P「ライブ、大成功でしたね。楓さん、今日はお疲れ様でした」
楓「いえ、プロデューサーのセッティングがあってこそですよ。あんなに声援を貰えるなんて未だに……」
P「はは、自信持ってくださいよ。あれだけの客が入って来たのは楓さんの実力ですから
小さい居酒屋ですいませんけど、今日は俺の奢りです。ジャンジャン飲んじゃってください」
楓「いえ、そんな…」
P「気にしないでくださいよ。どうしてもと言うなら、トップアイドルになった時に百倍にして返してくれれば」
楓「…ふふ、ありがとうございます。今に見ていてくださいね。百倍と言わず一万倍にして返してあげますから」
P「期待してますよ」
カンパーイ
楓「あ、唐揚げにレモンかけてもいいですか?」
P「どうぞどうぞ」
楓「では遠慮無く……しかし、この年になってアイドルデビューするとは思いませんでしたよ
プロデューサー、意外に強引なんだから」
P「アイドルに年齢なんて関係ないってやつですよ。これだ!って光るものを持っているかいないか、それが重要なんです
街で楓さんを見た時ビビ!っときちゃったんです」
楓「つまり私はプロデューサーのお高い目に止まれたんですね……あは、なんだかうれしい♪」
P「ささ、グイっと一発」
ほう、しえん
楓「グビグビ……プハーッ」
P「ゴクゴク……ふぅ…。楓さんのこのペースでいきますと、トップアイドルなんてきっとすぐですよ
世の中の男が放っておくわけないですもん」
楓「ふふ、プロデューサー、軽いセクハラですよ?」
P「あ、すんません。でもビールを飲んでる姿も様になりますし。
そんじょそこらの若いアイドルじゃ、この色気は出せませんって」
楓「もう、その言い方じゃ私がもうオバサンみたいじゃないですかー」コツン
P「はは、すいません……」
P(でも、その少しだけ怒った顔とオッドアイとほんのりと赤い頬が良い感じに相まって……)
P「……ゴクリ」
楓「プロデューサー?」
P「いえ、なんでもありません。ジャンジャン注文しちゃいましょう」
2時間後
P「ふー、たくさん食べましたねー」
楓「あの、やっぱり割り勘の方が……」
P「いえいえ。今日の主役は楓さんですから。ここは男に任せてくださいよ」
楓「クス…なんですか、それ」
楓「でも、頼もしい」
P(ああ……イイ)
高垣楓25歳
http://idolmaster-cinderellagirl.net/%B9%E2%B3%C0%C9%F6.html
楓(街を歩いている時に、急に手を捕まれて)
楓(デビューしてみませんか!!なんて言われた時は新手のセクハラかと思ったけど)
楓(あの有名な765プロのプロデューサーって知ったときは本当にもう……)
楓「人生何が起こるかわからないわねぇ」
P「? どうしたんです?」
楓「いいえ、なんでもありませんよ」
楓(あ、プロデューサー襟立ってる)
楓「プロデューサー、襟立ってますよ」
P「え、あ、ホントだ」イソイソ
楓「あら今度はネクタイが曲がって……もう、私が直すのでじっとしててください」
P「え、いや、大丈夫ですよ」
楓「いいからいいから」グイッ
P「うわっ」
P(顔近い……)
P(やっぱ美人だわ……)
楓「はい、できました」ポン
P「……」
楓「プロデューサー?」
P「え、あ、ああ、ありがとうございます」
楓「もう、しっかりしてくださいね? そんなんじゃ、返せるものも返せなくなっちゃいますから」
P「あはは、言いますね……それじゃ、今日の予定を説明しますよ」
楓「よろしくお願いしますね」
P(25歳はむしろアドバンテージだろ)
P「今日は、写真撮影の仕事があるので、この後すぐ車で……」
楓(その後もアイドルとしての活動は順調に進んで)
楓(プロデューサーの努力もあり、私はCランクアイドルに昇格した)
P「お疲れ様でした、楓さん。LIVEバトルも圧勝でしたね」
楓「今日は調子がすこぶるよかったんです! プロデューサーが私を上手く誘導してくれてますし」
P「そう言ってもらえると男冥利に尽きますよ……この後、店に予約を入れてあるんで、一杯やりません?」
楓「あら、それでは喜んで」
P「じゃ、いきますか……ってあれ?」 携帯<ピロロロピロロロロ
P「ハイ…ハイ……」
楓(なんだかプロデューサーの機嫌が少し悪く…?)
