紅莉栖「なぁ……岡部」
岡部「なんだ」
紅莉栖「もしもの話なんだけど……」
紅莉栖「私とまゆりのどちらかしか助けられないとしたら、どっちを選ぶ?」
岡部「ぶっ!?」
スマホ代行
岡部「お、おい!突然なにを言い出しているのだ!?」
岡部「どちらかなど選べるわけないだろう!じょ、冗談にしても悪趣味だぞ?」
紅莉栖「そ、そうよね、ごめんなさい。私、なに言ってるのかしら……」
岡部「(……ど、どういうことだいったい)」
ダル「んー……僕が思うに、オカリンはまゆ氏を見捨てるんじゃないかな」
岡部「……え?」
まゆり「……ん?」
ダル「僕の目の前でまゆ氏が死んでるのに、オカリンが冷たい目をしていた」
岡部「き、貴様なにを……!?」
ダル「……とかそんな夢を見たのだ」
岡部「な、な……?」
ダル「ごめん、冗談。僕も悪趣味だったお。まゆ氏スマソ」
まゆり「べ、別にいいよ~なんだかどきっとしちゃった」
まゆり「オカリンはそんなことしないのにね~」
岡部「う、うむ……」
まゆり「……でもなんとなく、まゆしぃは」
まゆり「オカリンは、まゆしぃを助けてくれる気がするよ」
紅莉栖「……え?」
まゆり「いっぱい、いっぱい悩んで、やっぱりまゆしぃが大事だって言ってくれるんだよ」
紅莉栖「なるほど……」
岡部「いや、ちょっと、何の話だ……?」
紅莉栖「なぜだかそれを否定できない自分がいるのよね……」
紅莉栖「結局助けたのはまゆり……」
岡部「お、おい!た、助けたとはなんだ!?」
岡部「百歩譲って助けるならわからんでもないが!」
紅莉栖「そ、そうよね。やっぱり私おかしいわね……」
まゆり「ま、まゆしぃも変かなぁ?」
岡部「(こ、これは……)」
岡部「(ま、まさか……俺の恐れていたことが起こってしまったのだろうか?)」
岡部「(他の世界線の記憶が紅莉栖たちに……)」
岡部「(し、しかもどうやら、いろいろな世界線の記憶が混濁しているようじゃないか)」
ダル「……なぁ、オカリン。オカリンってなんか僕に異常に冷たかったことない?」
岡部「は、はぁ?」
ダル「なんか突然オカリンに腹が立ってきた。一発殴らせてくれまいか?」
岡部「な、なにを言っているのだお前は!?」
ダル「僕にもわからないんだオカリン。まるでこの気持ちは、最愛の娘を寝取られてしまったような……」
ダル「言いようのない怒りが沸いてきているんだお」
岡部「ちょ、ちょっと待て!それは本当に覚えがないぞ!!」
岡部「(な、なんだ……?俺の知らない世界線の記憶まで戻ってきているというのか?)」
ダル「う、うおおおおお!俺の拳が光るぞおお!」
岡部「や、やめろおおおおお!!」
ガチャッ
ルカ「あ、あのぉ……こんにちは?」
ルカ「お、お取り込み中でしたか?す、すいません」
ダル「いや、全然そんなことはこれっぽっちもないんだぜ?」
岡部「き、貴様というやつは……」
ダル「ごめんオカリン。反省はしている。後悔はしていない」
岡部「(と、とりあえず助かったか……)」
ルカ「あの……橋田さんはどうしてそんなに怒っていらっしゃたんですか?」
ダル「それはオカリンが……あれ?なんだっけ?」
岡部「それは俺が聞きたい……」
ダル「あぁそうだ。僕の娘と一緒に逃避行しやがったんだ」
岡部「そんなことはしていない!!というかお前の娘ってなんだ!おかしいことに気付け!」
ダル「……おかしいなぁ。なんだか僕はオカリンがいろいろなおにゃの子といちゃこらしているのを、指をくわえてみていた気がする」
ダル「ん?それは今も変わらないかwwサーセンww」
岡部「あのな……」
ルカ「ボクも……なんだかそんな気が……してきたような……」
