シャル「一夏に質問するね？」

一夏「なんだ？」

シャル「容姿端麗で献身的に男に尽くす、料理もうまい女性がいたとします」

シャル「その女性がもしプロポーズをしたらどうしますか？」

一夏「ＯＫしないやつは男じゃないな」

シャル「好きです！付き合って下さい！」

一夏「あっ、カブトムシの仕掛けを取るの忘れてた！じゃあな」

シャル「merde!」

ラウラ「嫁よ。質問に答えろ！」

一夏「はいはい」

ラウラ「容姿端麗でバイタリティが高く、伴侶として共に成長を促せる女がいる」

ラウラ「そんな女が夫なら嫁はどうする？」

一夏［最高だな」

ラウラ「ではこの婚姻届に判を押してくれ」

一夏「ヘークシッ！ちくしょ！」

一夏「悪い、風邪薬貰ってくるわ」

ラウラ「mist!」

箒「一夏！質問がある！」

一夏「ふぇぇ？」

箒「容姿端麗で家柄がしっかりとした、第二血族が世界的な権力を有した巨乳の大和撫子がいる」

箒「幼馴染だったとしたらもう許婚であり、結婚は確実だと思うのだが」

一夏「必要十分最高条件だな」

箒「し、式の段取りはもう決まっているんだ///」

一夏「とぅるるるるるるる！はっ！電話だ！もしもし！悪い急用が出来た！」

箒「クソッ！」

鈴「いちかー、質問するわよ？」

一夏「おｋ」

鈴「容姿端麗で……ッ！？」

一夏「ん？」

鈴「容姿端麗で」

一夏「どした？」

鈴「い、家がきたない中華屋で、親が離婚してて、ちゅ、中国人で、すぐ暴力を振るう火病な女ってどう思う？」

一夏「しんだ方がいいんじゃね？」

鈴「そうだよね…」

一夏「あ、そうそう、鈴結婚しよ」

鈴「ふぁっ！？」

一夏「結婚しよ」

鈴「ど、どどどどどどどどどどどどどどうしたのッ！い、いやわたしがどうかしてる！で、でも、きゅ、急にけっこ、結婚なんてッ///」

一夏「いや前から決めてたし」

鈴「いつから！？」

一夏「鈴と初めて会った一日前から」

鈴「ふぇぇぇっ///」

一夏「結婚しよう」ｷﾘ

鈴「よ、よろしくお願いします…///」ｶｧｰ

一夏「あれから１０年か」

一夏「俺は鈴にプロポーズしたつもりは無かったんだがなぜかその気になった鈴が千冬姉にあいさつをして式の段取りを決めてあれよあれよと」

一夏「正直後悔している。なんで俺は中国人なんかと」

鈴「一夏！今日は子供と出かけるって言ってたでしょ！」

鈴子「パパーまだー？」

一夏「車はファミリア。年収５００万程度の中小企業」

一夏「地獄のような生活にも馴れ始めた自分がいやになる」

鈴「もうっ、はやくしなさいよ」

鈴子「パパはぐうたらさんだねー」

一夏「くっ！」ﾀﾞｯ

鈴「どこいくの？」

一夏「ちょっとトイレ！」

鈴子「？そっちはげんかんだよー」

一夏「はぁはぁはぁ…」

一夏「クソッ！俺はなんであんなやつと結婚なんか！」

「あれ？もしかして…一夏？」

一夏「なんじゃあ？」

シャル「やっぱり一夏だ！久しぶり！」

一夏「シャルか！久しぶりだな！結婚式以来か！」

一夏（こいつ…すっかりエロく…いや大人になって、顔立ちも学生の頃より艶やかに…ごくり）

一夏「ん？スーツに来てどこにいくんだ？今日は日曜だろ？」

シャル「今日は会議があって…ってごめんね。此方の事情を話しちゃって」

一夏「会議？」

シャル「ぼく今デュノア社の代表取締り役なんだ。だから休みでも関係なく働かなくちゃならなくて。大変だよ」

一夏「そういえばあれからデュノア社は第５世代ＩＳの開発にいち早く成功して、一躍トップに躍り出たんだったな」

シャル「うん…ぼくとしてはちょっと複雑なんだけんどね。それに跡取りがいなくてぼくが会社を任されているだけど」

シャル「なんだか性に合わないみたい」

一夏「ん？似合ってるぞ。そのスーツ姿」

シャル「ふふ、一夏は相変わらずだね。ありがと！」ﾆｺ

シャル「鈴とはうまくやってるの？今日は休みなのに家族サービスしなくていいの？」

一夏（くっ！いやなこと思い出させてくれるぜ！）

一夏「い、いや、今日は」

鈴「あっ、見つけた！コラ一夏！どこ行ってるのよ！…ってシャルロット！久しぶりじゃない！元気してた？」

シャル「うん、鈴も久しぶりだね。元気そうでなによりだよ」