P「……はい、わかりました」 携帯<プツ
楓「どうしたんです?」
P「実は、予約を入れた店で少し問題があったみたいで……」
楓「あら」
P「すみません、結構いい雰囲気のところだったんですけど」
楓「仕方ないですね。何事にもトラブルはつきものですもの」
楓「アイドル活動をしていく中で、イヤと言うほど学びましたわ」クス
P「楓さん……」
楓「アソコ、いきません?」
P「え?」
楓「前に行った居酒屋です」
P・楓「「それじゃ、乾杯!」」
楓「グキュグキュ……ハァー…」
P「いい飲みっぷりですねぇ」
楓「ええ、あんなに清々しい勝利は初めてですもの」
P「俺も、あんな表情の楓さんは初めて見ましたよ」
P(あ、口の端にビールの泡がついてる)
楓「あは、それ、どういう意味です?」
P「意外と子供っぽい顔も見せるんだなーって」
楓「褒め言葉として受け取っておきますね」
店員「こちらがキャベツと肉の盛り合わせセットとなりまーす」
楓(あ、注文きた)
楓(キャベツ…肉…)
楓(キャベツといえば……この前スーパーで虫が付いてるキャベツを見たわね……)
楓「……きゃー、別のにしてー」ボソッ
P・店員「え?」
楓「な、なんでもないです!」コホン
楓(迂闊)
P「それにしても、ここまであっと言う間でしたねぇ」
楓「プロデューサー、何だか年寄りくさいですよ?」
P「いやいや、ホントに。やっぱり俺の目に狂いはなかったようで、嬉しいですよ」
楓「うふふ、私をここまで導いてきた敏腕プロデューサーがそう言うなら、絶対そうなんでしょうね」
P「伊達にたくさんの女の子たちを見てきたわけじゃありませんから」
楓「プロデューサー、ちょっとおやじ臭くてエッチです」
P「ありゃ、すいません」
楓「まったくもう……」
P(…なんだか楓さんの機嫌が悪い……?)
楓(もう……こういう時だけ鈍いんだから…)
楓(友達以上恋人未満)
楓(学生時代のことを今になって思い出すとはねぇ…)ハァ
楓(……って、本当にオバサンみたいじゃないの)
P「ちょっとアンニュイな楓さんも可愛い」
楓(プロデューサーは私のことをよく見てくれている)
楓(私もプロデューサーのことをよく見ている)
楓(仕事の時のまじめな顔も)
楓(休憩中の、ちょっと抜けてる顔も)
楓(広い、後ろ姿も)
楓(…恋に年齢は関係ないと言うけれど)
楓「これは強敵だわ」チラッ
P「?」
楓(Cランクになってからは、今までのようにはいかなくなってきた)
楓(他の事務所の強敵が増えてきた)
楓(私たちの関係も、前進したりゆっくりしたり)
楓(止まることがないだけいいのかもしれないけれど)
楓(もどかしい、だけどどこか心地良い)
楓(そんな関係を、私たちは続けていた)
楓「――あの子が、移籍してくるまでは」
支援
だれだ!?
P「社長、急な話題に呼び出したりしてなんです? 楓さんも一緒にだなんて」
楓「ええ、気になります」
楓(嫌な予感がするのよね…)
楓(嫌な予感がするけれど、どうしようかん……?)
楓「いや、これは駄目ね」ボソッ
P・社長「?」
強請り続けた甲斐があったで、支援
社長「オホン、実はだねぇ、」
莉嘉「おっはよーございます!! 573プロから移籍してきた城ヶ崎莉嘉です☆」
莉嘉「お姉ちゃんにいろんな経験を積むよう言われて! やってきましたーっ」
莉嘉「JCだけどヤル気は十分☆ やるからには、絶対に負けないよ!」
社長「……というわけだ。実は向こうとトレードを行ってな」
社長「こちらからは、菲菲君が向こうに行っている」
P・楓「はぁ……」
P(元気な子だな)ボーゼン
楓(これが若さか…)クッ
ふぇいふぇいwww
莉嘉がくるとはおもわんかったわー、いいね支援
社長「そこでだ、プロデューサー君。君に、彼女のプロデュースをお願いしたい」
莉嘉「よろしくね☆」
楓(!!)
P「え! いや、菲菲の担当はどうしたんです?」
楓「そうですよ。それにプロデューサーは私の担当ですっ」
社長「いやぁ、それがだね。どうやら彼、古いキャベツを食べて体調を崩して入院し」
社長「そこからズルズルと体を壊し、暫く療養することになったんだ」
P「はぁ……」
楓「キャベツ……」
のろいがwwww
社長「なぁに、今までも複数のアイドルたちを同時にプロデュースして、Aランクにまで育て上げたことはあっただろう?」
P「はあ、まぁ、確かにそうですが」
社長「君なら出来ると信じているよ。彼女もやる気は十二分にある」
莉嘉「うんうん! 一緒にがんばろ、プロデューサー」
楓「……」
P「……」
P「わかりました……やりましょう」
楓(!)
ちょっと次からもしもしで書く
莉嘉は「Pくん」って言うらしいぜ?無粋な突込みを許してくれ
なに、次からしれっと変更しとけばなんくるない
いや、親愛が上がったら「くん」づけになるのか??
さるの野郎か!
