殺し屋「どんな標的も俺の手にかかれば“デッドエンド”だぜ……!」 (80)

一人目「穴に向かってデッドエンド!」



<殺し屋アジト>

殺し屋「よう、アンタかい」

黒服「久しぶりだな……」

殺し屋「政府直属の諜報部に所属するアンタが来たってことは──」

殺し屋「標的(ターゲット)は相当の大物のようだな?」

黒服「…………」

黒服「君に始末して欲しいのは、ある麻薬密売組織のボスだ」スッ…

殺し屋「……知らないツラだな」

黒服「君が知らないのも無理はない」

黒服「この男は、新興の麻薬組織のボスだ」

黒服「組織自体は生まれたてでまだまだ小さいが、麻薬の捌き方が非常に巧妙なのだ」

黒服「現に、厳しい取り締まりにもかかわらず」

黒服「この組織の手によって、我が国に麻薬密売ルートが次々に生まれつつある」

黒服「もし、既存の大規模な麻薬シンジケートとこの男の知恵が結びついたら」

黒服「手のつけようがなくなる……!」

黒服「だから今のうちに、君にこの男を始末して欲しいのだ!」

殺し屋「報酬は?」

黒服「前金で20万ドル、成功報酬で30万ドル用意してある」

殺し屋「いいだろう……始末してやるよ、この麻薬業界のホープをな……」

殺し屋「どんな標的も、俺の手にかかれば“デッドエンド”だぜ……!」

殺し屋「さて相棒、標的の下調べは頼んだぜ」

相棒「やれやれ、たまには自分でやって欲しいもんだ」

殺し屋「お前が調べてくれた情報に基づき──」

殺し屋「俺が最適な殺し方を編み出して実行する!」

殺し屋「これが黄金パターンなんだからさ、な、頼むよ」

相棒「はいはい」

相棒(ま、たしかに彼はボクが調査した情報をもとに)

相棒(恐ろしいほどに、残酷で確実な殺し方を編み出してくる)

相棒(その成功率……現在のところ100%)

相棒(我ながら、とんでもない男をパートナーに持ったもんだよ)

相棒「じゃ、行ってくるよ。一週間ぐらいで戻る」

殺し屋「おう!」

一週間後──

相棒「ただいま」

殺し屋「おう、どうだった?」

相棒「新興組織とはいえ、政府に警戒されるだけあって、かなり厳重なアジトだね」

相棒「最新鋭のセキュリティを完備し」

相棒「SPみたいなボディガードがあちこちを歩いてる」

相棒「ボスはその中で、ほとんど引きこもりみたいな生活を送ってる」

相棒「あれを殺すのは、いくら君でも骨が折れるだろうね」

殺し屋「ふん……くたばりそうもない奴に“デッドエンド”を与えるのが俺の仕事だ」

殺し屋「で、もちろん情報はそれだけじゃねえんだろ?」

相棒「ああ……あの組織のボスには弱点があった」

殺し屋「弱点?」

相棒「それは“痔”だ」

相棒「ガードが堅く、切れ痔なのかイボ痔なのかまでは、まだ調査が及んでないがね」

相棒「今日はあくまで中間報告──」

殺し屋「上出来だ」

相棒「え?」

殺し屋「それだけ分かれば、もう十分だ」

相棒「そんな、まさか……」

殺し屋「新興麻薬組織のボス……奴はすでに“デッドエンド”だぜ!」

<麻薬組織アジト>

殺し屋「ちわぁーっす!」

構成員「あ? なんだテメェは?」

殺し屋「私、トイレの改良業者でして」

殺し屋「今、無料でトイレの点検サービスを実施しております」

構成員「ウチは、トイレ業者なんざに用はねーぞ!?」

殺し屋「例えば、痔に最適なウォシュレットのご紹介などをさせていただいております」

構成員「!」

構成員(そういや、ボスは痔で悩んでたよな……)