鈴「ほんとね。ってつもる話もあるんだけど、ちょっとこのバカを連れ戻しにきたのよね」

シャル「あはは、いいよ別に。すっかり尻に敷かれてるね。一夏」

一夏「うぐぐ…」

鈴「ほら、さっさと行くわよ。じゃあねシャルロット！また連絡するから！」ｽﾞﾙｽﾞﾙｽﾞﾙ

シャル「うん、わかった。ぼくからも連絡するよ。じゃあね」ﾌﾘﾌﾘ

一夏（ちくしょう！）

ﾌﾞｩｩｩｩｩｩﾝ

鈴子「わー！景色がすっごくはやーい！」ｷｬｯｷｬｯ

鈴「こら！あぶないから窓から顔ださないの！」

鈴子「はーい！」

鈴「一夏、おにぎり食べる？」

一夏「今はいい」

鈴「じゃあお茶ここに置いとくわね」ﾌﾟｼｭ　ｺﾄ

鈴子「きゃー！早ーい！」ｷｬｯｷｬｯ

鈴「コラ！言う事聞きなさい！」

～海遊館

鈴子「おっきーーー、サメさんすっごくおっきーーよ！パパ！」

一夏「ああ、そうだな。おっ、あそこの平べったいのも大きいぞ？」

鈴子「ほんとだーー」ｷｬｯｷｬｯ

鈴（ふふ、一夏ったら、すっかりパパが板についてきたわね）

鈴（…結婚して良かった）

一夏「…鈴、悪いけどちょっとタバコ吸ってくるわ」

鈴「いいわよ。って車中ずっと我慢してたもんね。お疲れ様」

一夏「すぐ戻るから」ｽﾀｽﾀｽﾀ

一夏「ふぅー」ｽﾊﾟｰ

一夏「あいつらの相手は疲れるな、やっぱり」

一夏（クソ！あいつら浮かれやがって！）

「ん？そこにいるのはもしかして一夏か？」

一夏「ラウラ！？久しぶりだな！どうしてここに！？」

ラウラ「いや、ここには海洋学者の教授がいてな」

ラウラ「水中でのＩＳ起動実験のため、海洋類の動きの仕組みを取り入れようと御口授させて貰っていたのだ」

ラウラ「まぁ、私はパイロットだから直接は関係なかったのだが、あいさつはと思ってな」

一夏（ラウラは世界を股に駆けるドイツの国際エースパイロットだ）

一夏（デュノア社との提携の架け橋ともなり、今やヨーロッパ諸国での代表委員も勤めるほど）

一夏（………）

ラウラ「どうしたのだ？」

一夏「いや、そういえばラウラが嫁嫁言ってた頃が懐かしいなって思ってさ」

ラウラ「なっ///あ、あれはクラリッサのやつが！わ、わたしもまだ若かったから///」

一夏「そうだな…あの頃はまだ若かったよな」

ラウラ「…本当にどうしたのだ？なにか悩みでもあるのか？」

一夏「いや、大丈夫だ。すまんな、向こうで鈴たちを待たせてあるんだ」

ラウラ「そうか。そうだったな。もうお前は鈴のものだったな」

ラウラ「……やはり鈴がうらやましいよ」ﾎﾞｿ

一夏「ん？なんか言ったか？」

ラウラ「いや、なにも」

ラウラ「また連絡してくれ、今度はお前達の家に招待してくれるとありがたい」

一夏「ああ、近いうちにな。じゃあな」ｽﾀｽﾀｽﾀ

ラウラ（一夏…あの時お前が…うんと頷いてくれてたなら、今頃は）

鈴子「パパおそーい！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

一夏「わるいわるい、ちょっと迷子になっちゃってさ」

鈴子「パパはほんとしょうがないなーー鈴子がいないとなんにもできないんだから！」

一夏「ハハハ、じゃあ迷子にならないよう手をつないでくれるか？」

鈴子「うんっ！」ｷﾞｭｰ

鈴「すっかりパパっ子ね」

鈴「でもここって迷子になるほど広かったっけ？」

一夏「いや、そこでラウラにあってさ」

鈴「ラウラに！へぇ～なつかしいわね、ってさっきシャルロットにも会ったし、偶然ってすごいわね」

一夏「本当だな、ハハハ」

鈴子「むにゃ、むにゃ、うーん…パパぁ」ｽﾔｽﾔ

一夏「あー寝ちゃったのか」

鈴「私この子と後ろに乗るから、運転よろしくねパパ♪」

一夏「へいへい」ﾊﾞﾀﾝ


ﾌﾞｩｩｩｩｩｩﾝ


一夏（なんだか疲れたな…ほんと）

鈴「」ｽﾔｽﾔ

一夏（まったく、人の気も知らないでグースカねてやがる）

鈴子「パパぁ」ｽﾔｽﾔ

一夏「………」

一夏（二人は後部座席にいる）

一夏（今ここは高速道路だ）

一夏（後ろから大型のトラックが距離を詰めて追走している）

一夏（………）

ｸﾞｯ


ｷｨｨｨｨｨｨｨｨ



ｶﾞｼｬｰｰｰｰｰｰﾝ!





