ほむら「しばらくあなたはここで暮らすの」(424)
まどか「ん……あれ……。ここ、どこ……?」
それは佐倉杏子ちゃんが現れて、さやかちゃんがその子とケンカした次の日の朝。
目が覚めたわたしは、知らない部屋のベッドに寝かされていた。
そしてベッドのすぐ傍には……。
ほむら「気が付いたようね」
まどか「えっ?ほむらちゃん……!?あの、ここは……?」
ほむら「知る必要はないわ」
まどか「え……?」
ほむら「しばらくあなたはここで暮らすの」
まどか「ど、どういうことなの?わけわかんないよ!」
全然状況が掴めずに、ほむらちゃんに詰め寄る。
でもそんなわたしとは対照的に、ほむらちゃんはいつもの落ち着いた態度で答えた。
ほむら「あなたは私が散々言い聞かせたのに魔法少女と関わり続けた。それどころかあいつと契約までしかけた……。
昨日言ったでしょう?愚か者が相手なら、私は手段を選ばないと」
まどか「え、えっと……」
ほむら「だから私は、あなたを監禁することに決めたの。絶対に魔法少女になんかさせないように」
まどか「そっ……そんなのってないよ!あんまりだよ!」
ほむら「ごめんなさい、ひどいことをしてるのは分かってるわ。でもこれは仕方のないことなの。
あなたを魔法少女にしないためには、もうこうするしか方法がないのよ」
まどか「そんな……!お、お願いほむらちゃん!わたしを家に帰して!
約束するから!絶対に魔法少女になんかならないって、約束するよ!だから……」
ほむら「……嘘よ」
まどか「う、嘘なんかじゃないよ!わたし本当に……」
ほむら「嘘よ!!」
まどか「っ!?」
ほむら「嘘つき!嘘つき!嘘つき!!
あなたはそうやって、何度も私に嘘をついてきた!!
魔法少女にならないって約束してくれたのに!あの時もあの時も約束してくれたのに!!
それなのに!!何度も何度も何度も何度も何度も何度も!!あなたは約束を破った!!」
まどか「ひっ……!?ほ、ほむらちゃん……!?」
ほむらちゃんは、髪を振り乱し目を剥いて、大声で叫ぶ。
暴力こそ振るわれていないものの、突然の豹変にわたしは怯えてしまう。
ほむら「信じてたのに!信じてたのに!!そのたびに私は裏切られた!!
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も!!」
まどか「やっ……お、落ち着いてほむらちゃん……!お願いだから……落ち着いて……!」
ほむら「……ハァ……ハァ……ハァ……」
わたしの声が届いたのかどうかは分からないけれど、ほむらちゃんはやっと怒鳴るのをやめてくれた。
そして震える声で、今度は静かに話しかけてきた。
ほむら「お願い、まどか……。私を信じて。こうすることが、絶対にあなたのためになるの。
あなたは美樹さやかやキュゥべえと居ると、いつか必ず契約してしまう。
だから、こうするしかないの……。お願い。あなたを、私に守らせて……」
まどか「…………」
コクリ、とわたしは黙って頷くことしかできなかった。
ほむらちゃんは、ホッと一安心したかのように、
ほむら「まどか……わかってくれたのね。ありがとう。それじゃあ私、学校に行って来るわ。
朝ご飯は準備してあるけど、お昼ご飯はごめんなさい、自分で作ってちょうだい。
そのためのものは一通り揃ってるわ。
日が暮れるまでには帰って来れると思うから。良い子で待っててね、まどか」
そう言って、部屋を出て行った。
そして玄関の閉まる音がして、後に残されたのはわたし1人。
まどか「……どうしよう、どうしよう……」
まずは、と部屋をぐるりと見回す。
これってもしかして……キャンプ場とかにある、コテージ……?
しばらく待って、ほむらちゃんが帰ってこないのを確認してから、部屋のドアノブにそっと手をかける。
カチャリ、と音がして、ドアが開いた。
鍵はかかってなかったみたいだ。
部屋からそっと顔を出し、外の様子を確かめる。
部屋の外は、ダイニングキッチンみたいになってた。
玄関も見える。
わたしは静かに、でも足早に、玄関に向かう。
そしてゆっくりドアノブを回すと……。
まどか「……やっぱり、駄目かぁ」
玄関には、外側からしっかりと鍵がかけられていた。
それなら、と電話を探してみたけれど……当たり前だけど電話なんてなかった。
電話は無理、玄関も駄目……窓は?
わたしは思い付いて、今度は窓を探してみると……あった。
最初にわたしが寝てた部屋と、ダイニングキッチンに1つずつ。
開けようと試してみたけど……やっぱりこれも外から鍵がかかってるみたいだった。
……だったら、割れば良いんじゃ……!
窓は大きめだから、割って外に出ることもそんなに難しくはないはず。
そうと決まれば早速……!
何か窓を割るための道具を探すと、すぐにダイニングテーブルの椅子が見付かった。
よし、これを窓にぶつければ……!
まどか「ふ~……よし!」
椅子を窓の所まで運び、準備はできた。
まどか「よい、しょっ……!」
足を持ち、遠心力をつけて……
まどか「えいっ!!」
椅子を思い切り投げ付けられた窓は、大きな音を立てて割れる……はずだった。
しかし。
まどか「……えっ……?う、うそ……!?」
椅子は窓に触れた瞬間ぴたりと止まり、
まどか「きゃっ!?」
跳ね返されたてバラバラに!?
これってもしかして……魔法……?
そんな、魔法がかけられてるんじゃ出られるわけなんて……。
それに椅子が壊れちゃったから、ここから逃げようとしたことがほむらちゃんに知られちゃう……。
どうしよう……。
怖い……怖いよ……。
まどか「助けて、パパ……ママ……」
学校のHR前。
美樹さやかと志筑仁美の会話が聞こえる。
さやか「今日まどか休みなんて、どうしちゃったのかなあ?」
仁美「昨日は具合が悪そうな様子はありませんでしたが……心配ですわ」
今日どころか、もうこの学校にまどかが顔を見せることはないだろう。
あんな山奥の、長く使われていないコテージなんて、絶対に見付かるはずもない。
しかも魔法で内外の相互干渉も完全にシャットアウトしている。
キュゥべえの侵入はもちろん、テレパシーも通じない。
だから、まどかの居場所はもう、私以外には知る由もない。
和子「はい、それでは、HRを始めます!……あら?鹿目まどかさんが居ませんね。
美樹さん、志筑さん、何か知ってますか?」
さやか「うーん、待ち合わせの場所に来なかったので多分欠席かと……」
和子「そんな連絡は入ってませんが……。あとで保護者の方に連絡してみましょう」
HR後、職員室。
教員「早乙女先生~、保護者の方から電話ですよ。鹿目さんからです」
和子「あら、良かった。ちょうど今から電話しようと思ってたところです。……はいもしもし」
知久『あ、早乙女先生いつもお世話になってます。
その、ウチのまどかなんですが、学校の方には行ってますか?』
和子「えっ……?いえ実は、そのことでこちらからお電話しようと思っていたところでして……」
和子「それでは、HRを始めます」
放課後。
先生がいつになく真剣な表情をしているのにみんな気付き、教室が少し緊張した空気に包まれる。
和子「今日欠席している鹿目まどかさんの件で、大切なお話があります。実は……」
……やっぱりそうか。
まどかの失踪が明るみに出た。
先生は、今まどかの両親と小まめに連絡を取り合っていること、警察に届出を出したこと、
そして何か知っている生徒がいればどんな些細なことでも報告することを告げ、HRを終えた。
多くの生徒……特に美樹さやかと志筑仁美は、ショックを隠しきれないようだ。
さやか「そんな……まどかが行方不明だなんて……」
仁美「家出……いえ、もしかして何か事件に巻き込まれ……誘拐……!?
あぁ、どうしましょう、どうしたら……まどかさん、どうか無事で……!」
ほむら「…………」
HRも終り、私は帰る準備をする。
席を立ち、教室を出ようとしたところで、ふいに話しかけられた。
さやか「ねえ、転校生……。ちょっと良い?」
ほむら「……あなたの方から話しかけてくるなんて珍しいわね。何かしら」
さやか「あんたさ……まどかのことについて何か知らない?」
ほむら「さあ、知らないわ」
さやか「……本当に?」
ほむら「ええ。どうして私が何か知ってると思うのかしら」
さやか「あんた、やけにまどかに執着してたじゃん。魔法少女絡みで」
ほむら「ええ、そうね。確かに私は彼女を魔法少女にさせないように動いてはいた。
けど、特にあの子だけに固執していたわけではないわ。
本音を言えばあなたにだって魔法少女になって欲しくなかったくらいよ」
さやか「余計なお世話よ。……それより、本当に知らないんだね?」
ほむら「ええ」
さやか「……そう。悪いね、変なこと訊いちゃってさ」
ほむら「いいえ。こちらこそ力になれなくて残念だわ。早く見付かると良いわね、鹿目さん」
さやか「……まどか……どこ行っちゃったんだよ……」
放課後になってから、あたしは心当たりのある場所を手当たり次第に探し回ってみた。
喫茶店、CD屋、ゲーセン、病院に入院してるかもと思って病院の事務の人にも聞いてみた。
その時に、恭介がもう退院したことを知ったけれど、今はそれどころじゃない。
そして町中を歩き回り、気付けばあたしは、昨日佐倉杏子とぶつかったあの場所に居た。
佐倉、杏子……?
