P「余命半年・・・?」 (188)

律子「嘘・・・ですよね・・・?」

P「嘘ならどれだけよかったか・・・わざわざ社長達にも集まってもらって・・・盛大なドッキリと言いたいよ」

小鳥「・・・そんな、プロデューサーさんがどうして・・・」

社長「それはもう、確実なのかね?」

P「はい、もう○×病院で診ていただいてかなり前に精密検査もしてもらいましたので・・・自分でも信じられなくて・・・今まで黙っていてすみませんでした」

社長「そうか・・・ではアイドル達にこのことh」
P「言わないで下さい」

律子「えっ・・・」

P「みんなは今本当に大事な時期です」

P「これからのアイドル人生を今、この瞬間が左右していると行っても過言ではないと思うんです」

P「僕はあくまで裏方です、裏方が日の目を見る彼女たちに悪い影響を与えてどうするんですか?」

小鳥「でもプロデューサーさん!みんなはプロデューサーさんのことを・・・」

P「わかってます、全て」

小鳥「・・・!」

小鳥「・・・!」

P「美希だけじゃなく、みんなが俺に好意を向けてくれていることはわかってます」

P「昔から恋愛関係で気持ちを表現するのが苦手でよく鈍感だって言われるんですよね」

P「もちろん俺もみんなのことは大好きですよ、別に気持ちに気づいてて無視していたわけじゃないです」

P「ただ、プロデューサーという立場と俺の恋愛下手もあって自分が何をすればいいのかわからなかったんです」

P「ははっ、大人なのに何言ってるんだって感じですよね、あの子達の方がよっぽど大人だ」

P「ずっと1人でこのこと悩んでたんですけど人に言ってスッキリしました・・・あっ、死んだら悩むこともできないんですよね・・・」

律子「・・・!」

律子「プロデューサーは・・・」

P「んっ?」

律子「プロデューサーはそれでいいんですか?」

P「・・・」

律子「あの子達がプロデューサーに好意をもっているのは知ってるんですよね?そしてプロデューサーには時間がない」

律子「大好きなプロデューサーと接することができる貴重な時間を犠牲にしてまであの子達にがんばってほしいですか?」

P「あぁ、がんばってほしいね」

律子「・・・どうして、そんなことが言えるんですか・・・」

P「どうして・・・って言われるとなぁ、理由はさっき言った通りだし、俺は今まで通り体が動く内はプロデューサーとしてやっていきたいと思っている、彼女達とふれあう機会が減るってわけでもないし・・・それに」

律子「・・・それに?」



P「みんなの泣き顔は見たくないからな」

律子「・・・!・・・わかりました、でも、最後まで言わないなんてことはないですよね?」

P「あぁ、それは大丈夫だ、俺もタイミングを見計らってみんなにはちゃんと説明するつもりだ」

P「勝手に今後のことを話してすみません社長、音無さん」

社長「いや、いいんだ、君がしっかり考えて出した結論だろう・・・私はそれを尊重するよ」

小鳥「私もプロデューサーさんを信じます」

P「みんな・・・ありがとうございます」

――――――――

――――

1週間後

亜真美「「兄ちゃーん!おはよー!」」

P「おはよう亜美、真美」

雪歩「プロデューサー、お茶ですぅ」

P「いつもありがとうな、雪歩」

春香「プロデューサーさん!今日はクッキー焼いてきたんですよ!クッキー!食べて下さい!」

P「パクッ・・・おー、やっぱり春香はお菓子作りが上手だな、うまいぞ」

P(あれから俺は普通に仕事をしている、今のところ仕事に影響は出ていない)

小鳥「プロデューサーさん、来週の響ちゃんの収録のことなんですけど・・・」

P「はい、えーっとここに資料が・・・」

P(これでいいんだ・・・今まで通り過ごしていくことがみんなのためなんだ・・・)

――――――――

――――

~1ヶ月後~


P「ん・・・ふわぁ~」

P「うーんなんか今日は体が重いなぁ・・・まだそんな時期じゃないと思うんだけどな・・・」

P「でもそんなこと言ってられないな!今日は朝から春香と美希の仕事について行くんだった、よし今日もがんばるぞ」

春香「今日は一緒ですね!プロデューサーさん!」

美希「ハニーを独り占めできるの!」

春香「美希!私もいるのに独り占めはないでしょ!」

美希「ハニーはとっくにミキのものだからそんなの関係ないって思うな、ねっ、ハニー!」

P「ははっ、2人とも、頼むから現場で今みたいな会話はしないでくれよ、いいからさっさと行くぞ」

――――――――

テレビ局
美希「~♪」
春香「~♪」

P(2人とももうすっかりアイドルとして仕事をこなせるようになってきたな、売れ始めた頃のかたさは全然ない・・・って美希は最初からなかったか・・・本当、すごいやつだよ美希は)

P(こんなところでくすぶってる器じゃない、俺が絶対にトップアイドルにしてやる・・・!美希だけじゃない、他のみんなもだ)


P(それまで生きていたら・・・って話になるんだろうけどな・・・)


