一夏「専用機もちになるということ」 (87)
「おりむらくーん!」
「今度ね…」
「おりむ~一緒にご飯たべよ~」
俺がIS学園に入学して1月ほどたった頃、世界初の男性IS操縦者と言うことで学園には男一人と言う状況だったが
なんとかクラスの子らとも馴染んで少なからず楽しい毎日を送っていた。
放課後には遊びに行ったり、ISについてのわからない所を教えてもらったり、少し忙しくも充実した学園生活を満喫していた。
そんな中で幼馴染の篠ノ之箒とも出会い、昔話に花を咲かせていると、なんだか人生の歯車がすべてかみ合ったような。そんな気持ちになっていた。
あの日が来るまでは・・・・・・・・・
山田「えー、ではクラス対抗戦に向けて代表者を決めたいと思います」
「織斑くんがいいでーす!」
「賛成ー!」
「おりむーがんばってーーーッ!」
一夏「えー、俺かよ~」
ヤンヤヤンヤ
セシリア「………」
山田「他に立候補する人いませんか?推薦でもいいですよ?」
バンッ!!!
「「「「「」」」」」ビクッ!
山田「あっ…オ、オルコットさん」
セシリア「………」
「やば…今日登校日…」
一夏(なんだなんだ?さっきまで楽しく雑談してたのに…急にクラスの空気が変わったぞ?)
「あ、あー、や、やっぱりクラス代表はオルコットさんがいいか、な?」
「そ、そうだよね…オルコットさんなら…うん…ま、まちがいないしっ」
「ちょっとはしゃぎすぎちゃったかも…だよねっ」
一夏(どうしたんだみんな急に?あの、オルコットとか言う奴が立ち上がったかと思ったら手のひら返しに皆推薦し始めたぞ?)
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セシリア「………」
一夏「………」
一夏「あのー、俺も立候補します。推薦じゃなくて自薦ですけど」
「「「「「!!!?」」」」」
「お、おりむ~っ!あ、あのっ!」
「織斑君ッ!だ、ダメッ!」
セシリア「…いいですわよ?勝手になされば」
一夏「ムッ!なんだよその言い方?誰が立候補しようがかまわないだろ?」
「やめてっ!織斑くんっ!」アセアセ
一夏「それに…急にクラスの空気を悪くしといてさ、皆を脅迫するように自分を推薦させるなんて」
一夏「オルコットさん?だっけ、そういうのはやめたほうがいいとおもうぞッ!」
「織斑くんっ!」
セシリア「ご自分の意見を持つのは勝手ですが、他人にそれを押し付けるにはそれなりの覚悟がおありなんでしょうね?」
一夏「覚悟?なにいってんだオーバーだな」
セシリア「オーバーですって?」
一夏「たかがクラス代表を決めるだけの話でどうしてそんなことになるんだよ?文化祭の出し物決めるようなもんだろ?」
セシリア「」スクッ
「おりむ~~~っ!」
「ダメッ!」
一夏「なんだ?やるっての「織斑くんッ!」
一夏「っ!?」ビク
山田「………」
一夏「や、山田先生…?」
普段物静かな山田先生の急な怒号に俺を含めクラスの全員の視線が教壇へ向いた。
山田「…クラス代表を決めるのであればISで戦うってのはどうでしょう?」ニコ
一夏「ISで?」
一夏「まぁ…いいですよ、俺も最近操縦がうまくなってきたと思ってますから」
一夏「それでいいよな?オルコットさん?」
セシリア「……かまいませんわ」スッ
だが、すぐにいつもの笑顔に戻った先生を見て俺はなにかの冗談だと思い、またいつもの調子で安請け合いをしてしまった。
まだクラスの空気は依然として緊張を保っていたことも知らずに・・・
それからのこと、俺はいつもと変わらず皆に話かけていた。だが、いつもと同じはずなのに、どこか皆の反応がおかしくなっていた。
一夏「昼か…今日は食堂で食べよう」
「あ、あー…わ、わたしお弁当もってきたから…」
「わ、わたしも…」
一夏「ん?そうなのか…仕方ない一人でいくか」
箒「一夏、ちょっといいか?」
一夏「おっ、箒も食堂か?なら一緒に…」
箒「いいからわたしと一緒に来い」
一夏「なんだよ?藪から棒だな」
箒に呼び止められた俺は言われるがまま屋上へと足を運んだ。
一夏「一体なんだってんだ?屋上に来ても弁当持ってきてないっての」