……まさか……。
……あり得る。
グリーフシードのために人間を餌にする奴だ。
人間を、文字通り本当に餌としか思ってないかも知れない。
適当な人間を捕まえて、そして使い魔の餌にするなんてことも……あいつならやりかねない……!
その時、背後から声をかけられる。
杏子「なーにやってんだよ、ボンクラ。まさかまだ昨日の使い魔おっかけてんの?」
さやか「っ!!お前……!」
杏子「使い魔なんて狩るのやめなって昨日言ったよねぇ?まだわかんないの?」
さやか「うるさい!そんなことよりあんた、まどかをどうしたの!?」
杏子「はぁ?まどかって……あぁ、あのトロそうなあんたの仲間かぁ」
さやか「良いから答えてよ!まどかはどこ!?あんた知ってるんでしょ!?」
杏子「何?あいつもしかして行方不明か何かな訳?ははっ、迷子にでもなってんじゃないの?」
さやか「ごまかすんじゃないわよ!まどかはどこに居るのかって訊いてるの!!」
杏子「さぁね~。今頃魔女か使い魔の餌にでもなってるのかもねー。ご愁傷様」
さやか「っ!やっぱりお前……許さない!!」
杏子「おっ?急にやる気満々になっちゃって。何があったかわかんないけどさ、良いよ。受けて立とうじゃん」
さやか「まどかを……返せぇえええ!!」
杏子「っと!へぇ、昨日よりずっとマシじゃないのさ!そうこなくっちゃ……ね!」
あたしは必死に攻撃を繰り返した。
けど、それらすべてが虚しく、いとも簡単にかわされ、いなされ、弾き返される。
やっぱり、こいつの方があたしより1枚も2枚も上手だ。
こんなに強いのに……それなのにこいつは、この力を……!
さやか「ぅあっ!!」
杏子「どーしたよ、もうおしまいかい?だったら、さっさと終わらせ……」
QB「また戦ってるのかい?2人ともそんな無益な戦いはやめるんだ。さやか、杏子」
杏子「あぁ?なんだキュゥべえか。邪魔しないでよね、昨日は止めようともしなかったくせにさ」
QB「本当は僕としても意味のない魔法少女同士の戦いは避けたいところなんだよ」
さやか「キュゥべえ……駄目だよ。この戦いは、昨日以上にやめるわけにはいかない!」
QB「昨日以上?何か特別な理由でもあるのかい?」
さやか「こいつは、まどかを殺したんだ!まどかを捕まえて、使い魔の餌に……!」
杏子「……はぁ?ちょっとちょっと、あんた何言ってるわけ?
なんであたしがそんなことしなきゃならないのさ」
さやか「今更とぼけるんじゃないわよ!あんたさっき……」
QB「さやか、それが君の戦う理由かい?それは勘違いだ。杏子がまどかを連れ去ったなんて事実はないよ」
さやか「なっ……!なんでそんなこと分かるのよ!?」
QB「僕は昨日から今朝にかけて、杏子と一緒に居たからね。まどかが姿を消したのはその時間帯だろう?」
さやか「そんな……じゃあ、まどかは……?」
杏子「……チッ。あーあ、なんだよ。しらけちまったじゃねぇか。
とにかく、あたしはあんたのお友達のことなんて知らないよっ。じゃあね!」
そう言って、佐倉杏子は去ってしまった。
QB「…………」
さやか「……ねえ、キュゥべえ。キュゥべえは何か知らないの……?」
QB「残念だけど、今の段階では僕にも何もわからない」
さやか「まさか、本当に魔女に……」
QB「そうかも知れないし、そうじゃないかも知れない。
僕もまどかを失いたくはないから、これから探してみるつもりではいるよ。
とりあえず今日は、君はもう帰って休んだ方が良い」
さやか「えっ、でも……」
QB「ずっと歩き回って、その上杏子との戦闘。体力も魔力もそれなりに消費してるはずだよ。
これでもしさやかまで倒れたりしたら元も子もないじゃないか」
さやか「……うん……。じゃあキュゥべえ、何か分かったらすぐ教えてね」
QB「もちろん、そのつもりだよ」
そうして、あたしはキュゥべえと別れた。
QB(それにしても……魔法少女による誘拐か。1つの可能性として考えておく必要がありそうだね)
ほむら「…………」
・
・
・
ほむら「ただいま、まどか。良い子で待っててくれた?」
日が暮れて少し経ってから、ほむらちゃんは戻って来た。
まどか「あ……ほ、ほむらちゃん……」
ほむら「ごめんなさい、ちょっと用事があって遅くなってしまったわ。お腹空いてるでしょう?
ご飯はちゃんと食べてくれたかしら?朝ご飯どうだった?
私、誰かにご飯作るなんて初めてだったけれど……」
少し高揚した様子でほむらちゃんはそう言い、テーブルの上のお皿に目をやる。
しかしお皿の中を見た瞬間、その表情には陰が落ちた。
お皿の中の朝ご飯は、半分も減っていなかった。
ほむら「……ごめんなさい、まどか。不味かったかしら」
まどか「う、ううん、そんなことないよっ。美味しかったよ!ただ、ちょっと体調が悪くて、食欲がなくて……」
ほむら「そう……。でも何か食べた方が良いわ。今からお粥か何か作るわね。
お粥ならそう不味くもならないだろうし、食欲がなくても食べやすいでしょう?」
まどか「う、うん……ありがとう、ほむらちゃん……」
ほむら「お米を炊かないといけないから、少し時間がかかるわ。
それまで少しでも体調が良くなるようにベッドでゆっくり休んでてちょうだい」
まどか「……どうしよう……」
部屋に戻り、ほむらちゃんに言われた通りベッドに横になる。
そしてそのベッドの横、部屋の扉からのわずかな死角には、壊れた椅子が。
どうしようもなく、こうやって部屋に隠しておくしかできなかった。
でもこんなの、すぐにバレちゃう。
部屋の中に入ってちょっとベッドに近付かれたら……ううんそれより、椅子が1つ減ってることがすぐ……。
その時。
部屋のドアがノックされた。
ほむら「ねえ、まどか」
まどか「ぁ……ぇ……」
呼びかけに答えられないでいると、数秒後、静かにドアが開かれた。
ほむら「まどか。台所にあった椅子、知らないかしら」
まどか「え、えっと、椅子……椅子は、その……」
ほむら「私とまどかの2人分、きちんと2つ用意してあったはずなんだけど。1つしかないの。ねえまどか、知らない?」
静かな声でそう問いながら、ほむらちゃんはゆっくりと近付いてくる。
そして数歩歩いたところで、ピタリと歩みを止めた。
視線は、わたしではなく、わたしの後ろ、ベッドの向こう側に固定されている。
ほむら「…………」
まどか「あ、その……ほむら、ちゃん……。えっと、その、ち、違うの、これは……」
ほむら「まどか……あなた……」
まどか「ひっ……ご、ごめんなさいっ……ごめんなさい……!」
ほむら「わかってくれたんじゃなかったの……?やっぱり、嘘だったの?
また嘘だったの?また私に嘘をついたの?どうしてそんなことするの?
酷いわ、まどか……私はこんなに、こんなにあなたのことを思ってるのに……!」
まどか「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいっ……!」
ほむら「……わかったわ、まどか。口で言っても駄目なら……少しお仕置きが必要のようね」
カシャン
まどか「……えっ……?」
ほむらちゃんが魔法少女姿になったと思った次の瞬間、状況は一変していた。
場所は部屋からダイニングキッチンに移り、そして……わたしの体はテーブルに固定されている。
足はテーブルに括り付けられ、テーブルにうつ伏せに押し付けられて、そして……おしりを突き出すような形になっていた。
しかも、見えないけど多分、何も履かされてない。
わたしのお尻は完全に丸出し状態だった。
そしてすぐ横に、ほむらちゃんが立っている。
まどか「やっ、やだ!ほむらちゃん!?どうしてこんな……!ほどいて!ほどいてよぉ!」
ほむら「恥ずかしいのね、まどか。でも駄目よ、我慢しなさい。お仕置きなんだから」
まどか「やだ……やだぁ……」
とうとうわたしは、恥ずかしさと怖さで泣いてしまった。
でもほむらちゃんはそんなことはお構いなしと言うように、わたしの横に立ち、そっと腰に片手を沿える。
まどか「い、いや……何、するの……?ほむらちゃん……?」
ほむらちゃんはゆっくりと、もう一方の手を振りかぶり……。
ほむら「痛いと思うけど、我慢してね」
まどか「やっ……!」
パァン!!
まどか「ひぅっ!?」
パァン!パァン!パァン!
まどか「あぅっ!ほむらちゃあっ!やめてぇ!」
ほむら「だめよっ。言ってるでしょうっ。お仕置きだってっ」
そう、これは……小さい子どもがお母さんに叱られる時の……。
中学生にもなってこんなお仕置きを、しかも同級生の女の子に……!
