エレン「ミカサが心配」(147)
エレミカです。微エロです。一応アルミカ(幼なじみ)、ユミクリですが、その二点以外はおまけみたいなもんです。
最後の方、最新話51話のセリフばれがあります。本筋とは関係ないセリフで、読んでも知らなければ「どこのこと?」ってなる感じだと思いますが、一応注意書きとして記載します。
ちなみですが、自分は荒らし云々については徹底スルーすべきだと思うし、荒らしとそれに付随したものに関しては徹底スルーしていきます。
駄文を読んでくださる方に注文つけるようで恐縮ですが、読んでくださるならば荒らしに対してはスルーでお願いします。
さて、てわはもうほぼほぼ最後まで書いてあるので、眠くなるまでさくさく投下しまーす。
エレミカとエロが書きたいだけなのですが、よろしくお願いします。
ある夏の夕暮れ時、俺はミカサと二人で医務室にいた。医務室へはただ怪我の手当をしにきただけのはずだった。
だけど俺は今、幼なじみが服を脱ぐのを眺めている。
「エレン、あの、そんなに見られると恥ずかしい、ので、」
下半身への不躾な視線に気づいたミカサが、服を脱ぎながら身を捩る。
「あっ悪い」
我に返って視線をミカサの顔に戻すと、ミカサは困ったように眉を下げてた。そして、その頬は赤く染まっている。夕日に照らされてもよく分かるほどに。
マフラーを除けば、ミカサの兵服はきっちりと推奨される服装規定に準じている。
それだけに、太もも上部だけをさらけ出した姿は、その表情とあいまって妙にいかがわしかった。
「いや、もうコレだめだろ……」
耐えられなくなって、俺は立ち上がり、中途半端に下ろされたミカサの下の兵服に手をかけた。
***
ミカサに心配されるのはいつも屈辱的なことだったが、今日は特に耐えられなかった。
訓練兵団での生活も三年目になり、各科目では夏を前にした成績考査が行われている。
今日は対人格闘訓練の考査の日だった。
俺は意気込んでいた。他の科目でミカサに勝てる可能性はほぼ無い。そもそも、ライナー、アニ、ベルトルトを越えることすらできてないんだから、その上を行くミカサに勝てないのは当たり前だ。
しかし、対人格闘は違う。アニに鍛えられた結果、ライナーやベルトルトに勝てるようになった。
さらに、三年目になってからは師匠であるアニに勝つことも多くなった。
実際、今日の考査ではギリギリではあったもののアニに勝った。
トーナメント方式の組み合わせだったため、ベルトルトには当たらなかったが、ライナーにも。
そして最後の相手として、ミカサに挑むことになった。それまでミカサと対戦した他の奴らがベルトルト以外瞬殺だったことを考えれば、俺は善戦したといえるんだろう。
しかし、結局は負けた。
アニに教えられるようになってからの一年近い期間、必死に学び、泥だらけになりながら鍛えてきた。
まただ、得意の対人格闘でも、だ。こんだけやってもまだ駄目なのか……。
意気消沈しつつ、黙ってアルミンと寮へ向かい歩いていると、後ろから足音が聞こえた。
「エレンッ」
「ミカサ。なんだよ」
振り返ると、ミカサが駆け寄ってくる。
なんでこういう時、ほっといてくれないかな、こいつは。
俺に苦々しい気持ちで見つめられているとも気づかず、ミカサは話し始めた。
「あの、ごめんなさい」
「は?なにがだよ」
「うまくできなくて、力の加減が。エレンをケガさせてしまった」
「は?」
ミカサはしゅん、と落ち込み、俺の顔の傷をみる。顔の怪我は確かに最後、ミカサに投げ飛ばされた時にできたものだ。しかしたいした傷でもない。
「いや、そんなん、訓練なんだししょうがないだろ、謝ることじゃねぇ。そもそも、お前だって俺の攻撃で怪我してるだろ」
「私の怪我はいい。でも……もう少し注意してれば、エレンが怪我するのは避けられてた」
俺はカッと自分の頭に血が上るのが分かった。
「なんだよ、それ。俺には無理でも、自分には手加減する余裕があったって言いたいのか」
「そ、そんなわけじゃ……」
俺はそんな余裕もないくらい必死だった。本気でやってた。なのに、お前は俺の怪我の心配なんてしてたのかよ。
ミカサに悪気がないのはいつものことだ。分かってる。
だけど、苛立ちがこみ上げてきて、胃が暴れ回っているかのようだった。
そこで、張りつめていく空気を弛めようとするかのような優しい声色で、アルミンが俺達の間に割って入った。
「ミカサ、心配する気持ちも分かるけど、エレンの怪我の手当ては僕に任せてくれないかな。とりあえず、一旦それぞれの寮に戻ろうよ。夕食の時間に間に合わなくなっちゃうよ」
