鹿目タツヤ「ま゛ろ゛か゛ぁ゛あ゛!゛!゛!゛!゛!゛」(114)

  ∧,,∧
 ( `・ω・) ようこそID腹筋スレへ!
 / ∽ |
 しー-J
ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋をするという、
硬派なトレーニングスレです。
例1 ID:wwh7KM12 ID抽出 ID抽出 の場合 7×12=84 なので84回頑張りましょう。
例2 ID:bicycle. ID抽出 ID抽出 の場合 数字がないので今日は一休み。
さあ、存分に腹筋するがよい↓(`・ω・´)

むしろ誰か書いてくれてもいいのよ?

鹿目タツヤ「ママ、ママァ。朝、朝~。起きてぇ。ママ、ママァ~」ユサユサ

詢子「う~ん…」

鹿目タツヤ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!どう゛じでお゛ぎでぐれ゛な゛い゛ん゛だよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」ジタバタ

詢子「わ、分かった!起きるよタツヤ!」


こんな感じ?

う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛2゛3゛2゛回゛も゛腹゛筋゛や゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!゛


さやか「アイツこういうのも好きそうだよねー」

鹿目タツヤ「……うん」


『助けて……』


鹿目タツヤ「!?」

さやか「じゃあ今日はこれとこれと……」

鹿目タツヤ「ま、待ってさやかちゃん」

さやか「ん? どしたの?」

鹿目タツヤ「何か聞こえない? ほら……」


『助けて……助けて……』


さやか「え~? 何も聞こえないよー?」

鹿目タツヤ「聞こえるよ、ほら」


『助けて……鹿目タツヤ……』


さやか「やっぱ聞こえないじゃん。どうしたのよ一体」

鹿目タツヤ「聞゛こ゛え゛る゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛!゛!゛」ジタバタ

さやか「ハイハイ!分かった分かった!」

さやか「……きゅうべえが呼んでるんでしょ? 早く行こ?」

鹿目タツヤ「あ゛り゛がと゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛!゛」ジタバタ

書゛こ゛う゛と゛し゛た゛け゛ど゛>>6が゛書゛い゛て゛い゛る゛か゛ら゛任゛せ゛た゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!


ほむら「逃がさないわよっ!キュウべえ!」タッタッタッ

キュウべえ(これだけ呼びかければ、きっと来てくれるはず)タッタッタッ


鹿目タツヤ「いたぁ!あそこだ!」

さやか「え!? 何アレ?……ウサギ??」


ほむら「しまっ―――!」

キュウべえ(やった!まど―――)

キュウべえ(……え?誰!?)


鹿目タツヤ「やっと見つけたぁ!」タッタッタッ

さやか「うわぁ、これボロボロじゃん。生きてるの?」

ほむら「……??」


鹿目タツヤ「もう大丈夫だよ!僕が助けるから!」ギュゥゥ

キュウべえ「うぐぐ……キ、キミは誰だい?」

鹿目タツヤ「僕? 僕は鹿目タツヤ!」

鹿目タツヤ「助けに来たよ!声が聞こえたから!」

キュウべえ「……いや、確かボクが呼んだのは、鹿目まどかのはずなんだけどな」

鹿目タツヤ「だって聞こえたもん!鹿目タツヤって!」ギュゥゥ


キュウべえ「うぐぐぐ……」

さやか「そ、そんな握りつぶしたら死んじゃうって……」

キュウべえ「な、何で……まどかを呼んだはずなのに……」

鹿目タツヤ「呼゛ん゛だじゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!゛!゛!゛!゛」


ギュウウゥゥ…!


キュウべえ「グエエ!……いやだからキミじゃなくて」

鹿目タツヤ「聞゛こ゛え゛た゛ん゛だよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛」


ギリギリギリッ…!


キュウべえ「ズ、ズドップ…………く、首が…………」ブルブル

鹿目タツヤ「ち゛ゃ゛ん゛と゛来゛た゛の゛に゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!゛!゛!゛」

さやか「待って待って! 死んじゃう!死んじゃうから!」ワタワタ


キュウべえ「」

鹿目タツヤ「……さやかちゃん、ウサギ動かなくなっちゃった」

さやか「んー、これはもうダメかも分からんね~」

ほむら「……あなたたち、鹿目まどかはどうしたの?」

鹿目タツヤ「?」

さやか「あれっ? 転校生じゃん。何してんの?」

ほむら「鹿目まどかがここに来ているはずよ? 一体どこへ行ったの?」

さやか「はあ? まどかは今トイレ行ってんだから、いるワケないじゃん」

ほむら「!?」

ほむら「そ、そんなハズは……それに、何でその子がここに?」

さやか「何?いちゃいけないわけ?」

鹿目タツヤ「……?」


ほむら「そうではない……そうではないけど……でもっ!」

さやか「そんなことより、アンタはここで何してたのさ!」

ほむら「今そんなことはどうだっていいじゃない!」

さやか「はぁ!? こっちはちゃんと質問に答えてんのに、何その態度!」

さやか「有り得なくない!?」

ほむら「今考えてるの! ちょっと静かにしてなさい!」

さやか「エラッそーに! 一体何様のつも」

鹿目タツヤ「ケ゛ン゛カ゛は゛や゛め゛て゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛」ブンブン


さやか「えっ?」

ほむら「!」

鹿目タツヤ「仲゛良゛く゛し゛て゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛」ブンブンブン

さやか「わ、分かった分かった!」

ほむら「……」

鹿目タツヤ「お゛し゛っ゛こ゛し゛た゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!゛!゛!゛!゛!゛」ブンブンブン

さやか「分かったから、ソレ振り回すのやめない? まだ生きてるかも知れないしさ、ねっ?」


ブチッッ…!


