恒一「何ですかこれ?」千曳「ギャルゲーだよ」(299)


恒一「ギャルゲーって…」

千曳「転校してきたのが三年三組で、きみも大変だったろう。
   気分転換になればと思って、少し頑張ってみたのだが」

恒一「えっ…まさかこれって」

千曳「粗末なものだが、私が作った」

恒一「えぇ!?」


千曳「心得があってね」

恒一(…暇なのかな?)

千曳「とにかく、是非きみにプレイしてもらいたい」

恒一「ええ…。じ、じゃあ、貰っておきますね」

千曳「感想を待っているよ」


…………。

勅使河原「まさか、あの人にこんな趣味がな」

恒一「ごめん、こんなことの為にお邪魔しちゃって」

恒一「ぼくゲーム機もってなくて。でも感想を求められた以上は…」

勅使河原「気にすんなって。俺だってこのゲームは気になるし」

恒一「助かるよ」


勅使河原「――んで、何でお前らもいるんだ?」

赤沢「は? なんか文句あるの?」

望月「榊原くんが勅使河原くんと二人で遊ぶって聴いて、気になっちゃって…」

鳴「お邪魔してます」

勅使河原「最初はサカキしかいなかったと思ったんだが、いつの間に…」

恒一「まあまあ、こういうのは大勢の方が楽しめるし」


勅使河原「女子の前でギャルゲなんてやりたくねぇよ!」

恒一「やるのはぼくだから大丈夫だよ」

勅使河原「そういう問題じゃないんだが…」

赤沢「いいから、勅使河原はさっさと電源入れて」

望月「はい、コントローラー」

鳴「ジュースここに置いておくね」

恒一「ありがとう」

勅使河原「ったく…どうなっても知らないからな」カチッ


――――――

Anotherらぶchu☆chu!

――――――

勅使河原(なんだこのピンク色の画面は…)

赤沢「…」

望月「…」

鳴「千曳さん…」

恒一(Anotherだけいつもの赤だ)

