっっっきりどつきおったでーーー!?!?」

狼「……あんま、調子のんな。きめぇんだよ、クソジョーカー」

ジョーカー「あ、ッふふぅん、ははっ、ははぁっ!!!うーるっふるんすわぁん、これは、どういうこと、ですかねぇ?」

マーチ「わっ、あ、あいつ首があんな方向に曲がってるのに、こっちに……ぴ、ピースはみないでおこうか?」

ピース「?あれくらいのスプラッタは全然平気だよー?」

狼「言ってんだろうが、調子にのんなさっきからねちねちねちねちと、てめぇの腹になにかあんのは分かってるぞ、下衆な臭いをプンプンさせやがって」

ジョーカー「っふふ、ふっふふぅん!?それでは、ウルフルンすわあん?あなた、裏切ると!?我々を裏切って、この娘と!この数週間を、お笑い種な仲睦まじさで過ごした娘をえらぶと、んっふふぅん!?そういうおつもりだ、ということでよろしいんですかねぇ!?!?」

サニー「え、な、なんやて!?」

ピース「ふぇ!?そ、それって……」

マーチ「じゃ、じゃぁみゆきちゃんは、本当に?」

ビューティ「……それでは、さきほどまでのお話は……」

狼「だから、きめぇってんだクソジョーカー。黙りやがれ」

狼「このバカ娘は、俺の獲物なんだよぉおおおおおおおおおおおお!!!!」

みゆき「狼、さん……?」

ジョーカー「ははっ、はははっふっははははははあっははははははは!!!いいーい!!実にいいですねぇ、うーるっふるんさぁん!!!」

ジョーカー「それで、っはぁ?あなたの獲物とやらを、あなたもろとも!潰して刺しあげまっしょーう!うふふっふふふぅん!来い!!アカンベェ!!!」

鉄橋「」ギュワン!バキバキバキバキッ

アカンベェ「アカーーーンベェーーーーー!!!!」

サニー「!?て、鉄橋が丸ごと!?なんちゅー大きさや!!」

ジョーカー「んっふふふぅん、この時のために作った、デコルを複数個使用した赤っ鼻ですよぉん?パクトがないあなたがたに、どこまで抵抗できますかねぇ?」

ピース「え!?あ!!地面においてあったパクトが、あのピエロさんの手に!」

ビューティ「まずい、ですね……キャンディ、パクトがないと、必殺技は……」

キャンディ「だ、ダミくる!みんな、とにかくみゆきを!!」

ジョーカー「おぉっと、そうはいきまっせぇーん!アカンベェ!」

アカンベェ「アカーーーーーン!!」

みゆき「……あ……」

マーチ「っ!?ま、間に合わな……っ!?」

サニー「お、狼!?!?あいつ、受け止めよったぁ!?!?」

狼「っ、っつああああ!!なぁにしてやがるボケども!!このバカをさっさとつれてけぇえええ!!!!」

サニー「あ、お、おおきに!おおきにちゃうわ!みゆき!動けるか!?みゆき!!」

みゆき「あかね、ちゃん……ごめん、ね……ごめん、私、ダメ、なのに。狼さん、は……敵、なのに」

サニー「……そのことか。このアホ!!!なぁんで黙っとったんや!!!」

みゆき「……ごめ、、ごめんな、さい」

サニー「ちゃぁんと、ゆうてくれれば!!!うちらが反対するわけ、ないやろが!!アホか自分!!!!!」

みゆき「……え?」

狼「はぁ!?って、ってか、はやっっっあああぁああああ!!」

ピース「ピーターパンが好き、って本気で言っちゃうみゆきちゃんだもん!このくらいじゃ、驚きはするけど、ダメだなんていわないよ!!」

マーチ「そうだよ!私たちは、まだ知らないけど!!みゆきちゃんが、みゆきちゃんだけが知ってる、あの狼の良いところ!みゆきちゃんは、たくさん知ってるんでしょう!?それで、あの狼が大事だ、って!思ったんでしょう!?」

