桜「セイバーさんと先輩が居間で大喧嘩してる…」ライダー「ほぅ?」(208)

セイバー「分かりました。私がこの家から出て行けばいいのですね?」

士郎「なんでそうなるんだよ!!」

セイバー「そういうことでしょう?」

士郎「どうしてそういう言い方しかできないんだ!!」

セイバー「しかし、それで全てが解決するのも確かです」

士郎「もういい!!勝手にしろ!!セイバーのわからずや!!」

セイバー「……はい。勝手にさせていただきます」

桜「あ、あの……」オロオロ

セイバー「お世話になりました」スタスタ

ライダー「……」

士郎「ふん……」

ライダー「……士郎、なにがあったのですか?」

士郎「別に」

桜「先輩……」

ライダー「いいのですか?」

士郎「桜、夕飯の準備をしようか」

桜「え。でも……」

士郎「ほら」

桜「は、はい……」

ライダー「……」

ライダー(桜にとっては好機……)

ライダー(それに士郎のことですから、そのうちセイバーとも自然と寄りを戻すでしょう)

士郎「今日は何を作ろうか?」

桜「そ、そうですね……なににしますか?」

遠坂邸

凛「ふわぁぁ~」

アーチャー「はしたないな、凛。淑女が聞いて呆れる」

凛「淑女っていうのは公の場で飾るものよ」

アーチャー「そういう普段の行いが仇となると思うが」

凛「はいはい。コーヒーいれて」

アーチャー「全く……」

ピンポーン

凛「ん?アーチャー、でてー」

アーチャー「自分で出るという選択肢はないのか……」スタスタ

アーチャー「―――誰かな?」ガチャ

セイバー「……」

アーチャー「な……セイバー?」

セイバー「家出してきました」

アーチャー「なに?」

セイバー「……あの、ここに置いてもらってもよろしいですか?」

アーチャー「いや……」

凛「どしたのー?」

セイバー「リン」

凛「ありゃ、セイバー?」

セイバー「私をリンのサーヴァントにしてください」

凛「ちょっと、突然どうしたの!?」

セイバー「……」

アーチャー「大方、衛宮士郎と喧嘩でもしたのだろう」

セイバー「……」コクッ

凛「あら、珍しいわね。なにかあったの?」

セイバー「……」

アーチャー「いえないのか?」

セイバー「そういうわけでは、ありませんが……」

凛「ま、立ち話もなんだし、あがって」

アーチャー「ほら、紅茶だ」

セイバー「ありがとうございます」

凛「で、衛宮くんと喧嘩して、ここまで家出したきたのはわかったわ」

セイバー「……」ズズッ

凛「でも、理由を聞かないとなんともね。ほら、あの朴念仁が9割非があるのは目に見えてるけど」

アーチャー「ふん……」

凛「セイバーに非があれば、私は衛宮くんの味方をしなきゃいけないし」

セイバー「そうですね。ここで世話になる身ですから、言っておいたほうがいいですね」

凛「おねがい」

セイバー「実は……今朝、シロウと買い物に出かけたのです」

凛「ふんふん」

セイバー「そこで意見の相違がありまして」

凛「相違?」

セイバー「はい」

午前中 スーパー

士郎「今日のお昼ご飯は何にしようか?」

セイバー「しろー」テテテッ

士郎「どうした?」

セイバー「この新発売のポテトチップスを買ってもいいでしょうか?」

士郎「前にも買っただろ」

セイバー「あれは味が違います」

士郎「ダメだ。前、買った分が無くなってからって約束だろ?」

セイバー「ですが、ここでこれを食べないと明日には食物を口にできないかもしれません」

士郎「そんなわけないだろ。早く元の場所に戻してきてくれ」

セイバー「シロウ!どうしてそんなことを言うのですか!!これぐらい買ってください!!」

士郎「ダメだって。イリヤでもダメっていったら素直に諦めるぞ?」

セイバー「イリヤスフィールと一緒にしないでください!!」

士郎「なんでさ?セイバー、約束は守ってくれ」

セイバー「嫌です!!買ってください!!」

セイバー「―――そういうわけで、口論に」

凛「ふーん」

アーチャー「ふっ……」

凛「士郎もダメねー。お菓子ぐらいで怒って」

セイバー「リンもそう思いますか!?」

凛「一袋ぐらいいいじゃない、ね?」

セイバー「流石はリン!!やはり私のマスターはリンだったのですね!!」ギュッ

凛「おぉ?!」

セイバー「リン……リン……」スリスリ

凛「よしよし」

アーチャー「少しいいかな?」

凛「どうしたの?」

アーチャー「衛宮士郎に1割も非はないように思えるのだが」

凛「珍しいわね。アンタが士郎の肩を持つなんて」

アーチャー「いや……流石にセイバーを擁護できないというか……」

凛「そう?お菓子の一つや二つでガミガミ言う男のほうが器が小さい気がするわね」

アーチャー「凛。衣食住ばかりでなく娯楽も提供してる家主が、居候の我侭も律することができないのは問題だ」

凛「えー?そうかしら?」

アーチャー「セイバーもその辺り、自重したほうがいいと思うのだが?」

セイバー「でも、あれが食べたかったのです!!」

凛「なに?アーチャーったら、普段は恨んでるとか言いつつもやっぱり自分のことは庇っちゃうわけ?」

アーチャー「……」ピキッ

凛「ま、誰しも自分には甘くなるわよねー」

アーチャー「その言葉は聞き捨てならないな。取り消してもらおうか」

凛「なんでよ?そもそも、士郎が200円かそこらを払ってればこんなバカなことにならなかったんでしょ?」

アーチャー「セイバーがその200円を諦めればよかっただけの話だ」

凛「そんな甲斐性の無い言い訳なんて恥ずかしくないの?」

アーチャー「君は衛宮士郎にもセイバーにも甘すぎる!!」

凛「これは一般論でしょ?!」

セイバー「あの……」オロオロ

アーチャー「君の一般論はどうやら常軌を逸しているようだな」

凛「どうかよ?これは正当な意見だと思うけど?」

アーチャー「君の正当性は狂っているとしか言いようが無い」

凛「なんですって?」

アーチャー「サーヴァントを執事のように扱い、いや、それどころか体の良い番犬だと思っているだろう?」

凛「思ってないわよ。というか、番犬はその通りでしょ?」

アーチャー「……っ」

凛「マスターの言うことを聞くのがサーヴァント。主の身を守るのもサーヴァント。番犬って表現はぴったりじゃない」

アーチャー「そうか……よくわかったよ」

セイバー「あの……アーチャー……?」

凛「どこいくのよ?」

アーチャー「こんな場所にはもういられない。出て行く。セイバーが新しいサーヴァントになってくいれて丁度よかったな」

凛「ちょっと!!何を拗ねてるのよ!!」

アーチャー「凛には愛想が尽きたよ」

凛「な……?!」

アーチャー「さらだば」

セイバー「あの……」

アーチャー「セイバー、凛を頼む」

セイバー「え……」

凛「アーチャー!!」

アーチャー「……」スタスタ

凛「ふんっ!!勝手にしたらいいのよ」

セイバー「よかったのですか?」

凛「べっつに。私としてはセイバーがいてくれたほうが嬉しいもーん」ギュゥゥ

セイバー「リン……」

凛「そうだ。お昼ご飯までしょ?」

セイバー「ええ」

凛「ちょっと待ってね。すぐに作るから」タタタッ

セイバー「ありがとうございます」

衛宮邸

士郎「……」モグモグ

桜(空気が重い……)