さやか「あ」

ほむら「」


鹿目タツヤ「漏゛れ゛る゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!゛!゛!゛!゛」ジタバタ

さやか「ハイハイ!じゃあ行こうか、ホラッ」グイッ

鹿目タツヤ「早゛く゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!゛!゛!゛!゛」タッタッタッ

さやか「その白いのはもう捨てちゃいな?」

鹿目タツヤ「分゛か゛っ゛た゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」ポイッ


ほむら「……」


マミ「確かこの辺りのはずなんだけど……」


まどか「もー、ヒドイよさやかちゃん、2人して置いて行っちゃうなんて」

さやか「ゴメンゴメン、ちょっとヤボ用が出来ちゃってさ~」

まどか「何かあったの?」

さやか「んー、実は」

鹿目タツヤ「ウサギウサギー!」


マミ「!……そこのアナタたち、ちょっとよろしいかしら?」


さやか「え?」

まどか「あ、はい」

マミ「この辺りで、これくらいの白いウサギのような動物は見なかったかしら?」

さやか「……!!」

まどか「ウサギですか? う~ん」

さやか「み、見てませんっ!」

マミ「あらそう?」

さやか「はいっ! わ、私たちずっとショッピングしてただけですから!」

マミ「……でもその子、今ウサギって」


さやか「この子、ウサギが大好物なんですよー! もー朝、昼、晩、ずぅっとウサギ一色なんですから!」

さやか「ねっ? タツヤ!」

鹿目タツヤ「……??」

マミ「??」

マミ「……ボク?この近くでウサギは見てない?」スッ

鹿目タツヤ「ウサギ!無くなった!」

マミ「!?」

さやか「シッ!」ササッ

まどか「……?」


マミ「あの……今無くなったって……」

さやか「ハイハイ!じゃあ今から新しいウサギ買いに行こーなぁ!」グイッ

鹿目タツヤ「ウサギ助ける!」

まどか「さ、さやかちゃん……?」

さやか「まどか!逃げるよ!」ダダッ

まどか「え?え??」

さやか「いいから早くっ!」グイッ

まどか「ちょ、ちょっと」タタッ


マミ「待ちなさい!アナタた――」


マミ「……!」ピクッ


カッ コッ カッ コッ……


マミ「……どうやら、アナタに聞いたほうが早そうね」クルッ




ほむら「……」


さやか「はぁっ、はぁっ……ここまで来れば……」スッ

鹿目タツヤ「……」ストッ

まどか「はぁ、はぁ……さやかちゃん、一体どうしたの?」

さやか「それがさ~、ちょっとマズイことになっちゃってさ」

まどか「な、何があったの??」

さやか「さっきの黄色い人、ウサギがどうこうって言ってたじゃん?」

鹿目タツヤ「ウサギー! 僕助けた!」グッ

まどか「う、うん」

さやか「そのウサギみたいのさ、実はさっき見てるんだよねー」

まどか「えっ?そ、そうなの? それなら教えてあげればよかったのに……」

さやか「だからそれができないんだって」

まどか「……どういうこと??」


さやか「うーんと……ちょっと耳貸して?」

まどか「え? うん……」サッ

さやか「…………」ゴニョゴニョ

まどか「……!!」

さやか「……多分あの白いの、あの人のペットか何かだと思うんだよね~」

さやか「これバレたらタダじゃ済まないよ?きっと」

まどか「ま、マズイよさやかちゃん!」

さやか「だからそう言ってるじゃん」

まどか「早く行かないと……!」タタッ


さやか「ちょっと待った!」グイッ

まどか「ぐえ!」

さやか「まどか、そっちはあの黄色い人がいる方向だよ? どこ行く気なのよ」

まどか「も、戻って謝らないと!」

さやか「落ち着きなって。せっかく逃げてきたのに、戻ったら意味ないじゃん」

まどか「でもその白い動物、あの人の大切なペットだったんでしょ?」

まどか「それなら、ちゃんと正直に言って謝らなきゃいけないと思う……」

さやか「う~ん、そりゃそうなんだけどさー」

鹿目タツヤ「まろかー! 僕も走る~!」ピョンピョン


さやか「のん気なヤツだな、誰のせいで悩んでると思ってんのよ」ゴンゴン

鹿目タツヤ「??……まろかー!さやかちゃんが殴るー!」

まどか「……タッくん、本当にその白いウサギさんを……その……ちぎっちゃったの??」ナデナデ

鹿目タツヤ「ウサギ呼んでた!」

まどか「呼んでた??」

鹿目タツヤ「うん! 助けて~って言ってたから行って来た!」

まどか「??」

まどか「……えっと、タッくんはそのウサギさんに呼ばれたの?」

鹿目タツヤ「うん!」

まどか「……」チラッ

さやか「何かそうらしいよ? 行ってみたら本当にいたからさ」


まどか「うう~ん……とにかく、戻ってちゃんと謝ろ? タッくんもちゃんと言える?」

鹿目タツヤ「?」

まどか「さっきの人に会って、ゴメンなさいって言うんだよ? できる?」

鹿目タツヤ「??」

さやか「……無駄だよまどか。まだその子ぐらいの歳じゃ、自分が何したかも分かってないって」

まどか「うぅん、私が全部謝るしかないかなぁ……」

さやか「行く必要ないって。どうせ黙ってりゃ会うこともないんだし」

まどか「ダメだよさやかちゃん、こういうのはちゃんとしないと……」

さやか「大丈夫? 震えてんじゃん」


まどか「だ、だって、こういうこと、初めてだから……」

さやか「だからさ、私の言う通り黙っとけばいいじゃん」

さやか「何も知らなきゃあの人だって、ペットが勝手に飛び出して逃げたと思って諦めるよ」

まどか「……ううん、そういうわけにはいかないよ」

まどか「……私、ちゃんと行ってくる!」キッ

