やよい「うあああ!!!」 (82)

やよい「うっー!うぁーー!うっうぁーー!」

P「あの事故から今日で一年か...」

やよい「うあー...」

小鳥「ふふっ、やよいちゃん今日は元気ね?」

やよい「あー...うっあー...」

P「ははは...小鳥さんが来たこと、わかってるみたいですね」

小鳥「よくなった、方なのよね」

P「ええ...」

一年前、やよいは自動車事故にあった。夜中のひき逃げだった。
病院に運ばれた時やよいは意識不明、医者からは諦めるように言われた。
しかしやよいは奇跡的に命を取り留めた。
命だけは。

やよい「うっうーうーぁー」

小鳥「...今日、やっとみんなに会えるのね」

P「ええ...」

やよいは一年間、皆から隔離されていた。
他のアイドル達にはリハビリ中だと伝え続けてきたが、それも限界になった。

伊織「もう限界よ!やよいに会わせなさい!」

一年間、最もうるさかったのは伊織だった。

小鳥「大丈夫、でしょうか...会わせて...」

P「...」

正直、わからない。
この状態のやよいを、会わせていいのだろうか。

P「...」

リハビリと治療を続け、初めは喋ることも歩くことも食べることもできなかったやよいは、徐々に回復をしていった。
歩けるようになり、食べることもできた。
ただ、

やよい「もやし...うっ...もやしですーあーぅー」

P「ははは、もやしは分かるんだな...やよい、長介はわかるか?」

やよい「あー!うあー」

脳に後遺症が残った。

事故から六ヶ月後

P「...」

伊織「やよいは、どうなの」

P「もう、歩けるようになった」

伊織「それは先月も聞いたわ?もう事故から半年たってるのよ?いい加減会わせて!」

P「すまん...伊織...すまん。もう少しだけ、待っててくれ」

春香「プロデューサーさん、今日私一人でも大丈夫です。やよいちゃんの所に行ってあげてください」

P「ああ...ありがとう、春香」

やよいの状態は、皆には黙っていた。

皆から、やよいの所に行ってあげて、と言われ続けた。
皆は、もちろん善意で言ってる。
でも、病院に着けば、一向に後遺症が治らないやよいがいる。
耐えられるわけがなかった。

P「...」

小鳥「プロデューサーさん、辛いなら、言ってください...」

律子「やよいちゃんは...どうなんですか...」

P「小鳥さん...律子、もう、俺は...」

小鳥「社長!」

俺一人でやよいのケアを背負うのは無理だと、正直に伝えた。

高木「そうだね...このことを君一人に任せっぱなしだった私も悪い。律子くんと小鳥くんにも、この話は伝えた方がいいだろう」

P「すみません...」

高木「君が悪いんじゃない...」

P「...」



律子「プロデューサー、今日からは私がついてますよ」

小鳥「任せっきりで、ごめんなさい」

P「ありがとう...」

小鳥さんと律子と病院に行った時、二人は、どうしたらいいのか分からない顔をしていた。

小鳥「やよいちゃん...」

律子「やよい...」

やよい「うぇあーあーうっうー」



律子「プロデューサー...今まで何もしなくて、すみませんでした。これからは、三人で全力でサポートしましょう」

P「ありがとう...やっぱり律子は強いな...ありがとう...」

医者「事故から八ヶ月が経ちます。命に別条はありませんが、一部...」

記憶の欠落、記憶障害、言語障害...
俺たちを覚えていない。覚えたことが頭に残らない。人並みに喋れない、文字の認識が...
医者は淡々と事実を語った。

P「...」

小鳥「大丈夫です、やよいちゃんは私たちを覚えてますよ」

P「そうだな...」

律子「そうですよ...」

そして、一年がたった今。

P「よし、じゃあ今日もレッスンに...」

伊織「◯◯病院」

P「!?」

伊織「やよいのいる病院。それくらい調べたわ。私が今日まで会いに行かなかったのは、あんたを信用してたからよ」

P「...」

伊織「でも...もう限界よ!やよいに会わせなさい!」

伊織は伊織なりに、我慢してきた。
病院名までは調べ上げ、我慢してきた。

P「伊織...」

伊織「お願い...会わせて、やよいに」

P「...」

伊織「なによ...どうせ、またダメでしょ...?」

P「どんな状況でも...やよいは、765プロのメンバーだ」

何を言ってるんだ、俺は。

当たり前だった台詞。そして、
当たり前に、なってほしかった台詞。

伊織「わかってるわ...わかってるわよ...」

メンバーに戻れないことなど、皆感じていた。
それで、黙り続けている。

P「みんなに...会わせるよ、やよいを」

伊織「本当?本当なの?」

期待より、不安な声。

P「今までやよいを皆に会わせなかったのは、ショックによる影響です」

小鳥「...」

P「やよいを見て、ショックを受けて、仕事に影響が出ることを恐れていました」

律子「優しいんですね、プロデューサーは」

小鳥「でも...もう、隠せない」

律子「みんな、こんな状況だってことは、薄々わかってますよ」

P「ああ...」

車椅子で病院を出る。
座る女の子は、初めて外を知るお姫様のように目を輝かせ、喜んでいた。

P「さぁ、やよい。みんなが待ってるぞ」

やよい「うあーー!うー!」

会社のワゴン車を見て一瞬だけやよいの動きが止まったが、すぐに元どおりになった。
そう、事故のことは忘れている。
忘れてほしくないことも、忘れてしまっている。

律子「ええ、はい。今から戻ります。...やよいと、一緒に。...では、社長」ピッ

P「やよい、着いたぞ」

やよい「うあああーーー」

765プロ。
みんなの待つ、事務所。

今のやよいに、事務所が記憶にあるだろうか。
事務所を見て、何か思い出すだろうか。

P「何か、思い出すか?」

ほんの少しだけ、映画みたいなことを期待してた。

やよい「うぎぎ、うぁぁうあー」

皆に会って、記憶を取り戻す。そんな展開を...

