男「好きな人がレズだった…」(656)
女「おはよー」
女生徒1「あ、おはよー」
女生徒2「おはよう」
友「いやー、女さんは今日も可愛いな!な!?」
男「あ、あぁ…わかったから落ち着いて…」
イケメン「女さん?ちょっといいかな」
女「え?うん。いいよー」
友「またあのイケメン野郎!懲りずに何度も何度も!」
男「あいつ隣のクラスの奴だっけ?確かにあのしつこさは目に余るな」
友「だよな!クラスも違うくせにしつこいったらありゃしないぜ!」
イケメン「…でさ、今日の放課後に…」
ガララ
イケメン「げっ…」
女友「……」キッ
女「あ、女友ちゃん。おはよ」
女友「…おはよ」
イケメン「ちっ……女さん、また今度」
女「え?う、うんまたねー」
友「まぁいくらしつこかろうが、あんな風に番犬が付いてれば大丈夫か」
男「女友さんのことか…確かにあの鋭い目つきは主人を守る番犬のそれだな」
友「あの子がいる限り、女の純潔は保障されるってもんよ!」
男「でもいつかは彼氏できるんじゃないの?あんなに美人じゃさ」
友「…言うな」
男「もうお前もストーカーっぽいしさ、過ちを犯す前に告白しちゃえば?」
友「それができたらこんなコソコソ女さんを観察するようなマネはしねぇよ!」
男「ごめん」
友「そういえばさ、女さんで隠れがちだけど、女友さんもそれなりにレベル高いよな」
男「そうだね」
友「高校生だっていうのにあの小柄な身体。一部の男たちには人気が高そうだ」
男「うむ」
友「女さんが美人なら、女友さんは可愛い系かね」
男「うんうん」
友「なんだ?急にそっけないな。もしかしてお前、女友さんのこと…」
男「!……はは…ないない」
放課後
友「男ー帰ろうぜ」
男「おう」
友「あー、結局今日も女さんに話しかけられなかった…」
男「待ってるだけじゃダメだって」
友「受身でもいいじゃない」
男「世の中そう甘くはできないさ」
友「だよな……」
男「そうそう……ってあれ?」
友「どうした?」
男「…ノート忘れたみたいだ」
友「なにベタな忘れ物してるんだよ…」
男「ごめん、取ってくるから先に帰っててくれ」
友「おう。じゃあまたな」
男「すまんね…本当…」
男「えーと…机に入れっぱなしだったかな…」
男「さっさと持って帰ろう…」
ガララ
「えっ…」
男「ん?誰かいるのか?」
「!!…」
男「…?」
「み、見た?」
男「見たって…?ていうか君…女友さん?」
女友「……」
男「何してたの…?」
女友「ナニよ…」
男「何?」
女友「やっぱり見たんだ…私が女のジャージをオカズにナニしてるとこ…」
男「え?何って、ナニのこと?」
女友「え?」
男(この子自爆したな…)
男「ま、まぁ君が女さんをオカズにナニをしてることはわかったよ」
女友「はぁ…死にたい…どうしよう……」
男「まぁそんなに気を落とさないで…」
女友「これで落ち込まずにいられるわけないでしょ…」
男「はは……あれ?君女さんをオカズにしてたの?」
女友「しつこいなぁ…何回も言わないでよ」
男「だってそれおかしくない?君も同じ女じゃないか」
女友「別におかしくないよ…女が女を好きになっても問題ないでしょ?」
男「でしょ?って言われても…じゃあ君は同性愛者なの?」
女友「まぁそうなるわね。百合とも言われるし、どちらかと言うと私はレズ寄りね」
男「れ、レズ…?」
女友「ナニをしていたから、もうわかっていると思うけど、私は女のことが好きなの。もちろん性的な意味でもね」
男「せ、性的?なんだよそれ…女同士でHできるのか…?」
女友「ええ、できるわ。とっても気持ちいいらしいわよ」
男「そ、そうなんだ…」
女友「さぁ、話はこれでおしまい。さっさと私の前から消えうせて」
男「ひでぇ……でもちょっと待って。君は男性には興味ないの?」
女友「当たり前じゃない。男なんて汚らわしい」
男「け、汚らわしいって…」
女友「男の頭の中ってエッチいことばっかりなんでしょ?いつもいつも下衆なことばかり考えてて、スキあらば女を襲おうとしてる野蛮な生き物よ」
男「そ、それは偏見だろ!」
女友「偏見じゃないわ。真理よ」
男「確かにエロいことばっかり考えてるっていうのは否定できないけど、男はそれだけじゃねぇよ」
女友「それだけでしょ。あったとしても女には敵わない」
男「こ、こいつ…」
男「お前さ…」
女友「お前呼ばわりしないで。慣れ慣れしい」
男「いいんだよ。お前にはこれぐらいの接し方で丁度いい」
女友「はぁ…強引ね。本当男って嫌になるわ」
男「お前…そんな考えじゃ将来困るぞ」
女友「なんでこのタイミングで将来の話が出るのかしら?」
男「ベストタイミングだろ」
男「いいか、人ってのはいつか家庭を持つもんなんだよ。男は仕事して金稼いで、女は子供作って育てる」
女友「私は家庭をもたないから関係ないわね。男と暮らすなんて、それこそ拷問よ。死んだほうがマシだわ」
男「でも、女同士で暮らしていけると思うか?世間の風当たりは冷たいぞ」
女友「暮らしていけるだなんて思っていないもの。最終的に一人になる覚悟はもうできてる」
男「……」
女友「もういい?」
男「……ダメだ…そんな考え…俺が……俺が…」
女友「なによ」
男「俺が、お前を矯正してやる」
女友「はぁ?」
男「普通に異性に恋して、同性に興奮しない、極々普通の女の子に矯正してやるって言ってるんだ」
女友「嫌よ。気持ち悪い」
男「そう言うと思ったよ。だから条件を考えた」
女友「条件?」
男「まず期間を設けた」
女友「期間…」
男「1ヶ月。この期間内にお前を治してやる」
女友「1ヶ月ね…できると思ってるの?私はもう10数年も男嫌いなのよ」
男「できるかできないか、ギリギリの期間じゃないとお前は協力してくれないと思ってな」
女友「ふーん…」
男「さらにもう一つ」
女友「まだあるの?」
男「この条件を設けることで、俺はお前と対等になる」
女友「?」
男「もし期間内にお前を矯正できなかったら、俺の親友、友に告白してやるよ」
女友「は?」
男「だから、お前と同じ同性愛者になってやるってこと」
女友「……あんたってもしかして馬鹿?」
男「そうかもな」
男「これでもまだ不服か?」
女友「……まぁいいわ。どうせできるわけないもの」
男「やってみなくちゃ分からないよ」
女友「あんたがホモになる未来…それはそれで面白そうね…」
男「あぁそうだな。いいネタになる」
女友「いいわよ。私の矯正、できるものならやってみなさい」
男「……や、やった!」
女友「なんでそんなに喜んでるのか…理解に苦しむ…」
男「いいんだよ、気にするな」
女友「はぁ…じゃあもう帰っていい?」
男「ちょっと待った。携帯だして」
女友「携帯?…アドレスは教えないわよ」
男「えぇ…なんでさ」
女友「なんで今知り合ったばかりの赤の他人に教えなくちゃいけないの」
男「まだそんな認識か…」
女友「まだ、じゃなくてこれからもずっと、よ」
男「…まぁいいさ。いつか友達より上にいってやる」
女友「精々頑張りなさいな。それじゃ、さよなら」
男「おう!また明日な!」
女友「……」
男「無視か…まぁいい」
男「絶対に振り向かせてみせる……!」
きりのいいところで書き溜め尽きた
遅くなる
翌日
男「はぁ…昨日は勢いに任せてとんでもないこと行っちゃったな…」
男「絶対変なやつだと思われただろうな…」
男「ん?」
女友「……」ヒョコヒョコ
男「あのちっこいのは…」
女友「……げ」
男「心の底から嫌そうな顔するな」
女友「はぁ…今日は厄日ね」
男「その言い方は酷いと思う」
女友「じゃあ私行くから。学校では話しかけないでね」
男「お、おい!それじゃあ矯正もくそも…」
女友「……」ダッ
男「……」
男「…前途多難だな」
学校
友「よぅ、おはよう」
男「!……お、おはよう」
友「一瞬ビクッとしなかったか?」
男「そ、そんなことないよー」
友「……?」
男(やっぱりあんな約束するんじゃなかった…)
昼休み
男「はぁ…どうするかな」
友「なにが?」
男「こっちの話」
友「ふーん……って、えっ…?」
男「なんだよ、目を見開いちゃって」
友「う、後ろ…」
男「後ろ?」クルッ
女「ふふーん」ニコニコ
男「女さん?」
女「男くん、お昼一緒していいかな?」
友「はぁぁぁぁぁ!?」
男「ちょっ、うるさい……でも、なんで?」
女「男くんが女友ちゃんと話してるところ、見たから」
男「!?」
友「女さんには止まらず女友さんにまで!?なんなんだよお前!」
男「い、いつ見たの!?俺とあいつが話してるところ!」
女「んー、朝。登校してる最中に見ちゃった」
男「朝…よかった、朝のか……」ホッ
女「あの子が男の子と話してるところなんて、今まで数えるほどしか見て無くてね。これを機にあの子も男の子の免疫をつけてあげたいんだ」
男「はぁ…」
女「だからね、女友ちゃんも待ってるから、来てくれないかな?」
ごめん
メシ
男(チャンスだな…)
男「うんいいよ。ぜひともご一緒させて」
女「そうこなくっちゃ!じゃあ行こう!」
男「と、その前に…」チラッ
友「オンナサントオトコガゴハンウソダウソダウソダ」ブツウツ
男「…こいつも一緒にいいかな?」
女「全然いいよー」
友「…え?いいの…?」
女「うん」ニコニコ
友「うぅ…ありがとうございます…」
男「大げさだな」
友「これが喜ばずにいられるか!」
友「ほら男!早く行くぞオラァ!」
男「…騒がしい男ですいませんね」
女「ううん、にぎやかでいいと思うよー」
屋上
女友「……」ブス
女「女友ちゃん、そんなしかめっ面じゃダメだよ」
女友「…ふん」プイ
女「…やっぱりまだまだ警戒してるね」
男「そうだね…」
女友「……」バクバク
女「あぁ、女友ちゃん!そんなにかきこんだらダメだよ!」
男「……」
男(母子みたいだな)
女友「…ごちそうさま」
女「い、いつもより早い…」
男「……」
女友「私、先に教室に戻ってるから」
女「え?だ、ダメだよ女友ちゃん!折角男くんたち来てくれたのに…」
女友「…ごめんね、女」
女「女友ちゃん…」
女「…ごめんね、男くん、友くん」
友「い、いえ!全然!そんにゃこと!!」
男「いや、大丈夫。こうなることは分かってたから」
女「でも…嫌な思いしたと思うし…本当にごめんなさい」
男「女さんが謝ることじゃ…悪いのあいつだし…」
女「でも!」
男「……女さん、これじゃきりがない。ひとまずこの話がここでおしまいにしよう」
女「……うん……ごめんなさい」
友(あ、あれ?なんだこの空気?)