ライダー「……ごちそうさまでした」

士郎「……おそまつさま」

ライダー「士郎、少し出かけてきます」

士郎「どこにいくんだ?」

ライダー「散歩を」

士郎「そっか。気をつけてな」

ライダー「……」スタスタ

桜「あ、ライダー、私は……?」

ライダー「桜は士郎の傍にいてください。モノにするチャンスですよ?」

桜「もうっ!ライダー!!」

ライダー「それでは」

士郎「いってらっしゃい」

士郎「……片付けるか」

桜「はい。お手伝いします、先輩」

士郎「ありがとう」

桜「あの……先輩?」

士郎「ん?」

桜「セイバーさんとなにがあったんですか?」

士郎「……」

桜「言えないなら、別に……」

士郎「……セイバーがどうしてもお菓子が欲しいっていってさ」

桜「へ?」

士郎「で、それはダメだっていったら、セイバーが怒って」

桜「それで喧嘩を?」

士郎「いや、家に帰ってきたあとさ……」

桜「……?」

午前中 衛宮邸

セイバー「シロウはどうしてお菓子の一つも買ってくれないのですか!?」

士郎「だから、もう買い置きがいっぱいあるんだから、それでいいだろ?」

セイバー「魔力のストックはないくせに、そう言うものだけはきっちり置いているのですね」ムスッ

士郎「セイバー、それは関係ないだろ?俺が未熟なのは認めるけどさ」

セイバー「私のためにも魔力を高める努力をしてほしいものです」

士郎「セイバー……」

セイバー「……」プイッ

士郎「俺だってセイバーみたいに燃費が悪いサーヴァントじゃなきゃあ、もっと戦えるんだ!!」

セイバー「……っ」

士郎「セイバーが無駄に魔力を持っていくから、俺の魔力だけじゃ足りなくなるんだろ!?」

セイバー「シロウ、自身の未熟さを棚にあげてなんですか」

士郎「こっちの苦労もわかってくれっていってるんだよ!!」

セイバー「……分かりました。私がこの家から出て行けばいいのですね?」

士郎「なんでそうなるんだよ!!」

士郎「で……こんなことに……」

桜「なるほど。セイバーさんもプライドが高いですからね」

士郎「俺も言いすぎたと思う……」

桜「先輩……」

士郎「……」

桜「でも、セイバーさんが悪いです!!」

士郎「え?」

桜「そもそも、セイバーさんがお菓子を我慢したらいいだけの話だったわけですし」

桜「そ、それに先輩が少し強く言い過ぎたのもセイバーさんが煽ったからですし」

士郎「桜……」

桜「だから、セイバーさんが悪いんです。先輩が謝ることなんてありません」

士郎「そうかな?」

桜「そうですよ。ここで下手に出たらだめですからね、先輩っ!」

士郎「うん……そうだな」

桜「……」



ライダー「さてと……セイバーの行き先なんて一つぐらいしかないでしょう」スタスタ

アーチャー「……ん?」

ライダー「どうも」

アーチャー「どこにいく?」

ライダー「凛の邸宅へ。セイバーがいるでしょうから」

アーチャー「……いや。いないが?」

ライダー「え?」

アーチャー「セイバーはきていない」

ライダー「そんな馬鹿な……」

アーチャー「そもそも衛宮士郎にベッタリな彼女が凛のところに行く理由が無い」

ライダー「ですが……そこぐらいしか……」

アーチャー「それではな」

ライダー「は、はい」

ライダー「そんな……では……どこに……」オロオロ

新都

ライダー「セイバー?せいばぁー?」キョロキョロ

ライダー「レストランにいるかとも思いましたが……。セイバーはお金を持っていませんでしたね……」

ライダー「はぁ……凛のところではないとしたら……」

キャスター「らんらーん♪」

ライダー「……」

キャスター「うふふ~今日は宗一郎様とお鍋をつつくの~♪」

ライダー「……」ジャラ

キャスター「え?」

ライダー「ふっ!!」ジャララララ

キャスター「ちょ……なによ!?早く鎖をときなさい!!」

ライダー「貴女ですね?」

キャスター「なにが?」

ライダー「セイバーをどうしたのですか?」

キャスター「セイバー?」

ライダー「そうです」

キャスター「セイバーなんて知らないけど?」

ライダー「嘘ですね。貴女はそうして呼吸するように嘘を吐く」

キャスター「酷いいいかた……」

ライダー「セイバーは?」ググッ

キャスター「いたたた……!!」

ライダー「答えなさい」

キャスター「本当にしらないわ!!」

ライダー「……」

キャスター「うぅ……」ウルウル

ライダー「……はぁ。申し訳ありません」

キャスター「ふぅ……どうしたの?セイバーがいなくなったのかしら?」

ライダー「その通りです。士郎のためにも連れ戻したいのですが」

キャスター「ふーん……そう。セイバー、家出したの……ふーん……」

ライダー「一体、どこにいったのか……」



アーチャー「……」スタスタ

ランサー「ん?」

アーチャー「……釣れてはいないようだな」

ランサー「消えろ」

アーチャー「そういうな。はぐれサーヴァントの身なんだ」

ランサー「なら、もっと相応しい場所がある。そこいけ」

アーチャー「参考までに聞いておこう。それはどこかな?」

ランサー「あるだろ。迷える子羊を優しく抱擁してくれるところがよ」

アーチャー「拘束の間違いではないかな?」

ランサー「なんだ?お嬢ちゃんから解雇通告でも受けたのか?」

アーチャー「辞表を叩きつけてきた」

ランサー「もったいねえ。あんなできたマスターは他にはいねえぜ?」

アーチャー「隣の芝は青くみえるだけだろうに」

ランサー「そうかねえ。なんなら俺が新しいサーヴァントに立候補してこよっかな?」

アーチャー「やめておいたほうがいいだろう。既に新たなサーヴァントと契約している」

