古畑「IQ1300……?」(248)
古畑「えー、数字を申告する時、実際より大きい数を言う人っています。
俺には八千人の部下がいるだとか。
韓流グルメフェスタに来場者20万人とか。
無駄を削れば10兆、20兆の埋蔵金が簡単に出てくるとか。
ただ、そういうことする人は決まってロクな目に合いません。ご注意を」
~警察博会場・野外ステージ~
小衣「いいアンタらー! 今日は待ちに待った警察博の開催日よー!
本当に警察博が開かれるなんて、分かってるじゃないー!
でも、どうせなら小衣博を――」
次子「こらっ」ゴンッ
小衣「痛っ。
……と、とにかく、警察博の開催日だから心行くまで楽しみなさいー!
過去の事件の証拠品や、最新の捜査道具、
警察が怪盗から守った美術品なんかが展示されてるわよ!
以上!」
アイリーン「きゃーっ、こころーっ!」
今泉「小衣ちゃーんっ!!」
~警察博会場・野外ステージ裏~
小衣「ようやく警察博の開催日になったわね。
本当は小衣博の方が良かったけど」
次子「まだ言ってるのかよ」
アイリーン「小衣ー、今日も可愛いかったわよー」
小衣「ひいっ、アイリーン!」
咲「あ、逃げた」
アイリーン「あははー、待ちなさーい小衣ー♪」
平乃「行っちゃいましたね」
次子「アタシも警備の持ち場に行ってくるわ」
咲「うぃ~す」
~警察博会場内~
店員「はあ、そう言われましても……」
古畑「だって、写真ではこのクレープ、イチゴが6つ入ってるじゃない。
私が買ったのには5つしか入ってないんだよ。
よく見なさいよ、ほら」
店員「いや、だからですね」
古畑「勘違いしないで欲しいんだけど、
別にイチゴが欲しくて言ってるわけじゃないんだよ。
ただ、こういうことはちゃんとしときたいんだよ」
店員「でも規則で、一度お渡ししたものの交換は――」
ダダダダダ――ドンッ
古畑「あ、クレープが」
小衣「ちょっとアンタ! なにボケッとつったってんのよ!」
古畑「何言ってるの、ぶつかってきたのはそっち――あれ、もういない」
今泉「古畑さーん、何やってるんですか」
古畑「あ、今泉君。いや、なんか今、子供がぶつかってきたんだよ。
背の低い、金髪のツインテールの子」
今泉「あ、それきっと小衣ちゃんですよ。
G4の明智小衣。ハーバード大学を飛び級で首席卒業したIQ1300の天才美少女。
さっき、野外ステージに出てたんで、僕見に行ってたんですよ。
ほら、携帯で動画も撮ったりなんかしちゃって」
古畑「あー、そうだよこの子だよこの子!
へー、この子がG4の」
~警察博会場・西館~
次子「あー、カステラうめーっ。
それにしても、こっちは展示もないからあんまり客こなくて暇だなー。
……お、小衣だ」
ダダダダダ――
次子「小衣ー、まだやってたのか」
小衣「そーよ、まだやってたのよ!
アイリーンが来たら小衣はそっちに逃げたって言っておいて!」
ダダダダダ――
次子「あーあー、アイツも大変だな」
~警察博会場内~
小衣「はあっ……はあっ……」
キョロキョロ
小衣「よし、誰もいないわね」
ガチャ――
ガサゴソ……
小衣「……」
~警察博会場・西館~
次子「こんどはアイリーンが来たよ」
ダダダダダ――
アイリーン「ねえ、小衣見なかった?」
次子「あー、小衣ならそっちへ行ったよ」
アイリーン「ありがとーっ」
ダダダダダ――
次子「やれやれ」
~警察博会場内~
ガチャ――
アイリーン「小衣ー、どこでちゅかー?」
小衣(……)
アイリーン「あはは、小衣見ーつけた」
――カチャリ
小衣(……)
アイリーン「さ、小衣ー、お姉ちゃんと一緒に行きまちょうねー♪」
ぐいっ
アイリーン「え、小衣……?」
小衣(……)スッ
――――ドガッ!!
~警察博会場・西館~
『ご来場の皆様。本日は、ヨコハマ警察博にお越しくださり
まことにありがとうございます。
ただいま、入場者数が10000人を突破しました』
次子「お、もうそんな人数が入ったのか。
まだ午後一時になったばっかだってのに盛況だねえー」
古畑「あのー、すみません」
次子「おわ、誰だ?」
古畑「警視庁の古畑と申します。
いやー、そのなんというか……
迷ってしまいまして」
次子「あははー、まあ混んでるしなー。
ちょっと待ってな、今地図を……あれ、ないな」
古畑「私も会場の地図がついたパンフレットを貰ったんですが、
一緒に来た部下に預けていたらその部下とはぐれちゃいまして。
部下は多分、展示を見に行っていると思うんですが」
次子「ふーん。展示見に行ってるなら東館だろーな。
あ、展示と言えば爆弾処理班が面白いぞ。
アタシが連中に勧めて爆弾処理用のロボットを展示させたんだよ」
古畑「そうですか。あーでも、見に行こうにもどっちにいけばいいのか」
次子「そうだ、そっちの部屋にパンフが保管してあるから、それを使ってくれよ。
ついてきな、案内するから」
古畑「いやー、すみません。
あれー? ところで貴女、もしかしてG4の……」
次子「お、アタシのこと知ってるのか?
そうだよ、G4の銭形次子だ。よろしくな」
古畑「こちらこそよろしくお願いしますー。
あ、この部屋ですか?」
次子「ああ。空き部屋だから物置みたいになってるんだけど、
確かパンフが置いてあったはず。ちょっと待ってな――」
――ガチャガチャ
次子「あれ?」
古畑「鍵がかかってますね。
んー、どなたか中にいらっしゃるんでしょうか」
次子「あ、そう言えばさっきアイリーンが入ったんだった。
まだ部屋の中にいたのか。
おーい、アイリーン。開けろー」ドンドン
古畑「……返事がありませんね」
次子「あれ、いないのか。いつの間に出て行ったんだ?」
古畑「いやー、中にいないってことはないと思いますよ」
次子「なんで?」
古畑「このドア、鍵穴がついてません。
ということは、鍵は内側からしかかけられないということになります」
次子「ああ、そうか。じゃあやっぱり中にいるのか。
アイリーン! 開けろー!」ドンドン
古畑「……んー、返事がない」
古畑「ミルキィホームズ……?」
書いた奴?
小衣「あ、次子ーっ!」
次子「お、小衣」
ダダダダダ――
小衣「はあっ、はあっ……アイリーンはこっちには来てない?」
次子「いや、来たぞ。今、この部屋の中」
小衣「ひいっ」
次子「あっと待て、逃げるな。
なんか変なんだよ」ガシッ
小衣「ちょっと、離しなさいよ次子!
あと何が変なのよ!?」
古畑「ドアに鍵がかかっていて開かないんです」
小衣「誰よアンタ!」
古畑「あ、申し遅れました。私、警視庁の古畑と申します」
小衣「そう。小衣はG4のリーダー明智小衣。
ハーバード大学を飛び級で首席卒業した天才美少女よ!」
古畑「ああ、知ってます。IQ1300の」
小衣「1400!」
古畑「はい?」
小衣「IQ1400よ、間違えるんじゃないわよ!」
古畑「あー、それは失礼しました。
IQ1400……それはすごい」
>>17
そう。
前回はあまりにもあっけなくトリックが解かれたから今回はきちんと考えた。
今回MHはでんの?