>>52
いくらなんでも初対面の目上の人相手に君付けはないかなーって思った
ガチで無粋だったしにたい、支援
莉嘉「ヤッター!!」ピョンピョン
社長「君ならそう言ってくれると思っていたよ」
P「ただし、彼女が少しでも怠けたらすぐに辞めますからね」
P「幼いからといって容赦はしませんよ?」
莉嘉「それはこっちの台詞だからね☆ 手を抜いたらすぐ他の人に変えてもらうんだから!」
楓(……)
社長「それじゃ、改めて」
莉嘉「うん、よろしくねっ☆ プロデューサー君♪」
プロデューサー「ああ、よろし……君?」
莉嘉「えへへ、そっちの方が親近感でるでしょ。これから一緒に仕事やってくんだもん」
P「はぁ……ま、いいけどな」
楓(出来れば、断って欲しかった……けど)
楓「……ふふ、元気な子。私は高垣楓、これからよろしくね?」
莉嘉「あ、この前テレビで見た人! 私、CD持ってるよ!」
楓「あら」
莉嘉「リカね、楓さんに憧れてアイドルを目指そうと思ったんだー☆」
楓「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
社長「おいおい城ヶ崎君……君がアイドルデビューしたのは高垣君が有名になる前だろう?」
莉嘉「あ、バレたー?」
P「オイオイ」
莉嘉「でもね、CD持ってるのはホントだよ? リカもお姉ちゃんも凄いって思ってるのも」
社長「――さて、それじゃあ、これからのことについて、少し話し合おうか」
しえん
楓(礼儀をあまり知らないみたいだけど、良い子みたい)
楓(レッスンも本番も、凄く一生懸命)
楓(学校のこともあるだろうに、必死にプロデューサーの指示に応えてる)
楓「私が12歳の時はどうだったかしらね……」ボソッ
莉嘉「ん? なーにー? あ、ピョッキー食べる?」
楓「ええ、いただくわ。ありがとう、莉嘉ちゃん」ナデナデ
莉嘉「ムー、あまり子供扱いしないでよー」
楓「普段からJCJCって連呼してるのはどこの誰?」クスリ
莉嘉「ムムム……」
P(楓さんまじまじ)
P「――おはよう、二人とも」
楓「あ、おはようございますプロデューサー」
莉嘉「ねーねー聞いてよプロデューサーくん! 楓さんがリカのこと子供扱いするんだよーっ」
楓「ほら。そういうところが、ね?」
P「楓さんまじカワイイ」
楓「え?」
莉嘉「えっ?」
P「いやなんでもない。それより今日の仕事内容は、二人一緒に写真撮影をすることになっているが」
莉嘉「ウン、よく寝たからコンディションバッチリだよー☆ 楓さんは化粧は大丈夫?」
楓「それは、どういう意味……?」
P(怒ってる楓さんもカワイイ)
これはいいな、支援
楓(そんなこんなで日付は過ぎて、莉嘉にとっては初めてのLIVEバトルの日)
楓(今回は私は参加せず、正真正銘莉嘉の単独ライブだ)
楓(少し緊張しているみたいけど、大丈夫かしら?)
莉嘉「プロデューサーくん、楓さん、リカの頑張る姿、よく見ててね☆」
P「ああ、でも無理はするなよ?」
莉嘉「大丈夫大丈夫、今のリカに不可能はない☆」
楓(緊張を上手く隠して、莉嘉はライブに出て行った……)
楓(……そして……)
P「……」
楓「……」
莉嘉「……」
莉嘉「ごめんなさい……プロデューサー……」
莉嘉「ごめん、なさい…………!!」ポロポロ
楓(――結果から言うと、莉嘉は、負けた)
しえんだ
莉嘉と楓の組み合わせおもろいな、絵も含めて始めてみる
楓(バトルの相手は、前川みく)
楓(突飛なリアクションと少しエッチな衣装で観客の気を引くアイドル)
楓(プロデューサーも鼻を伸ばしていたわ……)ギリ
楓(……敗因は、緊張)
楓(途中までは堅実にやっていたけれど、歌詞の一部を間違えた)
楓(そこを意識してしまったせいで、ダンスにも乱れが出た)
楓(私も初めてのライブは大変だったけれど……)
莉嘉「うっ…う゛っ…………」
莉嘉「う゛ええ゛えええェェん!!!!!!!!!」
楓(やはり彼女はまだ幼い……)
P「莉嘉……」ギュ
莉嘉「ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!ごめんなさいぃ!!!!」プルプル
楓(プロデューサーは莉嘉を優しく抱き締め、頭を撫でている)
楓(莉嘉は涙でプロデューサーのスーツの胸元を濡らし、とても強い力で抱きついているみたい)
楓(プロデューサーはどうするのかしら……)
P「……」チラ
楓「……」コク
楓(プロデューサーの目配せに従い、部屋を出た)
――!!
