春香「プロデューサーさんの誕生日」 (18)
アイマスSS、地の分あり
初投稿です
誤字、脱字などなどは生暖かい目で見守っていただけると幸いです
設定ミスや違和感があればご指摘いただけると嬉しいです
では始めます
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「まだまだ暑いなぁ……」
電車から降りた私は無意識にそんなことをつぶやいていた。
暦の上ではそろそろ夏も終わり秋に入ろうかというのにも関わらず、東京はまだ秋の気配を感じさせないような暑さだ。
「そろそろかぁ、どうしようかな……」
そしてこの季節は私にとって勝負の季節でもある。
私がアイドルとしての活動を始めた当初から私は一人のプロデューサーさんと二人三脚で頑張ってきた。
プロデューサーさんはデビューしたてで歌もダンスもあまり上手じゃなかったときから私を傍でずっと支えてくれている。
そんな彼に私が特別な感情を抱いてしまうのも仕方ないわけで……
そしてプロデューサーさんの誕生日がもう少しでやってくる。
私
はアイドルだからこの気持ちを彼に伝えるわけにはいかないけれどちょっとくらいならアピールしても許されるだろう
ということでなにかプレゼントをあげたいと考えているのだ。
でも私は今までお父さん以外の男性にプレゼントをあげたことはなく、何をあげればいいのかとずっと悩んでいる。
1ヶ月くらいずっと悩んでいたらとうとう誕生日がすぐそこまで迫っていたのである。
「おはようございまーす!」
そんな悩みを抱えながらも今日もアイドルのお仕事が待っている。
二人で一生懸命に頑張ってきたおかげで私にもアイドルのお仕事がくるようになった。
「おはよう、春香」
私に挨拶を返してくれたのは如月千早ちゃん。
歌がとっても上手でいつも私にアドバイスをくれる。
「おはよう、千早ちゃん!今日の予定は?」
「私は今日はレッスンね。昨日また課題が見つかったからできるだけはやく潰しておきたいわね…」
あはは…千早ちゃんは私にくれるアドバイスも厳しいけど自分にはもっと厳しい。
すごく張り詰めた雰囲気をまとっていてかっこいいんだけどもう少し楽しく歌う姿も見てみたいかも。
「春香は?」
「私はラジオの収録だよ」
「そう、頑張ってね」
「うん!千早ちゃんもね!」
さてと、出発まで少し時間があるしプレゼントのこと考えなきゃ。
「うーん……」
「あら、春香、何か悩み事?」
「うん、ちょっとね」
「どうしたの?」
「プロデューサーさんのお誕生日になにを渡そうかなって」
「誕生日…そういえばもうすぐだったかしら?よく覚えているわね」
「えへへ、千早ちゃんは何かあげるの?」
「そうね…特に考えていなかったけれどいつもお世話になっているのだし、私もなにか用意しておこうかしら」
「うぅ、私も早く決めなきゃなぁ」
「まぁじっくり悩みなさい」
「うん、そうする。とはいってももう1ヶ月以上悩んでるんだけど…」
「そんなに……。でも悩み事解決の糸口なんて思わぬところから見つかるものよ」
「そんなものなのかな……」
「そんなものよ。ところで話し込んじゃったけど時間は大丈夫なの?」
「え?あ、もう行かなきゃ!またね!」
千早ちゃんに別れを告げ、私は急いで事務所を飛び出した。
「春香ちゃんは最近なにか悩み事とかあるの?」
ラジオの収録でも突然そんなことを聞かれた。
さすがに全てを打ち明けることはできないのでぼかしを入れながら告白してみた。
「実はお友達の誕生日がもう少しなんですけどまだプレゼントが決まってなくて……」
「お誕生日プレゼントかー!春香ちゃんからプレゼントをもらった友達は嬉しいだろうね!」
「はい、そうだといいんですけど……もし喜んでくれなかったらどうしようかと思って…」
もしがっかりされちゃったら……うぅ、想像しただけで泣きそうだ。
「うーん、でもよく気持ちが篭ってればなんでも嬉しいって聞くでしょ?悩んで悩んでそれで決めてくれたものなら
友達もきっと喜んでくれるよ!」
