まどか「そこが肝心要だよね」(70)
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マミ「珍しいわね、暁美さんが招集をかけるなんて」
さやか「一体何事?」
杏子「何だかヤバげな敵の臭いがするな」
ほむら「皆、今日はよく集まってくれたわね。お察しの通り、今回の案件は少々厄介よ」
ほむら「……鹿目まどか」
杏子「あの魔法少女候補生か」
マミ「まぁそんなことだろうと思ったわ」
さやか「まどかがどうしたっていうの?」
ほむら「ここに記録されているのは、ある日のわたしとまどかの会話よ。とりあえずこれを聞いて頂戴」
ピッ
ほむら『まどか、今日のテストはどう?』
まどか『まあまあかな。ほむらちゃんは?』
ほむら『どうにか。といっても今日のテストは国語に美術……特に備えの要らないものばかりだったからね』
まどか『明日は数学に英語。こっちが肝心要だよね』
ピッ
ほむら「とりあえずここまで」
杏子「お、おい……。まさかとは思うんだが、これは『鹿目』と『要』をかけたギャグって訳じゃねーよな……?」
ほむら「そのまさかよ」
マミ「待って。わたしでも『三つ巴の争いね』くらいは言うかもしれないわ。この会話だけでは断定できないと思う」
杏子「窓の外の桜の木キレイだな」
さやか「幹が太くて立派だね」
マミ「……」
ほむら「ええ。もちろんこの会話だけで決めつけるには早すぎる。とりあえず続きを聞きましょう」
ピッ
ほむら『……』
まどか『……?』
ほむら『……』
まどか『ほむらちゃん?』
ほむら『いえ、何でもないわ。そういえば今日の美術のテスト、お題を決めて自由創作っていう問題があったわよね。まどかは何をお題にしたの?』
まどか『窓、かな』
ほむら『……窓?』
まどか『うん。何か外に飛び出していくって感じでいいと思わない?だから、窓、かな』
ピッ
ほむら「とりあえずここまで」
さやか「ま、まさかとは思うんだけど、これは『まどか』と『窓、かな』をかけたギャグってことは……」
ほむら「そのまさかよ」
マミ「待って。わたしでも『欲望にまみれた』くらいなら言うかもしれないわ。これだけで断定は出来ないと思う」
杏子「マミは強硬な態度を取ってるな」
さやか「あたしの好きな食べ物はくさや、かな」
マミ「……」
ほむら「まぁそうね。最後に、映像を持ってきた。これで最終判断をしてちょうだい」
マミ「待って、暁美さん。それは隠し撮りっていうものじゃ……」
さやか「それ言ったらさっきのも隠し録りでしょ」
杏子「それに事態が事態だ。手段を選んでる場合じゃねえだろ」
マミ「……」
ほむら「……再生するわよ」
ピッ
まどか『ねえ、ほむらちゃん』
ほむら『何かしら』
まどか『面白い話があるんだ。聞いて?』
ほむら『ええ』
まどか『この前ちょっと遠出してお洋服買いに行ったんだけどね。大きいデパートだったからエレベーターを使おうと思ったんだ。
だけど待ってても中々来なくて……だからエスカレーターを使うことにしたんだよ。で、ここからがこの話の要だよ!』
ほむら『……』
まどか『……』チラッ
ほむら『……』
まどか『……』チラチラッ
ほむら『……』
まどか『……エスカレーターを使ったわたしは……』
ピッ
杏子「……完全にツッコミ待ちじゃねーか……!」
さやか「まどかの奴、何てことを……」
マミ「鹿目さんの話のオチが気になるわね」
ほむら「と、まあそういうわけ。これであなた方を招集した理由も分かってもらえたと思う」
マミ「でもこれは結構大変ね……」
杏子「まず鹿目まどかが何を求めてるのかよく分かんねーし……」