……ッ
!!!!!
楓(ドアの向こうから、くぐもった莉嘉の泣き声が聞こえてくる)
楓(莉嘉……)
楓(……プロデューサー…)
P「……莉嘉」
莉嘉「……………うん」
P「少しだけ、話をしようか」
莉嘉「……リカの、ダメ出し?」
P「そんなんじゃないよ。そんなのはいつだって出来る」
P「今からするのは、俺が昔担当した娘の話だよ――」
楓(そして翌日)
楓(莉嘉は、大丈夫かしら?)
楓「おはようございます、プロデューサー」
P「おはようございます、楓さん」
楓「あの、昨日のことは……」
P「……きっと、大丈夫だと思います」
P「……彼女の、トップを目指す気持ちが本物であれば」
楓「プロデュー
莉嘉「おっはよー!! 今日も1日ガンバロー☆」
P「ほら、ね?」
楓「そう…ですね」クス
楓(伊達にたくさんの女の子を見て来たわけではないと)
楓(あれ、自分で言っててスゴイムカついた)ギリリリッ
P(何故か楓さんがかつてないほど恐い)
莉嘉「?」キョトン
莉嘉「リカね、まだまだ頑張れるんだー☆ プロデューサーくんとの約束、絶対守るからね!」
P「おお、その意気だぞ」
P「というわけで、後でトレーナーと一緒に昨日の反省会な」
莉嘉「はーい……」ショボーン
楓(約束ってなんだろう)
楓「それではプロデューサー、私はレッスンに」
P「ええ、よろしくお願いします」
楓(何をしたのかはわからないけど、何にせよ莉嘉が立ち直って良かったわ……)
楓(――そう、思っていたんだけれど)
楓(あれはオフの日のこと)
楓(事務仕事をしているプロデューサーと、机で学校の教科書を広げている莉嘉と、三人分のコーヒーをいれている私)
楓(プロデューサーは完全なブラック、私は角砂糖二つ、莉嘉はミルクと砂糖ダバダバ)
楓(こういうところが、子供っぽいのに)クス
楓「プロデューサー、はい、コーヒーです」
P「お、ありがとうございます」
莉嘉「アリガト☆」
楓「偉いわね、莉嘉ちゃん。休憩中にまで勉強して」
莉嘉「アハ、ここにちょうどいい人がいるからねー☆」
P「?」
莉嘉「ねーねープロデューサーくん☆ ちょっと勉強おしえてよー♪」
P「おお、いいぞ。教科は?」ズズ
莉嘉「ほ・け・ん・た・い・く♪ 詳しい実践解説つきでね☆」
P「ングフッ!?」
楓「!?」ガタッ
P「おま、何言ってるかわかってんの!?」ゲホゲホ
莉嘉「えーわかんないから聞いてんジャーン♪」
P「お前なぁ……あ、ヤベ染みになりそう」
楓「プロデューサー、ハンカチ」
P「ありがとう、楓さん……いいか莉嘉、そういうことはな、同じ女性の楓さんにだな」
楓(えっ、何そのキラーパス)
莉嘉「えー、だってこういうのって男子の方が詳しそうだしぃ」
楓(まあ確かに)
莉嘉「プロデューサーくんだってチャンスじゃん」
P「……一応聞くが、何がだ」
莉嘉「JCのカラダ、好き勝手にできるんだゾ☆」
莉嘉「ねえねえプロデューサーくん……莉嘉に詳しくオ・シ・エ・テ♪」
P「」
P「」
楓(プロデューサー……)ワキツネリ
P「あいたっ!?」
莉嘉「?」
楓(プロデューサー…)チラ
P(すんません楓さん)
P「いいか莉嘉……そういうことは軽々しくやるもんじゃないんだ」
P「一生に残ることだ、軽々しく捨てていいもんじゃない。そういうことは、結婚したいくらい大事な人とやりなさい」
楓(プロデューサーちょっと下品)
莉嘉「だからプロデューサーくんに言ったのに……」ボソッ
P「というかお前、わかってて言ってるだろ」
莉嘉「なんのことやら~」・3・~♪
P「まったく……」
楓(まったく……)
楓(こんな感じのことが毎日のように)
楓(暴走する莉嘉、放心するプロデューサー、宥める私)
楓(まあでも流石はプロなだけあって、仕事にはメリハリをつけてやっている)
楓(あのライブの後、莉嘉が得た物は大きかったみたいね)
楓(今では莉嘉がCランクアイドル、私は上位Bランクアイドル)
楓(プロデューサーと私の仲は、相変わらず進んだり止まったり)
楓(莉嘉とプロデューサーの仲は爆進したり戻ったりだ)
楓(そんなこんなでなんだかんだで上手くやってきていた私たちだけど)
楓「――また、厄介な子がやってきた」
P「社長、今日の用事はなんですか? 楓さんと莉嘉も連れてだなんて」
楓(なんだか……)
莉嘉(嫌な予感が……)
社長「うむ、それがだな――」
輿水幸子「ここが噂の765プロですか? 思っていたより狭いけど」
幸子「ま、いいでしょう。その方がボクの存在が引き立つというもの」
幸子「ボクがここを変えてやりますよ♪」
P(うわぁ)
莉嘉(なんだか)
楓(また)
P・楓・莉嘉(強烈なのが……)
P「ちょっと、社長」グイ
社長「な、なんだね君」
P「話の流れは読めてるんですが、彼女を俺にプロデュースしろと?」ヒソヒソ
社長「なんだ君、理解が早いじゃないか。その通りだ」ヒソヒソ
P「無理ですって! 俺は今あの二人をプロデュースしてるんです!!」ヒソヒソ
社長「いやしかし、あの子はかなり光るものがある!」ヒソヒソ
P「だったら他のプロデューサーがいるでしょうが!律子とか!!」ヒソヒソ
社長「無理だ!彼女にあんな面倒な子の相手が出来るか!」ヒソヒソ
P「それが本音か貴様ー!」ヒソヒソ
幸子「~♪」フンフフーン♪
楓(足を組んでご機嫌そうに鼻歌を歌ってる)
楓(社長になんて言われたんだろう?)