箒「お前…どういうつもりだ?」
一夏「なにがだよ?たまには食堂でもいいだろ?」
箒「…クラス代表のことだ。どうして立候補なんてしたんだ」
一夏「別に誰が立候補してもいいだろ?そういう話し合いなんだから」
箒「そういう問題じゃない」
一夏「なんだよそれ……そういえばあのオルコットってやつ全然授業に出てないよな。あんなんでクラス代表に立候補するほうが俺はどうかと思うけどな」
箒「!?」
箒「一夏…もしかして知らないのか?」
一夏「なんだよ?もしかしてあいつが学園理事の娘だって言うのか?俺はそんなベンチャラで降りるつもりはないぜ?」
一夏「授業にもまともに出てないような奴にさ、ISのことで負けるとは思えないしさ」
箒「……オルコットは専用機もちだ」
一夏「専用…なんだそれ?」
箒「そうか…そういえばお前はなにも知らないままにここへ来てしまっていたんだな…」
一夏「おいおい、話がまったく見えないぞ?」
箒「…悪いことは言わん、オルコットとの対戦は棄権しろ」
一夏「はあ?なにいってんだよ!なにもしてないのに棄権しろなんて!俺のことバカにしすぎだろ!」
箒「別にバカになどしとらん、事実危険だから棄権しろって言ってるんだ」
一夏「危険もなにも、同じ一年同士でそんなに力の差があるわけないだろ?たしかに俺は皆より事前の知識は乏しいけれど」
一夏「実際にISに触り始めたのはほぼ同時期なんだから、授業サボってるやつに引けを取るわけないだろ!」
箒「だからオルコットは専用機もちだといっているだろ!」
一夏「専用機かなにか知らないけどさ!まぁ見てろって!負けたとしてもそれなりにいい試合してやるよ!」
一夏「箒は心配しすぎなんだよ!」
箒「そうじゃない…お前はなにもわかってないんだ!」
一夏「うるさいなぁ、それより早くしないと昼休みがなくなっちまう。悪いけどこの話はまた今度な!俺食堂に行くから!」
箒「まて!一夏ッ!」
俺は箒の言っている意味もわからず、その日の腹の具合に思考を委ねた。
それから俺はオルコットさんとのISでの試合まで、いつもどおりにすごしていた。
ただ、周りの様子は依然として不自然なままだった。
そして試合当日――――――
山田「…それでは試合を始めます」
山田「両者シールドエネルギーが0となった時点で勝敗を決します」
一夏「わかってるっての」
セシリア「………」
山田「……はじめっ!」
バシュ!
開始の合図と同時に汎用機である打鉄を操り、一夏が前へ出る。
それを見てセシリアは真後ろへ機体を上昇させ距離をとった。
一夏「へっ、専用機がなんだか知らないがこっちだって今日まで実習をつんできたんだ!無様に負けるなんてことだけはしないぜっ!」
セシリア「ブルーティアーズ!」ヒュンヒュン!
セシリアの乗る機体、ブルーティアーズは搭乗者に合わせて設計された専用機。
太陽の光が青に映る機体は一夏の乗る打鉄とは違った個人に当てられる洗礼されたデザイン。そのスペックを兼ね備えていた。
そしてセシリアの掛け声とともに背翼からビットを排出させ、その小型火気を一夏の上空へと展開させる。
一夏(なんだ?変な機械が6個…空を飛んでる)
ピュンピュンピュン
一夏「わっ!」
ズガーン ズガーン
自由自在に一夏の上空を動きまわるビットから照射されるレーザー。
それをなんとか交わして前進をあきらめ距離をとる。
一夏「あぶねぇ!なんだよあれ!勝手に動いてるのか?反則だろ!?」
一夏「って…!?」
が、その行動を予測していたかのように、セシリアは大型ライフルを肩から構え、間合いを保ちながら一夏に狙いを定めていた。
セシリア「お別れです」カチャ
ドシュゥゥゥゥゥゥ!
ズガーーーーンッ!
一夏「ぐわぁぁぁぁっ!」
ドシャァ
土煙と共に一夏の期待が砂を巻き上げ転がっていく。
残りシールドエネルギー25
シールドエネルギーを警告する画面が一夏の眼前に展開されアラートを出し続ける。
一夏「マ、マジかよ…」
セシリア「…素人ですわ」ヒュンヒュン
ウィンウィンウィン
一夏「お、おい…ちょ、ちょっとまてっ!」
ピュンピュンピュンピュンピュンピュン!!!!!