さやか「まどかを傷つけるような解決は当然NGだよね?」
ほむら「当然よ。絶対にまどかに恥をかかせてはならない。でもまどかをこのまま放置する訳にもいかないわ。各自、対処法を考えてもらえるかしら」
杏子「オーケー」
さやか「頑張ってみるよ」
マミ「努力はするわ。じゃあね」
ほむら「それぞれ成果を上げられることを期待している」
翌日
ほむら「今あそこのベンチにまどかが座っているわ」
~~~~~~
まどか「珍しいね、QBが一緒にお弁当食べようだなんて」
QB「人類の食生活というものに興味が湧いてね」
~~~~~~
ほむら「今はQBに時間を稼いでもらっている。では、各自考えてきた作戦を実行するのよ。まずは誰?」
杏子「あたしが行くよ」
~~~~~~
杏子「よお」
まどか「あ、杏子ちゃん」
QB「杏子、どうしたんだい? こんなところで」
杏子「いや、散歩してたらあんたらを見つけただけさ」
まどか「杏子ちゃんにもあげる。はい、唐揚げ」
杏子「いいのかい? ならありがたく貰っとくよ」パク
杏子「……しかし」
杏子「桜がキレイだな」
QB「? 杏子。今の季節、桜には葉すらついてないよ?」
杏子「あー、桜がキレイだー」
杏子「(目の前で他人が自分と同じことをやるのを見て、自分のやってきたことの愚かさを知る作戦!)」
杏子「さくら~」
まどか「杏子ちゃん」
杏子「ん?」
まどか「ひょっとして佐倉杏子の『佐倉』と木の『桜』をかけてるんでしょ!」
杏子「え?」
まどか「ならやめたほうがいいよー。あんまり笑えないから」ティヒヒ
杏子「」
~~~~~~
佐倉杏子 失敗
杏子「自分のこと棚に上げて何であんなことが言えんだよあいつは……」
さやか「杏子、お疲れ。次はあたしが行くよ!」
~~~~~~
さやか「お、まどかにQBじゃん」
まどか「さやかちゃん。もうちょっと早く来れば杏子ちゃんに会えたのに」
さやか「へー。ところでまどか」
まどか「?」
さやか「最近……何というかさ……願望? いや違うか……主張したい事……」
まどか「さやかちゃん何言ってるの?」
さやか「(超遠まわしに指摘する作戦!)」
さやか「うーん。なんかあたしに伝えたい事とかない?」
まどか「??」
さやか「うん。まどかの考えも分かるんだ。だけど願いっていうのは必ず代償を求める。
希望を求めた分だけ絶望がまき散らされるのは当然の摂理なんだよ」
QB「(それは僕の台詞じゃあ……)」
まどか「???」
まどか「……ちょっとメールしていい?」
さやか「あ、うん」
~~~~~~
マミ「あ、メールだわ」
『何かさやかちゃんの頭がおかしくなっちゃったみたいなんです……。やっぱり上条君に相手にされなかったことが……?』
マミ「……」
ほむら「何て?」
マミ「失敗したって」
~~~~~~
美樹さやか 失敗
マミ「次はわたしが行くわ!」
~~~~~~
マミ「鹿目さん、美樹さんがおかしくなったって……」
まどか「あ、マミさん。さやかちゃんたった今帰っちゃったんです」
マミ「早く心の傷が癒えるといいわね。まあ失恋後の時間は穢れし魂を清める煉獄の如きものだから」
まどか「は?」
マミ「(わたしの作戦は佐倉さんのものと少し似ている……)」
マミ「(佐倉さんは直接的過ぎたから失敗した)」
マミ「(名付けて『人の厨二病見て我がふり直せ作戦』!)」
まどか「……」プルプル
マミ「あら、どうしたのかしら? 漆黒の闇に魅入られたような顔をして?」
まどか「いえ……何でもない……です」プルプル
マミ「(ふふっ。予想以上に効いてるわ! 目の前の恥ずかしい人が、無理なダジャレを言おうとしている自分の姿に重なるでしょう!)」
