結衣「……」 あかり「……」(156)

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」

あかり「あかり、もっと目立ちたいんです!」

紳助「わかった、おっさんがいっちょ一肌脱いだるわ!」

あかり「……」

あかり「へぷちっ!」

あかり「……」ブルブル

結衣「やっぱり寒いよな、まだ雪も降ってるし」

結衣「……」ギュッ

あかり「ん……」

あかり「……ぇへへ」zzz

結衣「……ふふ」

結衣「まいった、なんでこんなことになったんだか」

~回想~

結衣「にしてもひどい有様だよ、こんなに持ってきてたとは」

あかり「ふふ、物置を整理したらいろいろ出てきたね」

結衣「野球のグローブ、バドミントンの道具一式、サッカーボール」

あかり「ゆ、結衣ちゃんこんなのも……」ゴソゴソ

結衣「な、投げやり!?」

あかり「えへへ、これであかりも投げやり選手だよぉ!」スッ

結衣「お、おいコラ、こっち向けるなって!!」

あかり「……なんちゃって」

結衣「……シャレにならないから、ホント」

結衣「はぁ、ぜんぶ京子が持ってきたんだろうな」

あかり「あはは、それしか考えらないよね……」

結衣「体育用具の物置ってまだ開いてるよな」

あかり「うん、まだ部活もやってるだろうし」

結衣「そっか、ならこの道具一式を元の場所に戻してこようかな」

あかり「……」ヌクヌク

結衣「おこたで暖まってないであかりも手伝うの」

あかり「はーい……」モソモソ

結衣「なぁあかり、私っていまどんな人間に見える?」カチャカチャ

あかり「……」

あかり「野球をこなしつつ、サッカーが好きで、かつ投げやりにも興味がありそう」

あかり「それでいてちょっとミステリアスで、大人びてて女の子にモテそう」

あかり「後輩の面倒見が良くて、家庭的で、ツッコミのキレがあって」

あかり「……そんなどこにでもいそうな可愛い女の子かなぁ」

結衣「……」

結衣「そりゃどうも、あかりも可愛いよ」

あかり「……ぇへへ」

あかり「結衣ちゃん重いでしょ、あかりも少し持つよ」

結衣「そうだな、このサッカーボールお願いしようかな」スッ

あかり「おっけー、でもどうして京子ちゃんこんなに……」

結衣「アイツは犬だからな、興味があればなんでも持ってくるよ」

結衣「おおかた持ってくるだけ持ってきて、飽きたんだろうね」

あかり「えへへ、京子ちゃんってわんわんだったんだぁ」

結衣「い、いや冗談だからな、真に受けるなよ」

あかり「ちょっとボケてみるとこれだよぉ……」

結衣「……あかりがボケると本気に聞こえるんだよね」

結衣「あ、良かったまだ開いてたみたいだね」

あかり「でももうすっかり暗くなってきちゃった」

結衣「そうだなぁ、人もまばらになってきたし」

あかり「はやいとこあかりたちも帰った方がいいかもね」

結衣「うんうん、よっと……」ガラッ

あかり「うわぁ結構広いんだねこの倉庫って」

結衣「奥まで行ったら外からは見えないくらい広いな」

あかり「ぇへへ、外から閉じ込められないようにしないとね!」

結衣「まさか、漫画じゃあるまいしそんなことあるワケないって」ゴソゴソ

あかり「あははそうだよね、漫画でも使い古されたネタだし」

あかり「結衣ちゃん、マットふかふかだよぉ!」

結衣「おーい、早く済ませて帰るんだろ?」

あかり「でもでも、マットを見たらやらずにはいられないよね」

結衣「いや、べつに」ゴソゴソ

あかり「むー……」

あかり「結衣ちゃんってさ、あかりに冷たいよね」ジトッ

結衣「へっ?どうしたんだよ急にそんなこと言って」

あかり「べっつにー……」

結衣「あかりに冷たいなんてそんなことないと思うけど」ゴソゴソ

あかり「ううん、絶対冷たいと思うよ」

結衣「そうかなぁ、この間だってみんなと遊びに来たじゃん」

あかり「結衣ちゃんのお家に?」

結衣「そうそう、冷たいなら一緒に遊ぶこともないだろ」ゴソゴソ

あかり「それはそうだけど……」

あかり「でもでも、あかりは結衣ちゃんと2人っきりで遊んだことないよ」

結衣「……」

結衣「そうだ、あかりってさ犬とネコどっちが好き?」