ランサー「誰だよ。その羨ましい野郎は」

アーチャー「セイバーだ」

ランサー「ちっ……」

アーチャー「残念だったな」

ランサー「つまんねえなぁ……」

アーチャー「だが、まだ正式に契約したわけではないようだから、今からすぐに売り込めばマスターになってくれるかもしれない」

ランサー「そうか。なら、いっちょセールスにでも行ってくるか」

アーチャー「まあ、君がセイバーに勝てるかは甚だ疑問だがね」

ランサー「うっせ」

アーチャー「ふっ……」

ランサー「ふんふーん……」スタスタ

アーチャー(どうせ行く気などないのだろうが……)

遠坂邸

凛「どう?美味しい?」

セイバー「はい!」

凛「いっぱい食べてね」

セイバー「ありがとうございます」

凛「アーチャー?飲み物ー」

セイバー「リン、アーチャーは……」

凛「あ、そっかそっか」

セイバー「……」

凛「あとでお菓子買いに行きましょ、ね、セイバー?」

セイバー「いいのですか?!」

凛「もっちろん!」

セイバー「流石はリンですね」

凛「使うところには使う。そのかわり、使わなくてもいいところには一切使わない。それだけよ」

セイバー「素晴らしい。確かに出し惜しみをしては大局を越えるこなどできませんからね」

衛宮邸

士郎「……」

桜「せーんぱい」

士郎「ん?」

桜「暇でしたら買い物にでもいきませんか?」

士郎「なにか買いたいものでもあるのか?」

桜「そうでねー、お洋服とか」

士郎「いいな。付き合う」

桜「やった」

士郎「じゃあ、支度するから。ちょっと待っててくれ」

桜「はーい」

士郎「はぁ……」

桜(先輩……やっぱり元気がありません……)

桜(私がなんとかしないと……)ムフー

教会

ライダー「ここにいるとは思えませんが……」

ギルガメッシュ「……」

ライダー「……」コソコソ

ギルガメッシュ「まて」

ライダー「なんでしょう?」ドキッ

ギルガメッシュ「雑種風情が我に一瞥もないとはどういうことだ?」

ライダー「えと……おはようございます」

ギルガメッシュ「たわけ!!我に声をかけるな!!耳が腐るであろうが!!」

ライダー「……」

ギルガメッシュ「なんだその顔はぁ?!王を前にして晒すものではないなぁ……」

ライダー(めんどくさい……)

ギルガメッシュ「いいか。我は王の中の王。下民と対話するなど業腹もいいところだ」

ライダー「……」スタスタ

ギルガメッシュ「まて、どこにいく。我の話はおわっていなぁい!!」

ライダー「いや、私はセイバーを探しにきただけですので」

ギルガメッシュ「セイバーだと?」

ライダー「はい」

ギルガメッシュ「どういうことだ?」

ライダー「セイバーが家出をしてしまって」

ギルガメッシュ「ほう……?」

ライダー「セイバーがいるかどうか確認できればすぐに消えます」

ギルガメッシュ「おらん」

ライダー「本当に?」

ギルガメッシュ「覗いてみるがよい」

ライダー「いえ、いいでしょう。貴方がそのような嘘をつくとは思えませんから」

ギルガメッシュ「ふふふ……」

ライダー「では、これで」スタスタ

ギルガメッシュ「そうか……セイバーはいま……」

ギルガメッシュ「あははははは!!!!!こうしておれん!!今すぐ準備をするぞ!!」

スーパー

凛「さー、何を買いましょうか?」

セイバー「リン、ちょっとお菓子コーナーに行って来てもいいですか?!」

凛「いいわよ」

セイバー「ありがとうございます」テテッ

凛「ふふ……」

凛「……アーチャー……どこに行ったのかした……」

ランサー「おー、こんなところにいたか」

凛「ランサー?」

ランサー「あの弓兵と縁を切ったんだってな?」

凛「誰から聞いたの?」

ランサー「んなことはどうでもいいんだよ。次は俺と繋がろうぜ?な?勿論、ベッドの上でも繋がってやってもいいぜ?」

凛「残念だけど、もうセイバーがいるから」

ランサー「まだ正式に契約はしてないんだろ?」

凛「まあ……そうだけど……」

ランサー「ならいいだろ?こっちもいつまでも鬼畜シスターのとこにはいたくねえんだ」

凛「だから、私にはもうセイバーがいるの」

ランサー「つれないねえ」

凛「他を当たって。今なら衛宮くんがフリーよ?」

ランサー「あんな坊主じゃやる気がおきねえからな」

凛「あっそ」

ランサー「俺じゃあ嬢ちゃんの騎士は務まらないのかよ」

凛「いえ。セイバーがいなければ、貴方を選んでもいいぐらいよ」

ランサー「マジか?」

凛「いなければね」

ランサー「よし」

凛「ちょっと、どこいくのよ」

ランサー「出直すわ」

凛「なによ……もう……」

セイバー「リーン、これです!これこれ!」テテテッ

凛「それだけ?」

セイバー「はいっ!」

凛「ふーん。これぐらい士郎も買ってあげればいいのに」

セイバー「……」ギュッ

凛「だめよ、抱きしめたら。破裂しちゃうから」バッ

セイバー「あ……」

凛「さ、今日の夕食でも」

セイバー「リン……あの……」モジモジ

凛「なに?」

セイバー「も、もうひとつ、気になるものがあったのですが……」

凛「遠慮なんてしなくていいわよ。5つまでなら、オッケー」

セイバー「リン……」

凛「ほら、いってきなさい」

セイバー「ありがとうございます!!」テテテテッ

凛「士郎もケチケチせずに買ってあげればいいのに……」

ギルガメッシュ「ヤツの情報によればここに……」

ギルガメッシュ「ん?」

セイバー「これ……とどき……ません……」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「んー……!!」

