一夏「自分の子供が欲しい」(223)
一夏「なんて女子に言っても、必ず断られるだろうな…」
一夏「それに女子しかいないIS学園。言った日には変な目で見られるに違いない」
一夏「でも、自分の子供が欲しい……」
一夏「パパの言うことを聞きなさい!」
のほほん(長女役)「おりむーがお父さん?なんか楽しそう」
鈴(次女役)「」
ラウラ(三女役)「何を言っているのだ、私は旦那だろう?」
※外見年齢的に配役した
こうですか?わかりまへんでおまんがな
今書こうと思ったんだけどシュタゲやハルヒでやった方が適したネタだなー
なんちゃってSF要素が入ってしまう
一夏「箒、卒業式も終わっちまったな」
箒「……」ドキドキ
箒「一夏よ。ちょっと話があるんだがいいか?」
一夏「ああ! いいぜ」
箒「……そのな、一夏。私はおまえのことが―――――」
◇◇◇◇◇
一夏「シャル、もうIS学園で過ごした日のことは忘れないぜ」
シャル「一夏。僕もきっかけはどうあれ、ここに来て良かったよ!」
一夏「ああ、俺もだ。シャルにも会えたしな」
シャル「えっ……」ドキッ
シャル「……一夏、ちょっと言いたいことがあるんだけど……」
一夏「おう、なんだよ」
シャル「あのね……僕、ずっと前から君のことが―――――」
――――――――――
―――――
―――
―
一夏「――――――」
……キロ
一夏「う……ううぅん……」
………オキロ! モウアサダゾ!
一夏「ふわぁ~あ……箒、おはよう! いい朝だな」
箒「ああ、おはよう」ジュージュー
一夏「歯を磨いてくるか」
箒「まったく、気持ち良さそうに眠って。もうすぐ玉子焼きが焼けるぞ」
一夏「そっか。箒の玉子焼きはうまいもんな~~!」
箒「ふふふ、ありがとう」
一夏「……」シャコシャコ シャコシャコ
一夏「……え!? なんで俺の部屋に箒がいるんだ!?」
一夏「と思ったらここ、寮の部屋じゃない……なんだ、この新築一軒家は」
一夏「て言うか、なんで俺洗面台の場所を知ってるんだ!?」
一夏(???)
イチカー デキタゾー
一夏「あ、ああ、すぐ行く……」
箒「どうだ、一夏。玉子焼きに焼鮭にほうれん草の胡麻和え、自家製出汁を使った味噌汁だ」
一夏「箒……ここどこだ? どうしておまえが飯作ってるんだよ?」
箒「何を言っている? おまえは私と結婚し、この新築の家を買ったんじゃないか」
一夏「え? は?」
箒「ひどい寝惚け方だな。ほら、いつものあれをやってくれ」
一夏(……『あれ』?)
箒「ほら……」
一夏(目をつむって顔をこちらに向けて……唇を艶めかしく輝かせて……)
一夏(……ええ!?)
一夏「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺は状況が全然分かってないんだ!」
箒「どういうことだ?」
一夏「俺はおまえと結婚したのか? いつ、どんなふうに?」
箒「……冗談が過ぎるぞ!」
一夏「いや、マジで要領を得ないんだ!」
箒「ほら、この写真を見ろ! 新婚旅行でイギリス・中国・ドイツを巡ったときのものだ!
誇るべき友人たちが自国を案内してくれたんだ!
一夏「!」
一夏(本当だ……)
一夏「……」
箒「思いだしたか?」
一夏「………箒、俺、記憶喪失かも知れない……………
俺、おまえと結婚したことすら忘れちまってるんだ……」
箒「なんだと!」
一夏「この写真をとったときのことも記憶にないんだ……」チラッ
一夏「あれ……? シャルが映ったものはないんだな。フランスには行かなかったのか」
箒「っ!?」
箒「おまえは……そんなことまで忘れてしまったのか!!」
一夏「え!?」
箒「う、うう……」
一夏「……ごめんな、箒。俺だって現状を把握するのに精一杯なんだ」
箒「………」
一夏「……まず飯食おうぜ。冷めちまう。
せっかくの純和風のうまそうな朝ご飯なんだ」
箒「………」
――――――
―――
―
一夏「この鮭うまいなあ。塩がちょうどよくて」カチャカチャ
箒「………」カチャカチャ
一夏「ほうれん草も栄養のバランスがとれて良いよな」
箒「………」
一夏(だめだ……押し黙っちまってる。とてもシャルのことを聞ける状態じゃない)
一夏「食事が終わっても雰囲気悪いままだったから外に飛び出しちまった」
一夏「風に当たったり景色を眺めればなんか思いだすかもな……」
一夏「ここは俺のいた町と同じなんだな。見覚えがある……」
弾「よう一夏! 何やってんだこんなところでよ?」
一夏「弾……ちょっと話があるんだけどな」
弾「なんだなんだ? あのフランス美女とうまく行っていないのか?」
一夏「!」
一夏「え、俺はシャルと……」
弾「おまえはシャルロットさんと添い遂げるって言ってたじゃないか
今の奥さんを大事にしてやらなきゃダメだぞ」
一夏「………はあ!?」
一夏「ちょっと待て、俺はシャルと結婚したのか」
弾「なーに言ってんだよ。おまえ、シャルロットさんの肩を抱いた年賀状を手紙を送ってきたじゃねえか
蘭は泣き崩れるわ数馬は壁殴って穴開けるわで大変だったんだぜ」
一夏「待ってくれ、俺は箒と結婚したんじゃないのか」
弾「……! てめえよお、頭おかしいんじゃねえのか」
弾「おまえでも冗談でそんなことは言わねえだろ……」
一夏「すまない弾、俺は実は記憶が混乱してるんだよ。
誰と結婚したのか、周辺の記憶がすっぽり抜け落ちちまってるんだ」
弾「……じゃあ、おまえは本当にあのことまで忘れちまったのかよ!