P「2人とも、お疲れ様」

春香「お疲れ様です!」

美希「お疲れなのー!ハニー、ミキどうだった?」

P「現場ではその呼び方はよせって言ってるだろ、でもだいぶよくなってきたじゃないか、2人とも仕事をこなす毎に成長していくもんなぁ」

美希「ハニーがいるからトーゼンなの!春香もハニーがいる時といない時で気合いが全然違うの!」

春香「ちょっ、ちょっと美希~・・・」

P「はは、気合いを入れてくれるのは嬉しいけどできれば普段からそうしてほしいな」

P「でもそういう風に思ってくれてることは嬉しいよ、ありがとう2人とも」

P「よし、じゃあ昼からも仕事あるし帰るか、2人は着替えて車に行っててくれ、俺はディレクターさん達に挨拶してから行くか・・・ら・・・」グラッ



バタッ

――――――――

――――

~病院~

P「(うっ・・・)」

P「(ここは・・・どこだ・・・)」

P「(そうだ・・・俺は・・・収録が終わった直後、倒れて・・・)」

小鳥「あっ、目が覚めました!?」

P「・・・音無さん?」

小鳥「気分は大丈夫ですか?今すぐ先生呼びますね!」

P「・・・すみません・・・」

P「(どうやら俺は予想以上はやく病気が進行しているようだった・・・それに加えて焦りからか仕事をいつも以上にがんばりすぎてることが原因で倒れてしまったらしい)」

小鳥「プロデューサーさん・・・」

小鳥「みんな・・・心配してますよ」

P「・・・」

小鳥「みんなにはまだ原因はよくわからない、とだけ言っておきました・・・でも、みんな何かあると気づいてると思います」

小鳥「いつまで意地を張り続けるんですか?」

P「・・・」

小鳥「そろそろ、あの子達のことをちゃんと考えてあげてくれませんか?」

P「・・・!そんな、俺はみんなのことを考えて」
小鳥「違います」

小鳥「プロデューサーさんのやってることは自分のためです」

小鳥「あの日、言いましたよね、『みんなの泣き顔はみたくない』って」

小鳥「あなたはアイドル達のためと言いつつ結局は自分がみんなを悲しませること、その現実から逃げてるだけです」

P「・・・」

小鳥「美希ちゃん、泣いてました」

P「・・・!」

小鳥「もちろん美希ちゃんだけが悲しんでるんじゃありませんよ、でも、他の子達よりもプロデューサーさんに普段から依存している分、自責の念が強いんでしょうね」

P「俺は・・・」

小鳥「プロデューサーさんの思う彼女達はそんなに弱いですか?」

小鳥「・・・」

P「・・・ありがとうございます、音無さん」

――――――――

――――

P(病状の悪化もあってか検査も含めて退院には1週間かかった)

P(音無さんも忙しいはずなのに毎日来てくれたのには驚いたなぁ、社長は俺の代わりに現場を周ってくれてるらしい、そろそろ新しいプロデューサーを雇わないとダメなんじゃないか?)

P(中途半端にみんなに伝えるのがいやだったからまだ誰にも病気のことは言ってない、もちろん黙ってるつもりはない、退院して一番にみんなにはちゃんと説明するつもりだ)

P(忙しいスケジュールの合間を縫ってみんなもお見舞いに来てくれた)



P(ただ1人・・・美希を除いて・・・)