あかり「そ、その話題逸らしは露骨すぎるよぉ……」

あかり「あかりはもちろんわんわんが好きだよ!」

結衣「あ、しっかり答えてくれるんだ」

あかり「うん答えたから、次は結衣ちゃんの番だよ」

あかり「あかりは結衣ちゃんと2人で遊んだことがないよね?」

結衣「ま、まぁそうだな」

あかり「あかりから目を逸らさないでよぉ……」

あかり「京子ちゃんはお泊りしてるし、ちなつちゃんとだって映画に行ったよね……」ユサユサ

結衣「ユサユサしないでー……」

結衣「確かにあかりと2人で遊んだことってなかったもんな」

あかり「うんうん、幼馴染みなのに!」

結衣「……」

結衣「なら今度2人で映画見に行って」

あかり「……!」

結衣「そのまま私の家にお泊りでもしにおいでよ」

あかり「ほ、ほんとにいいの!?」

結衣「いや別にいいだろ、気にする仲でもないし」

あかり「わんわんのパジャマでお泊りしてもいいの!?」

結衣「わんわんでもにゃんにゃんでもトメイトでもなんでもいいから」

あかり「えへへ……」ニコニコ

櫻子「あーあ、めんどっちいなぁ鍵の戸締りなんて」

向日葵「しゃんと歩きなさいな、猫背だと育つものも育ちませんわよ」

櫻子「うそっ!」

櫻子「背をピシッとすれば私もおっぱいが育つの!?」

向日葵「ま、まぁ多分……」

櫻子「むふふ、いいこと聞いちゃった」

櫻子「敵にグラニュー糖を送るとはまさにこのことよなぁ、向日葵」

向日葵「上杉謙信が武田信玄にグラニュー糖を送るとは、なかなかシュールな光景ですわね」

櫻子「……??」

向日葵「はぁ、もっと勉強しなきゃ一緒の高校行けませんわよ櫻子」

櫻子「べっ、べつに一緒の高校行けなくても私は困らないし?」

櫻子「むしろ困るのは向日葵なんじゃないの!」

向日葵「そうですわね、櫻子が側にいないと困りますもの」

櫻子「へぁっ!?」

向日葵「ほらほら、照れてないで体育倉庫の戸締りお願いしますわ」

櫻子「てっ、照れてなんかねーよ、ばかばかばーか!」

向日葵「(撫子さんからあのバカをよろしく頼むよ、ひま子って)」

向日葵「(土下座までされたら見殺しにされるワケにもいきませんものね)」

櫻子「……なんだよ、調子狂うな向日葵のやつ」

櫻子「ふふ~ん♪」ガチャガチャ

あかり「ほんとのほんとにお泊りしちゃうからね!」

結衣「はいはい、私はウソついたりしないから」

あかり「夕飯は結衣ちゃんのオムライスでお願いします!」

結衣「あはは分かったよ、そんなにオムライス好き?」

あかり「お、オムライスが好きっていうより」ゴニョゴニョ

結衣「うん?」

あかり「ぇへへ、結衣ちゃんのオムライスが好きというか」

結衣「あ、そ」

あかり「ふふ、結衣ちゃん顔ちょっと赤いよぉ」

結衣「うるさいなぁ、ほらさっさと帰るよ」

あかり「うんっ!」

結衣「あーもう、あかりにいじられるとは」

あかり「ふふ、結衣ちゃんって結構顔に出ちゃうタイプだよね」

結衣「……うるさいうるさいうるさい」グイグイ

あかり「むわーん、お団子だけは引っ張らないでぇ!」

結衣「オムライスに唐辛子ごっそり入れてやる」

あかり「さ、さらっと恐ろしいこと言わないでよぉ!」

結衣「ふんっ、今のはあかりが悪い」

あかり「えへへ、ごめんね結衣ちゃん」ニコッ

結衣「……まぁいいけど、あかりも楽しそうだし」ガチャガチャッ

結衣「あ、あれドアが開かない」

あかり「え?」

結衣「ちょ、ちょっと待ってよ、冗談だろ」ガチャガチャ

あかり「あわわわわわわ……」

結衣「な、なぁあかり、体育倉庫って外から南京錠かけるんだよな」

あかり「う、うん……」

結衣「……」

結衣「誰か、誰かいないんですか!!中にまだいます!!」ガンガン

結衣「……まずい、ほんとに大ピンチだぞ」

結衣「なんだよ、私たちがいったいなにしたっていうんだよ……」ガンッ

あかり「……」ビクッ

結衣「あ……ゴメンあかり、ちょっと取り乱しちゃった」

あかり「ううん、しょうがないよこんな状況だもん」

結衣「そうだあかり、携帯持ってないか?」

あかり「あ、う、ゴメンね……カバンに入れっぱなしで」