蘭も大泣きしたけど、おまえが一番泣いてたじゃねえかよ」
一夏「詳しく教えてくれ! 俺も向き合いたい」
弾「……ちょっとここで待ってろ。確か写真と当時の新聞が家にあったはずだ。
記憶喪失野郎には証拠を交えて一から順に丁寧に説明してやらねえとな」
一夏「助かるよ」
弾「行ってくる」タッタッ
一夏「………」
一夏(どういうことだ? 箒と結婚したんだと思ってたのに、実はシャルと夫婦になったのか?
箒の言い分と弾の言い分……どっちを信じればいいんだ……)
一夏(まあいい。今は弾の説明待ちだ。それから考えよう)
「ごめんね一夏。待たせちゃったかな?」
一夏「ん……? え……!」
「どうしたの? そんな驚いた顔して?」
一夏「おまえ…………腹が……」
シャル「あ、一夏、今動いたよ! お腹の子供もお父さんに会えて嬉しいのかな?」
シャル「じゃあ行こうか」グイッ
一夏「あ、その……え!? なんっ……えっ?」
シャル「どうしたのさ?」
一夏「す、すまん。俺弾を待たせてるんだ」
シャル「友達と約束したの? 何の?」
一夏「話せば長くなるし、そもそも俺も理解できてないんだ」
シャル「うーん……まあ、言ってみてよ」
一夏「実はな……俺、今記憶喪失になってるんだ」
一夏「殴り飛ばされても文句は言えねえけど、結婚相手が誰かもすっぽり抜け落ちちまってさ……」
一夏(箒とのことはややこしくなりそうだから黙っておくか)
一夏「そんで今、思いだすための手がかりとして弾に協力して貰ってるんだ」
シャル「…………何それ。僕を騙そうとしてるの?」
一夏「本当なんだよ! 俺もこれが嘘だったらどんなにいいかって思ってるよ!」
シャル「ほ、本当に?」
一夏「ああ。嘘は無い」
シャル「……じゃあ、ちょっとお店にでも入ってお話しようよ」
一夏「弾を待たせてるんだが……」
シャル「弾君は一夏の記憶を取り戻すために手助けしてくれてるんでしょ?
なら当事者の僕に直接話をした方がいいじゃないか」
一夏「確かにそうだけどよ」
シャル「行こうよ、じゃあ。僕も夫がこんなことになってるなんて心配でたまらないんだよっ……」
一夏「!」キュウウウ
シャル「ちょっと歩いた先に喫茶店があるから、そこにしよう」
一夏「そうだな」
一夏(弾、すまん! 後で謝るわ)
一夏(思えば……箒に見せて貰った新婚旅行の写真にはフランスのものがなかった。
そのことを指摘したら、箒は泣いて押し黙っちまった。これは重大なことだって気はする)
一夏(さっきの弾との会話で、俺は箒と結婚したんじゃないかと言ったら奴はにわかに怒り出した)
一夏「なあ、シャル……」
シャル「店員さん、コーヒー二つで……何、一夏?」
一夏「箒のこと覚えてるか?」」
シャル「何言ってるの? 忘れるわけないじゃない。箒は………
って、まさか、一夏は箒のことも……」
一夏「ああ、どういう関係だったかも不確かだ。でもな、俺今日の朝な……」
シャル「うん……どうしたの?」
一夏(開けてはならない扉かも知れないが、真実を知るには進むしかない……)
一夏「新築の一軒家に寝てたところを箒に起こして貰ったんだ。
箒の奴、朝飯作ってくれててさ」
シャル「…………」
店員「お客様。コーヒーお二つ、お持ちしました。」
シャル「……な」
一夏「?」
シャル「何を言っているのさ!! 箒は死んだんだよ!?」
純和風朝ごはん食べてくる
セルフ保
一夏「!!」ビクッ
周辺客「「「「!!」」」」」ビクッ
店員「どうぞごゆっくり」スタスタ
一夏「箒が……死んだ?」
シャル「そうだよ。ねえ、一夏。どうして忘れちゃったのさ……?
あ、ごめんね、一夏だって忘れたくて忘れたわけじゃないよね」
一夏「でも、箒に作って貰った朝飯食ったことは覚えてるぜ!?
