HELLSING×血界戦線のSSです
なんか畏れ多い気もしますが頑張ります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384262017
?「来たか……従僕……」
?「ああ、来たぞ我主(マイマスター)」
?「突然だが、米国に飛んでもらう」
?「米国?あの我国を模倣し世界の主導権を握ったつもりでいる度し難い豚共の国にか?」
?「ああ、そうだ。あのモラルもマナーも知らずファストフードばかり食らう下品な国にだ」
?「それなりの理由があるのだろうな我主インテグラ」
インテグラ「……貴様も知ってるだろう。消えたNYの事を」
?「一晩で異界に成り果てたらしいな。あの国特有のくだらない映画の様に」
インテグラ「そうだ……今はヘルサレムズロットと名を変えた。霧に包まれ何もかもが閉ざされたその街に吸血鬼共が蠢く穴蔵があると言う情報を掴んだ。その吸血鬼共が溢れだし我英国に入り込まないとも限らん……」
?「なるほど、つまりそういう事だろう?我、Hellsingお得意の。ならば回りくどい言葉はいらない。命令を、命令を下せインテグラ」
インテグラ「いつもならそうしている。だが、そう簡単な問題ではない。我英国がHLに干渉したとあれば米国のみならず諸外国が黙っていないだろう。あの街は今やパンドラの箱であり、無尽蔵の宝物庫でもあるんだからな……それに……」
?「今日のお前はやけに多弁だ。何を慎重になっている。我等、 Hellsing機関の前に立ちはだかるものは一切合切が塵芥と化す。お前はその親玉であり、謂わば覇軍の王なのだぞインテグラ」
インテグラ「……HLにはラインヘルツ家の者がいるらしい」
?「そうか……あの牙狩りの……」
インテグラ「……ラインヘルツ家の者が関わっているのならそう易々と動けはしないだろう。牙狩りの精鋭が複数いる可能性もある」
?「くっくっくっくっ、尚更だ。尚更だインテグラ!ラインヘルツ家、私にとってお誂え向きの相手ではないか!!我等、化け物を倒すために己が技を研鑽し続け聖遺物や魔導にも頼らず遂に我等に届く牙を作り上げた人間共が相手なのだぞ?これほどの興奮は狂った少佐の大隊を相手にした時以来だ!!命令を、命令を寄越せインテグラ!早く、早く寄越せ」
インテグラ「お前は変わらない……いつまでたってもそうだ……だが、それでこそヘルシングのごみ処理屋足り得る。命令は1つ!HLに乗り込み英国の憂いを……穴蔵に住まう吸血鬼共を一掃しろ!!邪魔をする者がいるならば相手が牙狩りだろうが叩いて潰せ!!行け、アーカード」
アーカード「了解した。我主」
ニューヨークと呼ばれる街はもう無い。
たった一晩で何もかもが滅び、何もかもが形を変えてしまった。
霧に包まれ、異界(ビヨンド)と化したNYを今じゃこう呼ぶ。
《ヘルサレムズロット》
口さがない人々は、こうも呼んでいるらしい。
《神に見棄てられた箱庭》
もし、本当にこのHLが災厄に魅入られ、神に見棄てられたのなら、この街に住んでる僕らには絶望しか許されないのだろうか?