ギルガメッシュ「これか」ヒョイ

セイバー「あ……。英雄王?!!」

ギルガメッシュ「ほれ」

セイバー「ありがとうございます」

ギルガメッシュ「―――タダではやらん」

セイバー「な!?」

ギルガメッシュ「家出したらしいな、セイバー?」

セイバー「それをください!!」

ギルガメッシュ「セイバー、我の寝屋にくるか?」

セイバー「行きません!!それを早く渡してください……!!」ピョンピョン

ギルガメッシュ「あはははは!!」

セイバー「むぅ……」

セイバー「はぁ!!!」ドゴォ

ギルガメッシュ「ふごっ!?」

セイバー「全く……」バッ

ギルガメッシュ「お、おまえ……」

セイバー「これでよし」

ギルガメッシュ「まて、セイバー」

セイバー「なんですか?」

ギルガメッシュ「ここに駄菓子、全てをお前にくれてやろう」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「悪い条件ではあるまい?」

セイバー「何を言っているのですか?私を物で釣ろうなどと、愚の骨頂」

ギルガメッシュ「この店にある食材全てをお前のものにでると言ってもか?」

セイバー「くどい。私はこの菓子さえあれば満足です」

ペロッ
アーチャー「これはたけのこ!」

凛「うーん……やっぱりエビチリに……」

ランサー「よっ」

凛「また来たの?」

ランサー「そんなこというなよー」

凛「別にいいけど」

ランサー「ところで、さっきの言葉覚えてんだろ?」

凛「なんのこと?」

ランサー「セイバーがいなければ、俺のマスターになるって話だよ」

凛「それが?」

ランサー「ん」

凛「え?」

セイバー「……」トコトコ

ギルガメッシュ「ふははははは!!!」

凛「セイバー!?ちょっと!!!まって!!どこいくの!!」

ランサー「おいおい。俺との契約は?」

セイバー「リン……」

凛「セイバー!!知らない人についていったらダメじゃない!!」

ギルガメッシュ「おい、雑種。我は天地創造の主、ギルガメッシュだぞ?知らぬとは唾を吐き捨てる行為だぞ?」

セイバー「あの……これは……」

凛「その両手一杯のお菓子……」

セイバー「……申し訳ありません」

ギルガメッシュ「あははははは!!!!どけ、雑種が。我とセイバーが進む大道に許可無く立つな、痴れ者め」

セイバー「あの……」

凛「セイバー、目を覚まして。こんなヤツのところに行ったら何をされるかわからないわよ?!」

セイバー「それはそうですが……」

凛「セイバー……おねがい……私を見捨てないで……」

セイバー「リン……」

ギルガメッシュ「さ、いくぞ、セイバー。劣悪種に貸す耳などなかろう?」

セイバー「……」

凛「セイバー……!!」

セイバー「あの……やはり……私は―――」

ランサー「心配しなくていいぜー」

セイバー「ランサー!?」

凛「え?」

ランサー「もう俺がいるからな」

凛「ちょ!?」

セイバー「……そうでしたか」

凛「違う!!セイバー!!」

セイバー「では、私は必要ありませんね」

凛「どうしてそんなこというのよ?!」

セイバー「それでは」

凛「セイバーってばぁ!!」

ギルガメッシュ「いくぞ、セイバー?」

セイバー「はい」

凛「セイバー!!せいばー!!」

ランサー「よし、んじゃ俺の―――」

凛「ふんっ!」ドゴォ

ランサー「おふぅ?!」

凛「余計なこといわないでよ!!」

ランサー「いいじゃねえか、セイバーはあれで幸せ。嬢ちゃんも俺がいて幸せ」

ランサー「俺もいいマスターをもらえて幸せ。ほら、みんなハッピーだろうが」

凛「いや……そういうことじゃ……」

ランサー「ほら、早く行こうぜ。あのいけ好かねえ弓兵にも報告したいしな」

凛「それはっ?!」

ランサー「なんだよ?」

凛「べ、べつに……言う必要なんて……」

ランサー「もう縁は切ったんだろ?いいじゃねーか」

凛「……」

ランサー「昔の男なんて俺が忘れさせてやるよ」

凛「……やめて」

新都

桜「せーんぱーい!!こっちですこっち!!」

士郎「はいはい」

桜「これ!これなんてどうですか?!」

士郎「へえ。桜も赤い服とか着るんだな」

桜「どうですか?似合いますか?」

士郎「うん」

桜「じゃ、これとー♪これもー♪」

士郎「……」

桜「あとはー♪―――先輩?」

士郎「え?」

桜「やっぱり、セイバーさんのことを……?」

士郎「いや!!そんなことないぞ!!ほら、桜!!こっちのスカートもいいんじゃないか?!」

桜「先輩……」

桜「もう……」ムスッ

アーチャー「ふんっ、そんな英雄王の貧相なきのこなどで満足するとは騎士王も堕ちたものだ」
アーチャー「その腐った性根、わたしのたけのこで叩きなおしてやる」

桜「あー、いっぱい買っちゃいましたねー」

士郎「よかったのか?俺も多少なら出せるのに」

桜「そんないいですよ。これはあくまでも私的な買い物ですから」エッヘン

士郎「そっか」

桜「先輩……?」

士郎「ん?」

桜「手……繋いでもいいですか?」

士郎「さ、くら……あーいや……それは……」

桜「もう、我慢できませんっ。えいっ」ギュッ

士郎「お、おいお―――」

桜「えへへ……先輩の手……あったかい……」

士郎「……」プルプル

桜「先輩……?どうしたんですか?」


ギルガメッシュ「ふははははは!!!!」

セイバー「……」ムシャムシャ

桜「あ……セイバーさん……」

士郎「……」

桜「先輩……?あの……」

士郎「行こう。桜」ギュッ

桜「あ……」


セイバー「ん?」

セイバー(あれはシロウ……)

セイバー(なるほど……もう私は忘れられているのですね……)

ギルガメッシュ「ん?どうした?」

セイバー「……いや、なんでもありません」ムシャムシャ

ギルガメッシュ「そうか。ではいくぞ」

セイバー「はい」ムシャムシャ

セイバー(シロウ……)

セイバー「さよなら……」ムシャムシャ

セイバー「さよなら……」ムシャムシャ



なんだこの冬木の虎っぽさ

士郎(セイバー……てっきり遠坂のところにいると思ってたのに……!!)