「でも、怪我させたのは私。私がもっと注意していればよかった。エレン、傷が化膿したらいけない。早く医務室へ……」
「うっせえよ。構ってくんな」
俺の声にはかなり怒りが滲んでいた。しかし、ミカサは全く動じない。不満を顔に滲ませ、主張する。
「家族の怪我を心配するのは、当たり前のこと」
その言葉に、ギリギリ理性を保っていた感情の糸が、切れた。
「だから、俺はお前の弟でも子どもでもねぇって言ってるだろうが!」
そう言って手を振り払うと、ミカサはひどく傷ついたような顔をして、固まった。しかしそれに構うことなく、俺はその場から立ち去った。
残ったミカサを慰めているのかも知れない。アルミンはついて来なかった。しかし、構うことなく俺は足早に男子寮に向かった。
***
治まらない苛立ちを宥めながら入浴準備をしていると、アルミンが帰ってきた。アルミンは小さくほほえんで、ただいま、というと、そのまま入浴準備を始めた。
「……悪い」
ぽつりと、謝罪の言葉を口にする。
アルミンは苦笑した。責めるような雰囲気は、ない。
「僕のことはいいよ。そりゃ100点満点の対応じゃないんだろうけど、男として気持ちは分かる」
そのまま二人とも黙る。入浴準備が終わった俺は、手持ち無沙汰になりつつアルミンを待つ。
「……あいつ、あのあとどうしてた?」
思わず聞いてしまった。
「ミカサも怪我してたみたいだから、医務室に行ったよ」
「あいつ、怪我してたのか?」
「あぁ、エレンは夢中だったから気づかなかったのか。エレンの蹴りがきれいに決まってたから、足痛めてたみたいだよ」
「なっ……、ひどいのか?」
「分からない。痛むみたいで、少しぎこちない歩き方にはなってたよ」
なんなんだよあいつ。そんな怪我してたのに、どうでもいいような俺の顔の怪我のこと言ってたのか。
ぐるぐるとミカサの怪我についての様々な思いが頭の中を回る。
「悪い、アルミン。俺医務室行ってくる」
そう言うとアルミンは、ふ、と顔を綻ばせた。
「うん、ミカサは第二医務室に行ったよ。僕も少ししたら行くよ。まぁ、二人が仲直りするまで、外で待ってるけど」
そう言って、いたずらっぽく笑う。
「いや、別に仲直りするために行くわけでもねぇよ」
「そうだね。エレンも怪我してるもんね。でも、余計なことだとは重々承知だけどさ。少しだけ優しくしてあげてよ。単に僕がそうして欲しくて言ってるだけだから、いやなら、いいけどさ。
あ、時間なくなっちゃうから、入浴道具は持ってってね。医務室から直接お風呂行こう」
会話はこれで終わり。だからさっさと行きなよ、とばかりに、アルミンは俺に背中を向け、ひらひらと手を振った。
気持ちを見透かされているようで、少し腹立たしかったが、気遣いに感謝しつつ俺は医務室に駆けてった。
***
医務室に着くと、ミカサが自分の右手首に湿布を貼ろうとしているとこだった。扉を開けた俺の顔を見るや否や、ビクッと体を震わせ、固まる。
「エ、エレン」
「怪我してたなら言えよ」
まぁ。言えるわけないよな。俺怒ってたもんな、と自分の心の中でだけツッコミを入れて、ミカサに近づく。
第二医務室は、女子寮に近いとこにあり訓練所からは遠い。元々は体調を崩しやすい女性隊員のために作られた医務室だったという話だ。
第二、と名が付くだけあって、第一医務室に比べると薬の種類も少なく、保健教官がいることも少ない。
実際、今日も保健教官はいないようだった。デスクには、1日不在の札が置かれている。
「エレン……」
ベッドの足側の端に腰掛けたミカサが、こちらを見上げる。目のふちと鼻の頭が赤くなっていて、いつもは大人っぽくすましたように見える顔が子どもみたいに見えた。
「なんだよ。泣いてんじゃねぇよ。ほら、貼ってやる。貸せ」
ミカサの手から湿布をもぎ取る。
「どこが痛む?」
「右手首の、この、上のとこ」
言われた場所にできる限り丁寧に、湿布を貼る。
「足も痛めてるんだろ、そっちにも貼ってやるよ」
「……いいっ。自分で、できる、から」
ミカサは顔を赤くして首を振った。普段あんだけ人の世話を焼きたがっておきながら、自分がされる立場になると嫌がるのか、お前は。
俺は心の中だけで小さくため息をつき、ミカサの手を握った。
「……悪かった。怪我させて」
「大丈夫。たいした怪我じゃない」
ちらりとミカサが俺の顔を見た。そして、気まずそうに、目をそらす。
沈黙が、落ちる。
たまには優しくしろってアルミンは言ってたけど、実際優しくしようとしても、どうしたらいいのかなんてさっぱり分からなかった。
とりあえず、望むことをさせとけばいいんだろうか。