一同「お帰りなさい!プロデューサー!」

P「ただいま、みんな」

響「プロデューサー!みんな心配してたぞ!」

あずさ「本当ですよ~、突然倒れたって聞いて本当にこわかったんですから・・・」

真「プロデューサー、お見舞いの時にはちゃんと教えてくれませんでしたけど・・・言ってくれますよね?」

貴音「あなた様・・・どこか体に深刻な異常をきたしているのではありませんか?」

千早「スケジュール調整してまでみんなを集めたってことは・・・何か説明があるんですよね・・・」

P「ああ、もちろんそのことでみんなに集まってもらったんだ、実はな・・・」

――――――――

――――

春香「そ・・・そんなプロデューサーさんが・・・」

やよい「う・・・ぅぅー・・・」ポロポロ
雪歩「うぇぇ・・・プロデューサー・・・」ボロボロ

亜美「兄ちゃん・・・」

P「なんだ、亜美」

亜美「兄ちゃん死んじゃうの?」

P「・・・・・・ああ」

亜美「・・・」

真美「真美・・・そんなのヤダよ・・・」

P「・・・すまん」

伊織「・・・アンタ、それでいいわけ?」

P「何がだ?」

伊織「まるで生きるのを諦めたみたいな口ぶりじゃない・・・もっとさ」
P「生きたいに決まってるだろ」

伊織「・・・!」

P「生きたくないわけないじゃないか・・・俺だって人間だ、死ぬのは怖い・・・それに俺は、まだお前達との約束を何も果たせてないんだ」

一同「・・・」

P「みんな、黙ってて悪かったな・・・さ、辛気くさい話は終わりだ、俺にはまだお前達との約束を果たす義務がある」

P「やよい、雪歩・・・泣くな、俺はお前達に泣かれることが一番辛いんだ」

P「ほら、仕事だぞ、みんな準備しろ」

春香「どうして!」

P「・・・」

春香「どうしてそんなに気丈でいられるんですか!自分が死んじゃうかも知れないのに、どうして私達なんかに・・・」

P「決まってるだろ」

P「お前達が俺の1番の宝物だからだよ」

――――――――

――――

~1週間後~

P「(最初こそみんな戸惑っていたがさすがはプロだな、まぁ俺が退院以降調子がよくて実感がわかないってこともあるのかもしれないが、それにしても・・・)」

小鳥「美希ちゃん・・・ずっと元気ないですね」

P「・・・はい、今日も収録で何度もミスしてましたし、その後レッスンに送る時も終始無言だったんですよね・・・」

ガチャ
美希「ただいまなの」

P「おかえり、美希」

小鳥「お帰りなさい、美希ちゃん」

P「・・・なあ美希?」

美希「・・・なぁに?ハニー」

P「その・・・1週間前からずっと調子悪いよな、今日も収録でミスしちゃったし・・・」

美希「ごめんなさいなの、次から気をつけるの」

P「いや、そういうことじゃなくてな・・・」

美希「・・・」

P「俺の病気のこt」
美希「信じないの」

P・小鳥「・・・え?」

美希「ミキはハニーの病気のことなんて信じないの・・・」

P「いや、そうは言ってもな・・・」

美希「信じないもん!!!」

美希「お医者さんがそう言っても!」ウルウル

美希「みんな、春香達が信じてもミキだけは、ぜっだい・・・信じないもん!」ブワッ

P「・・・美希・・・」

美希「ぅぅ・・・ぅ、ぁ・・・」ポロポロ

小鳥「美希ちゃん、あのね」

美希「うっさいの!小鳥は黙ってるの!」

P「美希!!」

美希「!・・・ぅぅ・・・ハニーのばかぁ・・・」ダッ

P「あっ、美希!・・・音無さん・・・」

小鳥「すみません・・・私は大丈夫です、それよりも美希ちゃんを・・・」

P「・・・はい」

――――――――

――――

~近場の公園~

美希「ぅぅ・・・はにぃ・・・」ポロポロ

P「こんなところにいたのか、探したぞ、美希」

美希「・・・」

P「ほら、帰ろう、そろそろ寒くなってきたのにいつまでもこんなとこにいてたら風邪引くぞ」

美希「・・・ミキは信じないの・・・」

P「・・・」

美希「ハニーは・・・ミキ達を『トップアイドルにする』って約束したもん!ハニーは約束を破るような人じゃないもん!」

P「約束は・・・守るよ」

美希「嘘!」

P「嘘じゃない!」

美希「!」ビクッ

P「俺を信じろ!絶対にお前達をトップアイドルにする!それまで這ってだって生きてやるよ」

美希「・・・」


P「美希・・・俺はお前のことが好きだ・・・」


美希「!・・・」

美希「・・・そんなの嘘なの」

P「違う、病気になってから気づいたんだ、自分の本当の気持ちに・・・俺は本当に・・・」


美希「ハニーはミキのやる気を出させるためにそんなことを言ってるだけなの」

P「ち、ちが」
美希「もうアイドル辞めるの」

P「!?美希・・・何を」

美希「ハニーもいなくなっちゃうし、お仕事で失敗ばかりしちゃうし、なんかもうキラキラできる自信ないの」

P「美希・・・」



美希「・・・なーんてね」


P「美希・・・?」


美希「冗談だよ・・・ごめんねハニー、今までお仕事失敗ばっかりしちゃって」

美希「でももう大丈夫なの!あ、あとでさっきのことちゃんと小鳥にも謝っておくから安心して!」


美希「じゃあ帰ろう!ハニー」

――――――――

――――

P「(それからの美希はこれまでの1週間とは見違えるように元気になった・・・というか今まで通りに戻っただけなんだがな)」

春香「プロデューサーさん!クッキー焼いてきちゃいました!」

P「(春香はお菓子を作ってきてくれるし)」

雪歩「プロデューサー、お茶ですぅ」

P「(雪歩はお茶を入れてくれる)」

小鳥「はい、765プロ・・・あっ、あずささん・・・えっ、またですか?」

P「(あずささんは相変わらず迷子癖が治らないし)」

伊織「ちょっとアンタ!迎えに行ってあげなさいよ!」

P「(伊織はいつも通りツンデレだ)」

P「(俺はこんな日常が大好きで・・・そして俺が病気を打ち明けてからもこんな日常を送れることが心の底から嬉しかった)」

――――――――

――――

~2週間後~

P「お疲れ春香」

春香「お疲れ様です!」

P「よし、じゃあ時間も昼くらいだしメシでも食って帰るか」

春香「・・・」

~車内~

春香「あの、プロデューサーさん」

P「んー?」

春香「体・・・大丈夫なんですか?」

P「・・・」

春香「もう・・・あれから随分経ちますよね」

春香「あのカミングアウトまでにも結構期間はあったはずです」

春香「もしかしたら・・・明日にでもプロデューサーさんがいなくなっちゃうんじゃないかって考えたら私・・・グスッ」

春香「・・・私だけじゃありません、事務所のみんなも、表面は今まで通りにしてるけど、みんなこわいんですよ・・・プロデューサーさんがいなくなることが・・・」

P「・・・ありがとう、春香」

P「大丈夫だよ、最近はずっと調子がいいからさ」

春香「ほ、本当ですか?」

P「ああ、この前なんて居酒屋で音無さんの愚痴に4時間も付き合わされたんだぜ?」

春香「えっ?お酒飲んで大丈夫なんですか?」

P「飲むわけないだろ、俺はソフトドリンクで音無さんの恋愛感を聞いてただけだよ」

春香「音無さん美人なのになんで彼氏できないんでしょうね」

P「な・・・まぁ4時間も延々と自分の恋愛の持論を彼氏でもない男に語るくらいだからな・・・」

春香「ははは・・・」



春香「プロデューサーさん、ちょっと車停めてもらっていいですか?」

P「え?どうした?具合悪いのか?」

春香「そんなんじゃないですよ、ちょっと話したいことがあるんです」

P「・・・わかった」

キッ

春香「すみません突然」

P「なぁに、気にすんな・・・で、話したいことって?」


春香「・・・・・・」スゥーハァー



春香「私、プロデューサーさんのことが好きです」



P「・・・」

春香「もちろん男の人として・・・って意味ですよ?」

春香「こんなこと言われて困るのはわかってます、これは私のただの自己満足なんです、ごめんなさい」

春香「でも・・・このまま自分の気持ちを伝えずにお別れするのはいやなんです」

春香「だから・・・この気持ち受け取って下さい」


P「春香・・・ありがとう」

P「・・・でも、その気持ちを受け取ることはできない」

春香「・・・」

P「俺は・・・」

P「美希のことが好きなんだ」


春香「・・・・・・テヘッ(ペロッ)」

P「春香?」

春香「あーもう全部知ってました!」

P「えっ?」

春香「だーかーらー、プロデューサーさんが私の告白を断ることも、美希のことを好きなことも全部知ってました!それを知ってて告白したんです!だから言ったでしょ、『自己満足』って」

