まどか「魔法少女でばとるろわいやる♪」(115)

ルール ①ソウルジェムが濁りきったら負け
     ②ひとりにつきグリーフシードをひとつ所持
     ③最後のひとりになったら勝ち


魔法少女バトルロワイヤル、開始――

さやか「どこだろここ……」ギィ

さやか「あ、いつものショッピングモールじゃん。ラッキーっ」

さやか「だれもいないな……」コソコソ

さやか「えーと、イチバン気をつけなきゃいけないのはほむらだよね。時間停められるし」

さやか「と、とりあえずお手洗い」

さやか「はっ!」ヒラメキ

さやか「個室で隠れとけばほむらにもバレないんじゃない!?」ドヤァ

さやか「ちょっとここで隠れとこう……」

さやか「………」Zzz





ほむら「はじまったわね……」ゴソ

ほむら「まずは状況の確認をしましょう」

ほむら「ここは……、路地裏? あたりにひとの気配なし。所持している火器は、うん、夜戦並ね」

ほむら「停止できる時間……も、夜のときと同じくらいか。厳しいわね」

ほむら「さやかはともかく、杏子やマミ相手だと周到な準備が必要になるわね」

ほむら「ひとまずこれを携行していればいいかしら」ガシャコン

ほむら「さてと。魔法少女の気配は、……やっぱり無いわね」

ほむら「………」ホム...

ほむら「よし。最適な戦場へ移動しましょう」コソコソ

杏子「あー……」ムクリ

杏子「うあー」ネムイ

杏子「もうちょっとだけぇー」

杏子「むにゃむにゃ……」





マミ「私は、ここよ!」ドン!

マミ「………」ヒュウー

マミ「誰もいない公園で啖呵切ってもしかたないわね」

マミ「――この町の平和を守るため!」クルッ

マミ「魔法少女マミ、ただいま参上!」ティロッ

マミ「………」ヒュウー

マミ「さぁーって! みんなと戦えるなんて嬉しいわ! もうなにもこわくない!」

マミ「それにしても、みんなどこにいるのかしら……」

マミ「というか魔女の気配なんてしないのだけれど」

マミ「とりあえずみんなと合流しましょう」

マミ「………」

マミ「えっ……私だけ違う集合場所を教えられたとかじゃないわよね……?」

マミ「………」ジワ

マミ「えーん! 鹿目さん! 美樹さん! 暁美さん! 佐倉さあああん!」ダッ





まどか「はじまったね♪」

杏子「んむにゅ……」ムクリ

杏子「ねむい……」ゴシゴシ

杏子「ってどこかと思ったらここさやかの部屋じゃねーか!」

杏子「ちょ、ま、待てよ、ってことはアタシずっとさやかのベッドでねねねね寝てたのか!?」

杏子「も、もうちょっとだけ寝てようかな……」ボフン





さやか「」ゾク

さやか「なんか寒いな……。パンツ穿こう」

さやか「よーし! さやかちゃん、始動しちゃいますよーっ!」ガバァ

さやか「ってかなんでこんなところで寝てたんだっけ?」ハテナ

さやか「ま、いっか! あ、忘れてた! へんしんへんしんっ」ヘンシーン

さやか「バトルロワイヤルだもんね! 油断大敵!」

さやか「……このメンツであたし不利すぎじゃない……?」ドヨン

さやか「と、とにかく、しゅっぱつしんこーっ!」





マミ「うええん、鹿目さあん、美樹さあん、暁美さあん、佐倉さあん。どこにいるのおおお」トボトボ

マミ「テレパシーもケータイも通じないしぃ……」

マミ「さみしいよぅ……」グスグス

QB「安心していいよマミ」

マミ「キュゥべえ!」

QB「やあマミ。君がなにか根本的に誤解しているようだから解説に来てあげたよ」

マミ「ありがとうキュゥべえ! 誰もいないから寂しかったわ!」ダキッ

QB「ちょ、ちょっとマミ。だから君は誤解してるんだってば」キュププ





杏子「さて。いざ行かん」キリッ

杏子「さやかああああ待ってろよおおおおおお!」ガシャーン

杏子「さやかはぶっ潰しちゃえばいいんだし」テクテク

杏子「マミにはまぁ負けねーだろ」

杏子「ほむらもタネがわかってりゃ対策できる」

杏子「問題はまどかだよなぁ。アタシあいつのことほとんど知らないし」

杏子「たしか武器は弓矢だったよな……」

杏子「弓矢、弓矢ねぇ……」

杏子「アタシだったら、高いところから……」

杏子「!!」

ゴガアアアアアア!