まどか「いやぁ!痛いっ!えぅっ!痛いよぉ!やだぁ!こんなのやだぁ!!」
ほむら「我慢っ。しなさいっ。悪いことをっ。したんだからっ。罰なのよっ」
ほむらちゃんは何度も、何度も、わたしのおしりを叩き続けた。
ほむら「どうっ?まどかっ。少しはっ。反省したっ?」
まどか「ご、ごめんなさい!ごめんなさぁい!!もうしませんっ!もうしないからぁ!
ほむらちゃんの言う通りにするからぁ!ごめんなさい!許して!許してぇ!ほむらちゃぁん!」
わたしは泣きながら謝った。
そんなわたしを見てほむらちゃんは、やっとその手を止めてくれた。
ほむら「本当ね?もうここから逃げ出したりしないわね?約束よ?今度こそ、本当に約束よ?」
まどか「ごめんなさい……ごめんなさぁい……。約束する……約束します……」
ほむら「そう……良い子ね、まどか」
ほむらちゃんは、わたしの体をテーブルから解放して、そして頭を優しくなでた。
ほむら「ごめんね、まどか。痛かったよね?本当にごめんなさい」
まどか「ぅえ……ひぐっ……ほむらちゃぁあぁん……」
ほむら「大丈夫?ケガはしてない?後で湿布を貼ってあげるね。
痛いよね、ごめんね。でも、これもみんなあなたのためなの。
あなたが大切だからやったことなの。それだけはわかってね、お願い……」
まどか「ひっく……ぐすっ……」
わたしは、ほむらちゃんに頭を撫でられながら、静かに頷いた。
ほむら「お粥ができたわ。どうぞ、まどか」
まどか「うん……ありがとう、ほむらちゃん。いただきます……」
ほむら「……どうかしら?今度はきっと大丈夫だと思うのだけれど……」
まどか「うん……大丈夫だよ、美味しいよ、ほむらちゃん」
ほむら「そう、良かった」
ほむらちゃんは嬉しそうに笑った。
でもすぐに、少し悲しそうな顔をして言った。
ほむら「あのね、まどか。大切な話があるの」
まどか「……?」
ほむら「実は、今日はもう帰らないといけなくて……しかもしばらく、ここに来られなくなるかも知れない。
次に来られるのは、早くても2~3日後になると思う」
まどか「そう、なの……?」
ほむら「一応1週間はもつように食材は用意してあるから、それでなんとか……。
ごめんね、寂しいかも知れないけど、我慢してね」
まどか「……うん。わかったよ、ほむらちゃん」
そうしてほむらちゃんは、優しく笑って、コテージから出て行った。
・
・
・
まどかと別れて、自宅に戻る。
そして家の近くまで来た時に、ふいに後ろから話しかけられた。
QB「暁美ほむら。君にちょっと話があるんだけど、良いかな」
……やっぱり来たわね、インキュベーター。
ほむら「何かしら。私も暇じゃないの。手短に済ませなさい」
QB「そうかい。なら単刀直入に訊くよ。
君は鹿目まどかの所在について、何か知っているんじゃないのかな?」
ほむら「いいえ。残念だけど、私は何も知らないわ」
QB「君はどうやら、彼女を魔法少女にしないことに執着しているようだった。
強い魔法少女が生まれるのを恐れてか、それとも何か他の理由からか。それは僕にはわからないけれど」
ほむら「私を疑っているのね」
QB「君がまどかを魔法少女にしないよう、なんらかの方法で僕との接触を絶つために行動を起こしていたとしても不思議じゃない。
例えばまどかを殺したり……どこかに監禁したりだとかね」
ほむら「……そう思うなら、好きなだけ調べてみると良いわ。すぐに無駄なことだと分かるだろうけど」
QB「それじゃあ、まずは今から君の家に行っても良いかな」
ほむら「えぇ、不本意だけれど」
……夕方のやり取りを見て、キュゥべえの推察がここまで及ぶことを予想していて正解だった。
QB「なるほど、ここにはまどかに関するものは何もないようだね」
ほむら「当然よ。調べ終わったのなら早く消えなさい」
QB「そうさせてもらうよ。これからまどかについて何か分かったら教えてくれると助かるんだけどお願いできるかい?」
ほむら「気が向いたらね」
QB「やれやれ」
そうして、キュゥべえは出て行った。
出て行ったが……間違いなく、あいつらはしばらく私を監視するだろう。
けど、あいつらは無駄なことはしない。
私の監視が無駄だと分かれば、すぐにやめてしまうだろう。
ただでさえ、「イレギュラー」である私の監視は面倒なはずなのだから。
・
・
・
布団に入った私のまぶたの裏に、あの時の情景が浮かび続ける。
私におしりを叩かれる、まどかの姿。
白く、うっすらとピンク色が透き通って見える柔らかいまどかのおしりが、
私の手にぶたれるたび、形を歪め、徐々に赤身を帯びていく。
強すぎる刺激に合わせ、声をあげるまどか。
目いっぱいに涙を浮かべ、頬を上気させるまどか。
私はその光景を思い浮かべ……。
そんなつもりじゃなかった。
そんなつもりで、あの子にお仕置きをしたんじゃなかった。
それなのに、それなのに私は……。
ほむら「んっ……まど、かぁ……んぅ……」
・
・
・
仁美「さやかさん……少し顔色が優れないようですが、大丈夫ですの?」
さやか「え?あ~、うん……。昨日、やっぱあんまり眠れなくてさ……」
さやか「(それで、どうだったの?転校生は)」
QB「(ほむらの家には、まどかに関係ありそうなものはなかったよ。
ただ、昨日も言ったとおり彼女には動機がある。もう少し監視は続けてみるよ。
けどそればかりに時間を使うわけにもいかないから、数日怪しい素振りがなかったら監視はやめるつもりだ)」
さやか「(そう……悪いね、ありがとう。あいつが犯人じゃないことを祈るよ)」
QB「(あれ、そうなのかい?彼女が犯人だったら事件解決に早く近付くと思うけど)」
さやか「(まあ、ね。身内が犯人ってのも、あんまり気分が良いものじゃないしね)」
放課後。
さやか「……やっぱり、駄目か」
いくら探しても、まどかは居ない。
あたしは歩き疲れて、公園のベンチに座り込んでいる。
これだけ探しても、全然見付からない……手がかりすらない。
やっぱり、まどか……魔女に……。
杏子「よぉ、今日も迷子のお友達の捜索中かい?」
さやか「……何よ。昨日の続き?」
杏子「それも良いが、そうじゃない。今日はあんたに良い情報があって来たのさ」
さやか「良い情報……?」
杏子「あんたのお友達だが、少なくとも魔女や使い魔には殺されちゃいないよ」
さやか「……!なんで、そんなこと……」
杏子「なんで分かるかなんてどうでも良いだろ?
ま、良かったじゃん。これでちったぁ望みが出たんじゃない?」
さやか「……本当なんだね……?信じて良いんだね?」
杏子「信じたくなきゃ信じなけりゃ良いさ。あんたの好きにしな」
さやか「ううん、信じるよ。嘘ついてるようには見えないし」
杏子「ん……なんだよ、調子狂うじゃんかよ」
さやか「わざわざ悪いね。……ありがと」
杏子「……ふんっ、それじゃ用は済んだからな!じゃあね!」
人に感謝されるのなんて何年ぶりだろう。
少なくとも、自分のためだけに魔法を使い出してからは初めてだ。
こういうのもなんていうか……悪くないっていうか……。
杏子「……くそっ。調子狂うよなホント……」
1人そう呟いたその時。
ほむら「佐倉杏子」
杏子「ッ!?……あんたか」
ほむら「今日は美樹さやかとは戦わないのね」
杏子「ふん……。それで何さ?用事があるんだろ?」
ほむら「ええ。少し時間を貰えるかしら」
・
・
・
杏子「……ワルプルギスの夜、ねえ。確かに1人じゃきついが、2人がかりなら勝てるかもね
ほむら「…………」
杏子「食うかい?」
ほむら「……交渉成立ね」
杏子「あぁ、そう言えば」
ほむら「何?」
杏子「あいつの、美樹さやかのお仲間が行方不明なんだと。あんた、何か知らない?」
ほむら「さあ」
杏子「なんだよ、やけに冷たいじゃん。あんたもまどかって奴と知り合いなんだろ?」
ほむら「冷静なだけよ。熱くなったところで、あの子が帰ってくるわけじゃない」
杏子「ふーん。ま、あたしには関係ないことだけどさ」
ほむら「それにしては、いろいろと調べ回っているようだけど」
杏子「……ったく、どこまでお見通しなんだか。魔女狩りの一環だよ。新しい魔女の手がかりになるかも知れないしね」
ほむら「そう。けれどこれからは、その時間をワルプルギスの夜の対策にあててちょうだい。
一筋縄で行く相手ではないことは分かってるわね」
杏子「ちっ……わかったよ」
ほむら「今日の用事はそれだけ。じゃあ、また明日」
……ほむらちゃんは来ない。
日が暮れて、もうしばらくが経つ。
本当に今日1日、ほむらちゃんは来なかった。
昨日よりは落ち着いたおかげかな、少しは食欲も戻って来たみたい。
それでもやっぱり、不安と寂しさで、すごく悲しくなって、1人で何度も泣きそうになった。
たった1日、1人で過ごすことがこんなに辛いなんて……。
ママ、パパ、たっくん、今頃何してるかな……。
きっとすごく心配してるんだろうな……。
会いたい……会いたいよぉ……寂しいよぉ……。
……ほむらちゃん、早く帰って来ないかな……。
・
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・
キュゥべえの監視が始まってから3日後、私が杏子とワルプルギスの夜の対策を立てている時のこと。
3日ぶりにあいつは現れた。
QB「やれやれ。ワルプルギスの夜の出現をここまで正確に予測するなんて、君は何者なのか切実に知りたいね」
ほむら「あなたに言う必要はないわ。何しに来たの?」
QB「鹿目まどかに関する情報を何か知らないか訊きに来たんだよ」
杏子「あん?なんで今になって。ここ数日何やってたんだよ?」
QB「僕なりに情報を得ようと努力はしていたんだけどね。どうやら無駄だったらしい。
だからこうして、今度は別の方法に移ってるってわけさ」
ほむら「そういうことなら残念だったわね。私たちは今鹿目まどかどころじゃないの。
何か調べてる余裕なんてないわ。もう良いでしょう?消えなさい」
QB「そうかい、それは残念だ。
じゃあ今のところは、『まどかは魔女に殺されてはいない』ということしか分からないってわけだね。
もしまた何か分かったことがあれば頼むよ、杏子。それじゃ」
どうやら、私の監視は解かれたらしい。
これでやっと、まどかに会える。
一人ぼっちで、きっと寂しがっているはずだ。
早く会いに行きたい……。
念のため、明日の朝はまだ我慢しよう。
会いに行くのは放課後だ。
あぁ、明日の放課後が待ち遠しい。
・
・
・
ほむらちゃんが来なくなってから、えっと……3日か4日だと思う。
別れ際にほむらちゃんが言ってた通りなら、早ければ今日くらいには来るはず。
時計を見ると、もう学校が終わってしばらく経っていた。
まだほむらちゃんは来ない。
今日も、来てくれないのかな……。
そう思ったその時、外から足音が聞こえた。
そして玄関が開き……
ほむら「まどか、ただいま!」
まどか「ほむらちゃん……!」
ほむら「ごめんね、ごめんね……寂しかったでしょう……?