ルカ「そうだ……岡部さんと……デートして……」
紅莉栖「は……?」
まゆり「……ん?」
岡部「ちょ、ちょっと待て!ルカ子!な、なにを言っているんだ!?」
ルカ「え、え!?今ボクなんていいましたか?」
ダル「僕は聞き逃さなかったのだぜ」
ダル「オカリンといちゃこらちゅっちゅしたと……そう確かに聞いた」
岡部「そこまで言っとらんわ!」
岡部「る、ルカ子よ!誤解をまねくようなことを言うのではない!」
岡部「そ、そもそもお前と俺は男同士だろうが!デートもなにもないだろう」
紅莉栖「……それはどうかしら」
岡部「じょ、助手?」
紅莉栖「岡部……あなたは漆原さんとデートしたわ……」
紅莉栖「そんな気がする!!」
ルカ「あぁ……!!」
ルカ「思い出した……!!」
ルカ「岡部さんの赤ちゃん……!!赤ちゃんが産まれた……!!」
岡部「ぶっ!?」
ダル「そうだ!オカリンとるか氏は結婚したんだ!」
紅莉栖「そうだ!それなのに岡部ったら早死にして……!」
まゆり「……あれぇ?まゆしぃにはみんなの言っていることがよくわからないよ?」
ダル「それはまゆ氏はその時死んじゃっていたからで……」
岡部「わ、わかってたまるか!!」
ルカ「岡部さん……なんで死んじゃったんですかぁ……!!」
岡部「死んでない!どう見てもぴんぴんしてるだろうが!!」
岡部「お前らちょっと落ち着け!!」
岡部「さっきから言っていることが支離滅裂だぞ!」
紅莉栖「……あれ?」
ダル「僕はなにを……」
ルカ「う、うーん……なんだか頭が痛くなってきました」
岡部「だ、大丈夫か?具合が悪いようなら帰ったほうがいいのではないか?」
ルカ「そ、そうですね……うーん……」
岡部「(なんだかよくわからないが危ないところだった……)」
ダル「オカリン……男の娘に中田氏なんて、恐ろしい子!」
岡部「しつこいぞ……いったいなんなんだいったい」
紅莉栖「さぁ?私たちにもわからない。ただなんかむかつくから岡部、一発殴らせろ」
岡部「お、お前までそんなことを言うのか!」
ガチャッ
岡部「……な!」
岡部「(ま、また誰か来たのか!!)」
萌郁「…………」
岡部「し、指圧師か」
岡部「ど、どうしたのだ突然。バイトはサボっていていいのか?」
萌郁「責任……とって……」
岡部「……え?」
ピロピロリ
岡部「ん、メールか?」
from 閃光の指圧師
岡部くんって、けっこう乱暴だよね☆
でも男の子があそこまでしたのなら、ちゃんと責任とってもらわないとだよね
……ね?
岡部「……は?」
萌郁「キス……した」
萌郁「押し倒された……」
萌郁「どさくさに……まぎれて……胸も……揉まれた……」
紅莉栖「……ほう」
まゆり「へぇ……」
まゆり「本当かなぁ……オカリン?」
岡部「な、なな……!!」
岡部「む、胸のほうは誤解だ!!」
まゆり「……ふーん、じゃあ前半は本当なんだ」
岡部「って違うわ!!それはあくまでやむにやまれず……、って違うっつの!!」
岡部「萌郁!お前なにを言っているんだ!?」
萌郁「でも……胸も……揉まれた……」
岡部「そこじゃない!!そもそも押し倒してもないし、キスもしていない!!」
岡部「(この世界線ではな!!)」
紅莉栖「あぁなるほど……あの時ね」
紅莉栖「なかなか電話に出ないと思ったら……お楽しみだったってわけね……」
岡部「あーもうこれ以上話をややこしくするな!!」
岡部「指圧師!!落ち着いて考えるのだ!」
岡部「俺がいつお前にそんなことをしたのだ!」
萌郁「それは……?……」
ピロピロリ
from 閃光の指圧師
ごめん、岡部くん!私ったらちょっとぼーっとしてたみたい!