勅使河原「い、いいから始めろ」

恒一「うん」


――――――

この学校へ転校して2ヶ月が経った。

それなりにクラスメイトと仲良くなれたものの、やはりまだ壁があるような気がする。

このままでは中学最後の夏休みを、ぼくは一人で過ごすことになってしまうかもしれない…。

勅使河原『どうした、さっきから黙り込んで?』

――――――

勅使河原「俺!?」

望月「わあ、絵そっくり」

赤沢「まさかこれ…」

恒一「…続けようか」


――――――

恒一『いや、ちょっとね…』

今のところ一番仲が良い男子は、この勅使河原だろうか。

ぼくと同じく携帯持ちの彼とは番号も交換している。

望月『大丈夫? 具合が悪いなら保健室に…』

恒一『大丈夫だよ。ちょっと、夏休みをどう過ごそうかなって、考えてて…』

そういえば、望月とも番号を交換していたっけ。

こいつとの仲も、まあまあ良好だと思う。

――――――


鳴「望月くんそっくり」

赤沢「決まりね。主人公の名前からしてそうだもの」

恒一「千曳さんがどうしてこのゲームをぼくに渡したのかわかったよ」

鳴「さすがに声は出ないね」

勅使河原「気になるのは攻略ヒロインだな」

望月「一番仲が良いのはぼくだと思うんだけどなあ…」


――――――


風見『夏休みか…そういえば、中学最後の夏休みなんだよね』


勅使河原いわく、彼と風見は「腐れ縁」らしい。

最初は異色のコンビだと思っていたが、今となっては彼のその言葉がしっくりくる。


勅使河原『でもまあ、夏休みは夏休みだ。目一杯遊んでやるさ』

赤沢『あんたは少し勉強した方が良いんじゃない?』


赤沢が勅使河原に軽蔑の眼差しを向ける。

過去にいったい何をやらかしたのか、それとも単に嫌いなだけなのか…。

とにかく彼女は勅使河原に厳しかった。


――――――


勅使河原「――でた」

赤沢「私もか…」

望月「ホント絵上手いね。千曳先生が描いてるのかな?」


――――――


恒一『見崎は、夏休み何か予定ある?』

鳴『さあ…。でも、家族で出掛ける日があるから。とりあえず、それだけは決まってる』


いつもの調子で、淡々と鳴が答えた。

転校前、ぼくが入院していた病院で出会って以来、何故か彼女と接する機会が多かった。

しかし、友だちと言える関係かどうかは、正直分からない。

もちろん、彼女がぼくを友だちだと思ってくれているなら、それはとても嬉しいことだけど。


――――――


鳴「…」

勅使河原「まあ、出てくるよな」

望月「ちゃんと眼帯までしてる」

恒一「それぞれの立ち位置は概ね、ぼくたちと同じみたいだね」

赤沢「〈災厄〉関係のことはないのかしら?」

望月「ないんじゃないかな?」

勅使河原「あのタイトルだしなあ」


――――――


勅使河原『ま、東京に比べれば何もないところだけどさ、サカキも、とりあえずはしゃいでおけよ』

キーンコーンカーン…

そんな勅使河原のアドバイス?を受けると同時に、昼休みが終了した。


――――――


勅使河原「随分と簡単な紹介だったな」

恒一「現実とだいたい同じだったし、なくても良かったと思うけど」

赤沢「それにしても千曳さんって、私たちのこといろいろ知っているのね」

勅使河原「ちょっと詳しすぎな気もするが…」


――――――


~放課後~

特に予定もないし、どうしようか?

1、鳴と帰る
2、赤沢に声をかける
3、望月の頭を撫でる


――――――


恒一「お、いきなり選択肢が」

鳴「1でいいよ」

赤沢「恒一くん2番っ!」

望月「3にしてみない?」

勅使河原「うおっ! なんだお前ら。っていうか、3番はなんだよ!?」

恒一「それじゃあ、くじで決めよう」コトッ

勅使河原「いつ作ったんだ…?」



>>52
選択肢以外した

2


恒一『赤沢さん』

赤沢『恒一くん? どうしたの』

恒一『ぼく、もう帰るからさ、あいさつでも――って…』

赤沢『ふふっ、なにそれ?』

恒一『ははは…』

恒一『今日は演劇部の活動はあるの?』

赤沢『ええ。ま、特に忙しいってわけじゃないけど…』

部活が始まるまで赤沢と楽しく会話した。

少し仲良くなれた気がする…。


今日もいろいろあったな。

明日に備えてさっさと寝よう。

恒一『っと、その前に』ゴソゴソ

Pipipip…

陽介『おう、恒一か。暑いぞインドは』

恒一『はいはい、じゃあ早く教えてよ』

陽介『わかった、わかった。……こんな感じだ』


高感度

見崎鳴 7/10
赤沢泉美 7/10
望月優矢 6/10
???
???
???


恒一『そうか…。ありがとう、お父さん』

さ、寝るか。

好感度だった


――――――


赤沢「好感度?」

恒一「なんでお父さんがこんなこと知ってるんだよ…」

望月「これを上げていけばいいのかな?」

勅使河原「そうだな、だが…」

望月「なに?」

勅使河原「これを上げきったらクリアなのか、それともMAX状態をキープしたまま一定日数を過ごすとクリアなのか…」

恒一「うーん、初期数値が高すぎだからね。きっと上げきってもクリアはないんじゃないかな?」

鳴「つづき」

恒一「はいはい」

―翌日―

…………。

~昼休み~

あっというまに昼休みになった。

誰と過ごそう?

1、鳴
2、赤沢
3、望月
4、一人で過ごす


>>85

1


鳴と過ごそう。


屋上

恒一『今日はお弁当なんだね』

鳴『うん。霧果――お母さんの気が向いたらしくて』

恒一『そうなんだ。どう? やっぱり、あんまりおいしくない?』

鳴『うん』

そう言いつつも、鳴は弁当を口に運んでいる。


鳴『食べてみる?』

恒一『え?』

鳴『――はい』

目の前に、箸にささった卵焼きが突き出された。

恒一『はい、って…』

鳴『あーん』

恒一『あ…え?』


鳴『あーん』

恒一『あ…、あーん』

パクッ

モグモグ

鳴『どう?』

恒一『ん……。微妙だね』

鳴『クスッ、でしょ?』

少しドキドキした昼休みだった。


~放課後~

今日はどうしよう?

1、鳴と帰る
2、赤沢の頭を撫でる
3、望月が一緒に帰りたそうにこっちを見ている

>>114

1


鳴と一緒に帰ろう。

恒一『見崎、一緒に帰らない?』

鳴『いいよ』

…………。

~下校~

恒一『夏休みに家族と出かけるって言ってたけど、それって夜見山から遠いの?』

鳴『車で三時間くらいのところ。一週間くらいそこで過ごすの。全然気は進まないんだけどね』

鳴の表情に翳りが見えた。

本当に気が進まないのだろう。


恒一『そうなの? 楽しそうだと思うんだけど』

鳴『体験してみるとわかるよ。ただの家族サービスの真似事だって…』

恒一『へえぇ、じゃあ、ぼくも連れて行ってもらえるかな?』

冗談めかしでそう言ってみると、

鳴『一緒に行くためには、私と家族にならないと』

くすりと笑い、鳴はそう返した。


1、見崎、結婚しよう
2、霧果さんをぼくにください!


