女「あ、お、男くん」(158)

男「ん?」

女「ぐ、偶然だね。お、男くんもここの図書館使うんだ。えへへ」

男「えーと、女さんだっけ?」

女「あ、う、うん。わた、クラスがち、違うし私のことなんてあんまり知らないよね。えへへ」

男「えっと……もう良いかな?俺探してる本あるから」

女「あ、あ、ごめんね。じゃ、邪魔しちゃって。ごめんね」

男「いや、別にいいけど」

女「あり、ありがとう。男くんは、へへ、優しいね。えへへ」

職員「はい、もう借りられますよ」

男「ありがとうございます」

男「ふぅ、見つかって良かったな」

女「あ、あの男くん!」

男「うわ!」

女「ほ、本見つかったんだ。よ、良かったね!」

男「ああ、うん」

女「あ!あ、その本ね、わた、私も好きなんだ!えへ、えへへ」

男「ああ、うん。そうなんだ」

女「一緒だね。えへへ」

男「じゃあ、俺帰るから……」

女「あ、うん。ごめんね。また、邪魔しちゃったね」

男「いや、いいよ別に。それじゃ」

女「うん!ま、またね。えへへ」

友「よっ!」

男「おう、おはよう」

友「今日はさみーなー」

男「あのさ」

友「ん」

男「昨日、図書館で女さんに会ったんだけど」

なんかやたらID変わるな

友「女さんってD組の?お前仲良かったっけ」

男「いや、そういう訳じゃないんだけど。なんか向こうは俺のこと知ってるみたいでさ」

友「なんだ?モテ自慢か?」

男「違うっての。お前、女さんがどういう人か知らない>」

友「うーん、あんまりだなぁ。D組の奴と話しててもあんま出てこないし 」

男「ふーん。そうか」

女「あ、お、男くん!」

男「うおっ!」

女「お、おはよっ」

男「あ、ああうん。おはよう」

友「噂をすれば、だな。おはよう女さん」

女「あ、だ、お、おはよ、う、噂って?」

友「男の奴が女さんのこと気になって仕方ないんだってさ」

女「ふぇっ」

男「お、おい」

友「本当のことだろ?」

女「あ、や、お、男くんが、あ、あ、」

友「ははは。女さん顔赤すぎ」

女「えへ、えへへへへ」

友「じゃ、俺たちの教室こっちだから」

女「あ、うん!ば、ばいばい男くん」

男「あ、ああ」

友「なんだー?男にしか挨拶してくんないの?」

女「あ、や、だ、ちが、ごめんね、ごめんなさい」

友「あはは、冗談だって。じゃあね」

女「う、うん!」

男「……」

友「ん?どした?」

男「いや……」

友「?」

男「……なあ」

友「なんだよ」

男「女さん、どう思う?」

友「んー、ありゃ完全にお前に惚れてるね」

男「そういうことじゃなくて!」

友「なんだよ。あながち冗談でもないぜ?女さん結構可愛いし、悪い気はしないだろ?」

男「いや、だからさ……」

友「お、もう授業始まるぜ」

男「……」

教師「であるからして~」

男「……」

男(女さん、あんなんでクラスに馴染めてんのかな……)

男(後でD組の奴に聞いてみるか )