ビューティ「それならば、私たちが反対する理由なんて、ないんです。ただ、おっしゃってくださらなかったことだけが、残念だったんですよ?」

みゆき「みん、な……」

サニー「そや、そや。それに、みてみぃ、みゆき。あの狼……あんたのことぉ、あんなにしてまで……そら、うん。ほれてまうんもわかるで、ほんま」

みゆき「おおかみ、さん……」


狼「っぐ、っるぁあああああああああ!!!」

ジョーカー「はっふふふ、ふぁあああっははあはは!!すごいですねぇ、すんばらしいですよぉうーるっふるんすわぁん!どこまで持つか、見ものですよぉうっふふふぅーんっははははあああああ!!!」

みゆき「……」スゥッ

キャンディ「あっ!みゆきがバットエナジーから解放されたクル!」

サニー「おぉ!よっしゃそれじゃ、みゆき!逃げ……お、おぉい!?な、なにするきやー!狼んとこいきな危ないでちょっとぉーー!?!?」


みゆき「……狼さん」

狼「っ、お、おぉ寝ぼすけがぁ!ようやく正気づいたか、ったぁく俺様の訓練をうけたにしちゃぁ、弱っちいのはそのまんまだなぁ!!ほら、さっさと」

みゆき「どう、して?」

狼「あぁん?」

みゆき「どうし、て……狼さんの、仲間を裏切っちゃってまで。そんなに、苦しんでまで。私を、助けてくれるの?」

狼「……」

みゆき「……狼さん、は……どうして」

狼「……どこまでいってもアホなことしか言わねぇなぁこの、アホが!!」

みゆき「……」

狼「どうしてどうしてどうしてってよぉ!!うっるせぇんだよメスガキ!」

狼「どうして俺様の口がでけぇかって!?獲物を貪り食うめにきまってんだろうが!」

狼「どうして俺様の爪が鋭いかって!?むかつく野郎を引き裂くためにきまってんだろうが!」

狼「どして俺様の耳がでけぇかって!?弱っちい人間の泣き声を聞き逃さないために決まってんだろうが!」

狼「どうして、どうして俺様が、てめぇなんかの相手をするかって!?」

狼「そんなもん、そんなもんわからねぇよ!!!分からなくちゃ、いけねぇのかよ!!!」

狼「どうして、俺様が、お前を、守ったか!?」

狼「んなもん、お前を守りたいからに、決まってんだろうが!!!それ以上、理由があんのか!!!」

狼「分かったら……黙って守られてろ!!!!このバカ娘!!!」

ジョーカー「っひゅー!うーるっふるぅんさんかっこうぃーー!冥土の土産には丁度いいですねぇん!?やれ!!潰しておしまいなっさぁーーーい!」

アカンベェ「アッカァアアアーーーーーン!!!!」

みゆき「狼、さん……狼さん!!」

狼「(あぁ、でもよぉ、俺様の爪じゃ、牙じゃ、こいつにゃかなわねぇ)」

狼「くっそが、くそ、ったれがぁ」

狼「(もっともっと、力が。こんな爪じゃダメだ。こんな牙じゃダメだ)」

狼「(誰でもいい、もう、俺様だけじゃ、ダメだ。俺に、力を)

狼「こいつを、守るための力、をぉおおおおおおおおおおおお゛お゛お゛お゛!!!!」

カッ!!!!!