それとも獄中?
小衣「そーよ、小衣はすごいのよ!
この前なんかハッケイ島からの脱獄犯達を全員捕まえてヨコハマの街を守ったわ!」
古畑「そうですか。ちなみに私はSMAPを逮捕しました」
小衣「他にも海賊の黒ひげやジャック・スパロウや
麦わらのルフィやゴーカイレッドも小衣が捕まえたのよ!」
古畑「そうそう、イチローを逮捕したのも私なんですー」
小衣「他にも、他にも、ヨコハマを恐怖に陥れた変質者を捕まえたのも――」
次子「張り合うな」ゴンッ
小衣「痛っ!
何よー、小衣は悪くないー!!」
古畑「えー、それで話を戻すとですね。
この部屋、鍵がかかっていてドアが開かないんですけど、
中に声をかけても反応がないんです」
>>25
出ない、G4のみ。
----------------------
次子「あ、分かった。
アイリーンの奴、ここに隠れて小衣を待ち伏せしてるんじゃないか?」
古畑「と、言いますと?」
次子「アイリーンは小衣の大ファンでなー。
いつも小衣のことを追いかけまわしてるんだ」
小衣「小衣は迷惑してんのよ!」
次子「さっきだって、
アイリーンが来たらこっちに逃げたように言えって
小衣に頼まれてさー。
実際に来たから言われた通りに言ってやったんだからな。
小衣ー、感謝しろよー?」
小衣「何よー! 小衣はリーダーなんだから言うこと聞くのは当然でしょ!」
古畑「なるほど、だいたい分かりましたー。
でも、待ち伏せをしているってことはないと思いますよー。
鍵をかけていたら誰も入ってこれません」
次子「ありゃりゃ、それもそうか」
古畑「もしかしたら、中で体調が悪くなって動けないのかも」
小衣「……仕方ないわね。
外から回り込んで、窓から部屋の中を見てみましょう。
べ、別にアイリーンのことが心配なわけじゃないわよ!
ただ、何かあったらまずいから仕方なく――」
次子「お、ツンデレ発動ですかー?」
小衣「違う! ほら、次子が先に行きなさいよ。
アイリーンがなんともなかったら、小衣はダッシュで逃げるんだから」
次子「分かった分かったって、押すな押すな」
古畑「あ、私もご一緒しますー」
~警察博会場・西館外~
次子「小衣ー、そんなに離れてないでこっち来いー」
小衣「いいからさっさと部屋の中を確認しなさい!」
古畑「えー、この部屋ですね。どれどれ……
…………!」
次子「お、どーした? アイリーンはどうだ……
…………えっ、おいおいウソだろ!?」
小衣「ちょっとー、どうしたのよー?
アイリーンはいたのー? 小衣もう逃げた方がいいー?」
次子「逃げないでこっち来い!
アイリーンが頭から血を流して倒れてるんだ!」
小衣「はぁ? どういうこと」
次子「いいから、そこの窓から覗いてみろって」
小衣「……うわ! 何これどういうことよ!?」
次子「アタシだってわかんないよ!
なあ、もしかしてアイリーンの奴、死んでるのか?」
小衣「いや、まだ息があるかも知れないわ。
次子、中に入って確かめてきなさい」
次子「おう、了解!
――ん、あれ?」ガタガタッ
小衣「何やってるのよ?」
次子「いや、この窓、鍵がかかっていて開かないんだよ。
古畑の旦那、そっちの窓は開くかー?」
古畑「いやー、こっちも鍵がかかっています」
次子「あーもう、しょうがないな!
緊急事態だし、銃底でガラス割るか。
ちょっと泥棒みたいだけど、鍵のとこをパリンと」
古畑「あ、ちょっとお待ちください。
そちらの窓の鍵、少し見せてくださいますか?
……んー、確かに鍵かかってます」
次子「だからそう言ってるだろー。
それじゃガラス割るから、少し下がってな。
――せいっ」ガチャパリーン
小衣「早く早く、急ぎなさい!」
次子「そんな急かすなってーの!
この窓、鍵だけじゃなくてロックも掛かってるんだよ。
――よし、開いた!」
ガラララ――ッ
次子「よっと。
おい、アイリーン、大丈夫か?
おーい!」
小衣「アイリーンはどうなの?」
次子「ダメだ。死んでる……。
すぐ横に血塗れのハンマーが転がってるから、
これで頭をガツンとやられたっぽいな」
小衣「ちょっと……それって、殺されたってこと?」
次子「……多分」
古畑「あのー、すみません。
ドアにも、鍵かかってます?」
次子「ん? ああ、掛かってるな。
……って、そもそもドアに鍵が掛かってたから、
アタシらこうやって窓側に回り込んできたんだろー」
古畑「ええ、そうなんです。
となると……んー、これは一体どういうことなんでしょう」
小衣「そうね、変だわ。
ま、とりあえずはこの部屋をよく調べてみましょ。
咲たちと鑑識を呼ぶから少し待ってなさい」ピッピッピ
プルルル――
小衣「……」
プルルル――
小衣「……」
プルルル――
小衣「あーもーっ! なんで出ないのよ咲は!
じゃあ、平乃に……」ピッピッピ
プルルル――ガチャ
平乃『はい、長谷川です』
小衣「あ、平乃ー?
事件発生よ、至急、咲と鑑識を連れて現場まで来なさい!
場所は西館南端の――」
~警察博会場・事件現場~
平乃「被害者はアイリーン・ドアラー。
死因は打撃による頭蓋骨骨折および脳挫傷。
凶器は死体の横に転がっていた鋼鉄製のハンマーと思われます」
小衣「……」
平乃「特筆すべきは、現場であるこの部屋の施錠状態ですね。
ドアには内側からサムターン錠がかけられていました。
部屋の南側と西側にある窓も全てクレセント錠がかけられ、
さらにロックもされていました」
小衣「他にこの部屋に出入りできるところは?」
平乃「ありません」
咲「密室~」
次子「おいおい、マジかよ」
平乃「他には、被害者の右手にこんなものが握られていました」
次子「なんだこりゃ、青い布?」
咲「うえ、飛び散った血がついてる~」
平乃「被害者が倒れていた場所のすぐ側、
壁際のキャビネットの扉がほんの少しだけ開いていました。
そこから取り出したものと思われます。
何かのダイイング・メッセージなのでしょうか」
小衣「そのキャビネットの中には、他に何か入ってたわけ?」
平乃「被害者が握っていたものと同じ青い布がたくさん……
他に、赤い布や黄色い布、緑色の布も入っていました。
警察博の飾り付けに使用したものの余りみたいですね」
小衣「青い布……青……ブルー……
うーん、ピンと来ないわね」
古畑「あのー、ちょっとよろしいでしょうか」
小衣「何よ?」
古畑「被害者の……アイリーンさんでしたっけ?
彼女のつけている腕時計の、針が止まっているみたいですが」
平乃「あ、本当ですね。
倒れた時のショックで壊れたんでしょうか?
時計の針は12時59分で止まっています」
次子「おお、犯行時刻ってわけだな!」
小衣「それをそのまま信じるのはどうかしら。
世の中には信用できないものが5つあるわ。
年寄りの自慢話、通信販売の売り文句、
スポーツ新聞の見出し、ミルキィホームズの推理、
そして最後が――」
古畑「犯行現場の壊れた時計」
小衣「分かってるじゃない」
古畑「私も4つ目を今泉慎太郎の推理と言い換えてよく使ったりします。
しかしですね、今回の場合は信じてもいいと思いますよー」
小衣「何で。あと今泉って誰よ?」
古畑「はい、何故かと申しますと、
実際にその頃に殺害が行われたと思われるからです。
我々が彼女を発見したのは1時5分頃でした。
えーと、銭形さん?」
次子「ん、アタシ?」
古畑「あなた、この部屋に入る直前の被害者のこと見てますよね?