へんな事言っちゃってごめんね?今度埋め合わせするから許してね☆
萌郁「……じゃあ」
バタン
岡部「な、なんだったんだいったい……」
岡部「……?そういえばお前らさっきから静かだな。どうしたのだ?」
ダル「な、なんか……」
紅莉栖「萌郁さんが出て行った瞬間、どっと安心が押し寄せてきたような……」
まゆり「まゆしぃは額が痛いのです」
岡部「だ、大丈夫なのかそれは……」
岡部「(困ったな……まさかこんなことになるとは)」
岡部「(この分だと次はあいつが……)」
岡部「(また変なことを好き勝手に言われても困るな。今のうちに離脱しておこう)」
岡部「すまん!俺は少々野暮用を思いついた。しばらく失礼するぞ!」
紅莉栖「あ、岡部……?」
岡部「さらばだ!」
バタン
岡部「ふぅ……なるべく遠くに……」
綯「オカリンおじさん、こんにちは」
岡部「おう、綯よ……そういえば指圧師はどこかへ行ったのか?」
綯「萌郁お姉ちゃんなら、さっき帰ってきたと思ったら、またどこか行っちゃったよ?」
岡部「そうか……それならいいんだが……」
岡部「お前はあいつから妙なことをふきこまれていないだろうな」
綯「妙なこと?」
岡部「あぁ、別にないならいいんだ」
綯「妙なことって……例えば、おじさんとお姉ちゃんで、お父さんを殺しちゃった……とか?」
岡部「!!」
岡部「ま、待て……そ、それは、さすがにシャレにならんぞ……」
綯「なにが……?私は冗談で言っているつもりはないよ……」
綯「殺したもんね……オカリンおじさんが殺したんだもんね……」
綯「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
岡部「う、あ、ああ……」
岡部「うあああああああああ!!」
?「それを言うなら、綯ちゃん」
まゆり「綯ちゃんもまゆしぃのこと、殺したよね~」
綯「!?」
まゆり「まゆしぃを思いっきり突き飛ばしたんだよね」
まゆり「まゆしぃは電車とレールにはさまれて、ぐちゃぐちゃになって」
まゆり「とっても痛かったんだ~」
綯「あ、あああ……」
まゆり「綯ちゃんがまゆしぃのこと殺したんだよ?」
まゆり「殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した」
綯「うああああああああ!!」
岡部「……や、やめんかあああああああ!!」
岡部「め、目を覚ませお前ら!!」
岡部「誰も死んでないし、誰も殺されてない!」
綯「……あれ?」
まゆり「そういえば……」
岡部「ミスターブラウンもまゆりもぴんぴんしているだろうが!わ、訳のわからんことを言うんじゃない!」
岡部「というわけで俺は失礼する!!」
岡部「(これはやばい!!早いところ逃げてしまおう!!)」
綯「……あ」
まゆり「オカリン……?」
岡部「さらばだ!」
岡部「なんということだ!記憶が戻っているのはラボメンだけではなかったのか!?」
岡部「こんなの……スレタイ詐欺じゃないか!」
?「そこのお前……待ちな」
岡部「……っ!?まさか……!!」
4℃「なんだか知らないが無性にてめぇの顔、むかつくぜ」
4℃「二、三発は覚悟してもらおうか」
岡部「お前もか……!!」
4℃「お前には……二度も苦汁をなめさせられた気がするぜ」
岡部「そ、それは違う!俺はお前のことなど知らん!」
4℃「知ってるか?苦汁と辛酸はなぁ……」
4℃「苦汁のほうがつらいんだ!!」