マミ「(後ひとおしね!)」
マミ「あなたの心に<<悲しみの種(グリーフシード)>>が植わっているのなら、その深淵をのぞかせてくれないかしら?」
まどか「……」プルプルプル
まどか「ティーヒヒヒヒヒヒッwwwwwwwwww」
マミ「!? か、鹿目さん!?」
まどか「ティヒッwwwwウェヒヒヒヒッwwww」
マミ「鹿目さん? わたしの言葉――旧約聖書によると初めに神と共にあった――が分かる?」
まどか「ウェヒッwwwウェヒヒッwwwゴホゴホッwwゲホッwwww」
マミ「……」ショアーン
巴マミ 失敗
~~~~~~
マミ「……」
杏子「ま、まあ鹿目まどかを戦闘不能にしたからマミの勝ち……みたいな」
さやか「フォローになってないよ」
>マミ「(名付けて『人の厨二病見て我がふり直せ作戦』!)」
そこは作戦名も厨二っぽくしようよ
愚者の写身(カオス・リフレッソ)…みたいな感じで。
マミ「皆死ぬしかないじゃないっ!」
さやか「あたしって、ほんとバカ……」
杏子「お、おい。諦めるのはまだ早いだろ」
マミ「でも……」
杏子「あと一人いるじゃんかよ」
さやか「……」
マミ「……」
杏子「最後に残った道しるべ」
ほむら「悪いけど何も考えてないわ」
杏子「何でやねーーーーん!!!!」
ほむら「いや、昨日三通りほど作戦を考えたのだけど、全部あなたたちのと被ってしまったのよ」
さやか「ホントかよ……」
マミ「でもわたしにももうアイディアがないわ」
杏子「だからってこのまま鹿目まどかを放っておくのかよ!」
さやか「うーん、そういう訳にも……」
ほむら「分かったわ」
さやか「転校生のやつ、何か思いついたみたいだけど……」
杏子「何にせよ、もうあいつを信じて任せるしかねーよ」
マミ「暁美さんは希望そのものになるのよ。わたしたち全ての希望に……」
~~~~~~
ほむら「偶然ね、まどか」
まどか「あ、ほむらちゃん! 今日は色んな人に会うなぁ」
ほむら「そうなの? そういえばこの前……」
~~~~~~
杏子「どういうことだオイ……あいつ、喋ってるだけじゃねーか!」
さやか「まさか本当に考えがないんじゃ……」
マミ「……いえ、暁美さんは何かを待っている……! タイミングを……!!」
~~~~~~
まどか「そしたらね、強盗が入ってきて言いました」
ほむら「ええ」
まどか「かなめ(かねめ)のものはないかー! ってね」
ほむら「ふっwwwww」
まどか「!」
ほむら「アカンwwwwめっちゃおもろいわwwwwww」
まどか「!」パアア
ほむら「鹿目まどかの『かなめ』と『金目』のものをかけているのよねwwww」
~~~~~~
さやか「なっ! あんなことしたら、まどかの奴……」
杏子「ああ、つけあがるだけだぜ」
マミ「いえ……見て!」
~~~~~~
ほむら「『鹿目』と『金目』wwwwww」
まどか「あの……ほむらちゃん?」
ほむら「かーなーめ↑とかーなーめ↓wwwwwwww」
まどか「……」
ほむら「まどかの名前が『鹿目まどか』で、強盗がほしいのは『金目のもの』wwwwww」
まどか「……」
ほむら「天才的やわwwwwそれをwwwこのタイミングでwww会話に仕込むまどかさんwwwwマジwwwぱねぇwwww」
まどか「……///」
まどか「(そ、そこまで面白かったかな……)」
まどか「(そりゃあここ数日さりげなく会話に混ぜてたのが総スルーされてた中、反応してもらえたのはうれしいけど……)」
ほむら「息できんwwwwwwヒーッwwwwwwww」
まどか「(よく考えたらそんなに面白くない……ような……)」
まどか「(そう思うと急に恥ずかしくなってきたなぁ……///)」