ネジ「おーい、バーレオガーくーん」
レオ「おせぇよ!一時間も待ったんだぞ!!ってかその呼び方やめろ!!俺がバーガーに挟まれてるみたいじゃんか」
ネジ「えへへへ、それは素敵だね」
レオ「あー!もう怒ったー!!罰として今日はバーガー1個な」
ネジ「そんなぁ~」
レオ「早く行くぞ!!」スタスタ
ネジ「せめてバーガー3個にしてよ~」
レオ「どこがせめてなんだよ!!」
ネジ「レオナルド・バーガーく~ん」
レオ「俺の名字はバーガーじゃないっつーの!!」
?「こ、これがHL!?な、なな、なんか色々な意味でヤヴァイ……」ガクブル
「おらぁぁ死にさらせ人間が(ヒューマー)」ズドドド
?「ひぁああああああ」ガクブル
「黙りゃあ!!スピルバーグも真っ青のぶっ飛びクリーチャーが」ズバババ
?「うわああああ」ガクブル
公僕「コラァ!路上で殺し合いをするんじゃない!!殺すぞ」ドガガガ
?「警察までええええ!?」タタタタタッ
?「マスタアアアア!私を置いて何処に行ったんですかあああ!!」タタタタタッ
ドカンッ
?「うわああああ!!」
ネジ「待ってよ~」
レオ「待たない!!」
ネジ「あっ!レオくん、危ないよ」
レオ「ふんっ!どうせ、俺を引き留めようとしてんだろ!!」
?「危なあああああい」
レオ「え?……尻?」
メキョ
レオ「グハァッ」
ネジ「だから言ったのに~」
―――
――
―
今日はこんな感じです
ガチャ
ザップ「うーっす」
チェイン「たあー!!」
ベコンッ
ザップ「ウガァッ」
チェイン「ごめーん、あんただと分かったから遂……」
ザップ「てめぇ!殺す気か!!」
チェイン「うん」
ザップ「うん、じゃねぇよ!!てめぇの脳みそは無駄にデカイその乳に入ってんのか!?脳みそで考えるってか?今すぐスピーシーズに出た方が良いんじゃないですかぁぁぁ?」
ツェッド「あなたのモラルの低さは底が見えないですね……」
ザップ「だぁってろ魚類!!」
ツェッド「罵詈雑言にも芸がないですね」
ギルベルト「おや、ザップさんお怪我をなされてますね?手当てをいたしましょう」
ザップ「ここの常識人はギルベルトさんだけだな!!」
ツェッド「あなたには一番言われたくないですね」
チェイン「」←お前が言うな今すぐ死ねSS的な表情
ザップ「ギルベルトさん!魚類と犬女が苛めるっ」
ギルベルト「本当に仲がよろしいのですねぇ。はい、出来ましたよ」
ザップ「ありがとう。そういや、今日はえらく人がすくねぇな?旦那もいねぇし」
ツェッド「レオくんは友達と昼食をしにいくと言ってましたけど」
ザップ「あんな、陰毛糸目うんこ野郎うんこは別にどうでもいいんだよ。あの野郎たった100ゼーロも貸さねぇ」
ツェッド「つくづく下衆野郎ですね。それは新しい病気ですか?」
バタンッ
ザップ「だ、旦那?ど、どうしたんだよおっかねぇ顔して……っておっかないのはいつもか」
ツェッド「本当にモラルないですね」
チェイン「」←なんで生きてんの?早く死になよ出来るだけ惨めに的な表情
クラウス「スティーブンは!」
ザップ「スカーフェイスさんはいないっすけどってか切羽つまってますね?血界の眷属(ブラッドブリード)が大挙してきたとか?」
クラウス「…………」
ザップ「え、ちょっと……マジで?」
クラウス「王立国教騎士団HELLSING」
ザップ「あの、プロテスタントでガチガチに固定された殲滅主義者の組織っすか。なんでも対・吸血鬼用の化け物を飼ってるとかで」
チェイン「一応、その頭にも知能はあるんだ」
ザップ「てめぇクラァ犬女コラァ」
ツェッド「ヘルシングがどうしたんですか?」
