月火「深夜の化物ラジオ!」 (82)

月火「中学生が夜更かしする理由なんて大体決まっているよね」

暦「そうだな。まあ僕が夜更かしする理由なんてものは、大抵が深夜にやってるちょっとエッチな番組を見る為だったが」

月火「うん。まあ、そうかもね。私は違うけど」

暦「無理するなよ月火ちゃん。僕はお前が深夜にエッチな番組を見る僕のエッチな姿を見たがって夜更かししているのを知っているんだぜ?」

月火「お兄ちゃん、まるで私がブラコンみたいに言わないでよ」

暦「違うのか? 羽川から聞いたけれど、お前の彼氏は僕にそっくりらしいじゃねえか。それってつまり、彼氏を通じて僕を愛しているって事だよな」

月火「違うし! 私が好きなのは彼であってお兄ちゃんじゃあるまいしですし!」

暦「なんか器用な語尾ついてんぞ。――でさ、話を戻すけれど、どうして月火ちゃんは夜更かしするんだ?」

月火「中学生だからね」

暦「…………」

月火「…………」

暦「えっ、お前それが理由なの? 中学生だから夜更かしするとか、まるで中学生だからエッチな番組を見るみたいな理由じゃねえか。
   女の人の裸が見たいわけじゃなくて、ただ中学生はそういうものを好むから見る、みたいな。そんな夜更かしに意味はあるのか?」

月火「意味があるかは知らないけれど、お兄ちゃんはそんな事する私が、やっぱりただの中学生である事を知っておいて欲しいんだよ。
     いい、お兄ちゃん? 普通のお兄ちゃんは妹のおっぱいとか揉んだりしないし、ましてや中学生女子に乱暴したりしないものなんだよ」

暦「いや別に僕は妹のおっぱいを揉んだり、ましてや女子中学生に乱暴したりしていないぜ」

月火「ふーーん」

暦「僕はただ月火ちゃんのおっぱいを揉んだり、月火ちゃんに乱暴したりしていただけだ」

月火「中学生理論を応用してくるわけだ」

暦「そういう事だな。別に僕はおっぱいを揉む事に意味なんか感じないけれど、しかし、月火ちゃんのおっぱいを揉む事は大事だと考えている」

月火「お兄ちゃん。血の繋がりって知ってる? 或いは世間体とか、性犯罪とか、近親相姦とか」

暦「近親相姦だけは知っているが。なんだ月火ちゃん、流石の僕でも月火ちゃんを性的な意味で襲ったりしないぜ?」

月火「あれー? 性的な意味で襲われたって話をしていたと思うんだけれど」

暦「まあいいだろそんなこと。それでだ。今まさに夜更かしして僕達はお喋りしているわけだけれど、これから一体何をするんだ?」

月火「深夜のテンションを利用して、少し中学生っぽく夜更かしとか」

暦「中学生っぽい夜更かしって何だよ。言っておくが月火ちゃん、この歳で妹とエッチな妹の番組見るなんていやだぜ。それは恥ずかしい」

月火「何故妹のエッチな番組に限定したし」

暦「ま――雑談でいいよな。あまり騒ぐとご近所さんに迷惑だ。で、何か話すテーマなんかをくれると有り難いんだけれど」

月火「じゃ、例えば100のテーマについて話し合ってみるとか。折角の日曜日なんだし、時間を無駄に使っていこう」

暦「……そうだな、時間はたっぷりあるんだからな」

暦「じゃあ最初のテーマだ。そうだな……近親相姦なんてどうだ?」

月火「兄妹で話すテーマじゃない!」

暦「いや何言っているんだよ月火ちゃん。近親相姦以上に兄妹で話すべきテーマは無いと思うぜ」

月火「どうして!? っていうか深夜に近親相姦の話をする兄妹とか、もうそれ自体が近親相姦以上に際どいよ!」

暦「そもそも近親相姦ってどういう経緯で発生するんだろうな。初めて好きになる異性がお父さん、っていうのが発展したのか」

月火「なに言っているのお兄ちゃん。初めて好きになる異性といえばお兄ちゃんでしょ。お父さんが最初に好きになるとか、まるで幼稚園児が中年に恋するみたいじゃん」

暦「いやお前……何か僕が正しいのか間違っているのか分からなくなる例えを持ってくるなよ」

月火「私や火憐ちゃんが最初に好きになった異性はお兄ちゃんだよ。少なくともお父さんではない。それでお兄ちゃんはどうなの?」

暦「さてな。僕はあんまりそういうのを意識した事が無いというか、恋愛の意味自体をつい最近知ったばかりだしな。生憎、覚えてねーよ」

月火「どうかな。お兄ちゃんは昔、私や火憐ちゃんと結婚したいって話した事があったと思うけれど」

暦「待て! それはいつの話だ?」

月火「小学校入りたてぐらいかな。私と火憐ちゃんが初めて喧嘩する原因になった理由を作ったのが、お兄ちゃんのさっきの発言。
     一体どっちと結婚するんだーとか、私が子供を産むから火憐ちゃんは外で男作ってくれば、とか。そんな感じの可愛らしい姉妹喧嘩があったわけ」

暦「そんな喧嘩する小学生とかみたくないわ!」

月火「ってまあ、そんな感じ。私の心が小学生当時から進化していなければ、お兄ちゃんの子供ぐらい作っていたのかもね」

月火「そんじゃ次は筋肉の話をしよう!」

暦「筋肉の話とかして何が面白いんだよ……いや、そうか。深夜だから見せてくれるってわけだな?」

月火「いやいやお兄ちゃんの話だよ。最近ほら、お風呂上りとかにちょくちょく見るけど、お兄ちゃんって大分体つきが男っぽくなったよね」

暦「……そうかもな。僕だってほら、高校に通学するようになったから」

月火「いやいやいや、通学するぐらいで筋骨隆々になってたら、今時の高校生とか全員超筋肉質じゃん」

暦「上級生になるほど筋肉質になるんだ。月火ちゃんは中学生だから知らないかもしれないけれど、僕みたいに高校三年生になると筋肉質な男子は珍しくないんだぜ」

月火「えー嘘だ。大体、お兄ちゃんが筋肉ついたのって急だったじゃん。まるで人が変わってしまったみたいに」

暦「人が変わってしまったみたい、ね」

月火「まるで人格が変わってしまったみたいに」

暦「人格は変わってねえよ。体格だけだ」

月火「変わったよ、お兄ちゃんは。人間強度の話をしていた頃を思い出してごらんよ、昔と今じゃ全然別人みたい」

暦「人の黒歴史を掘り返すんじゃねえ!」

月火「それで筋肉の話に戻るけれど……」

暦「残念だけれど月火ちゃん。もう既に30行前だぜ」

月火「だったら延長しようかな。聞きたい事っていっぱいあるし」

月火「これは以前にも話したと思うけれど、お兄ちゃんって火憐ちゃんとかと近親相姦……兄妹喧嘩しなくなったじゃん? 取っ組み合いの喧嘩とかね」

暦「どういう言い間違いだ」

月火「あの時は結局、お兄ちゃんがどうしてそういう事しなくなったのかは聞かなかったけれど、実際はどうなの?」

暦「……僕の筋肉は大地を砕き空を割るからだよ」

月火「火憐ちゃんなら大喜びで反応するだろうね。私はしないけど」

暦「勝手に大人にならないで、とか言ってたよな。――あの通りなんだよ、実際。大人になるにつれ、大人になったと思うにつれて、人間っていうのは物理的な殴り合いに恥を得るもんなんだ」