焼鮭に玉子焼きに、海苔と味噌汁と……」
シャル「今日の朝僕が作ったものじゃないか!!」
シャル「まさか、今日の朝のことまで忘れちゃったの?」
一夏「………」
シャル「一夏と僕は昨日千冬義姉さんの家に挨拶に行ったでしょ。
そのとき、僕は掃除のやり方や洗濯物のたたみ方を監修してもらったじゃない。
今日の和風朝ごはんだって僕が作ったんだって」
一夏(どういうことなんだ……本当に意味が分からない……)
シャル「じゃあ、結婚する少し前から話してあげるよ」
シャル「僕は学園生活最後の年のある日、今まで言えなかった気持ちを一夏にぶつけてみたんだ」
シャル「そのとき色よい返事は貰えなかったけど、決して希望がないわけじゃない返事だったんだ」
一夏「……」キュゥゥゥゥ
一夏(! まただ! なんか頭の中がざわついて胸が苦しくなってる!)
シャル「他のライバル――鈴たちのことだよ――は、一夏に告白しても鳴かず飛ばずだったから、
忘れようとしてそれぞれ自分の打ち込むものを見つけていった。でも僕以外に一人だけ残った女の子がいた」
一夏「それが……」
シャル「そう、箒だよ!」
シャル「箒は一夏に想いをぶつけていった。不器用な女の子だったけど、素直になった彼女は強敵だった
正直、彼女がストレートに一夏に向き合うようになられるととても厄介だった。
でも、そんな箒は僕の目から見ても魅力的だった」
一夏「そうか……俺はどういう奴だった?」
シャル「一夏は三年間にどんどん力を付けていったよ。外敵との戦いには一年時からずっと前線に立ってたしね。
千冬義姉さんとのISを使わない近接格闘戦でも何度か勝利を収めてたね
そもそもギリギリの実戦を十六歳から途切れることなく続けてたんだから、当然と言えば当然だけど」
一夏「そう言えば」キュゥゥゥゥ
一夏(うむ、これは間違いない記憶だ。俺は皆を守れるくらい強くなりたくて、強敵にも挑んでいったんだ)
なんでVIPでシャルって人気ないの?
ラウラが親としては一番まともそう。次点は鈴
シャル「結局、卒業式の日に僕は勝負を掛けることにした。けど、それは箒も同じ考えだった」
シャル「僕は卒業式のあと、箒より先に一夏と二人きりになれるチャンスを得ることができたんだ
一夏、そのとき『シャルと会えて良かった』って言ってくれて……嬉しくて……
この雰囲気なら改めて言えると自信が付いて、初めての告白のつもりで切り出したんだ」
一夏「うん……」
シャル「でも、突然亡国機業のISに襲撃を受けたんだ。一夏はすぐISを展開して、先生に連絡したり応戦したりしてた」
一夏「な!」キュゥゥゥゥ
一夏(そう、それは覚えているぞ!! 卒業式の日に襲われたんだ!)
一夏(どうやら本当の事だと確信が持てると胸が締め付けられるような感覚になるらしい)
シャル「一夏はさ、三年間の間に亡国機業を壊滅的な被害を与えたんだよ。
何度も襲われて、その度に切り抜けて……敵のISを使用不能に追い込んで……」
シャル「その日、一夏が闘っているとき、僕と箒も別の敵を二人で追い込んでたんだ」
シャル「そのとき……最後の執念で一夏を仕留めようと敵が僕らの相手を止めて飛んで行ったんだよ」
シャル「僕は驚いて、すぐには動けなかった。でも箒は違った」
一夏「箒はどうしたんだ」
シャル「すぐ相手を追い掛けたよ。一夏は二人同時に相手をすることになって旗色が悪くなった。
敵の一人を弾き飛ばしたところを、もう一人の敵が突進してきて……」
一夏「それで!?」
シャル「箒が一夏を庇って……」
一夏「………!」
シャル「敵は絶対防御が機能させないようにする技術を持っていたんだ。
特に注意して相手にしなければならなかったんだ………」
一夏「あ……あ……」
シャル「そのあと、一夏は激怒して敵のコアを一瞬で斬り飛ばしたんだ。敵を二人とも倒しちゃったんだよ
戦闘教員たちが来るまでの間に、すべては終わったんだ」
一夏「じゃあ、箒は……」
弾「敵の武器に体を貫かれて亡くなったんだ」
一夏「! 弾!」
シャル「こんにちは。すみません、一夏を待たせてたのに連れ出したりして」
弾「別にいいですよ、シャルロットさん。一夏、思い出したかよ」
一夏「ああ、大体はな」
弾「そうか。ほれ、これが当時の新聞だ」スッ
一夏「本当だ。一面に『篠ノ之博士の妹が死亡』って出てるな……」
シャル「一夏、箒の亡骸を抱いてずっと泣いてたよ……」ジワ
シャル「うっ……うっ……」ポロポロ
一夏(俺はとんでもないことを忘れてたみたいだ……)
一夏(でも、朝のあの光景は……うん?)