杏子「あぶねえええええ」





まどか「あれっ外しちゃった?」

ほむら「………」コソコソ





マミ「……魔法少女のみんなと殺し合い!? そ、そんな!」

QB「君たちはいつもそうだ。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

マミ「こんなの絶対おかしいよ……」

QB「それ君のセリフじゃないからね」


マミ「そんな……そんな……」

QB「!」

QB「マミ! 魔法少女が近づいてきてる! この魔力パターンは……」

QB「さやかだ!」

さやか「あれー? マミさんじゃないですかーっ」トタタ

マミ「……合いを……ったら、」

さやか「え?」

マミ「みんな死ぬしかないじゃない!」ガチャッ

さやか「ちょちょちょマミさんっ!?」

マミ「貴女も、私も!」ダダダダダダ

さやか「わひゃああっ!」

マミ「避けた!?」

さやか「ま、待ってくださいよマミさん! あたし、マミさんの仲間になりにきたんですって!」

マミ「仲間……?」

さやか「そうです!」

さやか「いっちゃなんですけど、あたし、このメンツのなかじゃ最弱じゃないですか。それで、頼れる先輩と仲間になろうって……」

マミ「頼れる、先輩……」

さやか「そうそう! よっ! 百人力!」

マミ「それ、いいわね!」マミッ

マミ「魔法少女コンビ結成よ!」

さやか「やったー!」

ほむら「………」ゴソゴソ





杏子「あっちの方向、展望台か!」バッ

杏子「まずお前から潰してやるよ、まどか!」

杏子「!」

ズガアアアアアア!

杏子「ちくしょう、丸見えだと狙い撃ちじゃねえか……!」

杏子「隠れながら行くしかねえか」





まどか「杏子ちゃんが見えなくなっちゃった」

ゴガガガガガ...

ほむら「この音、まどかね。誰かが標的になってくれたようで助かったわ」

ほむら「もう少しで罠が完成する……」ゴソゴソ

ほむら「!」

ほむら「この空気の読めてない登場のタイミング……あのどちらかね」ホムゥ

さやか「なんとなくこっちにほむらがいる気がします、マミさん!」

マミ「そうかしら……」

ほむら「……両方だなんて」ガクリ

ほむら「というか、なぜ二人がいっしょに行動しているのかしら」コソコソ

ほむら「さやかが同盟を持ちかけたとか、おおかたそこらへんでしょうけど」

ほむら「ということはまどかに狙われているのは佐倉杏子ね」

ほむら「ご愁傷様だわ」ホムン

ほむら「さて、こちらを確実に狩らなければならないわね……」





マミ「ね、ねぇ美樹さん。こんな廃ビルに暁美さんはいないと思うわ」

さやか「まーあたしもあてずっぽうなんですけどねー」

さやか「なんとなくわかっちゃうんですよ。あいつがここにいるなって」

バシュッ

マミ「ボウガン!?」バリアー

さやか「……ほら、ね?」ガクガク


さやか「し、しぬかとおもった……」

マミ「しっかりして美樹さん。これ単純な仕掛けよ。光が遮られて影ができると発射される仕組みね」

さやか「なんすかそれ……魔法少女の戦い方じゃないですよ」

マミ「たしかにそうだけれど……」

マミ「これが暁美さんの領分なのよね。どうも私たちは暁美さんの罠にはまってしまったようだわ」

マミ「この……"クロガネの宮廷"に!」ティロッ

さやか「えっ、あ、はい」

マミ「さぁ行きましょう美樹さん! お出迎えしてくれた相手に会わないで返るのは失礼だわ!」

ガコン

マミ「……防火扉も閉まったことだし!」

さやか「ほむら本気すぎるでしょぉっ!」

まどか「えいえいっ」

ゴガアアアアアアア!

ズゴオオオオオン!

