千早「…くっ」プルプル
春香(千早ちゃん…?)
千早「…これは」グヌヌ
美希(千早さん…)
千早「…くやしいけれど」ギリッ
雪歩(千早ちゃん…)
千早「…」スッ スタスタ ガチャ バタン
雪歩「ふぅ~」
春香「なんだか緊張したー…」
美希「千早さん、どうかしたの?」
雪歩「何かを読んでたみたいですぅ」
春香「台本…じゃないみたい。なんだろう、すっごい強い眼差しで読んでいたよね」
雪歩「あまりに真剣で、私まで息が詰まっちゃいましたぁ~」
美希「ミキもなの。ステージに立つ直前と同じくらい、ピリピリした雰囲気だったの」
春香「一体あの本は、何なんだろうね…」
美希「気になるけど、勝手に見るのはさすがに失礼なの」
春香「私が見た時は、肩を震わせて何かを我慢したような感じだったよ」
美希「ミキが見た時は、なんだか悔しそうだったの」
雪歩「私が見た時は、少し怒ってたようにも見えます~」
美希「う~ん…演技の練習?」
春香「でも、千早ちゃんの性格だと、事務所で練習って考えにくいと思うよ」
雪歩「そうだよね。自宅かレッスンスタジオか…」
美希「…なりふりかまわないくらい、追い詰められてたりしてるのかも」
春香「美希の言う事、案外間違っていないかもしれないね…」
雪歩「千早ちゃんが、追い詰められてるって事ですかぁ?」
春香「千早ちゃん、ひとりで頑張りすぎちゃうところがあるから…」
美希「春香の言う通りなの。千早さんは頑張りすぎちゃうところが問題なの」
美希「もっともっと、ミキたちを頼ってくれたら嬉しいのに…」
雪歩「二人とも、ちょっと考えすぎ…だと思いたいですぅ」
春香「とにかく、あの本が何かわからないと、どうしようもないよね…」
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」
春香(千早ちゃんの雰囲気に押されて)
美希(ついつい、春香たちと離れちゃったの)
雪歩(うぅ…なんで私は給湯室に来ちゃったんでしょうか~)
千早「…」ペラッ
美希(雑誌を見てるフリして千早さんを観察するの)
春香(曲の確認するフリして…出来るだけ自然に…)チラッ
千早「…」ククッ
春香(笑った…よね!?)
美希(口の端だけで笑ったの…千早さんが、黒い笑い方をしたの!)
春香(なんだろう…さっきは悔しい感じや怒りの感じ…だけど今度は違う)
美希(相手を騙す、悪い女に見えてきたの…!)
千早「…」フフッ
美希(やっぱり…あれこの間、でこちゃんが練習してた、『クールな女の笑い方』なの!)
美希(千早さんに、悪女役の仕事が来た…のかも)
美希(千早さんは、凛とした中にはかなげなものも持ってて)
美希(なんていうか、孤高の存在って感じなの)
美希(他を寄せ付けない雰囲気もあるけど、実際はすごくやさしいし)
美希(歌だけじゃない、自分の芯をしっかり持ってる、ミキの憧れなの)
美希(ハニーが千早さんに悪女の仕事を持ってきたのかな…?)
美希(…)
美希(意外とハマる気もしてきちゃったの…さすがハニーは敏腕なの!)
美希(ミキに全力を注ぎながら他のメンバーにも気を配るなんで、本当にデキる子なの!)
美希(ミキ的には、あずさの悪女とかも、すっごい似合うと思うなー)
春香(イヤホン両方着けちゃったから、千早ちゃんの声は聞こえない…)
春香(でも、さっきの表情は、ほんの少しだけ笑ったよね)
春香(面白いから笑う って感じじゃなくて、なんていうか)
春香(『なに?あなたずいぶんやるじゃない』みたいな)
春香(上から目線?全てを見切った感じ?)
春香(…わからない。わからないよ!千早ちゃん!)
春香(そういう役柄が回ってきたなんて、そんな話も聞いていないし)
春香(…あ)
春香(イヤホン片方だけにすれば、声も聞こえるね)
千早「…」ペラッ
千早「…やっぱり」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…次はベンチね」ペラッ
千早「…」ペラッ
千早「…やっぱり」ペラッ
雪歩「千早ちゃん、お茶どうぞ~」ニコニコ
千早「えっ、あ、ありがとう、萩原さん」
雪歩「どういたしましてですぅ~」スタスタスタ
春香(ゆゆゆ雪歩!?逃げ込んだ給湯室といつものお茶くみを使った頭脳プレイだけど!)
美希(すっごいの、雪歩。あんな大胆に攻めるなんて…恐ろしい子!)