クラウス「ヘルシングがこの街の永遠の虚に吸血鬼が住まう事を突き止め、対・吸血鬼用の切り札(ジョーカー)を送り込んで来たという情報が入った」
チェイン「なんで英国の組織がわざわざHLに?」
クラウス「恐らく、永遠の虚に住まう吸血鬼を必要以上に恐れたのだろう」
ツェッド「だとしても行動が極端過ぎますね」
クラウス「その極端な行動が彼等の恐ろしい所だ」
ザップ「でも何が問題なんすか?寧ろ俺らの仕事を減らしてくれるんじゃ?」
クラウス「いや、寧ろ逆だ。牙狩り総動員になるかもしれないのだ。我々は、なんとしてもヘルシングの切り札(ジョーカー)を退けねばならない。ヘルシングの切り札(ジョーカー)の名はアーカード、唯一細工も無しに埋まれた吸血鬼だ」
ザップ「ど、どういう事すか!?」
クラウス「ブラム・ストーカー著、吸血鬼ドラキュラが実在したという事だ」
ツェッド「そ、それじゃあ!」
クラウス「謂わば吸血鬼の神、真祖の来訪に永遠の虚の吸血鬼共が呼応して数えきれない長老級(エルダー)が這い出してくる可能性がある」
―――
――
―
レオ「うぅ……いってぇ……ん?ふかふか?ああ、ハイハイ、あれでしょ。どうせ異界産のH・R・ギーガーデザイン的なアレが俺の頭の下に……」
?「だ、大丈夫ですか?」
レオ「おっぱい?……わっ、わわわあああ!す、すんません!!」
?「わぁぁ、良かった~…ごめんなさい!いざこざに巻き込まれて吹き飛ばされちゃって貴方にぶつかっちゃって」
レオ「あ、いや、この街じゃ人間が降ってきたりヤバイものが落ちてきたりは日常茶飯事なんで大丈夫っす!!」
?「あ、私セラス・ヴィクトリアって言います」
レオ「レオナルド・ウォッチっす……って吸血鬼!?」
セラス「え、なんで分かったんですか!?」
レオ「あわわわわわ!?やばばばばい!に、逃げなきゃ!!」ダッ
セラス「ちょ、ちょっと待って!一人にしないでーー!!」
レオ「うわああああ!なんで追ってくるんだよおおおお!!」ダダダダ
――――――――
ネジ「おーい、レオくーん!ってアレ?いない。せっかくバーガー買ってきたのに……」
ネジ「まぁ、いっか」パクッ モグモグ
セラス「ちょっと待ってええ!なんにもしないからあああ!!」ダダダダ
レオ「嘘だっ!血をすって殺すんでしょ!!紅葉おろしにするんでしょ!!」ダダダダ
セラス「しないから!!待ってよおおおお!!」ダダダダ
レオ「首とられるぅぅぅぅ!!」ダダダダ
セラス「それ違うからっ!私は首置いてけなんて言わないから!!」ダダダダ
レオ「うわああああ妖怪首置いてけだあああ!!」
セラス「違うってばああああ」ダダダダ
ブゥゥゥゥン
セラス「あ、あぶなあああい!!」
レオ「え!?」
キキィ ドーン
レオ(あーあ、俺死んだわ。いきなり神々の義眼とかなんか知らない人に間違われちゃってライブラに入っちゃうし先輩(ザップ)はクズだし先輩(ザップ)はクズだしSS先輩はクズだしザップさんはクズだしなんで俺、こんなんばっかなんだろ……)
レオ(あ、でも、なんか死ぬのも悪くないかも……なんか柔らかくて気持ちよいし良い匂いするし)パチッ
セラス「いきなり道路に飛び出したら危ないじゃないですか!!」
レオ「…………」ガクッ
セラス「し、死んだぁぁ!?」
レオ「…………」チラッ
セラス「死んだふりぃぃ?」
レオ「もーなんだよー殺るならやれよー」
セラス「投げやり……あ、あの、確かに私は吸血鬼ですけど血を吸ったり殺したり首置いてけって言ったりしませんよ」
レオ「本当?」
セラス「本当」
レオ「じゃ、じゃあなんで追ってきたんすか?」
セラス「だ、だってこの街に一人は危険でしょ!?平気で殺し合いしてるかと思えば警察官まで乱入するし」