岡部「この前の特番で言ってただけだろ!」
4℃「うるさい!死ねぇ!!」
岡部「うわあああああ!!」
?「待ちなさい」
黒木「その青年から離れなさい」
岡部「あ、あなたは……フェイリスの執事さん!?」
黒木「えぇ……お迎えに上がりました、だんな様」
岡部「た、助かったぁ……ん?」
岡部「(今なにか変だったような……)」
4℃「なんだてめぇ……じじぃは引っ込んでろ」
黒木「そうは参りませんな……私には、お嬢様の大切な方を守らねばなりませんので」
4℃「あぁん?つべこべ言ってねぇで来るなら来いよ」
黒木「その必要はありません」
・・・・・・・・
黒木「もう終わったあとですので」
4℃「な、なにを言って……うぐぅ!!」
4℃「がはぁ……!!い、いつの間に……!!」
黒木「安心しなさい。一応手加減をしておきましたから」
4℃「ぐ……無念……」
岡部「(なんだこの展開……)」
岡部「あ、あの……助けていただいて、ありがとうございます」
黒木「いえ。では、行きましょう。お嬢様がお待ちですので」
岡部「ふぇ、フェイリスがですか?」
岡部「(嫌な予感がする……)」
岡部「あ、あの、俺はちょっとこれから用事が……」
黒木「……来ていただけますよね?」
岡部「あ、はい」
岡部「あの……黒木さん」
岡部「聞き間違いかもしれないんですが……さっき俺のこと、なんて呼びました?」
黒木「はい?だんな様はだんな様でしょう?」
岡部「(やっぱりなんかおかしなことになってるぞ!!)」
フェイリス「……凶真。やっと来たニャン」
岡部「フェイリス……」
岡部「な、なんの用だって言うんだ?」
フェイリス「凶真……フェイリスは思い出してしまったニャン」
フェイリス「やっぱり凶真とフェイリスは……前世からの因縁で結ばれていたのニャン」
岡部「(はは……なんだいつものやつか)」
岡部「そうだな……俺たちは、あの聖戦を共に戦った仲m」
フェイリス「誤魔化さないで!!」
フェイリス「凶真はフェイリスの運命のパートナーだった!!」
フェイリス「一緒に将来を誓い合ったじゃない!!」
フェイリス「まさか忘れてしまったというの!?」
岡部「え、え……?」
岡部「ちょっと待て、お前なにを……」
フェイリス「凶真はフェイリスの王子様ニャン……覚えてるよね?」
岡部「ち、違う!そ、それはお前、夢か何かと勘違いしているだけで、」
フェイリス「だから言っているニャン。これは前世の記憶なのニャ……」
岡部「(ま、まさかこいつ……他の世界線の記憶を、厨二設定に置き換えているのか!?)」
フェイリス「……凶真、まさか本当に思い出せないの?」
岡部「お、思い出せないも何も、それは勘違いというやつで……」
フェイリス「ふーん……そういうこと言うんだ……」
フェイリス「やっぱり凶真の記憶はヤツラに封印されていたようニャン……」
フェイリス「思い出せないなら……思い出してもらうしかないニャン……」
岡部「ま、待てフェイリス……そ、その刃物をどうするつもりだ?」
フェイリス「そんなの決まっているニャン……凶真にかかっている封印を、フェイリスが解いてあげる……」
岡部「(フェ、フェイリスが……)」
岡部「(本物の電波になってしまったぁああああああ!!)」
フェイリス「凶真……動いちゃダメニャン……」
岡部「ひっ、く、来るな!」
フェイリス「凶真……!!」
岡部「う、うあ……」
岡部「うわあああああ!!」
ガキンッ!!