雪歩「千早ちゃん、昆布茶どうぞ~」ニコニコ
春香(また来た!雪歩それはムリがあるよ!)
千早「ありがとう萩原さん」
春香(普通に飲んだ!)
千早「…」スッ スタスタ ガチャ バタン
春香「…」
美希「…」
雪歩「…」
美希「雪歩は大物なの」
春香「本当だよ。最初のお茶は、勇気ある凄い作戦だと思ったけど」
春香「その直後に、違うお茶も持ってくるなんて思わなかったよ」
美希「さすがのミキも、あれはまねできないと思うな」
雪歩「でも、肝心の本の中身はわからなかったですぅ…」
雪歩「二杯目を普通に飲まれちゃって、私の方が動揺しちゃいましたし」
春香「表情は変わらなかったけど、何か呟いてたね」
美希「『やっぱり』と『次はベンチね』って」
雪歩「ベンチって、やっぱり公園のベンチかなぁ?」
春香「弁知:わきまえる、思慮分別がある って言葉もあるみたい」
美希「耳にタコのタコも、胼胝(べんち)っていうらしいの」
雪歩「あ、ベンチマークとかも聞いたことありますぅ」
三人「うーん」
春香「なんだか、ますます謎が深まってきちゃったなー」
雪歩「そういえば、時々外に出て行ってるけど、あれはどこに行ってるのかな?」
春香「本を読むのに疲れて、気分転換に行ってるのかと思ったけど」
美希「それだけじゃない気もしてきたの」
「ただいまー」
律子「あら?三人とも難しい顔して、どうしたの?」
美希「律子…さんなら何か知ってるかもしれないの」
春香「あの、実は…」
律子「なるほど、千早がねえ…。」
雪歩「律子さんは、何か聞いていませんか?ドラマのオファーがあったとか…」
律子「うーん…私はそういう話、聞いていないわ」
律子「千早本人かプロデューサー殿に確認、とってみるわね」
春香「ちょ、ちょっと待ってください!」
春香「もしかしたら、千早ちゃん、悩んでるかもしれないけど」
春香「自分なりにそれを打破しようとしてる様にも見えたんです!」
春香「だから、あの…千早ちゃんが自分から言ってくれるまで、待ってくれませんか?」
律子「…一番身近で千早の事を見ている春香がそこまで言うなら、もう少し様子を見ましょうか」
律子「で・も!千早に少しでも何かあったら、すぐに相談する事!」
律子「あななたちもよ?悩みがあったりしたら、バンバン相談しなさい?」
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」ペラッ
春香(帰ってきたらすぐに本を読み始めてる)
春香(…? でもこれって、普通の事じゃない?)
春香(私だって本読むし、それが難しい本で、表情が硬くなる事もある…よね?)
春香(もしかして、私たちの考えすぎ…?)
千早「…」ペラッ
千早「…春香」
春香「!? は、はいっ!」
千早「枕…って、重要なのよ。おかしな眠り方は体に不調をきたすわ」
千早「ちゃんと、自分の体にあう枕を見つけられるといいわね」
千早「…」ペラッ
春香(今日も本読んでる…)
雪歩(昨日と同じ本…?なのかな)
美希(眠いけど、千早さんの方が気になるの)
千早「…行ってきます」スッ スタスタ ガチャ バタン
美希「千早さん、今日は…」
雪歩「やよいちゃんと一緒に、お料理さしすせその収録になってますぅ」
春香「そっかー、今日は調査できそうにないかもね」
雪歩(調査!?)
美希(調査って言ったの)
「うっうー!ただいまかえりましたー!」ガルーン
美希「やよい、おかえりなの!」
雪歩「やよいちゃん、おかえりなさい」
春香「おかえり、やよい」
やよい「ただいまですー!みなさんお菓子タイムですかー!」
美希「やよい、シルベーヌあるの!」
雪歩「歌舞伎揚げもありますぅ~」
春香「チーズおかきもおいしいんだよ!」
やよい「う~!ここはお菓子天国ですー!」ウッウー!