一夏「シャル……今日の朝飯のメニューなんだったかな」
シャル「何? そんなこと聞いて……さっき自分でも言ってたじゃない」グスッ
一夏「いいから、教えてくれないか」
シャル「焼鮭でしょ。お味噌汁でしょ。あとは玉子焼きと海苔だったと思う」
一夏(確か俺は箒との朝食のとき……)
――ほうれん草も栄養のバランスがとれて良いよな――
一夏(って言ったはずだ……それに海苔は付いてなかったように思う)
一夏「シャル、それで全部か? ほうれん草は?」
シャル「それは用意しなかったよ」
一夏「海苔は本当に付いてたか?」
シャル「うん。高級海苔を奮発しようと考えたことを覚えてるもん」
一夏(俺もなぜか箒との食卓にない海苔を食ったことは記憶にある。だから
『でも、箒に作って貰った朝飯食ったことは覚えてるぜ!?
焼鮭に玉子焼きに、海苔と味噌汁と……』と言ったんだ……)
一夏(夢と混同してるのか? でも、千冬姉に会いに行った記憶が全然ない。
……そもそも俺の記憶喪失は家の外で弾に会う直前に始まったのかも。箒と結婚生活は夢の話か)
弾「難しい顔してよ……大丈夫かよ」
シャル「色々ショッキングな出来事を思い出して苦労してるんだよ」
シャル「ねえ、箒が亡くなったあと、僕と一緒になるくだりはあとで説明してもいいからね
大分疲れているように見えるし」
一夏「ああ」
弾「ところでシャルロットさん、お腹の子は元気ですか?」
シャル「はい! たまに動いて苦しくなるくらいですよ」
弾「おい、一夏! シャルロットさんとお腹の子をあんまり困らせるんじゃねえぞ!
さっさと記憶を戻して助けてやれよ!」
一夏「ああ、そうするよ……すまん、ちょっと席を外してきていいかな。外の空気を吸いたいんだ」
シャル「うん。気分転換しておいで。待っててあげるよ」
弾「しっかりしろよ、おい」
一夏「じゃ、ちょっと行ってくるわ……」
一夏「シャルたちの話を聞くと本当だって気はするけど、冷静になるとなんか納得いかないな」
一夏「あいつらの言い分を信じれば、俺はシャルの夫でゆくゆくは一児の父になるわけか」
一夏「そもそも、俺はなんで記憶を失ったんだ……」
のほほん「あ~~! おりむー久しぶり~~!!」ブンブン!
虚「あら」
一夏「あっ、のほほんさんに虚さん! 今日はショッピングですか?」
のほほんさん「うん! おりむ~は? 今なにしてるの?」
一夏「いや~~ちょっとな。説明すると長くなるしな」
虚「あらあら、弾君と遊んでいたわけではないのね」
一夏「弾なら向こうの喫茶店にいると思いますよ」
虚「えっ……」ドキッ
のほほんさん「う~ん? お姉ちゃん顔赤くなってな~い?
……あ、そっか! 何でお洋服見に行こうって言ったのか分かった~~!」キャッキャッ
虚「こ、こら! ところで、弾君は一人でお店にいるの?」
一夏「いや、シャルと一緒だと思いますけど」
のほほんさん「!」ピクッ
虚「え……シャルロットさん……と?」
まるで状況が新手のスタンド使いの攻撃だw
一夏「ええ、何かおかしなこと言いましたか?」
のほほんさん「おりむー……それ、本気~~?」
一夏「ど、どういうことですか!?」
虚「どういうことも何も……シャルロットさんは亡くなっているじゃない!!」
一夏「!!??」
一夏「……………………は!? えっでも……ええ!?」
のほほんさん「どうしたの? 冗談きついよおりむー」
虚「ジョークが下手だとは思ってたけど、それはないわよ……」
一夏「いや、本当ですって!! なんなら行きましょうよ喫茶店に」
――――――
―――
―
一夏「ほら、この店ですよ!」
のほほんさん「ちょっと怖いね……」ヒソヒソ
虚「ここまで強く言ってくるのは重傷ね」ヒソヒソ
一夏「入りますよ!」
ガラッ
店員「いらっしゃいませー」
シャルと箒ってどっちのが抱き心地良いの
一夏「えーと」キョロキョロ
一夏「あれ、いない……すみません。金髪のフランス人の女の子がいたと思うんですけど」
店員「……? そのようなお客様は来店されていませんが」
一夏「ええ?」
のほほんさん「どうだった~?」
一夏「いや、まだだ! さっきシャルロットが座ってた席は……」ダッ
一夏「!」
一夏(跡形もねえ……)
一夏「どういうことだ……俺には分からない………」
トントン
一夏「あ、はい」
店員「お客さん、困りますよ。お会計せずに出て行かれては。これ、伝票です」
一夏(そうだ! シャルはコーヒー二つって頼んだはず! テーブルを確認すれば)チラッ
一夏(……)
一夏の目に映ったのは
冷 め た 『一 杯』 の コ ー ヒ ー だ っ た
一夏「…………な」
一夏「……何でだよ!!……うう」ガクッ
虚「織斑君!」
のほほんさん「だいじょ~ぶ~?」
一夏「のほほんさん、俺、シャルと結婚したんじゃなかったか?」
のほほんさん「何言ってるのさ! おりむーはしののんを選んだんじゃん!」
一夏「!!」
虚「大事を取らなくてはいけないわ。織斑君、あなたの記憶は混乱しているみたいね」
虚「家まで送って行ってあげるわ」
一夏「俺は箒を選んだんだよな……やっぱりそうか……」
のほほんさん「はい、コーヒー代」チャリン
店員「ありがとうございました」
虚「………なるほどね。今日の朝から記憶がなくて翻弄されてるのね」
一夏「シャルは確かに俺と話してた……弾もいたはずなんだ……」
のほほんさん「そういえば、ごったんがお店にいるって言ってたけどいなかったね」
一夏「結局俺は誰と結婚したんだ? もう訳が分からな過ぎて……」
虚「本音。あなたあの手紙鞄に入れてたでしょう。見せてあげなさい」
のほほんさん「らじゃー!!」
一夏「手紙……?」
のほほんさん「絵葉書だよ。じゃ~ん!」ッパ!