階段を、やよいを抱いて登る。
やよいは元から軽かったが、一年間リハビリ以外で身体を動かさなかったせいか、もっと軽かった。

P「ほら、この階段、掃除する人がいなくなってホコリだらけだよ...」

765プロのドア。

P「やよい、もう一人で立てるよな?」

右足を金属のギプスで支えられつつも、やよいはドアの前に立った。
右足はもう、かつてのように動かない。

P「ほら、あの頃みたいにおはようございます!って言ってさ...ドア開けてくれよ」

事務所の沈黙。

765プロ所属のアイドル達は、皆無言でやよいを見つめていた。
伊織を除いて。

伊織「...ほら、やよい。伊織よ。やよい...」

車椅子に座ったやよいは、不思議な顔で伊織を見ていた。

伊織「大丈夫よ。私がそばにいればすぐに...元気になって...みんなで...またみんなでライブ...を...」

雪歩が静かに泣き出したのをきっかけに、アイドル達は次々と泣き始めた。

しえん
>>1は今書いてるのか??

そのままのやよいの喋り方なのか池沼っぽい喋り方なのか

>>38
書き溜めです

>>39
一応あうあうあー状態と思ってくれれば

やよいがこんな状態であることは薄々知っていたが、実際に見ると辛い。
全員そんな気持ちだった。

伊織「ねぇ、あんたやよいのプロデューサーなんでしょ。はやくよくしてよ...ねぇ...」

P「...」

伊織「なによ...なんなのよ!ねぇ!やよいを!やよいを返してよ...ねぇ...」

律子「伊織...」

俺はみんなに話した。
今のやよいの状態を。正直に。

P「黙ってて、ごめんな」

春香「やよいちゃん、私たちのこと覚えてないんですか?」

P「そう、らしい」

台風の日のコンサートも、年末のコンサートも。

伊織「ねぇ!?いつ治るの!!あんた、やよいを歩けるようにして、食べれるようにもしたのに!いつ治るの!治せるんでしょう!?」

P「伊織...やよいは...」

伊織「またステージに立てるって...言ってよ...」



律子「治せないわ...もう」

伊織「...え?...」

P「律子」

言いたくなかった。

律子「どうせあなたのことだから、また俺に任せておけとか、言うんでしょう?」

P「...」

律子、ありがとう。その通りだ。また抱え込むところだった。

律子「聞いての通り、やよいはこれ以上良くならないわ」

伊織「なら...」

伊織「ならなんで生きてるのよ!」

P「伊織!」

伊織「思い出も全部忘れて!何も覚えられなくて!ダンスも歌も、何もできない...なら!なんであの日あのまま殺さなかったの!」

P「...」

俺だって、そう考えたことはある。

律子「伊織!そんな言い方はないでしょう!」

伊織「やよいだって辛いはずよ!」

やよいも辛い。
きっとそうだ。

やよいが望んだのではない。
こうまでして生きたいと、やよいは望んでいたのだろうか?
望んだのは誰だろうか?

伊織「やよい...私よ...伊織よ...」

やよい「うっうーうっうー」

こんなままなら死にたいと、やよいは考えたいんじゃないだろうか。
でも今のやよいは、答えない。答えることができない。

伊織「何か言ってよ、やよい...」

やよい「うっうーあー、うおー」

そう思うと、生きることはやよいにとって地獄であるような気がしてきた。

伊織「へへ、笑ったわ。やよい。やっぱり私のこと、わかるんじゃない...」

やよいはただ、無邪気に笑っていた。

小鳥「やよいちゃんは、幸せなんでしょうか」

P「俺に、答えて欲しいんですか?希望を聞きたいんですか?」

小鳥「...」

P「俺としては、幸せだと思います。皆に囲まれたやよいは、いつもより笑顔だったんじゃないかって」

小鳥「やよいちゃんは、どうだったんでしょう。生きたいとも死にたいとも考えられない人を生かし続けるのは、誰の幸せなんでしょうか?」

P「...それは、俺にもわかりません」

小鳥「ごめんなさい。こんなこと、聞くことじゃなかったですね...」

時間は流れ続ける。
やよいの時間は、止まったままで。

世間では、765プロの高槻やよいなど一年の間忘れられていた。
消えてしまったアイドル達は、世間からはあっという間に消える。
そう考えると、今俺がプロデュースしていることも無駄なんじゃないかって思う時もある。
でも、俺は彼女たちを輝かせる。
少しでも、誰かの記憶に残すために。



おわり

終わりです。

やよいにしたのはなんとなくです。

悪気はありません。

こっからどう救うんだよ...

なんでPが世話しないといけないんだよ
ふざけんな

>>60
一応リハビリとか治療は病院側がやっててくれて、あうあうあー状態だってのはPしか知らなかったっていう設定で

いつもはアイドルレイプしたりプロデューサーが犯されたりするSS書いてます
やよいがうっうーって言ってたのでなんとなく書きました
お疲れ様でした

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