やよい「千早さんですか?」ボリボリ
春香「うん、今日のお料理さしすせそ、どんな感じだった?」ボリボリ
やよい「えーと、ずっとニコニコしてて、すっごく楽しかったです!」ボリボリ
美希「休憩中とか、何してたの?」モフモフ
やよい「休憩中も、千早さんとお料理のお話です!」モフモフ
雪歩「へ~。じゃあ今日はお料理デーだったんだぁ」バリバリ
やよい「そーなんです!千早さんも最近、自分で料理してるらしくて」バリバリ
やよい「なんでそんなに、千早さんの事が気になってるんですかー?」ボリボリ
春香「えーと、千早ちゃんってお料理苦手だったでしょ?」バリバリ
春香「だから心配になっちゃって…」ボリボリ
やよい「なるほどですー」モフモフ
やよい「みなさんはまだ帰らないんですか?」モフモフ
春香「うん、もうちょっとゆっくりしていこうかな って」モフモフ
美希(雪歩おすすめの歌舞伎揚げ、お茶によくあうの)バリバリ
雪歩(美希ちゃんおすすめのシルベーヌ、おいしくて止まりません~)モフモフ
やよい「」
やよい「」ジーッ
美希「やよい、お菓子はたくさんあるから、お土産に持っていくといいの」
やよい「本当ですか!」ガタッ!
雪歩「うんうん、たくさんあるから好きなの選んでいいよ~」
春香「ほらやよい、チーズおかきあるよ、チーズおかき!」
雪歩「ふぅ」
美希「いい事をした後は、気持ちがいいの」
春香「やよい、すっごいニコニコして帰ってったね」
雪歩「私のおすすめお菓子も、すっごい喜んでくれました~」
美希「小鳥の秘蔵お菓子コレクション、こうやってみんなで食べる方が、お菓子も喜んでるはずなの」
美希「一人でこっそり食べてる小鳥は、反省した方がいいと思うな」
ガチャ バタン スタスタ
春香「あ、千早ちゃん!おかえりなさい!」
千早「ただいま、みんな」
雪歩「千早ちゃん、一緒にお菓子食べない?」
美希「おいしいバタークッキーがあるの!」
千早「ごめんなさい、今日はもう、帰ろうと思うから…」
春香「そっかー…。じゃあまた明日ね、千早ちゃん!」
雪歩「やよいちゃんが、お料理さしすせそ、とっても楽しかったって言ってました~」
美希「千早さん、気をつけて帰るの」
千早「ええ、みんな、ありがとう。また明日ね」 ガチャ バタン
春香「いつもと変わらない千早ちゃんだったね」
雪歩「やっぱり、私たちの考えすぎなんでしょうか~?」
ガチャ
千早「そういえば美希」
千早「あなた、おにぎりは表と裏、どちらから食べる派?」
千早「」バタン
ガチャ
千早「それとも反対側からかしら」バタン
春香(時間差だー!)
青汁とか旅行とかで最近書いた?
>>40 一応これが2作目ですが、青汁・旅行は別の方かと ていうか、青汁気になる
美希「」
雪歩「美希ちゃん、大丈夫…?」
春香「どういう事なんだろう…そもそも、質問の意味がわからないよ」
美希「おにぎりの表?裏?いったいどういう事なの…」
美希「こっちから見たら表、むこうが裏。でも反対から見たら…」
(千早『それとも反対側からかしら』)
美希「反対側って何?ミキが今、見てるのはどっち側なの!?」
美希「ミキが見てる…?見てるのはミキなの?おにぎり?ミキが見てるってなに!?」
春香「ちょ、ちょっと美希!落ち着いて!自分で勝手に難しくしちゃってるよ!」
雪歩「そうだよ美希ちゃん!自分で穴掘って埋まっちゃってるよ!それ私の役だよ!」
千早「…」ジーッ
春香(あれ…?今日は本じゃない)
雪歩(千早ちゃんが、ポータブルDVDプレイヤーで何か見てますぅ…)
美希(一晩寝てわかったの。おにぎりはおにぎりなの!表とか裏とか、そんなのないの!)
千早「…」ジーッ
春香(イヤホンしてるから、何のDVDかわからないけど、真剣な眼差し…)
雪歩「千早ちゃん、お茶どうぞ~」ニコニコ
雪歩「チラっと!チラっとだけ見えました!」
雪歩「アクション映画っぽい感じでした!」
雪歩「カンフーっていうんですか?あんな感じのアクションですっ!」
美希「カンフー…」
春香「やっぱり、演技か何かの仕事のために勉強してるのかな」
美希「いままではそういうの、真君や響にやってもらう事が多かったけど」
美希「千早さんがアクションしたら、みんなびっくりするし、かっこいいと思うな」
美希「チャイナドレスとか、すっごく似合いそうなの!」
春香「千早ちゃんのチャイナドレス…」
雪歩「とっても似合いますぅ…」
「たっだいま→!」
「帰ってきたYO!」
亜美「おっ!千早お姉ちゃん、何見てるの?」
真美「DVDプレイヤーなんて持ってきて、もしかしてむっふっふ~なものですか!?」
春香(ナイス亜美、真美!私たちに出来ない事を平然とやってのけるっ!)