桜「先輩……」

士郎(なんでよりにもよって……あんなやつのところに……!!)

桜「先輩……」

士郎「……」ギュゥゥ

桜「いたっ……!!先輩、手!手が……!!」

士郎「あ、ごめん!!」

桜「いえ……」

士郎「あ、えっと……どこいく?」

桜「……」

士郎「き、喫茶店でもいくか?」

桜「はい」

士郎「よし、じゃあ、こっちだ」

桜「……」

桜(どうやったらセイバーさんのこと忘れてくれるんだろう……)



ライダー「くそ……!!」

ライダー「セイバーはどこに……!!」オロオロ

アーチャー「ん?」

ライダー「はぁ……このままでは……」

アーチャー「ライダー?何をしている?」

ライダー「アーチャー……。依然、セイバーが見当たらなくて……」

アーチャー「……」

ライダー「桜にかっこをつけてしまった手前……手ぶらでは……」

ライダー「どうしたら……」

アーチャー(ライダーは何も悪くないな。そろそろ凛も反省したかもしれない)

アーチャー(ネタばらしといくか)

アーチャー「ライダー、私に心当たりがある」

ライダー「え?!ど、どこでしょうか?!」

アーチャー「こっちだ」

ライダー「知っているなら、教えてください」

アーチャー「悪かったよ」

アーチャー(セイバーをライダーに引き渡して、私が凛に説教をして終わりだ)

アーチャー(私も少し大人げなかったな)

ライダー「この辺りは探したのですが……」キョロキョロ

アーチャー「ここだよ」

ライダー「ここは……凛の屋敷ではありませんか?!」

アーチャー「ああ。ここにいる」

ライダー「しかし、初めはいないと……!!」

アーチャー「まさか鵜呑みにしているとは思わなかった」

ライダー「貴方がそのような嘘をつくとは思わなかったのです」

アーチャー「それはすまない。私だってたまには洒落をこぼすこともある」

ライダー「全く……こっちは困っているというのに……」

アーチャー「では、行くか」

ライダー「わかりました。お邪魔します」

アーチャー「凛?いないのか?」

ライダー「いませんね」

アーチャー「しかたない。少し待っていてくれ。すぐに帰ってくるだろう」

ライダー「はい」

アーチャー「紅茶でもいれよう」

ライダー「ありがとうございます」

ライダー「今頃、桜と士郎はうまくやっているのでしょうか……」

アーチャー「桜はデートの最中か?」

ライダー「はい」

アーチャー「ふっ。まあ、ギクシャクしているだろうな」

ライダー「それについては同意見です」

アーチャー「そうか。君と気が合うとはね」

ライダー「そういうこともあります」

アーチャー「どちらも保護者的な立場だからかな?―――ほら、飲んでくれ」

ライダー「ありがとうございます」

アーチャー「……」

ライダー「……」ズズッ

ライダー「おいしい……」

アーチャー「そうだろう?」

ライダー「よろしければ、おかわりを」

アーチャー「ああ。構わないよ」

ライダー「……」

アーチャー「―――どうぞ」

ライダー「どうも申し訳ありません」スッ

ポロッ

アーチャー「あ―――」

ライダー「あ」

バシャ

ライダー「あぁ……ズボンが……」

アーチャー「拭くものを持ってくる。しばらく待っていろ」

凛「……はぁ……本気なの?」

ランサー「ホンキホンキ」

凛「全く……」ガチャ

ランサー「いい家だなぁ。やっぱり」

凛「あんまりジロジロ―――」

ライダー「あの……本当に申し訳ありません……」

アーチャー「気にするな」ゴシゴシ

凛「……」

ランサー「あらー……前戯中か……」

ライダー「凛!?」

アーチャー「むっ!?」

凛「な、なにやっての……?」

アーチャー「いや、これは……」

ランサー「すっげー、ライダーの股、濡れまくってんな」

ライダー「え?!あ、これは?!あの……!!」

凛「なによ……主がいない隙に女を……しかもライダーを連れ込んで……!!!」

アーチャー「まて、誤解だ」

ランサー「ハッハー!!最低なやつだなぁ!!アーチャー?!」

アーチャー「そういうお前はどうして凛の傍らにいる?」

ランサー「嬢ちゃんのサーヴァントになったからだよ!!」

アーチャー「なに……?」

凛「そんなつもりはなかったけど……。もういいわ!!アーチャーなんて顔もみたくないんだからぁ!!!」

アーチャー「ふん!こちらこそ、そのような気の多いマスターになど仕えるつもりはない!!」

ライダー「アーチャー……あの……セイバーは……」

ランサー「セイバーなら金ピカやろうがつれていったぜ?」

ライダー「えぇ!?」

凛「でていって!!」

アーチャー「言われなくても出て行く!!ライダー、いくぞ!!」ギュッ

ライダー「ちょっと、アーチャー!!手をひっぱらずとも……!!」

凛「もう……サイテー……」

アーチャー「凛め……」

ライダー「あの……誤解では?」

アーチャー「そうかな?凛ならやりかねない」

ライダー「これからどうされるのですか?」

アーチャー「……君はどうする?」

ライダー「私は……セイバーを探さないと……」

アーチャー「そうか。ではここまでだな」

ライダー「行くあてはあるのですか?」

アーチャー「ないさ」

ライダー「……」

アーチャー「ではな」

ライダー「待ってください」

アーチャー「なにかな?」

ライダー「あそこに行ってましょう。そこなら受け入れてくれるかもしれません」

アーチャー「……?」

ワカメ「」ガタッ

アインツベルン城

アーチャー「おい、ここは!!」

ライダー「いいではないですか。私も用がありましたから」

イリヤ「どうかしたの?」

バーサーカー「……」ズンズン

アーチャー「あ……イリヤ……」

イリヤ「なによ?」

ライダー「すいません。少し手伝って欲しいことがありまして」

イリヤ「なにかしら?」

ライダー「セイバーの奪還に協力をしてほしいのです」

イリヤ「セイバーの?何かあったの?」

ライダー「では、順を追ってお話します」

イリヤ「おねがい」

バーサーカー「……」バナナ、イル?