莉嘉「ふーん……?」ジー
楓(莉嘉は、じっとこの子を見つめている)
楓(自分と年の近そうな新しい仕事仲間に興味津々といったところ?)
楓(津々……しんしん……)
楓(思い付きそうで思い付かなかった……)
幸子(なんでこの人は微妙に残念そうな顔をしてるのかな?)
P「――わかりました、彼女は俺が引き受けましょう」
社長「ハッハッハ、わかってくれると思ってたよ」
楓(話の流れからして、彼女をプロデューサーが引き受けることになったようね)
楓(なにやら揉めてたけど、上手くまとまったみたい)
莉嘉(……なんでプロデューサーくんの微妙に膨らんだ胸ポケットから諭吉さんがはみ出てるの?)
社長「さて、話はわかるかと思うが、彼女もまたプロデューサー君が担当することになったトップアイドルの卵」
幸子「輿水幸子です♪ 頑張ってボクのカワイさを証明してくださいね、プロデューサーさん♪」
P「ああ、よろしくな幸子」
莉嘉「リカは城ヶ崎莉嘉☆ ヨロシクね、幸子ちゃん!」
楓「私は高垣楓……よろしくね」
楓(上手く行くといいけど)
楓(さて、この輿水幸子ちゃん)
楓(あんな言動をするだけあって、そこそこ出来る子の様子)
楓(特技がスゴイということはないけど安定している)
楓(でも……)
P「今日の仕事は……CM撮影だな。莉嘉と幸子と、同じお菓子のCMからオファーが来ている」
P「楓さんはCDの収録ですね」
莉嘉「ホント!? お菓子いっぱい食べられる?」
P「それは莉嘉の頑張り次第だな。向こうの支持にちゃんと従ってくれよ?」
幸子「ま、失敗してもいいですけどね? その方がボクの魅力が引き立ちますし」
莉嘉「な……ッ」カッチーン
楓(こういう子なの……)ハァ
楓(私は竜宮小町と一緒にスタジオへ向かい、莉嘉と幸子はプロデューサーの車で相手方の会社へ)
楓(かなり不安だけど……)
楓(そこはプロデューサーの豊富な経験でどうにかしてもらおう)
莉嘉「うう……」ズーン
幸子「ふんふーん♪」
楓(帰ってきたら、事務所の空気がなんだかおかしい)
楓「どうしたんです? プロデューサー」
P「ああ、それが莉嘉が何回かNG出しちゃって……その後に幸子が一発OKを出したんだ」
楓「ああ……出掛ける前に輿水さんが言ってた通りに、と」
P「そうなるな……」
P(プロデュースすると言った手前、途中で投げ出すなんて出来ない)
楓(だけどこのままじゃみんなに悪影響が……)
P・楓(なにか、きっかけが……)
三日後、社長室
P「三人にユニットを組ませる?」
社長「ああ、と言っても一時的なものだが。今度のTVに、普段とは違った娘たちを組ませてLIVEバトルをさせる企画があるんだ」
社長「例えば伊織君と真君と美希君のユニットVSあずさ君とやよい君と千早君、と言った具合にな」
社長「高垣君と城ヶ崎君と輿水君なら、たまにコンビを組ませることはあるが普段はそれぞれソロ活動をしている」
社長「やってみる価値はあるかもしれん」
P「いやいや、うちの娘らはそれどころじゃないですよ。特に幸子」
P「確かにあの子はカワイいんですが、少し自惚れている」
P「協調性がない今、ユニットなんて組める状況じゃないです」
社長「私も彼女らの不仲は知っている。だが何もしないわけにはいかん」
社長「一時的にでもユニットを組ませることで、輿水君に協調性を持たせるんだ」
P(ふむ……)
P「……わかりました」
社長「おお、やってくれるか」
P「しかし、本人たちの同意があれば、ですよ」
社長「わかってるさ、無理強いはせん」
P「ということだが……」
莉嘉「イヤイヤ!!絶っっっ対ヤダ!!!!!!」
楓「面白そうではありますけどね」
幸子「ボクはどっちでも。どうせ私の引き立て役です」
P「賛成1反対1保留1か」
P「なぁ莉嘉……そんなに嫌か……?」
莉嘉「……ウン」
P「どうしても?」
莉嘉「…………ウン」
P「うーん……」
莉嘉「……ご褒美」ボソッ
P「え?」
莉嘉「終わった後にご褒美くれたら、いいよ?」
P「わかった……俺に出来ることなら何でも」
莉嘉「じゃ……やる……」
楓(何をねだるのかしら)
楓(というわけで私たちで組むことになったけど)
莉嘉「幸子ちゃん前出過ぎ! そんなに目立ちたい?」
幸子「そっちがワンテンポ遅れてるからです。ボクの足を引っ張らないで」
楓「前途多難、ね……」
