直井「765プロ?ふん、くだらない」(294)
直井「音無さーーん!」
直井「おかしいなぁ……どこに行ってしまったんだ?」ウロウロ
直井「せっかくあの忌々しい世界から復活してやっと忘れていた音無さんに会うことができたのに」
直井「全然恩返しできないままあの世界を旅立ってしまったからな……」
直井「一刻も早く連絡して合わないといけないのに……どうしたんだろうか」
社長「ティンときた!」
直井「な、なんですかあなたは」
社長「私はこういうものだ」
直井「名刺……。765プロ……?なんですかこれは」
社長「アイドル事務所だよ。君、そこでプロデューサーをやってみないか?」
直井「は、はぁ?」
直井「だから、なんだというのだ……。僕は忙しいんで、それでは」
社長「ちょ、ちょっと待ってくれよ。君、確か誰かを探してると言ったね?」
直井「……?音無さんだが……」
社長「その人ならうちの事務所に今いるよ!来てくれたまえ!」グイ
直井「わっ、ちょっと待ってください!やめてくださいよ!」
……
直井「…………」
小鳥「ピヨ……?」
社長「彼女が音無小鳥くんだ」
直井「貴様……僕を馬鹿にしてるのか!?」
小鳥(何かしらこの娘……ハッ、なんだか創作意欲が湧いてきた!」
直井「この女のどこが音無さんなんだ!全能なる音無さんに対して失礼だぞ!」
直井「おい、貴様ァ!改名しろ!」
小鳥「ピヨ!?ど、どうして私がそこまで言われなくちゃ……」
社長「ああ、音無くん、彼が新しいプロデューサーだよ」
小鳥「か、彼が!?お、男の娘!!」ムフフ
直井「な、なんだその目は……気色悪い……」
直井「というかどうして僕がプロデューサーになる前提で話が進んでるんですか!!」
直井「僕は忙しいんですよ!」
直井「失礼します」スタスタ
春香「おはようございます~」ガチャ
春香「……?お、おはようございま……す?」
社長「ああ、春香くん!彼が新しいプロデューサーだよ!!」
直井「なっ、だから違うと」
春香「本当ですか!!?」
千早「新しいプロデューサー?」
真「だれだれ!」
社長「おお、みんな一緒だったのか」
直井「ま、待ってください……僕は帰りたいのに……」
千早「若い……ですよね?」
春香「でも律子さんも19とかだよ?」
真「若手の敏腕プロデューサーかぁ~~!いいねー!」
直井「なっ、ぐぐぐ……」
prrrrr……
直井「ん……?音無さんだ!もしもし!」
音無「おお、もしもし?直井か!悪いな、実はさ、お前との待ち合わせの道中で奏と会ってさ。
あの世界からこっちに来て初めて会った最初はわかんなかったけど……」
直井「へ?」
音無「だから、ちょっとお前との遊びはまた今度でいいか?」
直井「いや、まぁ、会ってくれるのであれば僕はいいのですが……そうじゃなくて聞いてくださいよ音無さん!」
直井「かくかくしかじか……という訳で変なアイドル事務所のプロデューサーをやらされそうになってるんですよ!」
音無「あー……。うーん。……。……いいんじゃねーの?」
直井「……はい?」
音無「生徒会頑張ってたんだしいっちょやってやればいいじゃん。応援してるぜ!」
直井「あ、あの……引き止めてはくれないのですか?」
音無「あ、ん?あぁ、これか?直井だよ直井。ははは、奏は相変わらずだなぁ!ん?
直井?なんか言ったか?じゃあがんばれよ!期待してっから!」ブチ ツーツー
直井「……」
直井「……」
社長「聞こえていたぞー」ニヤニヤ
社長「さ、今のボーッとしてるうちに判子を押させよう音無くん!」
小鳥「はい、社長!朱肉です」
直井(待て、落ち着くんだ直井文人……。僕は神だぞ?
神である僕がこのアイドル達自体速攻でいっちょ前にしてやることなど朝飯前なんだ)
直井(だが、どうしてそれを僕がやるんだ?非常に面倒くさい……)
小鳥「はい、ここに指をグーッと」
直井(しかし、ここで成功すれば音無さんもきっと認めてくれるはず……)
社長「契約書、ゲーーッチュ」ググ
直井「おい、貴様ら!さっきから何をしているんだ!」
小鳥「ご契約ありがとうございます」ニコ
直井「なっ……ぐぐぐ……おのれ!!この女!」
小鳥「これでもうやるしかないみたいですね」
直井「……はぁ……もういいですよ。好きにしてください……」
直井(しかし、これで音無さんにアピールできるチャンス!!)
律子「おはようございます~」
直井「それにしても小汚い事務所だな……おい、そこの使用人。掃除でもしてろ」
律子「は、はぁ!!?なんですか社長!この子は!」
社長「新しいプロデューサーだよ律子くん!」
律子「え、えぇ……」
直井「ふん、まぁ、腹を据えた身だ。よろしく頼む」
律子「何、その態度は!」
直井「はぁ?なんだ貴様……神であるこの僕に説教でもするつもりか?愚かしい……」
伊織「なんだかとんでもないのを連れてきたみたいね社長は……」
直井「ん?おい、なんだそのガキは……。貴様は会社に自分のガキを連れてくるのか?」
直井「常識がなっていないな……これだから弱小事務所はだな……」
律子「わ、私はまだ19で子供も彼氏もいません!一応あなたよりも先輩ですからね!?」
直井(なんかどうでもいい情報が混ざったな)
小鳥「そんなぁ!私だって彼氏いません!」チラチラ
直井(もっとどうでもいいのがこっちを見ている……)
直井「まぁ、先輩だからってそんなものはどうでもいい。
神であるこの僕の前でそんなものは意味を持たない」
伊織「あんたこそ常識がなってないんじゃないの?自己紹介もできないわけ?」
直井「貴様は神であるこの僕に名乗れとでも言うのか!?」
伊織「そう言ってるのよ!」
やよい「伊織ちゃん?どうしたんですかー?」
直井「ん?」
やよい「わっ、あー、えっと……こ、こんにちわ!」
直井「……。変わった挨拶の姿勢だな……だが、今後は僕の前は永遠とその姿勢でいるんだな」
やよい「……うぅー……ごめんなさい」
伊織「やよい!こんな変な奴の言うことなんて何も聞かなくていいのよ!」
直井「誰が変な奴だデコすけ!」
伊織「言ったわね!このもやし男!」
やよい「伊織ちゃん……もやしは馬鹿にしちゃだめですよ?」
直井「ふん、もやしなんて庶民が這いつくばって喰ってるものだろう?
一緒にされては困るな」
やよい「もやし、馬鹿にしたら、めっ!ですよ!!」
律子「ちょっと、いい加減やめなさいよ!」
律子「あとでみんな呼んでまとめて挨拶させますからそれまで奥の部屋で待っててください!」
……
律子「えー、というわけでこれからみんなをプロデュースするプロデューサーの
直井文人くんです」
直井「まぁ、やるからにはトップを目指したいと思う」
ザワザワザワ
春香「なんかすごい人が来たね」
千早「ちょっと態度が気になるけれど……あれで仕事取ってこれるのかしら?」
美希「確かに……あれじゃ絶対無理だなーってミキ思うな」
直井「何か文句があるなら堂々と言ってもいいんだぞ。そこ」
千早「……」
直井「ったく……なんなんだこいつらは。音無さんがああやって言わなければ……」
直井「どうして僕はこんなことを……」
直井「しかし、ここで音無さんの期待以上に成功すれば……きっと僕も音無さんにまた……」
小鳥「あ、あの……プロデューサーさん……聞こえてますよ?///」
直井「はぁ?」
小鳥「わ、私のためだなんて……そんな私とプロデューサーさんはさっき会ったばかりなのに///」
直井(何を言ってるんだこいつは……)
小鳥(これはプロデューサーさんと結婚ルートしか残ってないわ!)
直井「所で貴様はアイドルじゃないんだな」
小鳥「あ、いえ、私はここの事務担当なんで……」
小鳥(私が可愛いからアイドルでもいけるってことを言ってるのかしら?)
小鳥(もしかして……私……キテる!?)
直井「なぜ……ニヤニヤしてるんだ」
直井「はっ!!」
直井「ばっ、貴様!何を勘違いしてるか知らんが決して貴様のためではないぞ!」
小鳥「やだ、もう照れなくてもいいのに……」
のワの「へー、そういう関係だったんだー」
美希「すでに小鳥を落としてるなんて……なかなかやるの、プロデューサー」
直井「なっ、断じて違うぞ!!」
直井「全く、訳がわかならいよ」
直井(なんか知らんが……無駄に連中の評価が上がったな)
直井(しかし、まぁそれも微量だから放っておいてもいいか)
伊織「ま、まぁ誰かのためにやってるならちゃんと頑張りなさいよね!」
直井(さっきまで突っかかってきたこのデコ女もこの変貌だ)
直井(一体何が……)
貴音「あの……」
直井「なんだ?」
貴音「ぷろでゅうさぁはわたくし達とあまり年齢が変わらないとお見受けするのですが」
直井「……。僕はこれでも18だが」
貴音「わたくしも18です」
直井「だから……なんだと……」
真美「えっ、そうなの!?」
亜美「ええー!なんか兄ちゃん強面だからわかんなかったよ」
直井「僕が強面……?」
千早「態度が大きいからそう見えるのかも……」
直井「なっ、なに!?」
真「でも、ちょっと嬉しそうだったね」
直井「うるさい男女!」
真「ひどい!!」
雪歩「私は女の子かと思ってた……」
直井「なっ!!なんだと貴様ぁ!!」
雪歩「ひぃい!ごめんなさいぃぃ」
響「あー、自分もなんか引っかかると思ってたけどやっぱりそれだったのかー」
春香「あぁー、確かに……」
直井「何を言ってるんだ貴様ら!僕は男だぞ!侮辱するのもいい加減にしろ!」
あずさ「まぁまぁプロデューサーさん」
直井「僕に触れるな!」バッ ボイーーン
あずさ「きゃっ!」
真美「あーーー!兄ちゃんあずさ姉ちゃんのおっぱい触った!!」
亜美「あーーー!パイタッチしたーーー!」
直井「なっ、ち、ちが、今のは!」
直井「くっ……なんて屈辱なんだ……!!」
伊織「ニヒヒ、いい気味ね」
直井「くそ……僕は……僕は……
前世は陶芸家の息子で現世は豆腐屋の息子なんだぞぉーー!!」
「……」「……」「……」
春香「そ、そうなんだ……」
雪歩「へ、へぇー……」
伊織「私は水瀬財閥の娘だけど……何か?」ニヤニヤ
あずさ「あ、あの……私は気にしてませんから」
直井(あまつさえ気を使ってもらうとは……ぐぬぬ)
直井「す、すまなかった……不可抗力とは言え、以後……気をつけよう」プルプル
伊織(人に頭下げるのが相当苦手なようね……)
律子(そんなんで大丈夫なの?)