のほほんさん「おりむ~としののんの新婚旅行写真~~!」
一夏「あ!」
虚「ほら、あなたは新婚旅行で中国・ドイツ・イギリスに行って、お友達に土地を案内して貰ったんでしょう」
一夏(今朝箒に見せて貰った奴だ!)
のほほんさん「思いだした~~?」
一夏「シャルは、シャルはなんで死んだんですか!?」
虚「それはもうすぐ説明してあげるわ。奥さんと一緒の方が話しやすいしね」
のほほんさん「とかなんとか言ってる間におりむーの家が見えてきたよ~~」
なんでフランスに行ってないの
ガチャ
箒「………」
一夏「た、ただいま箒」
箒「一夏……すまない。記憶が混乱しているおまえには丁寧に接しなければいけなかったのに」
一夏「いや、誰だって身近な人間に急に記憶なくされたら戸惑うよ」
のほほんさん「しののん、こんにちは~~!」
虚「その呼び方止めなさい。今は織斑箒さんよ」
のほほん「それもそっか~~!」テヘッ
一夏「この二人は記憶をなくした俺をフォローしてくれたんだ」
箒「そうか……手間を掛けさせてしまってすまない。これも私に責がある」
箒「さあ一夏。私もおまえが出ていってから反省したんだ。
やはり、一つずつ記憶を取り戻させていくのが良いだろうとな」
虚「話してあげて」
箒「ああ、まず学園の三年間からおさらいするか」
箒とはまだ子供居ないのな
妾(笑)は繁殖力強い
箒「おまえは世界で唯一ISを使える男子として学園に入ってきた。
おまえのことを好きになった女生徒は数多い。しかし、最後までアタックを掛け続けたのは私と」
一夏「シャル……」
箒「そうだ。おまえは学園でメキメキ腕を上達させていった。外敵との戦いが起こる度に前線に立ち、死にかけるまで戦った
純粋なISの戦闘ではおまえが学園一だったかも知れん。二年の中頃では模擬試合で楯無生徒会長を打ち負かしたこともある」
一夏「……そうだった」キュゥゥゥゥ
のほほんさん「おりむ~が学園一だろうって、あのときは皆騒いでたねえ~~」
一夏「箒、卒業式は……」
箒「うむ……言わねばならないだろう」
箒「私は意を決して卒業式のあとに告白する気でいた。恐らく、シャルも同じことを考えたと思う
先に想いを伝えたかったのは両者同じだったと思う。
つまり『相手が自分を必ず選んでくれるはずだ』という確信を、私もシャルロットも持っていなかったんだ」
箒「卒業式のムードを借りれば、一夏も少しは感傷的になるだろうから、そこに賭けようという打算もあったわけだ」
のほほんさん「おりむーは罪な男」
虚「こらっ!」
箒「私は最初にシャルより先に告白することができた。そのときは幸運だと思っていたが、あとになってそんな考えは消えさったさ」
一夏「亡国機業の襲撃事件か」
箒「思いだしたか」
一夏「一つを除いてな。俺は皆を守ろうと飛び立ったことは覚えているんだ。
敵の攻撃に執念がこもっていたことは思い出せてる」
箒「そうだ。わたしとシャルロットはたまたま襲撃地点の近くにいたから、すぐに鎮圧に向かうことが出来た
恋敵ということも忘れ、私たちは連携をとって戦ったよ。
シャルが接近戦を仕掛け、敵の動きが止まったところに私が砲撃を浴びせてな」
箒「私はシャルロットに対してもやもやした気持ちを持ったまま卒業したくなかった
あの戦いの中で、自然な信頼関係を確認することができたのは正直に言って嬉しかった」
一夏「それで、箒たちが相手してた敵が俺を狙いだしたんだっけ」
箒「そう。そしてシャルは敵の攻撃からおまえを庇って……死んだ」
一夏「……」
のほほんさん「……うっ」ポロポロ
虚「本音……」ギュッ
箒「私はすぐに動けなかった。しかし……シャルロットは勇ましく飛び立っていった」
箒「……私はおまえがシャルロットの亡骸を抱きながら空に向かって泣き叫んでいるのをただ見つめることしかできなかった」
一夏「それですべてが一段落したあと、俺とおまえは正式に結婚したわけか」
箒「ああ……一夏っ……」
一夏「どうした」
箒「私はシャルロットのおかげで一夏と結ばれたのではないかという思いが今も胸に残っているんだ……
感謝の気持ちもあるし、友が亡くし傷心した者の連帯感につけ込んでしまったのではないかという罪悪感も残っている」
虚「箒さん、大丈夫?」
箒「新婚旅行でフランスを避けたのも、シャルロットの存在をこれ以上強く感じたくなかったからだ……」ポロポロ
一夏「箒……」
のほほんさん「どう! これで思い出したでしょ!」
一夏「ああ……そうだ。ちょっとお茶でも淹れてきます。二人は箒を見てやってください」
虚「わかったわ」
一夏「さて、どういうことかな?」
一夏「シャルが言ってたことも箒が言ってたことも共通する部分は多い。
違っているのは卒業式の告白のくだりだ」
一夏「箒とシャルはどちらも自分以外が俺を庇って死んだといい、自分は俺と結婚したって言ってる」