ズガーン ズガーンズガーン ズガーンズガーン ズガーンズガーン ズガーン
6機のビットから照射されたレーザーは数十秒間攻撃を続けた。
途中一夏の機体のシールドエネルギーがつきていたが、それでも攻撃が加えられる状況に、教師があわてて中止命令を出した。
が、命令と共に攻撃を解除したとして、そのタイムラグの間に放たれた無数のレーザーが一夏を襲っていた。
試合の際に緊急用に待機していた医療班があわててかけつけ、そして担架へと乗せられ運ばれる一夏。
それを横目にセシリアは機体からおり、どこかへ去っていった。
一夏「……ん」
一夏「…ここは」
箒「…おきたか」
一夏「箒?」
どこかの病室、ベットの上に横たわる一夏のそばに篠ノ之箒が座っていた。
起き上がった一夏は周囲を見渡し自分の置かれている状況を把握しようと頭を動かし始める。
一夏「そうか…俺負けたのか」
箒「…そうだ」
一夏「ちぇっ、なんだ、担架を切ってやったわりにこのざまとはな、情けないぜ」
箒「そんなことはない…」
一夏「ん?」
一夏は自分の体をに視線を落とす、ISを装備しているとシールドが働き、操縦者の生命を守る仕組みだと説明を受けていた。
だが、今の自分はまるで交通事故でもあったかのように、包帯まみれで痛々しい姿だった。
一夏「授業じゃ安全だって言ってながら実際やると違うもんだな。まっ、これも一つの経験だな」
箒「一夏…」
一夏「なんだよ箒!やけにしおらしいじゃないか?どうしたっていうんだ?」
箒「うっ…」
突然涙を浮かべる箒、どこか自分を責めるように一夏に寄りかかり嗚咽を混じらせ言葉をつむぐ。
一夏は箒が何をしゃべっているのか聞き取れなかった。が、その言葉の端はしからだんだんと少し、異常な事態であるように思えてきた。
一夏は少し体を動かす。そしてそこにあるはずのものがなくなっていることに、ようやく気がついた。
一夏「……おれの…足?」
箒「わだしが…ちゃんと…とめでおけば…すまない…いぢが…」グス
一夏「うそ…だろ?」
一夏の右腿から下にあるはずの足が綺麗に存在を消していた。
試合の後、すぐに医療班にて手術が行われたが、右足には直にレーザーが照射され、組織が壊死、切断を余儀なくされたのである。
一夏「俺が……なんで…」
一夏は自分の右足を眺めてみた。やはりそこにあるはずのものがぽっかりなくなっていた。
セシリア・オルコットが専用機もちであることは一年全員が知っていることだ。
そして専用機もちと言うことがどういうことかどういうことかは常識だった。
セシリア「はぁはぁ…」ジャラジャラ
ゴク
セシリア「ふふふ」
セシリアは常に精神安定剤を服用していた。そうしなければ自身のおかれた環境に押しつぶされてしまうからだ。
専用機の開発には、国や企業、大勢の大人が時間を割き莫大な資金を個人のために投入する。
そこに伴う責任は人一人が負えきれるものでは決して無い。
ISのパイロットを目指すものは大勢いる。しかし専用機をもちたいなどと考えるものはその中に一人としていないだろう。
この産業分野に対する企業の投資は、リスクマネジメントが行えるほど安易なものではなかった。ISと言うまだ未開領域が非常に大きいな
汎用機一つ開発する所が企業メリットでありながら、専用機に対する開発は普通は着手しない所だ。
だからもし専用機を開発するということになればその理由が自然発生的にしろ人為的にしろ、そのパイロットと共に、お互いそうしなければならない状況に陥らなければならなかった。
それがISの専用機に対する解釈である。
セシリア「これで…わたくし以外にも……ふふふふ…」
専用機もちが異常である事実は学園全体の常識だった。
>>16
ミスった
この産業分野に対する企業の投資は、リスクマネジメントが行えるほど安易なものではなかった。ISと言うまだ未開領域が非常に大きいな ×
このISと言うまだ未開領域が非常に大きな産業分野に対する企業の投資は、リスクマネジメントが行えるほど安易なものではなかった。○
一夏「………」
一夏は空を眺めていた。ついこの間までISを使った飛行訓練の記憶が、薄く空に映し出される
今の時間訓練は行われていない。
なにも動き出さない雲の動きを一夏はずっと眺めていた。
コンコン
一夏「…はい」
ガチャ
山田「織斑くん…お話があります」
一夏「山田先生…」
山田が一夏の病室を訪ねると、いつもの惚けた調子はなく。淡々とした口調で一夏に話し始めた。
一夏が足を怪我したことによる学園からの賠償。それに伴う同意書の提出など。事務的な留意点から切り出された。
一夏はただうなずくだけで、ほとんどの話を聞きそびれていた。