さやか「……」

さやか「ハァ……しょうがないな~。じゃあ私も行くよ」

まどか「え? で、でも……」

さやか「一応私にもカントク責任とかあるし……タツヤ、行くよ」グイッ

鹿目タツヤ「?」ヨタヨタ







まどか「さやかちゃーん、見つかった?」

さやか「……ダメダメ、どこにもなかった」

まどか「えっと……このへんだったんだよね?」

さやか「そうだよ。階段も使わなかったし、ここらへんだったのは間違いないよ」

まどか「うーん……持って帰っちゃったのかなぁ」

さやか「持って帰ったって言っても、血とかも全然ないし……」

さやか「……あれ? 血は出たっけ??」

鹿目タツヤ「まろかー! お家帰りたいー!」ブンブン


まどか「んー……さっきの人も見当たらないし……」

さやか「もういいよまどか、きっとあの人も諦めて帰ったんだよ」

まどか「そうかなぁ」

さやか「いいじゃん、謝る必要なくなったんだからさ」

まどか「……」

さやか「もうあの人も戻って来ないって。きっとどっか別の所行ったんだよ」

まどか「んー、どうすればいいのかな……」

さやか「ハイ終わり! 私この後恭介の所行くから、タツヤよろしくね」


さやか「タツヤバイバーイ」ササッ

鹿目タツヤ「バイバーイ」

まどか「……」

さやか「……まどかも早く帰りなよ?」

まどか「うん……」

鹿目タツヤ「まろかー、お家帰りたい」グッ グッ

まどか「……はぁ、しょうがない……帰ろっか、タッくん」

鹿目タツヤ「うん!帰るー!」


~TATSUYA~

鹿目タツヤ「まろかー!タツヤあったー!」サッ


『デスノート』


まどか「え~、またそれ? タッくんそれ好きなんだね」

鹿目タツヤ「タツヤタツヤー!」

まどか「うーん……それちょっと怖いから、別のにしない?」

まどか「ほら、これとか」サッ


『カイジ 人生逆転ゲーム』


鹿目タツヤ「……タツヤ?」

まどか「うんうん、これも藤原竜也だよ?」

まどか「バトルとかデスとかそういう怖いのじゃなくて、たまには普通の見ようよ」

鹿目タツヤ「タツヤー!」

まどか「……これ何だろ、アクションかな??」

鹿目タツヤ「まろかー!それにするー!」グイグイ

まどか「うん、じゃあこれにしようね」


店員「ありあとーございあっしたー」


鹿目タツヤ「タツヤタツヤー!」

まどか「うんうん、帰ったら見ようね」


鹿目タツヤ「……タツヤ?」

まどか「うんうん、これも藤原竜也だよ?」

まどか「バトルとかデスとかそういう怖いのじゃなくて、たまには普通の見ようよ」

鹿目タツヤ「タツヤー!」

まどか「……これ何だろ、アクションかな??」

鹿目タツヤ「まろかー!それにするー!」グイグイ

まどか「うん、じゃあこれにしようね」


店員「ありあとーございあっしたー」


鹿目タツヤ「タツヤタツヤー!」

まどか「うんうん、帰ったら見ようね」


ほむら「……待ちなさい、鹿目まどか」


まどか「えっ?」チラッ

まどか「あなたは……確か今日転校してきた……暁美さん??」

ほむら「暁美ほむらよ。保健室の件では世話になったわね」

まどか「うん……体はもういいの?」

ほむら「大丈夫よ。それより、話しておかなければならないことができたわ」

まどか「?」

ほむら「あなたのお友達が、白いウサギのような生き物を見ているわね?」

まどか「!……は、はい……」


ほむら「あの生き物に関わってはダメ。さっき話したのはアイツのことよ」

まどか「え? それって確か、イン……」

ほむら「インキュベーター。あれはウサギなんかじゃないわ」

まどか「??」

ほむら「インキュベーターは必ずあなたを狙ってくる。アイツはあなたを不幸にする存在よ」

まどか「??……えっと、狙うっていうか……」

ほむら「どんな甘い言葉をかけてきても、決して耳を貸してはならないわ。いいわね?」クルッ

まどか「そうじゃなくて、あの……」

まどか「……行っちゃった」

鹿目タツヤ「まろかー、早く帰りたいー」クイクイ

まどか「あ、うん」


~鹿目家~


まどか「ただいまー」

鹿目タツヤ「たらいまー」

まどか「……お父さん、まだ帰って来てないかな」

鹿目タツヤ「タツヤ見る~!」グイグイ

まどか「うん、ちょっと待っててね~」


カチャカチャ…


TV『…… ゴリゴリゴリ』

TV『ああっ、くそっ!ハズレかよっ! ポイッ』

TV『何かいいことねえかなぁ……』


鹿目タツヤ「……」ジー

まどか「今回はヒドイ事にならなそうだね、タッくん」ナデナデ

鹿目タツヤ「……」


知久「ただいまー」


まどか「あ、お父さんだ、おかえりー」

鹿目タツヤ「おかありなさーい」

知久「悪いねまどか、今日はタツヤの面倒見てもらって」

まどか「全然大丈夫だよ。お父さんなんか毎日頑張ってるじゃない」

知久「ハハハ、まあお母さんには敵わないけどね」

まどか「……今日は鍋にするの?」チラッ

知久「うん、最近一段と寒くなってきたからね」

まどか「タッくーん、今日はお鍋にするんだって!」


TV『お前の話なんて誰も聞いてねえんだよ! ガンッ!』

TV『払えるのか払えねえのか! どっちなんだよ!』

TV『……は、払えません』


まどか「」

まどか「……あ、あれ?」

鹿目タツヤ「……」ジー


知久「まどかー」


まどか「あ、はい」

知久「お父さん鍋作るから、まどかはタツヤと一緒にゆっくりテレビでも見てればいいよ」

まどか「う、うん……」


鹿目タツヤ「……」ジー

まどか「タッくん……この竜也さん、何だかすごく弱そうだね。大丈夫かな……?」

鹿目タツヤ「タツヤ!」