「なるほど……私もう少し悩んでみます!ありがとうございます!」
「はは、僕はなにも解決できてないけど友達のことを思いながらプレゼントを考えればきっと最高のプレゼントになるよ!」
友達……じゃなかった、プロデューサーさんのことを考えながらかぁ。
「ただいま戻りましたー」
「お、春香おかえり」
そういってプロデューサーさんが私に挨拶してくれた。
今日は営業があるとかなんとかで別々にお仕事していたんだけどやっぱり会えると嬉しい。
「うーん……」
「うん、どうした?なんかついてるか?」
「い、いえ!なんでもないです!」
プロデューサーのことを思いながらプレゼントのことを考えていたら彼のことをじっと見つめてしまっていた。
ずっと見てたらさすがに怪しいし、家に帰ってから考えよっと。
「そういえば春香」
「はい、なんですか?」
「今日のラジオ収録はついていけなかったけどどうだった?」
う、悩み事のことを話すと心配されて詳しく聞かれるかもしれない。
そしたらプロデューサーさんの誕生日の話だってバレちゃうかも。
「と、特に問題はありませんでした!」
「そうか?ならいいんだけど」
ふぅ、あぶないあぶない。今日は早めに上がろう。
「そ、それじゃあ私学校の宿題があるので今日は失礼します!」
「おう、気をつけてな」
ふぅ、あぶないところだった……
というわけで家に帰り、お風呂も夕食も済ませた私はうんうんうなりながら考え始めた。
お菓子……はいつも事務所に持っていってるしあんまりインパクトがないような気がする。
じゃあ花束とか?でも花に関する知識なんて持ってないしそれにプロデューサーさんは
いつも忙しそうだから気付かないうちに枯れちゃうかも。
そんな風に悩んでいたらお父さんが帰ってきた。
そういえば昔お父さんにはなにをあげたっけ?
…………あ、ネクタイ!中学生のころお小遣いをためて父の日にネクタイをプレゼントしたんだ。
ネクタイなら普段から使えるし、ネクタイをつけるたびに私のことを思い出してくれるかも!
千早ちゃんに言われたとおり思わぬところからヒントをもらった私は悩みが解決したことで気分よく眠りについた。
プレゼントが決まった次の日、その日はちょうどオフだったのでさっそくネクタイを買いに行った。
どんなネクタイがプロデューサーさんに似合うのかといろいろ考えながら長い時間悩んで決めたネクタイは
私のイメージカラーでもある赤いネクタイだった。
だけどプロデューサーさんの誕生日当日、私はとんでもないミスをしてしまった。
「うわぁ、もうこんな時間!?い、急がなくちゃ!」
昨夜ドキドキして眠れないからと遅くまで友達と長電話をしてしまったせいで寝坊をしてしまった。
急いで家を出て事務所に向かう。
「お、遅れました!」
「今日はギリギリだな、春香。でも遅刻はしてないから安心していいぞ」
「すみません、昨日長電話しちゃって…」
「まぁまぁ、たまにはそういう息抜きも大事だよ。じゃあ現場に向かうか」
「はい!」
今日はドラマの撮影だ。
少し長くかかるらしいけど終わったら事務所に戻ってプロデューサーさんにプレゼントを渡して、日ごろの感謝の気持ちを伝えよう。
「もっとなんかこう違うんだよねぇ、ズバーン!って感じでヨロシクちゃん!」
「は、はい!」
ズ、ズバーン?どうすればいいのかな?
監督の指示にとまどいながら撮影が進んでいくため、予定の時間を大幅に過ぎている。
なんとか撮影が終わったときには外はもう真っ暗になっていた。
「お疲れ春香、今日はちょっと大変だったな」
「いえ、確かに指示にはすこし戸惑っちゃいましたけど楽しかったです!」
「そっか、それはよかった。じゃあ事務所に戻るか」
「はい!」
さてと、予想してた時間よりは遅くなっちゃったけど事務所に戻ったらプレゼントを渡さなきゃ!
「あれ?」
「ん?どうした?」
「い、いえ!なんでもないです!」
おかしい。いくら探してもバッグのなかにプレゼントが見つからない。
もしかしてどこかに忘れてきた?