亜美「#□∀」
真美「○×△」
千早「~~~~///」
春香「のヮの」
亜美「おじゃましました、千早お姉ちゃん!」
美希「亜美、真美、ちょっと来て欲しいの」
真美「どったの?」
亜美「お三方、なにやら怪しげで楽しげなふいんきですな~」
雪歩「千早ちゃん、どんなDVD見てたのかなぁ って」
真美「ん?え→っとね」
亜美「ダメだよ真美!敵にタダで情報を与えるなんて!」
亜美「使えるものは最大限に利用!計画的にごりYO!」
雪歩「あぁ、ルマンドとバームロールっておいしいなあ♪」モグモグ
春香「んー!チーズおかき!チーズおかきはおいしいYO!」バリバリ
美希「やっぱりエブリバーガー最高なの」ボリボリ
あみまみ「条件提示くらいは、聞いてやろうではないか」
亜美「でね→」ボリボリ
真美「カンフーのにーちゃんたちがね→」バリバリ
美希「ちょっとふたりとも、お菓子ばっかり食べないで少しはDVDの事を言うの!」
亜美「カンフーの」「カンフーの」
真美「にーちゃんたちが」「にーちゃんたちが」
美希「卒業式みたいにやってもダメなの!」
雪歩「カンフーのところで、話がずーっとループしてますぅ…」
春香(お菓子はたくさんあるし、そのうち飽きるよきっと)ボリボリ
雪歩「へぇ~…」
春香「カンフー少年をロボットがビームで蹴散らして」
美希「解決したと見せかけて、恐怖の大王が襲ってきて」
雪歩「アルバイトに受かる ですかぁ…」
真美「あれっ!?」
亜美「真美、これ亜美たち絶対疑われてるよね…」
真美「本当だよっ!真美たちウソなんて言ってないって!」
亜美「ちゃんとタイトルだって聞いたんだYO!」
美希「タイトル!なんてタイトルなの!?」
真美「え~…っと」
亜美「あり…あしがい?ざりがに?」
真美「…コカイン?クレマチス?クローン?」
亜美「ほうぼう?ごうこん?ごるごん?」
真美「…」チラッ
亜美「…」チラッ
あみまみ「さ、サイクローンGOGO…?」
春香「サイクローンGOGO…」
雪歩「インターネットで検索しても、それっぽいの見つかりません~」
美希「答えたふたりの不安いっぱいな顔を見たら、見つからないのも当然だと思うな」
春香「でも、アクションものっぽいのは確実みたいだね」
雪歩「アクションかぁ…やっぱり、そういうお仕事が千早ちゃんに来たって事なのかなぁ」
千早「DVDも見終わったし、今日はそろそろ帰ろうかしら…」
春香「まだ夕方前だね」
美希「ちょっと追跡してみるの」
雪歩「えぇっ、美希ちゃん、それはちょっといけないよう…」
雪歩「ホシは、不穏な行動を見せず」
美希(春香、雪歩がなんだか生き生きしてるの)
春香(うん。私もちょっと戸惑ってるんだ)
雪歩「あっ!公園、公園に入っていきますよ!」
美希(はしゃぎっぷりが、あみまみみたいなの)
春香(きっとこういうの、一度やってみたかったんだと思うよ)
雪歩「ほらふたりとも!ゆっくりしてると見逃しちゃうよ!」
春香「ベンチに座ってるね」
千早「ふぅ」
春香「空を見上げてる…」
雪歩「どうしたんでしょうか…」
千早「はぁ」
美希「千早さん、今度は頭を抱えてうつむいてるの…」
春香「これって。もしかして、相当深刻な悩み…!?」
千早「…」スッ スタスタ
雪歩「帰るみたいですぅ」
春香「千早ちゃん、大丈夫かな」
美希(千早さん…)
春香「私たちも、ベンチに座ってみない?」
美希「?」
春香「千早ちゃんと同じ事をしてみれば、もしかして気持ちが少しわかるかも!ってね」
雪歩「同じ事っていうと…空を眺めたり、頭を抱えてみたり?」
美希「うーん、それで何かわかるとは思えないけど、一応やってみるの」
春香(そらきれい)
雪歩(あのプールの下にはロボット基地がありそうです~)
美希(アリさんが頑張ってるの)
春香「私たちが、ですか?」
律子「ええ、そうよ」
美希「そんなことないよ!律子…さん」
雪歩「ふえぇ、それは誤解ですぅ」
律子「悩みがあったらすぐ相談する事!言ったわよね?」
律子「まったく…。ミイラ取りがミイラになるって言葉、知ってる?」