山田「…次に、今後の本学園での在籍の意思を織斑君からお聞きしたいのですが」
一夏「学園への在籍?」
山田「はい、織斑君は今回足に致命的な障害をわずらってしまいました」
山田「それは今後、ISのパイロットとして十分に活動できる状態ではないと、学園は判断しています」
山田「ですが、こちら側の安全上の事故であり、即退学になることはありません」
山田「そこで織斑君が今後学園へ残るのか…自主退学するかの回答を学園は求めています」
一夏「退学!?俺が…まさか…」
山田「……ここから私情を交えますが、正直な所、その怪我ではISを満足に動かせるとは思えません」
山田「仮に織斑君が在籍の意思を示したとしても、学園は数ヶ月後の試験にあわせて織斑君を足きりするでしょうね」
山田「IS学園は普通の学校とは違い、国や企業のお金が絡んでいます、その辺りの判断は一般企業よりシビアだと思ってください」
一夏「…そんな…じゃあおれは遅かれ早かれ退学ってことに…」
山田「……一つだけ退学を免れる方法があります」
一夏「な、なんですかそれは!?教えてください!」
山田「専用機もちになることです」
一夏「専用機もち?」
山田「…はい、国や企業から個人的な支援を受けて、専用機を作成、そのパイロットとして学園にとどまる方法です」
一夏「???話が見えないんですが」
山田「ISの特性についてまだ入学から1月ほどですから、知らないのも無理はないですけれど」
山田「ISには大きく分けて、汎用機と専用機の二つに分かれます」
山田「現在、学園で使用する機体は全て汎用機です」
山田「もちろん一般企業で開発されている機体や国に所属されるISもすべて汎用機だといっても過言ではありません」
山田「あたりまえの話ですが、どんなものでも誰でも使えなければ意味がないのです」
一夏「それは…授業で教わりましたけど…」
山田「次に専用機ですが…今お話したように、国や企業のほとんどが汎用機の開発をしている現状、IS市場の中に専用機の需要はどこにあると思いますか?」
一夏「需要がないから開発しないんじゃ…すみませんわかりません」
山田「その需要は開発をしている国や企業にあるんです」
一夏「はぁ」
山田「つまり汎用機の開発のために専用機の開発があるのです」
山田「今現在使われている汎用機も、過去の専用機から生まれた機体なのです」
山田「一般化するには特殊事例から遡らなければならない。といった理屈です」
一夏「???なら国や企業が専用機をほとんど開発してないのはなんでですか?」
山田「原因は色々あります。現在の第三世代ISに対するフォーマットはほとんど出来ていて、そこに伴うモジュールの開発に挑んでいるということ」
山田「専用機開発には汎用機とは比べ物にならないほどの時間と資金の投資が必要なこと」
山田「一般的にはその二点でしょうか」
一夏「一般的には?」
山田「……もう一つは人道的に問題があることです」
一夏「人道的にって…」
山田「専用機の開発には莫大な時間と資金がかけられています」
山田「もちろん汎用機にも同じことが言えるのですが、汎用機は専用機に比べ、そのモジュールとなるところを小分けに市場に流せれるメリットがあります」
山田「ですが、専用機は全ての機能が個人に当てられるため、そのモジュールも他へは流用できないようになっているのです」
一夏「????????」
山田「つまり、専用機パイロットがもし何らかの理由で操縦できなくなれば、その専用機にかけた全ての時間と資金が無駄になるのです」
一夏「そうなんですか」
山田「これが人道的に問題があるところの根源になっているんですが…」
山田「専用機パイロットとなったもののプライバシーは全て企業に管理、記録され、タイムスケジュールが引かれます」
山田「食事、運動、睡眠はもちろんのこと、性欲処理なんかも企業側で管理されます」
一夏「マジかよ…」
山田「それに…もし個人の体調や思想が開発に遅れを出していると考えられた場合、洗脳してでも開発を進めようとします」
山田「専用機パイロットになるということはそういうことなのです」
一夏「………」
一夏「…専用機パイロットになれば学園に残れるってのは?」
山田「技術的な話で詳しく説明はできませんが、専用機パイロットにはISのコアそのものを身体に埋め込み、同期させる工程があるらしいのです」
山田「ISのコアはまだ未領域な点が数多く、その仕組みはわかっていないのですが、それによりパイロットへの治癒効果も絶大なものであると聞きます」
山田「もし一夏君が専用機パイロットとなり、ISのコアにより足が回復する可能性があるのです」