レオ「吸血鬼なのに?」
セラス「吸血鬼でも怖いものは怖いんですよ……って言うかなんで私が吸血鬼って分かったんですか?」
レオ「んーー!なんと言うか……その……(神々の義眼の事を人に言って良いのかな?)」
セラス「なんと言うか……ものすごい複雑な表情ですね……」
レオ「すんません……あの、どうしてHLに?」
セラス「吸血鬼退治……かな」
レオ「え!?マジで!!」
セラス「マジで」
ザップ「ったく!!とんでもねぇ厄ネタだよ。あの糸目野郎も電話にでねぇしよ」
クラウス『数年前、ロンドンがナチスの残党によって戦火に包まれた。これは国連の首脳レベルしか知り得ない情報で、あらゆる情報機関やソーシャルネットワークから個人の交流サイトに至るまでに秘匿にされた超秘密情報だ。この秘密情報には更に裏がある』
ザップ『裏っすか?』
クラウス『一部、牙狩りにしか知らされていない情報』
ツェッド『吸血鬼関連ですか?』
クラウス『ああ、ナチスは一般の兵士を吸血鬼に転化させ一個大隊を作り上げたのだ。それを迎え撃ったのはヴァチカン法務庁特務局第13課通称・イスカリオテとヘルシング。イスカリオテは十字軍と称しロンドンに侵攻、それに対してヘルシングは少数精鋭。協力して問題に当たるかと思えばほとんど三つ巴だったらしい』
ザップ『それって戦争じゃないっすか!!』
クラウス『敵は吸血鬼、相手は聖遺物を使用した武装神父、そして吸血鬼の真祖。第三次大戦が起こった様なものだ』
クラウス『未曾有の大戦の果て、ナチスは殲滅され、イスカリオテもほとんど壊滅、それをほとんど一人でやってのけたのがヘルシングのアーカード』
ツェッド『想像を絶しますね……』
ザップ『ヤバイってもんじゃねぇ……』
クラウス『どういう経緯で魔王とも言うべき吸血鬼が人間に従属し、吸血鬼を狩っているのかは分からない。だが、アーカードに呼応し、永遠の虚から吸血鬼が這い出してしまえば危険どころではない。アーカードがヘルシングに忠実に従って這い出した長老級と敵対してしまえばロンドンでの大戦がHLで起こる。いや、この街で起こるならばそれどころではない。勿論、アーカードが長老級を率いる可能性もないわけじゃない。どちらにせよ我々はアーカードが永遠の虚に近づくのを阻止しなければならないのだ』
ザップ『とんでもねぇ厄ネタだな……』
クラウス『ザップとツェッドは、今すぐレオナルドくんを探して連れてきてくれ。チェインはスティーブンとK.Kに事の次第を連絡してアーカードを探すように計らってくれ。ギルベルト、今すぐヘルシング機関のインテグラ卿に繋いでくれ』
ギルベルト『もう、しております』
クラウス『私が話す。ザップ、ツェッド、チェイン頼むぞ』
ザップ『行くぞ魚類!!』
ツェッド『はい!!』
ザップ「ったく!なんでつながらねぇんだよ!!」
ツェッド「もしもし!レオナルドくん」
ザップ「なんでてめぇは繋がるんだよ!!」
――――――――――
レオ「あ、もしかしてSS先輩と一緒っすか?」
ザップ『おい、糞糸目!!なんで俺の電話にでねぇ!!あ、いや、そんな事はどうでも良い。今、どこに居やがる』
レオ「デッサウリークの方っすけど?ってかなに切羽つまってんすか?」
ザップ『分かった。いいか!そこを動くんじゃねぇぞ!!一歩もだ!!動いたらてめぇのフィンガーズを明後日の方に向けて箸でジェリービーンズ食わせるからな!!』ブツン
レオ「あ、切れた……めんどくせぇなぁぁぁ絶対に嫌ないじられ方するわぁ」
セラス「ん?」
レオ「あ、いや……なんか先輩が俺のこと探してるみたいで……それが嫌なヤツなんすよ」
