アルミン「鐘を鳴らして」(64)

*新リヴァイ班でてきます


???「さあ、選んでくれ」

アルミン「………」

ミカサ「…アルミン…」

エレン「………」


???「壁の中の人類と、君の親友のどちらかをね」ニコ

アルミン「………」ギリッ

???「わかっているんだろう?本当は」ツカツカツカ

エレン「…アルミン…」


ミカサ「…来るな」ジャキン

???「どちらを取るべきかをね」ツカツカ

アルミン「僕は――」ギリッ




ジャン「アルミン!!」ヒュンッ

コニー「エレン、動けるか!」パシュッ

サシャ「ミカサ、ここから逃げますよ!」ヒュンヒュンッ

クリスタ「みんな、急いで!」ヒュンッ



エレン「お前ら…っ!」ウルッ

ミカサ「エレン、立てる?」ググ


アルミン「…だめだ…」


エレン「え?」

ミカサ「アルミン?」



???「………」ニヤ




アルミン「駄目だっ!!引け!!」




アルミン「みんな、殺され――」

――――――
――――――
――――

――



エレン「アルミーン!大丈夫か!」ヒョコッ

ミカサ「待って、頭を打っているかもしれない。揺すってはだめ」

コニー「わ、わりい…オレが周りを見ないで突っ込んでいったから…」オロオロ

ジャン「お前だけのせいじゃねえだろ。アルミンも一緒だ」


アルミン「……ん…あれ…」パチ

クリスタ「あ、よかった、アルミン」

アルミン「あれ、僕…」ズキズキ


ハンジ「おーい、アルミン、大丈夫?」スタスタ

リヴァイ「………」スタスタ



サシャ「氷、持って来ましたよ!」タッタッタッ


アルミン(そっか、巨人になったエレンとの、共同戦線のための訓練を新しい班でしていて…)

コニー「オレが場所を間違えて、お前と激突して…」オロオロ

クリスタ「アルミン、外傷は見当たらないよ。どこか痛いところはある?」テキパキ

ミカサ「今は平気でも嘔吐があるかもしれない。少し経過観察をしよう」テキパキ




リヴァイ「…………」




ジャン「…おい」コソッ

エレン「ん?なんだ…よ」ゾワッ

ミカサ「……チッ」

サシャ(リヴァイ兵長が…)ゾクゾク

クリスタ(怒ってる…!?)アワワ

コニー「……どうした、みんな?」

アルミン(…僕のせいだ)



リヴァイ「一人倒れたら全員で構って、遠足気分かよ…」ギロッ

ハンジ「しかたないよ。この子たちは新兵だからね。言われたことができるだけで十分さ」

リヴァイ「それじゃ…困るんだよ」スタスタ



みんな(………)ドキドキ




リヴァイ「おい、坊主」

コニー(オレか…!?)ピシッ

リヴァイ「お前は自覚を持て」

コニー「な、なんのでしょうか…」

リヴァイ「自分が作戦の誤認をしやすいという事実だ」


ハンジ(うわー…すっぱり言ったね)

リヴァイ「徹底的に覚えろ。わからなくなったら、逐一確認しろ」

コニー「はっ!」ダラダラ

リヴァイ「仲間を殺したくなければな…」ギロッ


リヴァイ「お前もだ」

アルミン「…ハッ!」

リヴァイ「エルヴィンはやたらとお前の策を信じるが、策だけ持っていても、弱ければ死ぬ」

アルミン「……はいっ」

リヴァイ「今回も、お前以外のやつなら避けることができたはずだ」

ハンジ(……確かに)

アルミン「………」シュン

ミカサ(………)イラッ



リヴァイ「そして…」

ハンジ「ねえ、怖い!怖いよ!この子達新兵なんだから!お手柔らかに!」

リヴァイ「……なら、お前から話しておけ。クソメガネ」スタスタ

ハンジ「ええー!しょうがないなー!」

リヴァイ「………終わったら、訓練の続きをやるから連れて来い」スタスタ



コニー「………」ズーン

アルミン「………」シュン…



ハンジ「さ、みんな立って。リヴァイはああ見えて、君たちのことを可愛く思っている」ニコ

エレン「…か、かわいく…」スタ

ジャン「…そんな柄じゃなさそうだが…」スタ

ミカサ「………」


ハンジ「リヴァイ班。自分の班だよ。そりゃ、誰にも死んでほしくないと思ってるさ」ニコニコ

アルミン「……はい」シュン

コニー「…すみませんでした」シュン

ハンジ「巨人化したエレンとの訓練は、実践で活用するために必要だってことはわかるよね?」

クリスタ「はい」スタ

サシャ「ちーむわーく…ですね」ヨイショ

ハンジ「そう、そうだね。でも仲良しこよしで戦ってちゃだめだ。
    その中で自分の得意な部分を活かした、役割分担を見つけてほしい」

エレン「それは…どういう…?」


ハンジ「誰がエレンの一番近くで戦うのか?」

ミカサ「………」

ハンジ「誰がエレンに指示を出すのか?」

アルミン「………」

ハンジ「誰が二人の護衛に徹するのか?」

ジャン「………」


ハンジ「誰がエレンの前で道を作るのか?」

サシャ「………」

ハンジ「…とかね」チラ

コニー(…オレは?)

