春香「乗ります！　乗ります！」

美希「ハニィイイイイイ！！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ!!

響「やれやれ、やっと助かるぞ……」


美希「あっ」ﾄﾞﾝｶﾞﾗｶﾞｯｼｬｰﾝ!!

響「ど、どうした美希！　何でもない所で転ぶなんて春香みたいだぞ！」

春香「……」

美希「ち、違うの、走ってたら床がなんかずれて……」

春香「えっ」

貴音「か、傾きが急速に……っ！！」


ギギギギギ、と船全体が不気味なきしみの音を立て、船尾が沈み、船首が上がる。


春香「な、何これ何これ！！」

あずさ「……ちっ」

スタッフ「このままでは……！　すいません！　出します！」

P「待ってくれ！　もう少し……――――あっ！」



春香「！！　ああっ！　ボートが！」

美希「そんなミキ達置いて行かれちゃったの……？」

響「ど、どんどん傾いてくるぞ！」

貴音「くっ……もはや立っていられません……」

春香(あっこの状況、タイタニックで見たことある)

春香(船尾が沈んで、船首が上になって、水面に対して船が垂直に立って……重さに耐えきれず、真ん中で船が真っ二つ)

春香「船首側か船尾側……いるならどっちが正解だっけ！？」

>>船尾

春香「タイタニックではどうなってたっけ……！！」ｽﾞｽﾞｽﾞ

あずさ「タイタニックは船首から沈んだんじゃなかった？　それで船尾が持ちあがって割れて。今回とはケースが逆よ」

春香「ええっ、じゃあじゃあ……っ！？」

春香「船尾側が正解だと、思う、うん！」

響「そうなのか！？　信じるぞ！」

貴音「この命預けます」

春香「お、重いよっ！　だってだって、船首は浮いた所から割れたら一気に落ちるんでしょ！？　だったら捕まってたらた叩きつけられることになるじゃない！」

美希「そうなの？　かな……？」

バキバキバキと凄まじい凶兆を孕んだ音が嵐の夜に響き渡る。
その音の出所は――船尾側響・貴音・あずさと、船首側春香・美希のちょうど中間だった。

響「わ、割れちゃう！！　こ、こっちに！　船尾側に滑って来るんだ！　春香！　美希！」

春香「う、受け止めてね！」

美希「い、いくよ！！」

>>7　船尾側に渡ることに成功？　失敗？

落ちるの恐怖症になったんで後5分たったら、サイコロで判定や

成功するが、春香失敗

美希「たーっ！　なの！」ｼｬｱｱｱ!

貴音「美希！」ｶﾞｼｯ!

美希「あ、ありがと貴音！　信じてたの！」

春香「なるほど、ああいう風にすれば……！」

春香「天海春香いっきまーっす！！」ｼｬｱｱｱ!

響「春香ー！」ﾊﾞｯ

あずさ「はるかちゃぁん！」ﾊﾞｯ

ひびあず「「あっ」」

ひびあず「「――」」ﾄﾞｳｿﾞﾄﾞｳｿﾞ

春香「タイミングが被ったからって譲り合わないでえええええええ！！！」ｼｬｱｱｱ!

美希「はるかーっ！！」

貴音「春香が遥か下に……っ」

春香「もー何でこうなるの！　何でこうなるの！　今回一番がんばってるのは私だよ！」

春香「強制脱出装置はもう使っちゃったし……！！　もーもー！」

春香「はっきり愚痴を言わせてもらえばヒロイン活動しんどいですっ！　諦めないけど！　落ちたって2回までなら耐えるけど！」

春香「……そうだ！　ほぼ垂直になってるんだから、壁になった床を蹴って、柱に掴まることができれば！」

春香「強運は要らないっ！！　起きて！　当たり前の平運！！」

春香「えーっい！！」


ガシッ！


春香「やたっ……！　掴まれた！　死なずにすんだ！！」

春香「ハアハア……『前』は……いや『上』はどうなって――」

春香「あっ、割れる」

悪魔的なほどに壊滅的な音を振りまきながら、船の胴にヒビが入っていく。

そして、決定的な瞬間が訪れた。

浮かび上がった船首部分が自らの重みに耐えかね、背骨をばきりと折った。
そして――船首部分は水面へと猛烈な速度で突っ込んでいき、辛うじて繋がるケーブル部分が、船尾部分を大きく引いて、再び水平へと戻す。



美希「きゃああああああ！！　たかねええ」ｷﾞｭｯ!

貴音「むぅうううううう！！　みきいいっ」ｷﾞｭｯ!

響「あずささああああん！！」ｷﾞｭｳ!

あずさ「ひびきちゃぁぁあああん！！」ｷﾞｭｳ!



春香「は、柱さん折れないでええええ！！」ｷﾞｭｰ!!

律子「――」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

千早「そんな……は、春香達は……！！」

伊織「ヘリ早く来なさい……！！！　嵐！？　関係無いわ！！　春香を！　美希を！　響を貴音をあずさを――助けなさいよォおお！！」

やよい「い、伊織ちゃん……！」



――

――――

ゴゴゴゴゴゴ！！！

響「こ、今度はなんだ！？」

美希「嫌な予感しかしないの……！！」

貴音「今度はいよいよ……この船尾部分が沈むのです！！」

響「――え」

美希「む、ムリなの……もう生き残れる気がしないの……」ｶﾀｶﾀ

響「うう……わー！！！　誰か助けてえええ！！」

美希「はにぃはにぃ」ｸﾞｽｯｸﾞｽｯ!

響「にぃに、にぃに……！」ｴｸﾞｴｸﾞ

あずさ「ご、ごめんなさい……みんなみんな私のせいだわ……」

貴音(あずさ……流石に酔いが醒めましたか……)

響「自分も悪いよ……人を助けるのに得意になっちゃって……それでこのざまなんだ……ハム蔵が頑なに乗船を拒んでたのに」

美希「もう謝られたって……しょうがないよ……！！　ミキ後悔してないんだもん！　あずさひとり見捨てて逃げるのなんて今の状況と同じぐらい嫌だったんだもん！」

あずさ「美希ちゃん、響ちゃん……ありがとう、ありがとう――！！」

貴音「まだ、諦めてはいけません！　水没までに空気を吸って息を止めて海に入るのです！」

あずさ「……そうやって自分で泳いでボートの救助を待つのね……」

響「ははっ、海荒れてるなー台風の時の故郷みたいだぞ」

美希「でも、やるしかないよね――」

貴音「はい。散っていった春香の為にも」



春香「ふぇーっくしょん！」

春香「だいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ」

春香「わたしはあいどるわたしはあいどるわたしはあいどる」

春香「あいどるはふめつ。あいどるはえいえん。あいどるはかわいいいこーるわたしはかわいいあまみはるか」

春香「じ、自己暗示はひとまずオーケー！」

春香「助かるためには――うん、浮き袋が欲しいね……！」

春香「なにか、何かない？　また傾いてきたから歩けるうちに取らないと……」

春香「あっ！　あれは>>25！？」

サメだーっ！

「＼「ザザザザヤアザザ」
"""""

春香「サメだーっ！！　ってまた！？」

春香「おかしいよおかしいよ！　今日の私の運おかしいよ！　色んな人を助けてきたのに！　なんでこの仕打ちなの！」

春香「神様ー！！　今ここチェック漏れてます！！　脚本のリテイクを要求しますっ！！」

春香「このまま落ちたらペロリン♪　って食べられちゃうじゃないですかー！！」

春香「な、なにかない……？　私の記憶の中でこの状況で役立つ知識が……！」

春香「――そういえば」


――――――――――――――――――――――――――

亜美「はるるーんイタズラグッズ分けてあげよっかー？」

真美「名前が似てるよしみであげるんだかんねっ！」

――――――――――――――――――――――――――

春香「ポケットに……あった！　亜美と真美からの>>30が！」

コンドーム

春香「これ……保健体育で配られて、要らなかったからだよね……」

春香「どうする？　どうやって利用しよう」

―――――――――――――――――――――――――――
ひびき「はるかー さめはきゅうかくが すごいんだぞー」

ひびき「だから ちのにおいにびんかんで ときにはちが ふちゃくしたなかまを おそうこともあるんだぞー」
―――――――――――――――――――――――――――

春香「すっごいうろ覚えだけど、こんなこと言ってたよね、響ちゃん」

春香「要するににおいが強い液体を入れればいいわけだよね、サメを惑わせるには」

春香「早く決断しないと……なにを入れよう。血か、それとも……――――>>35だ」

>>34

春香「はーっ」ﾔﾚﾔﾚ

春香「はいはい。わかりましたよ。やればいいんでしょやれば」

春香「私にこんな汚れ仕事ばっかりさせて楽しいのかな、神様は」

春香「まあ、合理的だよね！」

春香「春香さんは頭がいい！」

春香「春香さんは心がきれいっ！」

春香「春香さんはかわいい！」

春香「――」

ｺﾞｿ･･ｺﾞｿ･･

春香「はい、終わり」

春香「さあ、あとは――――あ」


傾き始めた船尾。遂に海に還る時が訪れた。

美希「わかるっ！　一気に沈むのっ！」

響「ふ、フリーフォールみたいなものさー」

貴音「――生き残りましょう」

あずさ「ええ……みんなに会えて、良かった」



春香「ちょっと待って待って！　浮き袋が！　――もう遅いね」



ゴ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　オ　　　！　　　！　　　！



半身を喰らわれ、しばし再び傾きを見せながら浮いていた船尾は、ついに微かな浮力を手放して、一気に嵐の海のあぎとに喰らいつくされた。

春香「ああああ！　もう！　サメめ！　遠い所にいっちゃえー！」ﾎﾟｰｲ!




美希「――あ！　美希のバックが宙に浮いてる……！！！　みんな！　捕まるの！！」




P「船が――――！！　春香たちがー！！！」




千早「春香あああああああああああああああああああああああっっ！！！」



午前２時６分。豪華客船『セイブザクギューン』は遂にその姿を消した。

2で書いたのはこのスレの>>1～>>4だけですよ

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…………………………

――――


あずさ「ぷはぁ！！　ハァ――は……っはぁっ！！」ｻﾞﾊﾟｧ!

響「あずささんっ！」ｶﾞｼｯ!

貴音「…………こふっ、みき、すこし、よってくださいますか、っこふ！」

美希「げほげほ！　っはあ！ ｯｸﾌ、うん……」

響「助かった。本当に助かったさ美希……ルイ・ヴィトンのバック今度自分も買うぞ……」

美希「あはは、こほ、そうするといいの……」


ｵｰｲ!! ｾｲｿﾞﾝｼｬﾊｲﾅｲｶｰ!!


あずさ「あ、助けが……」

――

――――

美希「これが、今回の豪華客船沈没事件のあらましなの」

美希「あの船はミキ達みんなの夢と希望を乗せて出発し――そして悪夢と絶望にまみれて沈んだの」

美希「でもあの嵐の夜にミキ達は色んな事を学べたって思う」

美希「この世界の不確かさとか、意味のない輝きとか。あるいは、友情と命の尊さとか」

美希「あの海に浮かぶ箱から運び出せたのは、それだけ」

美希「あったかもしれないロマンス。あってほしかったパラダイス。それらは欠片も海に浮かばなかった」

美希「虚像の輝きも、絢爛な価値も、すべては冷たい海の底――――なの」

救援ボート

美希「とか、どうかな律子……さん……？」

律子「なに言ってるの！　もう……！　私死んじゃったかと……！」ｸﾞｽｯｸﾞｽｯ

美希「きっとこの事件映画になるの……そしたらその映画の主演、ミキがやってもいいよー」

真(ミキのヤツ、ボクたちを安心させようとしてるな……)

伊織「ここまでのスキャンダル、水瀬財閥を崩壊させ得るかもしれない……か。ふん！　上等よ！　私がまた盛り立ててやるわ！」

貴音(――いい負けん気の強さです。はにぃさうんどの力でしょうか？)

やよい「春香さんはどこですか！？」

あずさ「それが……」

P「……！！！」

春香(――真っ暗)

春香(あんなに、海面は荒れていたのになぁ)

春香(中に入ると……こんなに静か)

春香(ふう)

春香(私がどこまで私なのかわからないや……)

春香(あはは)

春香(『天海春香が沈みゆく世界で見つからない』、だね。これ)

春香(トップになりたかったのに……ボトムへと向かいながら終わるのか……)

春香(この際今回の一連のドタバタの中で、MVPでも決めようかな)

春香(それはやっぱり――>>61だよね)

kskst

春香(それはもちろん、なぜか終始下半身丸出しだったプロデューサーさんだね！)

春香(最初にパートナーに選んだ時も、「一刻を争うんだ。このまま行こう」ってキリッとしながら言った時も)

春香(伊織を狙う暴徒たちに鉄拳制裁しようとして情けなくUターンした時も、雪歩が落としたロープをカッコ良く拾い上げた時も)

春香(ずーっと下半身丸出しだったプロデューサーさんが他の追随を許さずトップだよ！)

春香(ブラボープロデューサーさん！　ハラショープロデューサーさん！)

春香(ふー――)

春香(うん)



春香「いい加減にしてよオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！！！！！」

春香「なんで私じゃないのォオオオオオオオオオオ！！！？？？」

春香(私がんばったでしょ！？　最初にあずささんを探しに行かなきゃこの話ないんだよ！？　それがなんでMVPを露出狂に譲らなきゃならないの！！)

春香(馬鹿馬鹿しいよ！　もうやめた！　このまま消えてやるもんか！！)

春香(絶対みんなに私のこと認めさせてやる！！！)

春香(私はじめて本当のハングリー精神に目覚めたよ！)

春香「ゴプッ！！　グふふゥっ！！」

春香(生きようと思ったとたん、息が苦しい！　でも負けないよ！)

春香「ばけ゜る゜ぼん゜がぁ゜あ゜あ゜！！！」ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ


～♪


春香(……あれ、なんだろこれ、箱？)

春香(あ、掴んだら浮いていく――――)

――――

――


春香「ぶはああああっ！！」ﾊﾞｼｬｱｱ!!

春香「げぇほげほ！！　けほ！　えほ！」

春香「――はぁっ、水面に戻ってこれた……なんだろ、この箱？」

春香「ルイ・ヴィトンのロゴマーク…………あ、これ――――」


春香「ヴァイオリンケースだ」


春香「…………」

～♪

春香(どこからか、音楽が聞こえる……そうか、これ千早ちゃんといたあの人達の……)

春香「――――ありがとうございます。とってもとってもきれいな曲です」

春香「さあ、見つけてもらわないと……」

春香「愛ちゃんの技を借りて、と」

春香　　　「　　　ど　　　ー　　　ー　　　ー　　　ん　　　！　　　！　　！　　　」

春香　　　「　　　こ　　　こ　　　で　　　す　　　よ　　　ー　　　！　　　！　　　」


・


千早「！！　今春香の声が！」

小鳥「えっ？」

千早「春香は生きてます！　助けに向かって下さい！！　あっちです！！」

美希「――ミキ、死んでないって知ってたよ。今日はアイドルが死ぬ死ぬ詐欺をする日なの」

あずさ「ええ。あんないい子は死んじゃダメってちゃあんと決められているはずよ～」

春香「船は沈んだけど、私達の人生という海原はまだまだ広がっています！」

春香「そう、私達はまだ進み始めたばかりなんです！　この果てしないアイドル海を……！」

春香「最後ぐらいはメインヒロインとして締めますよ！」

春香「――ってあれは」



「＼「＼「＼「＼　　　「ザザザザヤアヤアザザザザザ」
""""""""""""""""""""


春香「」ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ





　

――
――――

ﾊﾙｶｰ!! ﾊﾙｶｻｰﾝ!! ﾊﾙｶｯ!!

ﾐﾝﾅｰ!! ﾀﾀﾞｲﾏ ﾓﾄﾞﾘﾏｼﾀｰｯ!!

・

・

・



追加パートナー：春香
スキル：お菓子作り・運命開き
アイテム：リボン
状態：最高に気力が充実




完！

ようやく、終わりです。間違いなく今までで一番手こずった安価スレだった
もうね発想が追いつかない。精進します

支援、安価ありがとうございました。セプテントリオンやり直してくる

上で言われてるがこの安価ってほぼ誘導だよね

分断したあともせっかく4人で力合わせて色々できたのに即春香視点で進めてるし

ステータスやパーティ要素あるのに本当に惜しいスレだった

乙

>>82　その通りです。ただ4人は助かるルートがなんとなく頭にできたのと、春香と4人の2パートするには気力が無かったのが本音

ただ誘導って言っても、今回は想定した安価が全然こなかったです