月火「その割にはお兄ちゃん、死んだ小学生女児とかのおっぱい揉んだり殴りあったりしてそうだよね」

暦「何故お前がそれを知っている!?」

月火「というのはジョークとして。私としてはさ、お兄ちゃんが急に筋肉つけだしたのは、そういう言い訳をする為の建前みたいなもんだと思っていたわけ」

暦「どういう事だよ」

月火「僕が本気になるとお前らが怪我するから――とか、そういうありきたりで正しい理由をもってきて、本当の理由を隠す感じ。
     そりゃお兄ちゃんは大人になったかもしれないけれど、それにしたってきっかけはあるはずでしょ? 私達には話していない、変わるきっかけってやつ」

暦「……月火ちゃん、お前って燃えるように冷めているよな。ああ、そりゃ理由はあるよ。お前らには話していない理由ってやつが」

月火「ふうん。まあ、話したくないならいいけれどね。兄妹なんてものは所詮他人なのだから、自分以外は全員他人なのだから、隠しておきたい秘密があるべきなんだよ。
     そう、私と火憐ちゃんがお兄ちゃんに内緒であの事件に首を突っ込んでいるように。現在進行形で」

暦「それは詳しく話せよ!」

暦「何か筋肉の話は殆どしてねーよな。これで満足なのか、月火ちゃん」

月火「満足か不満足かでいえば不満足だけれど、十分か不十分かでいえば十分だよ、お兄ちゃん」

暦「だったら三つ目のテーマに移ろうぜ。そうだな……僕も色々話したい事はあるけれど、ここはいっちょ神頼みといくか」

月火「ほう、神頼み」

暦「僕達だけで100の話題を探し続けるのは結構な骨だ。だから第三者に話題を提供してもらおうって寸法だ」

月火「そりゃいいね。こんな深夜に私達の戯言を聞いてくれる第三者がいるのかは知らないけれど」

暦「いざとなれば火憐ちゃんでも呼んでくりゃいい。あいつはあいつで、結構お喋り好きだしな」

月火「火憐ちゃんを呼ぶと100の話題――百物語が千物語ぐらいになりそうだけど」

暦「その前にあいつはダウンするさ。それこそ火憐ちゃんはファイアーシスターズの実働担当で、月火ちゃんが参謀担当なのだから。こういう話題には月火ちゃんの方が強いだろ」

月火「ふうん、まあ、どうだろうね……それで、三つ目のテーマは何にする?」

暦「>>15なんてどうだ?」

べろちゅー

暦「べろちゅーとかどうだ。おい月火ちゃん、まさか僕とべろちゅーする前に彼氏とべろちゅーしてないよな?」

月火「どういう理屈で物事を考えたら、私が彼氏よりお兄ちゃんを優先するのが当然ってなるわけ?」

暦「ただ単に興味があるだけだよ。月火ちゃん自慢の口に舌突っ込んで、歯茎の裏とか舐め回している奴がいたらぶっ殺してやろうかと思ってな」

月火「してないしてない。本当の事言うとべろちゅーはしてない」

暦「普通のキスはしてるっていうのか」

月火「お兄ちゃんは覚えていないかもしれないけどさ、最初にべろちゅーした相手ってのは彼氏じゃなくてお兄ちゃんだし」

暦「また昔の僕がなんかやらかしたのか!?」

月火「いやもうあれは強姦みたいなものだったよ。それこそ近親相姦一歩寸前、みたいな。お兄ちゃんの童貞奪おうとしたら、未遂でべろちゅーしちゃった的な感じだよ」

暦「なんてこった……僕のファーストキスは妹だったのか」

月火「でさ、べろちゅーってどうなんだろうね。私だったら相手の口の中を舐め回すとか、それこそ好きな人相手でも若干の嫌悪感を示さずにはいられないんだけれど」

暦「それを乗り越えて実行に移せるからこそ、愛情の再確認には便利だって事だろ。フェラチオみたいなもんだよ」

月火「妹に対してフェラチオとか言うなし!」

暦「え? いや別に僕は変な意味でフェラチオって単語を使ったわけじゃないぜ。ああ、そうだ。もしかしたら僕が間違っているのかもしれないな。
   ここは月火先生にフェラチオの正しい意味を教えてもらう必要性があるとみた。相互の誤解を解く為にも、言葉の意味を再確認しておこうぜ」

月火「しないよ! 今はべろちゅーの話してるんだってば!」

月火「まあ、愛情の再確認ってのは分かったかな。嫌いな人の靴は舐められなくても、好きな人の垢なら舐め取る事が出来るみたいな、そういう事でしょ」

暦「その例えは変態的過ぎる!」

月火「べろちゅーじゃないにしても、キスだって好きな人以外とはしようとも思わないしね。それこそ仕事とか、家族が危機に瀕しているとかではない限り」

暦「じゃあ月火ちゃんは僕がべろちゅーしないと死ぬ状況になったら、そりゃもう必死にべろちゅーしてくれるのか?」

月火「そんな状況は無いと思うけれど、うん、そうかな。多分私はお兄ちゃんの為ならべろちゅーする」

暦「今の発言、後半部分だけ録音しといた」

月火「すぐ消せっていったらどうする?」

暦「いやだっていったらどうするんだ?」

月火「別にどうもしないよ。でもお兄ちゃん、私はブラコンじゃないにしてもお兄ちゃんが嫌いではないから、きっと妹の発言を録音してアレコレするお兄ちゃんを思うと幻滅するよ」