P「な、なんで・・・」

春香「なんでってそんなの事務所での雰囲気とか美希への態度とか見てたらわかりますよ、女の子を甘く見ちゃダメですよ?」

P「そうなのか・・・」

春香「・・・で、これからどうするんですか?」

P「・・・何が?」

春香「・・・はぁ・・・プロデューサーさん、どうして私が告白したかわかりますか?断られるとわかってて」

P「・・・」

春香「美希のこと、このまま放っておいていいんですか?」

P「・・・!」

春香「確かに美希は元気になりましたよ、むしろプロデューサーさんの病気のことを知る前よりもがんばってるくらいです」

春香「でもそんなのただのやせ我慢で・・・美希はただ一生懸命仕事に励むことでごまかしてるだけです・・・プロデューサーさんだってわかってるんでしょ?」

春香「そんな美希を放っておいていいんですか?」

P「春香・・・ありがとう」

春香「・・・いーえ!それよりちゃんと気持ち伝えてあげて下さいね!」

P「ああ、それじゃ車出すぞ」

春香「はい!」


 ブロロロ・・・


春香「(あーあ、わかってはいたけどやっぱり辛いなぁ・・・万が一ってことも考えてたんだけどやっぱり奇跡って起きないんだね)」


春香「(さよなら、私の初恋)」ポロ

――――――――

――――

バンッ
P「美希!」

美希「うわぁ!ハニーどうしたの?」

P「いいから屋上に来い!今すぐだ!」

美希「えっ?えっ?一体何なの?」

P「いいから行くぞ!」グイッ

美希「え!う、うん」


響「・・・プロデューサーもしかして・・・」


貴音「みなまで言うべきではありません響、見守りましょう・・・私たちは」

~屋上~

美希「どうしたのハニー?お仕事しなくていいの?」

P「仕事なんかより大事な話があるんだよ」

美希「・・・大事な話?」


P「美希・・・俺はお前のことが好きだ」


美希「・・・だからそういう」
P「この世界で誰よりも!」

美希「!」



P「お前を愛している!」

美希「・・・」

P「だから美希に・・・この気持ちを受け取ってほしい、いや受け取って下さい」



美希「・・・遅いの・・・」

P「えっ?」

美希「なんで今頃なの?どうしてハニーが病気になる前ニ言ってくれなかったの?これじゃあミキ素直に喜べないの!」ポロポロ

P「・・・」

美希「ミキだって・・・ハニーのこと大好きなのに!ハニーと一緒にいたいのに!でももうすぐハニーと一緒にいられなくなるんなら・・・グスッ・・・そんな告白意味ないの!」ポロポロ

P「!」

美希「・・・ふ、うえええええええん」

P「美希・・・」

P「(俺は・・・どうすれば・・・)」


美希「・・・ヒッグ・・・でも・・・」

P「美希?」

美希「嬉しいの・・・はにぃ・・・グスッ」ギュッ

P「あ・・・」

美希「ミキもハニーのこと大好きなの・・・確かにハニーと一緒にいられる時間は長くないかも知れないけど・・・それでもハニーに本当の気持ちは伝わったの・・・だから」



美希「ミキをハニーの彼女にして下さい」


P「美希・・・」

P「・・・本当にいいのか?」

美希「・・・もちろんなの!それにそーゆーこと聞き返すのはよくないって思うな!」


P「・・・ありがとう、美希」ポロポロ


美希「うわわわ!なんで今度はハニーが泣いちゃうの!そこは喜ぶとこなの」アタフタ

P「・・・グスッ・・・ははっ、そうだよな・・・よし、今から俺達は恋人同士だ!いいな?」


美希「はいなの!」

P「・・・ってなんで俺から告白したはずなのに俺がOKした感じになってんだ?」

美希「細かいことは気にしちゃダメなの!とにかくこれでハニーは名実共にミキのものなの!」

P「・・・なんか使い方間違ってないかそれ?」

美希「・・・」ムスー

P「あーはいはい、細かいところは気にしちゃダメなんだな・・・ははは」

――――――――

――――

律子「全く・・・帰ってくるなり仕事ほっぽりだしてどっか行っちゃうし、何考えてるんですか」

P「面目ない・・・」

美希「ごめんなさいなの・・・」

律子「就業時間中ですよ、社会人として最低限のルールは守って下さい」

P「返す言葉もありません」

律子「はぁ・・・もういいですよ、それより」チラッ

美希「・・・?」


律子「美希のこと、大切にしてあげて下さいね」

P「!・・・あ、ああ」

美希「ありがとうなの律子!」

律子「・・・」ギロッ

美希「・・・さん」シュン

――――――――

――――

P「(そんなこんなで晴れて美希と俺は恋人同士になることができた、事務所のみんなもなぜかあっさりとこのことを祝福してくれた)」


P「(最初、春香は悲しそうな顔をしていたが、何かを思い出すように遠い目をすると、『おめでとうございます!プロデューサーさん、美希!』と笑顔で言ってくれた)」


P「(もちろん本当はアイドルに恋愛は御法度だし当たり前だけどファンには内緒だ、美希の親にだって知らせてない、知っているのは事務所のみんなだけ)」


P「(まぁでも・・・いいよな?あと少しくらい夢見たって)」

~2ヶ月後~

P「改めて、誕生日おめでとう、美希」

美希「ありがとうなの!これで美希も15歳だね」

P「あぁ、初めて会った頃に比べたら随分成長したな」

美希「むー!カノジョのことを子ども扱いしちゃダメなの!ミキはもうとっくにオトナなの!