「…すか………じょうぶですか！」

「大丈夫ですかッ！」

一夏「ううっ、お、俺は」

「今助けますので！意識をしっかりと持っていてください！」

一夏「ぐっ」（血が…こんなにたくさん）

一夏（くそ、目がかすんで…）


ﾊﾞﾀ

～病室

一夏「…ッ！…ここは」

箒「き、気がついたのか！？」

千冬「いちかーーーーーッ！」ｳﾜｧｧｧﾝ

一夏「千冬姉…それに箒も」

箒「気分はどうだ？吐き気は？大丈夫か？」

一夏「あ、ああ、大丈夫だ……それより」ｷｮﾛｷｮﾛ

千冬「ぅぅぅ」

一夏「鈴と…鈴子は？」

箒「！？」

千冬「…一夏、落ち着いて…聞いて欲しい」

一夏「なんだ？」

千冬「お前は高速道路でトラックに追突されて病院に運ばれたんだ」

一夏「！？追突！じゃ、じゃあ鈴達は！？」

千冬「………即死だったそうだ」

一夏「り、鈴が……鈴子が……死んだ！？」ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

千冬「前にいたためお前だけはなんとか助かった。だが後ろにいた鈴達は…」

一夏「そ、そんな嘘だろ…！？」

箒「い、一夏…」

一夏「……わるいけど、しばらく一人にしてくれないか」

千冬「……わかった。だが、変なこと考えるんじゃないぞ？わかったな」

千冬（箒」

箒（は、はい！）

千冬（今一夏は精神が非常に不安定な状況だ。だから、少しの間目をかけてやってくれないか）

箒（わかってます！私もそのつもりですから！）

千冬（すまんな）


ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ


一夏「…あいつら…死んだのか…」

一夏（心の中ではずっと疎ましく思っていた）

一夏（けれど、どうしてだろうか）

一夏（なんで、こんなに涙があふれてくるんだ）ﾎﾟﾛﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

一夏「わからない…わからないよおおおおおお！鈴んんんんんんんんんん！」


ｳｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵｵ!