暦「……月火ちゃん、言葉の節々からそれっぽい雰囲気は出ていたけれど――月火ちゃんってブラコンだよな」

月火「はっ、違うし。死ねばいいのに」

暦「なにその反抗期!? さっきまでの月火ちゃんならもっとユーモアに溢れた返しをしてくれるはずだろ!?」

月火「中学生だからね」

暦「中学生理論を持ってくるな! ……ん、という事は、中学生だからそれらしく反抗してみただけで、本当の意思はそこにはないって事だよな。つまり、」

月火「私はお兄ちゃんが死なないですむなら、べろちゅーだってしちゃう妹だって事だよ、お兄ちゃん」

暦「それじゃあ兄妹愛を再確認出来たところで、四つ目のテーマに移るとしようぜ」

月火「じゃあ次は自動販売機の話でもしようか」

暦「脈絡無さ過ぎる! どうして近親相姦・筋肉・べろちゅーと来て自動販売機なんだ!?」

月火「っていうか今までのテーマが異常過ぎるだけで、自動販売機っていうのは極々平凡なテーマだとは思わない?」

暦「まあいいけどさ……で、何を話したいんだ?」

月火「自動販売機ってルーレット付きの奴があるでしょ」

暦「ああ、あるな。数字が揃えば当たりになって、もう一個好きな飲み物を選択出来るやつ」

月火「うん。それさ、ぶっちゃけ私は当たった事が無いんだけれど、そもそもあの機能って必要なのかな?」

暦「当たりがあるなら当たって嬉しいんだから構わないだろ。それでほんの少しでも誰かが幸いになれるなら、自動販売機冥利に尽きるってわけだ」

月火「そんな大仰な……」

暦「月火ちゃんは嬉しくないのか? 仮に当たったとして」

月火「んっとね、そもそも正確にいうと、私は当たったかどうかを確認した事もないんだよ、お兄ちゃん。だってほら、たった数秒とはいえ、缶を取ってその場で待たないといけないわけでしょ」

暦「本当に数秒だろ。それこそ缶を取った瞬間に当たり外れが決定しているだろうよ」

月火「いや、実際は缶を取った後でも回ってるんだよ。ほんの一瞬かもしれないけれど、背を向けるよりも長い時間は回っているの」

暦「ふうん。それで?」

月火「仮に当たったとして、私は当たった分の缶の処理について考える時間を強制的に与えられるよね」

暦「まあ、そうだな……。確実に当たるわけでもないし、基本的には当たらない方向で購入者は考えているからな。だからこそ嬉しいんじゃないのか? 思わぬ幸運って感じで」

月火「それが間違いなんだよ、お兄ちゃん。そもそも時間っていうのは有限なの。どんな人間にもいつかは死が訪れるし、寿命なんて言葉もある。
     当たるか外れるかも分からない数瞬をぼーっと過ごし、あげく外れたら『時間の無駄』で、当たれば『これからどうしよう』と考えさせられる」

暦「ふむ。そういう話だよな」

月火「私はね、お兄ちゃん。当たり付きの自動販売機っていうのは、むしろ時間泥棒なやつなんだと思うの。通勤途中で買って、当たったらそれこそ困るじゃん。急いでいる時とか、特に」

暦「だったら当たっても無視すりゃいいじゃねーか。時間が大切なら、そもそも当たり付き自動販売機で買い物するなって話だけれど」

月火「うん。だから実は、当たり付きの自動販売機って主要な公的交通機関……例えば、電車のホームとかには設置していないんだよ。時間、勿体無いから」

暦「マジで!?」

月火「それっぽく聞こえる事言っていただけ」

暦「でもマジで信憑性あるよな、それ」

月火「当たって無視したら損した気分になるし、当たっても外れても時間が無駄になる。どっちにしろ、当たり付き自動販売機はお金以上の何かを奪っていくんだよ」

暦「なるほどな……いや、結構そこそこに納得したよ。しかし月火ちゃん。月火ちゃんは自動販売機に対してそこまで考えていたんだな」

月火「今思いついただけだよ。別に最初から話すことを決めていた訳じゃないし、決まったテーマから雑談内容を決定しているだけだし」
 
暦「そうだったのか……兎も角、次だな。次は六個目のテーマか >>25

数学

暦「数学、だな。僕はこう見えても数学だけは得意なんだぜ、月火ちゃん」

月火「昔っから数学だけは得意なんだよね、お兄ちゃん」

暦「おい。なんか僕が数学だけしか出来ないみたじゃねーか」

月火「お兄ちゃんもそう言っていたじゃん」

暦「でも、その数学だって羽川や戦場ヶ原に勉強を見てもらってからは、どんどん点数が伸びていったんだよな」

月火「所詮、お兄ちゃんが努力して取る点数なんてその程度の事だった、というわけだね」

暦「そこまで言ってねえ!」

月火「でも何で数学? お兄ちゃんって保健体育以外は点数取れない系の人だと思ってたよ」

暦「それは火憐ちゃんだけだ」

月火「火憐ちゃんも、結構頭が良いけれど」

暦「マジで言っているのか、それは」

月火「数学が得意ではないにしろ、火憐ちゃんは努力大好き人間だからね。勉強を競技に例えれば、どんな分野だってちょちょいのちょいだよ」

暦「でもほら、流石に僕の数学には劣るんだろ? いくら僕よりも優秀な妹とはいえ、数学まで上回るなんてないよな?」

月火「うん、それは安心していいよお兄ちゃん。中学生だからね」

暦「高校生になれば追い抜けるとでもいいたげじゃねーか。全くお前達は、相変わらず僕の自慢の妹だよ」

月火「というかお兄ちゃん。数学って六つ目のテーマじゃなくて、五つ目だったね」

暦「五つ目だろうが六つ目だろうが、微妙に逸れて話をしている気がしないでもない」

月火「脱線上等。それが私達だよ、お兄ちゃん」

暦「数学、ね。勉強の話題を広げるだなんて好きじゃねーけど、しかも全く関係ねーけど、月火ちゃんは得意教科とかあるのか?」

月火「数Ⅱ・B」

暦「お前本当に中学生か? 揉んで確かめさせろよ」

月火「冗談だよお兄ちゃん。私が得意っていうと、やっぱり国語とかかな。言葉が武器みたいなものだし、歴戦の言霊使いからは多くを学ばせてもらっているよ」

暦「国語の教科書には歴戦の言霊使いとか出てこねえよ。つうか、国語が得意というのは月火ちゃんらしい」

月火「作者の気持ちとか考えるの超得意だから」

暦「本当か? 中学生理論のふざけた答えで、『締め切りが近い』とか言うんじゃないだろうな?」

月火「そんな事しないよ、お兄ちゃん。私と作者は表裏一体の関係性といっても過言ではないからね。考えるまでもなく、気持ちが脳裏に浮かぶわけだよ」

暦「お前は一体何者なんだよ!」

月火「――ま、気持ちを見抜いても正解とは限らないのが、勉強の面白い所なんだけれどね。正しい事が正しいとは限らないし、間違っている事が間違っているとは限らない。
     私が作者の気持ちを見抜いていて、それを書き記したとしても×印を書いてしまうのが先生なんだよ。なんだろうねこれ。人の気持ちを分かった風にして、点数つけているのかな? プラチナむかつく!」