P「さっきの誕生日会の時にはしゃぎすぎて服にケーキこぼしちゃったようなやつがか~?」ニヤニヤ

美希「そ、それは・・・・・・もーハニーなんかきらい!」プイ

P「はは、ごめんごめん機嫌直してくれよ美希~」

美希「ふーんだ」ツーン


P「(今は事務所で2人っきりで美希の誕生日会をしている、さっきまで事務所のみんなでやっていたんだが、どうやら気を遣ってくれたらしい)」


P「ごめんってば・・・そうだ、これ」スッ

美希「・・・え?何これ」

P「もちろん誕生日プレゼントだよ」

美希「でもさっきハニーからマフラーもらったよ?」

P「あれはあれ、これはこれ・・・と言うのは無茶苦茶か・・・まぁさっきはみんながいる手前気恥ずかしくてな、とにかくもらってくれないか?」

美希「う、うん」

ガサコソ

美希「・・・あ」


美希「・・・指輪・・・」


P「・・・どうだ?」


美希「・・・」ギュッ


P「・・・」

美希「ありがとうハニー、とっても嬉しいの・・・」

P「そうか、喜んでくれて嬉しいよ・・・いやー、さっきはみんながいたからどうしても恥ずかしくてなー」

美希「ねぇハニー?」

P「ん?どうした美希」


美希「ミキ、ハニーと結婚したいって言ったらどうする?」


P「・・・えっ・・・」

美希「・・・」

P「・・・う、うーんどうって言われても美希はまだ学生だから結婚なんて大変だろうし、そもそも美希はまだ15歳で」
美希「そんなのわかってるの」

美希「別に結婚式を挙げたいとか、一緒に生活したいとかそんなんじゃないの」

美希「ミキはただ、少しでもハニーと一緒にいたっていう証拠を残したいの」

美希「事務所のみんなにしか言えないことをイヤなんじゃないよ?でもやっぱり・・・ハニーとミキが一緒だったっていうちゃんとした事実をほしいの・・・」

P「美希・・・でもお前はまだ15さi」
美希「だから!」

美希「今からちょうど1年後・・・ミキが16歳になった日に・・・」



美希「ミキと結婚して下さい」


P「美希・・・」


P「(まっすぐな目で見つめる美希の目は真剣そのものだった、しかしすでに余命の宣告から4ヶ月が過ぎた今、1年後というのはどうしても現実的ではない数字だ、実際美希の誕生日の少し前に体調を崩して、1週間の入院を挟んだばかりだ)」

P「(俺の病状は確実に悪化している、)」

P「(だがそれでも・・・)」

P「・・・わかった美希」

美希「・・・!」

P「来年・・・来年の11月23日、結婚しよう」

美希「・・・」パァァ

美希「ハニー!」ダキッ

P「おえ!こらこらそんな勢いよく抱きつくな・・・・・・美希?」



美希「・・・ハニー・・・約束だよ・・・」



P「・・・ああ、約束だ・・・」

――――――――

――――

P「(人間、目標が出来ればそこまでがんばれるというのは本当で、美希と約束をしてからというもの体がまるでその約束を果たそうとするかのように元気を取り戻した)」


P「(新しい年を迎えても、余命と言われた半年を超えても、美希が中学を卒業して高校生になっても俺は生き続けた)」




~7月~

P「・・・不思議ですね」

小鳥「何がですか?」

P「こうやって、今、事務所で仕事をしていられることがです」

P「去年の秋にはもう二度と夏を迎える事なんてできないと思っていましたから」

小鳥「・・・美希ちゃんとはどうですか?」

P「美希とですか?もちろん仲良くやってますよ、どんなに仲のいいカップルでも半年も付き合えば相手のいやなところが見えるって言いますけどあれは嘘ですね、ケンカさえしたことありません」

小鳥「・・・そうですか」

ガチャ

美希「ハニー!ただいまなのー」

P「おかえり美希」

美希「ミキ今日もがんばったよ!ほめてほめて!」

P「へいへい」ナデナデ

~1ヶ月後~


P「ん~・・・」

P「今日はいつもより体が重いなぁ・・・この前退院したばっかりなのにこのままじゃまたみんなに迷惑かけてしまう」

P「・・・なーんて、そんなこと言ってたらまたみんなに怒られちまうな」

 『もっと自分のことを大切にして下さい!』

P「よし、やれるとこまでやったるどー」

~事務所~

P「・・・おはようございます」

小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」

小鳥「・・・?どうかしました?元気がないみたいですけど・・・」

P「はは・・・今日はちょっと体が重くてですね」

小鳥「え!大丈夫なんですか?早く病院に行った方が・・・」

P「はい・・・今日の仕事が終わり次第病院に向かいます」

小鳥「そんなこと言ってないで今すぐに行った方がいいですよ!」

P「・・・いえ、今日の仕事だけは終わらせて行きたいんです、お願いします」

小鳥「なんでそこまで・・・あ・・・」


P「(今日は美希の、トップアイドルになるための登竜門とも言える雑誌の取材と撮影がある、もちろん俺なんかが行かなくても社長や律子、音無さん達がフォローしてくれるだろう)」