P「うーん……」
P「それぞれ魅力となる部分はあるのに、こうも上手く噛み合わないとは」
楓「プロデューサーがあの時欲望に負けるから……」
P「うぅ……」
楓「なーんて、冗談です。やるからにはやれるところまでやる」
楓「それが私たちのプロデューサー、でしょう?」
P「楓さん……」
楓(そして迎えた本番当日)
楓(前に出過ぎる幸子を私と莉嘉でサポートをすることで、どうにか形にはなった)
楓(LIVEにぼろ負けすることはなかったけど、結果もあまり思わしくない)
楓(プロデューサー……)
莉嘉「ムムム……」ギギギ
幸子「ふんふーん♪」
楓「相変わらず、険悪な空気ね……」
P「――おはよう、みんな」
莉嘉「おはよう、プロデューサーくん!」
幸子「おはよう、プロデューサーさん」
楓「おはようございます、プロデューサー」
P「早速だけど、これを見て欲しいんだ」っDVD
楓「これは、あの企画の?」
P「ああ、少し前回の反省回をな」
幸子「なんですか、それならもう十分やりました。ボクはもう十二分によくわかってます」
P「それでも、いくらか思うところはあるんだろ?」
P「ま、とりあえず見てようか」
DVD鑑賞
楓(やっぱり、ぎこちないわね……)
莉嘉「プロデューサーくん……?」
P「それじゃあ、つぎはこれだ」
楓(プロデューサーは、次に紙の束を取り出した)
楓(mixiにTwitterにYahoo!に765プロ公式HPの掲示板など……)
楓(色んなコミュニティサイトの書き込みを印刷したみたい……内容は)
幸子「!!!」
『輿水幸子でしゃばりすぎwwwwww』
『なんでセンターあの子なの、普通高垣楓がやるだろ』
『そこまで能力無いのにゴリ押し過ぎる』
『仕方ない、アイドルは仕事選べないし』
『誰の考えなんだろうね?』
『やっちまったな』
P「幸子、お前はわかってるかもしれない」
P「だけど、こういう声も世間には多い」
P「いくらお前がカワイくたって、魅せ方を間違えたら駄目なんだよ」
幸子「……嘘ウソうそ…」
楓「輿水さん…」
幸子「こんなの、デタラメです!!心無い人たちの落書きです!!!」
幸子「こんなのなんの意味も無い!!!」
幸子「ボクは悪くない!ボクは――」
莉嘉「いい加減にして!」バシンッ!!
幸子「あっ……」
莉嘉「確かに、そういうのも混ざってるかもしれない!!」
莉嘉「でも、ウチの掲示板にもこういう書き込みがあるんだよ!?」
莉嘉「そうやっていつまで自分を誤魔化すつもり!?」
莉嘉「そんな中途半端な気持ちでアイドルやってるなら、今すぐ帰ってよ………」
幸子「あ、あ…あ……」
P「さて……すまないが、莉嘉と楓さんは暫く席を外してくれないか?」
莉嘉「うん……プロデューサーくん……後、お願いね……」
楓「プロデューサー……」
バタン
P「幸子……少し、話をしよう」
幸子「ボク…………クビになるんですか?」
P「それはこれからの幸子次第だな」
P「今からする話は、そんなんじゃない」
莉嘉「プロデューサーくん…幸子ちゃん……」
莉嘉「大丈夫かな……」
楓(莉嘉の怒りは本物だった……けど、幸子を心底嫌いなわけではないよう)
楓(何だかんだ言って、年齢の近い仕事仲間だものね……優しい子)
楓「そうねぇ……莉嘉は、プロデューサーを信じられる?」
莉嘉「プロデューサーくんはいつだって正しいよ」
楓「なら、信じましょう」
楓「以前、莉嘉を立ち直らせたみたいに」
楓「プロデューサーならやってくれるはずよ」
楓「――ね?」
莉嘉「うん……」
楓(それから一週間……幸子は、あれから事務所へ来ない)
楓(莉嘉もどこかソワソワと落ち着かない)
楓(プロデューサーは何も言わず、でも時々どこかへ行ってしまう)
P「……」
楓(今日のプロデューサーは、朝の挨拶をしてから腕を組んだままじっとしている)
楓(まるで、何かを待っているような――)
「……おはよう、ございます」
莉嘉「!」ガタッ
楓「!」
P「ああ、おはよう……幸子」
幸子「……」モジモジ
楓(幸子は、何やら私と蘭子の顔を交互に伺っている)
莉嘉「……なに? 黙ってたら、わからないよ?」
幸子「今まで…………………ごめんなさいっ!!!!!」
楓・莉嘉「!!?!」
楓(ど、土下座……)
楓(お嬢様学校の制服を着た、気品溢れる彼女の土下座……!!!)