セラス「へぇ、まぁ、私にも怖い上司がいるんでなんとなく気持ちは分かりますよ」
レオ「あ、俺にも怖い上司いますよ!まぁ、顔が怖いだけでめっちゃ良い人なんすけどね」
レオ(あれ?なんで俺、吸血鬼と普通に会話してんだろ……)
ツェッド「レオくん!」
レオ「あ、ツェッドさんこっちです」
セラス「は、半魚人!?ってかヘルボー……」
レオ「そ、それ禁止っす!!」
ザップ「てめぇクラァ!この緊急事態になにしてやがった!!つかなんで電話にでねぇ」
レオ「今日はプライベートだったしせっかくのプライベートをアンタにむちゃくちゃにされたくないんすもん……ってか緊急事態ってなんすか?」
ツェッド「要約して言うとイギリスの特務機関のヘルシングって組織がこの街を瓦礫に変えるかもしれないんです」
セラス「え!?」
ツェッド「おや?その女性は?」
ザップ「てめぇ!!ヘタレウンコ糸目のくせにこんな可愛い娘つれてるとか許されねぇぞ!?」グィ
レオ「違うんすよ!あーもうめんどくせぇなぁぁぁだから嫌だったんだよぉぉぉ」
セラス「あ、あの……私、実はそのヘルシングの者なんですが……」
ザップ・ツェッド「「なに!?」」バッ
レオ「ふ、二人ともなんでいきなり戦闘モードなんすか!?」
ザップ「なんでじゃねぇだろ!その女は吸血鬼だろ!!しかもこの街でもとびっきりの厄ネタだ。俺らがなんとか時間稼ぐからてめぇは早く旦那呼べや」
ツェッド「そうです!危険だ早く離れた方が良い!!正直、話を聞く限りでは僕らで相手になるかどうか」
レオ「ちょ、ちょっと待ってください!セラスさんは確かに吸血鬼っすけど悪い人じゃないっすよ!?」
ザップ「セラス?おい、たしか化物の名前って」
ツェッド「アーカードって名前でしたね。でも、ライブラに近づくために偽名を名乗ってるかも……」
レオ「そんな事、この目の前じゃ意味ないっすよ!!」
ザップ「確かにな……だけど、吸血鬼を目の前にしてんだぞ……どうするよ」
セラス「あ、あの……あなた達が探してるアーカードは……私の師匠みたいな主みたいな人でその……ご、誤解があるみたいなのでちょっと話しませんか?」
―――
――
―
短いですが今日はこんな感じです。
血界戦線のキャラでスティーブンが一番好きなんだが最近、スティーブンがGUNGRAVEのハリーに見えてきた……
GUNGRAVEは思い出すだけで泣けます
執事「インテグラ様、アメリカよりラインヘルツ様という方が是非話したいと電話が入っておりますが……」
インテグラ「なに?分かった……すぐに回せ」
執事「かしこまりました」
ガチャッ
インテグラ「私が、王立国教騎士団HELLSING局長のインテグラ・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングだ」
クラウス『私は秘密結社ライブラの代表、クラウス・V・ラインヘルツです』
インテグラ「歴史的瞬間と言えるだろうな。決して交わる事がないであろう闇の狩人同士が会話とは地獄の亡者共も心底肝を冷やしている事だろう」
クラウス『私もまさかこう言う形で交流を持つとは思わなかった。ヘルシング卿、今すぐHLから手を引いてもらいたい』
インテグラ「……ふふっ、もう動きを掴まれていたか」
クラウス『笑い事ではない」
インテグラ「ラインヘルツ卿、私の答えはNOだ。我々は英国に仇なす可能性のある芽を摘み取るために動いている。謂わば、自衛行動だ。むしろ、我々がこの様な厄介事を秘匿し続けた貴公らを責めたいところだが?」