一夏「やっぱり……箒の方が本当なのか? シャルは消えちまったし……」
一夏「一体どっちが正解……いや、待てよ。どっちも……間違い!?」
一夏「……!」キュゥゥゥゥゥゥ
一夏「くそ……思い出せそうだ……でも、眠い………」ガクッ
ドサッ……
――――――
―――
―
一夏「これで出題編は終わりです。解答編をお楽しみに」
解答はいつよ
一夏「って言えたらいいな……」
一夏「どんどん……意識が遠くなる……」
一夏「くそ……この現実疲れたぜ……夢の世界ではゆっくりしたいな……」
――――――
―――
―
一夏「……ここはどこだ? 俺は何をしてる……」
一夏「なんだ? 白式に包まれてるのか……ところどころにコードが伸びてるけど……」
一夏「変な夢だな。ん?」
モドルリソウデスカ!?
一夏「何だ……聞き覚えのある声だ……」
ジュンチョウデスヨ! ソウデスカ……
一夏(なんだ……安らかになる)
一夏(いい気持になってきたら……眠気が……夢の中でまた眠るのか……)
一夏(良く見たらここは手術室みたいな……ていうか……ISの整備ルームの特徴もあるな)
夢オチのようで実際に箒と結婚していて妾と子作りしている現実
一夏「はっ!」ガバッ
黒髪少年「お父さん、おはよう!」
金髪幼女「おはよー」
一夏「ああ、おはよう……」
一夏「……君たちは誰だ」
金髪幼女「なにー? お父さんの娘だよー」
少年「早くお母さん探しに行こうよ」
一夏「………………」
一夏(???)
一夏「ええー!」
黒髪「何だよう。今日はIS学園に行くんでしょ。早く支度してよ!」
金髪「お父さんの行ってた学校なんだよね! 楽しみー!!」
一夏「え………」
金髪「あっ! それがお父さんが着てた制服!? かっこいいー」
一夏「あれ、俺制服のまま寝たっけ……?」
黒髪「お父さん強かったんでしょ! 早くお母さん迎えに行ってあげようよ!」
金髪「そうだよ。フランスから一人でやってきたんだから寂しがってるよ」
一夏「!!」
黒髪「何言ってるんだよ! お母さんは日本人だい!」
金髪「違うよ! フランスから来た人だよ!」
一夏「お、おい……くそ、また眠く……」
一夏「もう解放されたいぞ」
ガクッ
一夏「……また夢か………妙に意識がはっきりして……」
「目が覚めたぞ!」
「はやく家族と協力者を呼んでやれ!」
一夏「うん?」
千冬「一夏っ!!」
束「成功したでしょう? 束さん大天才!」
鈴「やっと……やっと起きた……ぐすっ」
セシリア「うう……とんだ眠り姫もあったものですわね……うっうっ……」
ラウラ「良かった! 遂に回復したか! 久しぶりに私の顔を見た感想はどうだ!?」
簪「一夏……ずっと……ずっと……心配して……」
一夏「皆……なんで……」
一夏「俺は……そうだ!」
千冬「皆、すまんがこいつはまだ繊細な扱いをせねばならない」
一夏「千冬姉……俺、思い出してるよ! 全部全部!」
千冬「ああ……」
――――――
―――
―
一夏「で、俺は敵と一対一で戦ってるとき、箒とシャルが抑えてた奴にも狙われた」
千冬「うむ」
一夏「急に襲いかかられたけど、とっさに反撃して事なきを得たんだ。
そいつはフラフラになって地面に激突した」
一夏「でも今度は俺が相手をしてた奴がシャルと箒の方を狙いだしたんだ」
一夏「俺は無我夢中で飛び出して、二人の前に身を投げ出して……そっからの記憶はない」
千冬「今まで眠りっぱなしだったからな」
一夏「俺はなんでずっと目覚めなかったんだ?」
千冬「おまえを昏倒させた敵は篠ノ之とデュノアの同時攻撃によって撃沈された
あいつらは絶対防御を阻害する装備を持っていたが、破壊されることでその効力を失い、
少し遅れて白式が操縦者回復形態に移行した。福音のときと同じだな」
一夏「でも」
千冬「ああ、しばらく経てば回復するだろうと思われていたが、おまえは一向に目覚めなかった。
束がいうところによると、脳に強い衝撃が走ったせいで記憶が乱され、白式はその記憶を戻そうとしているためだと言っていた」
一夏「ISって傷や骨折の回復促進だけじゃなくそんなこともできるのか」
千冬「おまえの白式が特別製なんだろう。おまえは白式を進化させ続けたからな」
千冬「……束。いるんだろう」
束「はいはーい!」ピョン
スタッ
一夏「うお! 天井裏から!」
束「じゃじゃーん! 皆のアイドル束さんだよー!」
千冬「一夏に施した治療を簡潔に説明してやれ」
束「うーんとね! まずね、いっくんの状態は下手すりゃずっと目覚めないほどだったのね。
これは一大事と慌てた束さん、持てる知識をいくつか動員して、画期的な治療法を作り上げることに成功したのです!」
一夏「はい……」
束「超簡単に言っちゃえば、外的な刺激を与えて記憶を喚起させちゃおうという作戦なのだ!