暦「それただ単に間違えただけだろ」

月火「次は正真正銘六つ目のテーマだね。ここはひとつ、雑談自体について話してみない?」

暦「テーマからして既にぐだぐだになりそうじゃねえか」

月火「雑談っていうのはコミュニケーションをとる上ではとても重要な要素だよ、お兄ちゃん。どれだけ雑談ネタを持っているかで、面白い人間なのかそうでないかが分かるぐらいだもん」

暦「だがしかし、相手の好みも知っていないと駄目だろ。知識があっても知恵がなけりゃネタは活かせないぜ。
   例えばほら、月火ちゃんに近親相姦の話をするのはセーフでも、戦場ヶ原に近親相姦の話をするのはアウトだ。あいつの家、ああみえても結構複雑だから」

月火「どっちもアウトだよ!」

暦「だから相手の事を理解していなくちゃ雑談も慎重にならざるを得ないんだ。この辺はフィアーシスターズの参謀担当なら分かるだろ、月火ちゃん」

月火「何なの、その恐怖感ありそうな姉妹」

暦「失礼、噛みました」

月火「違う、わざとでしょ……」

暦「噛みまみた!」

月火「でも分からなくはないよ、お兄ちゃん。雑談は、雑談だからこそ相手を傷つける可能性があるものね」

暦「おいおい月火ちゃん、この流れをぶった切って普通に雑談に戻っているじゃねえよ」

月火「そんな事言われても、私この流れ自体を知らないし」

暦「ああ、そうだったか。じゃあまずはお前が道に迷って、僕が道を教えるついでにおっぱいを揉むところから説明しないと駄目だな」

月火「お兄ちゃん外で何やってるの?」

月火「雑談自体は少しでも気をつければ、相手を傷つける事はないだろうね。さっき言った事とは微妙に矛盾しているけれどね」

暦「そうだな。某国でクーデターが起こっていたとして、そこから逃げ出した王子が僕達の国に潜伏中とかいう話題を出しても誰も傷つかないだろう」

月火「それはそうとは限らないんじゃないかな、お兄ちゃん」

暦「いや限るよ! 某国の王子に僕はピンポイントで雑談しちゃうのか!?」

月火「そういう可能性は無きにしも有らず、だよ。掴みの雑談としては失格だね。あらゆる可能性を考慮しないといけない」

暦「某国の王子に気をつけて雑談しなきゃならねーとか、そこまで来るとどんな雑談もアウトじゃねえか」

月火「そうとは限らないよ、お兄ちゃん。そうならない為に、事前に相手の身辺調査をするんだから」

暦「え?」

月火「家族構成、両親の経歴、ペットの有無、今朝の食事から誕生日、身体測定データetc……万事に備えていれば、適切な雑談が出来るの」

暦「万事に備えるってレベルじゃないぞ、月火ちゃん。それはもうストーカーとかそういうレベルだ」

月火「まあでも、基本として相手の好きな事から聞くのは大切だよ。嫌われたくないのなら、相手の好きな話題にのってあげるのが一番だから」

暦「それは……そうだな。道理だ」

月火「だからね、お見合いの席とかでよくネタにされるけれど、『ご趣味は?』って聞くのはあながち間違いでは無いわけ」

暦「でもそれだって、おいおいそんな事も知らないのかって思われたらアウトだよな……」

月火「私だったら、そんな風に思う人とは話したくはないけれどね。コミュニケーションのスタートとして趣味を聞く事を選択しただけなんだよ。
     そんな事、を互いに認識し合う事からスタートしてより深くを知り合っていくのがコミュニケーションってやつじゃん。楽しく雑談し合う為の雑談をしましょう、ってところかな」

月火「七つ目は母の日ね」

暦「何かプレッシャーらしきものを感じるのだけれど、これは僕の気のせいなのか?」

月火「去年の5月13日にお兄ちゃんは私達との約束を忘れて、結局カーネーションを渡さなかったけれど、あれって何で?」

暦「……何かあったか? ごめん、僕馬鹿だから覚えてない」

月火「あの日を彷彿とさせる発言をして誤魔化さない」

暦「だからさ、あの時も同じ事を言ったと思うけれど、別に母の日じゃなくても母さんに感謝をする機会はあるだろ。僕は別の日に、別の形で感謝の気持ちを表そうとしていただけなんだよ」

月火「結局していないでしょ。確かにお母さんはちょっと厳しいし、お兄ちゃんがカーネーション渡したら一瞬困惑しそうだけれども――それでも家族なんだよ。お母さんは喜ぶよ」

暦「分かってるってそりゃ。僕の母さんがどれだけ家族を想っているかぐらい。でもな、実際僕はただの男子だからさ、気恥ずかしさってやつが抜け切らないんだよ」

月火「なんでかなあ。男の子って、そういう所に変なプライドみたいなの持っているよね。屁の役にも立たないプライドを誇示して何になるんだか」

暦「それは言い過ぎだ!」

月火「いなくなってから感謝しても仕方ないんだよ、お兄ちゃん。それこそこんな世の中だから、誰が、いつ、どこで死ぬかなんて分からないんだから」

暦「物騒な事言うなよ。この町の平和はお前達が守っているはずだろ。だから僕は安心して、自分の薄っぺらいプライドを殺せる日を待ち続けられるんだ」

月火「今すぐ殺せ。すぐ殺せ。そして今からお母さんを叩き起こして、カーネーションとか刺しまくればいいんだよ!」

暦「猟奇殺人じゃねーか! マザコンの究極系的猟奇殺人だろそれ!」

月火「殺したい程愛しているよ、母さんっていえば許されるよ!」

暦「殺したい程愛しているって台詞、愛情の深さは伝わるけれど、しかし現実には言ってはいけない台詞だよな……」

月火「八つ目は愛情について雑談してみる? この際だから、お兄ちゃんに愛情って奴をきちんと説明してあげるよ」

暦「そいつは有り難いな。月火先生は何でも知っているから頼りになるよ」

月火「何でもは知らないよ。お兄ちゃんの事だけ」

暦「ただのブラコンじゃねーか」

月火「……という冗談は置いておいて。殺したい程愛しているって台詞は、私は結構、それはそれで言われてみたい台詞だったりするんだよね」

暦「そんな事言われたらドン引きするだろ……」

月火「本気で言われたらそりゃドン引きするだろうね。でも、本気でそんな事をいえてしまうって凄いと思うけれど」

暦「でも本当に殺されるのは嫌なんだよな?」

月火「当然じゃん。向こうは私を誰にも触れられない所に放り出せて満足かもしれないけれど、それってつまり、私が彼に触れられる機会すらも奪われるって事だから」

暦「そうか。なあ月火ちゃん、殺したい程愛しているぜ」

月火「えーっと、警察の番号は……」

暦「おい待て、話が違うじゃねえか!」

月火「だってもうそれ、お兄ちゃんシスコンじゃん。今までの話の流れからするにシスコンじゃん。知ってる? シスコンは犯罪なんだよ」

暦「シスコンじゃねーよ! 僕はただ妹が好きなだけだ!