クラウス『HLと外では事情が違うのだ。この街は、ニューヨークが崩壊した以降まったく違う世界が形成されている。あらゆる情報が世界を揺るがしかねない。こちらでは当たり前の事がそちらでは大戦の引き金になるとも限らないのだ。ご理解いただきたい』
インテグラ「なるほど、そこまで変わってしまったか……」
クラウス『この際、秘匿しても仕方ない。それに、ハッキリ言わねば貴女には伝わらないだろう。この街の永遠の虚、崩壊した大地の底には吸血鬼が跋扈しているという情報はそちらも掴んでいるだろう』
インテグラ「その通りだ。その様なパンドラの箱を我々は看過できん」
クラウス『有象無象の吸血鬼が跋扈しているのではない。貴女方の切り札に匹敵し得るレベルの吸血鬼が住まうのだ。なんらかの刺激を与え這い出してしまえば前のロンドンの非ではない地獄が世界を一瞬にして塵芥に変えてしまう』
インテグラ「なんだと!?なぜ、それほどの……」
クラウス『我々も最近、ようやく掴んだ情報なのだ。それに虚はもはや異界、我々も手を出す事は敵わない……しかし、貴女方の切り札……アーカードはそれが出来るのではないか?』
インテグラ「恐らく……可能だろう……」
クラウス『ヘルシング卿、ご決断を!』
インテグラ「…………」
―――
――
―
ガチャッ
ザップ「旦那、糸目野郎連れてきたぞ!」
クラウス「ヘルシング卿!!」
ザ・ツ・レ・セ「「「「」」」」ビクッ
ザップ(だ、旦那キレてねぇか?)
ツェッド(きっと、交渉が難航してるんでしょう)
レオ(セラスさんの事を言って大丈夫なんすか?クラウスさん、ああ見えて短気だから……)
セラス「あ、あの!もしかしてインテグラ様と連絡してるんですか?」
クラウス「む、君は?」
セラス「わ、私はヘルシングのセラス・ヴィクトリアです。あの、代わってもらっても大丈夫ですか?」
クラウス「……分かった。ヘルシング卿、そちらのミス・ヴィクトリアと代わる」
セラス「ありがとうございます」
クラウス「彼女を連れて来たのは?」
レオ「ぼ、僕です。あ、あの……セラスさんは……」
クラウス「吸血鬼だね?」
レオ「は、はい……で、でも」
クラウス「安心してくれたまえ。私は君を信じている」
セラス「あ、はい。わかりました。クラウスさん」
クラウス「ああ」
インテグラ『ラインヘルツ卿、我々はHLから撤退する。だが、アーカードはただでは聞かないだろう。セラスを連絡役として使い潰してくれ。こちらもアーカードの情報を送る』
クラウス「ヘルシング卿、感謝します」
インテグラ『ラインヘルツ卿……牙狩りの手腕試されるぞ』
クラウス「心得ている。可及的速やかにご帰還を願おう。それでは」ガチャッ
ギルベルト「クラウス様、データが送られて参りました」
クラウス「よし、レオナルドくん頼むぞ」
レオ「はい!」
セラス「何してるんですか?」
レオ「あ、そう言う目なんす。見えない物が見えるって言うか……だからセラスさんが吸血鬼って分かったんすよ」キィィィン
クラウス「分かったかね?」
レオ「あ、はい。まぁ、概ね」
クラウス「よし、行くぞ!ギルベルト」
ギルベルト「準備は整っております」
クラウス「ザップ、ツェッド先行してくれ」
ザップ「うす!行くぞ魚類!!」ドタバタ
ツェッド「はい!」ドタバタ
クラウス「ミス・ヴィクトリア。あなたにもついてきてもらおう」
セラス「あ、はい。そう言えば……あの、あなた達はなんなんですか?」
レオ「うーん……世界の平和を守る秘密結社……すかね?」
バタンッ
レオ「え、マジで……」
クラウス「どうした」
レオ「あ、いえ。ユグドラシアド中央駅行きの線路鉄橋近くっす!」
クラウス「ザップ、聞こえたか!先に向かってくれ。今、スティーブンにも情報を転送した。着き次第、スティーブンを援護してくれ」