結衣「そっか、私もカバンにあるんだった……」

結衣「……」

あかり「ゆ、結衣ちゃんあかりたちどうなっちゃうの……?」グスッ

結衣「あかり……」

結衣「大丈夫だよ、絶対にすぐここから出れるさ」ナデナデ

あかり「んっ……ぇへへ、やっぱりおやびんは頼りになるなぁ」

結衣「ふふ、おやびんか、懐かしい響きだね」

あかり「ほんとだね、なんか暖かくてぽかぽかして不思議な気持ちだよぉ」ギュッ

結衣「そうだな……」

あかり「おやびん、あかり隊員も頑張ります!」

結衣「えぇ、もういいよそのノリ」

あかり「っ……」ジワッ

結衣「あ、あぁもう、分かったよ分かったから泣くなって」

結衣「……こほん」

結衣「よ、よーし、あかり隊員は偵察を頼んだ、くまなくこの部屋を――」

あかり「ノリがいい結衣ちゃん可愛いなぁ……」

結衣「……」グイグイ

あかり「お、お団子引っ張るのだけは堪忍しなすってぇ!!」

結衣「あ、あかりがやれって、だからこの歳になってこんなセリフ!!」グイグイ

あかり「むわーん!」

結衣「……はぁはぁ」

あかり「うぅ、髪の毛ぴょんぴょん跳ねちゃってるよぉ」

結衣「悪かったよ、ほらこっちおいで」

結衣「櫛があるからさ、髪の毛整えてあげる」

あかり「ほんとに?もういじわるしない?」

結衣「しないよー、ほらちっちっちー」

あかり「ぇへへ、いつもの優しい結衣ちゃんの顔だね」ポスン

結衣「ていうかちょっかい出してきたのあかりのほうだし」

結衣「……」スッス

あかり「……ぇへへ」

結衣「……」スッス

あかり「~♪」

結衣「あかりっていい匂いするよね、シャンプーなに使ってるの?」

あかり「えへへ、秘密かなぁ」

結衣「こらこら、もったいぶるようなことでもないだろ」ムニムニ

あかり「ほっへのばひゃないへー……」

あかり「えっと、あかりのお家は確かね……」

あかり「なもりって会社が出してる百合姫リットっていうの使ってるんだぁ」

結衣「あれ、私が使ってるのと同じだね」

結衣「……はい、おしまいだよ、お疲れ様」

結衣「でも私からはそんないい匂いしないんだよね……」

あかり「……」スンスン

結衣「ちょ、ちょっとくすぐったいよあかり……」

あかり「そうかなぁ、結衣ちゃんもいい匂いするよ?」ギュッ

結衣「ほんと?」

あかり「ぇへへ、ちょっとくせになっちゃうかも」スンスン

結衣「……」

結衣「くせになるってさ、なんか嬉しくない言い回しだよ」

あかり「あ、いや、くせになるというか、いつまでも嗅いでいたいというか」

あかり「……ぇへへ」

結衣「ふふ、まぁいいか」

結衣「あ、そうだった、あかりとハグしてる場合じゃなかった」

あかり「あかりたち、ちょっとした遭難者だもんね」

結衣「ほんと学校で遭難するとは思わなかったよ」

結衣「……さてと、携帯もないしもう下校時間は過ぎちゃったし」

結衣「お、あかり、あそこの小窓から抜けれそうじゃないか?」

あかり「跳び箱のすぐ近くにある小窓のこと?」

結衣「うんうん、ちょっとあかり試してみてよ」

あかり「おっけー、……ちょっと跳び箱の上で恥ずかしい恰好になっちゃうかも」

結衣「私しかいないから大丈夫だって」

あかり「……う、うん」

あかり「……」モソモソ

結衣「どうかな、ちょっと小さい?」

あかり「うーんやっぱり無理だよぉ、あかりの頭入らないもん」

あかり「……」ピラッ

結衣「……!」

結衣「くらげ柄……」

あかり「くらげ?」

結衣「あ、いやちょっとこっちの話です、うん」

あかり「ど、どうして結衣ちゃんが顔赤くしてるの?」

あかり「あっ、く、くらげってまさか結衣ちゃん……!」

結衣「やば……」

あかり「結衣ちゃんって、むっつり変態さんなの?」ジトッ

結衣「な、なんで私がそんな風になるんだよ!?」

結衣「だいたい、そんなスカートの丈上げて跳び箱で四つん這いになんかなるから」

結衣「……し、下着が見えちゃうんだろ」ゴニョゴニョ

あかり「……」

あかり「……」プルプル

あかり「ゆ、結衣ちゃんのばかぁ!!」

あかり「結衣ちゃんのえっち、変態、むっつり、すけべ、ええーっと、おませさん!!」