構成員「よし! アジトのトイレをチェックしてみてくれ!」

殺し屋「かしこまりました!」

<トイレ>

構成員「これがウチのトイレだ……」

殺し屋「あ~……これは全然ダメですねえ」

構成員「なにっ!?」

殺し屋「こんなウォシュレットじゃ、痔に優しいどころか悪化してしまいますよ」

構成員「それはまずい! なんとかしてくれ!」

殺し屋「……分かりました」

殺し屋「では、今日は無料サービスでウォシュレットを改造いたしましょう」

構成員「そいつはありがてえ! ボスも喜ぶぜ!」

<トイレ>

構成員「ボス! さっきやってきた業者に、トイレを改造してもらいました!」

構成員「これが痔に最適なウォシュレットです!」

ボス「ほぉう、これが……?」

構成員「なんでもセンサーで痔の状態をチェックして」

構成員「最適な水量と勢いで、肛門を洗い流してくれるらしいです!」

構成員「しかも、水に薬品が含まれていて、痔の回復を促進してくれると!」

ボス「ククク、ありがてえじゃねえか」

ボス「最近は椅子に座ったりケツ拭いたりのもしんどかったんだ」

構成員「ボスの痔がよくなりゃ、この組織もますます大きくなりますぜ」

ボス「よし……さっそく試してみるか」

ボス「便座に座って……」ポチッ

バシュッ!!!



便器の中から発射された、極めて高水圧のシャワーは──

ボスの肛門に強行突入──

内臓をも突破し、コンマ数秒後にはボスの脳天を貫いていた……!



構成員「ボ……ボスゥゥゥゥゥッ!!!」



殺し屋「“デッドエンド”……完了!」

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                                     <完>

二人目「ジャンピングデッドエンド!」



<町>

生徒「お金……持ってません……」

DQN「ジャンプしろや、ジャンプ!」

生徒「ひいっ!」ピョンッ チャリン…

DQN「あんじゃねーかよォ!」

ボゴォッ!



副会長「くっ……またやってるぞ、アイツ!」

副会長「これでウチの学校のカツアゲ被害は1億円にもなる!」

生徒会長「こうなったら……非常手段を取るしかないようね!」

<殺し屋アジト>

殺し屋「これは珍しい客だ」

殺し屋「俺も数多くの人間と接してきたが──」

殺し屋「女子高生の依頼人ってのは、はじめてだな」

生徒会長「あなたのことは聞いているわ」

生徒会長「条件さえあれば、どんな依頼人だろうと仕事を引き受けてくれるってね!」

殺し屋「そのとおり」

殺し屋「俺は差別主義者じゃないんでね。老若男女、なんでもこいだ」

殺し屋「さ、俺に何をして欲しいか、話してみな」

生徒会長「分かったわ……!」

生徒会長「──というわけなの」

生徒会長「私たちの学校は、あの不良校のDQNのカツアゲのせいで」

生徒会長「すでに1億円以上の被害を受けているわ!」

生徒会長「しかもDQNの父親は、超がつくほどの大物政治家で」

生徒会長「先生や警察もアテにはならないのよ!」

生徒会長「お願い、全校生徒から集めたこの依頼金で引き受けるといって!」

殺し屋「…………」ジャラッ…

殺し屋「なるほど、俺に殺しを頼むに値する額だな」

殺し屋「いいだろう……そのDQN……始末してやるよ」

殺し屋「しつけが通じない悪ガキは、“デッドエンド”してやらなきゃな!」

相棒「やれやれ、最近の子供はマセてるというけど」

相棒「君に殺しの依頼をしてくるような子供もいるんだね」

相棒「さすがのボクもちょっと驚いたよ」

殺し屋「相手を憎み、殺したくなるって感情に、年齢は関係ねえよ」

殺し屋「俺はそういう奴らの願いと金をくみ取って、仕事をするだけさ」

殺し屋「標的に“デッドエンド”を与えるという仕事をな……」

相棒「はいはい」

相棒「今回の調査は高校生相手だし、すぐ終わると思うよ」

相棒「明日には標的の情報を報告できるだろう」

翌日──

相棒「DQNってのは、なかなか凶悪な高校生だね」

相棒「他校の生徒に“ジャンプしてみろ”って因縁をつけて」

相棒「息をするように毎日カツアゲをして、貯金はすでに10億円を突破」

相棒「しかも体が大きく空手や柔道をやってるから、大人でも歯が立たない」

相棒「親の力で、殺人を隠ぺいしてるウワサすら立ってるくらいだ」

相棒「仮に少年院や刑務所に入ったところで、更生の見込みはないだろうね」

殺し屋「ジャンプしてみろ、か」

殺し屋「──殺し方が決まったぜ。もうそのクソガキは“デッドエンド”だ!」

<町>

殺し屋「ふんふ~ん」スタスタ…

DQN(お、アイツ金持ってそうだな)

