美希が事務所そばの高校に受かって三ヶ月。
つまり、私と美希が一緒に暮らし始めて三ヶ月。
私たちは、それなりにうまく生活ができている……と思う。
家族はともかく他人と一緒に暮らすなんて始めてで、正直緊張したけれど、いざ始めてみたら美希の様々な面を知ることが出来たように思う。
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まず実は料理がうまい。見た目も綺麗で味も良く、栄養バランスもいい……多分。
私は詳しくは知らないけど、一応栄養士の資格を持ってる律子が絶賛してたからすごいのは間違いないとはない。
あの子は美的感覚もあるしバランス感覚もいい。美希の作った料理は、初見では絵のような印象を与える。
美希は掃除もうまい。
本人が言うには「散らかってたらねる時邪魔なのー」とのことらしい。
それでも、美希が来てからは私の家が散らかったことはない。
私が放置した本も、気づいたら本棚に戻っていたりする。
いつの間にか、私のクローゼットに美希の服が。
美希のクローゼットに私の服が入っていることが多くなった。
もともと私が来ているのは男性用のSサイズのものだし。
スタイルは彼女の方がいいけど、私は彼女より背が高いから美希の服でもぴったり合う。
この前街を二人で歩いていたら美希が「二人でお出かけ? お姉さんと一緒でいいわねー」とおばさんに話かけられていた。
どうも、姉妹と間違えられたらしい。着る服が似ているからしょうがないのかもしれない。
美希が嫌でなければいいけど。
美希が住むことになり、私は引越しをした。
もともと出演した番組の資料などで部屋が圧迫されていて、私一人住むのにも窮屈になっていたのが原因だ。
美希と一緒に住むことが決まっていたので、広めの部屋を探した。
その結果、お風呂も少し大きい部屋になったわけだけれど……
「千早さーん? 入るよー?」
入浴のたびに、一緒に入ることになってしまった。
以前美希と一緒に春香も泊めたことがあったけれど、私の家の浴槽は、三人で入ってちょうどいいくらいの大きさだ。
二人でも十分ゆっくりできる。
だからなのか、もともと人懐っこいからなのか。
美希はいつも私と一緒にお風呂に入るようになった。
「千早さんはスレンダーでいいなー」
入浴のたびに美希からこう言われるけど、私は美希のほうが羨ましい。
「あそこのスーパーの肉の日、この前から月水木に変わったよ?」
「えー!? そうだったんですかー!?」
最近高槻さんと美希が仲がいい。
話題はスーパーの特売日の話や、お互いのオリジナル料理のレシピなどが主だ。
春香や律子は「最近美希変わったねー」なんて言っている。
それはそうだ。美希は「千早さんは美希のために引越しまでしてくれたんだもん」といって家事のほとんど全てを引き受けてくれている。
量は違えどやっている仕事は高槻さんとほぼ変わらない。
けれど最近は、私も美希に習って美希が仕事で遅くなる日はせめて夕飯だけでも作るようにしている。
早く美希と家事を分担できるくらいになりたいと思う。
「千早さーん。起きてー。今日は朝からテストでしょー?」
朝。カーテンから差し込む日差しと美希の甘い声で目が覚める。
大好きな後輩の作った朝ごはんを食べて一日が始まる。
「今日は千早さんの好きなハヤシライス作ってるね。アハッ、千早さんって意外と味覚は子供だよねー」
「はいはい。出来るだけ早く帰ってくるから」
冗談を交わしながら、好きな人に見送られて一日が始まる。
この今という瞬間を、私は大事にしたいと強く思う。
美希「千早さんは意外とだらしなかった」千早「美紀は意外としっかりものだった」 Fin.
美希「追憶のサンドグラス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385099319/) こっちで千早が不遇だったのとちはみきをこじらせたので書いてみた
実は家事万能な美希もギャップ萌え聞いててありだと思います
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