たった1人でこんな所に置き去りにして、本当にごめんなさい……!」
まどか「ううん……良いの。帰ってきてくれるの、待ってたよ。ほむらちゃん……」
ほむら「まどか……!」
ほむらちゃんは、わたしに駆け寄ってくる。
そしてわたしは、そのほむらちゃんの目の前に……包丁を突きつけた。
ほむら「え……?」
ほむら「ま……まどか……それは……?」
まどか「お願い、ほむらちゃん……わたしを、ここから出して……!」
ほむら「ま、まどか……?」
まどか「ほむらちゃんが魔法を解いてくれないと、ここから出られないんだよね……?
早く、ほむらちゃん……わたしを、家に返して……!」
ほむら「まどか……。包丁なんて、そんな、危ないわ……。ほら、そんなもの、手を離して……」
まどか「ほむらちゃん!わたし、ほむらちゃんを……きょ、脅迫してるんだよ!
わたしを出してくれなきゃ、ほむらちゃんを、刺しちゃうかも知れないんだよ!」
ほむら「っ……!」
包丁を持つ手が震えているのが、自分でもよく分かる。
本当は、ほむらちゃんにケガなんてさせたくない。
でも、こうでもしなきゃ、きっとわたしはここから出られない。
そうしなきゃいけないのなら、わたしは、ほむらちゃんを……!
ほむら「……魔法少女に変身しても良いかしら……」
まどか「えっ……?」
ほむら「あなたをここから出すには、このコテージにかけた魔法を解かなければならない。
そのためにはまず魔法少女の姿に変身する必要があるのだけど……」
まどか「で、でも、魔法少女の姿になったりしたら、また不思議な魔法使って……」
ほむら「……。だったら、仕方ないわね」
そう呟くと、ほむらちゃんは、ゆっくりとわたしに近付いてきた。
まどか「ひっ……!」
まどか「こ、来ないで!わたし本気だよ!本当にほむらちゃん、さ、刺しちゃうよ!」
ほむら「…………」
それでもほむらちゃんは歩みを止めない。
知らず知らずのうちに、わたしの方が後ろにさがって……とうとう、壁まで追い詰められてしまった。
もう後がない。
まどか「ゃ……いや……」
そして、ついにお互いの距離が手が届くまでに縮まった時、ほむらちゃんはゆっくりと、わたしに向かって手を伸ばして……。
まどか「っ……やめてぇっ!」
思わずわたしは、包丁をその手に向かって思いきり振ってしまった。
まどか「ぁっ……」
顔に血が飛び散ったのがわかる。
床にも、今まで見たことないくらいのたくさんの血が滴り落ちる。
わたしの握っている包丁は、ほむらちゃんの白いキレイな手を、赤く、歪な形に変えて食い込んでいる。
けどほむらちゃんは顔色ひとつ変えずに、その真っ赤な手で、包丁を握り締めた。
ほむら「…………」
まどか「ひっ……あ……ぁ……」
わたしは、まるで突然電流が走ったかのような勢いで包丁から手を離した。
そしてそのまま、体を壁に張り付けたまま動けない。
目線は、冷たいほむらちゃんの視線に釘付けになったまま。
ほむら「どうしたの、まどか。わたしを刺すんじゃなかったの?こんな、ちょっと手を切ったくらいで満足?」
ほむらちゃんは手に食い込んだ包丁を静かに抜き取り、
ほむら「どんな風に刺すつもりだったのかしら。こんな風に?それとも、こんな風に?」
静かに、囁くようにそう言いながら、自分の体を何度も、何度も……。
目の前のほむらちゃんが、どんどん赤く染まっていく。
そしてわたしの視界は、真っ黒に染まった。
目が覚めると、わたしはベッドに寝かされていた。
とりあえず上半身を起こそうとしたけど……。
起き上がれない……?
まるで、両腕がベッドにくっ付いてるみたいに。
そして、気付く。
両腕だけじゃない、両足も動かない。
何が起こってるのか、自分の体を見ようとしたけど、布団がかけられていてそれも無理。
怖くなったわたしはがむしゃらに体を動かそうとしたが、手も足もわずかにベッドから浮く程度で、
どれだけ頑張ってもベッドが軋むだけだった。
そして、その軋みを聞きつけたのか、部屋のドアが開き、
ほむら「気が付いたのね、まどか。気分はどう?どこかおかしなところはない?」
まどか「ほ、ほむらちゃん……!?」
ほむらちゃんの体は、元通りのきれいなままに戻っていた。
まどか「ほむらちゃん、わ、わたし……どうなって……!」
そう叫ぶと、ほむらちゃんは少し悲しそうな顔をした。
ほむら「まどか……私も本当はこんなことしたくないの。
できればあなたには、ここでのんびり幸せに過ごして欲しかったんだけど……」
ほむらちゃんはベッドに近付き、そして、布団をめくった。
まどか「……そん、な……」
ほむら「身動きがとれなくて辛いでしょうけど……お仕置きなの。我慢してね」
わたしの両腕と両足は、鎖でベッドに繋がれていた。
ほむら「大丈夫よ、お仕置きが済んだらきちんと外してあげるから」
まどか「や、やだ……お願い、ほむらちゃん……外して……こんなの……」
ほむら「言ったでしょう?お仕置きが済んだら外してあげるわ」
まどか「そ、そんな……いやだ……怖いよ……ほむらちゃん……」
ほむら「我慢しなさい。お仕置きなんだから」
まどか「ご、ごめんなさい……。もうしないから、お願いだから……」
ほむら「駄目よ」
まどか「ほ、ほむらちゃん……」
ほむら「駄目。我慢しなさい」
まどか「お、お願い……こんなのやだ、こんなの、や……」
ほむら「我慢しなさいって言ってるでしょう!?」
まどか「ひっ……!!」
まどか「っひ……ぅえ……ひぐっ……ぇ……」
ほむら「ハァ……ハァ……ハァ……」
まどか「ぇぐっ……ぐすっ……えぅっ……」
ほむら「……返事くらい、したらどうなの……!」
まどか「ぇっ……ぁ……あぅ……」
ほむら「返事してよ!!」
まどか「っは、はい……!ごめ、なさい……ごめんなさぃ……!」
ほむら「………………」
まどか「ごめんなさぃ……ごめんなさい……!」
ほむら「……怒鳴ったりしてごめんね、まどか。ほら、もう泣かないで。ね?」
しばらく経ち、私が少し落ち着いたのを確認して、ほむらちゃんは声をかけた。
ほむら「ねえ、まどか。お仕置きのことなんだけど……。辛いでしょうけど、食事を抜くわね」
まどか「……え……」
ほむら「我慢できるわね、まどか?」
お仕置きって、拘束だけじゃないの……?
ご飯まで抜かれちゃうの……?