まどか「みんな壊れちゃうから、杏子ちゃんに当たってるかわかんないなぁ」





杏子(死ぬ、死ぬ!)ハァハァ

杏子「な……なんだよあれ、でたらめすぎんだろ」ヒョコ

杏子「あんなに遠くから撃ってるのにこの攻撃範囲と破壊力って……」

杏子「くそっ、まっすぐは進ませてくれねえか……」コソコソ

杏子「なんとか半分くらいまで進んだな……」フウ

杏子「建物がさっぱり障壁にならねえ」

杏子「まどかから見えないかわりにアタシからも攻撃が確認できねえしな」

杏子「つーかあんなのバカスカ撃って魔力切れないのかよあいつ……バケモンだな」

ズガアアアアアア!

杏子「くそっ、近づいてきやがった!」

杏子「もしかしてあんだけ離れてんのに魔力を感知できるっていうのか……?」

杏子「逃げるか……」

杏子「いや、足元までたどりつければ攻撃できないはずだ。展望台が崩れちまうからな……」

杏子「よし、ぎりぎりまで近づいて突っ込む!」

ドガガガガガガ!

マミ「そこっ!」

さやか「うわあああああ」

マミ「同じ手は食わないわ!」

さやか「わひゃああああ」

マミ「甘い!」

さやか「ぎょえええええ」

マミ「美樹さん、だいじょうぶ?」

さやか「はぁっはぁっ、だ、はぁっ、だいじょうぶれすっ」

マミ「もうかなり登ったわ。きっと暁美さん、いいえ、"機巧の王"は屋上にいるはずよ」

さやか「き、きこ……? はぁはぁ、な、なんでわかるんですか?」

マミ「そういうものだからよ!」マミェ...

ほむら「さすがは巴マミ、といったところね……」

ほむら「でも貴女の行動は読み易すぎるのよ」

ほむら「陥れさせてもらうわ、巴マミ」





マミ「屋上に着いたわ!」

マミ「幾多の罠を掻い潜り、仲間との胸躍る協力を経て、この"忘却と暴虐の螺旋"を今! 攻略したわ!」マミッ

マミ「さぁ、決着をつけましょうか! "機械仕掛けの神"!」ティロッ

マミ「………」ヒュウー

マミ「誰もいないっ!?」

ほむら「さようなら、巴マミ」ポチットナ

ドカァン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「瓦礫とともに、眠りなさい」ファサ





マミ「廃ビルが崩れていく……!」

マミ「謀ったわね! 暁美さん!」マミン





ほむら「貴女との戦い、楽しかったわ」クルッ

マミ「でもね……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ





ほむら「!?」

さやか「りゃあああああああああっ!」ビュウッ

ほむら「美樹さやか……!」





マミ「私は一人ではないのよ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ドガアアアアアア!

ゴアアアアアアア!

杏子「激しくなってきてる……」ハァハァ

杏子「やっぱり焦ってるんだな、よし、いい調子だ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ...

杏子「!?」

杏子「ビルが……崩れていきやがる……」

杏子「魔法の発生は感知できなかった、マミじゃねえな――ほむらか」

杏子「おいおいもう誰かリタイアしてんじゃねーだろうな……」

ズガアアアアアア!

杏子「あとちょっとだ……慎重にいけよアタシ……」コソコソ

杏子「やっとここまで来た……!」

杏子「あとは一直線に、行く!」ダッ

杏子「撃てるもんなら撃ってみやがれ!」





まどか「もうっ、杏子ちゃんったら。手加減くらいできるよ?」キリキリキリ

まどか「クラスのみんなには、内緒だよっ♪」バシュッ





ドッ

杏子「嘘……だろ……」

さやか「やあああああっ!」ビュビュン

ほむら「美樹さやか……! 巴マミを囮にしたのね」スイスイ

さやか「あんたを倒す! そのための作戦だっ!」ブンッ

ほむら「まったくもって愚かね、美樹さやか」カチッ

ほむら「さやかとの戦闘ならこっちね」ガチャ

ほむら「さぁ――息絶えなさい」カチッ

さやか「!?」

ほむら「こっちよ」パシュパシュ

さやか「がッ! うあ!」

さやか「ほむら……あんた……」ドクドク

ほむら「今すぐ殺してあげるわ――美樹さやか……!」

まどか「ふうっ。まずは杏子ちゃんおしまいっと!」

まどか「……?」





杏子「必殺! ロッソ・ファンタズマ!」





まどか「杏子ちゃんが、二人? もしかして、これが杏子ちゃんの固有魔法?」

まどか「………」

まどか「えへへっ、楽しくなってきたなって!」

杏子「あぶねえっ、なにもしないままリタイアするところだった!」

杏子「このまま突入するぞ!」

杏子「「おらああああああああ!」」

ガシャーン





まどか「はぁう! 杏子ちゃんに進入されちゃったよ!」

まどか「床を抜いて撃つわけにもいかないし、困ったなぁ」マドマド

まどか「……お菓子食べて待ってよう」

マミ「――ティロ・フィナーレ!」

ほむら「まさかっ!」バッ

ドゴオオオオオン!