いっくん、人に話をするときは話題に合わせた情報が自然と記憶から検索されてくるでしょ。
込み入った話をするとちょっと違うんだけど、今はそういう理解でおっけー!」
一夏「……」
束「でも、この方法はエネルギー・バイパスを繋いで白式にエネルギーを与えて操縦者回復機能を応援するとともに
コア・ネットワークを無理やり開いていっくんに呼びかけ続ける人が必要だったんだ」
一夏「それって!」
千冬「ああ。篠ノ之とデュノアだ」
お互いに亡き者にしていたのか
千冬「この二人はおまえを巡って競争していたわけだがな。
紅椿の特徴の一つにエネルギーを分け与えることができ、デュノアは過去におまえとバイパスを繋いだ実績があった」
束「エネルギーを繋がないとコア・ネットワークで呼ぶだけの方法より相乗効果が期待できるんだ」
一夏「そうか……」
千冬「奴らは二人で……いや、おまえを含めると三人か。連日この部屋にこもっておまえにエネルギーと声を掛け続けたわけだ」
一夏「その二人は!? さっきいなかったけど!」
千冬「あいつらも間が悪い。もうしばらくで目覚めそうだという見通しが立つと、おまえが起きる前に二人で外に出てしまった。
今まで避けていた話をするためだろうな」
眠くなってくるとミスが増えるな
× 紅椿の特徴の一つにエネルギーを分け与えることができ、
○ 紅椿の特徴の一つにエネルギー増幅機能があり、
×エネルギーを繋がないとコア・ネットワークで呼ぶだけの方法より相乗効果が期待できるんだ
○エネルギーを与えながら行うとコア・ネットワークで呼ぶだけの方法より相乗効果が期待できるんだ」
一夏「そうか……探しに行ってくるよ!」
千冬「駄目だ。まだおまえは容態を観察されている。今話しているのだって私が特別な許可を得ているからだ。
一夏「束ねさんは?」
千冬「奴はこの方法を確立するとしばらく消えおったが、さっきひょっこり現れたんだ」
一夏「そっか」
千冬「しばらくベッドに横になっているといい。私ももう退室せねばならない時間だ」
千冬「……一夏。もう二度とあんな真似はするなよ。悲しんだのは小娘どもだけじゃないんだからな」
一夏「ああ」
バタン
一夏「そうか……」
一夏(俺が見てきたビジョンは箒とシャルの声を掛けられて喚起されたイメージだったのか。
思い直してみると現実みたいだけど現実じゃなかったもんな。夢と同じだったんだ)
一夏「卒業式の日……俺はあいつら二人同時に呼ばれて、振り返ったときに襲撃を受けて、IS展開して飛び出して」
一夏「すぐ出ていかないとな……」
一夏「こんなところ……あいつらには俺が直接会いに行かないと」
俺はしばらく医者に経過観察された。
見舞いもしばらく禁止されていたらしいが、身体のどこも傷はなく、意識もはっきり戻っていることが医者も分かっていたのだろう、
ひょっとしたら千冬姉が手を回してくれたのかも知れないが、数日したら鈴たちがやってくるようになった。
しかし……箒とシャルが訪れたことは一度もない……
>>68
でもその子はたぶん他の男との間に出来た子供
一夏「今日で退院か」
千冬「行くのか?」
一夏「ああ! 鈴たちに話を聞いたら今日は病院の庭で待ってるらしいんだ!」
千冬「一夏……一つ尋ねていいか?」
一夏「うん。いいけど」
千冬「なぜおまえは卒業式までにどちらかに決めなかった?