そう思ったけど、これを言うとまたほむらちゃんを怒らせてしまいそうで、怖くて言えなかった。
だからまたわたしは、黙って頷くしかできなかった。
ほむら「それじゃ、まどか。おやすみなさい」
まどか「……うん」
私はまどかを部屋に残し、扉を閉める。
ほむら「…………」
……やっぱり、変だ。
さっきのまどかの怯えた顔や、泣き顔が瞼の裏から離れない。
そして、私はそんなまどかの表情に……。
昔は、こうじゃなかったはずなのに。
まどかの笑顔を守りたくて、怯えた顔も、泣いた顔も、一番見たくなかったはずなのに。
それなのに……。
お腹の、奥の方がうずく。
下着の上から大事な部分をそっと触ってみると……そこはしっとりと濡れていた。
翌朝。
ほむら「おはよう、まどか」
ほむらちゃん……。
まどか「うん……おはよう」
ほむら「調子はどう?どこか具合の悪いところは無いかしら?」
それって、すごくお腹が空いてること以外で、だよね……。
体調が悪いってことはないんだけど、でも……。
まどか「えっと……その……」
ほむら「どうしたの?まどか。何か様子が少し変だけど……」
まどか「あの、ね。ほむらちゃん……その……お手洗いに行かせて欲しいな、って……」
ほむら「……なんだ、そんなこと」
まどか「お願い……だって、昨日の夜からずっと行ってなくて、だから……」
ほむら「でもごめんなさい。『お仕置き』の最中だから、拘束を外すわけにはいかないの」
まどか「そ、そんな……!」
ほむら「大丈夫よ、安心して」
そう言ってほむらちゃんは、わたしが寝ているベッドの下から何かを取り出した。
まどか「え……?そ、それって……」
ほむら「介護用の尿器……と言っても分かりづらいかしら。これを使えばそのままでも排泄が可能よ。
お手洗いに行く代わりに、これを使いましょう」
まどか「えっ……?」
それってつまり、今ほむらちゃんが持ってるその器の中に……おしっこするってこと……!?
まどか「え、えっと……じゃあ使い方を教え……」
ほむら「その必要はないわ」
まどか「えっ?」
ほむら「言ったでしょう?お仕置きだから拘束を外すわけには行かないの。
使い方を説明したところで、両手が自由でないと使うことなんてできないもの」
まどか「じゃ、じゃあ……」
ほむら「だから、私が全部手伝ってあげるわ」
まどか「えっと…その///うんこなの」
ほむら「…ご飯を持ってくるわ」
ほむら「下着を脱がせるわね」
そう言って、ほむらちゃんは布団をめくり、わたしのスカートの下に手を入れてきた。
まどか「えっ!ま、待って!ほむらちゃん!そんなのおかしいよ!」
わたしは一生懸命、身をよじらせて抵抗する。
ほむら「じっとして。脱がせられないでしょう。それとも、そのまま漏らしてしまう方が良いのかしら?」
まどか「そ、そうじゃないけど……!でもこんなの変だよ!恥ずかしいよ!絶対おかしいよ!」
ほむら「……じっとしなさい。私を困らせないで」
まどか「っ……!」
ほんの少し、ほんの少しだけほむらちゃんの語気が荒くなっただけで、昨日のことを思い出して、
それだけでわたしは怯え、抵抗できなくなってしまう。
ほむら「……良い子ね」
スルリと、下着が足から抜ける感覚がして、
次に、お尻と前の部分に、器の入口があてがわれる感触がした。
ほむら「……さあ、良いわよ、まどか。もう出して大丈夫」
まどか「嫌だぁ……嫌だよこんなの……恥ずかしいよぉ……」
ほむら「……恥ずかしくて出ないの?……仕方ない子ね」
次の瞬間、わたしのお腹の下の方にヒヤリとした感触が。
まどか「ぃひゃっ……!?」
ほむら「手伝ってあげるわね」
そう言ってほむらちゃんは、私の下腹部に置いたその綺麗な手を小刻みに、でも力強く振動させて、刺激してくる。
まどか「やっ、やめて!ほむらちゃん!いや!いやぁ!だめ!で、出ちゃう!出ちゃう!」
ほむら「大丈夫よ……全部、全部出してしまいなさい」
そしてついに、わたしの我慢は限界を迎えた。
まどか「やだ、やだやだやだぁ!あ、ゃあああああっ!!」
最初にピュッと出た後は、まるでダムが決壊したかのように、おしっこが音を立てて噴き出した。
器に水の落ちるパタパタという音から、次第にジョボジョボという、もっと恥ずかしい音に変わっていった。
同級生の女の子に、おしっこを出しているところをすぐ近くから見られているということはもちろん、
自分がそんな大きな音を立てておしっこをしていて、
それを聞かれているということも、すごく恥ずかしかった。
あんまり恥ずかしくて、わたしはまた泣いてしまった。
そうしてやっと、おしっこは止まった。
実際は1分もかかってないだろうけど、もっともっと長く感じた。
ほむら「……もう良いかしら?いっぱい出たわね、まどか」
まどか「……っひ……ぐすっ……」
ほむら「それじゃ、拭くわね……」
まどか「えっ……、ま、待っ、んぅっ!?」
そんな……わたし、ほむらちゃんに、あそこを……。
直接、ティッシュで拭かれてる……!
まどか「ぅう……ひぐっ……ぅええ……」
ほむら「もう、泣き虫ね、まどかは……。はい、終わったわよ」
恥ずかしくて、まともにほむらちゃんの顔を見ることができない。
けど、不意に鳴り出したガサガサという音に、思わず目を向ける。
その音の正体は……。
ほむら「私が学校に言ってる間にお手洗いに行きたくなったら大変だから……これを履いててちょうだい」
……これは、わたしでも知ってる。
たっくんのをよく取り替えてたから……。
小さい子だけじゃなくてお年寄りも履いたりするっていうのは聞いたことあるけど、中学生で、
しかも同じクラスの女の子に履かせてもらうなんて、きっとわたしくらいだ。
ほむら「それじゃまどか、少し腰を浮かせてもらえるかしら」
まどか「…………」
その事実が、この現状が、すごく恥ずかしくて、情けなくて……でも、怖くて。
もう抵抗せずに、わたしは黙って、ほむらちゃんにオムツを履かされた。
ほむら「それじゃあまどか、良い子でね」
そう言い残し、私はまどかのおしっこが入った尿器と、まどかが履いていた下着を持って部屋を出る。
まどかは、気付いていただろうか。
あの子のおしっこが出ている間、私の片手は、ずっと自分の下半身に伸びていたことに。
もう今更、自分の異常性を否定なんてしない。
まどかの怯えた顔に興奮し、まどかの泣き顔に欲情し、そして今手元にある、まどかの尿と下着。
においを知りたい味を知りたい手触りを知りたいぬくもりを知りたい。
いけないことだとは分かっているけれど……。
でも、でも……。
ほむらちゃんが学校に行って、しばらく経って。
そろそろ学校もおしまいの時間。
昨日のお昼から何も食べてなくて、もう夕方。
でもわたしは今、空腹は感じていない。
空腹とは別のものと、必死に戦っている。
それは今朝と同じだけど、違うもの。
今度は、おしっこじゃなくて……。
まどか「やだ……やだよ……こんなの……お願いだから……」
・
・
・
ほむら「ただいま、まどか」
放課後、私はまっすぐにコテージへと戻ってきた。
そして、まどかの居る部屋のドアを開ける。
ほむら「良い子で待ってた?まどか……あら」
ドアを開けて、視界にまどかの姿をとらえるが早いか、鼻孔を変わったニオイが通過した。
ほむら「……このにおい、もしかして」
そう呟いたのが聞こえたのか、まどかはビクリと体を震わせる。
まどか「……ひぐっ……」
そのニオイと、まどかの反応、表情を見て、
ひとつの事実に推察が及んだ瞬間、私は下腹部が熱くなるのを感じた。
ほむら「まどか……待っててね、すぐに取り替えるわ」
ブボボモワ
まどか「や、やだぁ……お願い、来ないでぇ……」
ほんのわずかの抗議を無視し、私はまどかのもとへ行き、布団をめくる。
その瞬間、ニオイが少し強くなったような気がした。
まどか「やめ、お願……ぇう……ぐすっ」
下半身に手を伸ばしテープに手をかけた瞬間まどかは観念したのか、静かにすすり泣くだけとなった。
まどかの下半身が、解放される。
そこには、やはり食事をあまり取っていないため量は多くはないが、ちゃんと『それ』はあった。
ほむら「お腹の調子は悪くないみたいね、良かった。緩くもないし……」
まどか「やだぁ!言わないで!」
ほむら「ごめんなさい、でも安心したわ。それじゃあまず綺麗にするわね」
まどかのすすり泣きを耳に、ニオイを鼻に感じながら、私はまどかのお尻を拭き終えた。
そして、新しいオムツに取り替える。
ほむら「昨日のお昼から何も食べていないし、
もう排泄は起こらないかも知れないけれど、一応取り替えておいたから」
・
・
・
ほむら「今日はね、2時間目の数学の時間に……」
まどか「…………」
わたしのオムツを取り替えて、しばらく部屋の外に出て戻って来てから、
ほむらちゃんはずっとベッドの横に座って話をしている。
内容は、他愛もないこと。
登下校であったこととか、学校であったこととか。
まるで、昨日までの会ってなかった数日間を取り戻すためだと言うように、ほむらちゃんは話続けている。
ほむら「だから今日は……まどか?」
まどか「えっ?あ、えっと、ご、ごめんね……ちょっとボーッと……」
まどか「えっと……今日は、何?どうしたの……?」
ほむら「……今日は今から用事があるから、家に帰らなきゃいけないの。
寂しいと思うけど、我慢しててね」
まどか「あ、うん……」
ほむら「それにしばらく毎日、夜は家に戻らないといけないの。ごめんね……」
まどか「そう、なんだ……」
ほむら「ごめんなさい……。それじゃあ、また明日の朝。おやすみなさい、まどか」
そうして、ほむらちゃんは出て行った。
……お腹、空いたなぁ。
それに喉がカラカラ……。
まどかの別荘を後にし、自宅に戻ってしばらく後、彼女は来た。
杏子「よっ。待ったかい?」
ほむら「いいえ、時間通りよ。早速始めましょう」
杏子「ちょい待ち。あたしまだ飯食ってないんだよ」
ほむら「食事なんて後で良いでしょう」