アーチャー「遠慮しておく」

イリヤ「―――そう。そんなことが」

ライダー「そこで、貴女の力をと思いまして」

イリヤ「ふーん。まぁ、セイバーはいいとして凛はいいの?」

アーチャー「構うことはない」

イリヤ「貴方の行き先がないじゃない」

アーチャー「私のことは放っておいてくれ」

イリヤ「ま、いいけど。で、シロウは?」

ライダー「今頃、桜とデートをしているでしょう」

イリヤ「なにそれ?」ムッ

ライダー「え?」

イリヤ「シロウのためにやろうとしてるのに、シロウはサクラとデートなんだー。ふーん」

ライダー「あ、いや……それはですね……」オロオロ

イリヤ「まずはサクラのデートをぶっ壊しにいくわよ!!バーサーカー!!」

バーサーカー「■■■■■―――!!!!」

アーチャー「……」

喫茶店

士郎「……」ギリッ

桜「あの……先輩……。そんなにセイバーさんが……?」

士郎「……え?!」

桜「そこまで思い詰めるなら……今からセイバーさんのあとを……」

士郎「いいって……セイバーのことなんて……」

桜「先輩……」

桜(キャスターさんに頼んで記憶の操作をしてもらったほうがいいのかな……?)

ズン……ズン……ズン……ズン……!!!

士郎「なんだ……?」

桜「え?え?」

イリヤ「シロー!!!!」

士郎「イリヤか?」

イリヤ「早く出てこないと、お店が粘土みたいにぺっちゃんこになるよー!!!」

桜「えぇー!?」

士郎「イリヤ!?」

イリヤ「やっほー、シロウ!」

バーサーカー「……」

桜「イリヤさん……バーサーカーさんまで……」

ライダー「士郎、セイバーを奪還しにいきますよ」

士郎「え?」

ライダー「さぁ」

士郎「いや……」

アーチャー「セイバーは英雄王に拉致されている可能性がある」

士郎「なに?!」

ライダー「ランサーが連れて行ったと言っていましたから」

士郎「でも、セイバーは両手いっぱいにお菓子をもって……」

イリヤ「セイバーのことだから餌に釣られただけじゃないの?」

バーサーカー「……」キャンディ、イル?

桜「あ、ありがとうございます……」

ライダー「士郎、行きましょう」

士郎「ああ。分かった」

アーチャー「どうせどこぞのスイートルームを独占しているだろう。調べればすぐに居場所は割り出せる」

イリヤ「よーし!!いくわよ!!バーサーカー!!」

バーサーカー「……」ペロペロ

桜「……」ペロペロ

イリヤ「……いくわよ!!バーサーカー!!」

バーサーカー「■■■■―――!!!」

桜「先輩……」

士郎「ごめん、桜。この埋め合わせは絶対にするから」

桜「……はい」

ライダー「では、虱潰しに探しましょう」

アーチャー「私は高台にいこう」

イリヤ「よろしくねー」

士郎(セイバー……)

ホテル

ギルガメッシュ「どうだ、セイバー?絶景であろう?」

セイバー「……」ムシャムシャ

ギルガメッシュ「まぁ、王が見下すには若干高さが足りんがな」

セイバー「下々の民を眺め、愉悦に浸る趣味はありません」

ギルガメッシュ「王の威厳とはそういうところから生じるものだぞ?」

セイバー「そうでしょうか……?」

ギルガメッシュ「ああ……。ん?」

セイバー「……」ムシャムシャ

ギルガメッシュ(おのれ……雑種め。我とセイバーの営みを覗き見るとは……!!!)

シャッ!!

セイバー「何故、カーテンを?」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「……!!」

セイバー(まさか……私の体を……?!)

ギルガメッシュ「……」クルッ

セイバー「……」ビクッ!

ギルガメッシュ「ん?」

ギルガメッシュ(セイバーの口の周りに食べかすが……拭いてやるか……。ティッシュは……)

ギルガメッシュ「……」スタスタ

セイバー(ティッシュをもってきた……!間違いない……英雄王は私の体を狙っている……!!)

ギルガメッシュ「セイバー?」

セイバー「よるな!!」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「見損ないましたよ、英雄王」

ギルガメッシュ「何がだ?」

セイバー「私が自身の貞操を駄菓子ごときで捧げるとでも思っているのですか?」

ギルガメッシュ「何を言ってる?それよりはやくこっちにこい」

セイバー「いやです!!」

ギルガメッシュ「貴様……我の言うことがきけんか?」

セイバー「それ以上、近づくと……」

ギルガメッシュ「セイバー?ここには多くの雑種がいるのだぞ?」

セイバー「それがなんですか?」

ギルガメッシュ「ここで事を大きくしてみろ。貴様はこの地での居場所を失うことになる」

セイバー「なに……?」

ギルガメッシュ「ただでさえ秘匿に神経質な連中だ。お前が暴れたとなれば……」

セイバー「うっ……」

ギルガメッシュ「ほら、言うことを聞け」

セイバー(くっ……到底、英雄王から逃げられる状況ではない……。終わりか……。シロウ……)

ギルガメッシュ「こい、セイバー」

セイバー「あ、あの……」

ギルガメッシュ「なんだ?」

セイバー「わ、私は……魂までは売りません……」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「わ、私のマスターは……マスターは……」

アーチャー「みつけた。あのホテルの最上階だ」

イリヤ「よし!!」

士郎「セイバー……!!」

アーチャー「急いだほうがいい。セイバーが襲われそうになっていた」

士郎「なっ!?」

ライダー「士郎、私が最上階まで案内します」

士郎「いいのか?!」

ライダー「ここまで来たのです。躊躇うことはありません」

士郎「よし!!」

イリヤ「バーサーカーも遅れたらだめよ!」

バーサーカー「■■■■―――!!」

桜「先輩……」

士郎「桜、いってくる」

桜「あの……」

ライダー「いきます!!!」ゴォォォ!!!

ギルガメッシュ「さぁ……セイバー?」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「……」スッ

セイバー「うぅ……」ブルブル

バリィィィン!!!!

ギルガメッシュ「!?」

セイバー「え……」

ライダー「ふっ!!」ジャララララ

ギルガメッシュ「なに!?」ギィン!!

