女「万引きは犯罪なんですよ!!」
ある街、昼下がり。
一人の汚い身なりをした少女が、道に蹲っている。
若くして、両親を亡くし親戚中たらい回し。
ちょっとキレたら、捨てられてしまってホームレス。
少女「……今日のご飯、どうしよう」
お金を集める術はない。
せいぜい自販機の下を覗くぐらい。
だから、食事は残飯だけど、どうも最近感づかれたらしく、その残飯すら見つからない。
チャラ男「あれ~? あそこの子かわいくなーい?」
チャラ男2「ホントだ、てかあれじゃね? この辺にいるっていうホームレス少女!」
チャラ男「マジで!! じゃあちょっと飯でもあげればほいほい付いてきそうじゃね?」
チャラ男2「いやいや、あれは金で釣れるタイプっしょ。ちょっと引っかけようぜ」
チャラ男「いいねー」
少女 男「・・・・・黙れ年増」
少女「……眠い……」
チャラ男「ねねー、お嬢ちゃん暇? てか暇っしょ!?」
少女「え、あ、え?」
チャラ男2「ほーら、びびってるじゃん! 大丈夫だよ。キミ、この辺じゃちょっと有名だしね」
少女「……私が……?」
チャラ男「そうそう、超美少女でホームレスってね!」
チャラ男2「ストレート過ぎだっての。それでちょっとさ、お金あげようと思って」
少女「……ホントに……?」
チャラ男「ホントだってー。俺ら嘘つきそうに見える?」
正直に言えば、見える。
だけど、もう疑っていけばきりがないし、何しろもう選り好み出来る身分ではないことはわかってる。
少女「……どうすれば、良いの?」
チャラ男2「見返りなんて求めないって。ただ、ちょっと眠そうだね。何処かで寝ていく?」
少女「……うん」
書き溜? ねーよんなもん。
チャラ男「よーしいこっか!!」
チャラ男2「うるさい。黙れ」
男「……? あれは……」
―路地裏―
チャラ男2「へ、まんまと付いて来やがって!」
チャラ男「世間知らずも良い所だなぁ、お嬢ちゃん。ま、金はちゃんとやるから安心しろや」
少女「え……あ……」
こうなることは、わかってた。
わかってた。人は信用出来ないなんてことは。
わかってた。見返りを求めない行為なんて不自然だって。
わかってた。わかってた。わかってたわかってたわかってた。
チャラ男「じゃー俺最初行っちゃおうかなー」
チャラ男2「良いだろう、最初に見つけたのはお前だしな」
……私、こんなでも貞操だけは守ってきたのにな……。
私が守ってきた物なんて、こんなにも脆く崩れる物なんだ……。
――――理不尽だ。
チャラ男「いきまーす!」
少女「や、やめ」
チャラ男「ん? なんだって?」
少女「や、やめてください!」
……そういえば、こうやって怒ったのって久しぶりだな……。
怒ったら、また場所を移される。また疎まれる。また虐められる。
だから、怒らないようにしてたのに……。
男「おい、こんな所にいたのか! いい加減にしろ! 何度抜け出せば気が済むんだ! いい加減犯すぞゴルァ!!」
いきなり現れて、いきなり大きな声を出すって、なんて人なんだろうと言うのが、最初の印象だった。
直感でわかる。この人は、悪い人じゃない。
チャラ男2「あれー? お兄さんだれ?」
男「コイツの雇い主だ。ちょっと前に館を抜け出したと思ったらこんな所で男どもに色目使いやがって、そんなに俺の家が嫌か? あぁ?」
男の人は、饒舌に語る。よくもまあ、そこまでぽんぽんと嘘が吐ける物だ。
少女「え……あ……ご、ごめんなさい……」
男「帰るぞ」
少女「……はい」
そういうと、男の人は私の手を握る。
その手は、大きくて、堅くて、とても温かい。
あぁ、温かい物に触れるなんて、いつぶりだろう。
とても……気持ちいい……。
男「ぁ゛ー! 怖かったぁああ! マジ怖かったぁあああ! 何で俺あんな事したんだろう、バカバカバカ!」
少女「あ、あの……えっと、ありがとう……ございます……」
男「いやいや。あのまま見ておく訳にも行かなかったしね。すっごい怖かったけど」
少女「どうして、私なんか……」
男「何となく。見かけたから助けただけ。運が良かったね」
少女「運なんて……最悪だよ」
男「そっか……」
少女「それじゃあ……私はここで。ありがとう……」
男「ちょっと待って。君、ホームレスなんでしょ? うちに来なよ」
少女「…………」
悪い人ではない、とは思う。
思うんだけど……付いて行って、大丈夫……かな。
男「――そっか、さっきあんな事があったんだもんね。信じられないか……」
付いて行く……?