春香「誤解ですって!どこからそんな情報が入ったんですか?」
「わたしくです」
美希「貴音が…?」
貴音「ええ。わたくしが、べんちに座るあなたがたを見て、律子嬢に相談いたしました」
貴音「最初は、三人で空を眺めていましたから、気分転換でもしているものかと思いました」
貴音「ですが、次はみなで、うつむいているではありませんか」
貴音「そこで ぴーん ときたのです。ああ、これはきっと、何か悩んでいるのでは と」
貴音「空に『こうなりたいな』という希望を映し」
貴音「地面に映る、己の影を見て、まだ飛べていない現実を知る」
貴音「理想と現実…そのぎゃっぷというものに、いつの時代も人は苦悩するものです」
貴音「わたくしだって…身近なぎゃっぷに苦悩する事があるので、よくわかります」
貴音「食品さんぷると、出てきたもののぎゃっぷ…」
貴音「小さき事 と思われるかもしれませんが、わたくしには、とても大きなしょっくなのです」
貴音「しかし、らぁめん二十郎という店舗は、いい意味でのぎゃっぷを」
律子(長い)
貴音「つまり、あなたがたは、千早の行動を真似てみただけだと」モグモグモグモグ
雪歩「そうなんですよ~」モクモク
貴音「相手の気持ちを知るために、同じ環境に立ってみる…」モグモグモグモグ
貴音「それは、真よき考えかと。みなは優しいのですね」モグモグモグモグ
律子「千早がそんな行動をね…ちょっと、本格的にマズいんじゃない?」モスモス
春香「亜美たちの話から、見ていたDVDはアクションものっぽいとはわかったんですけど」ボリボリ
美希「本やDVDも気になってたのに、あんな姿見せられたらまた心配事が増えたの」モシャモシャ
貴音「はて、ちょこりえーるが無くなったようです」モグモグモグモグ
貴音「次はぶらんちゅーるを開けましょう」
「えっ?ボクが千早から?」
春香「うん、何かアクションの相談とか、受けてないかなー って」
真「うーん…。ずっと前に、ダンスで使えそうだから って」
真「足を上げた時の、バランスの取り方のコツは聞かれたけど」
真「アクションのコツなんてものは、聞かれた事が無いなあ」
春香「そっかー…。ありがと、真」
真「何かあったの?」
雪歩「実はね、真ちゃん」
真「そんな事があったんだ…」モグモグ
美希「そうなの…。千早さんの事、心配なの」モサモサ
春香「大丈夫だと思いたいんだけど、やっぱり心配で」バリバリ
雪歩「真ちゃん、真ちゃんも何かあったら、私たちに頼っていいんだよ?」ポリポリ
美希「? どうしたの、真君?」モサモサ
真「ん?ああ、えっとね」モグモグ
真「春香たちの言う、『自分なりに打開してほしい』って気持ちもわかるけど」
真「もしだよ?もし、本当に千早が追い詰められていて」
真「追い詰められているけど、自分からは誰にも相談できない状況だったら?」
真「見守る事が、結果的に見殺しになっちゃったら、って思って…」
春香「…」
雪歩「そ、それは」
美希「そういわれると、困るの…」
真「ごめん。あくまで最悪の事態を考えてみたら、って事なんだけどさ」
ガチャ バタン
千早「ただいま帰りました。あ、みんな、おやつタイム?」
春香「うん!ちょっと時間遅いけど、甘いものはエネルギーになるから」
美希「千早さん、さくさくパンダ、おいしいよ!」
雪歩「千早ちゃん!ふ菓子の二度塗りもおいしいよ?」
真「ひもQ!超ひもQもあるよ!」
春香「チーズおかき!チーズおかき!」
キャッキャウフフ
千早「あ、もうこんな時間。そろそろ私、帰るわ」
春香「うん、千早ちゃん、また明日」
美希「千早さん、また明日なの」
雪歩「千早ちゃん、気をつけてね」
真「お疲れ様、千早。また明日!」
千早「ええ、みんな、また明日」
ガチャ バタン
真「普段通りの千早にしか見えなかったけど…」
雪歩「うん、私もそうとしか思えなかったなぁ…」
ガチャ
千早「そういえば、わさびを食べて鼻がつーんとした時はね」
千早「…」バタン
春香「」ドキドキ
美希「」ドキドキ
雪歩「」ドキドキ
真「?」
春香(今度は来ない!)