レオ(外に出た瞬間に見えたとてつもなく大きな翼の《一部》あんな大きなの虚を覗いた時にも見なかった……)ブルッ
クラウス「レオナルドくん、行くぞ」
レオ「うす」
セラス(あーあ、大変な事になっちゃったなぁ……マスター……)
―――
――
―
アーカード「度し難い」スタスタ
アーカード「度し難いほど狂った街だ」スタスタ
「おい、アンタ!あんまりそっち行くと生きて帰れる保障はないぞ」
アーカード「パンドラの箱?笑わせる。三文芝居のちゃちな舞台でしかない」
ズドン
「うがっ!?いてぇ!死ぬの死ぬほどいてぇ」ゴロゴロ
アーカード「こんな下品な街に価値などあるものか」
バチンッ
スティーブン「ミスタ・アーカード。これ以上の散歩は危険です。今すぐ本国へご帰還願いたい」
アーカード「それを決めるのは私ではなく貴様らだ。さぁ、おどけた踊りを見せてくれ狩人。打ち倒す化物は目の前だぞ」ジャキン
スティーブン「交渉は早々に決裂、か……エスメラルダ式血凍道」
《絶対零度の地平(アヴィオンデルセロアブ ソルート)》
スティーブン「なら、全力をもってお帰り願うしかないな」パキッパキッ
スティーブン「エスメラルダ式血凍道」
《絶対零度の槍(ランサデルソルアブソルート)》
アーカード「くっくっくっ……これが牙狩りの技……素晴らしい」パキッパキッ
スティーブン「……やれやれ、それなりの認識はあったけどこれほど死ににくい(ダイハード)とは」
K.K「関心してる暇があるなら攻撃しなさい!スカーフェイスのくせに!!954ブラッドバレットアーツ(血弾格闘技)」
《Electrigger 1.25GW》
アーカード「くっくっくっ……これほど痺れる攻撃もはじめてだ……」バチバチ
K.K「ぶっ散らした傍から再生するなんて……もう!とんでもない厄ネタじゃない!!クラっち怨むわよ」
スティーブン「フラフラしてたらあの化物銃にブチ抜かれるよ!!」
アーカード「あと何人いる?その度し難いほど研ぎ澄まされた技を持った戦士はあと何人いる!?」ズドンズドンズドン
K.K「うわぁ、笑ってる……」
スティーブン「アハハ……しかし、あんなに景気よく撃たれちゃ攻撃のしようがないな。こっちは必死こいて向こうの攻撃を避けながら隙を見つけて攻撃しなくちゃならないのに向こうは死ぬ事すら盾にして攻撃すりゃ良い」
K.K「冷静に解析してる時?自分だけ楽しようという寸法?やだわぁ……やっぱり腹黒いわぁ!」
アーカード「どうした!お前達の技は果てのない我等との闘争のための技ではないのか!?さぁ、闘え!!」
《突龍槍 ――空斬糸》
ザップ「斗流血法カグツチ(ひきつぼしりゅうけっぽう)」
ツェッド「斗流血法シナトベ」
《《七獄・天羽鞴(しちごく・あまのはぶき)》》
ザップ「やったか!?」
アーカード「地獄の業火にも匹敵する。よくぞここまで練り上げた!存外楽しいぞ牙狩り!!」
ツェッド「まったく……ですか」
ザップ「なんとなく分かってはいたがキツいもんがあるな」
スティーブン「四の五の言ってる暇はないぞ!!」
アーカード「どうした?私の牙はまだ折れていないぞ。さぁ、闘争の続きを始めよう」
キキィ バタンッ
セラス「マスター!インテグラ様が撤退しろと」
アーカード「セラス……そうか我が主が……」
クラウス「ミスタ・アーカード、これ以上の戦闘は互いにとっても有益ではない」
アーカード「貴様が!そうか、そうか。なるほど、ちゃちな舞台だが役者は一流だ。前言を撤回しよう。この街は狂おしいほどに面白い」ジャキン
クラウス「ミス・ヴィクトリア、レオナルドくん下がっていたまえ。みんなもご苦労だった」