DQN「オイ、テメェ」

DQN「金出せや、コラァ」

殺し屋「金なんか持ってないよ」

DQN「あぁ!? だったらジャンプしろやジャンプ!」

殺し屋(ここで、靴に仕込んだ強力なバネを作動させる!)カチッ

ピョォォォォンッ!!!

DQN「な……!?」

グキッ……!



靴に仕込んだ強化スプリングによって、十数メートルジャンプした殺し屋──

それに驚いて急激に首を上に向けた結果──

DQNの頸骨は骨折、即死であった……!



殺し屋「“デッドエンド”……完了!」

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                                     <完>

三人目「性欲まみれのデッドエンド!」



<殺し屋アジト>

部長「頼む! 我が社のコンピュータにハッキングして」

部長「社の機密情報をネットに流出させたハッカーを殺してくれ!」

殺し屋「いいだろう……」

殺し屋「安心しな、部長さん」

殺し屋「アンタの会社をメチャクチャにした腐れハッカーは」

殺し屋「俺の手で“デッドエンド”を迎えることになるからよ……!」

三日後──

相棒「ふう……ハッカーの正体が分かったよ。ちょっと手こずっちゃった」

殺し屋「いったいどんな奴だ?」

相棒「毎日家に閉じこもって、パソコンばっかやってる奴さ」

相棒「典型的な引きこもりのキモオタだね」

相棒「唯一の取り柄であるパソコンの技能も、悪事にしか使おうとしない」

相棒「力の使い方を間違えなけりゃ……といわれるタイプだね」

相棒「しかし、彼はずっと家に閉じこもってるんだ」

相棒「どうやって殺すんだい?」

殺し屋「ふん、家の入り口にカギがかかってんなら──」

殺し屋「パソコンっていう最高の入り口を使えばいいのさ……」

<キモオタの家>

キモオタ「ふひひ……」

キモオタ「今日はハッキングしてやるか、それともウイルスばら撒いてやるか……」

キモオタ「指を動かすだけで万や億の人間の人生を狂わすことができる……」

キモオタ「小生こそが、世界最強でござる!」

キモオタ「ふひ、ふひひひひ……」

キモオタ「まあ、なにをやるかは一発ヌイてからゆっくり考えるでござるか」

キモオタ「お、これは新しいエロ画像サイトでござるな?」

キモオタ「どれどれ……」

キモオタ「むっ!」カチッ

キモオタ「むむうっ!」カチッ

キモオタ「このサイトはすごいでござる!」カチカチッ

キモオタ「ページを更新するたびに、新しい画像が追加されてゆく!」カチカチッ

キモオタ「しかも画像はどれも一級品の極上モノでござる!」カチカチッ

キモオタ「おっほ~~~~~う、たまらんでござるな!」カチカチッ

キモオタ「F5を押す指が止まらんでござる!」カチカチカチカチ…

キモオタ「うひょ~~~~~~~~~~!」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…

<殺し屋アジト>

相棒「こんなサイトで、どうやってキモオタを殺すっていうんだい?」

相棒「まさか過度なマスターベーションが引き起こすといわれる」

相棒「“テクノブレイク”で殺そうっていうんじゃ──」

殺し屋「いや、もっと確実な方法さ」

殺し屋「今頃、俺が作ったサイトを発見したキモオタは」

殺し屋「F5を夢中で連打してることだろう」

殺し屋「するとどうなると思う?」

相棒「どうなるって……指が疲れるんじゃない?」

殺し屋「そのとおり、普通の人間なら疲れてパソコンを中断する」

殺し屋「しかし、性欲に支配されたキモオタは連打を止めず──」

キモオタ「小生の体……いったいどうしちまったでござる、か……」ガクッ



F5連打で疲労した指は、限界を超えたことで壊死する。

しかし、性欲の奴隷となったキモオタは異変に気づかず──

やがて、腐食は全身に広がり、キモオタを死に至らしめたのであった……!