箒（い、一夏…）ｺｿ

一夏「それから鈴達の葬式が行われた」

一夏「ＩＳ学園で鈴と同じクラスだった人たち、本土にいる親戚達」

一夏「そして一番仲の良かった、シャル、セシリア、ラウラ、箒も来てくれた」

一夏「火葬を済ませると本当に鈴がいなくなったんだと…あらためて思い知らされた」

一夏「そして…４９日が終わり、鈴の墓の前で掃除をしていた時のこと」



一夏「シャル…来てくれたのか」

シャル「うん…お線香、あげてもいい？」

一夏「ああ、鈴もよろこぶよ」

ｽｯ　合掌


シャル「……鈴はさ、一番強いライバルだったよ」

一夏「シャル…」

シャル「ぼく達が一夏を取りあっている時、幼馴染でもあり、明るく社交的な鈴に、一夏はずっとなびいていて」

シャル「ぼくにはない明るさが、一夏をずっと照らし続けていて、そして僕等もその光に癒されていて」

シャル「そして、鈴が一夏と結婚するって話を聞いて、やっぱり鈴だなって思った」

シャル「ぼくじゃ敵わないよ。でも、一夏の相手が鈴でよかったって。ずっと思ってたんだ」

シャル「それなのに…」ｼﾞﾜｧ

シャル「どうして……どうして…死んじゃったの？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

一夏「…ごめん、俺が…ふがいないばっかりに」

シャル「…ううん、ごめんね。一番つらいのは一夏だよね」ｽｯ

シャル「いそがしくてお葬式もろくに出れなくてごめん」

一夏「いや、来てくれただけでありがたいよ」

シャル「…ぼくはね。お葬式って嫌いなの」

シャル「不謹慎なんだけど。人が死んだ時に、その人を本当に供養できるのってさ」

シャル「なにも知らないお坊さんや、葬儀人じゃないよね？」

シャル「でも、たぶん必要なんだとも思う」

シャル「その人がさ、やっぱりまだ心には生きている人に、ちゃんとけじめをつけたいんだろうって」

シャル「そのための慣わしなんだって思う…けど」

シャル「ぼくはまだ…鈴を過去にしたくないんだ」

シャル「まだ…ぼくは…」ｼﾞﾜｧ

一夏「ありがとう。鈴も…シャルの気持ちは分かっていると思う」

シャル「鈴…鈴…」ｸﾞｽｸﾞｽ

一夏「ごめんな。いそがしいのに時間を割いてくれて」

シャル「気にしないで。それに…一夏を励ますつもりがぼくが励まされちゃったしね」

シャル「ほんと…ダメダメだよぼくは」

シャル「じゃあぼくは行くね。なにかあったら電話ちょうだい」

一夏「ああ、ありがとな」

シャル「うん。またね」

ｽﾀｽﾀｽﾀ



一夏（どうして死んでしまったんだ鈴……トラックが追突したって、お前が死ぬようなタマじゃないだろうに！）

一夏「ぅぅぅ…鈴…」ｸﾞｽ



箒（一夏…）ｺｿ





千冬「…そうか、わかった。手間をかけたな。ああ、じゃあまた連絡する」ﾋﾟｯ

千冬「ふぅ」

千冬（まさかと思って現場を細かく調べてみたが）

千冬（まだ信じられない…どうしてあいつがそんなこと…）

～数日後


ﾄﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ　ｶﾞﾁｬ


一夏「もしもし」

ラウラ「一夏か？至急話したいことがあるんだ。今近くにるんだが」

一夏「話？それなら俺の家に来てくれれば」

ラウラ「いや…そこじゃちょっとな…○○カフェへ来てくれないか？」

一夏「？ああ、わかった」

ｶﾞﾁｬ

一夏「それで、話ってなんだ？」

ラウラ「落ち着いて最後まで聞いて欲しいんだ」

ラウラ「実はお前が事故にあった時なんだが、警察は他殺と見ているらしいのだ」

一夏「！？なんだって！いったいどうゆうことだよ！」

ラウラ「…詳しくはまだわかっていないのだが、あの日の現場検証の結果、急ブレーキをかけた後が見つかった」

一夏「それはトラックじゃないのか？運転手があわてて」

ラウラ「いや、ブレーキ痕は一つしか見つからなかった。つまりもう一つはブレーキをかけなかったことになる」

ラウラ「お前はあの日のこと…覚えていないといったが、どうだ？なにか思い出すことはないか？」

一夏「…いや、まだなにも思い出せないよ」

ラウラ「そうか…話の続きだが」

ラウラ「ブレーキ痕が一つと言うのは現場を見るだけで少しおかしな点が見つかるのだ」

ラウラ「普通走行している車両同士が追突でぶつかった場合、後方車両のブレーキをかけ、制動距離内での事故だとすると」

ラウラ「先方車両は停止していなければならない。そうでなければ、後部座席を大破させるほどの衝撃は生まれないはずだ」

ラウラ「そしてもう一つ…考えたくはないが先方車両がブレーキをかけた場合だ。渋滞や信号で止まって後方車両がぶつか場合が想定されるが」

ラウラ「あの日、あの場所での渋滞情報はないし、見晴らしのいい一本道での事故だった」

ラウラ「つまり、なんらかの原因にて先方車両の運転者が急ブレーキをかけたこととなる」

一夏「？？？あ、ああ、それが一体なんだっていうんだ？」

ラウラ「つまり、その運転者が故意に事故を起こしたことになる」

一夏「ちょ、ちょっとまってくれよ！運転車って！まさか俺が！」

ラウラ「警察はそう見ているだろうな…事故直後の運転車はお前だったし」

ラウラ「それに証拠的にもタバコの吸殻やら指紋やらで言い逃れはできないぞ」

ラウラ「…わたしはまだ信じられない。だが、ここからさらに驚くことがわかったのだ」

ラウラ「車のブレーキになにかを仕掛けたような跡があり、それによって事故が引き起こされた可能性があるのだ」

一夏「仕掛けって…一体なんの話だよ！飛躍しすぎててわけわかんねぇよ！」

ラウラ「あの日、お前達は何者かによって殺されようとしていたのだ。運よくお前だけが助かったというわけだ」

一夏「ま、まさか、そんな…一体誰が！？」

ラウラ「……わたしは…シャルロットだと思っている」

一夏「は、ハァ！？なにいってんだよ！シャルが！どうして！」

ラウラ「あの日お前達の行動を予測できたのはシャルロットしかいないんだ」

ラウラ「当日偶然にも会っていたのだろう？そしてその時お前が出かけることを知ったシャルロットは車に細工をしかけて…」

一夏「ちょっとまて！シャルには別にそんなこと話してないし！しかもその日は会議に出るっていってたし！」

ラウラ「会議については午前で終わっていたらしい。時間は十分にあった」

ラウラ「それに跡をつければお前達の行動くらいすぐに分かるだろう」