クリスタ(…まだ役割を見つけられていない…)シュン



ハンジ「特に…アルミン」

アルミン「はい」

ハンジ「君は、同期の中で自分がどんな役割を持っているか、よくわかっているね」

アルミン「………」

ハンジ「そして、周りの君達も、アルミンに大きく頼っている部分がある。
    もしかしたら、エレン以上にアルミンは、君達の切り札かもしれない」

エレン「………」

ミカサ「………」



ハンジ「もし、どちらかがだめになったら、どうする?

    策もなく突っ込むのか?力なく敗れるのか?

    どちらにしても、共倒れだ」


ハンジ「君達の中で、もし誰かが欠けるとするなら、誰か?

    今の君達は、誰か一人欠けるだけで、弱くなる。

    でも、それじゃ、だめだ。

    誰がどの役割で、なにを守るのか?」


ハンジ「…そして、各人がどれだけ強くなれるのか」ニコ


ハンジ「リヴァイも私もね…色んなものを失ってきた。

    こうやって、可愛い後輩たちができてうれしい。

    うれしいと同時にね、思うことがある」


ハンジ「“また、失うのかもしれない…”ってね」ニコ




エレン(……誰かを、失う…)

ミカサ(エレンを失いたくない)

ジャン(…もう、誰かが燃えカスになっちまうのは嫌だ)

サシャ(自分じゃない誰かなら良いってわけじゃない)

クリスタ(こんな自分に、できることがあるなら)

コニー(なんのために調査兵団に入ったんだ、オレは)

アルミン(…強くなりたい…もっと、強くなりたい)



ハンジ「と、まあ、反省は自分の中でしてもらって」

ハンジ「よっし!訓練再開だァ!!」

リヴァイ班「「「ハッ」」」







ハンジ「こんな感じで励ましてみましたが、どうでしょう?」

リヴァイ「…及第点だ」

ハンジ「そっすか」

リヴァイ「しかし…さっきよりは動きが良い」

ハンジ「そうだね」



ワイワイ
  パシュッ ヒュンヒュン
        ギャーギャー



ハンジ「……あのさ」

リヴァイ「…なんだ」

ハンジ「……あのさ」

リヴァイ「早く用件を言え、クソメガネ」イラッ


ハンジ「おかしいと思わない?」

リヴァイ「なにがだ」

ハンジ「ミカサとアルミンのことさ。経緯から考えれば、あの子達もエレンと関わる重要人物として、
    保護とまでは行かなくても、どこかしらで管理していなければならないはず」

リヴァイ「……あの二人をあえて管理していない…とでも?」

ハンジ「あの子たちは目先のエレンにしか、まだ考えが及ばない。
    エルヴィンにとって、そこに都合の良いなにかがあるんじゃないの?」

リヴァイ「……ふん」

ハンジ「“予想の範疇を動く、出来の良い駒”…かな?」

リヴァイ「そんなこと」

ハンジ「そんなことって、あの子たちはまだ――」



リヴァイ「……今更さ。なにを言ってやがる」スタスタ

リヴァイ「一緒だよ、俺も、お前もな」ニヤッ









コンコンッ

エルヴィン「入ってくれ」

アルミン「失礼します…」ドキドキ

エルヴィン「気にせず、掛けてくれ」

アルミン「は、はい!」


エルヴィン「アルミン、どうだい?新しいリヴァイ班は」

アルミン「あ、はい!親身にたくさんのことを教えて頂いています」

エルヴィン「そうか。今後、君には企画にも参加してもらいたい。
      今日はそのことで君に来てもらった」

アルミン「…僕が?」

エルヴィン「今までも、君の作戦を実行してきたということもあるし…。

      君の作戦ということで、君の同期は安心できるだろう?」ニコ

アルミン(……どういう…意味だ…?)



エルヴィン「今日、君を呼んだのは、君に考えておいてほしいことがあってね」スッ

アルミン「…なんでしょう…」



エルヴィン「人類のために、エレンを殺せと言ったら…」スタスタ



アルミン(――え?)