杏子「飯食わなきゃ頭働かねえだろ?お湯貸してくれない?」
ほむら「……ちょっと待ってなさい。今沸かすから」
杏子「おう、悪いな」
杏子「ところで、まだまどかって奴、見つからないわけ?」
ほむら「……気にしてるのね、意外だわ。心配してあげてるのかしら?」
杏子「そういうわけじゃないさ。お互いの近況報告ってやつも大事だろ?」
ほむら「……あの子はまだ行方不明のままよ」
杏子「あんたは探したりしてないのかい?美樹さやかみたいにさ」
ほむら「大人が大勢動いているのに、私たちが少し探したくらいで見つかるはずもない。
それに何度も言ったでしょう。今はそれどころじゃないのよ」
杏子「……ふーん……。まぁ友達でもなんでもない奴のためにそこまでしてやる義理もないか」
ほむら「…………。あなたもそんなことを気にするより、」
杏子「ワルプルギス対策を優先しろ、ってか?」
ほむら「わかってるなら行動で示しなさい。……ほら、お湯が沸いたみたいよ」
杏子「……あぁ、サンキュ」
翌朝。
ほむら「おはよう、まどか。調子はどうかしら?」
まどか「……ほむぁちゃん……」
ほむら「やっぱり、少しつらいようね……」
まどか「……お水、だけぇも貰えないかな……喉がカラカァなの……」
ほむら「……もう少し頑張ってね。お仕置きだということを忘れては駄目よ」
まどか「…………うん」
口の中が乾いているせいなのか、上手く喋れていないようだ。
やっぱり飲まず食わずは堪えるらしい。
でも、もう少しだけ様子を見よう。
2度目のお仕置きだから、少し厳しめにいかないと。
これもみんな、まどかのためなんだから。
……ほむらちゃん……なんて言ってたっけ……。
おかしいな、さっき聞いたばっかりなのに……。
頭がぼーっとして、何も考えられない……。
ただただそれよりも、喉も、口の中も、カラカラだ。
今はとにかく、水が欲しい。
お腹も空いてない。
とにかく水が欲しい。
水が欲しい。
水が欲しい。
学校の屋上
さやか「ねえ、キュゥべえ……まどかのこと……」
QB「残念ながら、未だに手掛かり無しだ。たまに得た手掛かりも、結局は見当違いのものばかりだよ。
まどかが失踪してからそろそろ1週間だ。さやか、最悪の場合を覚悟しておいた方が……」
さやか「何よそれ……まどかを諦めろって言うの!?そんなのできるわけないでしょ!?」
QB「諦めろとは言ってるわけじゃない。ただ、精神的ダメージを少しでも緩和するために
最悪の場合も想定しておいた方が良いだろう?」
さやか「同じことでしょ……!キュゥべえ、あんたまさか……!」
QB「もちろん僕もまだ諦めるつもりはないよ。けど杏子からもなかなか新しい情報も入らないし……」
さやか「杏子、って……あいつが……?」
QB「そうだよ。君も知ってるだろう?杏子がまどかについて色々と調べてくれていることは」
キュゥべえの言葉は、俄かには信じがたいものだった。
確かに以前、あいつはあたしに情報をひとつ教えてくれた。
でもそれはキュゥべえから得た情報か、もしくは何かの形でたまたま知ったことだと思ってた。
さやか「……わざわざ、調べてくれてた……?」
QB「もしかして知らなかったのかい?
杏子はここ数日、魔女退治の時間以外はずっとまどかについての手がかりを探り続けている。
まぁ情報が入ってこないことを考えるとあまり捗ってはいないようだけどね」
さやか「そう、なんだ。あいつ……」
もしかして、あたしが思ってたような奴じゃないのかな……。
・
・
・
放課後。
今日もワルプルギスの夜の対策を杏子と2人で立てる。
しかしその前に当然、私はまどかのもとへと向かった。
今朝のあの子の様子を見ると、体調はあまり良くないようだった。
まどかがもう二度と逃げ出そうという気など起こさない程度のお仕置きが必要とは言え、死んでしまっては元も子もない。
さすがにまだ死ぬことはないだろうが、それでも自然と気が急いた。
コテージに着き、まどかの居る部屋の扉を開け、
ほむら「ただいま、まど……」
まどか「ほむぁひゃ……!みぅ、みずぅ……みずぅうう……!!」
その様子は、明らかに今朝とは違う。
私の姿を確認した途端、一生懸命を通り越して必死に水を乞うまどか。
まどか「おねぁい、おねぁいい……!!みずぅ……!のまへひぇえ……!!」
それほどまでに渇きが深刻なのか、もしくは脱水症による精神障害か……。
どちらにせよ、すぐに水分を与えたほうが良さそうだ。
……けれど。
ほむら「まど、か……」
必死に表情を歪めて私に懇願するまどか。
その姿を見て、私はこれまでで一番の……。
ほむら「そう、ね……。待ってね、すぐに持って来てあげるから。飲ませてあげるから……」
部屋を出て、蛇口からコップに水を注ぎ、部屋へと持って入る。
まどかの視線はコップに釘付け。
私はベッドの横に立ち、そしてそのコップの水を、まどかの目の前で飲み干した。
まどか「ッ!?ぃあ、いあああ!!みずぅ!のまへひぇええ!!!」
その様子に、また思わずぞくりとする。
……安心して、まどか。
あなたの欲しい物は、ちゃんとまだ、ここにあるわ。
私はまどかに顔を近づけ、口の中を見せる。
そこには、まだ少しだけ水が含まれていた。
まどか「ぁ、あぁあ……みず、みずぅ……!」
もうまどかには、私の口しか見えていない。
私はゆっくりと、まどかの唇に自分の唇を重ねた。
まどか「んむ……ちゅ……ぴちゃ……ずちゅ……」
まどかはすぐに残っていた水をすべて飲み干した。
しかしそれだけではまだ足りないようで、
私の口内の水分をすべて吸い出すような激しさで舌を動かす。
ほむら「んん……んぶ……ちゅ……ぁむ……」
私の頬の内側、唇の裏側、歯茎、舌。
まどかの舌が、私の口内をくまなく舐めまわす。
さらに舌に吸いつき、私自身の水分すらも吸い出そうとする。
朝の尿瓶が出てくるんじゃないかと思ってしまった俺は末期
ホッとしたが
>>253
とっくにほむほむが飲んだ
ほむら「んむぁ……はぁ……はぁ……」
まどか「ぁ……やらぁ……もっと、もっとぉ……」
唇を離してみると、やはりまどかは物足りないらしくさらに懇願してきた。
息をするのも忘れるほどに私の口をむさぼったおかげで、呼吸は乱れ、頬はうっすらと赤い。
その姿は、外れかけた理性のたがを外すには十分だった。
まどかを性の対象として見ても、直接何かをするつもりはなかった。
だけど……。
ほむら「もっと欲しいのね、まどか……。良いわ、もっとあげる……」
私はその場で、着ていた服をすべて脱いだ。
そして私は、自分の胸をまどかの顔に近づけ、
ほむら「……吸えば、おっぱいが出るかも知れないよ?」
そう囁いた。
当然、母乳なんて出るはずがない。
そんなこと、私たちくらいの年になれば誰だって知ってる。
しかし、今のまどかは……。
まどか「ぁむ、ちゅ……ずちゅぅう……!」
ほむら「んっ……!」
まどか「ちゅぅ……ちゅぅう……!」
まどか「ちゅぅ……ちゅぅう……!」
ほむら「んぁっ、ま、どかぁ……」
まどかはすぐに私の乳首に吸いつき、出もしない母乳を求めて吸い続ける。
未知の強い刺激に加え、オムツを履き、
胸に吸いつくその赤ん坊のような姿は、ますます私の体を熱くさせた。
しかしその時間もいつまでも続くわけはなく、
まどか「でぁい……でないよぉ……」
いくら吸い続けても水分を得られないことにまどかは気付いた。
ほむら「んはぁ……ふふっ。ごめんね、まどか。おっぱいなんて、出るわけないの。
でも、大丈夫……。今度は本当に、ちゃんとあげるから……」
私はベッドの上に乗り、まどかの顔を跨ぎ、私の、大切な部分をまどかに見せた。
ほむら「ほ、ほら、ね……?ここ、たくさん濡れてるでしょう……?」
ほむら「んっ……はぁ……はぁ……」
まどかに、見られている。
全部見られている。
それだけで私の体は痺れ、まともに立っていることすら難しくなってくる。
まどかの顔の横に膝を付き、アソコをさらに近づける。
まどかの熱い吐息がかかり、
ほむら「んぁっ……!」
一瞬、快感が体を走り、身震いしてしまった。
すると、私のアソコから、まどかの口へ、少し粘り気を帯びた水が一滴垂れた。
まどか「ぁ……みず……みず……!」
その一滴がきっかけになり、まどかは、私のアソコを強く求めだした。
ほむら「良いよ、まどか……。いっぱい飲んでね」
私は腰を落とし、とうとう、まどかの口が、私の大切なところに触れた。
ほむら「ぅんっ……!っは、はぁ……んぁああ!」
まどかは音を立てて、私の大事なところに吸い付く。
水分を少しでも得ようと、舌を入れ、中を弄り、中を吸い出す。
慣れない刺激と、今まさに、まどかが、
あのまどかが私のアソコを一心不乱に啜っているという事実。
そんな状況に長時間耐えられるはずもなく。
ほむら「ぁっ、あっ、やっ……!出ちゃう、まどか、まどか……出る……!」
まどか「じゅぶ……じゅる……んぁ……はぁ、ぁむ……!」
ほむら「飲んでね、まどか、全部飲んでね!ぁ、あ、ぃあああああああ!!!」
まどか「んぐっ……!ぁぶ、ごく……ごく……」
ほむら「ぁ……はぁ……はぁ……ま、どかぁ……」
私から出た透明な液体を、まどかは美味しそうに一生懸命一滴も逃すまいと飲んでいる。
ほむら「……まどか……」
まどか「……ほむら……ちゃん……。みず……」
ほむら「……うん……。待っててね。もっと飲みたいんだよね?飲ませてあげるから」
……ごめんね、まどか。
・
・
・
まどかは水分をとった後、死んだように眠った。
まどかの就寝を確認し、私は自宅への帰路を急ぐ。
杏子との約束の時間に、このままでは遅れてしまう。
下手に怪しまれないためにも、自宅で杏子を待っていたい。
……しかし。
杏子「ん?なんだ、今お帰りかい?」
ほむら「……えぇ。待たせてしまったかしら」
杏子「いいや、ちょうど今来たとこさ」
家の目の前で、鉢合わせしてしまった。
杏子「にしても遅いお帰りだね。ははっ、学校で居残りでもしてたか?