あかり「もう結衣ちゃんなんか知らないもん!」

結衣「……知らないって、どこ行くつもりだよ」

あかり「うっ……」

あかり「ええっと、このラインからはこっちはあかりの陣地だから」

結衣「は、はぁ?」

あかり「ぜーったいに入ってこないでね、変態さんが移っちゃうから」プイッ

結衣「むかっ……!」

結衣「あぁそうか、そっちがそういうつもりなら」

結衣「……もうあかりとは絶対に遊んであげない」

あかり「え……」ジワッ

結衣「あかりとは絶交だ、これなら変態さんも移らないだろ」

あかり「……いいもん、結衣ちゃんなんか知らないもん」グスッ

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」グスッ

結衣「……」

あかり「……」グスッ

結衣「……」

あかり「……」

結衣「……」

あかり「……」グスグスッ

結衣「……」

あかり「……」

結衣「ねえあかり、私が悪かったよ」

あかり「ゆ、結衣ちゃんなんてもう知らない……」

結衣「1人だと寒いだろ、2人でくっ付けば温かいかもしれないよ?」

あかり「あ、あかりは別に寒くなんてないもん」

あかり「……へぷちっ!」

結衣「……」

結衣「私が寒いからさ、お願いだからくっ付いてくれないか」

あかり「……」ズビッ

あかり「仕方なくだからね、あかりは寒くないもん」

あかり「……へぷちっ!」

結衣「分かってるよ、私がお願いしたんだからね」

結衣「……素直に聞いてくれるなんて、あかりはやっぱり素直でいい子だね」

あかり「い、いい子なんかじゃないよあかりは」

結衣「ううんそんなことないよ」

結衣「……ほら、ひざの間に座ってくれるかな」

あかり「……」チョコン

あかり「だっ、だってね、あかりは結衣ちゃんにいっぱい悪口……」グスッ

結衣「……あかり、体冷え切ってる」ギュッ

結衣「ふふ、これでだいぶ温まるはずだよ」フワッ

あかり「あっ、ゆ、結衣ちゃんのダウン……」

あかり「で、でもこんなことしたら結衣ちゃんが寒くなっちゃう……」グスッ

結衣「おやびんは大人だから寒くないの」

結衣「……それにちょうどいい抱き枕があるからね」ギュッ

あかり「……」

あかり「う、うぅ……うわぁあああああ……」ポロポロ

結衣「あ、あかり、なにも泣くことないだろ」

あかり「だっだって、ぜっこうって、ゆいちゃん、ぜっこうって」グスッ

結衣「冗談だよ、ちょっと大人気なかったよ私も」ギュッ

あかり「……ぇへへ、ひっく」

結衣「絶交なんか言って悪かった、ほんとごめんな」

あかり「んーん、絶交するつもりがあったらこんなに密着しないもんねぇ」

結衣「い、いまは寒いから仕方なく密着してるだけ」ギュッ

あかり「ふふふ、結衣ちゃんも素直じゃないんだから」

あかり「……結衣ちゃん、あかりが手を握っててあげるね」ギュッ

あかり「これなら手はぽかぽかするでしょ?」

結衣「あぁ、ありがとな」

あかり「……結衣ちゃんは怖くない?」

結衣「まぁ怖いって言えば正直怖いよ、もしかしたらこのまま誰も気づかないかもしれないし」

あかり「……そっかぁ」

結衣「でもあかりがいるから、そんな怖くはないかな」ギューッ

あかり「ぇへへ、苦しいよぉ」

結衣「……1人だったらたぶん泣いてたかも」

あかり「えっ、結衣ちゃんも泣いちゃうものなの?」

結衣「そりゃあ私だって泣くことくらいはあるよ」

結衣「玉ねぎ切ってる時とか、ナモクエでセーブし忘れた時とかさ」

あかり「むー……そういう泣くじゃなくて」

結衣「冗談だよ、おやびんは大人だから泣いたりしません」ギュッー

あかり「えーほんとに?」

結衣「ふふ、ほんとにほんとだよ」

あかり「……おやびんはやっぱりカッコイイなぁ」

結衣「……」ナデナデ

あかり「ぇへへ、いい匂いもするし、オムライスも上手だし」

あかり「きっといいお嫁さんになるよ、あかりが保証してあげる」

結衣「そ、そりゃどうも、お相手は誰だろうね」

あかり「んー……えへへ」

結衣「くすっ、なんだよその間の抜けた顔は」

あかり「相手は誰かなぁ……」

結衣「誰だろうねぇ……」ギュッ