マミ「着地!」スタッ

マミ「美樹さん! だいじょうぶ!?」

さやか「ええなんとか……」パァァァ

ほむら「私の計画が……失敗したというのかしら」

マミ「そういうことよ」

マミ「私の願いは命を繋げること! そして美樹さんは癒しの祈りを遂げた!」

さやか「その二人が組めば、向かうところ敵ナシってわけよ!」ドヤァ

マミ「ちょ、ちょっと美樹さんそれ私のセリフよ……」

さやか「あ、すいません」

ほむら「ふふ……ふふふ……」

マミ「負けを認めなさい暁美さん。二対一で勝ち目は無いわ」

さやか「そうだぞ! あんたの弱点もわかってるんだからね!」

マミ「えっ」

さやか「えっ」

ほむら「ふふふ……面白いことを言うわね美樹さやか」ジャコッ

ほむら「それじゃあその弱点とやらを突いて、私に勝ってみなさい!」ガガガガガガガガガ!

マミ「美樹さん!」

さやか「だいじょうぶですマミさん! いけます!」

ほむら「どちらから蜂の巣にしようかしら?」ガガガガガガガガ!

まどか「酢こんぶ美味しいなぁ」モッチャモッチャ

杏子「おらぁっ頂上だあっ!」ダン!

まどか「あ、杏子ちゃんいらっしゃーい」モッチャモッチャ

杏子「まどか! ……なにやってる?」

まどか「お菓子食べてる」

杏子「あ、あぁ、そっか」ナットク

杏子「……じゃねえよ! なんでのんきにお菓子なんか食ってんだ!」

まどか「だって杏子ちゃんが登ってくるのを待ってるの退屈だったから」スクッ

杏子「……へへ、アタシも舐められたもんだな……!」

杏子「ここまで近づきゃあんたのその爆撃みたいな弓矢だってたいした脅威じゃねーんだ!」

杏子「あんたを倒して、アタシが勝つ!」

まどか「そっか。がんばってね♪」ヒュヒュン

杏子「こんな言葉を知ってるか!?」バッ

杏子「あたらなければどうということは無い!」

ドガアアアアアアアア!

ゴガガガガガガガ!

杏子「終わりだよ!」ビュッ

まどか「と、見せかけてこっちなんだよね」クルッ

杏子「!?」

まどか「幻影の魔法だね。よくできてると思うな」ヒュッ

杏子「くそぉっ!?」

ズガアアアアアアッ!

杏子「うぐあああああっ!」ゴロゴロゴロ

杏子「ぐぅっ、くそっ……!」

杏子(かすっただけでこの威力かよ! ありえねー!)

まどか「もうおしまいかな? 杏子ちゃん」ニコニコ

杏子「ざっけんなぁ……っ!」ババッ

杏子「「「「「「ロッソ・ファンタズマ!」」」」」」

杏子「「「「「「喰らいやがれ!」」」」」」ゴオッ

まどか「6人かぁすごいね!」スッ ヒュッ

ゴガアアアアアアンッ!

杏子(こいつ、全方向見えてんのか!?)

まどか「幻影の魔力パターンがわかれば、位置も動きも見なくたってわかるよ」スッスッ

杏子「まだまだ……!」ババッ

杏子『13人のアタシ! いくら把握できたって、これは捌き切れねーだろ!』

杏子『幻影に呑まれてくたばれ!』ドッ

まどか「うん、そうだね」ギュウッ

まどか「それじゃ、減らそっか♪」ヒュヒュヒュンッ

杏子(矢を束ねて――!?)

ドゴゴゴガガガガガガッ!

杏子(だけどこれでアタシの有利な距離まで入った!)ブンッ

杏子「判断を間違ったな! まどか!」

まどか「え?」

ガキィン!

カチ

さやか「おりゃああああああ」

ほむら「そこ、地雷よ。美樹さやか」

さやか「うそっ」バチンッ!