士郎「セイバー!!」

セイバー「シロウ!!」

士郎「大丈夫か?!」

セイバー「は、はい……!!」

ギルガメッシュ「おのれ!!雑種がぁぁ!!!」

ライダー「士郎!!はやく逃げて!!」

士郎「セイバー、口の周りがすごいことになってるぞ?」

セイバー「え……?そ、そうですか……?」

士郎「あとで拭いてやる。今は逃げよう」

セイバー「はい」

ギルガメッシュ「まてぇ!!!」

ライダー「くっ!!」ジャラララ

ギルガメッシュ「おのれ!!このような玩具で我を拘束するとは!!」

バーサーカー「■■■■―――!!」

ギルガメッシュ「狂犬か!?」

アーチャー「―――投影、開始」

ギルガメッシュ「フェイカーまで……!!」

イリヤ「流石にこれだけの英霊を相手にまともには戦えないでしょ?」

ギルガメッシュ「木偶人形まで一緒か……!!」

ライダー「このまま見逃してくだされば、なにもしません」

ギルガメッシュ「ふざけるなぁぁぁ!!!我の営みを怪我したこと後悔させてや―――」

ドォォォォォン

桜「あ……最上階で爆発が……」ペロペロ

カレン「……」

桜「きゃぁ?!」

カレン「どうも」

桜「ど、どうも」

カレン「なんの騒ぎですか?」

桜「そ、それが……」

カレン「全く。かませ犬も英雄王も好き勝手にして……。おしおきが必要ですね」

桜「カレンさん、どちらへ?」

カレン「ここは既に手配を終えていますので。犬を迎えに行ってきます」

桜「はぁ……」

士郎「はぁ……はぁ……」

桜「先輩!!大丈夫ですか!?」

士郎「なんとか」

セイバー「シロウ……」

士郎「ほら、口元拭かないと……」ゴシゴシ

セイバー「んぶぶ……」

士郎「よし。綺麗になったな」

セイバー「あの……シロウ……私は……」

士郎「桜、帰るか」

桜「他の皆さんは?」

士郎「今はこの場を離れるほうが先決だ」

セイバー「シロウ……あの……」

士郎「……」スタスタ

桜「……」チラッ

セイバー「……」ウルウル

桜(勝った……)

セイバー「……シロウ……」

セイバー「うぅ……」

ライダー「よっ」

イリヤ「あーたのしかった」

バーサーカー「……」コクコク

アーチャー「魔力が……」

ライダー「よかったですね?」

アーチャー「なんのことかな?」

ライダー「分かっているくせに……ふふ……」

アーチャー「ふん……」

セイバー「……」

ライダー「セイバー?士郎と桜は?」

セイバー「先に……帰りました」

イリヤ「えー?!シロー!!!バーサーカー!!追いかけて!!!」

バーサーカー「■■■■―――!!」ズンズン

セイバー「私は……もう……」

ライダー「セイバー……」

アーチャー「セイバー、謝っていないのか?」

セイバー「え……?」

アーチャー「衛宮士郎はお前の謝罪を待っているはずだ」

ライダー「……」

セイバー「私の……」

ライダー「事情は知りませんが、仲違いの原因が貴女にあるのなら、意地を張るのはやめたほうがいいですよ?」

セイバー「……」

ライダー「……それはアーチャーにも言える事ですが」

アーチャー「私の場合は凛が悪い」

ライダー「ふふ……」

セイバー「そうでした。私が……悪かったのです」

セイバー「シロウのところに戻ります。アーチャー、リンに伝えておいてください」

アーチャー「何と?」

セイバー「私のマスターはシロウだけでした、と」

アーチャー「やれやれ。では、私も大変不本意ながら凛のところに戻らざるを得ないわけか……」

ライダー「嬉しいくせに、素直ではないのですね」

アーチャー「ふんっ」

セイバー「では、これで」

ライダー「……」

アーチャー「どうした?セイバーと一緒に帰らないのか?」

ライダー「いえ。セイバーはもう大丈夫でしょう。それよりも私は貴方が心配です」

アーチャー「なに?」

ライダー「さ、行きましょう」ギュッ

アーチャー「こ、こら!!」

ライダー「凛が貴方の帰りを待っているはずです」

アーチャー「そうだろうか。今頃、ランサーと……」

ライダー「大丈夫ですよ」

アーチャー「……」

ライダー「セイバーの伝言も伝えないと」

アーチャー「そうだな。仕方ないか」

遠坂邸

ランサー「いやー!!マジかいてきだなー!!」

凛「あっそ」

ランサー「それで、いつ俺と魔術回路繋いでくれるんだ?」

凛「そ、それは……」

ランサー「手っ取り早く、ベッドで繋ぐか?」

凛「なっ!?」

ランサー「いいねー、その初心な反応。まだ男をしらねえらしい」

凛「そ、それ以上、近づいたら殺す!!」

ランサー「いいぜ。やってみな」

凛「うぅ……!!」

ランサー「ここでするか?」

凛「そんな……」

ランサー「まぁまぁ。絶対に満足させてやっから」

凛「ひっ……!」

ランサー「これであの鬼畜シスターとも……」

バゴォォォォン!!!

凛「へ!?」

ランサー「な、なんだ!?」

カレン「発情期ですか?」

バゼット「……」

ランサー「な……!?」

凛「カレン!?バゼット?!」

カレン「手癖の悪い犬が迷惑をかけましたね。きちんと調教しますので」

バゼット「……」

ランサー「あ、あの……」

カレン「言葉はいりません。全てバゼットに一任してあります」

ランサー「なんだとぉ?!」

バゼット「……」ポキポキ

ランサー「やめろ……!!わるかった!!!どうしてもいいマスターがほし―――」

アーチャー「これは……!?」

ライダー「壁が壊されていますね」

アーチャー「凛!!」

凛「……」

アーチャー「凛!!大丈夫か?!」ユサユサ

凛「……え?」

アーチャー「なにがあったんだ?まさか、ランサーに……」

凛「ううん!!なにもないわ!!なにもない!!」

ライダー「しかし、この壊されようは……」

凛「それはバゼットがやったの」

アーチャー「……なるほど。なんとなく理解した」

ライダー「では、この点々と落ちている血痕は……」

凛「アーチャー……」

アーチャー「凛……まだ、私との契約は続いているようだな」

凛「うん……」

アーチャー「私のことは見限ったのでなかったかな?」

凛「そーよ。アンタなんて顔もみたくないわ!!」

アーチャー「では、どうして魔力を供給し続けているのか?」

凛「それは……その……。ど、どうせ私以外にマスターになってくれる奴なんていないでしょ!!」

アーチャー「……」

凛「泣きつかれるのはわかってるんだし、泣きつかれたら……その……またどうせ契約するし……」

凛「二度手間でなるでしょ……だから、よ……」

アーチャー「そうか。実は私もマスターは凛以外にいないなと再認識したところだった」

凛「ほ、ほら!!みなさい!!」

アーチャー「口が過ぎたな。すまなったよ」

凛「アンタが素直だと気持ち悪いわね……」

アーチャー「君が素直な言葉を口にしないからだ」

凛「ふんっ。早く、壊れた壁を直してよね!」

アーチャー「はいはい」

ライダー(私はお邪魔のようですね……)

桜「ふんふーん」ギュゥゥ

士郎「……」

イリヤ「ねーねー!!シロー!!おんぶー!!」

バーサーカー「……」モモ、タベル?