あかり「……すぅ」zzz

結衣「ふふ、寝付くだけ私を信頼してくれてるってことなのかな」

~回想終わり~

結衣「……」ギュッ

あかり「……」

結衣「(いま何時くらいなんだろう、そろそろ暗くなってきた)」

結衣「(……寒い、もう指先の感覚が鈍ってきた)」ギュッ

結衣「(本当にここから出れるのかな、今日は金曜日だから……)」

結衣「(もしかしたら、明日も明後日もずーっとこのままとか)」

結衣「(……そ、そんなのいやだ)」

結衣「(暗いよ、怖い、寒い、お腹空いた……)」


結衣「おかーさん、おとうさん……」グスッ

結衣「わっ、わたしは泣いちゃいけないんだ……」

結衣「……だっ、だって」グスッ

結衣「泣いたら京子やあかりたちが怖がっちゃうもんな」

結衣「わたしはっ、みんなのおやびんだから……」ギュッ

結衣「怖いよ、たすけて……」

結衣「うっ……」グスッ

結衣「ひっく……」ポロポロ

あかり「んへへ」

あかり「ゆいちゃんが、いるからへいきだよぉ……」zzz

結衣「ぷっははは、なんだよその寝言は」ギュッ

結衣「……もう大丈夫だよあかり、ちょっと泣けたからさ、スッキリした」

結衣「せめ、せめてっ電気が付けばな……」ブルブル

結衣「でもここって確か人がいると自動で付くハズなんだけど」

結衣「……けほっ」

結衣「……喉痛い、悪寒もする」

あかり「……」zzz

結衣「ゴメンなあかり、私もちょっと眠くなってきちゃった」ギュッ

結衣「……」パタッ

ピカッ

結衣「あ、れ、なんでいまごろ電気付いて……」

結衣「……」zzz

綾乃「はぁ、もう週末は雑務が多くて大変よぉ……」

千歳「せやなぁ、年度の変わり目だしなおさらやね」

綾乃「……千歳、べつに無理しなくてもいいのよ?」

綾乃「私は好きだから生徒会やってるけど、その、ここまで付き合ってもらわなくても」

千歳「ええんよ、ウチも好きでやってることだから」

千歳「綾乃ちゃんの力になれればな、それでオールオーケーなんよ」

綾乃「そう……ふふ、私は幸せ者なのね」

千歳「なんやみょうに素直やなぁ、歳納さんの前でもそうなれればええのにね」

綾乃「なっ、なぁ!!」

千歳「あはは……おやおや、体育倉庫まだ電気付いてるで」

綾乃「あらホントね……」

綾乃「鍵は大室さんと古谷さんに任せておいたんだけど」

千歳「うふふ、ネコでも紛れ込んでるかもなぁ」

綾乃「ネコ、ネコはいいわね、とっても可愛いわ!」

千歳「にしても夜の学校だけはウチ苦手やわー」ブルブル

綾乃「うふふ、怖かったら私にしがみついてもいいのよ」

綾乃「……」ブルブル

千歳「ホンマかわええなぁ綾乃ちゃんは」

綾乃「ちっ、違うわよ、これは武者震い!」

綾乃「……はぁ、どうせ照明が壊れて誤作動してるのよ」ガチャガチャ

綾乃「……さっさと電気消して帰りましょー、雲南省」ガララッ

結衣「帰りましょー、雲南省、ぶふっ……」

結衣「げほっ、はぁはぁ……」

あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃんしっかりして!」

綾乃「ちょ、ちょっと船見さんに赤座さんいったいどうしたのよ!?」

千歳「これは……ウチら邪魔したんとちゃうん?」

千歳「船見さん×赤座さんとは盲点やった……」メモメモ

あかり「ち、違うんです先輩方!」

あかり「あの、実は体育倉庫に今まで閉じ込められてたんです……」

綾乃「こ、こんな寒い中……」

結衣「……げほっ」

綾乃「ふむふむ、だいたい事情は分かったわ」

結衣「あやの、ちとせ、ごめんね……」

綾乃「何言ってるのよ船見さん、私たちが来たからには安心アンコールワットよ!」

綾乃「心配はノンノンノートルダムの、ファイトファイトファイファイビーチなんだから!」

結衣「っ~~~~~!」

結衣「げほっ、ぷっ、ふっふう、げほっ、げほっ!」ピクピク

千歳「ちょ、ちょっと綾乃ちゃんそれ以上喋ったら船見さん息ができへんよー」

あかり「メソメソメソポタミア」

結衣「……」

綾乃「あら、大人しくなったわ」

結衣「あ、ありがとね2人とも、もう私は大丈夫だから」

