「私ね、もうここにいないんだ」(3)

聖夜に彼女が言ったその一言は、僕の忘れていた記憶を呼び起こした


「別に思い出したから言ったとか、お別れだからとかじゃないんだよ」

「ずっと昔、まだ私達が幼かった頃の約束」

「それが今日だったんだよ」


僕は妙に頭が冴えていて、彼女の言葉を黙って聞いていた

取り乱したり、からかったりなんてするはずがない

だって、これはただ僕が忘れていただけなんだから

僕らが出会ったのは……
確か小学校入学前、いつも遊びに行っていた公園だった

どちらがともなく会話を始めたわけではない

けれど、僕と彼女はそれから毎日そこで遊んでいた


「おっきなおしろ、つくろ」

「おーっきなやつ」


そうだ、こんな会話をしていた

他愛もない、よくあるような……

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