アーカード「貴様が狩人の長か」スタスタ
クラウス「私はクラウス・V・ラインヘルツ」スタスタ
アーカード「パーフェクトだ!よくぞ従僕を鍛え上げた」スタスタ
クラウス「彼等は従僕などではない。私の仲間だ」スタスタ
アーカード「クラウス・V・ラインヘルツ、貴様に勝算はあるか?この私を打ち倒す勝算が」スタスタ
クラウス「万にひとつか……いや、億にひとつか……たかが百年の時間軸を持たぬ我々の牙があなたたちに届こうなどと言う傲慢な言葉は吐かない」スタスタ
クラウス「だが、これだけは確実だ。百年後か千年後か、必ずや我々の牙はあなたたち不死者の心臓に食い込むだろう」チャキッ
アーカード「くっくっくっ、随分気の長いことだ」
クラウス「生憎、我々は心底諦めの悪い性分なのだ」
アーカード「では、来い。お前らの牙を食い込ませてみろ!!」
クラウス「ブレングリード流血闘術、推して参る!!」
クラウス「うぉおおお」バキッ
アーカード「ぐぁああああ」ドコッ
レオ「ここにきて殴りあい!?」
セラス「そう言えば、前にもこんな事あったな……」
アーカード「やるではないか!クラアアアアウス」メキッ
クラウス「ぐっ、貴公ほどではないがな!!」ズドッ
スティーブン「帰るか……」
ザップ「そっすね」
K.K「あーあ、マジで殺しあいしてたのが馬鹿みたいだわ」
レオ「え、え!?帰っちゃうんすか?マジで?」
ツェッド「もう大丈夫でしょ。危機は去ったという事ですよ」
アーカード「クラウスウウウウ!!」
クラウス「アアアアアカアアアアドオオオオ」
メキッ
それから一時間ほど、殴りあいはつづいた。
今までの高まっていた緊張感が馬鹿馬鹿しいまでに単純な和解方法に俺とセラスさんは、呆れてしまった。
二人の間に何があってこう言う事になったのかは分からないけど、俺には分からない領域なんだろう。
そう言えば、アーカードって人が嬉しそうにこう言っていた。
「心底諦めの悪い目をした連中だった。やはり人間は各もこうあるべきだ。だからこそ、ちゃちな舞台でも面白く演じてみせる」
この災厄に愛され、神に見棄てられた箱庭、ヘルサレムズロットに住む僕らには絶望しか許されていないとして、何もそれをすんなりと受け入れる事はない。
僕らは、希望を求めて足掻いて良いんだ。
《諦めが人を殺す》と誰かが言っていたっけ
セラス「マスター、そう言えばどこにここに来る前にどこに行ってたんですか?」
アーカード「何も驚異は穴蔵の吸血鬼だけではない。私はその驚異を駆逐してきた」
セラス「驚異?」
アーカード「私はどこにでも居てどこにも居ない。いくらでも驚異なんてものは目に入る」
セラス「あ、消えた!また置いてかないでくださいよマスター!!」
―――――――――――
堕落王フェムト「でたらめだ……」
フェムト「こんな事が許されるのかね!?」
フェムト「ゲームというのは試行錯誤して攻略法を編み出すのが楽しいのだろう!それを易々とチートで片付けようなど言語道断だ!!」
フェムト「私の情報操作で引き寄せられた異国の勢力とライブラがぶつかり合って消耗したところを神性生物を召喚して大虐殺の大爆笑必死の計画が水の泡だ!」
フェムト「それがあんなチートによって容易く瓦解させられるなどまったくもってでたらめだよ!!」
フェムト「まるで一年以上経っても新刊を出さない漫画なみに笑えない……4巻はまだかね!?」
おわり
このSSまとめへのコメント
アーカード程度で血界の世界活躍できるわけねーだろ
設定無視も大概にしとけよな
どうやったら光速遥かに超えて攻防するような連中相手に
音速程度のヘルシングの面々が勝負になんだか