月火「お兄ちゃんってさ、本当に私達の事好きなの? 何か愛情表現が直接的過ぎて、私達を性欲処理の道具かなんかとしか見ていないように思うんだけれど」

暦「人聞きの悪い事言うなよ、月火ちゃん。僕は結構お前達の事を大事に思っているんだぜ。その結果、おっぱいを揉んだりしているだけだ」

月火「まず妹のおっぱいを揉むという異常状況について説明しないと駄目かな?」

暦「愛情表現の一種だろうが。今、月火ちゃんが僕の膝の上に乗っているのと同じ事だ」

月火「誰にも見えないからって適当な事言わないで」

暦「おっとすまん。月火ちゃんが乗りたいのは僕の陰茎の上だったか」

月火「お兄ちゃんの妹に対するセクハラ発言が止まらない!」

暦「中学生だからな」

月火「もう立派な大学生だよ!」

暦「妹だからこそ言えるセクハラ発言。いや愛情発言だ。愛情表現のやり方なんて人の数ほどあるもんだぜ、月火ちゃん。そのひとつを否定するなんて酷い話じゃないか」

月火「度が過ぎれば理解されない愛情表現もあるんだよ、お兄ちゃん。しかも今、セクハラ発言って言ったし」

暦「やれやれ。じゃあ僕がどれだけ月火ちゃんを愛しているのか、その胸部装甲に教えてやらんといけないみたいだな」

月火「いい、いいって! もう十分理解したから! お兄ちゃんがどれだけ変態なのかを思い出したから!」

暦「ははっ、褒めるなよ。もっとストレートな言葉で愛情表現してもいいんだぜ? 変態的なお兄ちゃんが大好きってな」

月火「なにこのお兄ちゃん! プラチナうざい!」

暦「と、そうこうしている内に既に4時じゃねえか。こんな時間まで妹とエッチな話したのは初めてだな」

月火「エッチな話なんかしてないよ!」

暦「何だと? 僕はフェラチオはエッチな単語で、それを使った会話をエッチな話なのだと認識していたのだけれども、それは月火ちゃんの中では違うって事か?」

月火「違わないけど!」

暦「じゃあ次はフェラチオの話をしようぜ。別に妹に優劣をつけるつもりは無いけれど、火憐ちゃんにはこんな話できないからな」

月火「私になら出来るって発想がおかしいとは思わなかった? 変態お兄ちゃん」

暦「その発言が既にご褒美って気付いているのか? 月火ちゃん」

月火「まあもう4時だしね。猥談をする限界時間として、九つ目の話題としてフェラチオをテーマに雑談するのも……いい、のかなあ?」

暦「いいに決まってるだろう。九つ目のテーマが決まったとして、残り九十一個ものテーマについて話さないといけないんだ。スピードアップしていかないとだれちまうぞ」

月火「えーっと……お兄ちゃんはしたことある? フェラチオ」

暦「ねえよ! あったとしても言わないし、言ったところで誰も得しねえだろうが!」

月火「なあんだ。そこまで話したがるものだから、てっきり自分の赤裸々体験を皆に話したいものかとばかり思っちゃった」

暦「赤裸々過ぎる!」

月火「じゃあ私もないし、この話題はこれでおしまいだね」

暦「……いや、そうはさせないぜ月火ちゃん。そうさせるな、という声が僕には聞こえてくる」

月火「した事ないものについて語るだなんて馬鹿馬鹿しいとは思わない、お兄ちゃん」

暦「思わねーよ。自分が経験した事以外を語るのが馬鹿馬鹿しいなら、こんな世界退屈過ぎる」

月火「何かっこつけちゃってんの」

暦「夢を――語りたくもなるさ」

月火「えっ……お兄ちゃんの夢ってそうなんだ。うん、そっか。私応援してるよ。困難なほどに愛は燃えるっていうし、頑張ってね?」

暦「何か今壮大な勘違いが発生した気がするんだが。……つうかさ、べろちゅーの時にも言ったけれど、フェラチオってようするはキスみたいなもんだろ?」

月火「そこまで言ってない気もするけれど、好きな人以外にはしたくないっていう点から見れば同じかな」

暦「月火ちゃんは僕がべろちゅーしなければ死ぬ状況の時にべろちゅーしてくれるんだよな。つまり、僕がフェラチオされないと死ぬ状況ならフェラチオしてくれるのか」

月火「一気に変態度が増した!」

暦「どうなんだよ、フェラチオちゃん」

月火「変なニックネームつけないでよ。そりゃまあさ、お兄ちゃんが死ぬっていうなら私は何でもするよ。火憐ちゃんじゃないけれど、何でもするよ。
     でもさ。例えばお兄ちゃんのいうフェラチオされないと死ぬ状況で私がフェラチオしたとして……そこに愛情を探すのは難しくない?」

暦「…………」

月火「私はお兄ちゃんが死んで欲しくないからフェラチオするのであって、お兄ちゃんが好きだからフェラチオしたとは言い切れない部分があるでしょ。
     吊り橋効果みたいなものだよ。死の恐怖か愛情のフェラチオか、実際の所が分からなくなる。だから、もし私がお兄ちゃんの事好きなら、普段からべろちゅーなりフェラチオなりする」

暦「……すげえ、言ってる事は尤もらしいのに、ただの変態の戯言にしか聞こえないぜ」

暦「じゃ。僕の妹が変態だと分かった所で、記念すべき十個目のテーマは阿良々木月火にするか」

月火「私の事について私が話すの?」

暦「付き合っては貰うけれど、基本としては僕が好き勝手に話す事になるな」

月火「ふうん。でも、お兄ちゃんってシスコンだし」

暦「シスコンじゃねーよブラコンが」

月火「ブラコンじゃないよ!」

暦「……でも、僕はシスコンじゃないにしろ、そこらへんのお兄ちゃんよりも妹の事を誇りに思っているし、愛しているんだぜ。月火ちゃんにしろ、火憐ちゃんにしろ」

月火「そうだね。妹のおっぱいを揉んだり粘膜刺激するぐらいに誇りに思っているし、愛しているんだよね」

暦「それはただの趣味だ」

月火「趣味って言った! 今この男趣味って言ったよ!? 妹のおっぱいを揉むのが趣味とか、それってもう言い訳できないぐらいに犯罪だよ!?」

暦「何言っているんだ月火ちゃん。いいか、いい機会だから教えてやる――妹だからノーカン」

月火「最低だこのお兄ちゃん!」

暦「なんだかんだといわれようが、お前は僕の妹である事に変わりはないんだぜ。これから沢山おっぱいを揉むし、キスもするし、ついでにフェラチオもしてやる」

月火「ついてないからね!?」

暦「お前が嫌だといっても、お前は一生僕の妹であり続けるんだ。これだけは世界がひっくり返ったって変わらない決定事項だ。
   嫌われても蔑まされても憎まれても僕はお前を愛してやる。それをご褒美だと笑ってやって、うざったいぐらいにお前の傍にいてやるさ。お前が阿良々木月火である限り、それは変わらない」