殺し屋「“デッドエンド”……完了!」

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                                     <完>

四人目「風と流行のデッドエンド!」



<殺し屋アジト>

妻「私の夫は……あの社長に殺されたようなものなのです!」

妻「社員を使い捨ての道具としか思っていない、あの悪魔に……!」

妻「お願いします! どうか、あの社長に天罰を与えて下さい!」

妻「過労死した夫の恨みを晴らして下さい!」

殺し屋「分かったぜ」

殺し屋「アンタの夫の恨みは、この俺が必ず晴らしてやるよ」

殺し屋「“デッドエンド”という形でな……」

一週間後──

<殺し屋アジト>

相棒「調査報告に来たよ」

殺し屋「おう、聞かせてくれ」

相棒「あの社長の会社は特に事業を定めておらず」

相棒「世のブームに合わせて色んな事業を展開することで発展してきた」

相棒「常に流行に耳を傾けなきゃいけないから、そりゃ社員も忙しいことだろう」

相棒「もっとも本人は社員が死んでも“次は過労死ブームが来るかも”なんて」

相棒「笑ってるがね。呆れたもんだ」

殺し屋「なるほど、つまり流行が大好きな社長さんってわけだ」

殺し屋「よぉ~し、なら俺も流行を作って社長を“デッドエンド”してやるか」

殺し屋「よいしょ、よいしょ」ゴトッ

殺し屋「ふぅ~、さすがに疲れたな」

相棒「うわっ、こんなに扇風機を買い込んでどうするんだい?」

殺し屋「これを町中に設置して、風を吹かせる」

殺し屋「風を巻き起こすことで、ブームを巻き起こすんだ」

相棒「?」

殺し屋「名づけて……“風が吹けば桶屋が儲かる作戦”決行だ!」

相棒(相変わらず、彼がなにを考えているのかは分からないが──)

相棒(これは、かつてない大がかりな作戦になりそうだな)

<テレビ>

ビュオオオォォォォォ……!

アナウンサー『くっ……!』ゲホゲホッ

アナウンサー『えぇー、至る所に設置された扇風機のせいで』

アナウンサー『町中にホコリが舞い上がっております!』

アナウンサー『おっと、私の目にもホコリが……』ゴシゴシ…

アナウンサー『皆さま、外を出歩く時はくれぐれもご注意を……』

<殺し屋アジト>

相棒「やれやれ、これじゃうかつに町を歩けないよ」

相棒「扇風機を吹かせることで、いったいどんなブームを生むっていうんだい?」

殺し屋「お前、“風が吹けば桶屋が儲かる”ってことわざ知ってるか?」

相棒「風が吹くとホコリが飛んで、失明する人間が増える」

相棒「盲人は三味線を習うから、三味線の材料になる猫が乱獲され、数が減る」

相棒「猫が減るとネズミが増えて桶をかじるから、桶屋が儲かるって話だろ?」

殺し屋「そのとおり」

殺し屋「今の時代、ホコリで失明なんてまずありえねえが」

殺し屋「目を開けにくい世の中になったら」

殺し屋「目をつぶってても弾きやすい、三味線がブームになる!」

殺し屋「そうなりゃもう、“デッドエンド”は成ったも同然だ!」

【 三味線ブーム到来! 】

【 三味線バンドデビューシングルがミリオンヒット! 】

【 三味線アニメがメガヒット! 】



<会社>

社長「三味線ブームか……」

社長「よし、次はこれだ!」

社長「我が社でも三味線を作って、一山当てるぞ!」

社長「となれば、材料になる猫をいっぱい捕まえなければな!」ガタッ

<町>

社長「ハァ……ハァ……ハァ……」

社長(くそっ、野良猫が全然見つからん!)

社長(今は猫を室内から出さない飼い主が増えているからな……)

社長(どこかいないか……)キョロキョロ…

社長(いた!)

社長(あんなデカイ猫なら、三味線をいっぱい作れるぞ!)

社長「おい、お前! 私のために三味線の材料になれ!」ダダダッ

ライオン「ガルルルル……!」

ガブッ!