セイバー「シロウ!!!」

士郎「……」

桜「セイバーさん?」

セイバー「……もうしわけありませんでした!!!」

士郎「セイバー……」

セイバー「シロウの気持ちも考えず、ただ自身の私利私欲のみを求めてしまいました」

セイバー「これは騎士としても、王としても、サーヴァントとしても失格です」

セイバー「ですが、やはり私はシロウの下にいたいのです!!」

士郎「……」

桜(もう遅いですよ……ふふふ……)

セイバー「だめ、でしょうか……?」

バーサーカー「……」

イリヤ「シロウ?」

士郎「セイバー……」

セイバー「はい……」

士郎「俺も悪かったな」

セイバー「シロウ……」

士郎「一袋ぐらいならいつでも買ってやる」

セイバー「シロウ……シロウ……」

士郎「家に帰ろう。お腹すいただろ?」

セイバー「はい……ペコペコです」

士郎「うん」

イリヤ「シロー!!私もたべるー!!」

バーサーカー「……」オレモオレモ

桜「……」

桜「どうして……いつも……!」

衛宮邸

士郎「じゃあ、夕飯の支度するか」

セイバー「はい」

イリヤ「ねえねえ、セイバー。このポテトチップたべてもいいの?」

セイバー「ええ。構いません」

イリヤ「やったー」

セイバー「ふふ……」

イリヤ「バーサーカーとたべてくるねー」

セイバー「はい」

士郎「よかったのか?」

セイバー「はい。駄菓子一つで愚痴をこぼしては騎士王の名折れです」

士郎「そっか」

セイバー「……」グゥ~

士郎「すぐ作るから」

セイバー「お、お願いします」

キャスター「はぁ……結局、家出セイバーが見つからなかった……」

桜「……」

キャスター「あら、なにをしているのかしら?」

桜「キャスターさん……それが……」

キャスター「なにかあったの?」

桜「セイバーさんが……家出をやめてしまって」

キャスター「あら、そうなの?」

桜「はぁ……」

キャスター「実は私もセイバーに用事があったのよ」

桜「え?」

キャスター「お土産もあるし、ちょっとお邪魔するわね」

桜「は、はい……」

キャスター「ふふふ……。この犬耳メイドセイバーになってもらうわぁ……♪」

桜「……」

桜「セイバーさん、お客さんです」

セイバー「え?」

キャスター「セイバー♪」

セイバー「どうかしたのですか?」

キャスター「これ、着て欲し―――」

セイバー「お断りします」

キャスター「ここにお土産のケーキがあるの」

セイバー「え……」グゥ~

キャスター「ほら、美味しそうでしょ?」

セイバー「た、たしかに……」タラーッ

桜「セイバーさん!!涎!!」

キャスター「はい、あーん」

セイバー「や、やめてください!!今からシロウの手料理が振舞われるのです!!」

キャスター「気にしなくていいじゃないの。ほーら」

セイバー「やめろ!!それ以上、その洋菓子を近づけるなら!!こちらにも考えがあります!!」グゥ~

士郎「セイバー、料理ができ、た……んだけ……ど……」

セイバー「あんま、あま♪」モグモグ

キャスター「あとで犬耳メイドになってねー♪」

セイバー「わかりまふた」モグモグ

士郎「……」

セイバー「はっ!?」

士郎「そうか……セイバーは俺の料理より……キャスターのケーキのほうがいいのか……」

セイバー「シロウ?!これは誤解です!?」

士郎「もういいよ!!セイバーは結局、口に入ればなんでもいいんだろう!!」

セイバー「ち、ちがいます!!私は……その……」

士郎「夕飯前なのに……ケーキなんか食べて……!!」

セイバー「これはキャスターの計略です!!」

士郎「もういいよ!!キャスターの世話になればいいだろ!!」

セイバー「なっ!?シロウ、それは私に死ねと言っているのですね……!!」

キャスター「えー?もらっていいのー♪」ギュゥゥ

士郎「もういい!!セイバーなんて知るか!!」

セイバー「シロウ!!」

キャスター「やったわぁ。等身大セイバーゲット♪」

桜「先輩、折角仲直りしたのに……」オロオロ

士郎「もういい……!!!」

キャスター「さ、セイバー。行きましょう?」

セイバー「うぅ……シロウ……」

キャスター「うふふふふ……」

士郎「……」

桜「あぁ……あぁ……」オロオロ

桜(やった……)グッ

ライダー「……おや?今、セイバーとキャスターが出て行きましたが?」

桜「それが……また喧嘩に」

ライダー「えぇ?!……はぁ、もう結構です。気が済むまでしてください」

士郎「ふん」

数日後 衛宮邸 縁側

イリヤ「この明太味おいしいわね」ムシャムシャ

バーサーカー「……」ムシャムシャ

セイバー「シロウ!!もういやなんです!!!謝りますから!!もう一度、わたしをここに住まわせてくださぃ!!」ポロポロ

士郎「知らない。良く似合ってるぞ、その婦警姿」

セイバー「しろぉぉ……」ポロポロ

キャスター「こんなところにいたのねー?さ、かえりましょ?ご飯と新しいコスチュームを用意したから」

セイバー「うわぁぁ……しろー!!しろー!!!」

桜「せーんぱい。朝ごはん、できましたよ?」

士郎「さんきゅ。いくか」

桜「はぁい♪」ギュッ

ライダー(今回は長引きそうですね……。ま、その分、私にもチャンスが……)

イリヤ「おかし、おいしー♪」

バーサーカー「■■■■―――!!」ムシャムシャ


END

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