ここまでの百物語

1:近親相姦 >6
2:筋肉 >9
3:べろちゅー >16
4:自動販売機 >20
5:数学 >29
6:雑談 >34
7:母の日 >38
8:愛情 >41
9:フェラチオ >45
10:阿良々木月火 >48


もはや一人しか見てないけれど、次に出てくるキャラクターを指定してくれると嬉しいなって

忍「カカッ。何やら随分と楽しそうに喋っていたではないか、お前様」

暦「なんだ忍、起きていたのか」

忍「起きていたも何も、儂の活動時間は深夜帯がメインじゃ、尤も、それにしても既に陽が昇ろうとしておるがの」

暦「じゃあ今度はお前と話してみるか。僕の体力がどれだけ続くかは分からないけれど、もうちょっとぐらいは続けられそうだ」

忍「不死身の妹御はいいのか?」

暦「月火ちゃんならもう寝たから大丈夫だ。少なくとも、日曜日を怠惰に過ごす妹ではないから、数時間もすりゃ起きてくるだろうけどな」

忍「ふうむ。寝不足であろうがなかろうが、規則正しさだけは捨てんというわけか」

暦「この調子でいけば10のテーマについて雑談する間、4時間近くは拘束されるのを覚悟しないといけないぜ、忍。お前は大丈夫なのか?」

忍「忘れてくれるな、お前様。儂はこれでも、影に住まうこんな身なれど吸血鬼じゃ。太陽が空に浮かんでいようとどうであろうと、寝不足を堪えてお前様と雑談に興じるぐらいは出来る」

暦「そいつは頼もしいな。まあ、10のテーマで雑談する前に僕の体力が尽きそうだが」

忍「その時はその時じゃ。お前様の隣で儂も添い寝するとする」

忍「じゃが一体何について話す? 少々スピードアップせねば、とても百もの話を語り尽くせんぞ」

暦「よし! じゃあおっぱいの話とかしようぜ!」

忍「直球過ぎるわ。大体何か、儂に今無いものについて語れというのか?」

暦「無いって事は無いだろ。人間である以上、おっぱいは必ずくっついているもんだぜ」

忍「全盛期の頃の儂ならば兎も角、幼女化した儂に胸など無きに等しいがの」

暦「分かってねえな忍。絶壁という言葉を知らないのか?」

忍「それぐらい知っておる。凹凸のない切り立った崖という意味じゃな。転じて、儂のように乳の無い者を指す」

暦「そうだ、知ってるんじゃないか。あってもなくても需要はあるもんだぜ、おっぱいってやつは」

忍「して、お前様の特殊性癖について知り尽くした儂と胸の話をして何になる?」

暦「忍って僕から血を吸うとおっぱいがでかくなるだろ」

忍「正確にいうと、吸血鬼性を取り戻して成長するという感じじゃな。付属的に胸が大きくなるだけじゃ」

暦「……これって上手く調整すれば、小さな身体に大きなおっぱいも不可能ではないという事だよな?」

忍「理論上ではそうなるのう。余ったパワーをどこに回すのかは儂の勝手じゃ。故にそういった芸当も出来なくはない」

暦「つまり僕は金髪白人という要素において、全てのおっぱいを堪能出来る唯一の人間だということだ!」

忍「…………」

暦「おっぱいとくれば絶対領域についても話さねばなるまい」

忍「どういう理屈じゃそれは」

暦「本当は神原あたりにでもエロテーマは残しておきたい所なんだけれども、あいつはエロとなると抑えが利かなくなるからな。ここらで消化しておこうというわけだ」

忍「となると、儂とお前様との雑談テーマは猥談10割になるのか?」

暦「猥談になるかどうかは僕達次第だぜ、忍。それで一応確認しておくけれども、お前は絶対領域が何なのか理解しているか?」

忍「端的にいうと浪漫ある隙間じゃ」

暦「端的かつ的確すぎる!」

忍「して、これの良し悪しについて語るのか? 悪いがお前様、お前様は兎も角として、儂はそれほど絶対領域を好んでおるわけではない」

暦「いやさ。この絶対領域を語る上で絶対沸いて出てくる奴がいるんだよ。いわば絶対領域勢の敵ともいえる、パンチラ勢だ」

忍「ほう。確かに相反する存在ではあるな。そもそもにして、パンチラしてしまえば絶対領域が損なわれてしまう」

暦「そうだ。確かに僕はパンチラに対しても理解が無い訳ではないけれど、しかし絶対領域を堪能したい人間の傍に立ち、パンチラの良さを謳う程に空気が読めない人間ではない」

忍「はっきり言うが、お前様に絶対領域を堪能したい友人などおらんじゃろ。そもそも男子の友達おらんじゃろ。っていうか将来的に出来る予定でもあるのか、ないじゃろ」

暦「何で僕を精神攻撃してくるんだ!?」

忍「して、何か言いたい事があったのではないか?」

暦「ああ、つまりだな……」

暦「絶対領域を堪能したい人間にとってパンチラは邪道極まるし、むしろそれが見える事で不快感をも得るわけだ」

忍「では次のテーマに移るか」

暦「待てよ忍! 僕はまだこの重大なテーマについて語るべき事を山ほど残しているんだぞ!」

忍「山ほど残すでないわ。スピードアップせねば百ものテーマについて語れないと先ほど言ったばかりであろうが」

暦「分かった! 1レスだけくれ。この1レスだけをくれ。それで僕は潔く次のテーマに移る事を約束する!」

忍「ふむ。であれば存分に語るが良い」

暦「そもそも絶対領域とは何か、について話すべきがあるんだよな。いや、正確にいうならば、その絶対領域を見て何に対して興奮を覚えるかだ。

   僕は絶対領域を愛する人間ならば、単純にスカートとソックスの隙間にある太股を愛でるのが普通だと思っているけれど、中にはもう少し奥、スカートの奥にあるパンツに興奮を覚える人もいるかもしれない。
   基本的には前者だ。そして前者にとってはパンツ等穿いていようが穿いていまいが関係なく、ノーパンだと知った所で絶対領域の魅力が変動する事は無い筈なんだ。
   しかし、ここで絶対領域の魅力が変動する人間は後者――つまり、絶対領域そのものを愛する振りをして、実はパンツの有無お重要視する偽物だという事になる。
   僕は、」