ご自分でそうおっしゃっていました。
いつ頃のことだか覚えてらっしゃいますか?」
次子「ああー、えーといつだったかな。
一時よりは前だったけど……そんなに前でもなくて、
12時55分か、それよりちょっと後くらいかも」
古畑「では、12時55分としましょう。
被害者が部屋に入ったのが12時55分、我々が被害者を発見したのが1時5分。
この間10分です」
平乃「時計の指している時刻もその10分間に合致しますね」
古畑「はい、そうなんです。
時計が偽装だと考えた場合でも、犯行時刻とはせいぜい数分のズレしかないはずなんです。
犯人にとって、こんな偽装をする意味があるんでしょうか」
平乃「なるほど、確かにそうですね」
小衣「ふん、小衣だってそんなことは分かってたわ。
さっきのはちょっと言ってみただけよ!
それより今泉って誰よ?」
古畑「あ、私の部下です。今日も一緒に来てたのですがはぐれちゃいまして……
多分、展示を見てると思うんですが」
次子「あー、そう言えばさっきそんなこと言ってたな。
展示を見てるなら多分東館にいるだろ。館内放送で呼び出そうか?」
古畑「んー、まあ居ても役には立たない奴なんで結構です」
平乃「古畑さんも結構きついこと言いますね……」
小衣「まあ役に立たない奴ならどうでもいいわ。
そんなことよりも問題なのは密室状況よ」
古畑「ええ、これは大きな謎です」
小衣「ふふん、小衣には犯人がどうやってこの部屋から脱出したか、
もう大体の見当はついてるわ」
古畑「ええ、本当ですか?
さすがIQ1300だ……」
小衣「1400っ!」
古畑「あ、失礼しました。IQ1400でした。
で、一体どんな方法で?」
小衣「テレポートよ!」
古畑「はい?」
小衣「テレポート」
古畑「……」
小衣「何よその小衣を憐れんだような顔は!
警視庁の刑事なんかには分かんないでしょうけどね、
ヨコハマ市警はトイズを使う怪盗の犯罪と日々戦ってるんだから!」
古畑「トイズ……トイズと言うと、そのー、超能力みたいな」
小衣「そうね、超能力と考えて問題ないわよ。
トイズには色々な種類があって、当然テレポートのトイズもあるわ。
他には壁抜けとか、また別のトイズの可能性もあるかも知れないけど」
古畑「うーん……」
小衣「とにかく、小衣は現場の状況からこの事件を怪盗事件と判断するわ。
よって、事件の指揮は対怪盗チームである小衣たちG4が執るわよ。
いいわね?」
古畑「うーん……」
小衣「咲、警察のデータベースから該当しそうなトイズを持つ怪盗の情報を洗い出して」
咲「了解~」
小衣「それと、犯人は大柄な男の可能性が高いわ。
条件にあてはまる怪盗がいたらチェックしといて」
咲「おいす~」
古畑「あのー、なんで犯人は大柄な男なんでしょう」
小衣「凶器からのプロファイリングよ。
あのゴツいハンマーを女子供が振り回すのは難しいでしょう。
それなりの腕力がなければわざわざ凶器にはしないわ」
古畑「んー、なるほど」
小衣「平乃、市警本部に本件を怪盗事件として連絡して。
それが済んだら次子と一緒に周囲の聞き込みを」
平乃「わかりました」
次子「なあ、警察博にきている客は引き止めなくてもいいのか?」
小衣「本当ならそうしたいところだけど、
来場者が一万人を超えているのに全員引き止めておくのは無理だわ。
それに犯人がまだ会場内にいるかも怪しいし」
次子「まー、そりゃそうか」
古畑「あのー、指示はそれで終わりですか?」
小衣「ええ。アンタももう帰ってもいいわよ。
あとはG4に任せなさい」
古畑「…………」
小衣「ほら、帰った帰った。
怪盗事件なんだから、ただの刑事がいても邪魔なだけだわ」
次子「こら、小衣。そういう言い方はないだろ」ゴンッ
小衣「痛っ!」
次子「ごめんなー、こいつ口悪くてさー」
古畑「いえいえ、んーふふふ。
それよりもですねー、この事件、
本当にトイズを使った怪盗事件と考えて良いんでしょうか?」
小衣「何よ、小衣の判断にイチャモンつけようってわけ?
でも、この部屋はドアの鍵も窓の鍵も構造上内側からしかかけられないのよ。
ドアや窓の周りに隙間もなさそうだし、外から糸で操作するのも無理。
他に出入口もない以上、これはもうトイズを使ったと考えるのが自然でしょうが」
古畑「いやー、分かりませんよ。
私がこれまでに解決した事件の中にも、
トイズを持たない普通の犯人が密室殺人を行った例があります。
密室だから犯人がトイズを使ったとは限りません」
小衣「じゃあ、犯人はどうやってこの部屋から脱出したって言うのよ」
古畑「んー、それはまだ、何とも」
小衣「何それ、お話にならないじゃない」
古畑「ただですね、怪盗が犯人だったとして、
なんでアイリーンさんを殺したんでしょう?」
小衣「さあ、警察博に忍び込んでいるのを見つかったからじゃない?」
古畑「何も殺すことはないじゃないですか。
トイズでもなんでも使って逃げれば済む話なんです。
はい、そこのところがどうも腑に落ちないんです」
小衣「誰かに見られていると発動できないトイズだったとかね」
古畑「トイズにはそういう発動する条件みたいなものもあるんですか?」
小衣「トイズによってはね。何しろ色々な種類があるし」
古畑「んー、だとしても分からないなあ」
小衣「何がよ」
古畑「そもそも怪盗は何でこんな部屋に忍び込んだでしょうか。
ただの空き部屋ですよ? 怪盗の気を引きそうなものなんか何もない」
小衣「単に通り道だったんじゃないのー。
壁抜けのトイズなら、部屋から部屋への移動中にアイリーンに見つかったとか。
テレポートにしても一回の移動距離に限界があって、
この部屋は単に中継点だったのかも知れないじゃない」
古畑「なるほど。んー、トイズの都合にすれば何とでも言えますね」
小衣「何よ? 小衣に何か文句あるの?」
古畑「いえいえ、別に」
小衣「だいたいねー、疑問って言うなら、
トイズを使わずに犯人が密室から脱出したって考えの方が
小衣にはよっぽど疑問だわ」
古畑「さっきから犯人が密室から脱出したって言い方されてますけど、
犯人が部屋の外に出た後、何らかの方法で施錠を行ったという考え方もあるのでは?」
小衣「ドアの鍵も窓の鍵も内側からしかかけられない構造だって言ったでしょーが!
それとも、何か外から鍵をかける方法でもあるってわけ?」
古畑「んーふふふ、今はまだ、なんとも」
小衣「あーもー、それってつまり、ないってことでしょうが!