↓5
せっかく面白そうだから安価だけはやめていただけないでしょうか(切実)
少女「……うん。行く……」
男「そっか、良かった。ちょっと待ってて」
そういうと、男の人は携帯電話を取りだして何処かへ連絡を始めた。
一言、二言。それだけで連絡は終わり。
男「ごめんね。もうちょっとで迎えに来ると思うから」
少女「……タクシー?」
男「いや、家から迎えが来る。こう見えても、本当に家政婦を雇ってるんだ」
少女「……へぇ……」
まあ、正直見えない。
年の頃は、20代前半から半ば。
見た目は、ちょっと肥えてる。
>>40-41
安価は俺自身が方向性を決めかねて居たからなんだぜ
基本しない と思うよ
男「君、名前は?」
少女「少女……」
男「良い名前だ。僕の名前は男。会社を経営してる、ちっちゃいけどね」
会社……か。お父さんも、経営してたっけ……。
執事A「お迎えに上がりましたよ。どうぞ、お乗りください」
少女「うわあ……」
大きな、黒い車。勿論3ナンバー。
良く分からない長いアンテナとか付いてて、なんか、ゴキブリみたい。
男「ささ、乗って」
少女「……おじゃま……します」
革張りのシートは、ちょっと堅い気もするけど、コンクリートにダンボールをしいて寝るのと比べれば、まるで天国だ。
少女「ふぁぁ……」
男「眠い?」
少女「……ちょっと……」
男「寝てても良いよ。着いたら起こしてあげるから」
少女「うん……」
あぁ……こんなに楽に寝られるのは、久しぶりだなぁ……。
――男視点――
男(……もう、僕の事なんて覚えてないか……)
男(ま、仕方ないよな。大分昔のことだし)
男(少女のお父さんが死んで、もう7年か……)
男(こんな所で、再会するとは、思ってなかったよ)
執事A「男様。先ほどν速社から連絡がありまして」
男「……またか……」
執事A「まあ、内容はどうという事はなかったのですが、嫌がらせもここまで来ると流石に」
男「……仕方ないさ。成功すれば、妬まれる。出る杭は打たれる社会だからね。あの人も、そうだったじゃないか」
執事A「そうですね……」
男「少女ちゃんは、僕が守るよ。杭を打つ人間から、僕が守る」
執事A「……あまり、お気を張らずに」
肩を、優しく揺すられる。
もう、着いたんだ……。
少女「ん……ありがとう……」
目を開けて、ビックリした。
とても、大きな家。
壁は、とても白く、私の薄汚くなった服とは対照的だった。
男「ここが、僕の家だよ」
少女「すごい、ね」
男「そんな事無いよ。実はここね、お爺さんが建てた家なんだ。もう居ないけどね」
少女「へぇ……」
それにしても、こんなに綺麗な場所に来るのはいつぶりだろう。
あの最後の家で捨てられる前だから、3ヶ月ぐらい前……?
男「玄関はこっち……何見てるの?」
少女「花を……ちょっと……」
男「花、好き?」
少女「……うん。好き。花は、裏切らないから。水をあげれば、ちゃんと花を咲かせてくれる」
だから、逆を言えば、人間は嫌い。
良いことをしても、疎まれるから。
悪いことをしても、それで良いと言われるから。
男「……そっか。とりあえず入ろう。寒いでしょ?」
少女「……うん」
玄関のドアを、男さんが開けた瞬間、大きな声が一斉に放たれた。
家政婦A・B・C「お帰りなさいませ!」
男「やめて、って何回言えばいいかなぁ……」
家政婦A「しきたりですので」
男「はあ……何度言っても聞かなくてね。驚いたかな?」
少女「別に……すごいって思ったけど」
男「だってさ。良かったね」
家政婦A・B・C「有り難き幸せ!」
少女「ふふっ」
何時に来れば書きあがってますか?
>>53
知らん! 遅筆だ、すまんね
お腹減った
家政婦B「男様、お電話で言っていた採寸は」
男「うん。この子のサイズ計ってあげて。それと、お風呂と食事も」
家政婦A・B・C「承知しました!」
男「それじゃあ、後はこの人達がやってくれるから。悪い人たちじゃないからね。僕はちょっと用事をしてくるよ」
少女「わかった……」
家政婦B「それじゃあ、ついてきてくださいねー」
言われるがままに、家政婦さんの後を付いて行く。
……広い家……。足下の絨毯はふかふかで足音も出ないし。
家政婦B「ここでーす」
少女「……はい」
ここは、脱衣場……?