   
エルヴィン「君は、エレンを殺せるかい?」ニコ


アルミン「………あ…」ズキンッ




――アルミン「駄目だっ!!引け!!」


――アルミン「みんな、殺され――」





――エルヴィン「…残念だよ」ニヤア


アルミン「……っ…」ズキンズキン


エルヴィン「今すぐ選択せよという話ではない」


アルミン(…あ、たま…割れそうだ…)ズキンズキン


アルミン(…なんだ、これ…)ズキンズキン





コンコンッ



モブ「エルヴィン団長、お時間です」

エルヴィン「わかった」スッ

アルミン「………」ズキズキ

エルヴィン「…立てるかい?」

アルミン「…はい」

エルヴィン「アルミン、君は正しい答えを導き出せると…信じているよ」ニコ







エレン「アルミン、お帰り!」

コニー「エルヴィン団長に呼ばれるなんて、お前すごい奴だったんだな…」

ミカサ「アルミンは前から、度々作戦会議に呼ばれている」

ジャン(ミカサのドヤ顔)ハアハア


クリスタ「私たちも、強くなろうねってみんなで話してたの」

サシャ「さあー、ご飯で来ましたよ!誰かリヴァイ兵長呼んできてください!」



ワイワイ ガヤガヤ



エレン「…アルミン、どうした?」

アルミン「……ううん」

ミカサ(…顔が白い)

アルミン「ただいま」ニコ

エレン「……ったく、なんだよ」パシッ

ミカサ「おかえりなさい、アルミン」ニコ



ハンジ「ねえねえ~、私の分の夕飯もあったりする?」ヒョコッ

ジャン「ハンジさん!まだいたんですか!」

ハンジ「まだとは失礼な…」

クリスタ「ありますよ!サシャの作る料理おいしいので、ぜひ食べていってください」カチャカチャ

サシャ「そんなこと言われると照れますね~」カチャ

コニー「運べ運べー」



エレン「あ、兵長!」


リヴァイ「運んだら座れ」ドサッ


みんな「「はーい」」


リヴァイ(お守りか、俺は…)



エレン「おい、アルミン」コソコソ

アルミン「ん?」

エレン「お前、団長のところで何かあったのかよ?」コソコソ

ミカサ「!」

アルミン「……ううん、大丈夫」


エレン「本当かぁ?」

アルミン「うん!ありがとう!さ、食べよ!」


リヴァイ「………」

ハンジ「………」


サシャ「みんな、お皿はそろってますね!」

コニー「あー腹減った!」


クリスタ「おいしそうだね!」ウキウキ

ジャン「では…」


「「「いただきまーす」」」



ワイワイ ギャーギャー



アルミン「…なんか、みんなが一緒だと楽しいよね」

エレン「やっぱり、お前変じゃね」モグモグ

ジャン「お前よりはまともだ」モグモグ

ミカサ「…また始まった」フウ


サシャ「エレンとジャンも十分仲良しですよ!」モグモグモグ

ジャン「んだとォ…?」

エレン「オレがいない1ヶ月で、アルミンと妙に仲良くなりやがって!」

コニー「お、エレン。やきもちか」

ミカサ(なに?)

クリスタ「壁外調査でジャンとアルミンは一緒に戦ったんだよね」モグモグ

ジャン「ああ、お前とベタベタしている以外はできる奴だってな」ハハハ

エレン「こんの…馬面…」





リヴァイ「…おい」ギロッ




エレン(はっ!)


ジャン(やべっ!)




  シーン…




ハンジ「はははは、リヴァイの権力はすごいね」モグモグ

アルミン「でも、みんながいると楽しいなあ」

クリスタ「うん、本当にそう思う!」ニコ

サシャ「一人よりも何倍もおいしく食べられます!」モグモグモグ



アルミン「うん…そうだね」ニコッ


ワイワイ ガヤガヤ


アルミン(失いたくないなあ…誰も…)
















エルヴィン「さあ、選んでくれ」

アルミン「………」

ミカサ「…アルミン…」

エレン「………」



エルヴィン「壁の中の人類と、君の親友のどちらかをね」





アルミン「僕は、貴方の思い通りになんか、ならない」ギリッ






エルヴィン「…そうか、残念だ」ガチャ…

――――――
――――――
――――

――



エレン「アルミーン!大丈夫か!」

ミカサ「待って、頭を打っているかもしれない。揺すってはだめ」


アルミン(…あ、れ…)



【 お わ り 】

ここまで読んで下さった方いましたら、
本当にありがとうございました

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