あずさ「いえいえ……でも、今度やったら~、めっ!ですよ?」ニコ
直井「は、はぁ……」
直井(やっぱり僕を馬鹿にしてるのか?)
亜美「ねえねえ兄ちゃんはどこから来たの!?」
真美「学校行ってないの!?不登校なの!?」
直井「違う!寄るなガキども!高校は……この間卒業式をしたばかりだ……」
直井(五人だけだったが……嘘はついていない)
響「自分だって年齢対して変わらないのにね……」
直井「う、うるさい!」
春香「ねえねえ直井くん」
直井「きゅ、急に馴れ馴れしくなったな!?神である僕を馬鹿にしてるのか?」
春香「その神であるー、とかってやめたら?」
直井「なぁぁぁああ!?」ガーーーン
直井(こ、これはあれだ。所謂キモい……というやつなのか?この僕が……?)
直井(そ、そんな馬鹿な……。しかし、あそこの連中が言うキモいとこの女が言うキモいの
破壊力の違いたるやいなや……)
直井(だ、だが、神であるこの僕がキモい訳が……はっ、これが、この思考がいけないのか!?)
直井(じ、地味にくるな……。よし、やめよう)
直井「わかった、もうそれは控えるようにしよう……」
響「急に素直になったぞ……」
春香「えへへー、お近づきの印に私の焼いたクッキーどうぞ?」
直井(貢物か……。神の扱いをわかってきたようだな……おっと、いかんいかん)
直井「い、いただくとしよう……」
直井(どうもこの女は苦手だな……)
直井「……」パクッ モグモグ
直井「む、普通に美味い……。貴様の特技はよくわかった気がする」
直井(ただ少し地味なだけではないんだな)
春香「えへへー。これから宜しくお願いしますね!」
直井「あ、ああ……」
千早「あの……さっきから貴様貴様って……」
直井「なんだ?何か文句があるのか?」
直井「お前……」
千早「……?だからそういう呼び方は……」
直井(この目……僕は知っている。この目を何度もあの世界で見てきた)
直井(奴らが抱えていたもの。僕が抱えていたもの)
直井(何度も見てきた……)
直井(音無さんならどうするだろうか……)
直井(いや、各言う音無さんだって記億が戻ってすぐは同じ目をしていた)
直井(しかし、このタイプの女は実に厄介だぞ……)
直井(あっちの脳天気乳女のように大人しくしていて欲しいのだが……)チラッ
あずさ「……?」
直井(そうだ……。音無さんはみんなをどうにかしようとしてきた)
直井(だったら僕だって……この女くらいは!)
直井「おい」
千早「はい……?」
直井「少し、来い」
千早「え?は、はぁ……」
真美「おやおや?ピヨちゃんを置いて早くも浮気かなー?」ニヤニヤ
亜美「修羅場の予感ですな真美隊員!」ニヤニヤ
……
……会議室……
千早「あ、あの……なんでしょうか?」
直井(もし、この女があの世界にいるなら
音無さんは平等にこの女も成仏させてやったに違いない!)
直井「お前、いや、名前は?」
千早「如月千早です」
直井「そうか、如月。お前、一体何を抱え込んでいるんだ……」
千早「なっ……」ピク
直井(やはりそうか)
直井「僕は貴様の抱えたものを解消してやりたいんだ」
千早「なっ、なんで……急に……」
直井(最も、この女がトップアイドルになるためには
その重荷を取っ払うことが必ずどこかで必要になるはずだ)
直井「親兄弟、家族親戚、親しい仲の友人が死んでないか?」
千早「!!!……く……」ギリリ
千早(なんなのこの人……私と目と目が会った瞬間、全部悟ったと言うの!?)
千早(やはり……只者ではないのかしら……?)
千早(え?あれ……おかしいなさっきまでここにいたのは……)
千早「……優?」
直井「ん?え?な、なんだって?」
直井(まずい、この女!トランスしだした!)
直井(現実逃避からの死はあの世界行き、決定の要素満載じゃないか!)
直井「お、おい!いいか僕は貴様の兄なのか?弟なのか?じゃあ、ないぞ!?」
千早「はっ、え?す、すみませんプロデューサー」ポロポロ
直井「な、泣くな!」
千早「死んだ弟を思い出して……」
直井「その弟と僕が似てるとでも言うのか!?」
千早「……優?」
直井「違う!!!僕は直井文人だ!!その優という奴ではない!他の誰でもない!!!」
千早「ひっ」ビクゥ
直井「あっ、す、すまん……。
僕は……過去のトラウマから他人と一緒くたにされるのが嫌いで」
直井「あいつに似てるとか……そういうのは本当に嫌なんだ」
直井「僕は僕でしかない。兄とは違うんだ……」
千早「お兄さん……?」
直井「いや、すまん。こっちの話だ」
直井「とにかく、その、貴様の弟ではないからな……」
千早「す、すみませんでした……」
直井「まぁ、……怒鳴って悪かったな……」
千早「あ、あの……」
直井「なんだ?」
千早「何かあったらお姉ちゃんを頼ってもいいんだよ?」ニコ
直井(全然わかってないだと!?そして急にお姉ちゃんキャラになりだした!)
直井(訳がわからない!)
直井「あのな……いいか、貴様」
千早「こら、お姉ちゃん、でしょ?」
直井「ぐぬぬぬ……」
直井(いや、こいつの過去はコレ以上掘り下げない方がいいのか?)
直井(僕が我慢しよう……それでことは足りるんだ)
千早「ふふ、良い子良い子」ナデナデ
直井「やめんか!!もういい……戻るぞ」
千早「はい」スッ
直井「誰が手なんか繋ぐか!アホか!」
……
春香「あ、戻ってきた」
美希「なんて千早さんあんなに嬉しそうなの?」
春香「あんなに笑顔の千早ちゃん久しぶりに見た……」
真美「兄ちゃん……何したの?」
亜美「まさか……」
直井「僕だってわからん……そんな目で見るな!」
直井「ん……?貴様はそこで何をしてるんだ?」
雪歩「ひっ……あ、あの……はぅ……」
直井「ん?」
雪歩「あ、私……男性が苦手で……」
直井「はぁ?貴様……それでアイドルをやっていくつもりだったのか?」
直井「馬鹿馬鹿しいにも程があるな……」
直井「貴様には向いてないな。とっとと辞めてしまえ」
雪歩「うぅ……そうですよね……」シュン
真「ちょっと直井!雪歩が可哀想じゃないか!」
直井「呼び捨て!?貴様……僕を馬鹿にしてるのか!?」
直井「いいか、貴様らにこれから仕事を持ってくるのはこの僕だぞ!!」
真「これからの話でしょ?」
直井「ぐっ、仕事が欲しかったら偉そうな態度を……ん?」
響「偉そうなのも自分じゃん……」
雪歩「私なんてダメダメで……もう……穴を掘って埋まってますぅ!!」
直井「なっ!?何をしているんだ貴様!?」
真「あーあ……」
直井「見てないで止めないのか貴様!!」
真「雪歩をあそこまで追い詰めたのは直井じゃん」
直井「ぐっ、おい、萩原!」
雪歩「来ないでくださいぃぃい」ザックザックザック
直井「くそ、この女も難有りなのか……」
雪歩「うぅぅ……」
直井「と、とにかく一旦そこから出てきてくれないか」
雪歩「は、はいぃ」
……
……会議室……
直井(どうやら難有りの女はこの会議室で面談をした方がよさそうだな)
直井「なるほど……穴掘り癖か……」
雪歩「はい……」
直井「しかし、貴様同学年であるこの僕も同じような扱いではな……」
雪歩「うぅ……」
直井「貴様、学校ではどうしてるんだ?」
雪歩「女子高ですぅ」
直井「まぁ、男が苦手ならそれはそうだよな」
直井「小学生の頃とかから男が苦手なのか?」
雪歩「苦手です」
直井「はぁ……音無さん……僕はどうしたらいいんですか。完全に行き詰ってしまった」
直井「まぁ、とにかく僕と会話できるぐらいにはなってもらわないといけないですね」
雪歩「……」ジー
直井「な、なんだ……?」
雪歩「本当に綺麗な顔立ちしてますよね、プロデューサー……」
直井「は、はぁ?」
雪歩「わ、わかりました!!小鳥さーん!」
小鳥「私はここよ!」ガチャ
直井「馬鹿な!掃除用具入れにいただと!?」
雪歩「小鳥さん実はこうすれば……プロデューサーとも……」ゴニョゴニョ
小鳥「なるほど!!任せて!!」
直井「な、なんなんだ貴様ら!」
小鳥「ちょっと来て!」グイイイ
直井「なっ、どこに連れて行く気だ……離さんか貴様!!」
直井「助けてください、音無さーーーん!!」
小鳥「お安い御用よ!!」
直井「だから貴様のことじゃないと何度言ったら!」
……10分後……
……
春香「か、可愛い……」
貴音「なんと……面妖な!」
響「ど、どうしよう……自分、負けてる気がするぞ……」
真美「ま、まさか兄ちゃんがお姉ちゃんになるなんて……」
亜美「亜美、びっくりだよ」
千早「お姉ちゃんもびっくり……」
律子「私はあんたの発言にびっくりだわ」
直井「ど、どうして僕が……女装なんかしなくちゃいけないんだ……」プルプル
直井(やっぱりこいつらは僕のことを馬鹿にしてる!!)