いや、今日家を出てからバッグの外には出していないはず…
家を出てから?あれ?そもそもバッグに入れたっけ?
そこで私は気付いてしまった。
「あーっ!」
「ど、どうした!?なにがあったんだ!?」
「あ!い、いえ!なんでもないです!なんでも!」
「そうか?ならいいんだけど…」
まずい。プレゼントを家に忘れてきちゃった。
でも今から帰って急いで電車に乗ればなんとか終電には間に合うはず…
「あ、あの!プロデューサーさん!」
「どうした?」
「事務所じゃなくて駅まで送ってもらってもいいですか!」
「まぁ春香はこのあと何もないし別にいいけど…」
「じゃあお願いします!」
「わかった。もうこんな時間だし確かにそっちの方がいいよな」
さてと、そうと決まったら急がなきゃ!
「ただいま!」
「おかえり、どうしたのそんなに急いで」
「ちょっとね!また出かけなきゃいけないの!」
「あら、もうこんな時間なのに?」
「うん!今日じゃないとダメなんだ!」
そう、今日渡さないとダメなんだ。
あった!プレゼントは机の上に置きっぱなしになっていた。
「うーん……本当はダメって言いたいんだけどそこまで必死なんだしなにかあるのよね。
わかったわ、気をつけて行ってらっしゃい」
「うん!いってきます!」
「あれ、春香?帰ったんじゃなかったのか?それにそんなに息を切らしてどうしたんだ」
「はぁ…はぁ……あの、プロデューサーさんに渡したいものがあって」
「俺に?」
「はい。これ、受け取ってください!」
「ん?なんだこれは……あけても大丈夫?」
「は、はい!」
喜んでくれるかな……?
「これは……ネクタイ?でもなんで急に」
「今日ってプロデューサーさんのお誕生日ですよね?だから一生懸命選んだんです」
「そういえばもうそんな時期か」
「そんな時期かって……」
「あぁ、ごめん。プレゼントはすごく嬉しいよ。最近仕事が楽しくて時間が経ってるのを忘れちゃってたんだ」
「そういうことですか……」
「ありがとな、春香。すっごく嬉しいよ」
「……はい!」
「私、プロデューサーさんに出会えてよかったです。私のことずっと見ててくれて、プロデューサーさんと
一緒だから今も頑張ってアイドルできてるんです。本当にありがとうございます!」
「うん。俺も春香をプロデュースできて嬉しいよ。さっきも最近仕事が楽しいっていったけどきっと春香とだから楽しいんだ。
これからも二人で頑張ろうな」
「はい!」
どうやら喜んでもらえたみたいだ。よかった……
たくさん悩んでプレゼントを選び抜いたかいがあった。
「ところで春香、プレゼントは嬉しいんだけどもうこんな時間だぞ。帰りは大丈夫なのか?」
「え?」
そういわれて時計を見てみるとすでに時計は終電の時刻をまわっていた。
渡すことだけ考えていたせいで帰りのことを考えていなかった。
当然車なんて運転できないし、タクシーで帰るにはあまりにも遠い。
「ど、どうしましょうプロデューサーさぁん……」
「はは、春香はドジだなぁ」
「うぅ……」
こういうときはどこかホテルとかとればいいのかな……
「俺もそろそろ帰ろうと思ってたし今日は俺が送っていくよ」
「え、でも私の家遠いですし…」
「なぁに、俺の家も方面は同じだしちょっと先までいくだけだよ」
「うぅ、お断りしてもどうしようもないですしよろしくおねがいします……」
「じゃあ帰るか」
「はい!」
こうして私はプロデューサーさんに送ってもらい、無事に帰ることができたのだった。
車の中でプロデューサーさんとたくさんお話できたしちょっとラッキーだったかも。
よーし、明日からもアイドルのお仕事頑張るぞー!
終わり
以上になります
読んでくださった方がいれば感謝を
もっと簡潔に終わらせるつもりだったんですが想像以上に長くなってしまった
文章を書くのって難しいですね
ではHTML化依頼を出してきます
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