友「おーい、帰ろうぜ」

男「悪い、用事あるから先帰っててくれ」

友「なんだよ、付き合うぜ」

男「いや、大したことじゃないからさ」

友「ふぅん?別にいいけど。じゃな」

男「おう、悪いな」

男「ちょっと良いか?」

D組「んー?男じゃん。どうしたの?」

男「お前のクラスに女さんって居るよな?」

D組「お?おー、まあな」

男「普段どんな感じなんだ?」

D組「あー……なんつうかな」

D組「女さんってあんま話すの得意じゃない?みたいな感じじゃん?」

男「……そうだな」

D組「そんであんま仲良い人いないっつかさ。ちょっと嫌ってる女子もいるみたいよ」

男「それってもしかしていじめとか……」

D組「いや、そういうのはないと思うけど。ちょっとハブられてる?みたいのはあるかもなぁ」

男「……そうか」

D組「つか、お前は女さんとどういう関係よ?彼氏彼女とか?」

男「いや、なんていうか……知り合い、だよ」

D組「ほん?」

男「じゃ、話それだけだから。ありがとな」

D組「おう」

男「じゃあな」

D組「おう、じゃ……っと」

男「ん?」

D組「そういやもう1つ。詳しくは知らんけど、中学の時は結構ハードないじめ受けてたって聞いたぜ」

男「……そうか」

男「……」

女「お、男くん!」

男「うお!」

女「え、えへへ。今帰るとこ?わ、私もなんだ。えへ、えへへ」

男「いや、私もって……ずっと校門で待ってたの?」

女「あ、ごめ、ごめんね。迷惑だったよね。ご、ごめんなさい」

男「……そんなことないよ。一緒に帰ろうか」

女「あ、う、うん!えへ、えへへ」

男「……」

女「男くんはや、やっぱり、優しいね!えへへ」

男「女さんは、さ」

女「う、ん?」

男「なんで俺のこと知ってたの?」

女「あ……や、あ、えと……えっとね」

男「……やっぱり良いや」

女「あ、あう」

女「あ、私、こ、家、こっちだから、あの」

男「ああ、うん。じゃあね」

女「……」

男「女さん?」

女「あの、あの、ね」

男「うん?」

女「わ、私、とろくて、だ、だめだめで、しゃべりかた、へ、変だし、お、男く、くん、に」

男「ゆっくりで良いよ」

女「あ、う、うん。それでね、私、男くんに迷惑かけて、呆れられてるんじゃな、ないかって」

男「……」

女「ご、ごめんね。ごめんなさい」

男「女さん」

女「あ、は、はい」

男「俺は、女さんのこと、迷惑だなんて思わないよ」

女「あ、う」

男「俺はさ、女さんの味方だから」

女「う、うん。うん」

女「うっ……ひっく……うぇ」

男「女さん……」

女「ごめんね。ごめんね。私、うっ、ひく、な、泣いちゃって。男くんが嬉しいこと言ってくれてるのに」

男「良いよ。大丈夫だから」

女「ごめんね。ごめんね。ひく、あ、ありがとう。」

男「うん。大丈夫。大丈夫だから」

女「えへ、えへへ!それじゃ、私、帰るね!」

男「うん」

女「えへ、えへへ」

男「俺は、味方だから。それにさ、朝一緒にいた友の奴、あいつとかさ、女さんの味方はちゃんといるからさ」

女「あ、それは」

男「ん?」

女「それはね、いいの」

男「え……」

女「私はね、男くんがいればいいの」

男「……」

女「男くんがいれば、それで大丈夫」

女「他は、いらないよ」

女「えへへ、それじゃ、ま、また明日」

男「あ……」

女「えへへ、じゃあね」

男「あ、じゃあ」

男「また、明日」

男「……」

男「そういえば……」

男「女さん、なんで俺のこと知ってたんだろう……」

男「……」

男「……まあ、良いか」

友「おはよーっす」

男「おーす」

女「男くん!」

男「うおっ」

女「えへ、えへへ。い、一緒に学校行こ!」

男「あ、ああ」

友「おいおい、また俺はスルーっすか」

女「は、早く行こ!えへへ!」

男「ちょ、ちょっと待ってって」

友「……あれー」

男「ちょ、引っ張らないでくれよ」


友「……行っちまった」

友「よー」

男「ああ、友。さっきは悪かったな」

友「良いけどよ。女さん、急に積極的になっちゃってどうしたんだよ」

男「……どうしたんだろうな」

友「あん?」

女「男くん!」

男「……ああ、女さん」

女「あの、あのね。わた、私、お弁当作ってきたんだけど、い、一緒に食べ、食べない?」

男「ああ、ありがとう。一緒に食べようか」

女「う、うん。えへへ。い、行こ」

男「あ、待って。友も一緒に」

女「はや、早く行こ!ね、えへへ」

男「いや、だから友も一緒に」

友「あー、俺は良いよ。二人で食べてきな」

男「あ、友」

女「い、行こ、ね」

男「あ、ああ」

女「お、美味しいかな」

男「ああ、美味しいよ、すごく」

女「えへ、えへへ」

男「……」

女「い、いっぱい食べてね、えへへ」

男「うん……ありがとう」

友「男ー、帰ろうぜ」

男「おう」

女「男くん!」

男「あ……」

女「い、一緒に、帰ろ?」

男「えっと……」

友「ありゃ、俺はお邪魔かな?」

男「あ、悪い……友」

男「……」

女「そ、それでね、えっと」

男「……」

女「あの、男くん……?」