あいつらをいたずらにやきもきさせたのではないだろうが……」
一夏「俺はさ……心のどっかで怖がってたんだと思う」
千冬「怖がっていた、だと・」
>>174
シャル「自分の子供が欲しい」
ワンサマの嫁はシャルだが妾との間にしか子がいない
子は妾にクリソツ
一夏「うん。告白を受けて付き合うなら半端なことはしない。
結婚も考えるし、その先のことだって視野に入れるさ」
一夏「でも、俺は本当に親になれるのか、不安だった。
両親がいない俺なんかに務まるものなのかって」
千冬「……っ!」
ガチャ
鈴「一夏ー! さっさと準備しなさいよー!」
セシリア「お待ちですわよ、お二人とも」
ラウラ「用意にこんなに手間取るとは、どこのお嬢様だ!」
一夏「ああ、行くよ!」ダッ
千冬「……………一夏」
一夏(俺さっ……やっと気付いたんだ)タッタッ
一夏(あのとき、卒業式のとき敵のISと戦っているとき、こともあろうに俺は―――)タッタッ
一夏(「子供が欲しい」って考えてたんだ……)タッタッ
一夏「俺が死んでも……残るものが……あればって……死にかけるほどの戦いを繰り返すうちにそんな思いが強くなっていったんだ……
箒とシャル、どちらを選んでもやっぱり子供は欲しいと思った。あいつら二人がとても愛おしかった!
それで、俺は無我夢中であいつらの楯になって……」
一夏「うううううう! それで、俺は……」キュゥゥゥゥ
箒「シャルロット、おまえも花を持て」
シャル「うん。ありがとうね箒。僕日本式の作法を知らないから……」
箒「そうか。じゃあ目を瞑って手を合わせろ」
シャル「うまくできるかな……まあ、できなくてもきっと許してくれるよね」
箒「ふふ、違いない……」
一夏「死んだんだ………」
一夏(あいつらの思念が流れ込んできたのかな……
それで……訳が分からないまま漂っていた俺の記憶が再構成されて、現実に気付けたんだ)
一夏(どっちと結婚したのか分からなかったあの夢も……白式の中で眠ってたっていう病院のできごとも……
身近な人間の想いを受信して俺が勝手に作り上げたんだ……そのイメージの中に記憶を取り戻すきっかけはあった)
一夏(箒……! シャル……!)
箒「………」
シャル「………」ジワ
箒「うっ……」ポロ
シャル「うううぅぅぅ……」ポロポロ
箒「うううぅぅ……ひくっ……」ポロポロポロ
シャル「うえぇぇぇ………一夏……一夏ぁぁ!」
一夏「これが……本当の真相かよ……・」
箒「シャルロット……一夏はきっとおまえを選んだだろうな」
箒「気立てが良く器用でおおらかで――私は素直に身を引くべきだった」
シャル「なに言ってるのさ。僕はきっと箒を選んだだろうって思ってたるだからね」
シャル「まっすぐで凛としてて自分に厳しくて――絶対一夏はパートナーに箒を選ぶだろうって」
箒「私はおまえが一夏の子を宿すところまで宙に描いたぞ」
シャル「僕は箒が新婚旅行のとき鈴たちにそれぞれの土地を案内してもらう姿を想像したよ」
箒「……死ぬべきはどう考えても一夏じゃなかった」
シャル「……それは同じ意見だよ」
箒シャル「「自分が代わりに死ねば……」」
一夏(再構成されたイメージのうち――
シャルと結婚生活は箒の想像が、箒との結婚生活はシャルの想像が柱になってたらしいな。
同時に受信するとあんな混沌としたものになるのか)
一夏(俺が白式の操縦者保護を受けたっていう想像は、多分千冬姉たちのものか……)
一夏「―――――さて……」
箒シャル「……」
箒「やめろ……自分を責めるのは」
シャル「箒こそ!」
箒「シャル……おまえとは妙な仲になってしまったな」
シャル「うん、そうだね。恋敵とか仲間とか、そういうのとはちょっと違うね」
「二人とも、すげえ仲良くなったな!」
箒「そうだな。さあ、もう墓周りに雑草が生えている。墓を磨いてから草むしりをしてやろう」
シャル「うん!」
「ありがとうな! 二人とも!」
箒「礼には及ばんさ」
シャル「うん。一夏のためだもん」
箒シャル「…………え!?」ピクッ
箒「今…………確かに」
シャル「うん! 聞こえた!」
箒シャル「…………一夏!」
フワァッ
一夏「…………」
一夏「…………」ニッ!
箒「!」
シャル「あっ……!」
箒シャル「一夏あぁぁぁぁ!!」
――――――
―――
―
一夏(あの二人を守れて更に絆を深める手伝いが出来たんだから、俺が死もそう悲しむものじゃないのかな)
一夏(子供はできなかったけど……まあ悲観することばっかりじゃないな)
一夏(それにしても……最後にあの二人が支え合うところ見れたのは良かったな)
一夏(やっと……いい夢が見れそうだ……んじゃ、まあ……)サラサラサラサラ
一夏「おやすみ!」
おしまい
見てくれた皆、ありがとう
エロ期待した人、ごめんなさい
自分としては純愛イチャコメSS希望します! ↓
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クソ