幸子「ボク一人がカワイイだけじゃダメなんだって……」
幸子「ボクは、何もわかってなかった……アイドルのこと……」
幸子「反省しました……これからはもっとみんなと協力する……!」
幸子「だから、もう一度だけボクにチャンスを下さい……!」
楓「輿水さん……」
莉嘉「……顔、上げて」
幸子「……」スッ
莉嘉「てい」ペチ
幸子「……」
莉嘉「一回だけじゃ、すぐに無くなっちゃうね」
幸子「え……?」
楓「失敗は何度だって弁解できる……そうですよね、プロデューサー?」
P「ああ、当たり前だ」
幸子「え…つまり……え?…え?」
莉嘉「ああもう!」グイ
幸子「うわっ!」
莉嘉「改めて、これからよろしくね! 幸子ちゃん!」
幸子「……!」
幸子「うん!」
楓(さて、その後と言うもの)
楓(幸子は……)
莉嘉「ねえねえ、昨日の戦車男の再放送見た? アタシ寝過ごしちゃって……」
幸子「ああ、それならボクのお父さんが録画してたみたいですから。今度持ってきてあげましょうか?」
幸子「ま、ボクは興味ないから見てませんけど」
莉嘉「ホント!? アリガトー幸子ちゃんアイシテるー☆」ダキッワシャワシャッ
幸子「うわっ、髪型が崩れるっ」
楓(……莉嘉とも、そこそこ上手くやってるよう)
楓「そして私は、晴れてAランクアイドルになったわ」
楓「莉嘉はBランク成り立て、幸子はCランク上位と言ったところ」
楓「二人ともメキメキと実力を付けて、油断してると抜かれそう」
楓「しかも幸子は……」
P「幸子、近い近い」
幸子「なに言ってるんです? 折角こんなにカワイイボクが密着してるんだからもっと嬉しそうにするべきです!」
P「楓さんくらい綺麗になったらな」
幸子「――!」キッ
楓「プロデューサー、幸子が可愛いからって私をからかう材料にするのはやめてください」
P「はは、すいません」
P(本音なんだけどなぁ)
幸子「ふんだっ」ギュー
P「痛い痛い」
楓(根本的な性格は変わってないけど)
楓(プロデューサーに大アタック)
楓(これが若さか……)
楓(そして私がAランクになった影響か、怒涛の勢いで事務所に新人が来て)
楓(その新人がどの子も一癖二癖あって)
楓(そして、プロデューサーの元へ回されてくる)
楓(例えば――)
きらり「Pちゃんオッスオッス☆今日も元気にきらりん☆パワー!」ドゴッギュウウ
P「ちょ、ま、きらり首、首」
きらり「聞こえないぞー! もっと大きな声でハピハピギュンギュン☆きらりん☆パワー!!」
P「ちょ……ま…ふ…」
楓「きらり、プロデューサー死んじゃうから」
蘭子「闇に飲まれよ!(お疲れ様です、プロデューサー)」
P「お疲れ蘭子。帰りにメシ食ってくか?」
蘭子「! 血意の晩餐への誘い……正気か?(うわぁ、行きます行きます!)」
P「それじゃあ蘭子、今日はお疲れ様。タクシー家まで送っていくから、着くまで眠ってていいぞ」
蘭子「うむ……よきに…計らえ……(わかりました…)」ギュ
P「おいおい、あまり抱きつくなって。人の目があるんだから」
蘭子「プロデューサーの腕…あったかい……(史上の安らぎ……)」
P「蘭子、逆だ」
楓「解せぬ」
杏「プロデューサー、私、働くと死ぬ病気に掛かった……」
P「そうか……折角の印税が葬式代に……」
杏「ちょ、そこは『じゃあ俺が養ってやるよ(キリッ』ぐらい言うところでしょ」
P「世の中そんなに甘くない」
杏「誰か私を甘やかせー……」ベター
P「だから背中に引っ付くな」
楓「それ以上は、プロデューサーの邪魔になるから」
杏「ちぇー……」
楓(こんな感じで、私とプロデューサーの仲が進展する隙もない)
楓(プロデューサー……)
P「あ、楓さん。久しぶりに二人っきりで飲みにいきませんか?」
楓「――え?」
P「ああいえ、忙しかったら無理にとは……」
楓「いえいえ、行きますとも……あの小さな居酒屋に」
P「え、あそこでいいんです?」
楓「いいえ、あそこがいいんです」クス
P「では、楓さんのAランク昇格祝いと」
楓「プロデューサーさんの頑張りに」
P・楓「カンパーイ!」カチャーン!