マミ「美樹さんこっちよ!」シュルンパシ

さやか「ありがとマミさん!」ヒュウンッ

ほむら「墜ちなさい」ガガガガガガガガガ!

さやか「こっちだよ!」ダッ

カチ

ほむら「どこを見ているのかしら」ファサ

さやか(にゃろー、だいたい掴めてきたのにな……)

さやか(ほむらは時間停止しているあいだ、攻撃したりできない、はず!)

さやか(なんでかわかんないけど!)

さやか(とにかく、だから、攻撃するには時間停止を解除しなくちゃいけなくて、えっと、なんだっけ?)

さやか「ここだああああああ!」

カチ

ほむら「さっきから突進ばかり。馬鹿の一つ覚えね」パシュパシュ

さやか「うわっととと!」ゴロゴロゴロ

マミ「ティロ・フィナーレ!」ドガアアアアン!

ほむら「いいかげん鬱陶しいわよ。巴マミ」

マミ(さすがね暁美さん……)

マミ(美樹さんをあしらいながら私への警戒もゆるめない。むしろ積極的に狙ってくる)

マミ(経験も豊富、武器の選択肢も多い、しかも時間停止まで使える)

マミ(弱点なんてほんとにあるのかしら……)

さやか「うわああああああ!」ダダッ

ほむら「いい加減に、」カチ

ほむら「しなさい!」ガガガガガガガガガ!

マミ「あぶない!」シュルッ

マミ(美樹さんはくじけてない! 私も負けてられないわね)

ほむら「巴マミ……ッ!」ギロ

マミ「あら、呼んだかしら」

マミ(暁美さん怖い……)

ほむら「もうわかったでしょう。貴女たち二人がかりでも私には勝てないわ」ガガガガガガガガガ

マミ「リボンよ!」シュバ

ほむら「私が対策してないとでも思っているのかしら!」ダンッ

さやか「あたしもいるんだよ!」ダンッ

ほむら「貴女には、」カチ

ほむら「その爆弾がお似合いね」スタッ

さやか「うわあああああ!」ズバッ

マミ「チェック」ガチャ

ほむら「無駄なことを、――! 足にリボンが!?」

ほむら「瓦礫に隠してリボンを這わせて……」

マミ「ティロ・フィナーレ」

ほむら「……!」

ドゴオオオオオオ!

さやか「やったか!?」スタッ

マミ「美樹さんそれ言っちゃだめ」

さやか「えっ!?」

ほむら「――甘いわね巴マミ……!」スタスタ

さやか「そんな!」

マミ「だからいったでしょう!」

さやか「えー!?」

カチ

ほむら「踊りなさい」ガガガガガガガガガガガ!

さやか「ひいいいいいい」

マミ「くっ……!」

マミ(魔力を使いすぎた……! 回復しないと!)パァァァ

さやか(あたしのグリーフシードはマミさんのために残しておかないと!)

カチ

ほむら「そろそろ終わりにしましょう」パシュパシュッ

さやか「横っ――!」バッ

マミ「防げる!」シールド

バチュン

マミ「え……」

ほむら「王手、と言うべきかしら?」

ほむら「美樹さやかが回避することは計算済み。避けた弾はそのまま巴マミに命中する軌道よ」ファサ

マミ「う……」ドサ

さやか「マミさんッ!」

カチ

ほむら「ほら、そこは地雷よ」

ゴバァンッ!

さやか「あうっ!」ドサッ

マミ「う……」

ほむら「あきらめなさい美樹さやか。貴女一人で勝ち目は無いわ」ガチャ

さやか「ほむらあああああああ!」ダッ

ほむら「想像以上の加速ね。でも、」カチ

ほむら「止まって見えるわ」パシュッ


バチュン

さやか「く、そ……っ」ドサァ

ほむら「………」ガクッ

ほむら「」バタッ

さやか「え……?」ボタボタ

マミ「チェック、メイト……ね……」

さやか「ま、マミさん!?」ザリザリ

マミ「攻撃のために、時間停止を、解いた瞬、間が、」ハァハァ

さやか「マミさんしゃべっちゃダメです!」ザリザリ

マミ「暁美さんの、弱点……気づくのが、遅すぎたわね」ゲホッ

マミ「囮にして、ごめんなさい、美樹さん……」

さやか「マミさん!」ザリ パァァァ

さやか「どうして!? あたしじゃない! マミさんを治癒しないといけないのに!」パァァァァ

マミ「美樹さん……、わ、たし、上手だったでしょう……?」ハァハァ

マミ「ソウルジェム、くらいなら、狙撃なら、簡、たん、よ」

さやか「はい! すごかったです! だから……!」パァ...