それに百歩譲って犯人が何らかのトリックを使って外から施錠をしたとしてもさー、
なんで犯人はそんなことする必要があったわけ?」
古畑「さー、なんででしょう」
小衣「ドアの向こう側は一本道だし、ドア自体が次子の警備してた箇所から丸見えだったわ。
ってことは少なくとも、犯人はドアからは出ていないでしょ。
ドアから出れば次子が気付いているはずだし」
古畑「はい、それはそうだと思います」
小衣「アンタの言う通り、犯人がトイズを持たない普通の人間だった場合、
脱出ルートは窓以外には考えられないわ。
でも窓はクレセント錠とロックで二重に施錠されてたわけ。アンタも見てたわよね?」
古畑「はい」
小衣「仮に外から窓を施錠できたとしても、そんなに短時間でできるとは思えないわ。
外は人通りが全くないわけじゃないんだから、
犯人からすれば見られるリスクがあったってことになるわよね。
そこまでして密室を作る理由が、小衣には理解できないんだけど?」
古畑「常人には不可能な状況だったとなれば、ヨコハマでは怪盗事件ということになりますからねー。
トイズを持たない犯人が、容疑者圏内から抜けることができます」
小衣「ふん、何にせよ窓を外から施錠する方法が見つからない限り意味のない話ね。
悪いけど、小衣はあくまで怪盗事件として捜査するつもりだから」
古畑「んー、では私はトイズを持たない人間の犯行として調べてみます」
小衣「ちょっと、捜査の指揮は小衣たちG4が執るっつーの!」
次子「まーまー、小衣。
アタシ達も殺人事件は専門じゃないんだからさー。
協力して貰えるなら協力して貰った方がいいだろー」
小衣「何よー、次子は黙ってなさムグっ!?」
次子「古畑の旦那は殺人が専門なんだろ?
SMAPやイチローの事件解決したっつってたもんな」
古畑「はい。捜査一課です」
小衣「ムグ――――ッ」ジタバタ
次子「じゃ、お互い別の線から調べてみるってことでよろしく頼むよ」
古畑「はい、よろしくお願いします。
えーと、それで早速なんですが
犯行時刻前後の関係者の動向を抑えておきたいので、そのー……」
次子「お、ひょっとしてアタシ達のアリバイを聞きたいって?
かーっ、徹底してるね旦那も」
古畑「んーふふふ、すみません。
あくまで形式的なものですので」
次子「はいはい、分かってますよーっと。
つってもアタシはずっとさっきのところで警備してたけどな。
旦那も知ってるだろ?」
古畑「はい」
次子「ほら、小衣はどうなんだー?
ずっとアイリーンから逃げてたのかー?」
小衣「ぷはっ……。
何よ何よ、小衣は話すことなんて何もないわ!」
次子「こらっ!」ゴンッ
小衣「痛っ! もー、分かったわよ。
次子のところに来たあとは、G4の控室に逃げ込んで隠れてたわ」
古畑「んー、誰かそれを証明できる方は?」
小衣「いないわよ。誰にも見つからないように隠れてたんだから。
ちょっと何、まさか小衣のこと疑ってるわけ?」
古畑「いえ、とんでもない。
お気を悪くされたならすみません」
小衣「ふん、どーだか。
で、しばらく隠れた後、また次子のところに戻ったらアンタと会ったってわけ」
古畑「なるほど、ありがとうございます。
あとえーと、他のお二人は」
小衣「本人に聞きなさいよ。
でも、二人の仕事の邪魔したらしょうちしないんだから」
古畑「んー、二人ともさっき出て行ってしまいました」
次子「待ってりゃすぐ戻ってくると思うぞー」
古畑「いえ、こちらから探しに行くことにしましょう。
それでは失礼します」
小衣「……」
古畑「あ、そうだ。最後にもう一つよろしいですか」
小衣「……何?」
古畑「えーと、G4の控室というのはどちらにあるんですか?」
次子「ああ、それなら地図に印つけてやるよ。
って、そうだ、パンフ持ってないんだっけ」
小衣「……これ使いなさい」
次子「お、サンキュー小衣。
えーと、こっちの方のここ。
はいよ、印しつけといた」
古畑「どうも、ありがとうございます。
それでは、また」
小衣「……」
~警察博会場内~
今泉「古畑さ~ん! どこ行ってたんですか、探しましたよ」
古畑「ああもう、うるさいのが。
ずっと見当違いのところ探してれば良かったのに」
今泉「展示面白かったですよ。携帯で動画摂ったんで見ます?」
古畑「いいよ別に」
今泉「そう言わないで。
これなんか凄いんですよ……ってどこ行くんですか?」
古畑「んー、ちょっとねー、殺人事件があってさー」
今泉「ええっ!?」
平乃「あ、古畑さん」
古畑「ああ、どうもー。探してました」
今泉「あ、G4の長谷川平乃だ。
え、古畑さんお知り合いなんですか?」
平乃「あの、こちらの方は……?」
今泉「あ、僕、今泉慎太郎って言います!」
平乃「ああ、古畑さんがさっき言っていた……」
今泉「え、古畑さん僕のことなんて言ってたんですか?」
平乃「えーと、その、部下と一緒に来ていると。
ところで、古畑さんは私に何かご用ですか?」
古畑「えー、私も事件について調べてまして。
で、一応事件前後の関係者の動向を抑えておこうと思いまして、
今G4の皆さんにも確認をとっているところです」
平乃「私もですか? 事件前後と言うと1時くらいですよね。
あ、皆さんに差し入れを配って回ってました」
古畑「差し入れ?」
平乃「ええ、ヨコハマ名物のカステラを。
次子さんはどこにいるか分かってましたから渡せたんですけど、
小衣さんと咲さんは見つからなくて……」
古畑「んー、よく探されました?」
平乃「思いつくところ一通りは」
古畑「G4の控室なんかは?」
平乃「もちろん。ちょうど一時ごろでしたね」
古畑「そうですか。んーふふふふふ。
どうもありがとうございました。
あ、そう言えばG4のあの……ピンク色の髪をした方」
平乃「咲さん? 遠山咲」
古畑「そうです。どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
平乃「いえ……咲さん、マイペースですから」
古畑「そうですか。ありがとうございました。
それでは失礼します。行くよ、今泉君」
今泉「あ、待ってくださいよ古畑さん」
~警察博会場・東館G4控室~
小衣「……」ガサゴソ
――コンコン
小衣「誰ー? 開いてるから入っていいわよ」
ガチャ
古畑「どうも、失礼しますー」
小衣「またアンタ? 何しにきたのよ」
今泉「うわー、小衣ちゃんだ! 感激だなあ」
小衣「ちょっ、誰よこいつ!? ココロちゃん言うなっ」
古畑「部下の今泉です。
ちょっと君、いきなり失礼だろ、この」ペシッ
今泉「痛っ」
小衣「あはは、良い音たてるじゃない。
小衣も叩いていい?」
古畑「どうぞどうぞ」
小衣「じゃ遠慮なく。ていっ」ゴンッ
今泉「痛っ! なんですかその仮面!?」
古畑「んー、面白いものお持ちですね。
ちょっとお借りしてもよろしいですか?」
小衣「どうぞどうぞ」
古畑「ありがとうございます。えいっ」ゴンッ
今泉「痛っ!! やめてくださいよ古畑さん!!」
古畑「んっふっふっふ」
小衣「あっはっは、面白ーい!
……で、何の用?」
古畑「んふふ……えー、はい。
ちょっとお知恵をお借りしたいことがありまして。
被害者の遺したダイイング・メッセージについてなんですけれども」
小衣「ダイイング・メッセージ……?