忍「いや待て、待たぬかお前様。確かに儂は存分に語れといったが、儂の介入する余地無く一人で喋るのはやめい」

暦「何だよ。まだ原稿用紙換算で30枚分ぐらいは残っているんだが」

忍「そうかそうか。ではその原稿用紙を数行に要約せよ」

暦「絶対領域は最高だ!」

忍「結局それしか残らんのではないか。まあよい、あまりつまらぬ話をしても仕方があるまい。今度は儂自らが、素晴らしいテーマを提供してやろうぞ」

忍「まず儂からお前様に雑談のなんたるかを教えてやらねばなるまい。良いか、雑談とはミスドの事を言う」

暦「大体予想していたけど、マジに予想通りじゃねーか!」

忍「ミスドは素晴らしいぞ、お前様。人類最大の発明品といっても過言ではあるまい」

暦「どうせあれだろ。僕の絶対領域を馬鹿にしたくせに、お前は勝手にミスドについて一から百まで語るつもりなんだろ」

忍「まさか! お前様じゃあるまいし、分を弁える事ぐらいはする」

暦「本当か……? じゃあ試しにやってみろよ。どうせテーマは幾つも必要なんだ」

忍「まずはhttp://www.misterdonut.jp/m_menu/donut/index.htmlを見るといい」

暦「メニューだな。で?」

忍「儂はまず、このひとつひとつについて説明をしていこうと思っている」

暦「ふざけるな! 僕の絶対領域の話以上に長続きする事必須じゃねーか!」

忍「何を言うかお前様、これだけ壮観な画を見ておきながら、全てを語らず一部を語れというのか!? この鬼! 鬼畜!」

暦「お前の方が鬼だろうが! 大体お前、これ全部って全部食ったわけじゃねーだろうが! 食ってないものをどうやって語るんだよ!」

忍「お前様が買ってくればよかろう。百の話題を処理するにあたり、ここにあるドーナツをひとつずつ語るだけで大分テーマは消化されるのじゃぞ」

暦「それもうミスドスレじゃねーか!」

忍「削れぬ! 削れぬぞお前様! ミスドの話題において、儂に妥協などありえぬという事を理解しておくがよいぞ!」

忍「言っておくがのう、お前様。儂とお前様のペアリングはミスドが繋いでくれた縁故にあるのじゃぞ。それを忘れてくれるな」

暦「ミスドの影響力は僕達のペアリングにそこまで食い込んでいるのか!?」

忍「当たり前じゃ。はっきり言っておこうかの。儂はミスドが無ければ世界を滅ぼそうと思っておった」

暦「マジで!?」

忍「えらくマジじゃ。マジ過ぎて腹が減ってきたわい。どれお前様。ここらで儂にミスドを奢ってみるというのはどうかの?」

暦「奢らねえよ。奢るにしてももう少し時間が経ってからだ」

忍「では仕方あるまい。今ので世界の半分ぐらい滅ぼそうと思いかけたが、ミスドに免じて許してやろう」

暦「またミスドに世界が救われちまったのか……」

忍「まあよい。今度はミスドスレでも立てるがよいぞ、お前様。儂が存分に語ってやるが故」

暦「考えておくよ。それで、ミスドのメニューについて語らなくていいのか?」

忍「構わん。後回しにするだけじゃ。妥協するのではないぞ、ただ問題を先送りにしただけであり、儂がミスドのメニュー全てについて語るのは必然的に運命的に決まっている事柄じゃ」

暦「覚えておくよ……。じゃあ、そろそろ次の話題に入ってもいいよな?」

忍「そうじゃの。儂にとっては時間は無限でも、お前様の感覚では酷く残酷に有限じゃ。次のテーマに移ろうか」

暦「小休憩も兼ねて>>73あたりの事を語ろうぜ」

忍「うむ、よいよい、ぞ」

ロリコンについて

忍「早速ではあるが、お前様について語ろうではないか」

暦「いやよく見ろ忍。ここにはロリコンと書いてあるようにみえる」

忍「なに、こよみん?」

暦「そんな事は書いていない!」

忍「念の為に言っておくがの、お前様。現実的な話をしてしまうと、お前様以外はお前様がロリコンである事に気付いておるぞ」

暦「なんだと? 僕はロリコンでもシスコンでもマザコンでもブラコンでもないのにか?」

忍「この期に及んでシスコン疑惑まで取り去ろうとするではない」

暦「しかしまあなんだ。ロリコンたって、僕が好きな幼女とかはロリコンというには若干怪しい年頃だしな……」

忍「誰が怪しい年頃じゃ」

暦「少女の八九寺にしても、あいつはもう死んでいるんだぜ」

忍「見た目の問題であろうがよ、ロリコンとは。精神的に成熟してようが、幼い容姿のそれに劣情を抱くならば立派なロリコンじゃ」

暦「ふうん。じゃあ僕はロリコンじゃないな」

忍「日本語って知っておるか?」

暦「いや知らないけど」

忍「そうか……ならばいいんじゃが」

暦「でもさ、ロリコンにしたっておかしな話だと思わないか? どうして幼い容姿の子を溺愛するだけで、まるでそれ自体が犯罪であるかのように扱われるんだ?」

忍「知らんわ。お前様ら人間がそう決めたのであろう。小さな子を犯すのは犯罪、とな」

暦「誰が誰を愛そうが勝手じゃねーか……」

忍「そりゃ勝手じゃ。お前様が幼女に恋しようが少女に欲情しようが、童女に偏愛しようが勝手ではある。しかし、人間の法がそうはさせん。お前様は半分人間、なのじゃからな」