男「あ、何?」

女「あ、あの、私の話つまらない?私と帰るの楽しくない?」

男「いや……そんなことない。楽しいよ」

女「えへ、えへへへへ。そ、そうだよね」

女「男くん!一緒に学校行こ!」


女「お昼食べよ、男くん」


女「男くん!」


女「男くん」


女「男くん」


女「男くん」

男「……」

友「おい、大丈夫か?」

男「あ、ああ」

友「最近ずっと顔色悪いぜ?」

男「ああ……」

友「たまには女さんの誘い断っても良いんじゃないか?」

男「ああ……そうできたら、良いんだけど」

女「男くん!」

女「一緒に帰ろ!」

男「……ああ」

友「大丈夫か?」

男「ああ、大丈夫。悪いな、友」

友「……」

女「えへへ、行こ!」

男「……」

女「えへへ、それでね」

男「……」

女「……男くん?」

男「……何かな」

女「私の話聞いてる?男くん」

男「ああ」

女「ねえ、男くん」

男「ああ」

女「男くん」

男「……」

女「男くん?」

男「……いい加減にしてくれ」

女「男くん……?」

男「いい加減迷惑なんだよ!ずっと付きまとって!男くん男くん男くん男くん!うんざりなんだ!」

女「……」

男「俺に構わないでくれ!」

女「嘘」

男「はあ?」

女「さっきの人?」

男「何言ってんだ……」

女「さっき一緒にいた人にそそのかされたんだよね?えへへ、大丈夫だよ。許してあげる。男くんは悪くないもん、」

男「何言ってんだ!おかしいよお前!」

女「嘘だよ」

男「嘘じゃない!」

女「嘘」

男「だから……!」

女「嘘」

男「な、何を」

女「嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘」

男「ひっ……」

女「嘘だよね?」

男「何なんだよ……いい加減にしろよ……」

女「嘘だよね?」

男「だ、だから」

女「嘘、だよね?」

男「い、いい加減にしろ!俺は一人で帰る!」

女「……」

男「はっ……はっ……」

男「……」

男「……ここまで来れば」

男「……くそっ」

男「何なんだよ……なんで」

男「……帰ろう」

男「……」

男(なんで俺がこんな目にあうんだ)

男(俺はただ、女さんがクラスに馴染めてないって聞いて)

男(それから、中学の時にいじめに……)

男「……ん?」

男(中学の時……いじめ……)




女「男くん」

男「う、わああああ!!」

女「男くん」

男「な、なんで俺の家に」

女「私は知ってるよ」

女「男くんのこと、全部。えへ、えへへ」

男「く、来るな」

女「男くん」



女「男くん」




男「……ん」

男(どこだ、ここ……)

男(頭がくらくらする……)

男「くっ……ぐっ」

男(椅子に体が縛られて……)


女「男くん」

男「お、女……さん」

女「ご、ごめんね。びっくりしたよね?ごめんね」

男「ここは……」

女「私のおうち」

男「どうして……」

女「あの、あの、ね。男くんが、変な人にたぶらかされないように、私と、ず、ずっと、ここに居よ?」

男「……なんで」

女「男くん?」

男「なんで、俺なんだよ……なんで」

女「覚えて、ないの?」

男「何を……」

女「わ、私と、男くんは、同じ中学校に通ってたんだよ?」

男「え……」

女「わた、私が、い、いじめられてた時、男くんが、た、助けてくれたの」

男「た、助けたって、そんなこと俺は……」

女「男くんはね?私の上履きを、一緒に探してくれたの」

男「うわ……ばき」

男(そうだ……俺はあの時)

男「……でも俺は」

女「わた、私、ね。嬉しかった。すごく、すごく。だからね」

女「その後で、男くんが私がいじめられるのを、見てみぬふりをしてても、関係ないの」

男「……」

女「だってそんなのは、全部嘘だから」

女「だから男くんは、悪くないよ」

女「男くんが私を忘れちゃってたのは、悲しかったけど」

女「でも、男くんは、やっぱり優しかった」

男「俺、は……」

男(俺は、優しくなんかない)

女「男くんがね、言ってくれたとき嬉しかった」

女「私の味方だって」

女「すごく、すごく、すごく」

女「嬉しかった」

男(俺は……)

男(耳障りの良い言葉ばかり並べて)

男(いつも、自分は傷付かない所にいて)

男「俺は、最低だ」

女「お、男くん?」

男「ごめん」

男「ごめんな、ごめん」

男「守ってやれなくて、ごめん」

女「えへ、えへへへへ」

女「良いよ、許してあげる」

男「女さん……」

女「男くんは、いつも私のこと、許してくれたもんね」

男「うっ……ひぐ、ごめん、ごめんな。ごめん……」

女「良いよ。全部、許してあげる」

女「これからは、ずっと一緒だよ」

男「ああ、そうだな」

女「他の人なんていらない」

男「ああ」

女「ずっと、ずっと傍に居てね」

男「ああ」

女「ずっと、ずっと、ずっと」

男「ああ、ずっと」



終わり

誰かねっちょり監禁ライフ(相思相愛)を書くが良いぞ

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