キャンディ「クルッ!?!?!?」

みゆき「狼さん……!」

ジョーカー「な……なぁんです、かぁ?この光り……アカンベェがおしとばされてっっあぁ!?!?!?」

ピース「あっ!?わ、私達のパクトがピエロさんの胸で光って!」

サニー「んで!みゆきのパクトの光と!ぶつかりよって!」

マーチ「そこから何か、あ、あれって!?!?」

ビューティ「紫色の……スマイルパクト!?!?」

狼「お、おぉ?なんだ、なにが起こってやがんだ?」

キャンディ「クルーーぅ!!ちみが、六人目のプリキュアだったんだクルー!!」

狼「おぉ、妖精……は、はぁあああ!?!?!?」

キャンディ「ちみの、みゆきを守りたいっていう強い心が!五人のパクトから新たな力を生んだクルー!!」

狼「お、おいまて、わっけわかんねぇ……俺様が、プリキュアぁ!?俺ぁ、バッドエンド王国の住人だぞ!?!?」

キャンディ「クールクルぅ!みゆきも、キャンディの体で変身できたことがあったクルー。重要なのは心で、何者かじゃないクル!」

狼「そういう、もんかぁ?俺が、俺様が……あいつを、守るために?」

キャンディ「さっ!キュアデコルをスマイルパクトにセットして、『プリキュア、スマイルチャージ』って叫ぶクルー!!」

狼「……はっ」

狼「なにがなんだかよくわからねぇが……上っっっ等!!!!」

プリキュア!!スマイルチャージ!!!!!

ゴー!ゴー! レッツゴー!ウルフ!!!!!!

サニー「へ、変身しよった、ほんまにプリキュアになりよったぁ!?!?」

ピース「わ、私達みたいなフリフリ衣装じゃないけど……か、かっくぃーーーーーー!!!」

マーチ「うっわ、すごいね……みゆきちゃん?」

ビューティ「みゆきさんを守るために、変身なさったようですよ?」

みゆき「狼さん……」


ウルフ「ウーーーールッフフフフフフフフフフ!!!!」

ウルフ「高々と鳴り響け!野獣の雄たけび!!キュアウルフッッ!!!!」

ジョーカー「!?!?!?ウルフルンが、プリキュアにぃ~~!?!?」

ウルフ「おぉ……すげぇな、プリキュアってぇのはここまで力が溢れるもんなのか」

サニー「あ、やっぱそない変わるもんなん?」

ウルフ「ったりめぇだ、これなんだお前らどんだけチート性能だクソが……まぁ、俺様が変身ともなれば、っとぉらぁ!!!」

アカンベェ「アカァ――――ンンンンンンンンン」

ジョーカー「!?!?あ、あのアカンベェの巨体がぶん投げられるなぁんて、っふっふふぅん!ウーるっふるんさぁん、なぁかなかにおもしろいことい也ましたねぇ、うっふふぅん!!」

ウルフ「余計なお世話だ。おい、てめぇら。ほら、パクトだ」

ピース「あ、ありがとう。狼さんのとこに飛んできてたんだね!」

ウルフ「俺ぁクソジョーカーを殺る。あっちはてめぇらに任せた……おい、メスガキ」

みゆき「あっ、お、狼さん……」

ウルフ「……てめぇは、あれだな。うん。あぁは言ったが、守られるなんてキャラじゃねぇ……歯ぁくいしばって、説教たれて、笑いながら、俺と一緒に戦え。てめぇなら、できるだろ。みゆき」

みゆき「!……うん、うん!!狼さん……!!私、頑張っちゃうんだから!!!」

みゆき「ウルトラハッピーエンドに向けて!!スマイルチャーーージ!!」

ゴーゴー!レッツゴーハッピー!

ハッピー「キラキラ輝く、未来の光!キュアハップィーィィィぃぃぃいいいいいいいいいいい!!!!」ググググググッ

サニー「おぉ、ハッピーも変身できよttってぇ!?もう気合こめよるぅうう!?!?み、みんなつづくでぇえええ!!おぉらぁああああああ!!」

ピース「ふぇ!?は、はぁああああああ~~~~っ!」

マーチ「っちょ、ハッピー張り切りすぎじゃない!?はぁぁっ!!」

ビューティ「ふっ!!」

ハッピー「シャワァーーーーー!!」

サニー「サニー!ファイヤーーーーーーーーアアア!!」

ピース「ピース……ふわぁっ!? サンダァアアアアアア!!!」

マーチ「マーーーチ、シュートォオオオオオオオオ!!」

ビューティ「ビューティブリザーーード!!!!」


アカンベェ「ア、アカァアアアン……」

ウルフ「ほぉ、これに力こめんのな……観念しろや、クソジョーカー」

ジョーカー「っふ、ふっふふぅん?忘れ、ましたかぁ~?私には、ぷりっきゅあの攻撃は……」

ウルフ「ざぁんねん、俺様の力はあいつらとはちょっと違うみてぇでなぁ。俺様がもってんのは、あいつらの浄化とは間逆。てめぇと同じなんかそういうのが、プリキュア的なんかでこう、なったもんだ、うん。だからてめぇにもダメージが、うん」