まどか「……うーん、きっと後からカッコよくなるんだよね?」チラッ


TV『エスポワール……』

TV『フランス語で、希望……』


まどか「ホッ……そっか、きっとこの船で大事件が起きて、それを解決する話なんだねー」

鹿目タツヤ「タツヤタツヤ!」


TV『お前たちは負けに負け続けてここにいる!』

TV『世間はお前たちのお母さんではない!』

TV『ここへ来て!それでも負けるようなのは……! 私はもう知らんッ!』


まどか「……」

鹿目タツヤ「……」ジー

まどか「……タッくん、ちょっと音下げようね?」ピピッ


TV『か゛え゛せ゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛』

TV『俺゛の゛星゛か゛え゛せ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛』


まどか「…………」

鹿目タツヤ「……」ジー

まどか「コホン……タッくん?」

鹿目タツヤ「え?」

まどか「もうこれやめにしない? ほら、お父さんの所行ってお鍋の手伝いしようよ」

鹿目タツヤ「やら!タツヤ見る!」プイッ

まどか「う、うーん……お姉ちゃん、お父さんのお手伝いしてくるね?」スッ

鹿目タツヤ「うん」


まどか「ハァ……どうしてタッくん、ああいうの平気なんだろ……」

まどか「話の内容よく分かってないのかな?」

知久「ハハハ、また藤原竜也かい? タツヤは本当にあの俳優さんが大好きなんだね~」

まどか「でもちょっと心配だなぁ。あの人の出るのって、何であんな怖いのばっかりなんだろ」

知久「うーん……藤原竜也なら、何でもいいのかな?」

まどか「え?……うん、多分そうだと思う」

知久「それなら、お父さんが怖くないのを探してみるよ」

まどか「本当?……実は、今日借りてきたのは大丈夫だと思ってたんだけど、やっぱり怖いのだったみたいで……」

知久「そうかい、明日は少し時間ができるから、探しに行って来てあげるよ」

まどか「……じゃあお父さんにお願いしよっかな。最近、あの人の顔見るだけで怖いこと思い出しちゃって……」

知久「そっか……まあタツヤには、怖くないのを買ってあげればいいさ」

まどか「うん……」


知久「ほら、鍋もできたから、タツヤを呼んできて」

まどか「分かった……タッくーん!」


鹿目タツヤ「はーい」


まどか「お鍋できたよー、TV消してー」


鹿目タツヤ「……消せないよー」

まどか「……あ、まだリモコン使えなかったっけ?」

まどか「えいっ」カチカチ


ウゥ~~~……


まどか「……あれ、何の音だろ、サイレンかな?」

知久「あれは救急車のサイレンじゃないね……よいしょ」ゴトッ

鹿目タツヤ「グツグツだー!」

まどか「そうだね、スプーン持ってくるから、ちょっと待っててね?」


~学校~


さやか「おっすまどか~!」ポン

まどか「あ、おはよう、さやかちゃん」

さやか「ねえ聞いた!? このへんで火事があったんだって!」

まどか「火事??」

さやか「そうそう! 昨日消防車が何台も駆け付けて、消火してたんだって~!」

まどか「……あっ、そういえば昨日、たくさんサイレンが鳴ってたな」

さやか「それだよ多分! まどかの家の方が現場に近かったもん!」

まどか「……何かさやかちゃん、興奮してない?」


さやか「そりゃまあ、刺激の欲しいお年頃ですからね~」

まどか「そんなの……火事に遭った人に悪いよ」

さやか「なっはっは! まどかは細かいこと気にしすぎなんだよ!」ポンポン

まどか「うーん……でも大丈夫だったのかな、そこにいた人」

さやか「平気なんじゃない? 火事があったのは無人の廃屋だったらしいから」

まどか「そ、そうなんだ、良かったぁ」

さやか「心配しすぎじゃない? 別に知り合いが火事に遭ったわけでもないんだし」

まどか「それでも、誰も怪我してなかったんだから、良かったって思うよ」

さやか「ふ~ん」


まどか「……あ、そういえば、上条君はどうだった?」

さやか「いつも通り。ろくに返事もしないで、ずっと外ばっか見つめてボーっとしてたよ」

まどか「大丈夫かなぁ」

さやか「もーそろそろ、バイオリンの方は諦めてもらわなきゃねえ。まどかだって、そう思うよね?」

まどか「……どうかな、きっと上条君にとっては、ものすごく大切なことだったと思うし……」

さやか「そりゃそうなんだけどさぁ、いい加減気持ち切り換えてくんないとさー」

まどか「……そうだね、膨大な借金があるわけでもないしね」

さやか「借金??……何の話?」

まどか「あ、昨日タッくんの見てる映画に、そういう話が出てきて……」

さやか「また竜也?ホント好きだよね~、あの子」

まどか「う、うん」


さやか「タツヤといえばさ~、結局昨日はウサギの飼い主は見つかったの?」

まどか「それが、あの後よく探してみたんだけど、どこにもいなくって……」

さやか「じゃあこの件はこれで終わりってことだね! ハイ!しゅ~りょ~!」パンパン

まどか「ええー……」

さやか「まだ謝る気でいるの? しょうがないじゃん、当の本人がいないんだからさ!」

まどか「うーん」

さやか「ほらほら、もう授業始まっちゃうよ? 切り換え切り換え!」


~午前授業終了~


さやか「あ~終わった終わった! 帰りにマックでも寄って行こうよ!」

まどか「さやかちゃん、まだ今日の授業残ってるよ?」

さやか「あれ~?そうだっけ?」

まどか「そうだよー。もう、本当は知ってるくせに」

さやか「分かってるってぇ!……まどか、キミを試したんだよ!」キリッ

まどか「試す??」

さやか「そうさ!アンタが私のツッコミ役にふさわしいかどうかってな!」