綾乃「ふ、船見さん、ほんとに歩いて帰れるの?」

結衣「いや正直辛いけど、綾乃といたら窒息死しそうだから……」

綾乃「へっ?」

あかり「大丈夫です、あかりがしっかりお家まで送っていきますから!」

結衣「……あかり」

千歳「……うふふ」

千歳「船見さんと赤座さん、ほんまええコンビやわー」

結衣「2人とも命の恩人だよ、埋め合わせは必ずするからね」

綾乃「そっ、それじゃあ新しいダジャレ考えたからぜひ聞いて――」

結衣「か、帰ろうあかり、綾乃、千歳ばいばい!」

綾乃「な、なんでよぉ……」グスッ

結衣「ただいまー……」

結衣「げほっ、あぁ、あかり……」

結衣「わざわざありがとね、今日はもうタクシーでも呼んでおくから」

結衣「タクシー代も心配しなくていいからね」ニコッ

あかり「……」

あかり「……結衣ちゃんのバカ、こんなにフラフラなのに」ツン

結衣「あう、急に押すなぁ……」フラフラ

あかり「今日はあかり看病してあげるから、早くパジャマに着替えて?」

結衣「で、でも……」

あかり「いいから、早く着替えるの!」

結衣「わ、分かったって」

あかり「結衣ちゃーん、あかり特製のおかゆできたよぉ」

ガラッ

結衣「わっ、わっ、いま着替え中だから!」

あかり「……」

あかり「め、目を閉じてるから大丈夫だよぉ」

結衣「……ホントかよ」イソイソ

結衣「やっぱり変かなぁあんな下着付けてて……」

あかり「へ、変なんかじゃないよ!縞々似合ってた――」

結衣「やっぱり見てたんじゃないか……」

あかり「……ぇへへ、お互いさまだよぉ」

結衣「あかりってさ、実はむっつりでしょ」

あかり「し、しらないよぉ、はいあーん……」

結衣「ま、まぁいいけど」モグモグ

結衣「……」

あかり「……」ワクワク

結衣「う、ま、まぁまぁだな、悪くはないよ」

あかり「えぇ、今うまいって言いかけたよね!」

結衣「言ってない、言ってないから早く食べさせて」

あかり「だーめ、美味しいって言わないと食べさせてあげないんだから」

結衣「う……」

あかり「素直じゃない結衣ちゃんには食べさせてあげないよぉ」

結衣「……」

結衣「あかりのおかゆは世界で一番美味しいよ」

あかり「……!」

結衣「きっとあかりが私のことを想って作ってくれたんだろうね」

結衣「いつも私と仲良くしてくれてありがとう、大好きだよあかり」ニコッ

あかり「ふぇっ、なっ、あぅ、や、そこまで言ってとは……」モジモジ

あかり「あ、あかりも結衣ちゃん大好きだよ!」

結衣「そりゃどうも、早く食べさせて?」

あかり「う、うんもちろんだよぉ、あーん……」

結衣「あーん……(押しに弱いってホント可愛いな)」

結衣「ごちそう様でした、ほんとに美味しかったよ」

あかり「……ぇへへ」

あかり「……」ポー

結衣「あかり、私の顔になにか付いてる?」

あかり「あ、えっと、目と鼻と口が付いてる……」

結衣「……」

結衣「まぁ、そりゃそうだろうな」

結衣「……さてと食後にクスリでも飲もうかな」スッ

あかり「あっ、急に立ち上がっちゃダメだよ、安静にしてなきゃ」グイッ

結衣「ちょ、ちょっと急に引っ張るな――」

ドッシーン

結衣「いったぁ、急に引っ張ったら危ないって……」

あかり「……」ドキドキ

結衣「あ、あかり、顔赤いみたいだけど風邪移った?」

あかり「ひっ、ひゃっ、大丈夫だよぉ!」

結衣「そっかそれ聞いて安心したよ、あと手を離してくれるかな」

あかり「あ、うん……」

結衣「うんありがと、頭痛にはやっぱりナモリンかなー」ゴソゴソ

あかり「あ、あれぇ、なんかドキドキしっぱなしだよぉ……」

あかり「なんでだろう……」

結衣「あかり、今日は泊まって行くんだろ?」

あかり「あ、うん結衣ちゃんが心配だし」

結衣「いやぁ、あかりが来てくれて助かったよ」

結衣「京子は同人の〆切忙しいらしいし、ちなつちゃんはお家の用事だっけ?」

あかり「うん、お小遣いのお礼にお姉ちゃんのマッサージするとかで」

結衣「へぇ、お姉ちゃん想いなんだね」

あかり「うんうん、マッサージ……」ビクッ

あかり「ちなつちゃんのマッサージ、ちなつちゃんのマッサージ」ビクビク