っと、あんたらの学校は逆方向か」
ほむら「…………」
杏子「ま、とにかくタイミングが良かった。
あたしも待ちぼうけ食らわずに済んだことだしな。さっさと入ろうぜ」
ほむら「えぇ、そうね。入りましょう」
……あまり気にはしていないようだ。
良かった。
次からは気を付けよう。
ほむら「それじゃあ、また明日」
杏子「ああ。またな」
今日も暁美ほむらとのワルプルギス対策会議を終え、あたしはホテルへと帰る。
杏子「はぁ~あ、ねっむ……」
それにしても、作戦会議は良いがなんでこんな遅い時間にするんだろう。
始めの3日間くらいまでは普通に夕方頃から集まってたような気がするんだが……。
帰る途中にコンビニで菓子を手に入れ、ホテルへと向かう。
後は寝るだけ……だったけど。
杏子「……おっ?この反応……」
人気のない、寂れた路地を通りかかった時、ソウルジェムが反応した。
魔女だ。
どうやら、ちょうど目の前にあるビルに潜んでるらしい。
杏子「こんな夜中から性が出る奴だな。ま、それはあたしも同じか?」
せっかくの獲物だ。
こいつを狩ってからぐっすり寝るとしよう。
杏子「あー、くっそ。思ったより時間かかっちまった」
結界が解け、景色はもとのビルの屋上に戻る。
杏子「さて、グリーフシードもゲットしたし帰るか……ん?」
なんとなく屋上から景色を眺めていた時に、ふと視界に映ったもの。
人気がないから動くものは目立つ。
じっと目を凝らして見てみると、アレは……。
杏子「……暁美ほむら……?」
あいつ、こんな時間に何を……もう夜明け前だぞ?
その時、疑念という程のものでもないが、何かが引っ掛かった。
あいつのこの事件への無関心さは前々から少し気になっていたんだ。
まさかあいつ、鹿目まどかの失踪について何か……?
そうこうする間にも、暁美ほむらはどんどん市街地を離れていく。
杏子「……追ってみるか」
ほむ
翌朝。
さやか「おはよう、仁美」
仁美「おはようございます」
さやか「…………」
仁美「…………」
やっぱり、待ってみてもまどかは来ない。
あれから毎日、いつもの待ち合わせの時間より10分は待つようにしてるけど、まどかが来たことはない。
仁美「さやかさん……」
さやか「……うん、ごめん。行こっか……」
と、歩き出そうとしたその時。
杏子「(おい。学校なんて行ってる場合じゃないかも知れねーぞ)」
さやか「っ!?」
杏子「(話があるんだ。ちょっと顔貸してくれる?)」
さやか「えっ、と……。ご、ごめん!仁美!あたし今日学校休む!」
仁美「えっ?さやかさん、ちょ、ちょっとそんな……!」
さやか「それで、話って何?」
杏子「察しはついてるだろ?鹿目まどかの件だ」
さやか「っ!何か分かったの!?まどかはどこ!?無事なの!?」
杏子「落ち着きなよ。呼び出しといて悪いが、まだはっきりしちゃいないんだ」
さやか「はっきりしてない、って……どういうこと……?」
杏子「今から話すことがあたしの勘違いじゃなければ、一気に事件解決に近付くだろうけど、」
さやか「でも勘違いかも知れないから、そのつもりで聞けってことね」
杏子「そういうこと。先に言っとくが、もし勘違いだったとしても……」
さやか「怒ったりなんかしないよ。だから早く話して!」
杏子「……あぁ。単刀直入に言うよ。
……鹿目まどかの失踪について、暁美ほむらが何か知ってるかもしれない」
さやか「っ……転校生が……!どういうことか説明して!」
杏子「昨日の晩なんだが……」
杏子「……って訳だ」
さやか「……魔法で覆われた、コテージ……」
杏子「それでそのまま、あいつは朝までコテージから出てこなかったってわけさ」
さやか「そう、なんだ……」
杏子「そのコテージで何をしてるのかは分からねえが、鹿目まどかに関係してる可能性はあるだろ?
……で、どうする? 今からそのコテージに行くかい?行くってんなら案内はしてやるよ」
さやか「うん、お願い!連れて行って!」
杏子に連れられてそのコテージへと向かっている。
向かいながら、ふいに杏子が話しかけてきた。
杏子「……にしても、ずいぶん簡単に信じたもんだな」
さやか「え?何が?」
杏子「あたしの話だよ。あんた、ついこないだあたしに殺されかけたばかりじゃないか。
そんな敵の話を簡単に信じて、付いてきて。罠だったらどうするんだい?」
さやか「罠なの?」
杏子「いや違うが……」
さやか「あんたならそんなことしなくても、その気になればあたしなんて簡単に殺せるでしょ?
それにもう、あたしはあんたのこと敵だなんて思ってないよ」
杏子「はぁ?」
さやか「キュゥべえから聞いたよ。あんた、まどかの件について色々調べてくれてたんだよね?」
杏子「……ちっ。あの野郎、余計なこと言いやがって……」
さやか「それに、分かったことはこうしてあたしに教えてくれるし。ありがとね」
杏子「……ったく」
学校。
和子「あら?美樹さんは欠席、ですか……。志筑さん、何か聞いてはいますか……?」
仁美「あの、それが……登校中に気分が悪くなったのか、途中で帰られまして……」
ほむら「…………」
和子「そう、ですか……。では、今日の連絡を……」
ほむら「先生。気分が優れませんので、保健室に行っても良いでしょうか」
杏子に連れられ、山の中をしばらく進む。
するとそこには、本当にコテージがあった。
杏子「見な。うっすらとだが、防護壁みたいな魔力の壁が作られてる。魔力のパターンもあいつと一緒だ」
さやか「ほんとだ……。じゃあ、早速中を……」
杏子「馬鹿!触るな!」
杏子に止められたが一瞬遅く、あたしの手はドアノブに触れてしまい、
さやか「あぐっ!?いっ……つうっ……!」
静電気をもっと強くしたような衝撃が、あたしの手に走った。
見ると、手の皮が破れて血がにじんでいる。
杏子「言わんこっちゃない……。まぁあんたの回復力ならその程度問題ないだろ」
さやか「まぁね……。でも、どうするの?これじゃあ中に……」
杏子「簡単だろ?ぶっ壊しちまえば良いんだよ、こんなの」
さやか「えぇ~。そんな簡単に……」
杏子「壁を長くもたせるために、そう厚くはできちゃいない。2人でやればあっと言う間さ」
さやか「……そっか。それじゃ、2人でやっちゃおう」
杏子「あぁ。準備は良いか?せーので行くよ」
さやか&杏子「せーの!!」
杏子「……ほらな、楽勝だろ?」
杏子の言った通り、本当にあっという間に壁は壊せた。
コテージを覆っていた薄い光の膜のようなものが、割れて崩れ落ちる。
さやか「だね。それじゃ、早く中に入ろう!」
入り口が少し大きくなってしまったけど、コテージ内にダメージはほとんど行ってないはず。
中に何があっても、調べるのに問題はないだろう。
杏子とあたしは、急いで中に入った。
見たところ、普通のダイニングキッチンだ。
そして、奥にもう1つ扉があった。
パンツどうしよう
何かあるとすれば、きっとこの奥。
今になってあたしは、少し緊張していた。
この先に、まどかに関わる『何か』があるかもしれないんだ……。
杏子「……おい」
さやか「……うん。行こう」
汗ばむ手をゆっくりとドアノブにかけ、そして、一気に開けた。
するとそこには……。
さやか「っ……!」
杏子「勘違いじゃ、なかったか……!」
さやか「ま……まどかぁああああ!!!」
>>306
ティムポに引っ掛けとけ
さやか「まどか!まどかぁああ!!」
まどかは、部屋のベッドに横たわっていた。
その目はうっすらと開いているけど、あたしの知ってるまどかの目じゃない。
そこに光はなく、ぼんやりと中を見つめ、あたしたちに何の反応も示さない。
まどか「…………」
さやか「まどか!大丈夫!?あたしだよ!さやか!さやかだよ!」
まどか「…………」
さやか「ねぇ、聞こえる!?あたしの声がわかる!?」
まどか「…………」
さやか「まどか!お願い!まどかぁ!返事してよぉ!」
まどか「ぁ……」
さやか「っ……!まどか!!」
まどか「はぃ……はいっ……ごめんなさい、返事します……ごめんなさい……」
杏子「どうなってんだ……これ……」
さやか「……まどか……なんで……!?」
どうしてまどかが、あのまどかが、こんな……。
転校生が、どうしてこんな状態のまどかを……?