ああ、アイリーンが握ってたあの青い布のこと?」
古畑「はい。何しろ被害者が握っていたものです。
犯人を示す重要なヒントなのかも知れません。
私はえー、思いつかなかったんですけれども、
IQが1300もあれば何かしら思いつくんじゃないかと考えまして
小衣「1400!」
古畑「あ、そうでした。IQが1400もあれば何か思いつくんじゃないかと」
小衣「小衣も少し考えたけど、特に何も思いつかなかったわよ。
パッと分かるものじゃないんなら、
あんまりこだわってもしょうがないと思うけどー?」
古畑「そう言わずに何かありませんか。
例えば名前に青が入ってるとか……青井、青山、青島……
他には青い服を着ているとか……ああ、そう言えばあなたも青い服だ」
小衣「だから小衣が犯人? って、なわけないでしょーが!
ここは警察博の会場なのよ、警官だらけなの、わかる?
アンタみたいに全身真っ黒の方が珍しんだから!
……って、ちょっとそこ、何撮ってるのよ!」
今泉「え? せっかく小衣ちゃんに会えたから記念にと思って……ダメですか?」
小衣「小衣ちゃん言うな!
あーもう、好きにしなさいよ。
とにかく、小衣は例の布については重要視していないわ。
大方、アイリーンが襲われた時にでも偶然掴んじゃったんじゃないの。
ダイイング・メッセージですらないのかも知れないわ」
古畑「んー、実を言うとですね。私もその意見に賛成なんです。
布が入っていたキャビネットの扉はほんの僅かに開いていました。
逆に言うとほとんど閉じていたんです。
布がダイイング・メッセージだとして、
被害者がそれを掴んだ後わざわざ扉を閉めたとは思えません。
もう死ぬ直前だっていうのに、そんな余裕ありませんからねー。んふふ。
あの布には、ダイイング・メッセージ以外の何か別の意味があるんですよ」
小衣「どんな?」
古畑「んーふふふ。それはまだ、何とも」
小衣「アンタそればっかりじゃない。
話はそれだけ? だったらもう出て行きなさいよ。
小衣はこれでも忙しいんだから」
古畑「あー、いえ、まだあるんです。
えーと、1時ごろ何をしていたかなんですが。
確かこの控室にいらっしゃったんですよね」
小衣「そーよ、さっき言った通り」
古畑「その時、誰かこちらに来ませんでした?」
小衣「……」
古畑「いかがです? 覚えてらっしゃいませんか。
そんなわけないですよね、何しろついさっきのことだ。
本当にこの部屋にいたのなら答えられないはずがない。
どうでしょう?」
小衣「……来たわよ」
古畑「えー、どなたが?」
小衣「平乃」
古畑「……」
小衣「あらら? どうしたの意外そうな顔しちゃってー。
小衣が質問に答えられたのがそんなに予想外?」
古畑「んー、おかしいなあ。
長谷川さんは、この部屋に来た時誰もいなかったとおしゃってました」
小衣「あれ、ゴッメーン! 言ってなかった?
小衣はこの部屋に隠れてたの。
アイリーンに見つからないように、ロッカーの中にいたわけ」
古畑「……」
小衣「平乃? 確かに来たわよ。
入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だったかしら、
差し入れにヨコハマ名物のカステラを持ってきたって言ってたわ。
でも、小衣はロッカーに隠れてたんだから、平乃が小衣のこと見てなくても当然でしょ?」
古畑「……んーふふふ、はい」
小衣「もしかして、小衣が犯人で、この部屋にいたって言うのは嘘だとでも思ってたの?
残念でしたー。とんだ見当違いよ。
そりゃ確かに小衣はアイリーンに付きまとわれて迷惑してたし、
動機はあるかも知れないけどー?」
古畑「……」
小衣「ちょっと考えれば小衣が犯人なわけないってのは簡単にわかるでしょ。
わからない? 凶器のハンマー、あんな重そうな物、
か弱い小衣に扱えるわけないでしょーが。
そりゃ持ち上げることくらいできるだろーけど、
誰かを襲うなんて無理そうだって見ればわかるだろっつーの。
ほんと、これだからIQが3桁の奴は……」
古畑「……」
小衣「で、話はもう終わり?
だったら、いい加減出て行って欲しいんだけど」
古畑「えー、はい。失礼します。
行くよ、今泉君」
今泉「はいっ。
またねー、小衣ちゃん」
小衣「小衣ちゃん言うな!」
小衣「……」
小衣「へっへーんだ。
こんなこともあろうかと控室の様子を盗聴器で聞き取っておいて良かったわ。
IQ1400の天才美少女明智小衣があんな変な刑事に負けるわけないでしょーが!」
~警察博会場・西館二階~
ガチャ――
古畑「ああ、いたいた。やっと見つけました」
咲「おいすー」
古畑「いやー、探しました。
なんですかこの部屋?」
咲「鑑識課の実験室~」
今泉「なんかここ、落ち着くなー」
古畑「そう言えば君、まだ桑原君のところに入り浸ってるんだって?
あんまり迷惑かけるんじゃないよ」
今泉「ほっといてくださいよ、あそこは僕の心のオアシスなんだから。
ここにも色々あるなあ……ビーカー、上皿天秤、コイル、三角フラスコ……
ああ、アルコールランプと石綿金網がありますよ。
あたりめがあったら焼いて食べるのにな」
咲「え~、アルコールランプであたりめ焼くとか趣味悪いっしょ~」
古畑「ちなみに、遠山さんはなんでこんなところに」
咲「携帯充電しててさー、
この部屋に置きっぱなしにしてたから取りに来たんだ~」
古畑「置きっぱなし?」
咲「あははー、ここ今日は誰もいないからさー、
午前中ここでサボってんだよね~。
で、そん時に充電器につなげたってわけ。
あ、サボってたこと、小衣には内緒ね~」
古畑「はい、わかりました」
咲「ところで、そっちの人は~?」
今泉「今泉慎太郎です!」
咲「そ~。アタシは遠山咲。よろしく~。
ねえねえ、なんでオデコに顔のあとみたいなのついてるの~?」
古畑「ああ、ほんとだ。なんだこの顔、不気味だなー。
君、呪われてるんじゃないの?」
今泉「古畑さんがさっき仮面で僕のこと叩いたからですよっ!」
咲「あはは、うけるー。ねえ、写メ撮っていい?」
古畑「ええ、どうぞどうぞ」
咲「うーん、ちょっと日差しが強過ぎて上手く撮れないかも」
古畑「じゃあ、南側の壁の窓、全部カーテン閉めちゃいましょう。
今泉君、そっちのカーテン閉めて」
今泉「はい」
咲「んー、大分よくなったけどまだ日光が邪魔してる感じ」
古畑「もう午後ですからね。今泉君、西側の窓も全部カーテン閉めて」
今泉「はい」
咲「暗すぎー」
古畑「今泉君、電気つけて」
今泉「はい」
咲「お、バッチグー。激写なうー」パシャッ
古畑「しかし、こんな奴の写真なんか撮っても
しょうがないんじゃないですか」
咲「そんなことないし~。
咲ちゃんの面白写真コレクションに入れるんだから。
ん、あれ……」
古畑「どうしました?」
咲「携帯のフォトデータが壊れてる。
何これサイアク~」
古畑「あーあー、今泉の写真なんか撮るから呪われたのかも」
咲「お気に入りの写真もあったのにマジブルー。
充電する前は何ともなかったのに」
古畑「……」
今泉「あ、そうだ。携帯のデータで思い出したんですけど、
さっき面白い展示があったんで動画摂ってきたんですよ。
ほら、これ。爆弾処理ロボットなんですけど」
咲「お、ポポロMK-2じゃんー」
~今泉の動画~
ガヤガヤ……
今泉『うわー、すごい人ごみだなー』
ガヤガヤ……
今泉『順番まだかなー』
ガヤガヤ……
今泉『ああ、やっと順番回ってきた。
へー、これが爆弾処理用のロボットか』
係員『はい。ポポロMk-2です。
爆弾処理だけでなく、ロボットダンスしたり、
底部のブースターで飛んだり、変形したりもできるんですよ。
誤作動が多いのが玉に瑕なんですが、それは仕様です』
今泉『へー、ポポロMK-2って言うんだ。
じゃあポポロちゃんですね』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわーすごい、喋った!