結衣「……?」

結衣「あ、それならお風呂入っておいでよパジャマも貸すから」

あかり「ぇへへ、ありがとう結衣ちゃん」

~お風呂~

あかり「うーん、なんでドキっとしたんだろう」

あかり「あんな気持ち初めてだったから、ビックリだよぉ」

あかり「結衣ちゃんとなにか関係あるのかな……」

あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃん……」

あかり「……」ドキドキ

あかり「な、なんでドキっとしちゃうの!?」

あかり「うぅぅ、さっぱりだよぉ……」

あかり「……」モンモン

あかり「……」

結衣「むむ、またナモクエ出るのか、これは要チェックだな」

結衣「新職業にくらげ漫画家を追加……」

結衣「くらげ漫画家では触手をフルに使って、異常な連載ペースで漫画を描けるぞ!」

結衣「……なんだコレ、面白いのか?」

結衣「普通のガンナーとか魔導師でいいんだよ……」

あかり「ゆいひゃーん、おふろあがったよぉ……」フラフラ

結衣「ず、ずいぶんと長風呂だったな、のぼせちゃった?」

あかり「ちょっと、考え事しちゃってぇ……」

結衣「へぇ、あかりも考え事なんてするんだね」

あかり「むー……その言い方はちょっと失礼だよぉ」

結衣「ふふ、あかりも大人になったってことかな」

あかり「そうかなぁ、いまいち実感湧かないけど」

あかり「あ、結衣ちゃんはお風呂入らなくていいの?」

結衣「うん、あかりがあっちいる間に体拭いておいたから」

結衣「風邪の時はお風呂はダメってよく聞くし」

あかり「そっか、それならもう早めに寝た方がいいかもね」

結衣「ん、歯ブラシおろしてあげるから磨いておいで」

あかり「うんっ!」トテトテ

結衣「……考え事、か」

結衣「それじゃ電気消すからね、おやすみあかり」

あかり「うん、おやすみなさい」

あかり「……」

結衣「なぁあかり、考え事ってさ私と関係ある?」

あかり「か、関係……」

結衣「……正直に言ってほしいな、もしかしたら一緒に悩んで解決できるかもしれないし」

あかり「あ、あの、絶対に笑ったりしない?」

結衣「もちろんだよ、なんかあかりが苦しそうな顔してて私も辛いからさ」

結衣「……真剣に悩んでるあかりのこと笑ったりはしないよ」

あかり「……あのね」

あかり「よく分からないけど、結衣ちゃんのこと考えると胸が――」

あかり「……」

結衣「そっか、だいたいは分かったよ」

結衣「よく分からないけど、私のことを考えると胸が苦しくなって」

結衣「顔が熱くなっちゃって、ドキドキしちゃうんだね」

あかり「……ふぅ」

あかり「いまもけっこう、ドキドキで息も苦しいと言うか……」

あかり「あかりね、こんな気持ち生まれて初めてだから」

あかり「……なんかどうしたらいいか分からなくて」

結衣「……まぁ、単刀直入に言うとあかりは私のこと好きなんだろうね」

あかり「すっ好き!?」

あかり「好きって、その愛してるとか、アイウォンチューっていう……」

結衣「な、なんだその例えは」

あかり「ゆ、結衣ちゃんが好き?あかりが?」

あかり「で、でもでもあかりたち女の子どうしだよ!?」

結衣「べつに女の子と女の子でもおかしくはないと思うけどなぁ」

あかり「……あ、そうなんだぁ」

あかり「……ぇへへ、好き、好き好き、すーき」クネクネ

あかり「てことは、ちなつちゃんの結衣ちゃんが好きってそういうことだったんだぁ」

結衣「……あかり?」

あかり「あ、その、えっと……」

あかり「結衣ちゃん、や、やっぱりさっきの話はなし!」

結衣「……はぁ?」

あかり「こ、このお話の続きはまたあとで!」

あかり「おやすみなさい!」モフッ

結衣「あ、ちょっと、なんなんだよもう……」

結衣「私以上のヘタレだなあかりは」

結衣「……」

結衣「私はどうなんだろうな……」

結衣「おやすみ、あかり」

~後日、ちなちゅ宅~

ちなつ「どうしたのあかりちゃん、急に家に飛び込んできて?」

あかり「あ、あのね、ちょっとちなつちゃんにお話ししたいことがあって!」

ちなつ「ふふふ、あかりちゃんがそんな必死になるなんて珍しいね」

