照「どうしてこうなった…」 (22)
菫「照は今日私と一緒に帰るんだ。だよな、照」
淡「あ、ズルイよ、菫!テルは今日わたしと先に約束してたんだよ!」
咲「ね、お姉ちゃん。帰りにスーパーに寄って夜ご飯のオカズを買おうね。何食べたい?」
菫淡「「ちょっと待て」」
咲「もう!2人はいつもお姉ちゃんと一緒にいれるんだから今日くらいは私に譲ってくれてもよね?」
菫「それは関係ない」
淡「うん、関係ないよ!恋は待ったなし!早い者勝ちだもんね!」
尭深「先輩…あの…今からお茶でも////」
三人「「「そこ抜けがけしない!」」」
尭深「ひっ!」
照「…どうしてこうなった」
みたいな?
咲「ねぇ、お姉ちゃん!お姉ちゃんはもちろん私と一緒にいたいよね!?」
菫「そんな馬鹿なことはあるか!照は私と一緒がいいに決まってるだろ」
淡「それこそ馬鹿馬鹿しいよ。テルは私と一緒がいいんだから」
尭深「宮永先輩…今日…ウチの親いないのでよかったら泊まりに…////」
三人「「「だから抜けがけは禁止!!」」」
照(こっそり帰ってもバレないよね)
ギャーギャー!
照「…」そろーっり
ガチャ…バタン
照(ふぅ…ようやく一人になれる)
誠子「あれ?」
照「!?」びくっ
誠子「宮永先輩、今帰りですか?」
照「なんだ、誠子か。驚かせないで」
誠子「…? それにしても宮永先輩が一人なんて珍しいですね。いつもはあの三人…いや今日は妹さんも来てたんでしたっけ。あの四人と一緒にいるものかと」
照「…それは」
誠子「もしかして…今日は暇なんですか?」
照「うん、そんなとこ」
誠子「そうですか」
照「誠子は?」
誠子「私は今から釣りにでも行こうかと思ってました」
照「…釣り?」
誠子「はい、ちょっと電車を乗り継いで行くんですけど、丁度明日は学校も部活も休みなので川でのんびりと釣りでもって」
照「…」
照(のんびりと…)
誠子「あ、よかったら宮永先輩も来ます? って無理ですよn」
照「行く」
誠子「…へ?」
誠子「えっと…今なんて」
照「行きたい」
誠子「…本気ですか?」
照「ダメなの?」
誠子「別にダメってわけじゃないですけど、泊まり込みで行くんですよ?」
照「…?」
誠子「明日は休みですけど、何の予定もないんですか?」
照「…ない」
誠子「…そうですか。分かりました。じゃあ一緒に川に釣りに行きましょう!」
照「うん」
その頃、部室
菫「だーかーらー照に相応しいのは私だ!あの照を支えてあげられるのは私しかいない!」
淡「ううん、テルを支えてあげられるのは私だけだよ!だからテルに相応しいのは私だよ!」
咲「甘いなぁ、二人とも。私はお姉ちゃんのことを小さい時から知ってるんだよ?だから誰よりもお姉ちゃんのことを分かってるのは絶対に私」
尭深「あ…」
三人「「「また抜けがけ!?」」」
尭深「宮永先輩が…いない」
三人「「「えっ」」」
ーーーーーーーーーーー
電車の中
照「誠子、お菓子食べる?」
誠子「あ、いただきます」
照「…」ペラッ
誠子「…」
照(久しぶりに集中して本を読める)
誠子「宮永先輩は…」
照「え?」
誠子「静かなほうが好きなんですか?」
照「……」
誠子「あ、ごめんなさい。読書の邪魔をして」
照「一概には言えない。けど別に騒がしいのも嫌いというわけではないよ。ただ…」
誠子「ただ?」
照「今はのんびりとしたい気分」
誠子「ああ…なるほど」
ーーーーーーーーーー
白糸台の部室。
『今はのんびりとしたい気分』
『ああ…なるほど』
咲「どうやらお姉ちゃんは亦野さんとどっかに行くみたいだね」ギリッ
菫「まず、その盗聴器はなんだ 」
咲「それは…秘密です!」
尭深(今度、このことを宮永先輩に密告してその時に盗聴器を探すフリをして宮永先輩の身体を触っちゃおうかな…)
淡「うぅ…亦野先輩に出し抜かれたよ」
咲(えへへ、亦野さんには出し抜かれたけど、まだまだ手はある。折角、仲直りできたんだから絶対にお姉ちゃんを渡さないよ!)
菫(亦野には抜けがけされたか。だが、照が迷子になる度に迎えに行ってきてた私だ。あいつの居場所なんて手に取るように分かる。こいつらだけでも出し抜いて照のもとに行くぞ)
尭深(誠子ちゃんと一緒。ってことは多分あそこかな)
淡(…負けないもん!)
ーーーーーーーーーーー
電車から降りて歩くこと1時間後。
照「ハァ…ハァ…誠子ぉ…まだ…ハァ…んくっ…着かない…の?」
誠子「宮永先輩、体力ないんですね」
照「…それは…はぁ…はぁ…文科系…だから…」
誠子「あ、そろそろ着きますよ」
照「やっ…と…?」
誠子「ほらもう見えてきましたよ」
照「あ…綺麗な川」
誠子「宮永先輩は適当な岩場で休んでいてくださいね」
照「え、誠子は休まないの?」
誠子「はい、もう大分暗くなってきたので早急に今夜の寝床を確保しないと野宿になるので」
照「…野宿」
誠子「あ、大丈夫ですよ。宮永先輩を野宿させたりはさせませんから」きりっ
照「誠子…ありがとう。でも、私も手伝う」
誠子「あー、それじゃあ荷物番をおねがします」
照「うん、分かった」
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