暦「だから人間の法に縛られなくちゃならないってことか」

忍「うむ。お前様が望むのであれば、いつでも怪異側の存在にしてしまって構わぬのじゃぞ? 半端の吸血鬼である儂であるが、故にそれは不可能ではないのじゃ」

暦「悪い。それは遠慮しておく」

忍「カカッ。であろうな」

暦「その前に法律と常識を変えるよ」

忍「ロリコンを正当化する為にやる事がでかすぎるわい!」

暦「それでも駄目だったら、僕も完全なる吸血鬼にでもなろうかな」

忍「軽っ!」

暦「冗談だよ、忍。そもそもにして、僕のロリコン疑惑だって誰かに文句を言われる筋合いはないんだぜ。吸血鬼に幽霊、式神。どれも人間のルールからは外れた存在だからな」

忍「じゃったらお前様は、もしそれらの存在が人間側のルールに適応可能だとすれば、お前様はロリコンである事を認めるのか?」

暦「いや……ロリコンじゃないよ僕は。そんな事は誰だって知っているぜ」

暦「さて15個目のテーマだ。もうぶっちゃけ、僕の体力は風邪と頭痛で残る一桁になっているだが」

忍「なんじゃ、やけに顔が気持ち悪いかと思ったら、やはり体調不良が原因じゃったのか」

暦「別に体調不良は関係無いだろ。そういう時は顔色が悪いっていうんだよ」

忍「顔が悪い」

暦「悪化している!」

忍「にしても風邪か。実をいうと儂は生まれてこの方、風邪などという症状に苦しめられた事は無いのじゃ」

暦「だろうな。俗説ではあるが、風邪の時は早く寝るに限るらしいぜ」

忍「その俗説を信じるとすれば、深夜一時から今まで徹夜しておるお前様は阿呆かロリコンなのか?」

暦「ロリコンじゃねーよ。まあ何だ。僕が風邪だって知ったら、症状を和らげる為に月火ちゃんがキスしてくれると思っただけだ」

忍「訂正しよう、シスコンじゃったか」

暦「僕はシスコンじゃない!」

忍「お前様がどうして頑なにシスコンではないと断言出来るのか、その根拠について聞いてみたい」

暦「……兎も角風邪だ。半分吸血鬼になってからは体調崩すとか無かったけれど、でも今日は最高に風邪の日なんだ」

忍「それは大変じゃ。して、風邪を治す方法というのは何があるんじゃ? 寝る、という以外に」

暦「そうだな。キスも除くとなれば数は限られる」

暦「症状にもよるが身体を暖めるのは重要だ。寒いよりは全然良い」

忍「暖房ひとつついておらんな」

暦「首にタオルを巻くのも有効だ。やはり首を暖めるだけでも全然違うからな」

忍「ノーガードじゃの」

暦「湿度も大切だぜ。乾燥は風邪にとって最大の敵といっても過言ではない。風邪で苦しんだこの一週間、それを嫌という程実感させられた」

忍「三度も呼吸すれば喉が渇いてしまいそうな程にカサカサな空気が蔓延しておるぞ」

暦「その究極系が湿らせたマスクだ。これはマジで効くぜ」

忍「マスクなんてこの部屋にないようじゃのう」

暦「で、何で僕は一週間も風邪で苦しんでいるんだ?」

忍「察するに、一番の療養法である『よく寝る』を実践しておらんからではないか。何時間もモニターの光を眺めれば目も頭も疲れて当然じゃ」

暦「いや違う。キスをしてないからだ」

忍「それこそ違うじゃろ。なんじゃお前様、別にキスをするのに面倒臭い理由など必要なかろう。儂でよければ、頼まずともしてやるというのに」

暦「マジで!?」

忍「目を輝かせていうでない、ロリコンめ」

暦「だから僕はロリコンじゃないって言っているだろうが!」

忍「巻いていくぞ。次は何について語るとするか」

暦「よし。次はスパッツの話だ」

忍「というと」

暦「スパッツの下にはパンツを穿くのか、穿かないのか……いや穿いているのか、穿いていないのか。以前神原には上手い具合に言い逃れられたんだ」

忍「穿いておるんじゃないのか。スパッツっていうのは要するにあれじゃろ、見えてもいい、見せてもいいものであって、その用途はズボンとそう変わりない」

暦「何て夢が無い答えなんだ……失望したぜ、忍」

忍「カカッ、すまんがお前様。儂はスパッツに夢を見る事などなくての」

暦「でも実際どうなんだ。気になって眠れないぜ。一般的な見解なんかはどうでもいいんだけれども、あの時神原が穿いていたのか穿いていなかったのかは重要だ」

忍「それこそ本人に聞けば良かろう。ここで予想をしていても結局は悶々とするだけじゃ。じゃったら本人に、何なら今からでも電話してみればよいではないか」

暦「しかし……僕は怖いんだ、忍。僕の夢をたった一言で神原が壊してくれそうで、僕は……怖い……」

忍「シリアス風に言うでないわ、この変態が」

暦「でも、もし穿いてないって神原が答えたら、僕はスパッツで出歩く女性を見る度にムラムラ出来るんだよな」

忍「結局は個人個人の自由じゃと思うが……まあ、お前様が脳内で何人の女子を犯そうが勝手ではあるが、の」

暦「僕を変態みたいに言うじゃねえ」

忍「心配せずともお前様は変態じゃ。この儂が保障する」

暦「そもそも変態ってのは何なんだ。ただ、僕が何かを好きだっていうだけで、どいつもこいつも僕を変態呼ばわりするよな」

忍「うむ。確かにスパッツが好きだろうが妹御が好きであろうが、一般人であればそう咎められる事ではない。少なくとも、変態呼ばわりはせんじゃろ」

暦「どうして僕だけが変態呼ばわりされるんだろうな。まるで皆、僕が特別に変態とでも言いたげじゃないか」

忍「実際そうなのじゃから仕方あるまい」

暦「あのな、忍。健全な男子であれば何に対してもエロスな感情を抱くもんなんだよ。それを変態とかいう悪意ある言葉で攻撃するのは異常だぜ」

忍「ふむ、一理ある。お前様が言わなければ」

暦「どういう意味だ、忍」

忍「お前様が変態と呼ばれる所以は多くある。道端で出会った女子小学生の胸を揉んだり、妹の胸を揉んだり、歯磨きをしたり……」

暦「ははっ。おいおい忍、それは別におかしくないだろ」

忍「今はそれがおかしいという話をしておる」

暦「道端で出会った女子小学生の胸を揉んでしまったのはスキンシップの一環だし、妹の胸を揉んだのもただの事故だ。歯磨きなんか健全的な要素しか見当たらないぜ」

忍「異常者は己が異常である事にすら気付かぬというが、まさしくお前様はそれじゃのう」

暦「僕は異常者なんかじゃないし、狂ってもいないし変態でもない。おかしいとすれば世界の方だぜ、忍」

忍「世界全てが狂っているのだとすれば、やはりそこで正常を謳うお前様は異常なのじゃろうて。そして、阿良々木ハーレムという狭い世界ではお前様こそが異常であり、」

暦「変態、とでもいいたいのか。ふうん。まあ、そう言われれば納得出来なくもないかもな。僕はロリコンでもシスコンでもないけれど、変態ではある、というわけか」

やはり俺はもう限界だ……
頭が頭痛で痛い状態だから寝るぜ
もし起きた時に残ってたらまた書くし、誰かが勝手に書いててもいいんだよ
落ちてたらまた今度書く

ここまでの百物語

第月話
1:近親相姦 >6  2:筋肉 >9
3:べろちゅー >16  4:自動販売機 >20
5:数学 >29  6:雑談 >34
7:母の日 >38  8:愛情 >41
9:フェラチオ >45  10:阿良々木月火 >48

第鬼話
11:おっぱい >55  12:絶対領域 >58
13:ミスタードーナツ >66  14:ロリコン >74
15:風邪 >75  16:スパッツ >79
17:変態 >80

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