P「(だけどそれじゃあダメなんだ!俺は・・・『俺が』お前達をトップアイドルにするって約束したんだから、せめて今日だけは・・・)」

――――――――

――――

~撮影・取材後~

P「お疲れ様、美希」

美希「ハニーもお疲れ様なの!ミキどうだった?」

P「ああ、今日はいつもより気合い入ってたよな、この仕事でトップアイドルにまた大きく近づいたんじゃないか」

美希「まぁミキにとってはお茶の子さいさいな仕事ってカンジかな!」

P「こーら、調子に乗るんじゃありません、ほら、タクシー呼んだから帰るぞ」

美希「はーいなの」

~タクシー内~

美希「・・・ねぇハニー・・・何か隠し事してるでしょ」

P「えっ!?い、いやそんなことは・・・」

美希「嘘!だってハニー今日朝からなんだかヘンだもん!早くハクジョーするの!」

P「・・・」

美希「・・・もしかして・・・体のこと・・・?」


P「・・・ああ」

美希「・・・よくないの?」

P「・・・実は今日の朝からだいぶしんどいんだ・・・正直今はもう歩くのさえ辛い」

美希「・・・!どうして早く言わないの?それなら朝から病院に行くべきだったの!」

P「それは今回の仕事が美希にとってn」


 ドクン


P「うぐっ!」


美希「!?ハニー!どうしたの!」

P「み・・・美希・・・」ドサッ

美希「ハニー!?ねぇハニーったら!」ユサユサ

P「・・・」

美希「ハニー!死んじゃダメなの!」ウルウル

美希「・・・はっ、運転手さん!今すぐ○×病院に行くの!早く!」

――――――――

――――

~1週間後~

深夜
P「うっ・・・」

P「(・・・ここは?・・・体が重い・・・)」

P「(・・・そうか、俺はあの時タクシーの中で気を失って・・・)」

P「(・・・とりあえずナースコールだな)」カチッ

~翌日~

美希「ハニー!!!」

P「美希・・・音無さんも」

小鳥「お久しぶりです、プロデューサーさん」

P「久しぶり・・・ですか」

美希「ハニー具合はどうなの?」

P「まぁ1週間寝てたおかげでマシな方だよ・・・元気とは言えないけどな」

美希・小鳥「ほっ・・・」

美希「・・・ハニー!」

P「な、なんだ(随分怒ってるな・・・)」

美希「なんで1週間前苦しかったなら最初から病院に行かなかったの!」

美希「あの時ちゃんと検査を受けていればこんなことにはならなかったの!」


P「・・・あの時にも言いかけたが、あの仕事がミキにとっての大事な仕事だったからさ」

P「俺はお前達をトップアイドルにするって約束をした、その約束を守るためにもあの仕事だけは俺が見届けたかったんだ

美希「・・・」

P「無理したことは謝る、だけd」
バチーン

P「・・・っ!」

小鳥「み、美希ちゃんダメよ」

美希「ふざけるんじゃないの!!!」

美希「ミキはハニーが死んじゃうくらいならトップアイドルになんかなりたくないの!みんなもそう思ってるの!」

美希「ミキにとって大事だから何?そんなの誰も望んでないの!」

P「・・・」

美希「・・・」ハァハァ

P「・・・俺は、お前達に約束した」

美希「・・・!だからそんな約束」

P「俺はお前達のプロデューサーだ!」

美希「・・・」

P「あれは俺のプロデューサーとしての最後のワガママだったんだ、許してくれ、美希」

美希「だからって・・・そんな」ウルウル

美希「ハニー・・・ひどいの・・・」ポロポロ

P「・・・」

小鳥「プロデューサーさん」

P「音無さん・・・」

小鳥「プロデューサーさんの気持ちもわかります、そしてあの状況でもその約束を果たそうとするプロデューサーさんを私は尊敬します」

小鳥「でも今美希ちゃんが言ったことがみんなの本音なんです」

小鳥「プロデューサーの病気がわかって・・・この1年間であの子達も成長しました、もう自分達でやっていく力はついています」

小鳥「1年前・・・私聞きましたよね」

『プロデューサーさんの思う彼女達はそんなに弱いですか?』

小鳥「あの子達はあの時よりももっともっと強くなりました・・・」

小鳥「信じてあげて下さい、みんなを、美希ちゃんを」

P「・・・」

P「・・・」ポロポロ

P「うわあああん、美希、ごめんなぁぁぁ」

美希「うえええええん、はにぃぃぃぃぃぃ」

ウワーン エーン



P「(付き合い始めて10ヶ月・・・その日俺と美希は恋人として初めてケンカをした)」

――――――――

――――

~10月~

病院
P「(あれから俺の体は回復することはなく、ついに仕事に復帰することができなくなっていた)」

P「はぁ・・・」

あずさ「どうしたんですかプロデューサーさん、ため息なんてついて」

P「いや・・・最近何を目標にして生きて行けばわからなくなってきたんですよ」

P「もちろん生きることを諦めたわけじゃないですよ?もう2ヶ月前に音無さんに言われてから自分の体のことを1番に考えようと心に決めましたから」

P「ただ、今の体の状況では仕事に復帰するなんて夢のまた夢です」

『なに?765プロに一員であるキミが辞めることなどできるわけないだろう?』

P「・・・なんて言ってくれてましたけど、このまま765プロに身をおかせてもらったままなのは申し訳ないというかなんというか・・・」

あずさ「・・・ふふふ」

P「あれ、何かおかしいこと言いましたっけ?」

あずさ「いいえ何も~」

――――

P「最近調子はどうだ?響」

響「なんくるないさー、自分、完璧だからな!」

P「はは、響は変わらないな」

P「はぁ、そろそろハム蔵にも会いたいよ・・・」

響「・・・」

P「・・・ああごめんごめん、そういえばな・・・」

――――

――――――――

――――

~11月~

P「・・・春香か」

春香「プロデューサーさん・・・」

P「・・・ごめんな、せっかく来てくれたのに」

春香「いいんです、プロデューサーさんに会えただけで嬉しいですから!明日からまた仕事がんばれます!」ニッコリ

P「・・・」

春香「プロデューサーさん・・・覚えてますか?私が告白した時のこと」

P「・・・ああ」

春香「あのときは本当に緊張したんですよ~、告白したのだって生まれて初めてだったんですから」

P「・・・」

春香「私・・・あのとき元気にふるまってたつもりだったんですけど・・・本当はとっても辛かったんです」

春香「でも・・・私どうしようもなくて・・・」


P「・・・春香」ナデナデ


春香「プロデューサーさん・・・今でもあなたのことが好きです」


P「・・・」

春香「・・・ごめんなさい困るようなこと言って、でも同じプロデューサーさんを大好きな私から言わせて下さい、そして約束して下さい」



春香「美希との約束は絶対に守るって」



P「・・・春香、なんでそれを」


春香「・・・相変わらず鈍感ですね、いや今までは鈍感なフリでしたっけ?」

春香「女子の情報網をナメちゃダメですよ、ましてや美希なんてこっそり事務所で指輪つけてるくらいなんですから知られないわけがないですよ」

P「・・・まじか」

春香「いいですか!約束ですよ!プロデューサーさん!」


P「・・・ああ、絶対だ、約束する」

かまって臭がする
さあね(キリ)