まどか「何それー」


さやか「まどかがこれからも私の相方を務めていけるか、私が直々にチェックしてあげたんだよ」

さやか「……どうやら、私の余計な心配だったみたいだがね!」

まどか「ええー、そんな役いらないよー」

さやか「相方のくせにつべこべ言うんじゃない!」

さやか「罰として今日のお弁当の中身から、ご飯とおかずとデザートだけ没収します!」

まどか「それってつまり全部じゃん! 私の分が無くなっちゃうよ~!」


さやか「まどか……今の私は授業による疲労が極限にまで達している……!」

まどか「??」

さやか「だから、まどかのお弁当を食べないと、私は午後の授業中はずっと保健室で寝てることになってしまうんだ!」

さやか「だからまどかのお弁当を!さあ早く!」ズイッ

まどか「自分の食べればいいじゃん」

さやか「自分のだけじゃ足りないってこと!……あああっ!保健室が私を飲み込もうとしている……ッ!」

まどか「さやかちゃんだけは、保健室とかなくても大丈夫な気がするな……あっ」

さやか「……ん? どぉしたー?」


まどか「そういえば今日は暁美さん来てないね、どうしたんだろう」

さやか「さあね~、でもまどかが気にかけるようなことないって」

まどか「どうして??」

さやか「アイツすっごい性格悪いもん。昨日アイツもウサギと一緒にいたんだよねー、一体何してたんだか」

まどか「……一緒にいた??」

さやか「そうそう!アレコレ聞いてくるくせに、こっちの質問には一切答えないの! ヤーな感じだよね!」

まどか「……」


『まどか……まどか……』


まどか「……??」

さやか「さっ、まどかパパお手製料理を、今日も審査してしんぜよう」

さやか「鹿目まどか女史、恭しくそのお弁当を我に献上いたすがよいぞ……」

まどか「……ちょっと待って、今誰か私のこと呼んだ?」

さやか「うん……?」キョロキョロ


『まどか……こっちだ……まどか……』


さやか「……誰も呼んでないよー? 空耳じゃない?」

まどか「いいや、確かに呼んでる……屋上だ!」

まどか「私行ってくる!」


さやか「まどかー、お弁当はぁ? おーい」

さやか「……はぁ、しょうがないなー」スッ



ガチャ…


まどか「確かここから……」キョロキョロ

さやか「何だよー、やっぱり誰もいないじゃん」


キュウべえ「やっと会えたね、鹿目まどか」


まどか 「!」

さやか「え!? どこどこ?」


キュウべえ「はじめまして。ボクの名前はインキュベーター」

キュウべえ「キミたちの先輩に当たる人間からは『キュウべえ』って呼ばれてるよ」


さやか「え!? ウソ!何で??」

まどか「インキュベーター……あなたが……?」

さやか「ウ、ウサギがしゃべってる!……いやそれよりも!」

キュウべえ「ん?」

さやか「ア、アンタ死んだはずじゃ……?」

キュウべえ「ああ、あれはキミたちの言うところの『変わり身の術』ってヤツさ」

さやか「変わり身??……いやいや、あれはどー考えても本も」

キュウべえ「変わり身の術だよ」

さやか「だって……千切れた所から中身見えてたし」

キュウべえ「変わり身の術なんだ」

さやか「……首絞められてジタバタ動いて」

キュウべえ「変わり身の術さ」

さやか「……」



~10分後~


さやか「……そっか、変わり身の術だったんだ」

キュウべえ「変わり身の術だったんだよ」

まどか「……」

キュウべえ「……さて、鹿目まどか」

まどか「え?」

キュウべえ「単刀直入に言おう。キミたちに危機が近づいている」

まどか「危機……?」

キュウべえ「昨日まどかの家の近くで火災があっただろう? あれはその前触れと考えてもらっていい」

まどか「……!」

キュウべえ「いずれ嫌でも、キミはその危機に遭遇するだろう」

キュウべえ「そして、それに立ち向かう方法は一つしかない」


まどか「一体……何の話をしてるの?」

キュウべえ「キミはもう暁美ほむらという人物を知っているね?」

まどか「う、うん……」

キュウべえ「彼女の言うことをそのまま信用するのは危険だよ」

まどか「……??」

キュウべえ「どういうわけか分からないけど、彼女は、まどかが助かる唯一の方法を阻止しようと画策している」

キュウべえ「このままだとまどかは『魔女』の瘴気に飲み込まれて、この世界から消えることになる」

まどか「!?……ま、魔女??」

キュウべえ「そうさ。昨日の火事もその魔女が引き起こしたものだ」

キュウべえ「今は無関係でも、いずれまどかに近づきその命を狙ってくるはずさ」


まどか「……どうして私を??」

キュウべえ「まどか自身がとてつもない素質を秘めているからだ」

キュウべえ「魔女たちは、キミの持つその素質の匂いを嗅ぎつけてくる」

まどか「わ、私が?」

キュウべえ「そうさ! キミが魔法少女になれば、おそらく宇宙で最も大きな魔力を持つ存在になれるはずさ!」

まどか「……」


さやか「おいウサギ!」


キュウべえ「ん?」


さやか「黙って聞いてりゃ、さっきから何ワケの分かんないことばっか言ってんのさ!」

さやか「魔女だとか魔法少女だとか、私たちはそんなの知らないっつーの!」

キュウべえ「……信じられないのも無理はないね。でも」

さやか「まどか! ボーッとしてないで戻るよ!」グイ

まどか「えっ?」

さやか「こんな謎ウサギの相手なんかしてたら、頭おかしくなっちゃうよ!」グイグイ

まどか「ちょ、ちょっとさやかちゃん……」

さやか「あーこりゃ本格的にマズいわ。疲れが溜まり過ぎて幻覚見てるんだな、きっと」

さやか「早くお弁当食べて正気に戻らないと!」タッタッタッ

まどか「……う、うん」タッタッタッ


バタン!