ジョーカー「!?!?くっ、私がそれとわかっていてぇ、やすやすとくらうとおおもいでっすかぁ~?」

ウルフ「……そう言いつつ、てめぇ棒立ちだけどな」

ジョーカー「!?!?!?」

ウルフ「マジこいつらの性能おかしい……いくぞおらぁあ!!!」

ウルフ「プリキュア!!!」

ウルフ「ウゥゥゥルッフ!!クローーーーーーォ!!」

ジョーカー「ふっふ、ふは、ふっはははあああっはははは!!うーるっふるんすわぁん!!また、殺りましょうねぇ!!あは、あっははははあぁああああ!!!」







ウルフ「バッドエンドに眠りやがれ」

みゆき「狼さん!」

狼「おぉ、変身とけたか」

みゆき「私、やったよ!狼さんの特訓のおかげで!あんなに大きいアカンベェ倒せちゃったよ!!」

狼「おぉ、見てたぞ。なんだあのとんでもねぇ爆発、あれ本当に浄化の力なのかお前」

あかね「ほぉーう、なんやなんや、特訓なぁ?」

やよい「二人の馴れ初めも含めて!たっくさん聞くことがありそう、だね!」

なお「そうだね、みゆきちゃんにとってのピーターパンな、狼ことを。仲間になるわけだし、私達にも教えてもらわないと!」

れいか「っふふ、みゆきさん?隠し事はなし、ですよ?」

みゆき「え、えぇええ!?」

狼「ちょっと待て、ピーターパンってなんだよ」

キャンディ「プリキュアも増えたし、デコルも一気に集まったクルぅ。お兄ちゃんにほめられるクルー」

あかね「せやな、キャンディらの国の復活も近いで」

みゆき「そういえば、狼さん……あの、仲間になってくれて、とっても嬉しいんだけどね?あっちの人たちを裏切っちゃって……本当に、よかったの」

狼「あぁ?……ふんっ、お前に手出しする気なら、いくらあいつらでももう敵なんだよ。それに、裏切りなんて最っ高に悪い奴のすることだろうが、俺様に相応しいってんだ」

なお「ぷっ、なにそれ。悪いことって……あんなにみゆきちゃんのことを守る、って連呼してたくせに」

れいか「これからは、少しは改めてもらいたいところですね」

やよい「ううん!!いいよ、いい!狼さん!ダークヒーロー路線!!私達に足りないものはこれだったんだよ、きっと!!」

あかね「やよい、目ぇ輝かせんでえぇ。そのロマンだれものっかれへん」

狼「へっ、うるせぇ奴らだまったく……」

みゆき「狼さん?」

狼「あぁん?んだよ、バカ娘」

みゆき「……みゆきって呼んでよー、はっぷっぷー!」

狼「……まぁた今度な。んで、なんなんだっての」

みゆき「これから、よろしくね。えへへ、狼さんが一緒で、おかしくなるほどウルトラハッピー!」

狼「……はっ。言っておくが、これはスマイルじゃねぇ……大切なもんを見つけた、満腹顔だからな……ウルッフフフ!」




あかね「で、特訓ってどないなことしたん?」

みゆき「えーっと、狼さんが『黙って腰を動かせーあと十回だぜうっへへへぇ』とかー」

狼「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

今度こそ、完

真面目な話?なんのこっちゃ!こちとら最初からおおふざけやで!
振りにのってくれておおきに!あんさんらのリアクション最高やったで!
じゃあの!


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