春香「千早ちゃんは」
雪歩「『わさびを食べて鼻がつーんとした時はね』と言って」
美希「普通に帰ったみたいなの」
春香「新しいパターンだね」
雪歩「身構えてたのに、見事に騙された感じですぅ…」
美希「…」ペチペチコネコネ
「ちょっとあんたたち、そんなところで何やってんのよ」
雪歩「伊織ちゃん、おかえりなさい」
春香「おかえり、伊織」
伊織「ただいま。途中で、グミを食べて上機嫌な真に会ったわよ」
雪歩「真ちゃん、さっきまで私たちと一緒にお菓子食べてたから…」
伊織「あれひもQよね?まだあるの?」トントン
伊織「ん?」
美希「おかえりなの、でこちゃん。ひもQは無いけど、お寿司があるの」
伊織「お寿司?なに、出前でも取ったっていうの?」
美希「まあ、そんなとこなの」
伊織「ほんっとにね!信じらんないわよ、この金髪!」
伊織「なんで手巻き寿司自作してんの!どこから酢飯と海苔持ってきたのよ!!」
伊織「それはまだ許すわよ!中身よ、中身!」
伊織「中身わさびじゃない!中身!わさび!な・か・み!わ・さ・び!」
伊織「そんなものを人に食べさせるなんて、どうかしすぎよあんた!」
美希「つーんと、した?」
伊織「は?」
美希「わさび食べて、鼻、つーんとした?」
伊織「つーん どっこじゃないわよ!見てわかんない!?泣いてるのよ!」
雪歩「伊織ちゃん、大丈夫ですかぁ?」
伊織「いまはもう大丈夫だけどね、今度こんな事やったら、本当に許さないんだから!」
美希「以後、気をつけます」
伊織「口ばかりの反省はいらないわよ!」
美希「…」スッ
伊織「!」
伊織「あ、あんたも本当に反省してるみたいね!」
春香(たべっこどうぶつだ)
雪歩(伊織ちゃん、たべっこどうぶつ好きなのかなぁ)
伊織「千早の様子がおかしい、心配だって言ってるけどね」
伊織「あんたたち、仲間のひとりも信じられないわけ?」
雪歩「でも真ちゃんが、『見守る が 見殺し になるかも』って…」
伊織「それは真が、いっちばん最悪の場合って考えで言った事でしょ?」
伊織「そんな事は絶対に起きないわよ。絶対。私が言い切るわ」
伊織「そりゃ、確かに千早は、一人で出来る事は一人でやろうとする」
伊織「当然、痛い目も見てきた事でしょうね」
伊織「でも、痛い目を見てきた頃の千早と、いまの千早は違うの」
伊織「千早は変わったわよ。もちろんいい方向にね」
伊織「私は千早を信頼してるの。大丈夫だと思う理由なんて、それだけで十分すぎるわよ」
春香「おはようございまーす」
あずさ「あらあら、春香ちゃん、おはよう」
春香「あれ、あずささん、今日はずいぶん早いんですね」
あずさ「そうなの~。今日は、あず散歩の特番ロケがあって」
あずさ「『耐久あず散歩』ってタイトルなんだけど、なんで耐久なのかしら?」
春香「特番って事は、誰かゲストもくるんですか?」
あずさ「ええ。千早ちゃんと、雪歩ちゃんがゲストに来てくれるの」
あずさ「本当はみんなで一緒に、お散歩してご飯食べて ってやりたいんだけど」
あずさ「人数的なもので、それは厳しいんですって。残念ね~」
春香(耐久あず散歩かあ…楽しそうだけど、どうなるんだろ)
春香(きっと今日は、千早ちゃんも雪歩も事務所には来ないんだろうな)
春香(もしかして、明日になってもロケが終わらない なんて事はないか)
春香(歩きすぎて筋肉痛 って事はあるかもしれないけど)ふふっ
春香(今日はテレビの台本でも読み込んでおこっと)
春香「おはようございまーす」
あずさ「あらあら、春香ちゃん、おはよう」
春香「あれ、あずささん、今日もずいぶん早いんですね」
あずさ「昨日、あず散歩の特番ロケで早起きしたから、今日も早く目が覚めちゃって~」
春香「ロケ、どんな感じだったんですか?私も行きたかったなあ」
あずさ「もう、すっごく楽しくて!普段も楽しいけど、誰かと一緒だともっと楽しいわね~」
あずさ「春香ちゃん、次の特番は、ぜひ一緒にお散歩しましょうね」
春香「楽しみにしてます!ウチの近くの山、てっぺんにアスレチックがあるんですよ!」
あずさ「そんな面白い場所があるの?」
春香「てっぺんから、海も見えるんですよ。でもそこまでの階段がキツくてキツくて…」
あずら「いい運動になりそうね~」
あずさ「海と言えば…」
春香「?」
あずさ「昨日のロケ、海沿いと、お寺と、古い町並みを歩いたの」
あずさ「それでね、海に向かって、おもいおもいの言葉を叫んでみよう ってなって」
春香「海に行くとやりたくなりますよね。あずささん、何て叫んだんですか?」
あずさ「えっ?えーと、普通に『海のバカヤロー』って」
春香「雪歩はきっと…悩みに悩んで、『うーーみーーーー』とかですか?」
あずさ「春香ちゃんすごいわねー。言葉も、悩んだってところもあってるわよ」
春香「えへへ。雪歩なら、きっと迷って迷って、こうなっちゃうかな って」
あずさ「それで、千早ちゃんなんだけど…」
あずさ「海を指差して『塩辛いんだよ!』って」
春香「声、通ってました?」
あずさ「それはもう、すっごく」
春香「という話を、あずささんから聞いたんだけど」
雪歩「あの時のびっくりした私の顔、絶対オンエアで使われますぅ…」
美希「千早さんのそんな姿、ミキはなかなか想像できないの」
美希「生っすかの時は、振られてもなかなかそんな風にやらないのに」
春香「あず散歩は収録で、編集してもらえる気楽さがあったから挑戦したのかな」
雪歩「」チョイチョイ
春香「?」
美希「?」
雪歩「あれ…」
響「…」プルプル
春香「響ちゃんが本読みながら…」
美希「あの感じ…見た事あるの!」
雪歩「最初の、千早さんの反応と一緒ですぅ!」
響「…これは」ククッ
春香「チャンスかもしれないよ…!」
美希「響と、千早さんの読んでる本が同じだったら…!」
雪歩「一連の謎が解けるかもしれないです!」
春香「えー、あー、我那覇響君…だね?ちょっといいかな」
響「えっ!?春香?なんだその呼び方?」
美希「響、完全に包囲したの!」
雪歩「か、覚悟しなさいっ!」
響「ちょ、え、自分、何かした…のか?」
春香「重要参考人として、事情を聞かせてもらおうか、我那覇響君」
響「重要参考人!?理由を聞かせてほしいぞ!どうなってるんだ?」
美希「事情は署の方で聞くの」
雪歩「弁護士を呼ぶ権利もあげますっ!」
響「なんだこれ!理不尽だ!」
響「それで、なんなのさー?こんなおふざけは亜美たちの役まわりだぞ」
春香「えへへ、ちょっと悪ふざけしてみました」
美希「春香のアドリブに乗ってみたの」
雪歩「頑張りました!」エッヘン
響「えぇ…あれアドリブだったのか…。すっごいびっくりしたんだぞ」
春香「ごめんね、響ちゃん。ちょーっとだけ、聞きたい事があって」
響「聞きたい事?」
美希「黙秘権はあるけど、使用は認めないの」
響「美希、まだ容疑者ごっこやってるのか…」
雪歩「単刀直入に聞きます!さっき読んでいた本は一体なんだー!」ドン!
響「春香…さっきから思ってたけど、雪歩が一番ノリノリだぞ」
響「本を出せば、とりあえず解放してくれるのか?これさー」ガサガサ
『王様はロバ ~はったり帝国の逆襲~』
春香「なにこれ」
美希「響…ミキ、嘘は好きじゃないよ」
雪歩「漫画?」
響「嘘なんかついてないぞ!」
響「ギャグ漫画だけど、笑うのがなんだか恥ずかしくて」
響「我慢してたから、プルプルしてたんだぞ!」
響「嘘だと思うんなら、三人とも読んでみるといいさ!」ドサドサッ
~~~~~
春香「…くっ」プルプル
美希「…」ピクッ
雪歩「…」フフッ
響「…鉄のお茶碗」プルプル
春香「…バカな家族にバカ売れ」
四人「…」ブフッ
響「千早が?」
春香「うん、響ちゃん、何か知ってるかなーって」
響「知ってるぞ」
美希「え」
響「千早が読んでる本、何か知ってるぞ」
雪歩「本当っ!?」
響「千早に読ませてもらったし、自分も王ロバ読ませたぞ」
響「反応は芳しくなかったけど…」
春香「ねえっ!千早ちゃんが読んでた本って何!?」
響「あれ、クロマティ高校だぞ」
雪歩「ん?」
響「クロマティ高校だぞ」
千早「おはようございます」
千早「…」ペラッ
春香(本だ)
美希(本なの)
雪歩(本です~)
千早「…」スッ スタスタ バサッ ガチャ バタン
春香「!!」
雪歩(千早ちゃんが、本を…!)
美希(これ…ついにチャンス到来って事!?)
春香「本、落としていったね」
雪歩「カバーがついてるから、何の本かわからないですぅ」
美希「ミキ、前に言ったの。勝手に見るのは失礼 って」
美希「でも、もういい加減、我慢の限界なの。ねえ春香!もう見てもいいよね!?」
春香「美希…。雪歩も、いいよね?いくよ!」
雪歩「うん!」
『魁!!クロマティ高校』
春香「本当だったんだ…」
美希「響、ごめんなさい。ミキ、本当は少し疑ってたの」
雪歩「千早ちゃんがこれを…?」
春香「とりあえず、読んでみようか…」
美希「うん…」
雪歩「そうだね…」
春香「…」ブフッ
美希「…オチはきっとゴリラ」プルプル
雪歩「…ベンチ」orz
~~~~~
春香「響ちゃんの証言もあるし、間違いないね」
美希「千早さんがずっと読んでいた本は、この漫画なの」
雪歩「いままでの行動を思い返してみると、共通点もありますぅ」
美希「でも、なんでこの漫画を読んでいたのかな?千早さんがすすんで読むものとは思えないの…」
春香「うーん…」
雪歩「美希ちゃんが前に言ってた、生っすかの事とかに関係あるんじゃ…」
雪歩「千早ちゃんってバラエティとか、あんまり得意じゃないから」
春香「こういった漫画から、少しでもお笑いに慣れていこうとした って事?」
雪歩「うん。自分なりに勉強したから、海に『塩辛い!』とか言えたんだと思うなぁ」
美希「じゃあミキが言われた『おにぎりの表と裏』とかも…」
雪歩「千早ちゃんなりにお笑いを考えて、試してみたんだと思うよ」
雪歩「番組でいきなり挑戦するよりも、事務所で私たちに試して、反応を見たかったんだよ、きっと」
春香「お茶二連続を普通に飲んだのも、変な事に対して普通に接する、ギャップの笑いを誘ったと…」
春香「私たちの思ってた、壁を自分なりに打破しようとしてる って、正解だったんだね」
美希「むー。すっごい悩みかと心配して、損したの」
雪歩「美希ちゃん、よかったんだよ、深刻な悩みじゃなかったんだもん」
ガチャ バタン スタスタ
千早「…」ペラッ
春香「千早ちゃん!」
千早「春香、どうしたの?」
雪歩「千早ちゃん!次の生っすか、期待してますぅ!」
美希「ミキにもどんどん、話振ってほしいの!」
千早「みんな…どうしたの、急に?」
春香(千早ちゃんも、苦手を克服しようと頑張ってるんだ)フフッ
美希(やっぱり、千早さんはミキの憧れなの!)ニコニコ
雪歩(千早ちゃん、もしバラエティのお仕事がきたら、一緒に頑張ろう!)ギュッ
千早「…」ペラッ
千早「…ふう、全17巻、読み終わったわ」パタン
千早「……あら?」
千早「これ『巡ろう!世界遺産』じゃなかったのね!」
はるみきゆきぽ「それは間違えないよ普通!!!!」
おわり
春香「でもさ、千早ちゃん、あの漫画どうしたんだろうね」
美希「んー、あみまみ、響あたりから借りたと思ったのに、違ったの」
雪歩「最近は漫画のレンタルしてるお店もあるから、そこから借りたのかも」
「私よ」
小鳥「千早ちゃんにクロ高貸したのは、私よ」
小鳥「『心温まる人間愛の本を貸してください』って言われて、間違えちゃった」テヘ
小鳥「あ、あれー?みんな、どうしたのかなー?」
美希「小鳥…。小鳥は悪い子なの」
春香「そうだね…。悪い鳥だね…」
雪歩「人を振り回す、害鳥ですぅ…」
小鳥「え?え?ええええええ!?」
美希「小鳥悪い子!」
春香「小鳥悪い子!」
雪歩「小鳥悪い子!」
千早「小鳥悪い子!」
千早「小鳥悪い子!」
千早「こと あれ?」
はるみきゆきぴよ「お前が言うな!!!!」
春香「千早ちゃん、DVD見てたよね」
美希「うん」
春香「あれはなんだったのかな?」
美希「雪歩の証言とあみまみの証言で、アクションっぽいとは思うの」
テケテケー
雪歩「大変ですぅ!、これ、見てください!」
『魁!!クロマティ高校 THE MOVIE』ドドーン
春香「実写版…!」
美希「千早さん、そんなところまでチェックしてたの!?」
安価で即興SSかける人の発想力と構成力はすごいなーと思った
ID違うと思うけど>>1です読んでくれた方ありがとうです おしまい
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