「ミカサ、顔の傷。手当してくれないか」
ミカサが驚いて目を丸くした。
そして、「うん!」と、なんでか分からないが、安堵したかのようにうれしそうに頷いて、いそいそと手当の準備を始める。
見てみれば、やはり歩くときは足を少し引きずってるように見える。それを見て胸がギュッと苦しくなった。
「染みるかも知れないけど、我慢して」
銀色のトレーを傷のすぐ下に添えられ、とぽとぽと傷口に消毒液をかけられる。傷口を洗い流すためなんだろう。
確かにトレーに流れ出た消毒液には砂利が混じっている。確かにこれは放置しない方がよかったかもな、と憮然と心のなかでミカサの意見を認める。
傷口を流し終えると、乾かそうとしてるのかパタパタと手で仰がれた。
一生懸命仰いでいるが所詮は手。たいした風は来ない。だけど、熱を持った傷に吹く風は気持ちよかった。
しばらくして、仰ぐのをやめたミカサが俺の頬に触れる。切なそうに少し目を細めて、傷口を見つめる。
慈しむように頬に触れる柔らかい手が、心地いい。
「擦り傷だから、今はまだガーゼは張らない方がいいと思う」
「あぁ、分かった」
ミカサに触れられてる頬はそのまま、目線だけをミカサの足に向ける。さっきの歩き方からして、かなり痛むのだろう。
ミカサはいつも、俺には怪我を隠す。俺が怪我の原因の場合は特に。
そのミカサが隠しきれず、足を引きずっているんだから、実際は相当痛いのかもしれない。
何やってんだろ、俺。
巨人を倒したくて、訓練兵団に入った。入団後は、死に物狂いで努力した。しかし、努力したのは巨人を殺すためだけじゃない。ミカサを守れるような男になりたかったからだ。
なんとなしに、ミカサの右手を握り、貼られた湿布に目をやる。
「エレン?」
ミカサが不思議そうな声を出す。しかしそのまま、俺に手を握られていた。
ミカサを守りたい。なのに、ミカサを守れるくらい強なったと証明したくて、ミカサを傷つけてる。
二人して兵士として訓練兵団に籍を置いてるんだ、時には仕方がないことだ。
だけど……なんでこんなにこんがらがってるんだろう。守りたい気持ちも、強くなりたいという気持ちも、一つ一つは間違ってないはずなのに。
ミカサより弱くていい、と弱い自分を受け入れ、諦めてしまえばいいんだろうか。
でも、そこで意地を張らなくなったら、きっと、もう俺は俺だと言えなくなる。
堂々巡りで、頭がこんがらがる。
考えを仕切り直すように、俺は立ち上がった。
「やっぱり、足の怪我の手当ては俺がするよ。お前の理論でいけば、怪我させたのは俺だしな」
「え……」
ミカサが恥ずかしそうに身を捩る。
「いいから、ベッドに座れよ」
ミカサをベッドに座らせて、その前でイスに座ると、ちょうどミカサの足首が俺の腹ぐらいの位置にきた。
足が痛まないよう、ゆっくり丁寧に靴ひもをほどく。
靴を脱がせ、なんでか知らんが照れて真っ赤になったミカサに気づかないふりをしつつ、足首の兵服をまくり上げていく。
しかし、怪我のところに行き着く前に、兵服はまくり上げられなくなった。
兵服のパンツは、割と体にフィットするように作られている。単純に、これ以上裾をまくるには布の余裕が足りない。
きょとんとした顔で、ミカサが自分の足を覗き込む。
「悪い、ミカサ。兵服これ以上は上がんないから、怪我のところ自体が見れない。持って帰って自分で貼れ」
なんとくなくかっこがつかねぇな、と思いつつ半端にまくり上げた裾を戻す。
と、カチャリ、という金属音と衣擦れの音が耳に入ってきた。顔を上げて音の方に目をやると、体が固まった。
「何やってんだ、お前」
ミカサは立ち上がり、下の兵服を脱ごうとしているところだった。
兵服自体は引き下げられてはいないものの、外されたベルトは力なく下へ垂れ、ボタンはすべて外されている。はだけられた部分からは黒い下着が見えた。
「?湿布を貼るために、服を脱いでいる」
「ばっ……!おまえ何考えてんだよ!」
怒鳴りつけ、慌ててシーツでミカサの下半身を隠す。他の女だったら驚いても隠すようなことはしなかっただろう。
しかし、ミカサとは六年前から家族同然に育ってきた。
いかがわしい姿を見て、単純にラッキーで片づけられない位置にいる。
そんな俺の心中とは裏腹に、ミカサは無表情のまま小首を傾げている。
「エレン、どうしたの?」
「どーしたもこーしたもねーよ。こんなとこでお前が下着姿になろうとしてんだからそりゃ慌てるだろ!」
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↑確かに
いや終わってんだけど