ポポロちゃん凄いなー』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわ、叩いてきた! なんで!』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『やめて、助けてー!』
窓のロックっていうのは電子ロックのことでいいんだよな
~警察博会場・西館実験室~
古畑「……」
咲「あはは、けっさく~」
古畑「撮影開始時刻が一時ちょうど……で動画が5分間」
咲「つか、列に並んでるところから撮らなくても良かったんじゃない?
そこだけでも結構長かったし~」
今泉「でも凄いでしょ古畑さん。このロボット。
自分で動いて、しかも喋るんですよ」
古畑「今泉君さー、ちょっと調べてきてほしいことがあるんだけど」
今泉「はい?」
古畑「パンフ持ってる? 持ってるよね、ちょっと開いて」
今泉「はあ」
古畑「まずここ行って……その後はこの範囲全部。
確認してほしいのは――」
今泉「……わかりました」
古畑「早く。なるべく急いで」
今泉「はい!」
ダダダダダ――
古畑「あー、遠山さん、申し訳ないんですが
しばらく携帯を貸してもらえませんか」
咲「えー?」
古畑「夕方までには必ずお返しします」
咲「まあいいけどー。変なことに使わないでよー」
古畑「はい、ご安心ください」
~警察博会場内~
今泉「古畑さーん! 調べてきました」
古畑「ご苦労様。どうだった?」
今泉「はい、古畑さんの言っていた通りでした。
で、なんでかっていうとこういう理由があったみたいで――」
古畑「……そう、ありがとう。
あー、あとさ、大至急
小衣ちゃんを呼んできてくれる?」
今泉「はい!」
~スポットライト~
古畑「えー、明智小衣は致命的なミスを犯しました。
彼女は、自分が犯行現場にいたという証拠を残してしまったんです。
今回の問題は二つ。
明智小衣はどのようにして密室殺人を行ったのか?
そして、彼女が犯したミスとは?
ヒントは……壊れた携帯と、今泉君の動画。
ま、考えてみてください。
古畑任三郎でした」
>>83
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090826/176602/03_500.jpg
電子ロックではなく、画像右側の鍵の側面についてるつまみみたいな奴。
これでロックすると、クレセント錠部分が動かなくなる。
問題部分が終わったから30分くらい考える時間取る。
必要な情報は全部揃ってる……と思う。
やっぱミルキィ知らないと解けない?
>>97
ミルキィの知識はいらない。
超能力も関係しない。
待て待て、ポポロちゃんは犯行時刻別の場所に展示されてる。
地図は無いの?
>>115
ない。必要な位置関係は問題部分から特定できる。
あー、じゃあ1時30分から解答編投下する。
放送が西館にしか流れなかった説にはなんか根拠あるの?
あと密室もあるからな!
せめて45分でお願いしたいwww
いい問題だから食らいつかせてくれwww
>>131
んじゃ45分まで待つ。
その間に「今泉慎太郎」でも書いてる。
ついでにヒント。
携帯の画像データが壊れたのは偶然で、犯人が意図したものではない。
で、事件現場は窓から入れたわけだから一階にあって、
平乃のセリフから、南と西に窓がある。
~警察博会場内~
今泉「小衣ちゃ~ん!」
小衣「小衣ちゃん言うなっ!
何なのよアンタはもー」
今泉「古畑さんがお呼びです」
小衣「はあ? 知らないわよそんなの」
今泉「……」
小衣「ちょっと、どきなさいよ!」
今泉「古畑さんがお呼びです!」
小衣「……あーそう、わかったわよ。
このIQ1400の天才美少女、明智小衣を呼び出すなんていい度胸じゃない。
で、小衣はどこにいけばいいの?」
今泉「はい、こちらです」
~警察博会場・西館実験室~
ガチャ――
小衣「来たわよ! 何の用ー?」
古畑「どうもー、お待ちしてました」
小衣「要件を言って。手短に。
小衣は事件の捜査で忙しんだから」
古畑「んーふふふ。無理ですよ、解決しません。
いもしない怪盗を追っていては」
小衣「アンタまだそんなこと言ってるの?
じゃあ現場が密室だったことをどう説明するわけ?
まーた、『今はまだ、なんとも』とか言うんじゃないでしょーね」
古畑「んー、ご安心ください。
今度はきちんと説明できると思いますよー」
小衣「へー、自信満々にそんなこと言って吠え面かかないと良いわねー。
じゃ、聞くわよ。犯人はどうやってあの部屋から脱出したの?
部屋の外から鍵をかけたりできるわけ?」
古畑「それを説明するためにですね、ちょっと道具を用意しました。
その床に置いてあるトランクを机の上で開けてもらえますか?」
小衣「これ? 小衣にそんなことさせるなんて小衣使いが荒いわね。
ま、つきあってあげるわよ……って何これ、重っ!!」
古畑「持ち上がりませんか?」
小衣「無理よこんなの! 小衣をプロレスラーだとでも思ってんの!?」
古畑「そんなに重いですか? では私が……ほら、重くない」ヒョイッ
小衣「え、片手で……アンタ見かけによらず力あるのね」
古畑「いやー、そんなことありませんよ。
一度床に置くので、もう一度持ってみます?」
小衣「貸しなさいよ。んー……やっぱ重いー!!
中に何入ってんのよこれ!」
古畑「まあ、机の上に置いて開けてみれば分かります」
小衣「だからー、持ち上がらないんだっつーの!」
古畑「もう一度、持ち上げてみてください」
小衣「何度やったって重さが変わるわけないでしょーが!
……って、あれ、持ち上がった」ヒョイッ
古畑「んー、ふっふっふ」
小衣「中身は……何これ、コイル? あ、電磁石……?」
古畑「えー、はい。
このリモコンでオンオフを切り替えることができます」
小衣「ああそう。だから小衣が持ち上げようとしても床に吸着して
持ち上がらなかったわけね。
……で? こんな悪戯がしたくて小衣をわざわざ呼び出したわけ?」
古畑「いいえ。これが事件に関係大アリなんです!
犯人はこれを使って密室殺人を実行したんですよ」
小衣「分かった。犯人は現場から脱出後、
磁石を使って窓に鍵をかけたって言いたいんでしょ?
でも残念でしたー。あの窓の鍵はステンレス製、磁石では動かせませんー。
さらに窓にはロックもかかってたけど、そっちはプラスチック製だし」
古畑「んー、違います。犯人は外から窓を施錠したわけじゃないんです」
小衣「じゃあドアから? それはもっと無理だっつーの。
次子が部屋の外にいたんだから」
古畑「いいええ。ドアからでもありませんー。
ドアは被害者自身が施錠したんでしょう」
小衣「はあ? じゃあ犯人はどっから脱出したっての!?」
古畑「ふふふ、それはですね……犯人は脱出なんかしてないんです。
する必要が無かったんですよ。
だって、殺害時には部屋の中にはいなかったんですから」
小衣「何それ、じゃ、どうやって犯人はアイリーンを殴り殺したのよ?」
古畑「はい、そこで電磁石なんです。
あの部屋の中には磁力の影響を受けるものがあったじゃないですか。
鋼鉄製の……凶器のハンマーが」
小衣「あーっはっはっ、面白いこと考えるのねアンタって。
部屋の外から磁石でハンマーを動かして殴り殺したっての?