キュウべえ「…………」


~放課後~


仁美「……はぁ、それは不思議な体験でしたね」

まどか「うん、未だに私にも幻だったとは思えなくて……」

さやか「いや~、しかし何だったんだろね、あのウサギ」

まどか「……」

さやか「2人して同じ幻見るとか、そうそうあることじゃないよねー」

まどか「う、うん」

さやか「これってやっぱり、私とまどかが運命で堅く結ばれてるってことだよね!きっと!」

仁美「あら、そうなんですか? 鹿目さん」

まどか「……そ、そうかなぁ」

さやか「ん~? 何か不満でもあるのかな?まどかサン?」


まどか「いや、不満っていうか……」

さやか「よっし!予定変更だ!」

さやか「ちょっくらマックに寄り道してくぜ! 初の夫婦会議だ!」

まどか「相方じゃなかったっけ?」

さやか「私は過去は振り返らないのさ!」キリッ

仁美「ふふふ……では私は別の所へ寄り道しますので、後はお2人だけでごゆっくり……」ニコッ

さやか「おおっとぉ、仁美が気を利かせてくれたようだ! これはやるっきゃないよ?まどか!」

まどか「えー」



マミ「…………」


~TATSUYA~


仁美「今日はどれにしようかしら」

仁美「『死霊のはらわた』……は、もう見飽きてしまいましたし……」

仁美「『悪の華』? ダメですわね。あからさまに、後味の悪さで印象に残ろうとする魂胆を感じますわ」

仁美「今日の気分はやはり『ミスト』……あ、この店には無いんでしたわ」チラッ

仁美「……あれ? あの子は……」


知久「これは……う~ん、ちょっと怪しいなぁ」

知久「友情出演! これなんか良さそうだな」

鹿目タツヤ「パパぁ、タツヤ見たいー」クイクイ

知久「うんうん、今探してるからちょっと待っててねー」


仁美「あの、少しよろしいでしょうか?」

知久「え? あ、はい」

仁美「随分真剣にお選びのようですね。お子さんに見せる映画を探されてるのですか?」

知久「う、うん、そうなんだ。息子が藤原竜也の大ファンでね」

仁美「まあ、そうなんですか。彼も大活躍の俳優ですからね」

知久「君も、藤原竜也には詳しいのかい?」

仁美「ええ、それなりに」

知久「……実は、今息子に買ってあげる映画を決めかねているんだが、彼の映画というのはその……」

仁美「ええ、承知しておりますわ」

知久「そうかい? できれば、この子ぐらいの年でも見せられるようなものを探しているんだけど、中々難しくてね」


仁美「……失礼ですが、その子のお姉さん、私と同じ学校に通っているのではありませんか?」

知久「あっ、もしかして、まどかのお友達かな??」

仁美「まあ! やっぱりそうでしたか」

仁美「鹿目さんにそっくりな、優しそうな顔をしていると思いましたわ」

知久「これはこれは……ウチの娘がお世話になっています」ペコッ

仁美「お世話だなんてとんでもない。鹿目さんたちのおかげで、毎日楽しい学校生活を送らせて頂いておりますわ」

知久「いや~、こんな所でまどかの友達に会うとは思わなかったよ」

仁美「私、まどかさんの同級生で志筑仁美と申します……ふふっ、これも何かの縁ですわね」

知久「あ、これはご丁寧に。まどかの父です」ペコッ


仁美「……もしよろしければ、お選びのものについて簡単にご説明致しますわ」

知久「そ、そうかい?? いやー、助かるよ!」

知久「ネットで見るだけでは、どうにも分からないことが多くてね~」

仁美「そうですわね」

知久「今ボクが良いと思うのは、これなんだけど、これはどうだろう?」サッ


『L change the world』


仁美「あ、これは……」

知久「ここに友情出演って書いてあるだろう? きっと竜也クンがいっぱい出てくるんじゃないかな~と思ってね」

仁美「うーん、残念ですが、これはほとんど出番はありませんわ」

知久「えっ?そうなのかい?? 友情出演なのになぁ……」


仁美「友情出演というのは、給料をほとんど受け取らずに出演するという意味ですわ」

仁美「決してたくさん登場するという意味ではありませんの」

知久「そ、そうなのか……」

仁美「そして、確かこれは出演シーンもごくわずかで、声も出さなかったはずですわ」

知久「うーむ……」

仁美「さらに、これは『デスノート』の外伝のストーリーですのよ?」

知久「ええっ?」

仁美「息子さん……えっと……」

知久「ああ、紹介をしてなかったね……タツヤ、志筑お姉さんに挨拶して?」

タツヤ「……?」

仁美「はじめまして、タツヤくん」スッ

仁美「志筑仁美と申します。よろしくお願いしますわ」ニコッ


鹿目タツヤ「……はじめまして」ペコッ

仁美「よくできました」ナデナデ

タツヤ「……」

仁美「……タツヤくんは藤原竜也が大好きなんですの?」

鹿目タツヤ「うん!タツヤ見るー!」

仁美「そう、どんな竜也がお好みですの?」

鹿目タツヤ「タツヤー!」ピョン

仁美「えっと……」チラッ

知久「いやあ、タツヤがどうしてこの俳優さんが好きなのか、実のところ、ボクにもよく分からないんだ」

知久「この前テレビで『デスノート』が放送されただろう? なぜかタツヤはそれを食い入るように見ていてね」

知久「それ以来、こうしていくつも藤原竜也のDVDを借りてきているんだよ」

仁美「そうでしたか」


知久「……ふむ、そうすると、ボクの選んだこの映画はあまり有効ではないということかな?」

仁美「ええ、残念ながら……」

知久「……よし、この際志筑さんにお任せした方が良いかも知れないね」

仁美「えっ?」

知久「おそらく映画に関しては、君はボクよりもずっと詳しいみたいだ」

知久「タツヤには、君の言う通りのものを買ってあげることにするよ」

仁美「それは……責任重大ですわね」

知久「ハハハ、そう構えなくてもいいよ」

知久「とにかく藤原竜也さえ出てくれば、この子は満足してくれるみたいだから」


仁美「はあ、それでしたら……これなんていかがでしょう?」サッ


『神様のカルテ2』


仁美「これは病院が舞台の映画なのですけれど、出血シーンも少なく……」

知久「よし、これにしよう!」

仁美「えっ? でもまだ説明が……」

知久「いいよ、せっかくまどかのお友達が選んでくれた映画だ。これは記念に買っていくよ」

知久「もしこの子が見なかったら、ボクが見ることにしよう」

知久「やはり人から聞くだけじゃなくて、自分で経験しないといけないだろうしね」

仁美「はぁ……」

知久「じゃあ行こうか、タツヤ」

鹿目タツヤ「タツヤー! 早く見るー!」ピョン


知久「タツヤ、志筑お姉さんにバイバイして?」

鹿目タツヤ「しぶきおねーさん、さよならー」フリフリ

仁美「……ふふっ」

知久「タツヤ、しぶきおねーさんじゃないぞ? シヅキお姉さん、ほらもう一回」

鹿目タツヤ「しづきのおねーさん、さよならー」

知久「よしよし、よくできたね、偉いぞー」ナデナデ

仁美「ふふふ、本当にまどかさんそっくりですわね」

知久「やっぱり分かるいかい? 親の目には違う所ばかり見えてしまうけどね」

仁美「そうかも知れませんわね……では私も失礼させて頂きますわ」


知久「うん、今日はありがとう。本当に助かったよ」

仁美「いえいえ」

知久「まどかとは、これからも友達でいてやって欲しい。よろしく頼むよ」

仁美「ええ、もちろんですわ」

知久「じゃあボクもそろそろ……タツヤ、帰るよー」

鹿目タツヤ「バイバーイ」

仁美「バイバーイ」


~マクド~


さやか「はいよー、オレンジジュースだっけ?」コトッ

まどか「うん、ありがとう、さやかちゃん」

さやか 「いやー、でも恭介にいい土産話ができたよー」

まどか「……」チュー


マミ「……」ジー


さやか「えーと……まどか、どんな内容だったか覚えてる?」

まどか「うーん、そんなにはっきりとは……」

さやか「……あそうだ!思い出した! 魔法少女だよ!魔法しょ……プフウッ!」

さやか「ありゃ!思わず笑っちゃったじゃん! もーどうしてくれんのさ!まどか!」

まどか「えっ? わ、私のせいなのかな??」


マミ(……キュウべえったら「ボクが話を付けて来る」なんて言って、全然ダメじゃない)

マミ(2人の様子を見る限り、明らかに主導権はあの青い子の方にある)

マミ(なぜだかキュウべえはピンクの子の方ばかり気にしてたみたいだけど、きっとそれで失敗したんだわ)

マミ(もう完全に笑い話になってるじゃない……)


さやか「だって魔法少女だよ!? 何ていうかさー、焦点がズレまくりじゃない?」

さやか「もう私たち中学生なんだよ? そんな魔法とかに夢見る時期じゃないっしょ!」

さやか「もっとさー、女子中学生のニーズに合わせた話をしてもらいたいもんだよね~」


マミ(何よ!そんなにアピールしなくたっていいじゃない!)

マミ(魔女も魔法も本当にあるんだから、仕方ないじゃない!)

