P「未来のファッション」 (27)

※原作は「こぐまレンサ」という漫画の一説を改変しております

P「うー……」

春香「どうしたんですか?プロデューサーさん!」

P「次のライブの衣装が決まらなくてなぁ……」

春香「え!?次のライブはもう2週間後ですよ!?間に合うんですか…」

P「いやー…ウチの社運をかけた大事なライブだしな…ここでガツーンとインパクトのある衣装で勝負したいんだが…」

春香「確かにそうですけど…さすがにまだ決まってないのは…」

P「う~ん…春香たちが最高のコンディションなんだ…なんとか衣装も最高のを選びたくて…スマン…」

春香「あんまりお邪魔しちゃ悪いので、テレビでも見てますね」

P「悪いな春香、せっかくレッスン終わったのに、構ってやれなくて」

春香「いいんですよ!何か困ったことあったら、声かけてくださいね!」

P「ありがとう」

春香「テレビ~♪テレビ~♪ あ、そういえばプロデューサーさん!」

P「どうした春香ー?」

春香「前から気になってたんですけど、ウチの事務所って なんでまだVHSのデッキがあるんですか?」

P「あぁ、それか、確かに今の子にはかえって新鮮かもな」

春香「えぇ」

P「社長が今まで録画していた昔のアイドルの歌番組とかが大量にVHSで残っていてな、今さらDVDにするのも面倒らしくて」

P「資料価値も高いし、残してあるんだ」

春香「なるほどー!」

春香「!!プロデューサーさん!気分転換に見てみませんか?息抜きにもなりますし、昔の売れっ子アイドルの衣装も、もしかしたら参考になるかもしれませんし!」

P「……そうかもな、ありがとう春香!一緒に見よう」

春香「はい!あ、私 お茶入れてきますね!」

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春香「再生ですよ!再生!」ポチッ

司会『今週も始まりましたー!歌のベスト72!』

P「うわぁ古いなぁ…」

春香「画質もすんごいですね… これっていつぐらいの番組ですか?」

P「…結構な長寿番組だったからなぁ、年代がわかるアイドルが居れば…」

春香「あ、このアイドル!私でも聞いたことありますよ!」

P「松田聖子か!ならこれは80年代後半だな!」

春香「わぁー もう30年以上前ですかー…」

P「歴史を感じるなぁ 春香、この頃は今みたいに眉毛を細めたり、髪を染めたりなんて無かったんだぞー」

春香「確かにそうですね、出ているアイドルの方々は皆、太眉で黒髪ですね」

P「この松田聖子の影響で、聖子ちゃんカットと呼ばれる髪型が爆発的に流行してな、すごかったんだぞ」

春香「へぇー…そこまで影響を与えるなんてスゴイですね」

P「見てみろ客席の女の子を」

春香「わぁー!ほとんど皆真似してますね!」

P「あぁ、今のアイドルでここまで影響力のある人は………ん?」

春香「どうしました?プロデューサーさん」

P「春香、ちょっと巻き戻し」

春香「あ、はい」ポチッ

P「一時停止!!!!」ガタッ

春香「わわっ!急にどうしたんですか!?」

P「なんだこの子…」

春香「…うー…急に怒鳴ったと思ったら、客席の女の子に釘付けになっちゃって」プー (ヤキモチ焼いちゃいます)