そんなことできるわけないでしょーが」
古畑「んーふふふ、それができるんです」
小衣「無理無理。
あんな重そうなハンマーを宙に浮かせるほどの磁力が発生していたら、
部屋の中無茶苦茶になるわよ。
それに人間を狙ってハンマーを動かすのだって、できっこないわ。
どんだけ大掛かりな装置が必要になると思ってるのよ」
古畑「いえー、別にハンマーを宙に浮かせる必要なんてありません。
と言うかむしろ逆なんです。浮かせたんじゃなくて落としたんです。
磁力で天井に張り付けておいて、
被害者が真下に来た時に電気を切ってハンマーを落下させた……
これならできると思いませんか?」
小衣「いやー、無理でしょ。
都合よくアイリーンがハンマーの真下に来るとは限らないじゃない」
古畑「ところが、犯人は彼女がハンマーの真下にくることが分かっていたんです。
これ、見覚えありますよね?」
小衣「アイリーンが握っていた、青い布」
古畑「彼女はアナタを探していました。
そしてあの部屋にアナタがいると言われて部屋の中に入った。
部屋の中には誰もいません。しかし、この布がキャビネットの扉からはみ出していた」
小衣「……」
古畑「それを見て彼女はこう考えたんです。
アナタがキャビネットの中に隠れている……と。
何しろアナタの服と同じ色ですからねー」
小衣「…………」
古畑「もちろん、この布は予め犯人がキャビネットの扉に挟んでおいたものですよ。
被害者の行動を誘導するために」
小衣「アイリーンがキャビネットの扉を開けるタイミングをどうやって知るのよ」
古畑「犯人は電磁石を操作するため、現場の真上の部屋……つまり、この部屋にいたはずです。
場所はすぐ下なんですから床に耳をつけていれば物音で中の様子が分かるでしょう。
あるいは、小型のキャメラや盗聴器を窓から下の階の窓の外に垂らしてもいいかも知れません。
これらは密室の外にあっても用をなすので、回収も簡単でしょう」
小衣「……」
古畑「いかがでしょうか。説明はついていると思いますが」
小衣「……まー、一応説明はついてるみたいだから、そこは褒めてあげるわ。
でもちょっとその方法は穴が大きすぎるんじゃない?」
古畑「んー、どうして?」
小衣「だって、確実性に欠けるでしょーが。
アイリーンが天井のハンマーに気づくかもしれないし、
逆にキャビネットからはみ出た青い布に気づかないかも知れない。違う?」
古畑「その通りです。しかし、そうなったら殺害を中止すればいいだけの話なんです。
事件現場において、犯人は被害者と顔を合わせていません。
上手く行かなそうなら中止すれば、それでなんの問題もない」
小衣「……分かった、分かったわよ。それで説明はついてる。
でもさー、それは、その方法を使えばトイズを使わなくても
犯行が可能だと証明しただけよね。
小衣の推理した通り、怪盗による事件だって可能性も否定できないでしょーが」
古畑「いいえ、犯行はこの方法で行われたんです」
小衣「なんで言い切れるの」
古畑「んーふふふ、証拠があるんです。
はい、これですー」
小衣「それ……咲の携帯じゃない」
古畑「ちょっとお願いしてお借りしてるんです。
えー、この携帯なんですけどね、
午前中にこの部屋で充電器に繋がれた後、
つい先ほどまでここに放置されていたんです」
小衣「それで?」
古畑「重要なのはですね、充電中になぜか
この携帯に保存されていた画像データが
壊れてしまったということなんです」
小衣「携帯のデータが……?」
古畑「この部屋で使われた電磁石の、強力な磁気が悪影響を及ぼしたんですよ。
精密機器や磁気記憶媒体は外部からの磁力に弱いですからねー」
小衣「……」
古畑「そう言えば被害者の腕時計も針が止まっていました。
あれ、最初は被害者が倒れた衝撃で止まったんだと思ってたんですが、
時計自体には損傷がありませんでした。
あれも、ハンマーが帯びた磁気のせいで故障したんでしょう」
小衣「……」
古畑「この部屋で強力な磁石が使われた証拠……
ひいては先ほどの方法で殺害が行われた証拠になると思いますが」
小衣「……そうね」
古畑「怪盗事件ではなく、普通の殺人事件だと考えても?」
小衣「……いいわ」
古畑「んーふふふ、ありがとうございます。
さて、さきほどの方法で犯行を行うにあたり、必要なことがあります。
被害者に事件現場の部屋に入ってもらうことです」
小衣「……」
古畑「被害者はアナタを探してあの部屋に行きました。
アナタがあの部屋にいると被害者に伝えたのは銭形さんですが、
その銭形さんに指示を出したのは――」
小衣「……ちょっと待ちなさいよ」
古畑「はい?」
小衣「小衣が犯人だって言いたいわけ?」
古畑「違うんですか?」
小衣「違うわよ! 密室殺人の方法については
アンタの推理を認めてあげるけど、
小衣が犯人なわけないでしょーが!!」
古畑「しかし、被害者をあの部屋に誘導したのはアナタです」
小衣「それが何? たまたまよ。
小衣が偶然言わなかったら、犯人がアイリーンに同じことを言ったんじゃない?」
古畑「んー、偶然で済ますのはどうでしょうか」
小衣「だって偶然なんだからしょうがないでしょ?
それともアンタは、小衣が殺意を持って
アイリーンをあの部屋におびき寄せたと証明できるわけ?」
古畑「……」
小衣「それにアタシは犯行時刻前後はG4の控室にいたのよ!
平乃が来たことだって覚えてたじゃないの」
古畑「いやー、しかし長谷川さんはアナタのことを控室で見たわけではありません。
控室にレコーダーを置いておいて
あとで犯行時間帯の部屋の様子を確認したとか、
あるいは盗聴器を使ってこの部屋から
リアルタイムで様子を聞いていたとか、色々考えられます」
小衣「はいはい、想像想像。
小衣が控室にいなかったって証明できるわけじゃないんでしょ」
古畑「んーふふふ」
小衣「何よ気持ち悪い笑い方しちゃって」
古畑「えー、証明できるんです。
と言うよりアナタ、ご自分で証明されてるんです。
犯行時刻、控室にはいなかったと」
小衣「はあ?」
古畑「えー、こちらは私の携帯です。
今日、今泉が撮った動画を移してあります」
小衣「あ、これ。あの爆弾処理班のクソロボット」
古畑「ま、とりあえず見てください」
>>181
逆に考えたら、ハンマーが凶器だった場合でも「投げた」という可能性が無いわけじゃないしな
~今泉の動画~
ガヤガヤ……
今泉『うわー、すごい人ごみだなー』
ガヤガヤ……
今泉『順番まだかなー』
ガヤガヤ……
今泉『ああ、やっと順番回ってきた。
へー、これが爆弾処理用のロボットか』
係員『はい。ポポロMk-2です。
爆弾処理だけでなく、ロボットダンスしたり、
底部のブースターで飛んだり、変形したりもできるんですよ。
誤作動が多いのが玉に瑕なんですが、それは仕様です』
今泉『へー、ポポロMK-2って言うんだ。
じゃあポポロちゃんですね』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわーすごい、喋った!