マミ「……」

マミ(そっか、実際に見てないから話が合わないんだわ)

マミ(やっぱり実物を目の前に用意してあげないと難しいわね)

マミ(でも、どうすればいいのかしら……)


さやか「じゃあ恭介用のバーガーも買ったし、このへんで解散ってことで」

まどか「病院って、病院食しか食べちゃいけないんじゃないの?」

さやか「もー!せっかく自分のおやつをオブラートに包んで買ったのに、バラすんじゃなーいっ!」

まどか「あ、やっぱり自分で食べるんだ」

さやか「やっぱりとは何だ!やっぱりとは!」

まどか「えーと……上条君、早く良くなるといいね!」

さやか「ゴマかすんじゃない! そんなキサマにはくすぐりの刑だー!」コチョコチョ

まどか「あっははは! やめてよさやかちゃん!」モゾモゾ


マミ(勇気を出すのよ!巴マミ!)

マミ(あれこれ考えたって仕方ない。もうこれがあの2人が一緒にいる最後のチャンスだわ)

マミ(作戦通り、まずはキュウべえのことをしっかり話して……)


マミ「……あなたたち、ちょっといいかしら?」

まどか「あっはっは……えっ?」

さやか「コーチョコチョ…………ん??」

まどか「あっ……あなたは」

さやか「!!……まどか!ダッシュ!」ダダッ

まどか「あ、ちょっ……さや……」

マミ「ま、待ちなさい!」

まどか「待ってよー!さやかちゃーん!」タッタッ


マミ「私が捕まえるから、あなたはそこにいて!」ダダッ

まどか「あ、は、はい」

マミ「もう! 顔を見るなり逃げなくたっていいじゃない……!」

マミ「確かこっちに……」サッ


さやか「いてて……っく~……」


マミ「!……あなた、ケガをしたの!?」

さやか「チィッ!」バッ

さやか「!……あいたたた……」ヨロッ

マミ「ちょっと落ち着きなさい。何も取って食おうって話じゃないのよ?」

さやか「……??」

マミ「その足、こっちに見せてみなさい」

さやか「?……は、はい……」スッ


マミ「……大したことないわね、この程度なら」

マミ「少しだけじっとしてなさい?」

さやか「……」

マミ「……」スッ


パァァァ…


さやか「!?」

マミ「これでちゃんと歩けるはずよ? どう?」

さやか「おお!さっきのケガが全然残ってない!」スクッ

さやか「……どうなってるんですか?これ」


マミ「あなたたちには話さないといけないことがあるの。今、時間はあるかしら?」

さやか「……」

まどか「さやかちゃん? 大丈夫ー?」ヒョコ

マミ「……これで揃ったわね。場所を移して少し――」


ほむら「やめなさい! 巴マミ!」


まどか「!?」

マミ「またあなたなの? 邪魔しないでもらえるかしら?」

マミ「……ま、まどか……聞いてはいけない……!」ヨロヨロ…

まどか「あ、暁美さん!ケガしてるの!?」

さやか「て、転校生? どうしたんだよ、そのケガ!」


マミ「……そう、昨日のはやっぱりあなただったのね」

ほむら「はぁ、はぁ……ダメよ、まどか!」

ほむら「ま、魔法少女になってはいけない……!」

マミ「お生憎さま。今はあなたの出る幕じゃないのよ?」

ほむら「巴マミ……! あなたは何も分かっていない!」

マミ「……何のつもりかは知らないけど、これ以上私たちの妨害をする気なら、今度こそ容赦しないわよ?」

ほむら「魔法少女は……あなたの考えるような、都合の良いものなんかじゃなない!」

まどか「??」

さやか「お、おい、一体何の話して……」

ほむら「ぐっ」フラッ

まどか「あ、暁美さん!」

マミ「あの魔女を倒したのはあなたね?」

マミ「どうやら、手数の多い相手は苦手のようね」


ほむら「はぁ……はぁ……インキュ―――」

グイッ!