楓「グビグビ…ゴキュ……ぷはぁー」
P(楓さんのこの飲みっぷりも久しぶりだな)
楓「もう、遅いですよ?プロデューサー」
P「え?」
楓「昇格祝い」
楓「いつになったらしてくれるのか、そわそわしてました」
P「あはは……すいません」
楓「もう」ゴキュゴキュ…
P(拗ねる楓さんマジ女神)
楓「それで、プロデューサー」
楓「なにか悩んでます?」
P「え?」
楓「今の子たちの中じゃ、私が一番長いつき合いなんですよ?」
楓「ずっと、見てきたんです」
楓「わからないわけ、ないじゃないですか」
P「はは、お見通しでしたか」
P(楓さんマジゴッデス)
P「実は……」
楓「コクッ」
P「……」
楓「……」
P「……わからないんです、みんなの気持ちにどう答えればいいのか」
楓「…え?」
P「気付いたのは、最近なんです……みんなの愛情に」
P「あれだけやられれば……いくら鈍くても気づきます」
楓(自覚、あったんだ)
P「今まで通りに接していいのか……」
P「傷付けてしまわないか……」
P「どうにも、わからなくて」
P「こんな中途半端な態度でプロデュースなんて、とてもとても……」
楓「プロデューサー……」
P「こんなこと言えるの、楓さんしかいませんからね」
楓(プロデューサー……)
楓(……って、ちょっと待てよ?)
楓(それつまり私の気持ちには気付いてないってことじゃない……?)
楓(プロデューサー……)フツフツ
楓「ええ、プロデューサー……いい方法がありますよ?」
P「本当ですか!?」
楓「ええ――飛びっきりのが」
P「それは、どういう――!?」
チュッ
P「」
楓「プーロデューサー♪」チュッ
P「か、かかかかかかか」
楓「あはは、プロデューサー、顔、真っ赤です」
P「かか楓さん!?」
楓「――決して、決して、酔っ払ってやったわけじゃないですよ」
楓「プロデューサー、これが私の気持ちです」チュッ
P「」
楓(杏ちゃん風に言うなら「ついカッとなってやった」ってところかしら)
楓「プロデューサーがいつまでも独身だから、そうなるんです」
楓「プロデューサーに相手が出来れば、あの子たちだって落ち着きます」
楓「だから、プロデューサー」
楓「――私と、結婚しましょう?」
P「 ∵」
P「∵ 」
P「∵」
P「」
楓「ねぇ、プロデューサー」
楓「 今 夜 は 寝 か せ ま せ ん よ 」
…
……
………
……………
………………
パーフェクトコミュニケーション!!!!!
『高垣楓が電撃結婚!!相手は事務所のプロデューサー!?』
『……ええ、結婚の話を持ちかけたのは私からです。けど、二人の出会いは向こうからですよ?……』
『……こう、情熱的に手をとって、「デビューしませんか!! 俺にあなたをプロデュースさせてください!!」って(笑)……』
『……今思えば、あの頃から惚れていたのかもしれませんね(笑)……』
『……そう言ってはにかみながら手を見せる彼女の薬指には、銀色の指輪が輝いていた……』
杏「……なにこれぇ」
P(俺が呆然としている間に、式の形式などささっと彼女が決めてしまった)
P(なんと、海外の教会で結婚式をすることになった)
P(しかもタキシードやウェディングドレスだけでちょっと信じられない額)
P(さらにさらに驚きなのは、それらの代金を全て楓さんが払ってしまったことだ)
P(勿論、俺も払おうとしたが……)
楓「だから、言ったじゃないですか」
楓「一万倍にして返すって」
P「…ははっ……適わない、なぁ」
楓「でも、これでも返し切れてません」
P「……え?」
楓「だって、今も、たくさん、貰ってますから」
楓「これを倍にして、十倍にして、百倍にして、千倍にして、万倍にしてたら」
楓「払い終わる頃には、私、足腰の立たないおばあちゃんです」
楓「だから、私から取り立てる為に」
楓「ずっと、側にいて下さいね」
楓「――あなた」
杏「おしまい」
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