>>133

どっちも微妙な気もするけど…
1


恒一『見崎、結婚しよう』

鳴『――え?』

鳴は足を止め、驚きの表情でぼくを見つめる。

こんな顔を見るのは初めてだ。

鳴『…………』

鳴『…………』

鳴『…………』


…そ、そろそろ動いてくれないかな。その顔で固まられるとちょっと怖よ?

恒一『見崎?』

鳴『っ……。そいう冗談、嫌い』

顔を俯かせながらそう言うと、鳴は足早にぼくを追い抜いて行った。

怒らせちゃったかな?

プレイしてるみんなの反応が気になる

今日もいろいろあったな。

恒一『さ、今日の好感度チェックだ』ゴソゴソ

Pipipip…

陽介『おう、恒一か。暑いぞインドは』

恒一『そうだね。じゃあお願い』

陽介『ん、こんな感じだ』

見崎鳴 7/10
赤沢泉美 7/10
望月優矢 6/10
???
???
???

恒一『ありがとう、お父さん』


――――――


鳴「ど、どうして…?」

恒一「増減なしか、さっきのはハズレだったみたいだね」

鳴「そんなはず…」

赤沢「ざんねんでした見崎さん♪」

鳴「…」キッ

勅使河原(いよいよ雲行きが怪しくなってきたぞ…)

望月「なんで当たらないのかなぁ?」

恒一「赤沢…さんの好きなタイプってどういう人かな?」

赤沢「ふ~ん。それを私に聞くんだ?」

恒一「え?」

赤沢「ふふ、まあいいわ。胸に手を当ててよく考えてみて」


――――――


―翌日―

~登校~

明日明後日は休日だ。そう思うと足取りが軽い。

しかし、相変わらず夏休みの予定は空白のままだ。

ひょっとしたら、勅使河原あたりが休み中に声をかけてくれるだろうか?

いや、ぼくから誰かを誘ってみるのもいいかもしれない…。

誰か誘いに乗ってくれそうな人は――


?『おっはようっ!』

バシンッ!

恒一『いっ――!?』

ID変わっちゃった

綾野さんはこういっちゃんに助けられてるし期待だね


背中に衝撃が走った。
堪らず咳き込む。

?『あ…ごめん、ちょっと強かったかな…』

恒一『げほっ、げほっ…そうだね。次はもうちょっと手加減してもらえるかな、綾野さん?』

綾野『あはは…気をつけます』

クラスメイトの綾野と出会った。

恒一『でも珍しいね。ぼくはいつもこの時間に登校してるんだけど、会ったことなかったよね?』

綾野『いやあ、明日から休みだと思うとどうも目が…』


恒一『そっか、みんな休日は楽しみだよね』

……そうか、明日明後日に誰かを誘って様子を見るのもいいかもしれない。

綾野『こういっちゃんは、休みの日は何してるの?』

恒一『そうだなあ、ぼくは……』

綾野と楽しく登校した。

…………。


~昼休み~

ようやく昼休みだ。

誰と過ごそう?

1、鳴
2、赤沢
3、望月
4、一人で過ごす


>>171

八方美人はいかんよね

1

1

屋上

恒一『じつは今日のお弁当、ぼくが作ったんだ』

鳴『あ、そうなんだ…』チラッ

恒一『いただきまーす』

鳴『もぐもぐ』チラッチラッ

鳴はサンドイッチを口に運びつつ、しきりにこちらを気にしている。

……どうしよう?


1、あーん
2、もぐもぐ…
3、サンドイッチを全て奪う


>>181

1

順調に鳴√だな
赤沢さんのスパイスもほしいけど


恒一『見崎』

鳴『?』

箸で鳴の口にからあげを運ぶ。

恒一『あーん』

鳴『ぁっ…』

恒一『あーん』

鳴『ぁ……、あーん』

パクッ

少し大きめのものを選んだのだが、一口で食べてしまった。

モグモグ


恒一『どうかな?』

鳴『…おいしい』

少し驚いているようだ。

恒一『よかった』

鳴『…』チラッチラッ

恒一『ふふ。はい、あーん』

鳴『あ、あーん』

結局、半分以上を鳴に食べられてしまうことになった…。

あの授業中早弁してる鳴ちゃんのgifはよ


~放課後~

今日はどうしよう?