ほむら「!?」

さやか「あーもー! いいからとにかく病院行けっての!」

グイグイ

ほむら「ちょっ! 離しなさい!美樹さやか!」

さやか「まどか! 足持って足!」

まどか「う、うん……ごめんね?暁美さん」ササッ

マミ「ちょっと待ちなさい、あなたたち」


さやか「とりあえず病院!……恭介と同じ所でいいかなー」グイグイ


ザリザリザリ…


ほむら「ぐうっ……!」

まどか「さ、さやかちゃん! 低い低い!もうちょっと上に!」グッ

さやか「……ん!?待った!」ピタッ

まどか「あっ」


ドサッ


ほむら「ぐっ……!」

まどか「あ、暁美さん!」

さやか「……」チラッ

ほむら「ぐぅ……」ヒリヒリ


マミ「……あなたたち、ちょっと落ち着いて」

さやか「……」ジー

まどか「さやかちゃん?」

さやか「きょ……恭介と同じ病院はマズイかも……」

まどか「……?」

さやか「まどか! このへんに病院ってなかったっけ??」

まどか「病院?……ど、どうかなぁ」

マミ「待ちなさいってば」

まどか「それより、暁美さんの腕離してあげたら? 暁美さん、かわいそうだよ……」

さやか「いいのいいの! どうせコイツ、人の話聞きやしないんだし!」

まどか「ええー、でも」

マミ「聞きなさいってば!」


まどか「へっ?」

さやか「ん?」

マミ「コホン……まず、病院なら踏み切りの向こう側に10分歩いた所にあるわ」

さやか「!……じゃあ早速!」グイッ

ほむら「うっ……」

まどか「ま、待って、さやかちゃん!」

マミ「最後まで話を聞きなさい!」

さやか「……?」

マミ「もう一つ、その子を病院に連れて行っても無駄よ」

さやか「え?何でですか?」

マミ「瞬間移動で逃げるからよ」

さやか「??」


マミ「その子も私と同じ魔法少女なのよ」

まどか「!」

さやか「はぁあ?? 何言ってんですか?」

マミ「くっ……それと最後に、その子が私たちの味方とは限らないわよ?」

まどか「……」

さやか「そういう話は後でいいです! とにかく病院に連れてきますから!」

マミ「ちょ、ちょっと」

さやか「それに瞬間移動とか何とか?……全然しないじゃないですか」グイグイ

まどか「さ、さやかちゃん待って! 引っ張るの早い!」

マミ「むぅ……魔女との戦いで、魔力を使い果たしたのかしら」

さやか「まーたそんな変な話して……あなたもあの白ウサギの仲間なんですかー?」

マミ「変な話って……だってあなた今」


鹿目タツヤ「あっ! まろかぁあ!!」ダダッ


まどか「えっ?」チラッ

さやか「ん~?」

マミ「?」

ほむら「!!」


知久「おお!まどかじゃないか!……お友達も一緒かい?」

さやか「あ、どうもこんにちはー」

知久「あっ、さやかちゃんか。まどかがいつもお世話になってます」ペコッ

さやか「いやぁそんな~、デヘヘ」

鹿目タツヤ「まろかまろかー!」ピョンピョン


まどか「タッくん、また竜也借りれたの?」ナデナデ

鹿目タツヤ「うん!」

知久「……そちらの方はまどかのお友達かい?」

さやか「んー、友達っていうかー」

マミ「はじめまして。見滝原中学校3年生、巴マミと申します」

知久「あ、これはどうもご丁寧に。まどかの父です」

知久「……じゃあそちらの……」チラッ

知久「! どうしたんだい!? その子、傷だらけじゃないか!」

まどか「うん、だから今」

さやか「ち、違いますよ!? これやったの私たちじゃないですからっ!!」

さやか「い、今病院に連れてくところだったんですよ! これホント!」

さやか「ねっ!まどか!」


まどか「う、うん……」

知久「そうだったのか……よし!すぐ近くに病院がある!ボクが連れて行こう!」

さやか「はい!」

ほむら「ま、待って……」

知久「背負って行く方が良さそうだ。まどか、さやかちゃん、手を貸してくれるかい?」

まどか「う、うん」ササッ

さやか「苦労かけさせんなよな、転校生」サッ

マミ「……私も手伝います」サッ

知久「おお、済まないね、マミちゃん」

ほむら「待って……!」

知久「……ん? その子、今何か言ったかい?」

さやか「あー、聞く必要ないですよ、パパさん。早く連れてっちゃいましょう」


ほむら「ダメ! 病院には戻らない!」

知久「!?」

鹿目タツヤ「?」

マミ「……」

さやか「はぁ? 何言ってんだよ、転校生」

まどか「あ、暁美さん、早く治さないと……」

ほむら「私には、時間がないのよ!」ジタバタ

さやか「もー!ワガママ言うんじゃねーよ!」

マミ「……ちょっと頭を打ったのかも知れないわ。意識が錯乱しているようです」

知久「そ、そんな酷いケガをしたのかい!?」

マミ「ええ、早くしないと手遅れになるかも知れません」

知久「これは大変だ!急がないと!」グイッ


ほむら「イヤッ!離して!」ジタバタ

まどか「あ、暁美さん……?」

知久「大丈夫だ!すぐにお医者さんに診てもらうからね!」

鹿目タツヤ「……」ジー

ほむら「私は! 私はこんな所でグズグズしてらんないの! まどか!まどかぁ~!」

さやか「あん?」

まどか「わ、私!?」

マミ「……?」

ほむら「まどか! お願いだから私の話を聞いて!」ジタバタ

さやか「暴れるなってば! 何なのよホントに!」

まどか「ええっと……」


知久「2人とも!この子を押さえててくれ! 早く行かないと危ないかも知れない!」

まどか「う、うん」

さやか「そう言ってもさぁ……うわっ!あーもー!動くなって!」

マミ「手足を逆方向に捻るのよ! そうすると力が入らなくなるわ!」ササッ

さやか「おっ!なるほど! アッタマいい~!」ササッ

知久「離してぇぇえええ!!」

鹿目タツヤ「せ゛ん゛せ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛」

ほむら「!」

まどか「!?」

さやか「あっ?」

知久「ん?」

マミ(先生??)


鹿目タツヤ「治゛し゛て゛く゛れ゛よ゛せ゛ん゛せ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛」

鹿目タツヤ「お゛っ゛ち゛ゃ゛ん゛ケ゛ガし゛て゛ん゛だよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛」

さやか「ほらー! アンタが大人しくしてないから、タツヤが反応しちゃったじゃーん!」

知久「うーん、困ったなー」

マミ「……この子は私が背負って行きましょう」

まどか「だ、大丈夫だよ?タッくん。ペリカなくても治療してもらえるからね?」

鹿目タツヤ「く゛す゛り゛く゛れ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛」

さやか「おいタツヤ! 今から不良なんかに憧れてたら、将来立派な大人になれないぞ!?」

まどか「ち、違うの、さやかちゃん……」

ほむら(今のうちに……)ググッ

マミ「そうはいかないわよ?」グッ

ほむら「……くっ!」


さやか「あー! 何逃げようとしてんのさ!転校生!」

鹿目タツヤ「し゛っ゛か゛り゛し゛よ゛ろ゛お゛っ゛ち゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛!゛」

さやか「おっちゃんって誰だよ!? あーもう、どっちか大人しくしててよ!」

まどか「……さやかちゃん」

さやか「何だよまどかー! この大変な時に!」

まどか「私、ほむらちゃんの言う通り、キュウべえとの”契約”は諦めることにするよ」


ほむら「!!?」


さやか「ええっ!?ホントにいいの!? もったいない!」

まどか「うん……だって、ほむらちゃんがこんなに必死になってるんだもん。応えてあげないとかわいそうだよ」

さやか「そぉお~?? だって何でも願いが叶うんだよ? スゴイじゃん!」

知久「?」

まどか「うん、でももういいの……それに本当のことを言うと、魔女と戦うのもちょっぴり怖いし……」

マミ「そう、残念ね……でも、魔女になってしまうリスクを考えると、確かに無理強いはできないわね」


ほむら「!??」


さやか「そうだな~、まどかがゾンビみたいな体になっちゃうのも嫌だしねー」

ほむら「あ、あなたたち……何の話を……」

マミ「あら? 急に大人しくなったわね」

さやか「おっ?ホントだ! 遂に観念したか、転校生っ!」

知久「よし! そうと決まればすぐにでも行こう!」スクッ

まどか「早く治してもらおうね、ほむらちゃん」

鹿目タツヤ「焼゛き゛鳥゛う゛ん゛め゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛」

さやか「アンタ焼き鳥なんて食ってないじゃん」

鹿目タツヤ「う゛め゛ぇ゛ん゛だよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛!゛」

まどか「あはは……」

マミ「準備はいい?みんな行くわよ? 彼女のソウルジェムが漆黒の闇に染まるその前に!」バッ

一同「おー!!」

鹿目タツヤ「おー!」ピョンピョン

ほむら「…………」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年10月19日 (金) 23:11:43   ID: okU9Bb-0

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