P「いや、違うんだ春香、この子をよーく見てみろ」

春香「? ふーんだ、キレイな女性ですね」 フーンダ

P「春香、そうじゃない、髪型やファッションを見てみろ」

春香「…………え? これって…」

P「そうだ」


P「ルーズソックスだ」

春香「あ、私が子供の頃に女子高生の間で流行ったっていう」

春香「へぇー、この頃から流行ってたんですねー 歴史を感じm P「違う春香!」

P「ルーズソックスが流行りだしたのは、90年代の後半だ」

春香「………え?」

P「他にも見てみろ、よーく見てみろ 眉毛は細く、髪型は茶髪にロングのストレート、真っ赤な口紅もつけてない…」

春香「メイクも今に近いですね…」

P「なんなんだこの子…」

春香「そんなに驚くことですか…?」

P「これが驚かずにいられるか、周りが80年代のファッションなのに、出演している売れっ子アイドルですらそうなのに、この子一人だけ、90年代のファッションなんだ」

春香「確かに、よーく見てみればかなり浮いてますね」

P「この子一人だけ、10年、いや15年先の流行を先取りしてるんだ…」

春香「うわぁ」

P「そうだ!」ドタバタドタバタ ケータイ取り出しポパピプペ

春香「どうしたんですか!?」

P「ちょっと電話してくる!」

春香「???」

---数十分後

P「はい、はい、ありがとうございます!」ピッ 「やったぞ春香!」

春香「???」

P「社長に頼んで、テレビ局に色々調べてもらうんだ!」

春香「は、はぁ」

P「この子がもし、本当に15年後の流行を感じ取れるんなら、次のライブの衣装を頼めばいいんだ!!!」

春香「なるほど!!!」

P「番組閲覧に応募してくるんなら、きっとデータを残してるはず!個人情報だが、そこは社長のコネでなんとかしてもらう!」

春香「つまり、私たちのライブ衣装は…」

P「あぁ!うまくいけば、未来の流行ファッションだ!人気と話題爆発間違いない!」

春香「わっほい!やりましたね!」

P「お願いだ…データよ残っていてくれ…」 プルルルルル

P「きたー!」 ドタバタドタバタ

----


P「うっひょーーーー」ドタバタ

春香「戻ってきたと思ったら、急にパソコンに向かってどうしたんですか?」

P「取材できる事になったんだ!あの子に!ビデオに写っていたあの子に!」

春香「え!?もうですか!?」

P「あぁ、テレビ局の中でも有名人だったらしい!」

春香「アイドルだったんですかね」

P「いや、違う 業界の人の中でも、『あの子が番組閲覧に来た番組は、必ずヒット番組になる!』という感じだったらしい」

春香「それって」

P「あぁ、ファッションだけじゃない、テレビ番組にも先見の明があったらしい!」

春香「ホントですか」

P「過去に吉澤さんも取材した事があるらしく、そのデータを送ってもらってるんだ!」

春香「やりましたね!」

P「そのツテで 『現在の流行』という名目で取材も申し込めたんだよ!」

春香「わくわく その吉澤さんの取材記事も見てみましょう!」

P「モチロン!」

----

-記事閲覧後-

P「……本物だ…」

春香「私にはサッパリ…」

P「…なんだこの子」

春香「どうすごいんですか?」

P「…グーグル・ヤフーの筆頭株主、日本Amamizonの取締役、リサイクルブーム・エコブームの火付け役、10年以上前から脱原発運動、ケータイにカメラをつけたのもこの人だ…」

春香「 」

P「…もうこの人が時代の先取りといってもいいくらいだ…」

春香「……すごいですね」

P「あぁ、この人は予見していたんだ」

P「インターネット社会、大災害、不況による中古売買が主流になること、物流の発達により通販が主流になること…」

春香「……」

P「…恐ろしいよ…ファッションだけじゃない、この人は未来の事がわかってるんだ…」

春香「……取材はいつですか?」

P「忙しい人らしくてね、まぁそりゃそうだ… 明日近くに来るらしく、10分だけ時間をもらえた」

P「トップアイドルどころじゃない、春香を時の人にだってできるかも…」

春香「なんだか恐ろしくなってきました」

P「俺もだよ、震えてきた…明日、事務所に待ち合わせな」

春香「はい」

P「この人、名前は『日高舞』というらしい」

(※実際のアイマスの日高舞とは関連がありません。スゴイ人、という事で名前だけ借りました)

----翌日

P「春香!遅いぞ走れ!遅刻だ!なんであんなに転ぶんだ…」

春香「うぅ…ゴメンナサイ…緊張しちゃって…」

P「あぁ…もう、未来の人の感覚が、今より遅刻に厳しい決まりだったらどうするんだ!」

春香「うわぁーん…」

P「もうすぐ待ち合わせの駅だ!…といっても時間ギリギリだけど」

春香「あ!プロデューサーさん!街頭テレビ見て下さい!」

P「んん?」

街頭テレビ『先ほど、総理が過激派により銃撃される事件が起きました』

春香「総理が銃撃で撃たれたそうですよ…」

街頭テレビ『これにより、総理とSP数名が即死』

P「今の総理に興味は無い!10年先の総理なら、すぐに営業をかけるさ!」

街頭テレビ『犯行は、憲法改正を阻止したい組織によると思われます』

P「着いたぞ!待ち合わせの場所に!」

春香「時間ギリギリですね…ゴメンナサイ」

P「どこにいる!?怒って帰ってしまったか…」

春香「…ホントにゴメンナサイ…」






???「あなたたち?私を取材したいという人達は」

P「!!!  日高さん…ですね」


日高「コンニチワ」


P「…え……?」


そこに現れた、日高さんに、俺と春香は


落胆した


日高「ゴメンナサイね、忙しくって、時間を取れず」

P「は、はぁ」

期待と不安でここまで来たのに、日高さんは

いたって普通のファッションだったのだ


いや、確かにオシャレだ スタイリッシュな上下黒のスーツ

しかし、ちょっと街を探せば、これくらいの人は沢山いる

流行の最先端どころか、ファッション誌の表紙にもなれない そんな格好だ

日高「私のファッションを取材したいんだってね」


彼女の先見性は失われてしまったのだ

俺と春香は、体裁だけ取り繕い、生返事だけ返していた

日高「10年くらい前ね、もう私の中でファッションは行き着いてしまったの」

俺は「帰ってすぐに衣装を考案しないとな」などと考えながら適当に返事をした

日高「外見ではなく、アクセサリーにこだわる事にしたのよね」

何を言っている、時計は実用性の高そうなものだし、イヤリングもピアスもつけていない、ただのキャリアウーマンにしか見えない

そう言うと、彼女はスーツのボタンを外した


日高「今は無理だけど、とりあえずレプリカを身につけることにしたの」


街頭テレビ『日本でもこういった銃撃事件が起こるという事は、もはや日本は治安の面で優れているとは言えないでしょう…』

街頭テレビ『これから日本はどうなっていくのでしょうか…』


日高「本 当 は 本 物 が 欲 し い ん だ け ど な ぁ ー」


上着を脱いだ彼女は 拳銃2丁と手榴弾を2つ、防弾チョッキを身に着けていた 




俺と春香は、怖くなって…手をつなぎながら事務所に帰り、社長に次のライブの警備強化を申請した



くぅー疲

元ネタは ロクニシコージ著:こぐまレンサ 俺の拙い文章より、はるかに面白い原作なので
気が向いたらブッコフ行ってくれ

あばよ

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