雪歩「これでプロデューサーが女の子にしか見えないから私も普通にお話できます!」
真「なるほど!考えたね雪歩!」
小鳥「最高よ!こっち向いてダーリン!」パシャパシャ
律子「いつの間にダーリンに昇格したんだろう……」
伊織「あ、案外、いけるんじゃない……///」
あずさ「まぁ、とっても素敵よ」
やよい「プロデューサー可愛いですよ!」
雪歩「これで私もトラウマの克服に」
直井「なるかああああああああ!!」
雪歩「ご、ごめんなさいぃぃいい……」
直井「ハァ……ったく。しかし、まだ僕を他人扱いする奴よりましかもしれん」チラッ
千早「?」ニコニコ
貴音「しかし、貴方様から感じるただならぬオーラ……貴方様は一体……」
直井「……!」ゾクッ
直井(な、なんだこの女……)
直井(全てを完璧にこなしかねないあの生徒会長のような……同じような匂いがする)
直井(この女も非常に厄介だな……)
直井「お前も少し面談室行きだ。来い」
貴音「は、はぁ……」
千早「お姉ちゃんに内緒のお話するの?」
直井「だーっ!付き纏うな鬱陶しい!」
千早「うぅ……」ボロボロ
直井(号泣しだした!?
ぐっ、あのまま全て見透かした死んだような目をした状態のが良かったのかもしれん)
直井(話が進まんからこいつはここは無視しよう)
直井「天海、すまんが……ちょっとそいつを頼む」
直井「俺はこいつに話がある」
春香「は、はい……」
春香(千早ちゃんどうしちゃったんだろう……)
……会議室……
貴音「あの、貴方様のお話の前に少々お伺いしたいことが……」
直井「……?なんだ?」
貴音「貴方様は……一度、死んでいますよね?」
直井「ぐっ……」
直井(まるでさっきの如月のような気分だ!!)
直井(何者なんだこの女は!!)
貴音「しかし、何か事情があるのですね」
直井「あぁ……事情だらけだ」
直井「まぁ、僕の話もそのことに関することなのでね」
直井「先に言うが詳しいことは話せないんだ」
貴音「はい、人には話せないことはあって当然ですから」
直井「いや、そうじゃないんだ……記億がないんだ」
直井「断片的にしか記億がなくてな」
貴音「どういう……ことでしょうか?」
直井「僕は確かに一回死んだ」
直井「だが、その後、死後の世界に迷い込み、そこで生前成し得なかったことを成し遂げ
見事に成仏させてもらったんだ」
直井「そして生まれ変わって今に至る」
直井「全ての記億が断片的にしかないために死後の世界にいた友人など
思い出せている奴もいればそうじゃない奴もいる」
貴音「なるほど……その伝説は本当だったのですね……」
直井「伝説?」
貴音「はい……。死後の世界が存在するということです」
直井(何か違う方向に行きだしたな……)
貴音「やはり、そこは天国なのでしょうか……」
直井「いや、学校だったが?」
貴音「なんと!面妖ですね!」
直井(何を言ってるんだこいつは……)
直井「いや、それよりも……そんな話を聞いて……僕のことを馬鹿だとか思わないのか?」
貴音「いえ、思いません。夢があっていいではないですか。ふふふ」
直井(もしかしてずっと馬鹿にされていたのか!!?)
直井(やられた!!全て悟ってます的なオーラだしときやがって!)
直井(素直に話さなければ良かった!屈辱的だ!実に屈辱的だ!)
直井「ゴホン、で、貴様は何故アイドルをやろうと思ったんだ?」
貴音「私ですか?」
直井(他にいないだろ)
貴音「ふふ、トップシークレットです」ニコ
直井(このアマぁぁぁぁああ!!)
直井(なんだこいつ!僕にだけ恥をかかせておいて自分への質問は華麗にスルーだと!?)
直井(やっぱり僕は馬鹿にされてるんだな!?)
直井「はぁ……答えたくないようならここで面談はお終いだ……」
貴音(どうしてあんなに苛立っているのでしょうか?)
貴音(わたくしは何も裏だてなく本心で言ってるのに……)
直井(この女……ニヤニヤして内心じゃ僕のことを馬鹿に……!くそ!)
貴音(もしや、見事なすれ違いをしてるのでは……??)
直井「ったく……どいつもこいつも……ん?あの女は僕が最初に挨拶した時ぐらいから
あそこで寝ているよな……」
美希「Zzz……」
春香「ああ、美希はよく寝てるんですよ……」
千早「お姉ちゃんも彼女には困ってるのよ」スリスリ
直井「ええい!ベタベタするな!貴様は学習せんのか!」
千早「どうしよう春香……文人が不良になっちゃった」シクシク
春香「う、うん……」
直井(さりげなく下の名前になってる!?
しかし、僕に対する弟という認識だけは変わらないのか!?)
直井(実の弟に失礼だろ!こればかりは許せん。僕がどんな思いで死んだ兄の代わりをしたか……)
…………
直井「 マジ説教中 」
…………
千早「………………」ズーン
春香「さっきまでの千早ちゃんが嘘のように!?」
直井「はぁ……本当に疲れる場所だ。ここは」
直井「さて、本題に入ろうか。おい、そこの金髪!」
美希「Zzz……」
直井「」イラッ
直井「いいからさっさと起きろ」ゲシッ
美希「!?な、何!?なになに!?何がおきたの!?」ガバッ
直井「お前に少し話がある」
美希「ふーん、そうなんだ。美希はないの。おやすみ」ドサッ
直井(ふっ、落ち着け直井文人……。このくらいで怒るほど僕は愚かじゃない)
直井「ふっ、ふふふふふ……」プルプル
真美「あばばばば、兄ちゃんがミキミキの寝てるとこ見てめっちゃ笑ってるよ!?」
亜美「真美、きっとあれは喜んでるんだよ!!」
直井「さっさと起きろ!!」ゲシッ ゲシッ ゲシッ
美希「きゃあ!!いたっ!いた!やめてよ!!」
直井「こっちに来い、星井!」
美希「ひ、人さらいなのーーー!」
真美「あ、亜美隊員!兄ちゃんが乱暴にミキミキ連れてっちゃったよ!!」
亜美「こ、これがDVって奴なの!?」
……会議室……
直井(ようやく目が覚めてきたようだな)
直井「あー、質問がある。お前はこの社内データによるとだいぶ遅刻が多いようだが」
美希「それは仕方がないって思うな」
直井「はぁ?何故だ」
美希「だって、行きたくないんだもん」
直井(何言ってんだこいつ。馬鹿か?)
直井「じゃあアイドルなんかやめてしまえばいい」
美希「美希も、もうつまんないからそうしたんだけど律子、さんがどうしてもっていうから……」
直井「確かに無理矢理やらされるものほどやる気がでないものはないな」
直井「それは非常にわかる」
直井(かつて僕も出来のいい兄の代わりとして陶芸をやらされたからな……)
美希「でしょ?だから美希は……」
直井「だが、お前はそこで終わるんだぞ。辞めてしまったら」
直井「では貴様、逆に聞くが今まで楽しかった仕事はなんだ?」
美希「そ、それは……わ、わかんないよ」
美希「ミキ、まだそう言う仕事に出会ったことないから……」
直井「その出会った事もない楽しそうな仕事……どんなものだか想像がつくか?」
直井(音無さんがガルデモの岩……なんとかの話を聞いたのを思い出した)
直井(ライブでたくさんの人が聞いてる中で歌うのは最高だって)
直井(だが、所詮はこの事務所は弱小。そんな経験ないのだろう……)
美希「ミキ、ちょっとだけ想像つくよ……」
美希「ミキこのことをね、たくさんの人が見てくれて、キラキラのステージで
歌って踊って楽しく過ごすの!」
直井(やっぱりこいつもこういう時だけ目の色を変えやがる……)
直井「そうか、それだけわかれば十分だろ。そのステージに立ちたいと思うか?」
直井(そうだな、音無さんならこうやってけしかけてくれるはずさ)
美希「そりゃ……立てるなら立ちたいけど……」
直井「ふん、まぁ、この僕にかかればそれくらいなんとかしてやらんでもないがな」
美希「本当に!?」
直井「ただし、貴様、遅刻やサボりを今後一切無くせ、それができないようなら
ステージはないと思え」
美希「うん、わかった!!」
直井「それまでは精々そのステージがどんなもんなのか夢を膨らませることだな」
美希「わかったのー!」
直井(なんとかなったか……?)
直井「全くどうして僕が……」
伊織「中々様になってるじゃない」
直井「あぁ?」
直井「貴様の話は聞いてやらんぞ」
伊織「どうしてよ!」
直井「生意気だからだ」
伊織「はぁ!?」
直井「ふん、聞いてほしかったら土下座でもするんだな」
伊織「……ぐぐぐぐ」プルプル
伊織「うぅ……」ポロポロ
直井「なっ!!?」ビクゥッ
直井(しまった!やりすぎたか!?)
直井(今のはマジで聞いて欲しかったタイミングなのか!?難しすぎるだろ、ふざけんな!)
「……」 「……」 「……」
直井(ま、まずい、事務所中からあふれるこの敵視……)
やよい「伊織ちゃん、大丈夫!?ちょっと!プロデューサー!?」プンスカ
直井「は、はい」
直井(この後、この貧乏臭いガキにマジ説教をくらいました)
……会議室……
直井「ゴホン、あー、そのなんだ……。さっきは悪かった」
伊織「もう……いいわよ……」
直井「あー、ぜひ、伊織ちゃんの話を聞かせて欲しいんだがー……」
伊織「……!」ピク
伊織「今なんて?」
直井「はぁ?」
伊織「今、なんて言ったのよ!」
直井「話を聞かせてくれって」
伊織「ちゃんと全部言いなさいよ」
直井「伊織ちゃんの話を聞かせて欲しいんだが……」
伊織(い、伊織ちゃん……)ドキドキ
直井(なんでこいつ顔赤いんだ?ああ、そっか。泣いたからか)
伊織「私はだから兄様達を見返したいのよ」
直井(なんだその理由は……勝手に頑張れよ)
直井「へー、そっか」
伊織「も、もう!どうして冷たいのよ!」
直井「くだらないからに決まってるだろ」
伊織「なぁぁぁああ!」ガーーーン
直井「とりあえずこいつをプロデュースする選択はないな……」
直井「残念だがな……」
直井「さて、結局の所、僕は誰かをプロデュースしなくてはいけないみたいだ」
直井「面談をした中で決めたいものだ……」
亜美「ねえねえ兄ちゃん兄ちゃん、亜美達は?」
真美「まだしてないよ?」
直井「ガキは無条件で却下だ」
亜美「そんなーーー!意地悪ーー!」
直井「まとわりつくな!!鬱陶しい!」
響「………………」
春香「………………」
やよい「……?どうしたんですか二人共」
響「ううん……なんでもないさー」
春香「うん、大丈夫。大丈夫だよ」
春香(私のお近づきの印とは一体……)
響(自分って一体……)
やよい(二人がすごく落ち込んでます……!!)オロオロ
この後の展開として考えてるのが
1:千早のお姉ちゃんルート
2:雪歩との女装ルート
3:貴音との面妖勘違いルート
4:美希とのスター街道まっしぐらルート
7時まで寝かせてください。頭痛い。
保守のついでにどれが見たいか適当に投票してくれ。
律子「で、プロデューサーは決まったんですか?プロデュースする人物は」
直井「はぁ?もちろんだ。中でもいろいろ問題のあったと思う奴にする」
貴音「わたくしですか?」
直井「ああ、貴様をこの僕がトップにまでいっきに駆け上がらせてみせるからな」
貴音「ふふ、承知いたしました。楽しみにしておきますね」
直井(やはり僕の発言は軽口としてスルーされているのだろうか……)
直井(だとしたら少し凹むのだが……)
直井(まぁ、いい。すぐに実力を分からせてやろう)
千早「どうしてお姉ちゃんじゃないの?」メソメソ
美希(さっきのミキとの話は一体なんだったのか……)
直井(……。若干反感を買うことになってしまったのは致し方ないな)
貴音(何故わたくしが選ばれたのでしょうか?)
直井「……みたいな顔してやがるな。それは貴様が僕の秘密を知っているからだ」
貴音「秘密……。ああ、死後の世界の……」
直井「そのことはいいか?他言無用だぞ」
貴音「ええ、わかったます」
直井(だから何故そんな全て悟ってます的な表情するんだこの女は)
直井(まるでこのあとに「恥ずかしくて言えないですよ(笑)」とかつくかと思うだろうが)
直井「まぁ、とりあえずだな……今日はまだ幸い夕方だ」
直井「夜はレッスンをしておけ」
直井「己の鍛錬を欠かすんじゃないぞ」
貴音「わかりました」
直井「一方僕はと言えば……」
直井(まずはこれから作詞作曲をどうするか……)
直井(いい曲を作らないと……まずは売れない)
直井(しかし曲を重視した場合、一発屋になる可能性が高い)
直井(曲か……。奴らに頼んでみるか……)
直井(いやいや、僕が頭を下げるのか?)
直井(お願いだ。今僕はアイドルをプロデュースしているんだが、
そいつのために曲を書いてくれないか、と?)
直井(しかし、他に当ても僕にはない……)
律子「あ、まずはCDを出さずにでもどんどん彼女自体を売りだしていくのがいいと思いますよ」
直井(頼んでもないのにヒントを与えるとは……)
直井「なるほど……。では、まずはCDを置いてくれるようにCD屋にでも売りだすか?」
直井「なんかのキャンペーンガールのモデルなんか募集していたらそれでもいいのだが……」
律子「うんうん、その粋ですよプロデューサーさん」
直井「ふん、初めて貴様という存在が役に立ったな。礼を言おう」
直井「さて、では奴らがレッスンに言ってる間に僕はさっそく向かおう」
律子「どこへ行くんですか?」
直井「仕事というのは直接頼み込むものだ」
直井「陶芸が欲しいとか飾りたいと言う奴は電話では来ない。
豆腐を欲しいという奴は電話では来ない」
直井「そういうことだ」
律子「へー、なるほど……。アグレッシブですね!私も見習わなくちゃ!」
直井「では言ってくる」
直井(最も僕の場合は催眠術でなんとかしてしまうのだがな)
直井(そのためには直接会わないことにはどうしようもない)
……
直井(うむ、結果から言えばもちろん成功した)
直井(催眠術も現役で使えていたから良かった)
直井(しかし、どうやら効果は薄いようで……少し考え物だったな)
直井(前みたいにあんな風に完全に操れるものではなくなってしまった)
直井(なので、とりあえずは小さなCD屋ではあるが全国にチェーン展開している所の
一店舗の一日店長兼CD手売り販売が許されることとなった)
直井(しかし、そこまでには時間がある。なので僕はその足で岩沢まさみの自宅へ向かった)
直井(もちろん狙いは作詞作曲の依頼だ)
直井(岩沢はたまたま家にいた)
岩沢「へぇ、それであたしを訪ねてきたって?」
直井「ああ、そうだ。恥を偲んで頼んでいる」
岩沢「悪いけどそりゃ無理な相談だ」
岩沢「だが、いい奴を紹介してやるよ」
直井「……?」
岩沢「脳内お花畑な元ガルデモ天才ドラマーが私の真似事で一度作詞作曲してきたことがあるんだ」
直井「ドラム……?」
直井(顔が出てこない……。金髪の方か?青のほうか?)
直井「そうか……。すまないな。
こっちがそれなりに売れてきて力相応になったらまた頼みにくるかもしれん」
岩沢「ああ。……あんた、随分丸くなったんじゃない?」
直井「……。それもこれも全部音無さんのおかげだ」
直井(それから僕は岩沢にもらった住所を当てにガルデモのドラムの家に向かった)
……
直井(引っ込み思案な性格からこんな風に家に男が訪ねてくるなどありえないらしく
僕が来たせいで家は大騒ぎになっていた)
入江「あのー、それでなんでしょうか?」
直井「 説 明 中 」
入江「へぇ~……ってえええええ!!?わ、私がですか!?」
直井「もちろん仕事の依頼なのでな。金は出す」
入江「そうじゃないですよ……どうして私が……」
直井「まぁ、岩沢からの推薦なんだ」
入江「でも実は趣味になってて作詞作曲が……結構溜まってるんですよね」
直井「ほう、それは良いことだな。全部こちらに売ればいい小遣い稼ぎにはなると思うが?」
入江「そうですねー。じゃあ売ってもいいですけど……」
直井「本当か!」
入江「完成品は必ずください。どんな人が歌ったか聞きたいので」
直井「そうだな。本当はここにも連れてくるはずなのだが……」
直井「何分、まだまだ実力が未熟でな。今頃はまだレッスン中のはずだ」
入江「そうなんですか……」
入江「っていうか先輩……すごい変わりましたよね」
入江「何があったんですか?」
直井「いや、何もない……」
直井「それじゃ、邪魔したな。金の話は後日しよう。
とりあえずこれは帰ってゆっくり見させてもらう」
……
直井(とか何とか言って金なんて一切払わないつもりでいるのだが……)
直井(まぁ、いいか。昔のよしみだ。売れっ子になる前のサインとか言って送ったらきっと喜ぶだろう)
直井(アホだしな)
直井(それから僕は入江の作った曲をヴォーカルレッスンの担当の先生に持って行き
どれをデビュー曲にするかを決めた)
直井(難易度がそれなりにないとは言え、曲は「きゅんっ!ヴァンパイアガール」になった)
直井(この曲と歌詞にヴォーカルレッスンの先生が笑いを堪えていたので僕が恥ずかしくなった)
直井(あの女が真顔でこんなもの書いてたと思うと……確かに笑えるのだがな)
先生「じ、実に……アイドルらしいんじゃ……ぷっ、ぷぷぷ……ないでしょうか……」
直井(馬鹿にしてるのか?)
直井(はっ、もしかしてこんなもの渡すあの女も僕を馬鹿にしてたのか!?)
直井(いや、まぁ、この際あの女はどうでもいいとして……)
先生「お、美味しそうな男の子発見wwwwじゅるるんwwwwwww」
直井(うん、こいつはそろそろ殴ってもいいんじゃないだろうか……)
直井(それから一発入れてやったあとにダンスの先生の元へ向かった)
直井(今日は確かダンスレッスンと言っていたな。
恐らく基礎のステップや動き方などいろいろやってるのだろう)
直井(そこで四条にもどんな曲になったのか一緒に聞いてもらおう)
直井「さて、そろそろレッスンスタジオにつくと思うのだが……」
直井「ボイトレの先生もそうだったがこっちも初めて会うんだよな」
直井「全く……どうして見ず知らずの奴に僕が頭を下げなくちゃいけないんだろうか……」
直井「……ん?あれは双海兄弟?と我那覇と天海……と四条もいるな」
直井「……げっ!!」
亜美「ねえねえなんで先生って本名教えてくれないのー!?」
真美「先生何人なの!?」
春香「えー、でも日本人ですよねぇ?」
響「沖縄にもこんな変わった人いないぞ……」
貴音「め、面妖な……」
TK「そんなんどうでもええやろ!!TK言うからTKやねん!
ほな、休憩お終いして続きやるで!!」
直井「何故奴がここに!?」
直井「待て待て、先生とか言ったか!?」
直井「僕の手持ちの資料に……確かダンスレッスンの先生の名前も載ってるはず」
直井「なっ、何故こんな普通の書類も苗字:T 名前:K で通ってるんだ!」
直井「くそ、あのボンクラ社長め!」
直井「まぁ、しかし、ここでいても仕方ないし、中に入らないことには始まらないからな」
ガチャ
直井「しばらくここでレッスンの様子を傍観といくか」
……しばらくして……
TK「よっしゃ、じゃあ今日のレッスンはここで終いや!ほな!!」
直井「待て待て待て!ほな!じゃないだろうが。貴様、僕を忘れたのか?」
TK「お兄さん誰?」
真美「えー!兄ちゃん、こっちの兄ちゃんとも知り合いだったの!?」
亜美「豆腐屋すげー!」
直井「そうか、こいつまさか……あの世界から復活して以来誰とも接触していないのか!?」
直井「おい、思い出せ!お前は一回死んでいるんだ」
真美「兄ちゃん、いつの間に北斗神拳伝承者になったの?」
貴音「貴方様、その話は皆の前でするには……」
直井「はっ、しまった……」
直井(くそ、またちょっと小馬鹿にしてるんだな!?)
直井「あー、お前たちは先に帰っていいぞ」
響「えー、自分貴音のこと外で待ってるね?」
貴音「ふふ、ありがとうございます」ナデナデ
響「えへへー!」
……
TK「それで……なんなんですか?」
直井「お前は覚えていないのか?
ゆりという女の元で死後の世界でSSSという団体に所属していたことを」
TK「ゆり……死後の世界……?SSS……?うっ、頭が……」ズキズキ
貴音「まさか本当にあの世界で会った仲間……?」
TK「ゆ、ゆり……ゆりっぺ?」
直井「そうだ、思い出せ!大山は!藤巻は!」
TK「や、山ちゃん……、藤巻氏……日向氏。あやちゃん?」
直井「なんだその呼び方は!!」
TK「あやにゃんやないかい!」
直井(こいつだけは完全に僕を馬鹿にしている!!)
直井「 説明中 」
貴音「なるほど……ではさっそくどういう曲なのか聞いてみたいと思います」
直井「これだ。『きゅんっ!ヴァンパイアガール』だ」
~♪~~視聴中~~♪~
TK「うん、なるほどね……わかったわ。
次回から貴音やんだけこの時間帯のレッスンは居残りで付け足しや!」
直井(貴音やんて、そんなおてもやんみたいに言うなよ)
貴音「わかりました!私、頑張りたいと思います!」
直井(さて、まぁ、これで着々と下準備は整ってきたな)
直井(いい具合のハイペースだぞ!)
>直井「おい、思い出せ!お前は一回死んでいるんだ」
真美「兄ちゃん、いつの間に北斗神拳伝承者になったの?」
わろた
直井(さて、これからどうする……)
直井(まぁ、CDの発売日までに宣伝を重ねるしかないな……)
直井(現代社会に置いてPRが必須になってくるのはネットだ)
直井(現時点であの事務員には事務所のHPを作成しておくように依頼したのだが……それはどうなったのやら)
直井「とりあえず今日は一旦帰宅するべきだろうな……」
……後日……
小鳥「頼まれておいたHP作成しておきましたよ」
直井「ご苦労。では、四条」
貴音「はい、貴方様。どうなさいました?」
直井「仕事の話だ。今日はPVの撮影に行くぞ」
直井「まぁ、その前に午前中は宣材写真の撮り直しといくがな」
貴音「はい、わかりました」
……
直井(四条の奴はよく動いてくれる。こんな意味不明なデビュー曲にも文句を言わずに)
カメラマン「どういう感じいきます?」
貴音「こう、ですか」ビシィィ
直井(なぜ急に勝手にポージングしだしんだ……さっぱりわからん)
直井(だが、嬉しそうにしているのだけどは伝わってくる……)
直井「そういう無表情ではっちゃけたのもいいが、清楚かつ令嬢であるかのように
美しく撮れ。いいな」
カメラマン「は、はい!」パシャパシャ
直井「よし、これで恐らく宣材写真は完璧だ」
直井「どこの事務所のアイドルたちと比べられても一目置く存在になるだろう」
直井「さて、PV撮影は隣のスタジオだが、まぁ、コンセプトはヴァンパイアな訳だしこんな衣装だ」
貴音「タキシード……ですか」
直井「ああ、胸元をギリギリまで開け強調する。
貴様はスタイルの良さも売りにしていきたい」
直井(これはあの事務員から言われたのだがな……)
貴音「わかりました」
直井(PVではもちろん実際に踊るダンスの振り付けもしなくてはいけないので
急遽TKにはいてもらうことになった)
直井(今後の影響のためにも監督やその他スタッフ、などには
我々にすごくいい印象を持つように催眠術をかけておいた)
直井(これで、今後の仕事を頼む時にもこのいい印象を思い出し、快く引き受けてくれよう)
直井(まぁ、この順調な調子だと
そんな無粋なものも必要なかったのかもしれない、が……念のためだ)
……翌日……
直井「今日はオーディションを受ける」
貴音「なんのでしょうか……?」
直井「発売日直前の音楽番組のテレビ収録だ」
貴音「は、はい!」
直井「それとオーディションのあとは急いで移動し、ラジオの収録にゲスト出演だ」
貴音「い、いったいいつの間に……」
直井「割りと貴様の評判が普通以上によいのでな、もう業界内では噂になってる所もあるらしい」
直井(昨日のPV撮影後、オーディション用に緊急に振り付けをマスターさせたが……)
直井(まあ、このオーディションに受けても本番の収録は少し日にちが空いてしまうし)
直井(そこで追い込ませればいいだろう)
直井「いい噂の時は噂というものは本当に助かるもんだな」
直井「さて、行くぞ……」
……
……オーディション会場……
貴音「ここがオーディション受験者の控え室ですか」
直井「なかなかの粒揃いではないか」
貴音「相手に取って不足はありませんね」
直井(まぁ、不足があるのはこっちなんだがな……過密スケジュールのために
ぶっちゃけダンスが間に合ってない……)
スタッフ「それではただいまからオーディション始めますー!呼ばれた方から来てください!」
スタッフ「四条貴音さん!どうぞ」
直井「この僕に恥をかかせることだけはやめてくれよ」
貴音「ええ、そこで見ていてください」
…………
スタッフ「おおお!」
直井「馬鹿な……これほどまで完璧になっていたものだろうか?」
直井「貴様、まさか……」
貴音「ふふ、少し無理をしてしまったみたいですね……ですが。
これも貴方様がわたくしに抱く期待に答えるために必要な努力……」
貴音「私も誠心誠意を持ってお答えせねばなりません」
直井「なるほど……貴様、よく頑張った」
直井(結果は合格だった)
直井(スタッフに挨拶を済ませ移動することにした)
直井(僕達は見事な手応えを感じていたからこの合格は当たりませだった)
貴音「次はどのようなラジオなのですか?」
直井「生放送というわけではないから安心したまえ」
直井「こんな新人に生放送はキツいだろうからな」
貴音「はい……。ただでさえあのオーディションでも緊張しましたから」
直井「あれで、緊張していたのか……」
直井「次の番組はパーソナリティ二人がいるから恐らく質問攻めにあうだろう」
直井「プライベートなことは質問するな、と忠告してあるし、質問されたら収録を中断してでも
僕が止めにいく。その点はぬかりない」
貴音「はい、ありがとうございます」
直井「しかし、迅速な移動により少し時間が余ったな……」
貴音「そのようですね……」
グゥ~~~……
直井「なんだ、腹が減ったのか?」
貴音「……///」
……
直井(僕もそうだったが切羽詰まって緊張しっぱなしの状態が続いたために
食事を取ることも忘れていたようだ)
直井「何か、食いたいものはあるか?」
貴音「らぁめんがいいです!!」
直井「ラーメン!?そ、そんなに好きなのか?」
貴音「はい!!」
直井(なんて嬉しそうな顔をするんだ……)
直井「すまんが、僕はあまりラーメン屋には詳しくないんで連れて行ってもらえるとありがたいのだが」
貴音「わかりました!では、こちらです!」
直井「ラーメン二十郎……?」
貴音「頼もう!麺固辛め野菜ダブルにんにく油増し増し」
直井「なっ……」
直井「かなり手馴れている……」
直井「僕は普通のでいい」
「へい、お待ち!」
直井「なっ、普通でいいといったのに……な、なんだこの量は!!」
貴音「早く食べねば後ろがつかえています」パクパクパクパク
……
直井「……く、苦しい……」
直井(結局残した分も食べてもらってしまった……情けない)
直井「だが、四条……貴様も暴飲暴食は控えるようにしてくれよ」
貴音「はぁ……」
直井「そのせいで健康に支障がきたしたら溜まったもんじゃないんだこちらは」
貴音「貴方様……」
貴音「あの……貴方様……」
直井「あぁ?なんだ……」
貴音「また、一緒に行って下さいますか?」
直井「あんなに量が多いのは御免だ」
貴音「御麺?……なんと麺妖ですね」
直井(何を言ってるんだこいつは……)
直井(まぁ……なんか知らんが楽しそうだからいいか……)
……
直井「さて、収録だが、まぁ、緊張せずにいつも通りにに頑張ってくれ」
貴音「はい!」
直井「いいか、これは宣伝のために出ていることを忘れるなよ」
直井「ラジオのコーナーもいろいろあるだろうが……あくまで僕達が来たのは宣伝だ」
貴音「はい、わかりました。肝に銘じておきます」
……
直井(ラジオでの宣伝は見事に成功した)
直井(どちらかというと765プロのHPへの誘導が大半になってしまったが……)
直井(しかし、現在765プロのHPは全面四条の使用になっているので
アクセスすれば否が応でもデビュー曲を出すというのが分かる仕組みになっている)
直井(また曲を多少流してもらい、曲の話も多少したし、いい宣伝になったのだった)
直井(……が……やはり恐れていたことは起きてしまった)
直井(世間に少し変な奴で知られてしまうかもしれない……)
直井(あれだけ天然のような発言をされてしまえば……
ちょっと聞くだけでおかしなやつだとわかってしまう)
直井(これも後々、改善するか、そこを売り出すか……まだ悩む所ではあるな)
……事務所……
直井「ん……なんだこれは……」
小鳥「えっと……さぁ?バットでも入ってるんでしょうか?」
直井「誰のだ!」
小鳥「実は先程……」
……
「おい!さっきそこで犬に吠えられて気絶した女がいたから連れてきたぞ!!」
……
小鳥「って言ってた男の人が忘れたものでしょうか?」
直井「中に何が入ってるんだ……」
直井「折りたたみ式の……ハルバードなんだが……」
小鳥「あ、倒れてたのは雪歩ちゃんで今はもう無事なんで大丈夫ですよ」
直井「どうやらあの世界の連中は案外近い所をうろついてるのかもしれんな……」
千早「あー!もう!!文人!心配したんだからね!連絡もしないで!」
直井「うげ……説教しても全く意味がない……」
直井「なんて厄介なんだ……」
直井「久しぶりに事務所でのデスクワークに来たらすぐこれだ……」
直井「全くもって仕事にならないではないか」
千早「もう、お姉ちゃん寂しかったんだぞー」スリスリ
直井「貴様!!初期のキャラを思い出せ!」
千早「お姉ちゃん大好きって言ってくれたら離れてあげてもいいよー?」
直井「ふざけてるのか貴様!馬鹿にするな!!」
千早「じゃあ離れないー!」
小鳥「///」ドキドキワクワク
直井「こんな人前でそんなことが言えるか!」
千早「人前じゃなかったらいいのー?」
直井「いいわけあるか!!」
直井「ったく……」
小鳥「そういえば今日が発売日でしたね!」
直井「ああ、そうなんだ……。ぜひ、事務所で全員にチェックさせたい所だ」
直井「指揮の向上。より、上を目指したくなるものが必ず出るはずだ」
直井「先に進むものを見れば……な」
直井「夜には四条の出る音楽番組も放送される。期待の新人として扱われてるからな」
直井「だからできるだけ夜には人を事務所に集めておくようにしてくれ」
千早「お姉ちゃん大好きって言ってよーねぇねえー」
直井「いい加減離れろ貴様ぁ!!」
小鳥「この光景もなんだかいつも通りね」ニヤニヤ
……夜:事務所……
春香「す、すごかったね貴音さん!」
美希「……羨ましいの……」
千早「よく頑張りましたー」ナデナデ
直井「何故、僕を撫でる!」
真美「でも兄ちゃん頑張ってるもんねー」
亜美「頑張ってる兄ちゃんかっこいいよ→」
直井「……そりゃ頑張るに決まっている……」
直井(全ては音無さんのためなんだ……)
小鳥「私のためなんですもんねー?」ピト
千早「あぅぅ……」
直井「くっつくな!!」
律子「私も頑張らないと……!」
響「ねえ、文人。貴音は?」
直井(いつの間に下の名前で呼ぶようになったんだこいつは……)
直井「四条は……まだレッスン中だ。あいつが見てもしょうがないだろ」
直井「これはお前たちが見るから意味があるんだ」
やよい「私たちが……?」
直井「ああ、その意味に気がつくのはきっともう少しあとになってからだろうがな」
直井(この日、一人だけが明らかに眼の色を変えて画面を見ていた)
美希「………………」
直井(奴は自力で上がってくるだろうな……)
直井(さて、こっちはこっちで再び新曲の制作に行かねばならんようだな)
直井(また奴らに頼むか……)
……数日後……
貴音「あの……どちらに向かうのですか?」
直井「貴様、デビュー曲の作詞作曲を担当した人物の名前を言ってみろ」
貴音「えっと……入江みゆき様でよろしいでしょうか?」
直井「ああ、大丈夫だ。合っている。今日は奴に再び会いに行く」
貴音「それはきちんと挨拶せねばいけませんね」
直井「今回はアポは取ってあるからな……」
……
入江「あ、いらっしゃいー!」
直井「ふむ、また邪魔をする。今日は以前の礼とアイドルを連れてきた」
関根「マジマジ!?うっひょ~~!可愛いねぇ!!ハンパねぇっすよ文にゃん!」
直井「文にゃん!?僕は以前そんなあだ名だったか!?っていうかなぜ貴様がここにいる!!」
直井(こいつも完全に人を馬鹿にしてやがる)
「文にゃーーーん!!」ドドドドド
直井「げっ!なぜ貴様もいる!!」
ユイ「っふっふっふー!元祖にゃんにゃん系のユイにゃんですよ!」
直井「おい……貴様。どういうことだ!!」
貴音「あ、あの……この方々は……一体……」
関根「あ、どもども」ギュ
貴音「は、はぁ」
関根「きゃー!握手しちゃったよあたし!この前のテレビ見たんだよー!」
ユイ「やばかったっすよ!もう最高っすよ!文にゃん万歳っすよ!
アタシには劣るけど!」
直井「僕を褒めるのか!?馬鹿にするのか!?どっちなんだ貴様ら!!」
入江「ちょっと落ち着いてよ……みんな」
……
直井「えー、で、こいつが入江だ。デビュー曲の作詞作曲を担当してくれた」
直井「んで、こいつが同じバンドでベースをやっていた関根だ。アホだ」
関根「いぇーい!って!ちょっとちょっと!一言余計ですよー!」
直井「んで、こっちがアホだ」
ユイ「ゴルゥゥアアアア!!なんでアタシだけ全く紹介されないんじゃーー!」
貴音「どうもよろしくお願いいたします」
関根「でも意外だよねー、もっとアイドルって言えばさ!
売れてきたら態度がでかくなるもんじゃないの?」
ユイ「いやいや、まだまだその粋まで行ってないんですよー!」
ユイ「ま、それもこれもボンクラPがいるからじゃないっすかー?」ニヤニヤ
直井「貴様ら……」
入江「二人共ちょっと黙っててよ!ただでさえ二人はセリフ量多いんだから」
直井「馬鹿なことばっかり言いやがって……」
貴音「文人はそのようなボンクラなどでは決してございません」
直井「!?」
直井(あ、文人……だと!?)
関根「うひょー!なんかお熱い感じだね!二人共!ヒューヒュー!」
貴音「彼はわたくしをここまで上げてくださった大恩ある御方です」
ユイ「えー!じゃあじゃあ!先輩アタシもプロデュースしてくださいよ!!
っていうかしろよコラーーー!!」
直井「嫌だ断る。どうして貴様なんかを……」
ユイ「いやいやアタシら結構いけてるじゃん!?だからアイドルでもいけんじゃねーの!?
ってそう言ってやってんでしょーが!!ああん!?」
入江「ちょっと、ユイってば……」
直井「さて、馬鹿は放っておいて本題入ろう……」
入江「あ、そうなんです……実はあれから
もしかしたらまた頼んでくれるかもーって思って」
ドサッ
入江「いろんなものを作っておいたんですよ!!」
貴音「す、すごい……」
ユイ「んでんでんで、ユイにゃんが作詞したのがこれとこれとこれ!!」
直井「じゃあそれは却下だ」
ユイ「なんでですかーーー!!」
直井「おい、関根、この3枚は燃やして捨てろ」
関根「アイアイサー!!」
ユイ「わーーー!!待ってくださいぃぃぃーーー!」
貴音「これをわたくしが選んでも……?」
直井「もちろんだ、貴様が好きなものを好きなように歌うんだからな」
貴音「一目見た時からこれがわたくしには、いえ、これしか見えませんでした」
直井「どれ……ほう『フラワーガール』か」
入江「あ、それはなかなかいいんですよー!」
ほ
直井「なるほど、じゃあ、礼は3人分の四条のサインでいいな?」
入江「お仕事だからお金くれるって言ったじゃないですか……」
直井「あのことは忘れろ……いいな?僕の目を見るんだ」
入江「はい……」
直井「さあ、もう一度目を閉じて開けろ」
入江「はい……じゃあ、えっとサインとりあえず……」
貴音「貴方様、今のは……」
直井「ん?気にするな、なんでもないさ……先輩の圧力をかけただけだ」
直井(この頃からちょうど一曲目が波に乗り出し順調に行くようになった)
直井(いい感じのヒット作になったみたいだ)
直井(これで2曲目もきっといい出来になるだろう)
直井(ボイトレの先生もよい曲だと言っていたし、TKは作りやすいと言っていた)
直井(何の基準なのかさっぱりだったが……)
直井(これで一曲目どうようCDショップ、テレビ、ラジオ、
あらゆるメディアを駆使すればまた売れるに違いない!)
直井(さて、次はあらゆるフェスというフェスを荒らすように回ってやろう)
……
……
直井「貴様ぁ!!今日はどうしたというのだ!」
直井「いつものようにもっとハキハキと喋らないか!」
貴音「す、すみません……」
貴音「あの……文人……」
直井「ん……?なんだ?」
貴音「いつかやっていたあの……あれは催眠術ですよね」
直井「……」ピク
直井「だからなんだというのだ?」
貴音(もしかしたら……この人は世間を騙し……私を売り出してるのかもしれない)
貴音(私が……きっと何を言っても効かないのでしょう……)
貴音(しかし、催眠術で取ってこられた仕事……)
貴音(私がそれを知らずにただただやるのではよいのでしょうか……)
直井(今更、何故催眠術のことを聞いてきた……?)
直井(そんなに珍しかったのか……?)
直井(まぁ、一曲目の時は最初の時だけ使ったが
もう自然に四条自信の力で仕事は入ってくるし)
直井(催眠術に頼らずともやっていける……)
貴音(この人の元で黙って従うだけでよいのでしょうか……)
直井「何か文句あるのか?それとも……急に忙しくなったからな……
疲れてるのか?休みでも取るか?」
貴音「いえ、今頑張らねば……」
直井「そうだな……その通りだ」
直井「今度、次の曲でフェスに出るぞ」
貴音「はい……」
貴音(それも催眠術で人を騙して取る仕事なのでしょうか……)
直井「いいか、このフェスは負けられないからな。気合入れていかなくはならん」
貴音「はい……」
直井(しかし、この会話を堺に四条は
もらったレギュラーの仕事だけを淡々とこなすだけになった……)
直井(我々がトップであることを照明するには……)
直井(アイドルアルティメイトに行くしかない……)
直井(だが、そのためには……フェスで勝ち続けなくては……)
……フェス……
スタッフ「あ、おはざーっす。あ、関係者出演者こっちなんでー。へへへ」
直井「何をニヤニヤしてるんだ貴様」
スタッフ「いやー、だってテレビ見たし、今注目のアイドルでしょ?」
スタッフ「そりゃ見ますよー!」
貴音「ありがとうございます」
スタッフ「うひょーいいね!最高っだね!」
スタッフ「あ、俺、のことはマーキーって呼んでくれよな!」
直井「何言ってんだ貴様……マーキー?おい、その帽子を取ってみろ貴様」
スタッフ「へ?ああ、へいへい」スッ
直井「はぁ……やはり貴様だったか……どうやら記憶が戻ってないみたいだな……」
藤巻「へ?何か顔についてますかい?」
直井「いや、まぁ、貴様は所詮そんなもんだろうな……」
直井「お勤めご苦労……以後、尽力するように」
藤巻「ういーっす」
……
直井「奴は一体……バイトかなんかなのか?」
直井「警備員のバイト……まったく……」
貴音「あの方もお知り合い……なのですか?」
直井「ん?あぁ、そうだ……」
貴音「そう、ですか……」
コンコン
直井「誰だいったい……」
直井「何のようだ」ガチャ
直井「はぁ……?」
直井「お前は柔道有段者の……」
松下「あのー、自分は貴音さんのファンクラブの会長でありたいのですが……
会を作るにはここで聞けばいいんですか?」
直井「……。まぁいい……勝手に作れ。しかし5000を超えないと公式は認めないからな」
松下「あざーーっす」
直井「なんだったんだ……」
貴音「あの……今のは……」
直井「ああ、貴様のファンクラブの連中だそうだ」
直井「よかったな」
貴音「は、はぁ……」
直井「なんだ……元気がないな。外の様子見でもしにいくか?」
直井「多少の気晴らしにはなると思うが……」
貴音「はい……そうします」
……
「うぃ、そこを歩いるのは弱小プロダクションの四条貴音ではないか?」
直井「誰だ貴様……いきなり何様なんだ」
黒井「私か?私は961プロの社長様だが……?」
貴音「961プロ……」
冬馬「おい、おっさん……こいつら例の765プロって奴らなのか?」
翔太「へぇー、結構やりそうじゃん」
北斗「だね、でも僕達ジュピター4人には勝てないよね」
直井「4人だと……」
直井「一人いないみたいだが……」
冬馬「ちょっとはぐれちまってな」
黒井「む、どうやら最初っから貴様と戦うようだな……」
直井「ふん、泣きを見るのはどちらかということを見せてやろう」
貴音「は、はい!!」
「おーーい!悪い悪い!そっちにいたのかよ、黒井っち!」
翔太「お、4人目到着したよー」
直井「なぁぁぁああ!!?き、貴様!!何をしている!!」
日向「お、直井じゃん!何してんだよそんな所で!懐かしいなぁオイ!」
北斗「僕、伊集院北斗、天ヶ瀬冬馬、御手洗翔太、日向秀樹、この4人でジュピターなんだ」
直井「な、なにぃぃぃい!!?」
日向「ははは、野球やってたらなんかいきなり誘われてよ!」
日向「面白そうだからやってんだよ!」
直井「ここに来て最大に負けたくないライバル登場だと……!?」
直井「貴様みたいな不細工がよく平気でアイドルなどやっていられるな腹立たしい!」
日向「はぁ!?お前こそ、女装して女の振りでもして出ればよかったんじゃねーーの!?」
直井「2番の世界線だとその可能性があったから本当に恐ろしい……」
日向「あぁ?なんか言ったか?」
直井「とにかく、ジュピターもそんな木偶の坊がいたんじゃお終いだな」
冬馬「何言ってんだ?ジュピターのリーダーは」
日向「へへん、俺なんだぜーー!?」
直井「なぁぁぁああ!!おい、貴様!!馬鹿なんじゃないのか!?」
黒井「はぁ!?私に向かって言ったのか貴様!弱小プロの癖に!」
日向「いやー、しかし、お前がプロデューサーねぇ。
プロデュースしてるアイドルは可愛いのに勿体ねえなー」
直井「何を言うか貴様!貴様なんかには到底できない技を駆使してるんだ、こっちは!!」
日向「ほう、精々催眠術で騙して仕事取るぐらいだろうけどな!!」
直井「ふん、何も知らずによく言える……」
直井「そっちこそ金にものを言わせてるんじゃないか?穢らわしい」
日向「なんだとぉ!?こっちが薄汚い手を使ってるとでも言うのかよ!!」
黒井(使ってるんですけどね)
直井「そっちこそ僕がインチキしてるとでも言うのか!!」
直井(使ってたんですけどね)
水遁されたwwww
ちょっと保守頼むwww
しばらく外出してきます
別のパソコンを使うことにしたのIDが違うが……
また夕方出かけてしまうのだが。その前まで行ける所まで行こう
「おいおい、どいたどいた!そんな通路のどまんなかで喋ってんじゃないよ」
日向「あぁ!?ってお前……」
直井「あぁ!?貴様、ガルデモの……」
ひさ子「あれ?あんたら……何してんだい?ぷっ、あははは!日向!なんだその格好!!」
日向「おかしいかよ」
直井「全部な」
日向「うるせえっ!」
日向「お前こそ何してんだよこんな所で」
ひさ子「あたし?今、演奏終わったんだよ、バックバンドで参加させてもらっててさ!」
貴音「あの……一体この方々は……」
直井「む、すまんな。こいつらは例の……あー、死後の世界の奴らなんだ」
直井「まぁ、信用してくれとは言わないけどな」
日向「ま、だが、俺と直井は今じゃライバル事務所の敵同士ってわけだ」
直井「もっとも敵だと思ってるのはそっちだけかもしれんがな……」
日向「何をぉ!!」
きたか…!!
( ゚д゚) ガタッ
/ ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
冬馬「おい、日向、そろそろ行こうぜ」
日向「そうだな……。ま、ステージで楽しみにしてな!」
ひさ子「ぷぷ、それにしてもあの日向が……」プルプル
ひさ子「まぁ、どっちも頑張りなよ。そんじゃあねー」
貴音「なんというかすごく賑やかな場所にいたんですね……」
直井「ああ、そうだな。僕は途中から仲間に入れてもらえたのだが……
みんな面白くていい奴だった。アホばかりだが」
貴音「ふふ、そんな風に楽しそうにしている所初めて見ました」
直井「そうなのか?別に僕はいつもは普通なんだと思うがな」
直井「まぁ楽しくないと言ったら嘘になるからな……」
直井「すっかり目的が私用になってしまったが……絶対に負けられないものになってしまった」
貴音「どうやらそのようですね」
直井「じゃあ控え室に戻ろうか……」
貴音「はい」
直井「なっ……なんだあの控え室前の列は……」
貴音「ここは一般の方は立ち入り禁止の区域のはずでは……」
松下「おお!貴音様がお帰りになられたぞ!!」
ワーワーキャーキャー
竹山「サインください!サインください!あっ、押すなよ!」
直井「奴は確か……クライアント?あ、いや、クライストだったか?」
竹山「その名前では呼ばないでください……!」
竹山「僕には貴音様しかいないんですから!」
直井(なんだこの二人はすっかりアイドルの追っかけになってしまったのか?)
松下「はいはいー。道を開けてねー」
直井「何様のつもりなんだ、貴様」
松下「はっはっは!やだなぁ……ファンのみんなを集めてお出迎えですが?」
貴音「お気持ちはありがたいとのですが……
ここではスタッフさん達の邪魔になってしまいますので……」
松下「お前らぁ!邪魔じゃあ!!」
直井「お前も入ってるんだよ!」
……
直井「ふぅ……ようやく帰ったか……」
貴音「しかし、滅多にいないファンなのです。
今の小規模のうちは優しくしてあげてもよかったのでは?」
直井「何を甘いことを言ってるんだ……」
直井「ああいうのは付け上がるから気をつけた方がいいんだ」
直井「そのうち、好き勝手にここを出入りされてしまうぞ」
貴音「それは困りましたねぇ……」
スタッフ「そろそろ本番ですー!」
スタッフ「ジィーー……」
直井「なんだ貴様……あまりジロジロとうちのアイドルを見るのは……」
直井「貴様……!!確か、あの女の側近!」
遊佐「お久しぶりですね。先程から戦線メンバーを会場でチラチラ見かけるのですが
これは気のせいなのでしょうか?」
直井「いや、気のせいではないと思うぞ……」
直井「というかバイトなのか?」
遊佐「はい、インカムつけるバイトが少なくて困ってます」
直井「何基準で選んでんだお前は」
貴音「また……お知り合いなのですか?」
貴音「一体どれほどの巨大な団体だったのでしょうか……」
貴音「先ほどのジュピターの中にもいらしたあの方も……」
「ほう、精々催眠術で騙して仕事取るぐらいだろうけどな!!」
貴音「…………。やはり……そうなのでしょうか……」
貴音「いけません。こんな風に疑うなんて……」
貴音「ですが……やはり……はっきりしておかなくてはならないことです」
貴音「あの……文人?一つよろしいでしょうか?」
直井「なんだ?本番前なんだ。手短に頼むぞ」
貴音「あの……催眠術のことなのですが」
直井「……」ピク
直井「それが……何か?」
貴音「わたくし、貴方様がずっと催眠術で人を騙して仕事を貰ってるのでは
ないかと疑っているのです……」
直井「…………」
貴音「そんな疑うだなんて短い間でありながら信頼の置く、
パートナーとしてあるまじきものだとわかってるのです」
貴音「ですが、今、ここでハッキリとさせていただきたいのです」
直井「……それは……」
直井「僕は……やはり謝らなくてはならないことがたくさんあるようだ」
直井「僕は最初は……催眠術に頼って、全てを適当にやろうとしていた」
直井「僕が……僕だけのために……」
貴音「……やはり、そうだったのですか……」
直井「だが、気がつけばそんなもの使わなくなっていたんだ!」
直井「そうさせたのが君なんだ」
直井「あれは……そう、一曲目のテレビ収録、初めてのオーディションがあっただろう!?」
直井「あれは使ってないんだ。何もあれは貴音が頑張って勝ち取ったものなんだ!」
直井「それ以降僕は一度も使っていない……」
直井「だが、最初……君を騙していたのは事実だ……すまない」
直井「確かに僕は、口ばっかりの催眠術しか芸のない奴かもしれない」
貴音「文人……」
直井(口にすると……なんて愚かなことをしたんだろうか……。涙が止まらない)
直井「僕は……君を裏切っていた……。最低の男だ……」
直井「だが、あれ以来使ってないのは本当なんだ……。信じてくれ」
直井「僕は君を信じたからこそ、君の実力を信じたからこそ……
催眠術を使う不正をするのを一切しなくなったんだ」
直井「だけど……はは……そうだな。潮時かもしれんな」
直井「あの馬鹿が言うように……僕には精々催眠術で騙すことくらいしかできないのさ」
パァンッ!!
直井「うっ……」
直井(ビンタ……されたのか?)
貴音「あなたはそこで逃げるのですか!?」
貴音「あなたの仕事は!
例え途中からでも、紛れも無く本物だったはずでしょう!!!」
直井「……なっ……」
貴音「頑張ったのは文人!あなたではないですか!」
貴音「必死に苦手だった人に頭を下げる行為を繰り返して、
わたくしのために仕事を取ってきたのをわたくしは誰よりも知っています!」
直井「こ、こんな……紛い物で染まった僕を……認めてくれるのか……?」
貴音「貴方様がわたくしのたった一人のプロデューサーなんですから、当たり前です!
貴音「あなた以外の何を認めるのですか!!」
直井「……あぁ……すまない……」
直井(音無さん……僕のことを……認めてくれる人が、こんなにも近くにいました……)
直井「……悪かったな。本当に悪かった。今まで騙していて」
直井「もう、嘘はつかない」
直井「僕と貴音はパートナーだからな!!」
貴音「「あ、貴方様……」
遊佐「本番始まりますよーー」
直井「頑張れ、負けるな!!」
貴音「はい、必ず!」
……
貴音(例え、何があろうと……わたくしはあの方のためにも負けるわけにはいかない!)
~~♪ ~~♪
黒井(お手並み拝見と行こうか……)
直井(さすがにキツイか!?いや、こっちも負けていないじゃないか!)
直井(実力は……ほぼ互角……勝つのは……)
貴音(わたくしです!!) 日向(俺だ!!)
……
…………
………………
………………
…………
……
直井(あれから半年後か……)
直井(テレビの画面には四条貴音が写っていた)
直井(あのフェスのあとに僕はインチキしたことを認めその代償として
プロデューサーをやめた)
直井(運良く世間に催眠術を使ったことは
出まわらなかったからこれでよかったのかもしれない)
直井(やめることを話したら何度もやめないでくれと泣いてお願いされた)
直井(だが、僕はもう覚悟を決めていたんだ……)
直井(彼女が僕のことを認めてくれたんだ……)
直井(そんな彼女に嘘をついた罪は重い)
直井(彼女の側にいる資格は僕にはないんだ)
直井(テレビの画面にはアイドルアカデミーの賞を総ナメしてる彼女の姿が)
直井(今年の最有力の新人アイドルだろう)
直井(僕がやめた後釜は優秀だったらしく……きっとそれがよかったんだろう)
ピンポーン
直井(誰だこんな時間に?)
ガチャ
直井「何してる……」
椎名「宅急便のバイトだ。判子……」
椎名「……どうした?」
直井「いや、判子か……。あの時強引に押されたのを思い出してね……」
椎名「……あさはかなり……」
直井「確かに……過去に囚われてるのは浅はかかもしれんな」
椎名「荷物だ……持っていけ」
直井「一体誰から……」
直井「プロテイン……?」
直井「 これ飲んで元気出せ……BY 高松」
直井「チッ……」
直井(こんなもの……)
椎名「あまり腐ってるのはよくないぞ。表に出ろ」
椎名「じゃあな。とうっ!」シュバッ
直井(なんだったんだあいつ……)
直井(再び画面に写ってる貴音を見る)
ピンポーン
直井「まだ何か用か?」ガチャ
「あ、いえ、あの……」
直井「誰だ?」
「僕はこういうものです」
直井「765プロ……プロデューサー?」
音無「と、俺もいるぜ!よっ、直井」
直井「お、音無さん!!?どうして!!」
P「えっと……今日はあなたにお話があって……来ました」
音無「そんじゃ、邪魔するぜ」
直井「ちょ、ちょっと待ってくださいよ……どうして急に」
音無「ああ、いろいろ……全部聞いたよ」
P「僕が言いたいことはなんとなくわかりますよね?」
直井「僕には無理だ。絶対にあそこには戻れない……」
音無「直井……お前、もういいんじゃねえか?」
直井「な、何がですか……?」
音無「もうお前は間違いは起こさないし、大丈夫だってことくらいわかる」
P「そうですよ。それに誰よりも望んでいるのはあなたじゃないですか」
音無「俺は……頑張ったお前すごいと思うぜ」
直井「だけど……頑張ったのは実際後半にああやって賞を取らせた
あなたじゃないですか」
P「僕はほとんど何もしていないんですよ……」
直井「……はい?」
P「彼女はあなたにもう一度プロデューサーになってもらうために
一人で戦って来ました……」
P「僕は最小限のことしかしていません」
直井「それでもその最小限こそが……」
P「彼女に聞いたんです。どうしてそこまで頑張れるんだって」
直井(……やめてくださいよ)
P「全部あなたのためだって言ったんですよ」
直井(やめてくださいよ)
P「いつか戻ってくる日を彼女は信じて」
直井「やめてくださいよ!」
直井「どうして……そこまで……するんですか」
音無「当たり前じゃねえか。仲間だろ?」
直井「音無さん……だけど僕は……」
音無「もういいんだよ。そんなのたった一瞬だけだろ?」
P「そうです、誰もそこを漁って来ようなんて思いませんし」
音無「もう……自分を許してやれよ」
直井「ぐっ……ぅう……グス……」
音無「泣くほど辛いなら会いに行けよ」
P「僕は他のアイドル達に回るので……何も心配はいりませんよ。先輩」
P「そういえば……貴音の奴……。
アイドルアカデミー賞の授賞式が終わってもしばらくは外にいるとか……」
直井「くっ!」ガタッ
音無「そう来なくちゃな……着いて来いよ」
ガチャ
音無「免許は取り立てだから実は違法なんだが……乗れよ!」
直井「バイク……」
ごめんなさい。しばらく出かけます。
もう終盤なんであと少しだけお付き合いを。
待ってる
ほ
音無「ああ、安全運転、最大速で会場までな!」
直井「音無さん……音無さんはずるいですよ」
音無「……あぁ、わかってる」
直井「こんな急に会ってくれた思ったら……」
音無「しっかり捕まれよ」
音無「プロデューサー!!あとは任せてくれて構わない!」
P「気をつけて下さいね!!」
音無「よし!行くぞ!」
直井「はい!」
……
……
……
音無「さあ、ついたぞ!間に合ったか!?行って来い!」
直井「はい……!!」
タッタッタッタ
直井(会場はもう閉まっている……間に合わなかったのか……)
直井(くそ……間に合わなかったのか……。僕がもっと早く決断してれば)
直井(貴音……もう一度……俺の用意したステージに……)
直井「……貴音……」
きたか…!!
( ゚д゚) ガタッ
/ ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
貴音「……文人?」
直井「た、貴音……待っていたのか?ずっと……」
貴音「はい、来てくれるとわかっていましたから」
直井「えっと……まずは……おめでとう!よく頑張ったな……」
直井「なんて……僕が言える立場じゃないのか……」
貴音「いえ、あなたに……ずっと言われたかった言葉です」
貴音「この瞬間のためだけに頑張ってきたのですから……」ポロ
貴音「貴方様……わたくしはまだ立派なトップアイドルではありません……」
直井「な、何を言っているんだ……もう十分立派な……」
貴音「こんなにも泣くのを我慢できないのですから……」
直井「貴音……あの時は……本当にすまなかったと思う」
貴音「……いえ」
貴音「ここに来てくれたのでもうそのことは許します」
直井「僕はこの半年、ずっと君の活躍を見ていた」
貴音「もっと側で見て欲しかったです……」
直井「う……すまん……」
貴音「もっと……一緒に行きたい場所ややりたいライブがあったんです」
直井「これからやる……」
直井「必ず……な」
直井「貴音……」
貴音「……なんでしょうか」
直井「もう一度……」
直井「もう一度……僕が用意するステージで歌ってくれないか」
貴音「……わたくしはずっとそのために頑張って来ました」
貴音「わたくしはいつでもその準備はできています」
貴音「わたくしからも……一つ」
直井「なんでも聞こう」
貴音「わたくしを……トップアイドルにしてください」
直井「……お安い御用だ。催眠術なんてなくたってすぐになれる」
直井「神であるこの僕が……隣にさえいればな」
貴音「ふふ……」
貴音「貴方様……おかえりなさい」
直井「あぁ……ただいま」
……
直井(彼女と初めて二人で話した会議室での面談を思い出した。
この頃になって、僕はあの時彼女は馬鹿にしてたのではなく
素であれなんだと、理解したのだった)
END
おつ!途中から別作品だった
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