ミカサ「私はエレンとアルミンのことが好きな、ので、」(44)

初めてのSSです。
なにかマナー違反等あったらご指摘ください。

エレミカです。微エロです。
しかし、そんなたいしたことはありません。

お時間あればどうぞ。

ある夏の夕暮れ時、俺はミカサと二人で医務室にいた。医務室へはただ怪我の手当をしにきただけのはずだった。

だけど俺は今、幼なじみが服を脱ぐのを眺めている。


「エレン、あの、そんなに見られると恥ずかしい、ので、」

下半身への不躾な視線に気づいたミカサが、服を脱ぎながら身を捩る。

「あっ悪い」

我に返って視線をミカサの顔に戻すと、ミカサは困ったように眉を下げてた。そして、その頬は赤く染まっている。夕日に照らされてもよく分かるほどに。

マフラーを除けば、ミカサの兵服はきっちりと推奨される服装規定に準じている。

それだけに、太もも上部だけをさらけ出した姿は、その表情とあいまって妙にいかがわしかった。

「いや、もうコレだめだろ……」

耐えられなくなって、俺は立ち上がり、中途半端に下ろされたミカサの下の兵服に手をかけた。

***

ミカサに心配されるのはいつも屈辱的なことだったが、今日は特に耐えられなかった。

訓練兵団での生活も三年目になり、各科目では夏を前にした成績考査が行われている。

今日は対人格闘訓練の考査の日だった。

俺は意気込んでいた。他の科目でミカサに勝てる可能性はほぼ無い。

そもそも、ライナー、アニ、ベルトルトを越えることすらできてないんだから、その上を行くミカサに勝てないのは当たり前だ。

しかし、対人格闘は違う。アニに鍛えられた結果、ライナーやベルトルトに勝てるようになった。

さらに、三年目になってからは師匠であるアニに勝つことも多くなった。

実際、今日の考査ではギリギリではあったもののアニに勝った。

トーナメント方式の組み合わせだったため、ベルトルトには当たらなかったが、ライナーにも。

そして最後の相手として、ミカサに挑むことになった。それまでミカサと対戦した他の奴らがベルトルト以外瞬殺だったことを考えれば、俺は善戦したといえるんだろう。

しかし、結局は負けた。

アニに教えられるようになってからの一年近い期間、必死に学び、泥だらけになりながら鍛えてきた。

まただ、得意の対人格闘でも、だ。こんだけやってもまだ駄目なのか……。

意気消沈しつつ、黙ってアルミンと寮へ向かい歩いていると、後ろから足音が聞こえた。

「エレンッ」
「ミカサ。なんだよ」

振り返ると、ミカサが駆け寄ってくる。

なんでこういう時、ほっといてくれないかな、こいつは。

俺に苦々しい気持ちで見つめられているとも気づかず、ミカサは話し始めた。

「あの、ごめんなさい」

「は?なにがだよ」

「うまくできなくて、力の加減が。エレンをケガさせてしまった」

「は?」

ミカサはしゅん、と落ち込み、俺の顔の傷をみる。顔の怪我は確かに最後、ミカサに投げ飛ばされた時にできたものだ。しかしたいした傷でもない。

「いや、そんなん、訓練なんだししょうがないだろ、謝ることじゃねぇ。そもそも、お前だって俺の攻撃で怪我してるだろ」

「私の怪我はいい。でも……もう少し注意してれば、エレンが怪我するのは避けられてた」

俺はカッと自分の頭に血が上るのが分かった。

「なんだよ、それ。俺には無理でも、自分には手加減する余裕があったって言いたいのか」

「そ、そんなわけじゃ……」

俺はそんな余裕もないくらい必死だった。本気でやってた。なのに、お前は俺の怪我の心配なんてしてたのかよ。

ミカサに悪気がないのはいつものことだ。分かってる。

だけど、苛立ちがこみ上げてきて、胃が暴れ回っているかのようだった。


そこで、張りつめていく空気を弛めようとするかのような優しい声色で、アルミンが俺達の間に割って入った。


「ミカサ、心配する気持ちも分かるけど、エレンの怪我の手当ては僕に任せてくれないかな。とりあえず、一旦それぞれの寮に戻ろうよ。夕食の時間に間に合わなくなっちゃうよ」

「でも、怪我させたのは私。私がもっと注意していればよかった。エレン、傷が化膿したらいけない。早く医務室へ……」

「うっせえよ。構ってくんな」

俺の声にはかなり怒りが滲んでいた。しかし、ミカサは全く動じない。不満を顔に滲ませ、主張する。

「家族の怪我を心配するのは、当たり前のこと」

〉6
ごめん。それはあまりないかも。のちほどちょっと付け足しとく。

その言葉に、ギリギリ理性を保っていた感情の糸が、切れた。

「だから、俺はお前の弟でも子どもでもねぇって言ってるだろうが!」
そう言って手を振り払うと、ミカサはひどく傷ついたような顔をして、固まった。しかしそれに構うことなく、俺はその場から立ち去った。

残ったミカサを慰めているのかも知れない。アルミンはついて来なかった。しかし、構うことなく俺は足早に男子寮に向かった。

***

治まらない苛立ちを宥めながら入浴準備をしていると、アルミンが帰ってきた。アルミンは小さくほほえんで、ただいま、というと、そのまま入浴準備を始めた。

「……悪い」

ぽつりと、謝罪の言葉を口にする。
アルミンは苦笑した。責めるような雰囲気は、ない。

「僕のことはいいよ。そりゃ100点満点の対応じゃないんだろうけど、男として気持ちは分かる」

そのまま二人とも黙る。入浴準備が終わった俺は、手持ち無沙汰になりつつアルミンを待つ。

「……あいつ、あのあとどうしてた?」

思わず聞いてしまった。

「ミカサも怪我してたみたいだから、医務室に行ったよ」

「あいつ、怪我してたのか?」

「あぁ、エレンは夢中だったから気づかなかったのか。エレンの蹴りがきれいに決まってたから、足痛めてたみたいだよ」

「なっ……、ひどいのか?」

「分からない。痛むみたいで、少しぎこちない歩き方にはなってたよ」

なんなんだよあいつ。そんな怪我してたのに、どうでもいいような俺の顔の怪我のこと言ってたのか。
ぐるぐるとミカサの怪我についての様々な思いが頭の中を回る。

「悪い、アルミン。俺医務室行ってくる」

そう言うとアルミンは、ふ、と顔を綻ばせた。

「うん、ミカサは第二医務室に行ったよ。僕も少ししたら行くよ。まぁ、二人が仲直りするまで、外で待ってるけど」

そう言って、いたずらっぽく笑う。

「いや、別に仲直りするために行くわけでもねぇよ」

「そうだね。エレンも怪我してるもんね。でも、余計なことだとは重々承知だけどさ。少しだけ優しくしてあげてよ。単に僕がそうして欲しくて言ってるだけだから、いやなら、いいけどさ。

あ、時間なくなっちゃうから、入浴道具は持ってってね。医務室から直接お風呂行こう」

会話はこれで終わり。だからさっさと行きなよ、とばかりに、アルミンは俺に背中を向け、ひらひらと手を振った。

気持ちを見透かされているようで、少し腹立たしかったが、気遣いに感謝しつつ俺は医務室に駆けてった。

***

医務室に着くと、ミカサが自分の右手首に湿布を貼ろうとしているとこだった。扉を開けた俺の顔を見るや否や、ビクッと体を震わせ、固まる。

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