山田「そうすれば織斑君の学園へ在籍に意義を唱えるものはいなくなるでしょうね」
一夏「………」
山田「他に質問はありませんか?」
一夏「…大丈夫です。少し考えさせてください」
山田「わかりました…あと、わたしから一言」
山田「専用機パイロットになることは織斑君が考えているほど甘いものじゃありません」
山田「自分で死ぬことも許されない環境はまさに地獄です。わたしは織斑君には学園をやめてでもその選択はしてほしくないのが本心です」
山田「…すみません。今まで偉そうなこと言っておきながら、こういうのは卑怯なんですが…」
一夏「いえ…いいですよ。ありがとうございます」
山田「それでは、返事には一週間ほど猶予がありますので、じっくり考えてください」
それから一夏は一週間の間、ISの専用機について文献を調べた。
そして一夏の脳みそで出来る限りまとめた。
■汎用機と専用機の違い
・ISの開発の流れとして、まず専用機を開発して、その後汎用機の開発に移る。
・専用機は主にコアの開発、汎用機はそこに伴うモジュール(武装)の開発に向けられるものである。
■専用機開発の特徴
・数に限りがあるコアの開発には莫大な資金と時間がかかる。
・○○世代とよばれるISの軸になるのはそこに使われるコアが元となる。つまり専用機の開発が成功となれば、いち早く次世代ISの開発に着手できるメリットがある。
・専用機(コア)の開発は人体に対するコアとの同調を主な観測データとしている。つまり人体の脳とコアとの関連性が最も重要なデータとなる。
■専用機パイロットに伴うリスク
・一人の専用機パイロットに一つのコアが永続使用される。
・パイロットが死んだ場合、コアも壊れる。逆もまた同じ。
・コアの維持にも莫大なコストがかかるため、開発が打ち切られるとパイロットは死ぬ。
・コアの開発に成功しても、コアはパイロットから取り出せない。
■その他ISについて
・コア一つの相場は日本のGDPの半分。約300兆円。
・汎用機に使用されるコアはすべてレプリカであり、75%の出力しかでない。
・コア複製のコストはコアの10万分の1程度。レプリカの絶対数は決まっていない。
・現在のコアの数はレプリカを含めて467個。
一夏「つまり専用機もちになれば、コアと一生付き合わなければならなくて、そしてそのコアを維持するには莫大な金がかかる…」
一夏「開発の成否で命が決まるし、どうすりゃいいんだよ…俺は……」
一夏「……そういえば…あのオルコットってやつ…専用機もちだったよな…?」
一夏「………」
一夏「」コツコツコツ
「あっ…お、織斑君…」
一夏「やぁ…久しぶり」
「う、うん、久しぶりだねおりむ~っ」
右足を補うために松葉杖を突いている一夏。
一週間ぶりに学園にでた一夏を見る周りの反応は他所他所しいもので
一夏は自分が少し気丈に振舞っているなと、客観的に見ていた。
一夏「聞きたいことがあるんだけど」
「な、なにっ?」
一夏「オルコットさんって普段どこにいるの?」
「えっ?な、なんで?」
一夏「ちょっと話をしたいなって思ってさ」
「お、おりむ~っ!し、仕返しはダメだよ~っ」
一夏「そんなんじゃないって、ただ話を聞きに行くだけだから」
「ごめんね織斑君、わたし達も普段オルコットさんがどこにいるかは知らないの…」
一夏「そうか…わかった、ありがとう」
コツコツコツコツ
一夏(そういえばここに入学してから1月以上たつけど…普段見たことないんだよな)
一夏(どこにいるのか…)
学園の廊下をどこへ行くでもなく、しらみつぶしに探す一夏。
一夏(こういう時ってどこかで誰かと会うのが定石だけど…まぁ漫画の話だよな)
一夏(そもそも話しをきいてどうするっていうんだ?専用機もちのことは文献で調べたし)
一夏(あとは俺がどうしたいかってだけの話だろう…)
一夏「………」
箒「一夏っ!」
一夏「箒か…」
箒「どこへ行ってたんだ!探したんだぞっ!」
一夏「ああ、悪い…ちょっと用事があってさ」
箒「まだ足の治療は終わってないんだ!安静にしてないとダメじゃないかっ!」
一夏「そうだな…」
一夏(箒には…専用機のことは言わないほうがいいな…)
箒は一夏に近寄ると、腕を肩に回し、そのまま病室まで連れて行った。
箒「ちゃんと安静にしてるんだぞ!」
病室に戻った一夏はベットに横たわりながら、ふと、あることが思い浮かんだ。
一夏「なぁ箒…そういえばさ、束姉は元気か?」
箒「…ねぇさんのことか?」
一夏「他に誰がいるんだよ。久しく会ってないからさ。どうしてるかなって思って…」
箒「…元気じゃないか?知らないけどな」
一夏「なんだよそれ。まぁいいや、わるいな送ってもらって」