?「……待ちなよ」
フェイリス「な……っ!?」
綯「こいつを殺すのは、私の役目だ」
綯「他の奴には、やらせないよ」
岡部「な、綯!?」
岡部「(え、えぇ!?どういうこと!?)」
フェイリス「っ!?黒木!!」
黒木「すいません……子供だと思い、油断したよう……です」
フェイリス「ちっ……フェイリスの邪魔をするなんて、いい度胸してるニャン」
綯「邪魔はそっちだよ」
フェイリス「どうかな……それは、これを喰らっても言えるかニャ!?」
シュッ!
綯「遅い!」
カキンッ!!
フェイリス「ふニャっ!?」
綯「ふっ!!」
シャッ!
フェイリス「く、かすったニャ……!!」
フェイリス「こんな小娘に押されるなんて……!!」
綯「体は小娘でも……殺意だけは、本物だよ」
綯「ね、おじさん!!」
岡部「は……?」
フェイリス「しまった……!!」
バン!!
?「ちょっと……待った……」
萌郁「岡部倫太郎を殺すのは……私」
岡部「ま、待て待て……!!何でお前まで!?」
萌郁「FBのため……FBのため……」
岡部「ちょ、ちょっと待て!!それはもう終わった話ではないのか!おい!!」
綯「へぇ……標的が二人とも集まってくれるなんて……なんて運がいいんだろ」
フェイリス「どいつもこいつもフェイリスの邪魔を……」
萌郁「まだ、勝てると思っているの……?」
萌郁「銃は剣より強し……あなたたちにはもう……なすすべはない……」
萌郁「おとなしく……死んで……」
?「銃より強いものがあるよ」
鈴羽「鍛えぬかれた戦士は……銃弾すらも凌駕する」
萌郁「っ!?」
バン、バン!
萌郁「(当たらない……!?)」
鈴羽「はぁっ!!」
萌郁「ぐっ……」バタッ
綯「な、新手か……!?」
フェイリス「だ、誰ニャ……?」
鈴羽「岡部倫太郎!君を助けに来たよ!」
岡部「……す、鈴羽?」
岡部「どうしてお前がここに……!?」
鈴羽「シュタインズゲートは全てがうまくいく世界線……だった」
鈴羽「だけど事件が起こってしまった……悲しい事件がね」
鈴羽「19××年○月△日……そう、つまり今日この日」
鈴羽「岡部倫太郎以外の人々による、リーディングシュタイナーの発動……」
鈴羽「このままじゃまた、悲惨な未来が待っている。私はそれを変えに来たんだ!!」
岡部「す、鈴羽……」
フェイリス「つべこべうるさいニャン……」
綯「誰が来ても一緒だ……全員殺してやる」
たしか2000年超えてなかったか?
いやまぁ別にいいが
>>162 sorry
2000年代のミスです
鈴羽「まずは、君たちを排除させてもらうよ」
フェイリス「できるもんならやってみるニャン!」
黒木「お嬢様……逃げて、下さい……!!」
鈴羽「へぇ……この時代に私の動きが見える人がいたんだ」
綯「おい、お前、なにぼーっとしてんだ!!」
フェイリス「……え?」
ドスッ
綯「く、くそぉ……!!」
ドスッ
鈴羽「戦士とそうでない者の、違いはわかってもらえたかな?」
鈴羽「って、もう聞こえないか」
岡部「……た、助かったのか?」
鈴羽「うん、これでひとまず安心かな」
岡部「だ、だが……また目を覚ましたときにどうすればいいのだ?」
岡部「こいつらはもう……元のようには戻ってくれないのか?」
鈴羽「心配しないで。そのためにあたしが来たんだから」
鈴羽「これを使って」
岡部「……これは、注射?」
鈴羽「リーディングシュタイナーを封じ込める薬が入ってる」
鈴羽「これを使えば、みんな元に戻れるよ」
岡部「そうか……!!」
プスプスプスッ
萌郁「ん……」