マミ「よか、った……」ガクリ

さやか「マミさん! マミさん! ま、魔法が! マミさん死なないで!」

マミ「」

さやか「魔力が切れて……! くそっ」パァァァ

さやか「治れ! 治れ! 治れ!」パァァァァ

QB「さやか。もうムリだ。マミは死んだ」

さやか「うるさい!」

QB「さやか。魔力の無駄だ」

さやか「うるさいっつってんのよ!」パァァァァ

QB「マミは死んだんだよ。さやか」

さやか「わかってんの! あたしのせいで! マミさんが死んじゃったことくらい!」ポロポロ

さやか「マミさん、マミさん、ごめんなさい……」ポロポロ

QB「………」

杏子「判断を間違ったな! まどか!」

まどか「え?」

ガキィン!

杏子「な……」

杏子(弓で槍を受け止めた!?)

まどか「間違ってないよ?」ギュウ

杏子「やば―――」

ゴガアアアアアアアアア!

まどか「あれ。はずしちゃった」

杏子「はっ……はっ……!」ダンッ

杏子(力を抜いてぎりぎり狙いを逸らせた……! あぶねぇっ……!)

まどか「どうして離れちゃうのかな? 杏子ちゃん」

杏子「……へっ、押してだめなら引いてみろってね!」ババッ

杏子「必殺! ロッソ――」

まどか「ごめんね杏子ちゃん」バシュ

杏子「!」

ギュウウウウウウウン

杏子「うああああっ!?」ドサァ

杏子「あし、あしがっ!」

杏子「あしがああああああああッ!?」

まどか「もう! 杏子ちゃんが避けるから!」ギュウ

杏子「!」

まどか「ばいばい。杏子ちゃん♪」バシュ

ギュウウウウウウウン

杏子「ぐッ!」ドタッ ゴロ

杏子「まだ、まだだ……!」グイッ パァァァァ

杏子「終わらせてやる! まどか、お前も一緒にな!」シュル

ガガガガガン!

まどか「巨大な槍の召喚、全身全霊の一撃だってことだね」

まどか「うん。わたしもそれに応えることにするよ」ギュウ

杏子「ひはっ! いいねいいね!」ボォッ!

杏子「行くぞ! まどか!」

まどか「フィニトラ・フレティア」

ドゴオオオオオオオオオオン

さやか「展望台が崩れていく……」

QB「いくのかい?」

さやか「うん。決着、つけなきゃね」テクテク

QB「さやか」

さやか「あんたはマミさんの傍にいてあげてよ」

さやか「マミさんってば、寂しがり屋さんだからさっ」グシグシ

QB「わかったよ」

さやか「じゃあね」

QB「さやか!」

さやか「なにさ」

QB「……魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれほどの不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない」