ほむら「アカンwwwwめっちゃおもろいわwwwwww」
これが脳内再生できない
~~~~~~
さやか「ど、どういうこと!?」
マミ「自分が期待していたのよりも遥かに大きな反応が返ってくることで、人はかえって自分のギャグの質を疑い始める……」
杏子「度を過ぎたオーバーリアクションされると逆に醒めるもんな」
マミ「名付けて<<超反応(イクセッシヴ・レスポンス)>>のスキルね!」
杏子「マミ、お前の作戦はもう終わったんだぞ?」
~~~~~~
>マミ「名付けて<<超反応(イクセッシヴ・レスポンス)>>のスキルね!」
いや、そこは~リスポスタ・イグゼシヴァ~だろ
イタリア語的に考えて…
まどか「も、もういいよほむらちゃん///」
ほむら「かなめかねめかなめかねめかなめーwwwwwwww」
まどか「ほ、ほら! わたしのギャグ、そこまで面白くなかったし」
ほむら「そうかしら」キリッ
まどか「!」ビクッ
ほむら「そう、で話の続きだけどね、魔法少女になるというのは大変なことなの」
まどか「あ、はい……」
ほむら「願いを叶えるために必要な犠牲は大きいわ」
まどか「そ、そうなんですか」
ほむら「~~~」
まどか「~~~」
暁美ほむら 成功
~~~~~~
杏子「やるじゃねーか!」
さやか「ちょっとは見なおしたよ」
マミ「自分の身を削った見事な戦いっぷりだったわ」
ほむら「いえ……これもあなたたちの協力があったからよ。三人には本当に感謝している」
???「やれやれ、勝利ムードの中申し訳ないんだけど」
ほむら「!? あ、あなたはっ」
QB「今日は君たちにお願いがあって来たんだ」
ほむら「お願い……?」
QB「鹿目まどかが魔法少女の契約をするよう説得してほしい」
ほむら「そんなこと……するわけないでしょう!」
QB「飲み込みが悪いね。この僕がただ君たちに協力していただけだとでも思ったのかい?」
ほむら「どういう……意味よ」
QB「見るがいい、僕の最終兵器を!」
さやか「プロジェクターに」
杏子「スクリーンに」
マミ「暗幕?」
QB「ポチっとな」
ピッ
杏子『あー桜がキレイだー。さくら~』
さやか『希望を求めた分だけ絶望がまき散らされるのは当然の摂理なんだよ』
マミ『あなたの心に<<悲しみの種(グリーフシード)>>が植わっているのなら、その深淵をのぞかせてくれないかしら?』
ほむら『かなめかねめかなめかねめかなめーwwwwwwww』
ピッ
杏子「」
さやか「」
マミ「」
ほむら「」
QB「さやか、君の言う通りさ。鹿目まどかの奇行を止めさせたいという願いは、君たちの振る舞いを歪めるという形になって現れた」
QB「僕はその気になれば、このビデオをOVAとして一枚6800円で売り出すことだって……あっ! 何をするんだい!?」
ほむら「頭の中に黒歴史があればその記憶を消す。外付けのHDに黒歴史があれば、それを壊す!」バーン
QB「ああっ高かったのに……!」
ほむら「残念ね、インキュベーター。今回は協力できると思ったのだけど」チャキッ
QB「ま、待つんだ!」
ほむら「弁明? いいわ。3秒だけ待ってあげる」
QB「命ばかりは救ってくれ! あ、命を救うことを漢字ふた文字でなんて言うんだっけ!?」
ほむら「……きゅーべー(きゅうめい)」
~~~~~~
まどか「? 何か遠くでパンッって音がした、ような……」
まどか「あーそれにしても恥ずかしいな~……なんであんなギャグにハマってたんだろ……///」
まどか「ダメダメ、忘れる忘れる!」
END
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