ギャアァァァァァァァァ……



三味線作りのために猫を探し求めた社長であったが──

野良猫を発見できない焦りゆえ、猫とライオンの区別もつかなくなり──

頸動脈を鋭い牙で噛まれ、絶命した……!



殺し屋「“デッドエンド”……完了!」

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                                     <完>

五人目「包丁が生むデッドエンド!」



<レストラン>

客「ただの水が8万円なんておかしいでしょ!?」

シェフ「ウチの水は、アルプスから直に汲んできた高級品なんだよォ~!」

シェフ「払わないんなら、俺の包丁で料理になってもらっちゃうよ!?」ギラッ

客「ひぃ~! 払います、払います!」



金持ち「おっほんスプーンが落ちてしまったのだが」

シェフ「これはこれは失礼いたしました~! すぐスプーンをお持ちします!」

シェフ「スプーン代として、10万円いただきますがよろしいですか?」

金持ち「おっほん、かまわんよ」



コック「…………」

<殺し屋アジト>

殺し屋「……なるほどな」

コック「あの人は腕は一流ですが、性格は最低です!」

コック「一般人からは強気にボッタくり、金持ちには媚びてボッタくるのです」

コック「私はあの人を料理人と認められません」

コック「いえ……あの人の存在はもはや料理界のガンなのです!」

コック「だから……殺して下さい!」

殺し屋「いいだろう……金の力に溺れたシェフ……」

殺し屋「俺が“デッドエンド”してやるぜ!」

三日後──

相棒「調査が完了したよ」

殺し屋「聞かせてくれ」

相棒「黒い噂は絶えないが、たしかに腕は一流だね」

相棒「元々はフランス料理を修業していたんだけど」

相棒「他にも日本料理、中華料理、イタリア料理、と世界各地の料理をマスターしてる」

殺し屋「どういうことだ?」

相棒「ようするに、影響を受けやすい人間なのさ」

相棒「美味しいものを食べたら、すかさずその料理をマスターするようにしてたらしい」

殺し屋「なるほどな……移り気で金の亡者な一流シェフさん、ってところか」

殺し屋「方法は決まった……もうシェフは“デッドエンド”だぜ!」

<レストラン>

殺し屋「大変美味しい料理でございました」

殺し屋「チップです」スッ

シェフ「あなたのような大金持ちに来ていただけると、俺も嬉しいですよ」

殺し屋「ところで、あなたにプレゼントしたいものがあるのですが」スッ

シェフ「これは……DVD?」

殺し屋「はい、きっとあなたの料理に役立つと思いまして……」

シェフ(もらえるものはもらって、損はないな)

シェフ「ありがたくいただきましょう」スッ

<殺し屋アジト>

相棒「どうだった? 標的が作った料理は」

殺し屋「さすがに美味かったよ。ただし、心はこもってなかったがな」

殺し屋「あの目は、金持ちを装ってた俺を、客でなく金づるとしか見てなかった」

相棒「ちなみに、標的にどんなDVDをプレゼントしたんだい?」

殺し屋「えぇ~と……」

殺し屋「『武士、死する時』『ずぶり』『ハラキリサムライ』の三本だ」

相棒「みごとなまでに、全部時代劇だね」

殺し屋「ああ、そしてこれら全ての内容にはある共通点があるのさ!」

殺し屋「“デッドエンド”はもう間近だ!」

数日後──

<レストラン>

シェフ「この前は、なかなか面白いDVDをいただきましてありがとうございました」

殺し屋「いえいえ、楽しんでいただけてなによりです」

シェフ「ところで、今日の料理はいかがでしたか?」

殺し屋「ふむ……」

殺し屋「ちょっと……イマイチだったかな」

シェフ「!」ガーン

シェフ「あああああ~~~~~申し訳ありませぬ!」

シェフ「それがし、料理の不出来の責任を取りたく存じまするぅ~~~~~!」

ズブッ……!



シェフは愛用の包丁で、自らの腹を裂き、果てた──

殺し屋のDVDは全て『武士がかっこよく切腹するシーン』を含むものであった。

ゆえに、影響を受けやすいシェフは切腹を選んでしまったのだ……!



コック(先輩……みごとな自刃にございました……!)



殺し屋「“デッドエンド”……完了!」

http://s3.gazo.cc/up/25619.png




                                     <完>

おわり

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