――――――――

――――

~11月21日~

美希「ホントなの!?小鳥?」

小鳥『ええ、今お医者さんから話があって、容態が悪化して危険な状況だそうよ・・・』

美希「こうしちゃいられないの!すぐに病院に行くの!」

貴音「私達も行きましょう」

律子「ほらみんな準備ー」

――――

~病院~

美希「ハニー!」

P「・・・」

小鳥「しーっ、今寝てるから」

美希「ハニー・・・」

真美「兄ちゃん、なんかやせたね・・・」

やよい「ご飯も全然食べられないなんて、かわいそうです・・・」

美希「ハニー、明後日は美希の誕生日だよ?」




美希「信じてるの、ハニー」



P「・・・」

――――――――

――――

11月22日


P「うっ・・・」

P「(今日は体調がいいな・・・ん?)」

P「これは・・・手紙?みんなから・・・」

――――――――

プロデューサーさん
こんにちは、たまにしかお見舞いに行けなくてすみません。
私達みんなプロデューサーさんの回復を信じていますので、いつか必ず765プロに戻ってきて下さい。
いつまでも待ってます。

 春香

――――――――

プロデューサー
また一緒に仕事ができる日を楽しみに待ってます。
必ず元気になって下さい。

 千早

――――――――

プロデューサー
プロデューサーのおかげで男の人にも少しずつですけど慣れてきました
いつかまた事務所にお茶を飲みに来て下さい。

 雪歩

――――――――

プロデューサー
やっぱり事務所に男の人がいないと寂しいです。
社長はもう歳なんで・・・やっpり若い人の方が活気にあふれるというか・・・
とにかく待ってます!

 真

――――――――

あなた様
最近私の食欲が落ちて参りました。
あなた様とまたらぁめんを食べることが出来る日を信じてお待ちしております。

 貴音

――――――――

プロデューサー
病気を治して早く事務所に戻ってきて下さいね!
長介達も心配してました。またもやしパーティしましょー

 やよい

――――――――

最近兄ちゃんがいないからイタズラできなくて寂しいよー
寂しいよー
ま、こんだけ亜美と真美を退屈にさせたんだから今度事務所に来た時は、わかってるよねぃ?
今のうちに覚悟を決めとくんだYO!

 亜美と真美

――――――――

プロデューサー
この前ハム蔵に会いたがってたことをハム蔵に言ったらすごく喜んでたぞ
イヌ美達も連れて行くからちゃんと退院の日がわかったら連絡するんだぞ

 響

――――――――

プロデューサー
この伊織ちゃんに心配させるなんていい度胸ね!
・・・なーんて強がり言いたいけど、やっぱやめとくわ。
みんなも私も心配してるから・・・早く元気になってねプロデューサー。

 伊織

――――――――

プロデューサーさん
お元気ですか。
プロデューサーさんと美希ちゃんの2人は見てるだけでほほえましくなるくらいでした。
またその光景を事務所で見られる日を待っています。

 あずさ

――――――――

プロデューサー
あなたがいないから私の仕事が増えて大変ですよ
早く助けに来て下さい、いいですね?

 律子

――――――――

プロデューサーさん
私、彼氏ができました!

・・・冗談です。
でも今は彼氏よりもプロデューサーさんが元気になってくれることが1番の願いです。
絶対元気になって戻ってきて下さい。

 小鳥

――――――――

キミをスカウトしたのはいつだっただろうか・・・
アレは間違いではなかったよ。こんなにもアイドルに信頼される人間など私はキミ以外に聞いたことがないね。
765プロのキミの居場所は必ず守る。だから絶対戻って来たまえ。

 高木

P「・・・あれ、美希のは最後か」


――――――――

ハニー!!!
ミキね、ハニーがいなくてもお仕事みーんながんばるから、絶対戻って来てね!これも約束だよ!
またお見舞い行くから首洗って待ってるの!

 美希

――――――――

P「なんか言葉遣い間違ってないか・・・これ・・・ん?」

――――――――

P.S.あの約束、忘れちゃダメだよ!ハニー!