箒「…また明日くるからな。もう勝手にうごきまわるんじゃないぞ?」
一夏「わかってるよ」
箒「……おやすみ」ガチャ
バタン
一夏(束姉…今なにしてんだろうな…5年くらい前に会ったきりか…)
一夏(………寝るか)
パチ
一夏「ふぁ…朝か?」
シーン…
一夏「えらく静かだ…まぁ病室だから仕方ないか…」
一夏「」グゥゥゥ
一夏「腹減ったな…そういえば最近病院飯ばっかりでまともなもの食べてないし…」
一夏「………」
一夏「たまにはいいよな」ムクッ
コツコツコツコツ
一夏は病室を出て食堂へ向かう。
一夏の入院している所はIS学園備え付けの病院であり、一つの建物の中に納まっていた。
一夏「食堂…っていってもやってないか…」
一夏「一度部屋に戻れば確か備蓄のカップメンがあったはずだ」
コツコツコツ
部屋の前にたった一夏はドアノブを下ろした。
ガチャ…
一夏「あれ?鍵…俺しめてなかったんだ…やべぇな…」
おそらくいつもの癖で無意識にドアを開けた一夏だが、鍵が開いていたことに少し驚いた。
だが、自身の不注意だとすぐに頭を整理した。
一夏「まぁ学園内だし泥棒も入ることはないだろ」
部屋に張ってすぐの壁にある電灯のスイッチを入れる。
一夏「あれ…電球切れてたっけ…まぁいいか」
暗闇の中、おぼつかない足取りでベットの横脇に備えてある三段の収納ボックスのところへと進み、一番したの扉を開けた。
ガサゴソ ガサゴソ
一夏「たしかカップメンがあったはず…」
コツン
一夏「!?」
一夏(…いま…物音がしたな…シャワー室の方か…)
自分の所と少し離れた場所で軽く響いた金属音を耳にした。
それはどうやら自分の部屋だと、一夏は認識する。
コツコツコツ
一夏「………」
ガチャ
一夏「誰かいるのかっ!」
バッ
一夏「……あれ?」
一夏「……気のせいだったか」
勘違いだと思い、きびすを返してシャワー室を出ようとする一夏。
すると突然目の前が歪み、爆竹を耳元で鳴らされたような衝撃が頭の中を駆け巡る。
一夏(な、なん……だ……)
その場に倒れこむ一夏。
視界がブラックアウトする最中に見えたのは醜い女の美しい笑顔。
ひどくつりあがった口元がボサボサの金髪の影に隠れながらも暗闇の中に浮かび上がる。
意識の混泥する中で何か耳元でささやかれた気がしたが、外から聞こえる破裂音がなぜかモノラルに響き渡っていた。
一夏「…・・・あれ?」
一夏「……朝だ」
一夏は窓を見る。引き纏められたカーテンから遠慮なく日差しが差し込む。
少しおぼろげな頭を整理するまで数秒。その間頭をよぎったものは自分の部屋のカップメンのことだった。
一夏「…寝ぼけてたのかな?」
頭が冴え切るまでの間、一夏は窓の外を見た。日差しが眩しく、右手を額にかざした。
箒「おはよう。一夏」
一夏「おはよう」
箒「…昨日はよく眠れたか?」
箒が一夏の病室を訪ねる。このなにげない会話が最近精神安定剤になっているなと一夏は思った。
一夏「まぁまぁかな」
箒「まぁまぁってあるのか?睡眠に?」
一夏「あるんじゃないか?まぁまぁ眠れたとか」
箒「そういうものか」
一夏「そういうもんだ」
たわいの無いやりとり…一夏は朝食が運ばれてくる間、ずっと箒と言葉を交わした。
だが、朝食が運ばれると、また現実に引き戻される。
箒「ちゃんと食べないとダメだぞ?お前はよく残すからな」
一夏「わかってるよ」
味気のないゼリーのような食感。そこへおかず味の振りかけを申し訳程度にまぶしたようなもの。
昔、駄菓子やでこんな安っぽいものを食べたような気持ちでスプーンを口まで運ぶ。
一夏「うえ…」
子供の頃は気にならなかったような気がするが、大人がビールを飲んでバカ騒ぎするようなものでビールの味なんて誰もおいしいとは思っていない。子供の駄菓子も周りとバカ騒ぎするなかで食べていたからうまかったんだよな…うん。
この駄菓子=ビール論は一夏が昔から考えていたことだ。だが最近になって結構おいしい駄菓子もあったなーと一夏は思った。五円チョコとか。
箒「お前まだ未成年だろ」
一夏「えっ?」
途中声がもれ出ていた。
一夏「そういえばさ、昨日変な夢をみたんだよ」
箒「変な夢?」
一夏「夢かどうか忘れたけどさ、腹へったからカップメンをさ、取りに行こうとしたら」
箒「はあ?カップメンだと!?お前また勝手に…」
一夏「ま、まぁ夢だからさっ」
箒「………」
一夏「そ、それでさ、部屋に入ったんだけど…あれ?なに言おうとしたんだっけ?」
箒「…まだ寝ぼけているのか?」
一夏「い、いや…そうじゃなくて…???」
その時、どうしても今朝の夢が思い出せなかった。なんでだろう?