さやか「はいはい」ヒラヒラ

積みあがった瓦礫の上にまどかが立っている。

「さやかちゃん」

さやかは歩みを止めない。

「まどか」

姿勢を低くして駆け出すさやか。その速度が一気にトップスピードに乗る。
まどかが束ねた矢を放った。

「だっ!」

垂直に跳ねあがってさやかが避けた矢が後方で大爆発を起こす。
さやかは空中に展開した魔方陣を踏んでまどかへと突貫。

「速いね、さやかちゃん」

甲高い音を立てて弓と剣が激突する。

「杏子は!」

「わたしの勝ちだよ。マミさんとほむらちゃんは?」

「死んだ!」

「そっか」

弓に光の矢がつがえられる。

「くっ!」

後ろへ跳んださやかへと矢が放たれた。

「負けない! 負けるもんかああああ!」

着地したさやかが剣で矢を打ち払う。
即座に駆け出すさやか。
まどかがさらに矢を装填。

「さやかちゃん、強くなったね」

撃ちだされた矢を紙一重で躱してさやかがふたたびまどかに斬りかかる。

同様に弓で受け止めようとしたまどかの眼前に魔方陣が展開。

まどか「!」

それを踏んで滑るようにさやかがまどかの後ろへと回り込む。

さやか「りゃああああ!」

横薙ぎに走った剣を見もせずにまどかが上体を下げて回避。

さやか「にゃろ……」

振り返りざまにまどかがさやかの足を払った。
体勢の崩れていたさやかは尻餅をついた。

まどか「……ばいばい」

まどかがさやかに弓矢を向ける。

さやか「うああああああ!」

無我夢中で突き出した剣がまどかの甲を裂いた。

まどか「!」

一瞬の動揺を見逃さず、さやかは立ち上がって距離をとった。
しかしまどかの弓矢の前ではこの程度の距離は無意味である。

さやか「あんたも傷つくことは怖いんだね」

まどか「………」

まどかはにこりと笑った。
さやかが剣を投げる。
まどかが瓦礫を駆け下りる。

さやか「ねえ、さっさと終わらせようよ! こんなこと!」

まどか「うん、そうだね」

飛来した幾本もの矢を弾き飛ばしたさやかだったが、一本だけがその二の腕に命中した。
地鳴りのような音を響かせてさやかの片腕が跡形も無く消え去る。

さやか「うあああああああああ!」

即座に魔方陣が展開し、腕が再生する。
同時に駆け出したさやかがあっという間にまどかに肉薄。

まどか「さやかちゃん、ムリだよ」

さやかが剣を振るより早く光の矢がさやかのみぞおちを消し飛ばす。
衝撃で吹き飛びながらも振るったさやかの剣は、まどかには届かない。

さやか「ぐうううううう!」

身体の中心に穴をあけて地面に打ち付けられ転がるさやか。
傷跡はふさがっていくが、魔力の消耗が激しい。
それでもさやかは立ち上がった。

まどか「ムリだよ。さやかちゃんはわたしには勝てないなって」

こまかく震えるさやかを見つめて、まどかは諭す。
さやかは俯いたまま口端を吊り上げた。

さやか「知んないよ、そんなこと」

まどか「さやかちゃん」

完治したさやかが地面を蹴った。

さやか「だって、あたしは魔法少女だから!」

弾丸のように疾駆するさやか目掛けて放たれた矢が真っ二つに斬り払われる。
まどかも円を書くように走り出した。
矢をつがえて、放つ。

さやか「勝負だ! まどか!」

まどか「うん! さやかちゃん!」

さやかは魔方陣を複数展開して速度を落とすことなくまどかに追いすがる。

まどか「フィニトラ・フレティア!」

収束した光条がさやかの右腕を灰燼に帰せしめた。

光を溢れさせてさやかの腕が再生する。
魔力は限界のはずだが、ソウルジェムに翳りは見られない。

まどか「グリーフシードだね。ずいぶん大事にしてたんだ」

さやか「これさ、ほむらのなんだ。あたし、意外と必死なんだよ」

目にも留まらぬ速度で振るわれた剣をまどかの弓が受け止める。
まどかが光を集めて矢をつがえるが、かまわずさやかがもう一本の剣を抜き放って袈裟懸けに斬り裂いた。

まどか「っ……!」

ばしゃばしゃと血を零してまどかが足を止める。
双方ともに、魔力は限界に近い。

まどか「フィニトラ・フレティアッ!」

さやか「まどかあああああああっ!」

矢の形をした極光がさやかの両腕と吹き飛ばし、わき腹をごっそりと削った。
だがさらに治癒を施された腕が伸び、握った剣の先がまどかの胸元に触れた。



ぱき

まどかのソウルジェムが砕けた。

まどか「………」

どさりとまどかが倒れ伏す。
そのふところからころころとグリーフシードが転がり出た。

さやか「……大事にしてんのはどっちさ」

それを拾ったさやかを、雲の隙間から零れ落ちた光が濡らす。
グリーフシードの模様は、音符を模していた。




「おつかれさまでしたーっ」

さやか「わあーっおつかれさまでーす!」

まどか「おつかれさま、さやかちゃん! すごかったね!」

さやか「いやいやいやぁー照れますなぁー」

マミ「おつかれさま、美樹さん」

ほむら「おつかれさま、美樹さやか」

杏子「どういうことだオイ……アタシだけさやかと会ってねえじゃねえか!」

ほむら「それをいうと杏子はまどかとしか会ってないわ」

マミ「私は佐倉さんがロッソ・ファンタズマを何度も叫んでくれて嬉しいわ」

杏子「それは言うな!」

さやか「よーしじゃあご飯でも食べにいこっかー!」

まどか「さんせーっ!」




おしまい

ありがとうございました。どうしてこうなった。

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