ポポロちゃん凄いなー』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『うわ、叩いてきた! なんで!』
ポポロMK-2『ポポロチャンイウナ! ポポロチャンイウナ!』
今泉『やめて、助けてー!』
~警察博会場・西館実験室~
古畑「いかがでしょう?」
小衣「いかがでしょうって言われても……」
古畑「何か感想は?」
小衣「アンタの部下アホそう」
古畑「他には?」
小衣「いつ見てもこのロボットむかつく」
古畑「他には?」
小衣「いい加減にしなさいよ。
このつまんない動画がなんだって言うの!」
古畑「撮影開始時刻が午後一時ちょうど。
で、動画の時間は五分間」
小衣「で?」
古畑「まだ分かりませんか?
アナタ、認めてます。自分が控室にはいなかったと」
小衣「小衣、IQが3桁の人の言うことってよくわかんなーい。
この動画がなんだって言うのよ! 別に何もないじゃない!」
古畑「では……これが最後の証拠です。
また、今泉の撮った動画です。
ご覧ください」
~今泉の動画2~
古畑『……』
小衣『あらら? どうしたの意外そうな顔しちゃってー。
小衣が質問に答えられたのがそんなに予想外?』
古畑『んー、おかしいなあ。
長谷川さんは、この部屋に来た時誰もいなかったとおしゃってました』
小衣『あれ、ゴッメーン! 言ってなかった?
小衣はこの部屋に隠れてたの。
アイリーンに見つからないように、ロッカーの中にいたわけ』
古畑『……』
小衣『平乃? 確かに来たわよ。
入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だったかしら、
差し入れにヨコハマ名物のカステラを持ってきたって言ってたわ。
でも、小衣はロッカーに隠れてたんだから、平乃が小衣のこと見てなくても当然でしょ?』
~警察博会場・西館実験室~
小衣「……」
古畑「んーふふ、どうされました。
顔色悪いですよ」
小衣「……何でもないわよ。これがなんだって言うの?」
古畑「はい、アナタはっきりおっしゃってます。
長谷川さんが来たのは、
『入場者数10000人突破のアナウンスが流れるちょっと前だった』と。
あのアナウンス、私も聞いていました。
一時ちょっと過ぎに流れたのを覚えています。
我々が被害者を発見したのが1時5分ですから、
1時ちょうどから5分間のどこかで流れたのは間違いありません」
小衣「……」
古畑「しかし……しかしですよ?
今泉がロボットを撮った動画も同じ時間帯なのに、
こっちにはアナウンスが入っていないんです。
なんでだか分かりますか? まあ考えても分からないでしょうね。
ですから私は、今泉を放送室に行かせて、調べさせました」
小衣「……」
古畑「実はですね。あの時、入場者、まだ10000人も行ってなかったそうなんです。
実際は6000人くらいだったそうです。
放送室側の手違いであのアナウンスは流れてしまったんですよ。
ま、と言っても、大した問題はないんです。
なにしろ、あのアナウンスは、展示がなくて客もほとんどいない
西館だけにしか流れていないそうですからね。
間違いに気づいて東館には放送しなかったそうです」
小衣「……西館、だけ……?」
古畑「はい。んーふふふ……G4の控室は展示と同じく東館にありましたよね?
しかし、アナタははっきりとアナウンスを聞いていたんです。
つまり、犯行時刻にアナタがいたのは控室ではありえない!」
小衣「だからって、小衣がこの部屋にいたと証明したわけじゃないでしょ!」
古畑「ではどこにいたんですか?
西館にいたのは確かです。アナウンスを聞いていたんですからね。
しかし、隣の部屋には人がいました。
アナタが来たか今泉に調べさせましたが、来ていないとのことでした。
その隣の部屋も調べさせました。その隣も。上の階も!
この部屋以外全部調べましたが、どこにもアナタは来ていない」
小衣「…………」
古畑「まだ、何か言いたいことはありますか?」
小衣「……ないわ」
古畑「自供と受け取っても?」
小衣「…………いいわ」
古畑「んーふふふ、ありがとうございますー」
小衣「…………勝った気になるんじゃないわよ。
あくまで、偶然アナウンスのミスがあったおかげなんだから!」
古畑「ふふふふふ」
小衣「それに咲がこの部屋で携帯の充電なんかしてなければ……
平乃が差し入れなんて持ってこなければ……
そもそも次子がクソロボットを展示なんてさせなければ……
アンタは小衣のことを疑いすらしなかったわよ」
古畑「いやー、それでも私、アナタのこと疑ってましたよ」
小衣「それは嘘ね。
ハーバード大学を首席で卒業した、
IQ1400の天才美少女明智小衣にミスがあるはずがないわ」
古畑「んーふふふ。アナタ現場で事件で怪盗事件だと判断した後
G4の皆さんに指示を出してましたよね。
遠山さんには怪盗のデータの洗い出し、長谷川さんには本部への連絡、
銭形さんには周囲への聞き込み」
小衣「それが?」
古畑「しかしですねー、この警察博では
過去に警察が怪盗から守った美術品も展示されてるそうじゃないですか。
怪盗が現れたのだと思ったなら、まず美術品が狙われると思うはずです。
ところがアナタ、美術品を守るようにと言う指示は一切出さなかった。
それで思ったんです。アナタは、怪盗なんか現れていないことを知ってるんだ、と」
小衣「……降参。アンタ、IQが2000はあるんじゃない?」
古畑「いやー、その十分の一くらいしかないと思いますよ。
それでは、行きましょうか」
小衣「ええ」
(おしまい)
>>190
磁石のヒントは携帯以外にも、>>71で今泉がはっきり実験室にコイルがある旨を発言してる。
傷口の角度は解剖すりゃわかるだろうけど、パッと見じゃ区別つかないかなと思ってる。
で、怪盗事件と判断されてる限り捜査権は小衣ちゃんにあって、司法解剖に回すかどうかの判断も小衣ちゃんがするからセーフかな、と。
今泉「えー、数字を確認したら思ったより低かったってこと、よくありますよね。
身長が180センチあると思ったら、178センチしかなかったとか。
貯金が200万あると思ったら、20万しかなかったとか。
数えきれないほど事件を解決したと思ったら、実は一つも解決していなかったり。
そういう時はたいてい、僕は悲しい気持ちになります。ご注意を」
~鑑識課~
今泉「まったく、古畑の奴は人使いが荒いんだよ。
今日もあちこち走りまわされてさ」
桑原「まー、あの人、頭脳労働担当って感じだからねー。
自分で動き回ったりとか、あんまりしなさそう」
今泉「何が頭脳労働担当だよ。
僕だってね、頭脳にはちょっと自信があるんだから」
桑原「ええー、本当ー?」
今泉「本当だよ! おばあちゃんにだって、
慎ちゃんは天才だって言われてたんだから!」
桑原「身内の評価でしょー?
あ、そうだ、じゃあこれやって見てよ」
今泉「何これ? パソコン?」
桑原「ネットで見つけた知能テスト。どう?」
今泉「いいよー、やってやるよ」
…………
今泉「よし、終わった!」
桑原「さー、じゃ結果見てみようか。
どれどれ……」ピッ
今泉「ほら、97点!!
ほぼパーフェクト!
やっぱ俺もやるじゃん!」
桑原「……今泉さん。
非常に言いにくいんだけど」
今泉「何?」
桑原「これ……IQの表示なんだ」
今泉「え、じゃあ97ってのは」
桑原「……平均以下」
今泉「…………」
桑原「…………」
今泉「うわあああああああん」ダキッ
桑原「…………」
(おしまい)
ほんじゃ、お疲れ様。付き合ってくれてありがとう。
次は2~3週間後くらいに、スレを立てると思う。多分。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません