橘純一「にゃんにゃん!ごろにゃーん!」(150)
橘「あ、いたいた!」
タタタタ……
橘「ひびきちゃーん!」
塚原「ん?……橘君?」
橘「にゃんにゃ~ん!ごろにゃ~ん!」ダキッ
塚原「ちょ、ちょっと!何するの!?離れなさい!」
橘「うりうり~!」
塚原「み、見られてるから!周りに見られてるから!」
橘「ひびきったら、相変わらずいい身体してるじゃない……ゴクリ」
塚原「た、橘君………////」
森島「み、見つけた!」
森島「せ、先輩!?人の身体だと思って馬鹿なことをするのやめてください!」
橘「あ~、もう見つかっちゃったか~」
塚原「えっ?えっ?」
塚原「入れ替わった?」
森島「は、はい。さっき曲がり角でぶつかってしまって」
橘「お互いに頭をぶつけたら、入れ替わっちゃってね!」
塚原「……そ、そんな馬鹿なことがあるはずないでしょ!?」
森島「そんなこと言われても……」
橘「常識にとらわれて、今こうして現実に起こってることから眼を背けるのは愚かしいことじゃない?」
塚原「どうせ入れ替わったふりをして、私を陥れようって魂胆だよね?」
橘・森島「………」
森島「ち、違いますよ!?」
橘「そ、そうよ!そんなわけないじゃない!?」
塚原(……今の間は何?)
森島「塚原先輩を陥れるならもっと別なことをしますって!」
橘「こんな馬鹿なことでひびきちゃんを陥れられたら苦労しないわ!」
塚原「……証拠」
橘・森島「へ?」
塚原「二人が入れ替わったって証拠を見せて?」
森島「証拠ですか?」
橘「証拠って何すればいいの?」
塚原「そうね……はるかは知っているけど、橘君は知らないであろうことを答えてもらうとか」
橘「……そんなことでいいの?」
塚原「えぇ」
橘「え~とね、じゃあ」
橘「ひびきちゃんの身体の恥ずかしい部分に黒子があるって話でいい?」
塚原「!?」
森島「せ、先輩!詳しくお願いします!」
橘「え~とね、この前ひびきと二人で温泉に行ったときのことなんだけど」
森島「ふむふむ」
塚原「わ、わかったから!もうやめて!」
橘「え~、それじゃあ証拠にならないでしょ?」
森島「そ、そうですよ!塚原先輩!」
森島「ですから!森島先輩もっと詳しくお願いします!!」
橘「でね、ひびきったら実はあんなところに」
塚原「私が悪かった!疑った私が悪かったから、もうやめて!?」
橘「信じてくれる?」
塚原「し、信じるから!」
森島「……詳しく聞きたかった」
塚原「……で、二人は中身が入れ替わってるわけね」
橘「そうなの」
森島「身体が入れ替わったとわかるやいなや、森島先輩が走ってどこかにいってしまった時はどうしようかと思いましたよ」
橘「だって、せっかく橘君の身体なんだから、普段できないような悪戯しないともったいないかなって」
塚原「だからってね、私にやらなくてもいいじゃない?」
森島「そういう意味では大成功ですね」
橘「……私は意外と満更でもないひびきちゃんの反応にショックを受けたけどね」
塚原「……!?」
橘「本当は嬉しかったんでしょ~?このっこのっ!」
塚原「そ、それは……////」
塚原「……そ、そんなことよりね」
橘「そんなことじゃないでしょ?どうなの?どうなの~?」
塚原「しつこいよ、はるか?」
橘「は~い、ごめんなさい」
塚原「身体の入れ替わりにはよくある話なんだけど」
塚原「……あなた達、これからどうするの?」
森島「え?何がですか?」
塚原「入れ替わりに比べたら些細な問題かもしれないけど」
塚原「その……お風呂とかトイレとか」
橘・森島「あ」
森島「何てことだ……入れ替わってしまったことに動転してそこまで考えてなかった……」
橘「悪戯することしか考えてなかったわ……」
塚原「やっぱりね」
森島「よく考えたら……これ、森島先輩の身体なんだよな……」
森島「……あの森島先輩の身体」
森島「……ゴクリ」
橘「た、橘く~ん?よからぬことを考えちゃダメよ?」
森島「ぼ、僕!」
森島「ちょっと男子生徒の夢を叶えてきます!」
タタタタタタ
橘「こ、コラ!橘くん!?」
塚原「追いかけないと大変なことになりそうね……」
橘「ひびき、行こう!」
~二年教室~
森島「失礼しまーす!」
男子生徒A「え?森島先輩?」
男子生徒B「何で二年教室に?」
男子生徒C「どうせ橘だろ?」
ザワザワ……
森島「……う、梅原君?」
梅原「あ、森島先輩。こんにちは」
森島「……あのね?」
梅原「大将……橘なら見ての通り、今はいませんよ?」
梅原「何か急ぎで用事がありましたか?」
森島「違うの!」
森島「私ね……その……」
森島「ちょっと一緒に来て!」
森島「……ここでいいかな」
梅原「どうしたんですか?」
梅原「……もしかして、橘のことで何か相談でも?」
森島「相談……といえばそうなんだけどね」
森島「君、橘くんと仲がよかったよね?」
梅原「えぇ」
森島「じゃあさ……彼の下着の好みとか知ってるかな?」
梅原「それは知ってますけど……って、えぇ!?」
森島「あのね、私が今日着けてる下着、橘くんの好み的にはどうかなって」
森島「ちょっと、見てもらいたいんだけど……」
梅原「せ、先輩!?」
森島「梅原君にだったら……見せても……ううん、違う」
森島「私ね、梅原君に見てもらいたいの!」
梅原(な、何だ、この展開!?)
梅原「せ、先輩!?いけませんよ、そんな!?」
森島「だ、ダメかな……?」
森島「そうだよね、ダメだよね」シュン
森島「梅原君……私ってそんなに魅力ないかな?」
梅原(な、何だ何だ!?)
梅原(そんな目で俺を見ないでくれ!)
梅原(……チクショー!大将はいつもこんなことをしてるのかよ!?)
塚原「あ、いたよ!はるか!」
橘「だ、ダメー!」
森島「……あ、見つかっちゃった」
橘「き、きなさい!」
塚原「橘君?君が私にそこまで説教されたいとは知らなかったよ」
森島「は、ははは……」
塚原「……で、何であんなことを?」
森島「ぼ、僕は!森島先輩の魅力をもっと多くの人に知ってもらおうと!」
橘「私はあんなキャラじゃないよ!?」
橘「そ、それに……今日の下着はちょっと見せられないかな~って」
森島「えぇ!?」
塚原「はるか、余計なことを言わないで?」
塚原「で、橘君?」
森島「……ごめんなさい」
橘「まぁ、未遂に終わったし、今回は許してあげる」
橘「でも、二度とこんなマネしちゃダメよ!?」
森島「は、はい!すみませんでした!」
塚原「……はるかも橘君の身体を悪用しちゃ駄目だからね?」
橘「は~い」
塚原「で、どうするの?」
塚原「戻り方がわかるまで、しばらく入れ替わってなきゃいけないと思うけど」
橘「……私気付いたんだけどね」
森島「どうしたんですか?」
橘「家に帰れば美也ちゃんが私を待っているのよね!?」
森島「そうですね」
塚原「家族は厄介かもしれないね」
橘「一つ屋根の下に美也ちゃんと……」
橘「だ、ダメよ、美也ちゃん……私達兄妹なんだから……」ハァハァ
塚原「悪用するなっていったばかりでしょ!」
橘「……ダメかな?」
森島「ダメです!僕の身体で美也と一線を超えるような真似は控えて下さい!」
塚原「そうね、こうしましょう」
塚原「正体を隠すのが下手そうなはるかは……とりあえず、今日は私の家に泊まるってことで」
橘「え?」
森島「ぼ、僕の身体ですよ!?」
塚原「あ、大丈夫。今日は家族が出払ってるから」
森島「そ、そういう問題じゃ」
塚原「変なことなんてしないから」
森島「は、はぁ」
橘「じゃあさー、お風呂一緒に入ったりしちゃう!?」
塚原「さ、さすがに中身がはるかでもそれは……/////」
塚原「……それで、さっきのを見る限り演技の上手そうな橘君は、自分の家に帰る感じで」
森島「自分の家ってどっちのですか?」
塚原「橘家の方に」
森島「……美也のところにお泊りにきたって設定ですか?」
塚原「飲み込みが早くて助かるわ。一晩くらいなら何とかなるでしょ?」
塚原「さすがの橘君でも、いきなりはるかの家族を欺くのは難しいでしょ?」
森島「は、はぁ……そうですね」
塚原「じゃあ、そんな感じでね」
~塚原宅~
橘「おじゃましまーす!」
塚原「はるか!玄関先で騒ぐなっていつもいってるでしょ!?」
塚原「……私は着替えてくるから、適当に寛いでて?」
橘「はーい!」
橘(さて、と)
橘(いやー、まずいことになったなぁ……)
橘(ここまで上手くいくとは思わなかった)
橘(……現実的に入れ替わりなんてあるわけないじゃないか!)
橘(だけど、今更言い出せないよなぁ……)
橘(怖い…….!思いつきだけでここまで周りを欺ける自分と森島先輩の演技力が怖い……!)
橘(そして……!演技とはいえ、あまりにもお互いを理解してる行動が怖い!)
橘(全部ぶっつけ本番だよ!)
橘(……しかし、塚原先輩って恥ずかしい所に黒子があるのか)
橘(あの時はもう駄目だと思って適当なことを言ってみたけど、意外と当たるものだなぁ)
橘(そのせいで森島先輩にいらぬ弁解しなきゃいけなくなったけど)
橘(……怖かったなぁ、あの眼)
橘(明日適当に元に戻ったことにして、有耶無耶にしよう)
橘(その為には……)
塚原「お待たせー、はるか」
橘(今晩を乗り切らなくては!)
塚原「あ、制服のままじゃ寛げないと思って」
塚原「はい、これ」
橘「ジャージ?」
塚原「お父さんが運動するって言い出して買ったんだけど、結局一度もきなかったヤツ」
塚原「多分、サイズはぴったりだと思うから」
橘「わお!さすがひびきちゃんね!」
橘「その心遣い、さすが私のお母さんと言われてるだけはあるわ!」
塚原「はいはい」
塚原「あ、ご飯どうする?」
橘「え?ひびきちゃんが作ってくれるんじゃないの?」
塚原「……はるかにしてはいい感じの嫌味をいうわね」
塚原「私が料理下手なの知ってるでしょ?」
橘(し、しまった!)
塚原「それとも、実験台になってくれるの?」ニヤニヤ
橘「やだなぁ~、本気にしないでよ!」
塚原「……私の料理なんて、いくら中身がはるかでも橘君の身体に食べさせる訳にはいかないからね」
橘「も、もう!ひびきったら!聞いてるこっちが恥ずかしいよ!」
塚原「というわけで、出前にするけど」
塚原「何か食べたいものある?」
橘「そうだな~」
橘「ピザ!ピザがいいな!」
塚原「あら?橘君の為にダイエット中じゃなかったの?」ニヤニヤ
橘「わ、私の身体じゃないからいいの!」
塚原「あら?橘君の為に禁欲中じゃなかったの?」
橘「わ、私の身体じゃないからいいの!」シコシコ
この台詞でなんでも済ませられると思うな
橘「ピッツァ!ピッツァ!マルゲリータ!」
塚原「わけのわからないはしゃぎ方しないでよ」
塚原「橘君の影響なの?最近、輪をかけて酷いよ?」
橘「そ、そうかな!?ひびきったらひど~い!」
橘(……ぼ、僕ってそんな変なはしゃぎ方してるのか)
橘(明日からは自重しよう)
塚原「さて」
橘・塚原「いただきます」
橘「う~ん、美味しい!」
塚原「…………」
橘「ん?どうしたの?美味しいよ?」
塚原「はるかって……猫舌じゃなかったっけ?」
橘「……え」
塚原「てっきり『ふーふーしろ!』って言われるものかと」
橘(や、やってしまった!自分の卑しい食欲が憎い!)
橘(どうする?どうする?)
橘(仕方ない……力技で押し通る!)
橘「こ、こういうのは気分の問題なの!」
塚原「き、気分の!?」
橘「それにそこまで熱くないよ?」
橘「チーズが沸騰してるってわけでもないしね!」
塚原「……それもそうね」
塚原「冷めない内に食べちゃいましょうか」
橘(危ない、危ない……気をつけよう)
塚原「お風呂貯まったよ」
橘「わーい!一緒に入ろ!」
塚原「だ、だからね!一緒になんて入らないっていったでしょ!?」
橘「え~、いつも一緒に入ってるのに」
橘(……ぼ、僕……とんでもないこと言ってないか?)
橘(だけど……口が勝手に動いてしまうよ!)
橘「橘君の裸を見るいい機会だと思うけどな~」
橘「じゃあ、私はあとでじっくりと……」
塚原「ず、ずるいよ!?」
橘「え?」
塚原「……じゃなくて!」
塚原「み、水着!」
橘「み、水着!?」
塚原「水着を着て一緒に入る!」
橘「えぇ!?」
塚原「は、はるか!?勘違いしないで?」
塚原「こ、これは……そ、そう!」
塚原「あなたが橘君の身体に変なことをしないか見張る為なんだからね?」
橘「う、うん」
橘「で、でも……私は何を着れば?」
塚原「そ、それもそうね……」
男だしフリチンでいいよな
橘(タオルでも巻いて上手いこと隠せってさ)
橘(僕だって見境なく見せつけるような分別のない男ではないからね……それには賛成だな)
橘(……でも急にどうしちゃったんだろう?)
橘(もう!いやらしいひびきちゃんなんだから!)
橘(……おっと、心の声まで森島先輩にする必要はないよね)
塚原「はるか~?入るよ?」
橘「……あれっ?」
橘「ひ、ひびきちゃんが……」
橘「競泳でもスクールでもない水着を着てる!?」
塚原「うん?……変かな?」
橘(び、ビキニ!?ビキニって!)
橘(これは一大事だよ!)
橘(と、とりあえず……)
橘「ひびきちゃんったら!だいた~ん!」
塚原「や、やめてよ!はるか!」
橘「それどうしたの?」
塚原「去年の夏に着ようかな~、と思って買ったんだけどね」
塚原「結局、恥ずかしくて着れなかったんだけど」
塚原「せっかくだから、着てみようかなって」
塚原「似合わない?」
橘「ううん、すっごく似合ってるよ!」
橘「これは男どもが放っておかないぞ~?」
塚原「も、もう!」
橘(さて……あまりにも予想外過ぎて僕の股間がワンワンディスコフィーバーなのだけど)
橘(見られたら「このっ!このっ!」じゃすまされないよ!)
橘(告発したいのは君だけ!君だけ!)
橘(……って笑えないよ!)
橘(……よし!ここは梅原とのしっぽりとした関係でも想像して乗り切ろう!)
シュン……
橘(……よし!効果はバツグンだぞ!)
塚原「はるか……背中洗ってあげるね?」
橘「う、うん!」
ムニュ……
橘(む、ムニュ!?ムニュって何!?)
橘「ひ、ひびきちゃ~ん?」
塚原「どうしたの?」
橘「な、何してるの?」
塚原「え?背中を洗ってるだけだよ?」
橘「そ、そうじゃなくて!」
塚原「……いつもこうやって洗ってってせがんでくるじゃない?」
橘(い、いつも!?森島先輩と塚原先輩っていつもこんなことしてるの!?)
橘(つ、塚原先輩の柔らかい何かが僕の背中に……!?)
橘(何かって何だろうね、ははっ)
橘(……だ、ダメだ!橘純一!現実と向き合うな!)
橘(妄想の世界へ逃げるんだ!)
橘(うおぉぉぉぉん!梅原ぁ~!)
橘(梅原……お前には感謝してるよ)
橘(……お陰で何とか乗り切れた)
橘(かなり危ないところだったよ!)
橘(……さて、あとは)
塚原「はるか?ちょっと早いけどもう寝よっか」
橘「う、うん!」
橘「でも、私はどこで寝ればいいの?」
塚原「あら?一緒に寝るって言い出さないの?」
橘「さ、さすがにそれはね!橘君の身体だし!」
塚原「……あなたの線引きがわからないわ、はるか」
塚原「でも、そうね」
塚原「あなたって寝相が悪いから一緒に寝たくないし」
塚原「う~ん、お父さんの布団でいいか」
橘(……えぇ!?布団は別だけど寝る部屋は一緒なの!?)
塚原「夜中に『ひびきちゃぁぁ~ん、寂しいよぉ……怖い夢見ちゃったよぉ……』って起こされたくないしね」
橘「も、もう!そんなことしないって!」
塚原「ふふっ、オネショも駄目よ?」
橘「しないもん!」
塚原「それじゃ、電気消すよ?」
橘「う、うん!お休み、ひびきちゃん」
塚原「……お休み、はるか」
~次の日の朝~
橘(……一睡もできなかった)
橘(塚原先輩の寝息とか、寝返りする時の衣擦れの音とか……)
橘(僕の脳天を直撃しっぱなしで、とても寝られる環境じゃないよ!)
橘(ん?待てよ……これを言い換えれば)
橘(……塚原先輩に寝かせてもらえなかった?)
橘(何てことだ……いやらしい女だったんですね、塚原先輩……)
橘(……さて、馬鹿なこと考えてないで起きなきゃ)
ゴソゴソ
塚原「……橘く……いや、はるかだったわね」
塚原「もう起きるの?」
橘「一回橘君の家に帰って、学校の準備しなくちゃいけないし」
塚原「……それもそうね」
塚原「私もそろそろ起きなきゃ……七咲の朝練に付き合う約束してるし」
~橘さん宅~
橘「ただいま」
美也「あ、お帰り」
森島「おかえり~」
美也「……って凄いクマできてるし!」
美也「お兄ちゃん、どこで何してたの!?せっかくお兄ちゃんの大好きな森島先輩が泊まりに来てくれてたのに」
橘「ははっ……ちょっと梅原と徹夜で語り明かさなきゃいけないことがあってね」
美也「ふ~ん?どうせいやらしいことなんでしょ?」
橘「ち、違うよ!?」
美也「ま、何でもいいけど」
美也「私は用事があるから、もう家出るけど」
美也「戸締りよろしくね?」
橘「わかったよ」
森島「……橘くん?」
橘「……はい」
森島「その……ね、うん」
森島「お疲れさま!」
橘「先輩……もうこんな悪戯はやめましょう?」
森島「えぇ?まだ続けるんじゃないの?」
橘「か、勘弁してください!この通りです!」
森島「ふふっ、冗談よ。冗談」
森島「ところで、橘くん?」
橘「は、はい!」
森島「ひびきとは……何もなかったのよね?」
橘「な、何もないです!」
森島「ふ~ん?」
森島「じゃあ、その目の下のクマはどうしたのかな?」
橘「こ、これは……その……」
橘「き、緊張して眠れなくて!」
森島「本当に?何か二人でしてたんじゃないの?」
橘「違いますって!」
森島「……ウソはついてないみたいね」
橘(朝からラブリーチェックは辛い!)
森島「二人でお風呂に入ったりしてないよね?」
橘「え、えぇ!?」ギクッ
森島「演技とはいえ、そんなこと口走ってたからね」
森島「どうなの?ねぇねぇ?」
橘「……正直にいうと入りました」
橘「で、でも水着着用で!」
森島「……それ橘くんの提案?」
橘「いえ、塚原先輩の提案です!」
森島「わお……ひびきが……あのひびきがアホなことしてる!?」
森島「あの子にそこまでさせるなんて、さすが橘くんね!」
橘(……なんか褒められちゃったぞ!)
森島「ひびきちゃんったら橘君とお風呂入ったんだ……ズルい!」
橘「せ、先輩!?」
森島「私もどうにかして、橘君と……」ブツブツ
橘「あの~、先輩?」
森島「あ、冗談だよ?顔真っ赤にしちゃって可愛い~!」
橘「も、もう!やめてくださいよ!」
森島「さて、と」
森島「一緒に学校へ行こうか、橘君?」
橘「先輩は一度家に帰らなくて大丈夫ですか?」
森島「うん、問題ないよ?」
橘「僕ちょっと準備してくるんで、少し待ってて下さい」
森島「うん!」
塚原「で、元に戻れたのね?」
橘「は、はい!僕の家の前でまたぶつかってしまって」
森島「頭をズガーン!とね」
塚原「全てが唐突だね、あなた達は」
橘「でも戻れてよかったですよ」
森島「本当よね!自分の身体って最高!」
塚原「あら?はるかはわりと橘君の身体を楽しんでなかった?」
塚原「『すご~い!男の人の身体ってこうなるんだ!』って」
森島「……え?」
塚原「『ひびきちゃんも触ってみてよ!凄いよ!』って」
森島「……えぇ!?な、何してるのよ!?」
橘「そ、そんなことしてないですよ!?」
塚原「……やっとボロを出したわね」ニヤリ
橘「……怒られちゃいましたね」
森島「……うん、怖かったね」
橘「どこからバレてたんですかね?」
森島「あの様子だと最初からわかってて付き合ってくれてたのかもね」
橘「じゃあ泊まりに来いってのも」
森島「わかっててやってたんじゃない?」
森島「私が止めに入らなかったのは計算外だったと思うけど」
橘(塚原先輩……わかっててお風呂で……)
森島「とにかく、今回のことでわかったことがあるわ」
橘「ですね」
橘・森島「ひびきちゃんは意外と大胆でいやらしい!」
完
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