一夏は箒の冷ややかな目線に絶えられなくてまたゼリーを口まで運ぶ。
やっぱり雰囲気が悪いと駄菓子もまずい。駄菓子=ビール論は自身の中でまた再構築された。
一夏「………?」
一夏は今朝は頻繁に後頭部に手をやっていた。
まいったねこりゃ。の仕草だった。
箒「じゃあわたしはもう行くからな」
一夏「ああ、サンキュー」
箒「じっとしていろよ?」
箒が扉を閉めて数分間。一夏は何をするわけもなくまた窓を眺めていた。
一夏(……結局なにが言いたかったんだっけ?)
さっきのやりとりを思い出して自信が何を伝えたかったのか必死に思い出そうとしていた。
一度思い出そうとしてまた忘れてしまうと脳のニューロンが1万くらい死んでしまうという科学的根拠の基づいたテレビの情報と言う、結局あいまいなポイントを軸にして一夏は必死に想起を試みる。
その間、沖縄のソーキソバがこの記憶の想起とがかかっているんじゃないか?といった疑問を呈した。またこの味を思い出して欲しいと言う意味合いがかかっていたら面白いなと思ううちに何を考えていたのか忘れてしまった。結局ソーキソバの由来も今朝のやりとりもすっかり忘れた頃に山田教諭が一夏の部屋を訪ねた。
山田「失礼します」
一夏「山田先生?…ああ、そうか、今日で1週間目ですよね…」
山田「…?ええまぁ」
一夏(とりあえず…決断はしないとダメだよな…専用機もちになるかどうか…)
一夏(文献を調べて…まぁその後ほとんどなにもしなかったけど)
一夏(…正直、俺ってそこまでしてISのパイロットになりたいのかといわれたらそうじゃないんだよな)
一夏(………)
一夏「山田先生…専用機パイロットのことなんですが…」
山田「ああ、そのことでしたら…もう話はついてますよ」
一夏「…は?」
山田「えっと…詳しい話は先方から説明があると思いますが、とりあえず今後の織斑くんへの待遇についての書類のコピーが渡されてるんですよ」
一夏「ちょ、ちょっとまってくださいっ!ど、どういうことですかっ!」
山田「えっ?だってこれから専用機パイロットとして生きていくんですから色々な事務手続きは必要でしょ?」
一夏「いやいやっ!俺まだ返事してませんよね!?」
山田「なに言ってるんですか織斑君っ!わたしは昨日ちゃんと説明したじゃないですかっ!この書類に判を押したらもう引き返せないですよってッ!」
山田から一枚の書類が渡される。そこには専用機開発のパイロットになる同意書にしっかりと一夏のサインと母印が押されていた。
一夏「そんな馬鹿な…」
山田「もしかして後からいやになったんですか?」
山田「まぁ高校生ですから精神的な幼さだってのはわかりますけれど、この話はそういった個人の我侭で引き返せる話じゃないですよ」
山田「先方はもう開発の準備に入っちゃってますからね」
一夏「…俺は…こんなの…書いた覚えがない…」
一夏は山田に現状の説明をした。
書類にサインした覚えも、今までに専用機について解答したこともないことを
しかし、一時的な動揺だと捉えられまともに取り合ってはもらえなかった。
大人の世界は厳しかった。
一夏(なにが起こってるんだよ!知らない間に勝手に話が進んでいるなんて!)