フェイリス「ニャッ……」
綯「む……」
岡部「これで、大丈夫だな」
岡部「ふぅ……一時はどうなることかと思った」
鈴羽「まだまだ。他にもそれを使わなくちゃならない人が残っているよ」
岡部「……そうだったな」
鈴羽「……じゃあね、岡部倫太郎。あたしはもう行くよ」
岡部「な、もう行ってしまうのか?」
鈴羽「あとはもう君一人でできるからね。しっかりたのんだよ」
岡部「しかし……まだ感謝もろくに伝えられていない……」
鈴羽「……感謝なら、あたしじゃなくて、もっと違う人に言ってあげなよ」
鈴羽「それじゃ……!」
岡部「とりあえず……ラボに帰ってきたが……」
岡部「今日は大変な一日だったな……」
まゆり「あ、オカリン……」
岡部「まゆり……」
まゆり「オカリン、まゆしぃね、なんかおかしいの」
まゆり「まゆしぃが何度も何度も痛い目にあってね」
まゆり「そのたびにオカリンが悲しい顔するの」
まゆり「そんな悲しい夢……夢なのかなぁ?」
岡部「……まゆり、手を出せ」
まゆり「……はい?あ、」プス
岡部「夢だよ。まゆり」
ダル「あ、オカリン……」
ダル「オカリン、僕、なんかおかしいんだお」
ダル「オカリンはるか氏を孕ませた挙句、」
ダル「フェイリスたんのハートを射止め、」
ダル「まゆ氏と結局恋人関係に落ち着き、」
ダル「牧瀬氏と毎日いちゃこらちゅっちゅしている……そんな夢……夢かなぁ?ていうか夢でも爆発しろ」
岡部「うるさいわ!」
ダル「あぅ……」プス
岡部「まったく……」
岡部「さぁて、最後は助手か……」
岡部「あいつは警戒心が強いからな……いきなり刺してしまおう」
岡部「おい……クリスティーナ」
紅莉栖「……はい?」
岡部「よっ!……あれ?」スカッ
紅莉栖「その空の注射器でなにをするつもり?」
岡部「え……?あ、ああぁぁ!?薬がもうない!?」
岡部「そんな……!?鈴羽、なぜ紅莉栖の分まで用意しておかないんだ!?」
紅莉栖「……私は、記憶を消す必要はないからじゃないかしら?」
岡部「……紅莉栖?」
紅莉栖「私はね、岡部。思い出したことを、忘れたくないよ」
紅莉栖「岡部が、私のために悩んでくれたこと、苦しんでくれたこと……」
紅莉栖「本当は、今でも悩んでるんでしょ?本当にこれでよかったのかって」
岡部「俺は……」
紅莉栖「岡部が悩んでいるなら、私も一緒に悩みたい。岡部が苦しんでいるのなら、私も一緒に苦しむよ」
紅莉栖「ねぇ、……してよ。あの時みたいに……」
岡部「……聞こえないな」
紅莉栖「バカ……覚えてるでしょ!」
岡部「……当たり前だ」
岡部「俺は絶対に、忘れたりしない」
そうやって、俺の忘れられない長い一日は終わった
リーディングシュタイナーは誰にでも備わっている。だからこの事件は遅かれ早かれ起きることだったのだろう
鈴羽の運んできてくれた薬のおかげで、俺たちはみんな過去のつらい経験を忘れることができた
だがそれで本当にいいのだろうか? 他の世界線をなかったことにしてはいけない。それだけは俺がしてはいけないことだろう
だから、俺だけは、この記憶をいつまでも持ち続けよう
『私もね、忘れたくないよ』
こんな俺を好きでいてくれる、物好きな研究者と、俺だけは
……それが、シュタインズゲートの選択なのだろう
終わり
さすがに悪ふざけが過ぎたのでせめて最後だけちょっといい話っぽくしました
最後まで読んでくれてありがとう!おやすみ!
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