ちなつ「いまお茶でも持ってくるから――」

あかり「お、お茶はいいよちなつちゃん!」

あかり「い、今すぐあかりはちなつちゃんに謝らないといけないから……」

ちなつ「あかりちゃんが私に謝る……?」

あかり「う、うん……」

ちなつ「分かったよあかりちゃん、どんなことでも私は驚かないから」

あかり「……」

あかり「ち、ちなつちゃんは結衣ちゃんが好きなんだよね」

ちなつ「うんうん、結衣先輩一筋!」

あかり「あ、あ、あか、あかり、あか、ああああ……」

ちなつ「ちょ、ちょっと落ち着いてよあかりちゃん!」

あかり「あかりはちなつちゃんのこと応援するって言ったけど」

ちなつ「うんうん、写真とかいっぱいくれたよね」

あかり「そ、そのね……」

あかり「あ、あかりも結衣ちゃんのことが」

あかり「あかりも結衣ちゃんのこと好きになっちゃったの!!」

ちなつ「……!」

あかり「……」グスッ

あかり「ご、ごめんねちなつちゃん……」

あかり「あかり、応援するって、いったのにっ」ポロポロ

ちなつ「……」

ちなつ「確かにちょっとびっくりしたけど、別に謝ることはないんじゃない?」

あかり「へっ?」

ちなつ「誰かを好きになるなんて自由だし、それに……」

ちなつ「結衣先輩を好きになるのはしょうがないよっ♪」

ちなつ「だってだって、あんなにカッコイイんだもん!」キラキラ

ちなつ「ねえ見てみてこの結衣先輩の写真、こっそり撮ったんだけど――」

あかり「そ、それは盗撮だよぉちなつちゃん……」

ちなつ「あかりちゃんはこの中でどの結衣先輩が好き?」

あかり「ええっとあかりは……」

あかり「スポーツタオルで汗をぬぐう結衣ちゃんも捨てがたいけど……」

あかり「ぇへへ、やっぱりこのエプロン姿の結衣ちゃんかなぁ」

ちなつ「……あかりちゃん、全然分かってない!」

あかり「そ、そうかなぁ……」

ちなつ「私はコレね、この部室で撮った居眠りしてる結衣先輩の写真」

ちなつ「あんなに普段キリっとした結衣先輩が見せる」

ちなつ「……この赤子みたいに安心しきった顔」

ちなつ「このギャップがたまらないの!!」

あかり「な、なるほどぉ!」

あかり「あかりね、ちなつちゃんと友達になれてほんと良かったよぉ」

ちなつ「……ふふふ、私もだよあかりちゃん」

ちなつ「結衣先輩が誰を選ぶかは分からないけど」

ちなつ「……その時は恨みっこなしだからね」ニコッ

あかり「うんっ!」

あかり「あかり、絶対に負けないもんね~」

ちなつ「むむ、私だってぜーったい負けないんだから!」

あかり「ぇへへ、それじゃまた明日学校でね」

ちなつ「ふふふ、またねー」ブンブン

~後日ごらく部~

ちなつ「ゆいせんぱーい、お茶入りましたよどうぞ!」

結衣「あぁ、ありがとうちなつちゃん」

あかり「あ、あの結衣ちゃん、あかりもお茶淹れたから飲んでみて?」

結衣「えっ、あぁうん、あかりもありがとう」

京子「私にもギブミーお茶くれー!」

ちなつ「はーい、いま淹れますよーっと」

結衣「お茶が2つってなんか新鮮だね……」

ちなつ「……」

あかり「……」

結衣「み、見られると飲みづらいんですけど……」

結衣「……」ズズッ

あかり「あ、あかりのお茶どうかな結衣ちゃん?」

ちなつ「わ、わたしのはどうですか!」

結衣「えっと、どっちも美味しいよありがと2人とも」

ちなつ「ゆ、結衣先輩、私最近大きくなったんですけど……」グイグイ

結衣「ちょ、ちょっと胸当たってる!」

あかり「むむむ、あかりも負けないもん……」グイグイ

結衣「ふ、2人とも落ち着いて!!」

京子「ちなちゅの胸はわたしのもんだー!!」ガバッ

結衣「いいかげんにしろー!」

おしまい!

考えうる一番につまらん終わり方
でもちなちゅを無下にはできんかったし、でも結あか可愛いし
結あかを存分にイチャイチャさせるには京ちな先に成立させればよかったのかな
とりあえず寝る、おつ

なんか需要ありそうだし結あかどんどん書いてくわ
結京も書くけど、じゃあの

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