一夏(俺は専用機パイロットなんてなりたくないのにっ!)
一夏(……と、とにかく頭を整理しないと!)
山田「じゃあまた話が進んだら声をかけますから、それまでしっかり療養していてください」
一夏(山田先生の話じゃ、俺は昨日専用機パイロットに志願し、その時書類一式にサインしたらしい)
一夏(昨日はたしかオルコットさんに話を聞きたくて学園に出てたはずだ…山田先生とは一度もあっていない!)
一夏(そこから今日まで部屋にいた俺がどうしてそんな事態に陥るんだよ!)
一夏(………そういえば今朝の夢の話…おれは箒になにか言おうとしたんだ…なんだ?思い出せない…)
一夏「クソッ!なんだってんだよちくしょーーーっ!」
箒「い、いきなり大声を出すなっ!びっくりするだろうっ!」
一夏「ほ、箒…」
箒「なにかあったのか?」
一夏(箒に言うべきか…どうする……そ、そうだ!)
一夏「なぁ箒…束さんに連絡を取りたいんだが」
箒「……なぜだ?」
一夏「い、いや、ほらっ、俺いまこんな身体だろ?だから今後の進路相談とかさっ、ISのことなら束さんが一番詳しいしさっ」
箒「………」
一夏「箒…?」
箒「…悪いが連絡先を知らないんだ」
一夏「えっ?で、でも…姉妹だろ?」
箒「姉妹でも知らないものは知らない、悪いな」
一夏「そんな…」
一夏(くそ…束さんならなんとかしてくれるって思ったけど…どのみち甘い考えだろうな)
箒「本当にどうしたんだ?なにか悩みがあるなら聞くぞ?」
一夏「…実はさ」
一夏は箒に専用機パイロットのことについて話した。
箒「なぜそんな重要なことをわたしに黙っていたんだっ!」
一夏「すまない…」
箒「企業への承諾はしてしまったのか…くっ、もうどうにもできんぞっ!」
一夏「わかってるよっ、だから束さんならなんとかしてくれるかなって思ってさっ!」
箒「…姉さんなら?なんとかしてくれると思ったのか?」
一夏「あ、ああ、仮にもISの開発者だし…甘い考えだとは思うけれどさ、いい知恵を貸してくれるかなって…」
箒「…そうか」
一夏「でも…箒も連絡先を知らないんじゃどうしようもないよな…コンタクトの取りようがない…」
箒「千冬さんはどうした?」
一夏「千冬姉はドイツへ行ったきりだ…あまり心配はかけたくないんだよ」
箒「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろう!とにかく千冬さんに連絡を入れろっ!」
一夏「わ、わかったよっ!」
1です。
この度はゴミみたいなSS書いて申し訳ありません。
初めてSSを見たとき「この程度でいいならストレス解消に適当に殴り書きしてればいいや」と思い今回投稿を決意しました。
結果として得たものは皆様からの罵詈雑言と、そこから学んだSSと言うものの”意味”でした。
その”意味”とは、SSとは一からストーリーを創作するものではなく、ありもののストーリーに様々な付加要素を貼り付けていく作業である。と言うことです。
こうかくと何か負け惜しみのように聞こえますが、どんなことでも先に記したやり方で進めていくが仕事などでは基本であり、それはSSなどの趣味にも言えることです。それを私はわかっておりませんでした。
そして、今回私が投稿したSSを見返しますと、このような基本的なこともわからずに「この程度でいいならストレス解消で適当に殴り書きしてればいいや」と、世間知らずの若造がありあまった力を発散するために書いた落書きで、皆様のお目汚しをしてしまったと言う事実しか残らず、酷く恥ずかしい気持ちを感じると共に深く反省をしております。
今後は心を入れ替えまして、この”SS”と言うものに対しましては、「この程度でいいならストレス解消に適当に殴り書きしてればいいや」という言葉を、心に深く刻み込み、諸先輩がたを手本とし、挑んで行きたいと思っております。
最後になりましたが、ここまで読んで頂いてありがとうございます。今後死にます。
このSSまとめへのコメント
・・・・・・・・は?
・・・・面白いと思ってたら突然終わったぞ
・・・・・・・・どこに批判の要素が?
無効化でスレの内容を読んだが
掲示板系の雰囲気に合わなかったんだろう
SS用掲示板じゃなくて、小説投稿サイトとかならこんな批判は無かったろう
場所を間違えたな
話は面白かった
こりゃ残念。
なかなか面白かったのに。