1、鳴の頭を撫でる
2、赤沢に声をかける
3、望月が一緒に帰りたそうにこっちを見ている


>>201

2


赤沢と話して帰ろう。

恒一『赤沢さーん』

…………。

赤沢『恒一くんは演劇とか興味無いの?』

恒一『うーん、観てるのは楽しいんだけどね』

赤沢『実際にやってみると、面白いものよ?』

恒一『そういうものかな』


赤沢『ちょっと見学してみない?』

恒一『え? ここの演劇部?』

赤沢『そ。――どう?』


1、それじゃあ見学だけ
2、あっ、バイトの時間だ!


>>210

2


恒一『あっ、バイトの時間だ!』

赤沢『え、そ、そうなの?』

恒一『ごめんね、見学はまた今度で!』ダッ

赤沢『そう、ざんねんっ』

恒一『じゃあまた来週!』

タッタッタッタッ…

本当はバイトなんてしてないけど、今日はちょっと気が乗らないんだよなあ――


ドンッ!

?『きゃっ』

恒一『わっ』

誰かにぶつかってしまったらしい。

咄嗟に相手の腕を引いて後ろに倒れることを阻止する。

ギュウ

?『あぅ…』

なぜか抱きしめるような体制になってしまった…。


恒一『あっ、す、すみませんっ』バッ

?『い、いえ、こちらこそ…』

恒一『ん? …あ―ー多々良さん?』

多々良『あ、榊原くん?』

クラスメイトの多々良を抱きしめてしまった。


恒一『ご、ごめん、ぼくの不注意だったね』

多々良『いえいえ、こちらこそ』

多々良『――それに、守ってくれましたし…』

恒一『いや、あれは…』

さきほどの感触を思い出し顔が熱くなる。


多々良『榊原くんは、今から帰宅ですか?』

恒一『う、うん。そうだよ』

多々良『じゃあ、途中まで一緒に帰りませんか?』

恒一『え、ああ、うん。…じゃあ、ぼくも一緒でいいかな?』

多々良『はいっ』ニコッ

少し緊張しながら多々良と帰った。

鳴『…』

今日もいろいろあったな。

恒一『さ、好感度チェックだ』ゴソゴソ

Pipipip…

陽介『おう、恒一か、イ――』

恒一『インドは暑いんだよね。じゃあよろしく』

陽介『はあ…。ほれ』

見崎鳴 9/10
赤沢泉美 8/10
望月優矢 6/10
綾野彩 7/10
多々良恵 6/10
???

恒一『ありがとう、お父さん』


明日は休日だ。

誰かを誘って遊びに行ってみようかな…?


――――――


赤沢「どうしてモブのルートがあるの?!」バンバン!

勅使河原「お、落ち着けって赤沢!」

赤沢「うるさい! ぜんぜん私のルートが進まないじゃない!」

恒一「く、くじ引きなんだから仕方ないよ」

赤沢「ぐぬぬ…」

恒一「それに、望月なんて1回もあたりを引いていないんだ」

望月「これ細工してないよね?」


赤沢「くっ…。ああもう、納得いかない! 勅使河原ぁ!」

勅使河原「はいっ」

赤沢「謝罪を」

勅使河原「なんでだよ?!」


鳴「赤沢さん、落ち着いて」クスッ

赤沢「っ! こ、こうなったらくじを作りなお――」ガッ!

バシャッ

全員「あっ」

勅使河原「――お、俺のプレステがぁああああ!!」

ガシュガシュ

恒一「ジュースっていうかコップごとかかっちゃったね。割れてるよ…」

鳴「変な音してる」

望月「は、はやくメモリーカード出さないと!」

恒一「そうだね」サッ

鳴「ディスクも」カチッ


勅使河原「あ…ああ…」

赤沢「なに、壊れたの?」

望月「これ以上はもう無理だね」

赤沢「いえ、私のエンディングを見るまではあきらめる訳には行かない」

恒一「どうするの?」

赤沢「これを買うわ」ビシッ

恒一「えっ、お金大丈夫なの?」

赤沢「問題ない」

恒一「そう? じゃあ赤沢さんの家?」

赤沢「ええ、恒一くん、一緒に行きましょう」

鳴「じゃあ、私も」

望月「ぼくも」

勅使河原「う…ああ…」

恒一「じゃあ、続きは赤沢さんの家でね」

寝る

また消えるのか

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