男「戦争孤児か……」 幼女「……」 (26)
幼女「……」
男「ふむ…………」
ガサゴソ……
男「食うか?」クイ
幼女「…………パン」
幼女「……」コク
男「ほら」
幼女「ン……」
モソモソ……
男「…………お前、一人か?」
幼女「……」コクリ
男「お前くらいなら、普通は孤児同士で徒党を組んでいるもんだが」
幼女「……足手まといだって」
男「そうか………………」
幼女「……」モグモグ
男「…………」
幼女「…………あ、血……」
男「ああ……戦争から帰ってきたところだからな」
幼女「……」スッ……
ポウッ
男「…………お前、教会の子か?」
幼女「……うん、捨てられてたって」
男「…………そうか。傷を治せるのなら、役立たずとは思われないだろ」
幼女「子どもで出来るのは珍しいから、子どもの内は見せないようにって」
男「そうか……確かに、この手の魔法が使えるので若いのはいなかったな」
幼女「治った」
男「……ありがとう」
幼女「……パン」
男「…………パン?」
幼女「パン……貰ったから…………」
男「…………ああ」
幼女「ごちそうさま……」
男「…………」
男「この辺の教会というと、あの大聖堂か?」
幼女「うん……」
男「そうか。結構大きなところにいたんだな」
幼女「……」コクリ
男「……」
男「…………すまんな」
幼女「……?」
男「負けちまって」
幼女「……」フルフル
幼女「みんな言ってた。絶対勝てないって」
男「…………そうか」
幼女「……」コクリ
男「…………もうすぐこの辺も陥落する」
幼女「……」
男「騎士団も聖堂騎士団も俺みたいな傭兵も撤退準備を始めてる」
幼女「……」
男「周りの人も逃げてるだろ」
幼女「…………」
男「なんで、お前は逃げないんだ?」
幼女「…………」
男「…………」
幼女「………………にげ場、ない」
男「………………」
男「…………」
男「…………そうか、そうだな」
男「逃げ場が無い、か…………」
男「…………」
ズザ……
幼女「……? なんで座るの?」
男「疲れたんだ……」
幼女「…………」
幼女「………………そう」
ドォ――――――ン!!!!!
幼女「」ビクッ
男「こちらの魔法兵か、敵の竜か、みたことない敵か知らないが…………」
男「近づいてるな…………」
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