男「さて、まだ時間はあるけど、教室戻ろっか」
女「…うん」
友「ええええ!?もう!?」
女「男くん…それに友くん…もしよかったら、またあの子に話しかけてあげてくれないかな…?」
友「もっちろん!」
男「うん。言われなくても」
放課後
男「はぁ…結局何の実りもなく1日が終わったなぁ…」
友「俺はかなり前進したぜ!なんたってあの女さんと一緒に昼を…」
男(さて、明日からどうしようか…)
男(今のままじゃあいつは俺を避け続けるだろう)
男(何かキッカケがあればな…)
友「男ー?聞いてるか?」
翌日
男「けっきょく何も思いつかなかった…」
男「今日はどうすっかなー…」
ガラガラ
男「おはよー…」
「いいかげんにしろよ!いつもいつも俺の邪魔ばかりしやがって!!」
男「ん?誰だよ朝っぱらうるせぇな…」
イケメン「なんなんだよお前は!」
女友「……」
男「イケメンと女友…?」
イケメン「いっつも女さんと話してるところを邪魔しやがって!」
女「ちょ、ちょっとイケメンくん!どうしたの!?」
イケメン「女さんは黙ってて!俺はこいつに用があるんだ!」
女友「……」
イケメン「聞けばお前、男嫌いなんだってなぁ?」
女友「……」
イケメン「ここまで徹底して俺から女さんを守るってことは、もしかしてお前、女さんのこと好きなのかぁ?」
女友「!…そ、そんなわけ…」
イケメン「…おいおい……なんだよその反応…もしかしてマジなのか…?」
女「女友…ちゃん?」
イケメン「うわぁ…おいみんな見てたか?こいつ女のくせして女さんが好きらしいぜー!」
女友「……っ」グッ
生徒「…うそ…じゃあ同性愛者ってこと…?」
生徒2「キモ…」
生徒3「マジかよ…」
ザワザワ
女「ちょ、ちょっとみんな!憶測でもの言わないで!」
生徒「で、でも…」
生徒7「あんな反応されちゃ…」
女「み、みんな…」
女友「……」プルプル
イケメン「終わりだな。もうお前の居場所はないぜ?」
女友「……」
イケメン「女のくせに女が好きなんてよぉ…気持ち悪ぃやつだな?」
女友「っ……」キッ
イケメン「うわ、こっちみないでくれよ…同性愛がうつる……なんてなぁ!」
イケメン「あっはっははは!!」
女友「……」プルプル
男「そこまでだ」
女友「……!」
イケメン「ん?誰、君?」
男「そこのちんちくりんの……知り合い」
イケメン「知り合い?へぇ…一応男の知り合いはいたのか」チラッ
女友「……」
イケメン「それで、なにか用?君も一緒にこいつをいじめる?」
男「……お前は大きな勘違いをしてるよ」
イケメン「…は?」
男「お前さぁ…好きって言ったらなんでもかんでも恋愛方面に持っていくなよ」
イケメン「じゃあなんだ?友達として好きってことか?」
男「そうだよ。大体同性愛なんて漫画やアニメみたいなこと、現実であるわけないだろ?」
イケメン「……」
男「女同士ならなおさらだよ。ここ共学だぞ?」
イケメン「じゃあ、なんで俺からあんなに女さんを守ったんだ?明らかに友達のそれを超えてるだろ」
男「…それはお前に非があるんだよ」
イケメン「はぁ?」
男「女友にとって、女さんは大のつくほどの親友だぞ」
イケメン「だからなんだよ」
男「大親友にさ、お前みたいに顔だけ良くてチャラチャラしたような男を近づけたくないだけなんだよ」
イケメン「顔だけだと?」
男「顔の良さだけは認めてやる。でもそれ以外はダメダメだ」
イケメン「どうして決め付ける?」
男「今回の件で明白だろ?女友を憶測だけでさらし者にしようとしてたじゃねぇか」
イケメン「でも、そいつは本当に同性愛者かもしれねぇじゃねぇか!」
男「違うよ」
イケメン「…はぁ?」
男「こいつはただ、どこの馬の骨かわからんような男から親友を守ろうとしてる、最高に友達想いなやつだよ」
イケメン「…そ、それだって憶測だろ!なぁみんな!」
生徒「……」
生徒2「……」
シーン
イケメン「お、おい…なんだよ…これ」
女「イケメンくん」
イケメン「お、女さん!女さんはわかってくれるよな!俺のこと…」
女「もう私たちの前に現れないで」
イケメン「お、女さん…?」
女「もうあなたの顔なんて見たくありません」
イケメン「……」
男「…というわけだ。もう諦めろ」ポン
イケメン「さ、触るな!元はといえばお前が…」グッ
男「殴るのか?そうしたらお前、今度こそ終わりだぞ」
イケメン「く…くそっ…くっそぉぉ!」
男「……」
女「……」
女友「……」
イケメン「……」トボトボ
男「……行ったか」
女「…男くんありがと」
男「いや、俺は…それより…」
女友「……」
男「…ちょっとこいつ借りる」グイッ
女友「…へ?」
女「男くん!?」
男「すぐに帰ってくるよ!多分!」
女友「ちょ、ちょっと!」
男「ん?」
友「よ。教室の外から聞いてたぜ」
男「いや、入って来いや…」
友「いやー…入るに入れない空気だったもので…」
男「いつからいた?」
友「お前が口出したあたりから」
男「じゃあ全部聞いてたんだな…」
友「まぁな…それはそうと」
男「?」
友「かっこよかったぜ」グッ
男「……どうも」グッ
女友「……」
保健室
女友「……なんのつもり」
男「特に何も。いいから少し寝て、心を落ち着かせろ」
女友「……」
男「さっきのやつ、結構こたえたんじゃないか?震えてたぞ」
女友「べ、別に震えてなんか…」
男「……はいはい、じゃあそういうことにしておいてやるよ。さっさと寝ろ」
女友「……ふん、感謝なんてしないんだから」
男「別に見返りを求めてやったことじゃないからな。体が勝手に動いてただけだ」
女友「……ふん」
男「じゃあ俺はそろそろ戻るよ」
女友「…さっさとどっか行け、ばか」
男「はいはい。後で女さんを向かわせるから、そのときに色々してもらえ」
女友「色々って…」
男「女さんとイチャイチャしてろ」
女友「……」
男「じゃあ、また」
ガララ
女友「……」
女友「……感謝なんて」
女友「………絶対しない…」
男(はぁ…今回の件であいつの男嫌いに拍車がかかっちゃったかな…)
男「あの野郎…余計なことしやがって」
男「さらにやり辛くなっちまったよ…」
ガララ
女「あ、男くん…」
男「よう」
女「女友ちゃんは…?」
男「あいつなら保健室で寝てるよ。安心して」
女「…よかった」ホッ
男「それより、クラスのみんなだよ。女友の誤解をとかないと…」
女「それなら大丈夫」
男「え?」
生徒「女友ちゃん大丈夫だって」
生徒2「よかったー…」
生徒3「あとでみにいこっか」
男「……」
女「友くんがね、みんなの誤解をといてくれたんだ」
友「そうだぜ男!すげーだろ!」
男「……」
友「ふっふっふ…驚きのあまり声もでないか」
男「いや、でもすげーよ…女友に代わってお礼言っておく。ありがとう」
友「いいってもんよー!これぐらいしかできないからさ、俺!」
女「そんなことないと思うけどなぁ」
友「いえいえ!そんなことありますよぉ!」デレデレ
男「……」
友「そうだ、今日のお昼はどうします?」
女「今日は女友次第だねー」
友「そうですかー!早く良くなるといいですね!」
男(こ、こいつ……)
ガララ
女「女友ちゃん、大丈夫?」
女「……女友ちゃん?」
女友「……」スゥスゥ
女「ありゃ…寝てる」
女友「……」スゥスゥ
女「……ふふっ可愛い」
女「……」ナデナデ
女友「…んん……」スゥスゥ
女「…ふふ」
女「……」
男「あ、女さん」
女「!?」ビクッ
男「えっどうしたの?」
女「べ、別に…」
男「…?それより、女友の様子はどう?」
女「え、あ、あぁ、女友は寝てるよ」
男「本当だ。気持ちよさそうな顔だなぁ…」
女「そうだね…」
男「寝てるんじゃしょうがないか…俺戻るね」
女「え?う、うん、わかった」
男「俺はただ様子を見に来ただけだから、それじゃ」
女「うん、じゃあね」
ガララ
女「……」
女友「……」スゥスゥ
女友「……う…ん」
女「あ、起きた?」
女友「女……?」
女「うん、私だよ?」
女友「…あいつは?」
女「あいつ?」
女友「……やっぱりなんでもない」
女「そっか」
友「今日は男だけの昼食かぁ…」
男「変な言い方すんなよ」
友「だってよぉ…はぁ、女さん…」
男「我慢しろよ。もしかしたら明日は一緒かもしれないぞ」
友「明日か…って、明日休みじゃねぇか!」
男「あり?そうだった?」
友「はぁ…休み跨ぐのか…辛い…辛すぎる……」
男「ドンマイ」
放課後
男「結局女友来なかったな…」
友「早退したとも聞いてないし、まだ寝てたりしてな」
男「まさか…」
女友「あ……いた」
男「……」
友「ほ、本当にいた…」
女友「ちょっと来て」グイッ
男「え?お、おい!」
友「お、男!?」
男「はぁ…はぁ…なんだよ、急に…」
女友「……今日の、お礼」
男「お礼?別にいいって言っただろ…」
女友「いいから!聞いてよ…あんたに…頼みたいことがあるの」
男「頼みたいこと…?それのどこがお礼なんだ?」
女友「本来なら男なんて相手にしないけど、今回の件で特別に頼んであげるってこと」
男「……つまり、お礼として話してあげてると?」
女友「そうよ」
男「……誕生日?」
女友「そう、女の誕生日もうすぐなの」
男「だから?」
女友「はぁ…察しなさいよ……全く、これだから男は」
男「はいはいごめんなさい。それで、なんなんだよ」
女友「誕生日のプレゼントを一緒に選んでほしいの」
男「はぁ、一緒にね……一緒に?」
女友「そうよ。一度で理解しなさいよ」
男「え?で、でも一緒ってどういう…」
女友「本当鈍いわね…明日休みでしょ?一緒に来てくれない?」
男「ま、マジか」
女友「言っとくけど、デートだとか思わないでよね。あくまでプレゼント選びなんだから」
男「わ、わかったよ…私情は持ち込むなってことな」
女友「そう、あくまで仕事だと思いなさい」
男「…わかった。それで、どこに集合だ?」
女友「駅でいいでしょ?」
男「駅ね…わかった」
女友「じゃあ明日ね。遅れるんじゃないわよ」
男「了解…」
女友「……」タッタッタ
男「それにしても驚いたな…まさか一緒におでかけまで進展するとは…」
男「……」
男「……やべぇ」
男「…俺、かなりニヤけてる」ニヤニヤ
翌日
男「えーっと、時間は大丈夫だな…」
男「ちょっと早くなってしまったが…まぁ遅れるよりはマシか」
女友「あ」
男「ん?」
女友「…ちっ、あんたより少し遅れた…」
男「なんで舌打ちなんだよ」
女友「あんたより遅く着いたなんて、なんか嫌」
男「なんかって…まぁいいか」
女友「…随分あっさりね。つまらないの」
男「つまらなくてすいませんね」
男「ところでプレゼントだけど、何買うのか目星ついてるの?」
女友「まぁ、ある程度は」
男「ふーん…だったら尚更俺必要あったのかな」
女友「……一人じゃ、心細いでしょ……だから」
男「…!そっか……なんだかんだいって、俺のこと信用してくれているのか?」
女友「そ、そんなわけないでしょ!妥協に妥協を重ねた結果よ!」
男「ははっ、わかったわかった」
女友「わ、笑うなぁ!!」
「次は~○○駅~○○駅~」
男「お、着いたぞ」
女友「……」
男「?」
女友「……」スタスタ
男(また怒らせちゃったかな)
女友「…早くきなさいよ。ドンくさいわね」
男(あ、やっぱり怒ってるわ)
ワイワイガヤガヤ
男「さすが休日だけあって人たくさんいるなぁ」
女友「そうね」
男「お前ただでさえちっこいんだから、迷子にならないよう気をつけろよ?」
女友「子供扱いしないで」
男「ごめんごめん」
女友「別に人ごみに流されたりなんてしないから」ギュ
男(と、言いつつ袖掴んじゃってまぁ…無意識なのかな)
女友「何ニヤけてんの?気持ち悪い。早く行くわよ」
男「おう」
男「ここは……」
女友「ほら早く」グイグイ
男「お、おい引っ張るなよ」
女友「これなんてどうかしら」
男「どうかしらって言われても…」
女友「思ったことを言えばいいの」
男「うーん……一応聞くけど、それって……」
女友「砂時計よ。それぐらい知ってるでしょ?」
男「それはわかるけど…あれ?女さんへのプレゼントだよね?」
女友「そうよ」
男「…女の子ってもっとこう……可愛いものが欲しいもんじゃないの?」
女友「可愛いものね…普通はそう思うわよね…」
男「…?」
女友「女はね、可愛いものにあまり興味がないの」
男「興味がない…?」
女友「見たでしょ?携帯にはなにも付けてないし、カラーペンもあまり持ってない」
男「あぁ…確かに女さんってあまり着飾らないっていうか…」
女友「だから、こういうオシャレなものの方が喜んでくれるの」
男「へぇ…」
女友「さぁ、お話はこれでおしまい。選ぶわよ」
男「おう」
女友「これなんてどう…」
男「うーん…色が地味だなぁ…」
女友「むぅ…じゃあこれは?」
男「これは……」
女友「はぁ…やっと選べたわね…」
男「結構時間かかっちゃたな」
女友「そうね、今何時かしら…」グゥー
男「……」
女友「……」
男「とりあえずラーメンでいい?」
女友「……」コクリ
男「まぁまぁ、元気出して、な?」
女友「…うっさい」
男「ごめんごめん」
男「ふぅ食った食った」
女友「意外と少なかったわね」
男「……」
女友「あんた少食?」
男「いや別に…」
男(こいつ、意外と食うんだな…)
男「これからどうする?プレゼントも選んだし、目的は果たしたわけだけど」
女友「このまま帰るのもなんだから、あんたが決めてよ」
男「俺?」
女友「あんたが行きたいところに行っていいわよ。私も付いていくから」
男「お、おう」
女友「早く決めてよね」
男「……うーん」
男「…結局ここにしました」
女友「……まぁいいわ。私は付いていくって言った以上、文句は言えないし」
男「ゲームセンター来たことあるか?」
女友「少しだけね。うるさくてすぐに出たけど」
男「う…ごめんね」
女友「別にいいわよ。どうせなら楽しんでやるわ」
男「…すまん」
男(とは言え…何をやろうか…)
男「女友はなにか気になるものあったかー?」
女友「……わぁ」
男「ん?UFOキャッチャー?…あぁ、なるほど」
女友「……ふわぁ」
男「そのぬいぐるみ欲しいのか?」
女友「!?」ビクッ
男「そ、そんなに驚くなよ…」
女友「び、びっくりしたじゃない!急に声かけないでよ!」
男「ご、ごめん…ゲームセンターだし大丈夫かと」
女友「大丈夫じゃないわよ…」
見てる人いんのかな
風呂入る
男「それにしてもぬいぐるみかぁ…」
女友「べ、別に見てないわよ!ぬいぐるみなんて!」
男「ふーん」
女友「ニヤけるなぁ!」
男「ごめんごめん」
男「でも本当に欲しくないの?それ」
女友「べ、別に…」
男「可愛いと思うぞ、このぬいぐるみ」
女友「あんたが可愛いとか言うな…気持ち悪い」
男「酷い…でも可愛いと思ったのは本当だよ」
女友「…そんなに可愛いと思うなら勝手に取ればいいじゃない」
男「じゃあ、そうさせてもらう」
女友「へ?」
男「ほい、200円」チャリーン
女友「ちょ、ちょっと!本気!?」
男「超本気」
女友「……」
男「さて…どこから攻めるか…」
女友「……」チラッ
男「…気になるか?」
女友「!そ、そんなわけないでしょ!」
男「……」
男「ぐわっ!落ちたぁ…」
女友「……」
男「次こそ…!」
女友「……」チラッ
男「もうちょっと右か…?」
女友「……」
男「あぁ!また失敗かぁ…」
女友「……」
男「次こそ!」
女友「……」
男「またか…」
女友「…懲りないわね」
男「取れるまでやるさ」チャリーン
女友「……」
男「さて、今度こそ…」
女友「……右」
男「え?」
女友「もうちょっと右に寄せて」
男「……あぁ!」
男「お、お!これはいけるんじゃないか!」
女友「まだよ!油断しちゃダメ!」
男「で、でも…おぉ!おおおお!?」
女友「い、いける?」
ゴトン
男「いやったぁぁぁぁ!!」
女友「取れたぁぁ!!」
男「いえーい!」ハイタッチ
女友「いえー……じゃない!」
男「…っち」
女友「ついノリで熱くなってしまった…恥ずかしい…」
男「あんなに生き生きとしてるお前初めてみたよ」
女友「生き生きとなんてしてない…」
男「…はいはい」
女友「それよりもそのぬいぐるみ、どうするの?」
男「ん、あぁ…とる前は欲しいと思ったんだが…こうして手にとってみるとなんというか、拍子抜けというか…」
女友「なによ、いらないの?」
男「なんだかなぁ…取れたことによって冷めたみたい。いらないな」
女友「えぇ…なによそれ…」
男「このまま置いていくのももったいないし、いるか?」
女友「え……」
男「ん」ズイ
女友「ちょ…」
男「おぉ…やっぱりぬいぐるみは女の子とで1セットだな。映える映える」
女友「……私いるって言ってないんだけど」
男「顔が欲しいって顔だった」
女友「…そんなこと」
男「とりあえず持ってろ。捨てるのもったいないだろ?」
女友「……わかった。もったいないもんね」
男「そうそう、もったいないからな」
女友「言っておくけど、別に嬉しくなんてないから」
男「わかってるよ」
女友「ならいいのよ」
男「……」
女友「さ、次は何する?」
男「ん…次は、そうだな…」
男「はぁー、思ったより遊べたなぁ…なぁ?女友」
女友「そうね」
男「もう夕方か…遊びすぎたか」
女友「暗くなる前に帰りましょ」
男「そうだな…そろそろ電車がくる。乗ろう」
女友「ええ」
男「ふぅ…」
女友「空いててよかったわね」
男「そうだな…疲れてたから助かった」
女友「ええ」
男「でも、疲れたからって寝るなよ?」
女友「大丈夫よ、あんたじゃあるまいし」
男「決め付けるな」
ガタンゴトン
男(この揺れが心地いい…)
男(それにしても、今日は結構良かったんじゃないか…?)
男(女友もなんだかんだ言いつつ楽しんでたようだし…)
男(この調子で距離をつめていけば…いける!)コテン
男「……ん?」
女友「……」スゥスゥ
男「…女友?」
女友「……」スゥスゥ
男「なんだよ…お前が寝てるじゃねぇか…」
女友「……」スゥスゥ
男「ぬいぐるみ、よく落ちないな…」
女友「……」スゥスゥ
男「肩に頭、か……憧れのシチュエーションだよな」
女友「……」スゥスゥ
男「着くまで、寝かしといてやるか…」
女友「……」スゥスゥ
「終点○○駅~○○駅~」
男「ん、着いたか…」
男「女友は…」
女友「……ん」スゥスゥ
男「まだ寝とる……おい起きろ、着いたぞ」ペシペシ
女友「んん……」
男「おーきーろー」
女友「ん……?男…?」
男「あぁ、そうだよ。ほら、降りるぞ」
女友「うん……」
女友「ふわぁ……」
男「おはよう」
女友「おはよう…」ボケー
男「…そこにトイレあるから、顔洗って目覚ましてこい」
女友「うん…」トコトコ
男「……」
男(そういえば…さっきあいつ…俺のこと名前で呼んでたような…)
男(…まぁ、寝ぼけて言っただけだよな)
男「…はぁ」
男「……」
女友「おまたせ」
男「おう、早かったな」
女友「顔洗うだけだからね」
男「そうだな…じゃあ帰るか」
女友「……」
男「女友?」
女友「…携帯、出して」
男「え?」
女友「携帯よ。2度も言わせないで」
男「ご、ごめん…ほい」
女友「あんたのアドレスから教えて」
男「あぁ、アドレスね……って、アドレス!?」
女友「なによ…」
男「え?お、教えてくれるの?」
女友「先にあんたのを入れてからね」
男「あ、あぁ!」
女友「これでよしっと……」
男「でも、よく教えてくれたな。最初の頃は赤の他人だーっつって教えてくれる気配もなかったのに」
女友「うるさい…これもお礼よ」
男「お礼?」
女友「女のプレゼント選んでくれたお礼……それと」
男「それと?」
女友「……ぬいぐるみ」
男「……そうか、ありがとな」
女友「……ふんっ」
女友「言っとくけど、くだらないメールしたらすぐ消すから」
男「わかってるよ、送らないって」
女友「でも、全く送らないのもダメだから」
男「たまに一言送らせてもらう程度で」
女友「それぐらいなら…まぁ、許す」
男「わかった」
女友「さて、それじゃあ今度こそ本当に帰りましょうか」
男「そうだな……また、学校で会おう」
女友「……」
男(やっぱり無視か…)
女友「……また、学校で」
男「!」
女友「……」タッタッタ
男「……」
男「……初めてだな……反応してくれたのは…」
男「進展アリ……」
休み明け
男「ふわぁ……ねみぃ…」
女友「相変わらず冴えない顔してるわね」
男「ん…女友か…」
女友「なによ、その反応。折角私から話しかけてあげたんだからもっと喜びなさいよ」
男「あぁ…わーい」
女友「…あんた、朝弱い?」
男「ものすごく…昨日夜更かししたから尚更…」
女友「早く寝なさいよ…体壊しても知らないからね?」
男「ありがと…」
授業中
男「……」スゥスゥ
女友「……」
昼休み
男「ふわぁ…」
友「お前今日寝すぎだろ…」
男「仕方ないだろ…眠いんだから」
女「ちゃんと夜寝なくちゃダメだぞー?」ヒョコッ
男「ん?女さん…」
友「おおおお女さんん!!」
女「今日も頼んじゃっていいかな?あの子のために、お願い!」
男「うん、いいよ」
友「断る理由がありません!」
屋上
女友「あんた…今日ずっと寝てたでしょ?」
男「あぁ…友にも言われた、それ」
女友「授業すら聞いてないんじゃ、学業に支障をきたすわよ?わかってるの?」
男「面目ない…」
友「……あれ?結構仲良くなってる?」
女「いつの間に…」
女友「わかったなら今日から早く寝ること。いい?」
男「はい…」
女友「わかればよろしい」
友「へぇ…いつの間にか、結構仲良くなったみたいですね」
女「そうだね…あの子が男子とあんなに話してるの初めてみた…」
友「さすが俺の親友、やるなぁ」
女「……」
それから、女友はなにかと理由をつけて俺に話しかけてくるようになった。
前よりも積極的に、前よりも表情豊かに。
出会った頃より確実に心を開いてくれているようだった。
数日後
TV「今日は午後から雨模様…」
男「雨降るのか…今は快晴なんだけどな…」
男「一応傘持ってくか」
午後
男(本当に雲行きが怪しいな…傘持ってきて正解だったか…)
男(信ずる者は救われるってなこういうことか)
男「……」
友(やべ…帰り大丈夫かな…)
放課後
女「うわぁどしゃ降りだねぇ…」
女友「そうだね…」
女「どっちも傘ないんだよね…どうしようか」
女友「止むまで校内にいた方がいいかも」
女「んーそうだねぇ…」
男「あれ?女さんに女友?」
男「どうしたの?」
女友「あんた…」
女「男くん!実は傘がなくてね…どうしようか、考えてたの」
男「2人ともないの?」
女友「ええ」
男「……じゃあこれ使えよ」
女友「え……?」
ごめん寝る
あとちょっとで終わりなんだけど、無理っぽい
落ちてたら…どうしようかね
お昼ごろには…
ミヤネ屋始まる頃には再会できると思う
新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内
ほ
女「傘…いいの?」
男「あぁ、使ってくれ」
女友「…あんたはどうすんのよ?」
男「最近あまり運動してないからさ、丁度走って帰りたい気分だったんだ」
女友「でも、こんなドシャ降りじゃ…」
男「大丈夫大丈夫」
女「男くん…」
男「相合傘になっちゃうけど、女同士だし問題ないだろ?」
女友「…でも」
男「いいから気にするなって。俺がやりたくてやってるんだから」
女友「……」
男「それじゃあ、また明日な!」タタタタタ
女「あ……本当に行っちゃった…」
女「どうしよう…」
女友「いいよ、帰ろう?折角あいつが貸してくれたんだし」
女「…うん、そうだね……男くんの厚意を素直に受け取らなくちゃ」
女友「それがいいよ。それに、あいつバカだから風邪なんてひかないよ」
女「あはは…はっきり言ったね…」
女友「本当のことだから」
男「はぁ…はぁ…」バシャバシャ
男「ちくしょう舐めてた!思ったより降ってやがる!」
男「どっか雨宿りできるとこないか………」
男「お!よさそうなとこ見っけ!」
男「うひぇー…ずぶ濡れ…」
男「絞ったら水が出るわ出るわ…」ザバー
男「携帯…防水で良かったなぁ…」
男「……」
男「…たまにはいいかな」ピッピッ
男「これっきりだぞ…女友」
女友「……?」ブーブー
女「どうしたの?」
女友「…メール、あいつから」
『頑張れよ』
女「頑張れ…?どういうことだろ?」
女友「……あのバカ」
男「はぁ…やっと着いた」
男「あーあー…こりゃパンツまで濡れたな…」
男「…ひっくし!」
男「……ありゃ?」ズズー
女「じゃあ、また明日ね」
女友「うん…また明日ね」
女「明日は男くんにちゃんとお礼言わないとね」
女友「…そうだね」
女「じゃ、バイバイ!」
女友「…バイバイ」
ザー
女友「……」
女友「…この傘、あいつのなのよね……」
女友「…あいつの、かぁ…」クルクル
女友「…まぁ、明日はお礼ぐらい言ってあげてもいいかな…」
女友「ふふ……」
男「ぶえっくしょい!!」
男「うぇーい…ちくしょう…」
男「…やっちまったかな」ズズ
翌日
女友(今日は晴れたなぁ…)
女友(なのに傘持ってるって、へんな感じ)
女友「……」
女「あ、女友ちゃん、おはよー」
女友「おはよ」
女「おやぁ…なんだかご機嫌だね?」
女友「え?そうかな…」
女「うん。口角が少し上がってるよ」
女友「!そ、そう…?」
女「うんうん、ちょっとニヤけてるねぇ」
女友「嘘…なんでだろ…」
女「……」
女友「…うーん」
女「もしかして、男くんのせいかな?」
女友「!そ、そんなわけ…あいつ男だし…私にとっては敵みたいなものだし…」
女「……」
女友「…女?」
女「…ん?何かな?」
女友「今少し怖い顔してた。どうしたの…?」
女「…なんでもないよー。考えすぎだよ、女友ちゃんは」ニコニコ
女友「そ、そっか…」
女「……」
ガララ
先生「HR始めるぞー」
女「あ、先生きたね。席つかなきゃ」
女友「うん」
女友(あれ?あいつ、今日は遅刻?)
先生「そうだ、始める前に言っとく。男は今日、風邪で欠席だ」
女「え…?」
女友「風邪…?」
男「……」ピピピ
男「……昨日よりは下がったな…でもまだ平熱ではないか…」
男「あぁ…このタイミングで風邪ひくなんて、女さんと女友に会わせる顔がねぇな…」
男「せめて休日に引いてくれりゃよかったのに…」
男「とりあえず寝よう…」
ブーブー
男「…メール?」パカッ
友『お前が風邪なんて珍しいな!まぁ、ノートとかは俺に任せて、安心して寝てろよな!』
男「…了解」
男「じゃあお言葉に甘えて……」
男「はぁ…」
男「……」スゥスゥ
女「男くん…原因はやっぱり昨日の…だよね」
女友「うん…」
女「どうしよう…」
女友「……」
友(声かけられそうな雰囲気じゃねぇな…)
アリガ…ワザワザ…
イエ…デスシ…
男「……ん?」
「げ……起きた?」
男「げって…誰だ…?」
「私よ、来てあげたわよ」
男「ん…?来てあげたって…」
「まだわからないの?私よ」
女友「女友」
男「え…?」
男「お前…え?」
女友「なによ、鳩が豆鉄砲くらったような顔しちゃって」
男「いや、素直に驚いた…ていうかお前、なんで俺ん家知ってるんだ…?」
女友「先生に聞いたの」
男「そこまでして……よく来てくれたな」
女友「あんたが風邪ひいたのには、私達にも責任があるからね。これぐらいはしないと」
男「そっか…」
女友「あと、傘のこと……ありがとね。昨日は助かったわ」
男「……!」
女友「な、なによ…」
男「お、お前がありがとう…だと…?」
女友「私だってお礼ぐらい言うわよ…酷いわね」
男「い、いやだって…いつもはもっとこう…理不尽なこと言うじゃん」
女友「理不尽って…そうだったかしら?」
男「なにとぼけてるのさ…全く」
女友「でも、あなただって素直じゃないわよね。頑固だわ」
男「な、なにをう!」
女友「いつもいつもしかめっ面で、怒ってるみたいよ」
男「顔は生まれつきなんだから仕方ないだろ!」
女友「生まれつきは甘えよ。変わろうと思えば、人間変われるものよ」
男「な、なんだと!お前だって変わってないじゃないか!相変わらず俺に憎まれ口叩いて!」
女友「私は変わったわよ…こうして、あんたと話せるようになったじゃない」
男「あ…」
女友「まぁ、まだ男性を認めたわけじゃないけどね」
男「……ごめん」
女友「いいわよ、別に…私も言いすぎたわ」
男「ていうか、今何時だ?」
女友「……6時半ね」
男「もうそんな時間か…外も暗くなってきたな」
女友「じゃあ、私帰るわね。これ以上いても迷惑になりそうだし…」
男「…ちょっと待て」
女友「何?……ってあんた、なんで上着羽織ってるのよ」
男「家まで送ってくよ。熱もすっかり下がったみたいだし」
女友「え…?」
男「こんな時間に女が一人で出歩くのは危険だからな」
男「母さーん、ちょっと出てくるー」
母「いってらっしゃーい。彼女、ちゃんと送ってやりなさいよー」
男「彼女じゃねぇよ!ベタなやりとりさせんな!」
女友「……」
男「じゃあ、行くか」
女友「……」
男「お前の家は、ここからどれくらいかかるんだ?」
女友「…20分くらい」
男「そうか。ちょっと遠いな」
女友「……」
男「そういえば、お前に矯正してやるーって言ってからどれくらいたったっけ?」
女友「半月ぐらい、かしらね」
男「もう半分か…間に合うかな…」
女友「さぁね」
男「…お前はまだ、女さんが好きなのか?」
女友「…ええ」
男「そっかー…やっぱり無理なのかな…」
女友「……」
男(今更期間を延ばしてくれっていうのもなぁ…)
女友「…ねぇ」
男「…なんだ?」
女友「折角送ってもらってるのに、あんたが無言じゃつまらないわ。なんでもいいから話して」
男「…なんでもか……」
女友「本当になんでもいいわよ。無言よりマシだわ」
男「うーん…そうだなぁ…」
女友「……」
男「そういえばさ、女さんの誕生日この前あったんだよな?プレゼントの反応どうだった?」
女友「喜んでくれたわよ。とても感謝されたわ」
男「そうか…そりゃよかった」
女友「あんたと選んだ、とは言わなかったけど」
男「それでいいんだよ。あれはお前が一人で選んだってことにしておけ」
女友「……えぇ」
男「それにしても、喜んでくれたのか…良かった…」
男「プレゼントと言えば、あの日取ったぬいぐるみどうしてる?」
女友「…あるわよ、ちゃんと」
男「そうか…大事にしてるか?」
女友「…まぁね」
男「毎日抱いて寝てる?」
女友「まぁ……ってそんなことしてないわよ!子供じゃあるまいし!」
男「ははは!ごめんごめん!」
女友「…そろそろ大丈夫よ。家見えてきたから」
男「あれ、もう着いたのか。意外と早く感じたな」
女友「私はいつもより疲れたわよ…」
男「ごめんって」
女友「別にいいけど…」
男「ここからはもう一人で本当にいいんだな?」
女友「ええ、1分もしないで着くから。じゃあね」
男「……女友!」
女友「?」クルッ
男「さっきは俺のこと頑固だって言ってたけど、俺だって素直に礼ぐらい言えるんだぞ!」
女友「……」
男「今日見舞いきてくれて、ありがとうな!すげぇ嬉しかったよ!」
女友「……っ」
男「じゃあ、また明日な!」フリフリ
女友「……」
男「……」フリフリ
女友「……また、明日」フリフリ
ごめん
ちょっと席はずす
男「……」
女友『……また、明日』
男「……」
男「…あと少し、かな」
男「……なんだか上手くいきすぎてるような気もするが」
男「……」
男「もう一押し、かな?」
女友「……」
女友「……男なんてと思ってたけど…」
女友「……」
女友「別に……悪くない…」
女友「で、でもそれはあいつに対してで……」
女友「……」
女友「明日が楽しみだな、なんて思っちゃって……」
女友「……おかしいな…私」
翌日
男「のどOK」
男「ダルさ、無し」
男「視界、良好」
男「復活!俺、復活!」
母「うるさい」
男「すいません」
女友「あ…今日は来たんだ」
男「おう、すっかり治ったぜ」
女友「私の看病のおかげかしら?」
男「そうだな。お前のおかげだ」
女友「…す、少しは否定してよ……」
女「あ、男くん治ったんだ」
男「おかげさまで」
女「えーと…この前はごめんね?私達のせいで…」
男「いいよ。気にしないで」
女友「そうそう、気にするだけ無駄」
男「お前は黙っててくれるかな?」
女友「お断りよ」
女「……」
昼
男「さて、今日は…」
女友「早くきなさいよ、どんくさいわね」
男「まさか女友から誘ってくるとは…」
女友「い、いちいち一人で屋上で待つのが嫌なだけだから…」
男「はいはい」
友(なんだこいつら)
女「あ、男くん。屋上行く前にちょっといいかな?」
男「え?俺だけ?」
女「うん」
友「」
女友「ちょ…そんなやつと2人っきりなんて危ないよ…」
女「大丈夫大丈夫。男くんはそんなことしないから」
男「えぇ…」
女「女友と友くんは先に行ってて」
女友「あ、女…」
友「」
女友「……どうしよう」
友「」
女友(こいつ動きそうにないし、私だけで先に行ってよ)
男「ちょ、ちょっと女さん!」
女「なーに?」
男「どこに連れて行く気だよ!」
女「人の少ないところ。ちょっと他の人には聞かれたくない話だから」
男「……?」
女「ここならよさそうね…」
男「それで、話って…?」
女「男くんにとって、女友ちゃんってなに?」
男「女友…?何って言われてもなぁ……知り合い…?」
女「知り合い、か……知り合いなのに、呼び捨てだったり、お前呼ばわりなんだ」
男「女さん…?」
女「あの子はね…つい最近まで男の子と会話なんてしたこと殆どなかった」
男「…それは、知ってるけど……」
女「それなのに……最近はあなたとばっかりお話してる…」
男「お、女さん…?」
女「この私よりもたくさん…中学からの付き合いの私よりもたくさん…」
男「……」
女「……何を」
男「……?」
女「何をしたの!あの子に!」
男「!?」
女「男のことなんか嫌いで!いつも私だけを見ていた女友ちゃんに何をしたの!!」
男「な、何って…」
男(ナニをしていた…なんて言えないよな……)
女「どうすればあそこまで心を開いてくれるのよ!私知ってるんだから…昨日、女友ちゃんがあなたのお見舞いに行ってたこと…」
男「お、お見舞い?女さんが病気のときも来てくれてたんじゃないの?」
女「来てくれてたよ!でも!男であるあなたに、たった数週間の付き合いのあなたに!なんで……!」
男「お、女さん……」
女友「……くしゅん」
女友「誰か噂してるのかな…」
女友「それにしても、女もあいつも、いつまで話してるんだろ…」
女友「それに……」チラッ
友「…ウソダ…ウソダ…ソンナ」ブツブツブツ
女友「……」
女友「はぁ……」
男「お、女さん!とりあえず落ち着いて!」
女「落ち着けるわけ、ないでしょ…!」
男「ま、まず女さんがそんなに怒ってる理由がわからないよ!女さんにとって女友は友達なんでしょ!?」
女「だから、なに…」
男「だったらむしろ、今の状況は喜ぶところじゃないの!?男嫌いが治ってきてるんだよ?」
女「よくない!」
男「!?」
女「確かに、治ってほしいとは思ってた…思ってたよ!」
男「な、なら!」
女「でも!…あなたと女友ちゃんが仲良くしてるところを見て、またあの気持ちが湧き出てきちゃったの!」
男「あの気持ち…?」
女「女友ちゃんとは…中学からの付き合いって言ったよね…?」
男「あ、あぁ…言ってたね」
女「女友ちゃんはね…その頃から男が嫌いだった。だから、いつも私に泣きついてきた…」
男「……」
女「最初は…そんな女友ちゃんを可愛いと思ってた。だから、ずっと守ってた」
男「……」
女「でも…いつしかその可愛いは…別の感情に変わっていった」
男「…まさか」
女「そうだよ…私はね、女友ちゃんに頼られ、守っているうちに、女友ちゃんに惚れていたの」
男「……」
女「この子は私のもの…誰にも渡さない……ずっと私が守る…好きでいる…そう思うようになった」
男「……」
男(おいおいマジかよ…)
男(相思相愛じゃないですか……)
女「でもね…高校受験を控えたころ…それは良くないって気付いてね」
男「……?」
女「私がなんでこの高校に進学してきたか、わかる?」
男「……わからん」
女「この学校は共学…わざと女友ちゃんと別の高校に進むことで、この気持ちを忘れようと思ったの」
男「あぁ…男嫌いの女友は近くの女子高に行くと思ってたからか?」
女「そう…わざわざ嫌いな男がいる学校なんてこないと思ってた……でも、あの子は付いてきた」
男(……そりゃそうだろうな)
女「私は嬉しかった……でも怒りもあった。なんで付いてきたのって」
男「……」
女「折角忘れようとしていたのに…なんで思い出させるようなマネをするの、と」
女「でも…好きという気持ちが変わることはなかった…だから今まで仲良く過ごしてたんだ」
男「……俺に免疫をつけてあげたいって言って昼誘ったことは?」
女「あれは本心。女友ちゃんさ、高校生になっても私にベタベタしてくるからこのままじゃいけないと思ってね」
男「なるほど…」
女「それで、見事男くんと女友ちゃんは仲良くなってくれた…私に接する時間も……前より減ってくれた…」
男「……」
女「でもね…男くんと女友ちゃんが仲良くしてるところを見てると…なんだか、イライラするっていうか…胃がギューっとなるっていうか…」
男「……」
女「私ね…あなたに嫉妬してた」
男「…でも、それって結局自分で蒔いた種じゃないか」
女「そうだよ…私今、すっごく理不尽なこと言ってる」
男「……」
女「女友ちゃんと仲良くしてるあなたが許せないって…思ってる」
男「……」
女「私だって嫌だって思ってる…こんな理不尽なことであなたにつっかかって…嫌な子だよ、私」
男「……」
女「だから私、この気持ちにケリをつけることにしたんだ」
男「……は?」
女「明日、私女友ちゃんにこの気持ちを伝える」
男「伝えるって…まさか」
女「女友ちゃんに、告白する」
男「……」
女「振られることは目に見えてるけどね…でもこれで、やっとこの恋を終わらせられる…」
男「……」
男(ま、まずい!それまずい!)
男(下手すれば明日でガメオベラじゃねぇか!!)
女「男くん…?」
男「お、女さん…本当に告白するんですか…?」
女「うん…私、特攻するよ」
男「で、でもさ!振られるのわかってて告白するなんてつまらないよ!もっと時間かけて愛情を育んでいこうよ」
女「時間なら充分かけたと思うけど」
男「うぐっ!……そうでした…」
女「男くん…なんか必死だね……もしかして」
男「な、ない!それはない!」
女「……ふーん」
女「…そういうことにしておいてあげる」
男「はい…」
女「じゃあそろそろ戻ろっか。女友ちゃんも友くんも待ちぼうけてるだろうし!」
男「うん…」
女友「遅い…なにしてたの?」
男「え、えーと…まぁ色々ありまして」
男(空気読んで……って言っても無駄なんだろうな…)
女友「聞いてるの?ねぇ?」
女「ははは…」
友「…ウソダウソダウソダ」ブツブツ
女「女友ちゃん、男くん困ってるからそのへんにしてあげなよ」
女友「…わかった」
男「……」ホッ
女友「今ほっとしたでしょ?」
男「んなことない」
友「ウソダウソウダスウオウ」ブツブツ
男「お前はいい加減立ち直ってくれよ」
男「…はぁ、女さん、ちょっとこいつの名前の呼んであげて」
女「わかった……友くん!元気出して!」
友「……」ゲンキダシテ、ゲンキダシテ…ダシテ…シテ…
友「……ぉぉぉおおおおお!!はいぃぃぃ!!」
男「これでよしっと」
女「…うわぁ」
女友「……これだから男は」
放課後
友「男ぉ!今日は寄り道しまくろうぜ!奢るから!」
男「マジか。じゃあお言葉に甘えて…」
女友「あんまり遅くまで遊んでるんじゃないわよ」
男「大丈夫だよ…お前も早く帰れよ」
女友「言われなくても…いこ、女」
女「うん!」
男「またなー」
女友「…またね」
友「またねー!女さん!」
女「あはは…またね」
男「女さん引き気味じゃねぇか…」
友「え?そうだったか!?」
男「あとお前テンション高すぎ…ちょっとうざい」
友「マジでー!ごめん!」
男(こ、こいつ…)イラッ
女友「あの友というやつ、近づかない方がいいよ」
女「そうかな…元気があっていい人だと思うけどなぁ」
女友「もう女は…もうちょっと人をよく見た方がいいよ?」
女「…そうだね」
女友「?」
女(女友ちゃんだって…)
男「……」
友「男、何頼むか決めたか?」
男「あー…うん、これで…」
友「おいばか、これ高ぇよ1300円て」
男「ん?あぁごめん…」
友「なーんかボーっとしてんなぁ…お前」
男「まぁ色々あってね…」
男「はぁ…」
友「…悩んでるなら話ぐらい聞くけど」
男「お前に言われてもなぁ…」
友「お前のおかげで女さんと話せるようになったんだ…なんだって聞くぜ」
男「うーん…」
友「というか女さん…そうだよ女さん!お前昼のとき何話してたんだよ!」
男「あ?アレはなぁ…」
友「なんだよ!」
男(どう誤魔化そうか…)
男「…お前って女さんのことどう思ってる?」
友「なんだよ唐突に……まぁ好きかな」
男「好きねぇ…それって恋愛感情なのか?」
友「当たり前だろ!付き合いたいと思ってるよ」
男「よくそんなことはっきり言えるな…輝いてるよ、お前」
友「さんきゅ!」
男「よっ、モテ男!」
友「ま、まだそこまでは行ってねぇよ…」テレテレ
男(これでよし)
男(実にちょろいな…この男は…)
男(こういうやつが将来、美人局に引っかかるんだろうな…)
友「な、なんだよ男…そんなに見るなよ…」
男「あれ?見てた?」
友「無意識か…」
男「すまんすまん」
男(でも、こいつの真っ直ぐさは目を見張るものがあるな…)
男(俺もこいつぐらい強かったらな…)
男「……」
友「…な、なんだよ」
男「今日は奢ってくれてありがとな」
友「いいってことよ。またいいことあったら奢るぜ」
男「…それはありがたいけど、金は大事にな?」
友「わかってるって!じゃあな!」
男「じゃあな」
男「勝負は明日か…」
男「……」
男「無理かもしれねぇな…俺…」
男「いっそ、ズル休みしてやろうか…」
男「はぁ…」
翌日
男「ふわぁ…」
男(結局何も思いつかなかった…)
男「また無駄に夜更かししちまったな…女友に怒られそうだ…」
女友「その通りね」
男「!」ビク
女友「おはよう」
男「お、おはよう…」
女友「早く寝るように言ったでしょ?」
男「そうですね…」
女友「昨日遊びすぎて帰るのが遅くなったわけじゃあないわよね?」
男「さすがにそこまで遅くは遊んでねぇよ…」
女友「どうだか」
男「はは……」
女友「……?」
男「…なんだ?」
女友「あんた、なんかいつもより元気ないわね…そんなに寝てないの?」
男「さぁ…わからん」
女友「なによ…やる気のない返事ね」
男「うん……すまん女友、先行くわ」
女友「え?ちょ、ちょっと!」
男「……」タタタ
女友「なんなのよ…」
女「あ、男く…ん?」
男「女さん……ごめん、俺ちょっと保健室行ってくる。先生にはそれとなく伝えておいて」
女「え?男くん?」
男「……」タタタ
保健室
男「保険医はいないな…」
男「ベット借ります…」
男(全く…何やってんだ俺…)
男(なんで女友のこと避けてるんだろう)
男(このままじゃいけないって、わかってるのに…)
男(でも、どうすることもできない…)
男「こういうときだけ…友が羨ましい…」
男「俺も……あれだけ…」
男「……」スゥスゥ
「…なさい」ペシペシ
男「……ん」
「もうお昼よ」ペシペシ
男「…ん…昼?」
女友「やっと起きた」
男「あれ…?俺寝てたか…?」
女友「そりゃあもうぐっすりと」
男「マジか…」
女友「授業サボって睡眠とは、いいご身分ね」
男「…面目ない」
女友「もう充分寝たでしょ?さ、ご飯食べましょ」
男「ご飯…」
女友「どうしたの?」
男「ごめん…今日は一人で食う」
女友「え…」
女友「どうしたの…?急に…」
男「今日はそんな気分なんだよ…すまん」
女友「気分って…」
男「あと、女友」
女友「なに…?」
男「今日で終わりかもしれない…全部」
女友「え…?それってどういう…」
男「それじゃ」
ガララ
女友「…どういうこと?」
男「はぁ…はぁ…」
男「…くっそ!」
男「なんで…なんで避けるんだよ…!」
男「それじゃダメだろ…わかってんだろ…!なのに…なのに…!」
女友「……わ、私…あいつに何かしちゃったかな…」
女友「気付かない内に、傷つけてたのかな……」
女友「……あれ?」
女友「なんで…こんな…」
女友「なんで……男相手に……本気で心配してるの…?」
友「男たち来ませんねー」
女「……」
友「女さん?」
女「…あ、ご、ごめん聞いてなかった…何?」
友「いや、2人とも遅いなーって」
女「そうだね…なにしてるんだか」
友「男なんて午前中ずっと保健室でしたからねー、なにかあったのかな」
女「…さぁ」
男「全然味しなかった…」
男「……」
男「教室、戻るか…」
女友「あ…」
男「あ」
女友「ね、ねぇ…あんた…」
男「……」スッ
女友「あ…」
男(……くそっ)スタスタ
女友「……」
先生「…こうして、少女は大人になっていくわけですね」
男(あー…ダメだ…全然頭に入らん…)
男(今日の放課後だよな…女さんが告白するのって…)
男「はぁ…」
男(最後ぐらい、あいつと普通に話したかったな…)
男(バカだ…俺…)
放課後
男(ついに来てしまったか…)
男「今日はさっさと帰ろう…それがいい」
男「早く帰って…早く忘れよう…」
男「……」チョイチョイ
男「…ん?」
女友「……」
男「女友……」
すまぬ
メシ食ってくる
男「何か用か…?」
女友「あんた…私達を避けてない…?」
男「…そんな」
女友「嘘つかないで…いくらなんでもわかるわよ」
男「……」
女友「私…あんたに何かしちゃったかしら」
男「…そんなこと」
女友「知らず知らずのうちにあんたを傷つけてたのなら謝るわ…だから」
男「女友」
女友「な、なに…?」
男「謝るのは俺の方だ。全部俺が悪いんだ…だから…そんな顔しないでくれ」
女友「え…」
男「俺が一方的にお前を避けてただけなんだ…だから、お前は何も悪くない」
女友「でも……」
男「だから、そんな泣きそうな顔はやめてくれ…いつも見たいに、生意気なお前でいてくれ」
女友「……」
男「そろそろだな……じゃあな…女友」
女友「…お、男!」
男「!」
女友「え、えっと…」
男「……名前、呼んでくれてありがとな」
女友「……」
男「お前は今日…願いが叶うんだ…だから笑っていろよ」
女友「願いが……?」
男「じゃあな…」
女友「ちょっと待って!どういうこと!ねぇ……」
女友「男ぉ…」
男(これで良かったんだ…)
男(これであいつは…女友は…好きな人と結ばれる…)
男(これでいいんだ…)
女友「男…なによ…なんなのよ…」
女友「…鞄忘れてるし」
女友「わかんない…もう、あいつが何したいのか…わかんない」
女「女友ちゃん、ちょっと…いいかな?」
男(…やべ、鞄忘れた)
男(……教室戻り辛いなぁ)
男(どっかで時間潰ししてるか…)
女友「女…?」
女「大事なお話があるんだけど…」
女友「大事な…?」
女「うん…ちょっと、移動しよっか」
女友「え?うん……」
男(図書室か…)
男(暇つぶしには最適の場所だな…)
男(女友…今頃告白されて舞い上がってるんだろうなぁ…)
男「……」
女「私たちってさ、もう随分長い付き合いだよね」
女友「そうだね…中学からだっけ」
女「うん…」
女友「……?」
女「女友ちゃんは…長いこと私と友達で、良かった?」
女友「当たり前だよ。女のおかげでこうして学校に通えてるんだから」
女「そっか…」
女友「女、どうしたの?いつになく真剣な顔してるけど…」
女「うん…まぁね」
女友「……?」
焦らすねぇ
女「女友ちゃんはさ…好きな人って…いる?」
女友「好きな人って…急にどうしたの?」
女「いるの?いないの?」
女友「私は……」
女『はっはっは!女友ちゃんは泣き虫だなぁ』
女『大丈夫だよ。私が守ってあげるから』
女『私を頼っちゃってくださいな!』
女友(好きな…人)
女友「……」チラッ
女「……」
女友(そうだ……私は…ずっと前から…女のことが……)
男『俺が矯正してやる』
男『このぬいぐるみ、いらないからやるよ』
男『お前は笑っていてくれ』
女友(…あ、あれ……?)
女友(なんで…あいつの顔が…)
女「…女友ちゃん?」
女友「……え?」
女「…どうしたの?ボーっとしちゃって」
女友「……好きな人っていきなり言われて、びっくりしちゃったみたい…」
女「びっくりしちゃったかぁ…ごめんね?いきなり変なこと聞いて」
女友「ううん…大丈夫」
女「私ね…いるんだ、好きな人」
女友「え…?」
女「女友ちゃんに言っておきたかったの」
女友「う、うん…」
女「私ね…実は」
女友「……」
女「……女友ちゃんのことが……」
女友「……!」
女「好き……」
女友「そ、それ…本当…?」
女「ここで嘘なんてつかないよ…」
女友「で、でも私…女だよ…?」
女「……それでも構わない」
女友「……」
女「だから…私と……付き合ってください…!」
女友「……」
女友(女も私のことが好き…?)
女友(ということは…私と女は、相思相愛だってこと……?)
女友(じゃあ…私の恋は……実っていた…)
女友(ずっと前から好きだった人に…好きって言ってもらえた…)
女友(だから…嬉しい……はず……断る理由もない…)
女「……」
女友「女」
女「…はい」
女友「私は……」
キーンコーンカーンコーン
「……」チョイチョイ
男「ん……」
「起きて……」チョイチョイ
男「ん……あれ?」
図書委員「もう…閉館…」
男「うっそ…もうそんな時間かよ…」
図書委員「すぐ閉めちゃうから……急いで…」
男「うん、ごめんね…熟睡してて」
図書委員「別に…いい」
男「さて…鞄とりにいくか…」
男「……」
男「あいつ…どうしたかな…」
男(断るわけ…ないよな)
男(きっと、OKして、二人は恋人同士になって…)
男(そして、一緒に帰ったんだろうな…)
男(明日あたり祝福してやろう…)
男「…っとここだ」
ガラガラ
男「……ん?」
女友「……」スゥスゥ
男「お、女友…?なにしてんだ……?」
男「しかもここって…俺の席だよな……?」
女友「……」スゥスゥ
男「…とりあえず起こすか」
男「…おーい?」トントン
女友「…んん……」
男「…起きてくださいな」トントン
女友「…ん……男…?」
男「そうだよ、男だよ」
女友「男……」
男「なにしてたんだ?」
女友「…寝てた」
男「それはわかるけど…じゃあ、なんで俺の机で寝てた?」
女友「…わかんない」
男「わかんないって……」
女友「…私、女に告白された」
男「……そうか」
女友「それでね…私……それを断った」
男「……は?」
,彡ニ三三三三三三三ニ=ヾ;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:;:i' _,,,,._ 、-r
,彡ニ三三三三ニ三三ニニ;〃ヾ、;:;:;:;:;:;::;:;::;:::;:/;:;:/ .,','" ̄',〈... _,,,_ _,,,_ _,,,,,| |
,彡彡,'',ニ=ミミミ三三三三ニニ彡 `゙゙''ー-、;:;:;:;/;:;/ { { ,___ ,'r⌒!゙! ,'r⌒!゙! ,.'r⌒| l
',彡'/ r' ノヽヾミ三三三三三彡' _,,,,,,、ヽ;:;ィ''| .ゝヽ、 ~]| ,i i i l i l i i .i i .i .i
彡'|.|(‐'''" 'iミニニ三彡"´ ̄ `゙゙ー' ;;;:| `ー-‐'" ゞ_,.'ノ ゞ_,.'ノ ゞ__,.',、'ュ
. 彡i、ヾ (' ヾミニ三' __,,、 ....ノ / r--, 、-r
彡ゝ `'' " |ミミミ' ‐'"ひi,;'´ ,ィ;;ァ' ~`l | _,,,_ | |,,,,,_
'彳`ー‐i |ミミミ' `゙ーシ' |、ニ' | | ,'r⌒!゙! ..| |⌒','i
--、/ i |ミミ .,,r‐''" | ノ | | i i i l .| i .i |
く'ノ :i ミミ ´ ., ' |' l l ゞ_,.'ノ.. .L、-_,'ノ
、\ .l ヾ .ノ(_,,、. | (~'-'ノ
:\ヽ, ヽ / `t‐一' __ `~~
::::ヽ ヽ `::. ,; ' .:i 〈 ヽ
:::::::ヘ ヽ `::. ''"⌒゙''一ノ | }
::::::::::ヘ.ヽ ヽ、 ` ー'ーノ !>'⌒ヽ、
::::::::::::::ヽヘ `ー┬‐一;;''""´ /ヽ、 , )
\、:::::::::ヽヽ /::ヘ ) `゙'ー、_ /:::::::::Τ  ̄ `l
〃`゙ー、;;;;\\ /i:::::::丿 ' , ' , '`゙ヽ、 /:::::::::::┼‐- -ノ
女友「女を…振った…」
男「え…?」
女友「……」
男「な、なんで!お前女さんのこと好きだったんじゃないのか!?」
女友「……」
男「女さんのジャージをおかずにナニするぐらい好きだったんじゃ…」
女友「……んたの」
男「…え?」
女友「あんたのせいでしょ!?」
男「はぁ!?」
女友「あんたが私の秘密を知ったから…!あんたが私を矯正するなんて言い出したから…」
男「??」
女友「あんたに出会わなければ!女を振ることなんてなかったのに!」
男「お、おい…」
女友「あんたが私の心に入ってきたから!あんたが私を変えたから!」ポカポカ
男「ちょ!痛い!」
女友「全部!全部!あんたのせいよ!」ポカポカ
男「お、女友…」
女友「全部!全部…あんたの……うわぁぁん!!」ポカポカ
男「……」
女友「女に告白されたとき…あんたの顔が浮かんできて…!」ポカポカ
男「……」
女友「そのあんたは…悲しそうな顔してて…!」ポカ…
男「……」
女友「それを見たら…私…女の告白を断ってた…」
女友「ずっとずっと好きだったはずなのに…なのに…」グスッ
男「……」
女友「なのに…」ポロポロ
男「女友」ギュッ
女友「!……やめてよ……離してよ…」ポロポロ
男「嫌だ」
女友「離せよぉ…離して…」ポロポロ
男「離さん」
女友「私は…男嫌いなのよ…こんなこと嫌に決まってる…」ポロポロ
男「嫌でもかまわん」
女友「……これじゃ…ダメだよ……我慢できない…」ポロポロ
男「我慢しなくていいから」
女友「……う…うわぁぁぁぁぁん!!」
男「…思いっきり泣け」
女友「ひっく…ぐす…」
男「…よしよし」
女友「…ぐす」
男「……」
女友「……もう、大丈夫」
男「…そうか」
女友「…うん」
男「じゃあ、もう離そうか?」
女友「ううん…もうちょっと…このままで」
男「…そっか」
男「そのままで…聞いてくれるか?」
女友「…?なにを?」
男「…俺がお前を矯正しようとした理由」
女友「理由…?」
男「お前に普通の女の子になってほしい…それももちろん、理由の一つだ」
女友「うん…」
男「でもな…実はもっと…自分勝手な理由があるんだ」
女友「……?」
男「この理由を聞いたら、多分お前は軽蔑すると思う」
女友「そこまで…?」
男「あぁ…」
女友「…言いたくないなら、いいよ…?」
男「そういうわけにもいかない…言っておかなきゃ、俺が後悔する気がしてさ」
女友「……」
男「俺さ……お前が好きだったんだよ」
女友「……え?」
男「俺は…お前のことが好きだったんだ……お前がレズって知る前からな」
女友「……」
男「だからお前がレズだって知ってチャンスだと思ったんだ。俺が治して……そうすれば、俺のことを見てくれるんじゃないかって」
女友「……」
男「初めから俺は、自分の好きな人に振り向いてもらいたいから…」
女友「……」
男「だから……矯正してやるって、提案したんだ」
女友「……」
男「俺は…私欲のために、お前の心をかき乱したんだよ」
女友「……」
男「お前の言う通りだよ…俺が首突っ込んでなければ…お前は女さんと付き合えてたのに…」
女友「……」
男「な?軽蔑したろ?男なんてこんなもんだよ…結局、自分の損得しか考えてないんだ」
女友「……」
女友「……」
男「……」
女友「男」
男「……なんだ?」
女友「その理由、少し前の私に言ってたら…本当に軽蔑してたかもね」
男「……え?」
女友「でも、今の私にとっては…その自分勝手な理由が少し嬉しい…」
男「……嬉しい?」
女友「ありがとう。こんな私を好きになってくれて」
男「……女友」
女友「そして…本当の私を知った後も好きでいてくれてありがとう」
男「……」
女友「私ね…」
男「……」
女友「初めてだよ…男なんて野蛮な生き物だって思ってたはずなのに…」
女友「なのに…そんな男のことを…あんたのことを…今は……とても愛しいと思ってる」
男「……」
女友「私も、あんたのことが好き……みたい」
男「ほ、本当か…?」
女友「こんな場面で嘘つくわけないでしょ…」
男「で、でも…女さんは?」
女友「女のことも…まだ好きかもしれない……でも、今はあんたの方が上」
男「…そっか」
女友「…こんな私だけど…これから、よろしくね?」
男「…おう」
女友「あー…こんなに泣いたの初めてよ」
男「ごめんな…」
女友「いいわよ別に…さ、帰りましょ?」
男「あぁ」
女友「ねぇ」
男「ん?」
女友「私さ、あんたの恋人になったわけだけど…男嫌いは治ってないと思う」
男「え?」
女友「あんただけは特別なのよ…他の男たちはいつも通り野蛮な生き物だと思ってる」
男「そうか…」
女友「だからね、光栄に思いなさい」
男「あぁ…特別扱いしてくれてありがとな」
女友「…えぇ、こっちこそ…私にとって特別な存在になってくれて、ありがとう」
男「…あぁ」
女友「……なんだか照れくさいわね」
男「はは…俺も思ってた」
男「……女さんはどうする?」
女友「女には…明日謝るわ。そして、厚かましいけど、これからも友達でいてくださいって頼む」
男「じゃあ俺も一緒に謝るよ。元はといえば俺が悪いし」
女友「当たり前じゃない。二人で土下座は覚悟しておきなさい」
男「…はい」
女友「…明日が怖いわね」
男「…そうだな」
女友「でもね、楽しみでもあるの」
男「?」
女友「あんたとこれからも一緒にいれるから」
男「…俺だってお前とこうして、恋人同士として一緒にいられること、嬉しいと思ってるよ」
女友「…ありがと」
男「…へへ」
女友「ねぇ男?恋人同士なら、まだやってないことがあるじゃない?」
男「?」
女友「こっち向いて」
男「これでいいか……」
女友「ちゅっ」
男「……!!??」
女友「…ぷはぁ」
男「!!????」
女友「本で見たことあるけど、実際にやるのは初めてね…」
男「…は、初めて」
女友「私のファーストキス奪った責任、とってよね?男」
男「……あぁ。絶対」
女友「ふふ…大好き」
おしまい
おまけ
女「はぁ…振られちゃった…」
友「あれ?女さん…?」
女「友くん……調度いいや。ちょっと付き合って」
友「え?それってどういう…」
女「私を楽しませなさい」
友「え、えぇー…?」
本当におしまい
乙!素晴らしいSSだった
男「なんか忘れてるような・・・・・あっ!」
女友「最近、友くんとはどう?」
女「まあまあかな。そっちみたいにラブラブとはいかないわよ」
女友「ラブラブなんて・・・・・・」
女「照れないでよ。ん?あれは?」
男「友!」
友「どうしたんだよ、でかい声出して」
男「好きだ!付き合ってくれ!」
女・女友「」
これで本当の本当に終わり
ごめん、俺も凄く楽しませてもらったけどどうしてもそれだけ納得できなくて・・・・・・
このSSまとめへのコメント
こういうレズだった子が主人公だけ特別になるのすごく好き
気持ち悪すぎる。
矯正って言い方も無理。
もし異性愛者のお前が同性愛者に俺が矯正させてやるって言われたらどう?
この女の子は元々がきっとバイだからまだしも一般の同性愛者の人に矯正とか言ったら本当に失礼。
そうですねw