P「・・・ああ、忘れるもんか」

P「明日・・・か・・・」



ガラッ

美希「ハニー?」

P「おお美希、なんか久しぶりに会った気がするぞ、元気だったか?」

美希「もう、昨日も来たんだよ?それなのにハニーはずっと寝ちゃっててさ!」プンスカ

P「あーそうなのか・・・ごめん・・・」

律子「こーら美希、プロデューサーを困らせること言っちゃダメでしょ」

伊織「なんのためのお見舞いよ全く」

P「はは、大丈夫だよ律子、伊織、それに美希も本気で怒ったわけじゃないだろうし」

美希「さすがハニーはミキのことよくわかってるの!誰かさん達とは違って」ベー

伊織「ふ、ふん、私だってそれくらいわかってたわよ!」

律子「はいはいこんなとこでケンカしないの」


美希「それにしてもハニー今日元気だね?」

P「ああ、今日は朝から調子がいいんだ」

美希「そうなんだ・・・ね、1年前の約束覚えてる?」

P「もちろん、そんな大事なこと忘れるわけないだろ?」


美希「・・・ありがとうなの」

P「ん?」


美希「生きていてくれて、ありがとう」

P「・・・」

美希「本当は・・・強がってただけなの」

美希「ハニーに死んでほしくないから・・・それにただ目を背けたくてあんな約束しただけなの」

美希「だからミキはハニーのことを最初は信じることができなかったの・・・」

美希「どうせすぐに死んじゃうんだ、16歳になった時は独りぼっちなんだって・・・」グスッ

美希「ごめんなさい、はにぃ」ポロポロ

P「・・・美希」ギュッ

美希「ダメなのハニー・・・ミキは悪い子なの」ポロポロ



P「結婚しよう」



美希「ヒッグ・・・えっ?」


P「ほら、これでお互いちゃんと自分の本音をさらけ出した上でのプロポーズだぞ?」

P「これで俺達の結婚に嘘なんてないよな?」


美希「ううう・・・はにいいいいいいいいいい」ウワーン

律子「あらあら」

伊織「あずさみたいになてるわよ・・・律子、まあ気持ちはわかるけど」


――――――――


律子「じゃあ夕方にまた来ますね」

伊織「元気だからって調子乗らないでちゃんと寝るのよ」

美希「バイバイハニー」

P「ああ、またな」

――――――――

夕方
小鳥「プロデューサーさん、体調どうですか?」

一同「おじゃまします」


P「・・・音無、さん、と、みんな・・・」

小鳥「えっ・・・今日は体調がよかったんじゃ・・・」

P「・・・」

美希「ハニー!大丈夫なの?」

P「・・・美希・・・」

――――――――

律子「看護士さんに聞いてきたけど、昼くらいから急に容態が急変したらしいわ」

真「昨日も体調よくなかったみたいだし、不思議じゃないよね・・・」

響「そんな・・・こんなに元気のないプロデューサー初めてだぞ」

千早「確かに・・・私達がお見舞いに来る時はいつも元気に振る舞ってくれてたものね」

雪歩「も、もしかして・・・私達のせいで無理させてちゃったんですかぁ・・・」

一同「・・・」



P「そんなこと・・・ないぞ」

美希「ハニー・・・」

P「俺は・・・お前達がいるおかげでここまで生きることができた・・・」

美希「ハニー、そんなまるで死んじゃうようなこと言っちゃヤダよ・・・」

P「美希・・・」

P「あの時・・・約束してくれてありがとう」

P「あれがあったから、俺は・・・」

P「・・・」

美希「ハニー!」

P「・・・すまん」

律子「プロデューサー、みんなあなたのことを待ってますよ」

亜美「兄ちゃん・・・亜美達まだトップアイドルになってないよ?」

真美「そうだよ兄ちゃん!約束守ってよ!」

P「・・・すまん」

伊織「・・・なんで謝んのよ・・・」

響「そこは『はい』って言うとこだぞ!プロデューサー!」

美希「ねぇ・・・ハニー」

P「・・・」

美希「明日だよ・・・」

美希「明日・・・ミキは16歳になるの」

P「・・・美希・・・そして、みんな」

美希「・・・」


P「今まで、ありがとう・・・」

美希「・・・な」


美希「なんでそんなこと言うのハニー!」

美希「まだお礼言われる筋合いなんてないの」

美希「まだ・・・ぅ」グスッ


P「みんな・・・」

P「いつか本当のトップ、アイドルに・・・」


「プロデューサー!」





P「・・・じゃあな」

――――――――


律子「・・・あとほんの少し・・・間に合わなかったわね・・・」

美希「・・・」


美希「ううん、そんなことないよ」

律子「・・・え?」


美希「そんなことないの・・・ハニーはちゃんと約束を守ってくれたの」

 『結婚しよう』


 『ほら、これでお互いちゃんと自分の本音をさらけ出した上でのプロポーズだぞ?』


 『これで俺達の結婚に嘘なんてないよな?』



美希「あの時の返事・・・まだだったの」



美希「ミキも同じ気持ちなの、嘘なんてないの」



美希「結婚しよう、ハニー」

Pの両親はすでに他界してるってことで

小鳥「美希ちゃん・・・ずっと元気ないですね」

律子「そうですね・・・まぁでも今日から元気が戻りますよ、多分」

小鳥「えっ?」


律子「美希ー?」

美希「律子、さん・・・なんなの?」

律子「はいこれ」スッ

美希「・・・これは?」

律子「プロデューサーの部屋を片付けてたら見つけたんだけどね」

美希「!」

美希「・・・開けていいの?」

律子「いいもなにもどう見ても美希へのプレゼントでしょ、開けてみたら?」

美希「・・・うん」

 ガサゴソ

美希「あ・・・」


美希「指輪・・・なの」


律子「・・・きっと婚約指輪ね、結婚式は挙げられないけどせめて指輪だけは・・・てあの人が考えそうな事ね」


美希「・・・これで指輪が2つになっちゃったの」

美希「なんでミキも部屋に呼ばなかったの!!!」

律子「あーそういえば去年の誕生日プレゼントにも指輪もらったんだっけ?」

律子「もしかしたら何かあるんじゃない?その2つの指輪」

美希「・・・何かって?」

律子「さぁ、それは私はプロデューサーじゃないんだからわからないわよ、ま、考えてみることね」

美希「・・・」


小鳥「律子さん、婚約指輪って・・・プロデューサーさんは10月からずっと入院してましたよね」

小鳥「それに部屋から見つかったって・・・一体どうやって・・・・・・まさか」

律子「さぁ?どうでしょうね」

律子「(小鳥さんがお察しの通り、あの指輪は10月にプロデューサーに頼まれて買ってきたもの)」

律子「(絶対に自分が渡すんだ、なんて息巻いてた癖に・・・結局私が渡すことになっちゃったか)」

律子「(死んでからも世話焼かせるんだから、全く)」

美希「うーん」

美希「(なんのヘンテツもない普通の指輪なの、ただ・・・)」

美希「サイズが大きいの、ハニー焦ってたのかな?」


美希「・・・あれ?」

美希「指輪の内側に・・・これはミキの名前なの」



美希「・・・・・・あ」



律子「(そう、この婚約指輪は美希じゃなくプロデューサーの指輪)」

律子「(そして1年前美希にプレゼントした指輪にはプロデューサーの名前が刻まれている)」

律子「(彼女の誕生日に自分の指輪を用意するなんて勇気がある人ね、ホントに)」



美希「・・・えへへ」

美希「律子!」

律子「・・・」ギロッ

美希「・・・さん!」

美希「ミキね、今日からまたお仕事がんばるからプロデュースよろしくなの!」

律子「そうしてくれるとありがたいけど、どういう風の吹き回しかしら?」


美希「えへへ、なんでもないの!」ニコッ







美希「ハニー・・・指輪、ありがとう」


美希「これからもずっと一緒だよ!」

本当に完

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年11月13日 (金) 00:29:20   ID: ELU5dfzF

すごくいいと思います

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