誘拐されたまどかを助けた……?
いや、だったらすぐにでもまどかの家や病院に連絡するか連れて行くかするはずだ……。
……ううん、今はそんなことを考えている場合じゃない。
まどかの様子が明らかにおかしい。
今すぐここから連れ出さないと……!
QB「何かハブられた」
そう思い、まどかをベッドから降ろすために、かけられていた布団をめくる。
すると。
さやか「何よ、これ……何なの……何なんだよこれぇ……!!」
杏子「もう間違いねえ……あいつが、暁美ほむらが犯人だ」
さやか「くっ……転校生……あいつだけは絶対に許さない……!
待ってて、まどか!こんなの、すぐに外してあげるから!」
そう言って、まどかをベッドに固定している枷に手をかけようとした、その時。
「その必要はないわ」
明日も学校なのに……
杏子「っ……!?」
さやか「転校生ッ……!」
開け放たれた部屋のドアの向こう側に、そいつは立っていた。
さやか「お前……まどかを……まどかを……うあああああああ!!!」
転校生の姿を見た途端、あたしは斬りかかった。
しかし、確実に当たったと思った剣は空を切り、
杏子「がっ……!?」
さやか「なっ……杏子!?」
いつの間に杏子の後ろに……!
ほむら「……意外ね。あなたたち、いつの間に仲良くなったのかしら」
>>327
あぁ…明日平日だったのか
さやか「くそっ……また変な魔法を……!それもなんであたしじゃなくて杏子を!」
ほむら「決まっているでしょう?あなたを苦しめて殺すのに邪魔だからよ」
さやか「っ……!」
ほむら「あなたはただ殺すだけでは足りないわ。あなたはいつだって、私の邪魔をしてきた。
私がどれだけ神経質にあなたと接してきたか分かるかしら?
いつだって私はあなたに気を使って生きてきた。
どれだけ蔑ろにされても、傷付けられても、まどかのためと言い聞かせて我慢してきた」
さやか「……あんた、何を……」
ほむら「でもあなたは……私のそんな努力を踏みにじるかのように、まどかを不幸にしてきた……!
勝手に暴走して、勝手に絶望して、勝手に堕落して、まどかを悲しませた……!苦しめた……!」
ほむら「そして今回も!また私の邪魔をする……!私とまどかの居場所に勝手に入り込んで!
ここは私たちの場所!あなたたちに存在する権利なんてない!
待っててねまどか!今すぐこいつらを追い出すから!
まずは美樹さやかを殺すから、それまで待っててね!そしたらまた、2人きりで暮らせるからね!」
さやか「こ、こいつ……!あんた、頭おかしいんじゃないの!?」
ほむら「黙りなさい。おかしいのはあなたよ。私は、絶対にあなたを許さな……」
と、その時。
転校生の体に何かが巻き付き、玄関近くまで吹き飛ばした。
やれ……さやかをやれ……!
ぎったぎたにして土を舐めさせるんだ……!
ほむら「あぐぅっ……!?」
杏子「っ……くそっ……。思い切り頭殴りやがって……」
さやか「杏子!あんた無事なの!?」
杏子「まぁね……あいつはあたしを殺すつもりはなかったらしい。
気絶させるつもりだったようだが……まぁアテが外れたな。
こっちもそれなりに経験積んでるんでね」
転校生はゆっくりと立ち上がり、こちらを睨んでいる。
ほむら「……邪魔しないで、杏子」
>>339
仁美乙
杏子「ふん、あたしは正義の味方のつもりはないが、性根まで腐ってるつもりもないよ。
どっちにしろ乗りかかった船だ。コウモリみたいな真似はあたしはゴメンだね」
さやか「杏子……!」
ほむら「言ったでしょう?あなたの戦力は必要なの。私は、あなたまで殺したくはない」
杏子「はっ!上等だよ!殺せるもんなら殺してみろってんだ!」
ほむら「そう……わかったわ。もう良い。だったら……」
そうして、その場に居た全員が臨戦態勢に入った、次の瞬間。
奥の部屋から、とてつもなく眩い光が輝いた。
まどかが「水が飲みたい」で契約したら笑う
杏子「っ!?なんだ!?」
さやか「この光……まさか……!」
ほむら「…………うそ」
そしてその光が放たれる部屋から姿を現したのは、
QB「ありがとう、杏子、さやか。助かったよ。
君たちがほむらの結界を破ってくれたおかげで、ようやくまどかの位置を見つけ出すことができた」
杏子「ってことは……こいつは鹿目まどかの魔力か……!
ははっ……なんだよ、あいつあんな顔して、こんなすげぇ魔力持ってたのか……」
ほむら「……そん……な……」
QB「ほむらにもお礼を言うべきかもしれないね。
以前まで契約を渋っていたまどかが危機的状況に置かれることによって、2つ返事で契約を結んでくれた。
お手柄だよ、ほむら。君がまどかを魔法少女に誘導してくれたんだ」
>>354
まさに願いの無駄遣いwww
さやか「まどかが魔法少女になったのはちょっと複雑だけど……。
でもこれでまどかが助かったんなら!それだけで十分だよ!」
杏子「へっ!どうするよ暁美ほむら?これで3対1だぜ?
しかも1人はとんでもない魔力持ちときた。まだ戦う気かい?」
ほむら「…………いいえ」
膝をついて俯き、そう呟いたほむらは、ゆっくりと左手の盾に手を伸ばし……
ほむら「私の戦場は、ここじゃない」
カシャン
・
・
・
ほむら「……っは!」
目を開けると、『いつもの』見慣れた天井。
カレンダーに目をやると、退院日と登校日に大きく印が付けてある。
さっきの時間軸……また駄目だった……。
また、駄目だった……!
私が、ワルプルギスに勝てなかったせいで!
ワルプルギスを倒すために、まどかが……魔法少女に……!
そしてまどかは、ワルプルギスを一撃で倒し、そのまま……。
もう、さっきの世界みたいな失敗は繰り返さない。
杏子の協力を得て、そして、今度こそ絶対に、まどかを救ってみせる……!
QB『まどか、まだ大丈夫かい?』
まどか『あ……ぅ……』
QB『今こそ君の願いを言うべきだ。君はこの危機的状況で、何を望む?』
まどか『わ、たし……は……』
こんな現実を、なかったことにしたい。
こんな現実があった事実も、あり得る可能性も、何もかも。
QB『良いだろう。君の願いはエントロピーを凌駕した。今の君なら、その願いも間違いなく叶うよ』
……良かった……。
おしまい
今テッカテカに滲み出てる俺の我慢汁も無かった事になるの?
>>386
舐めればなかった事になるんじゃね?
付き合ってくれた人ありがとう
おつかれ
>>359
いや、こういう症状じゃないだろ。
救助されたときのまどかが、意識がはっきりしてて自由に行動できるとして、
助けに来たさやか&杏子ではなくほむらに味方したらストックホルム症候群。
長期の籠城事件になったときに、人質が救助者(軍隊か警察)よりも犯人に親近感を覚えてしまう現象のことだろう。
それにしても、ほむほむ、すっかり故障しちゃったなあ...
ところでさ。
あのままさやか達が救出しなかったら、まどかは死んでたような気がするんだけど。
いくらなんでも、アレはやり過ぎだよ。
いや、すっかり壊れた状態で、マトモに判断できなかったせいなんだろうけどさ。
>>392
だよね
俺もこのSSのためにいろいろ調べたけど、あれは死ぬわ
水分は抜いちゃいかん
おしっこは飲んだとしてぱんつはどうしたのか?
…穿いたのかな
被ったんだろ
>>406
流石紳士だな…
思い付かんかったわ
そうだよ本編は戻す前にまどかを死姦してるよ
…屍姦だっけ?
感情乏しいからどっか壊れてそうではあるよな
ほむほむのぱんつほむほむ
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