家政婦B「服脱いでね-。採寸するから」
少女「なんのために……?」
家政婦B「なんのためって、そりゃあ服のサイズを合わせるためだよ」
少女「……そこまでして貰っちゃ……」
家政婦B「いいのいいの。ご主人様は物好きだから」
少女「へぇ……」
家政婦B「身長計乗ってねー」
少女「はい……」
家政婦B「えっと、153センチだね」
ちょっと、伸びてる。
嬉しいな。
家政婦B「次、バストはー……74センチ。ウエスト……53センチ。ヒップ……76センチ!」
少女「こっちは全然変ってない……」
家政婦B(Eカップ)「大丈夫、大丈夫! まだ大きくなるって!」
少女「あなたに言われても、説得力無い。ていうか、屈辱感しかない」
>>57俺もおなか減った
―風呂―
少女「うわあ……」
ここは、とにかく何もが大きい。
車もそう、家もそう、お風呂もそう。
でも大きすぎなくて、いい。
大きすぎると、ダメ。人間も。
大きすぎると、疎まれる。
家政婦B(Eカップ)「広いでしょ、ここ」
大きすぎると、嫌味になる。
少女「……うん。広い」
家政婦B「広くてゆっくり出来るのは良いんだけど、掃除が大変なのよねー……」
少女「一人で……?」
家政婦B「みんなで。ご主人様もね。自分も手伝うなんて、なんのために家政婦雇ってるんだか」
少女「……きっと共有したいんだと、思う」
家政婦B「共有……?」
少女「そう、苦労とか、努力とか。きっとあの人はそういう人。そうじゃないと、私なんて拾ってくれないはず」
家政婦B「ふーん。確かに、人の努力を知らずに給料は決められないとか言ってたなぁ」
少女「うん、そういう事。いい人、多分」
家政婦B「うん、ご主人様はいい人だよ。さて、そろそろ入らないと。寒いでしょ?」
少女「……うん」
ちょっと晩御飯食べてくるよぉおおおお
>>43
安価により展開が変わっていたのか…うむ
てか書き手はすてまで売られた少女の話書いてたか?
飯遅いお...おかん早く作ってくれ...
>>72
いやー違うよ
SSは本当久々だww
復活だ! 飯食ったしスピードアップ! ……できるといいなぁ
体に軽くお湯を掛けてから、湯船につかる。
……温かい……。
熱の力は、偉大……。
家政婦B「いやー、やっぱり生き返るわぁー……お風呂は良い……」
少女「うん、気持ちいい……いつも、水だったから」
家政婦B「……大変だったんだね……」
少女「同情、しないでいい。したら、気分悪くなる。きっと」
家政婦B「そっか。強いね、少女ちゃんは」
少女「強くない……。他の人に、迷惑掛けたくないだけ……。それと、何で私の名前……?」
家政婦B「……あれ? 私聞いてなかったっけ?」
少女「……何で、目逸らす?」
家政婦B「何でもない、何でもない。さ、体洗おー」
少女「……うん」
石鹸なんて、久しぶりに触る……。
少女「良い香り……」
家政婦B「でしょー。私が拘ってるんだから!」
少女「…………幸せ」
あれ……涙が……。
家政婦B「ど、どうしたの!?」
少女「だい、じょぶ。気にしないで……」
うん、今は閉じ込めておく。
家政婦B「……綺麗な体してるじゃない」
少女「そうでも、ない。あなたのほうが、綺麗」
家政婦B「そうでもないって……私は贅肉も多いから、さ」
少女「ふふっ」
家政婦B「あー! 笑ったぁー!!」
少女「ん……垢が……」
家政婦B「仕方ない、仕方ない。お風呂はそういう場所だしね」
少女「……前は、怒られた」
家政婦B「それはそれ、これはこれ。縛られる必要はないよ」
少女「そっか……」
家政婦B「はい、背中流してあげるよ」
少女「ありがと……」
家政婦B「後で私もして貰うからねー」
少女「うん……そういう人の方が、信用出来る」
家政婦B「なんの話?」
少女「生きていく上での、知恵」
――男視点――
男(……分かってたけど、ここまで酷いとは……)
男(身寄りのない女の子を、放り出すなんてそれでも血縁者か……!)
男(あの子は悪くない……。それ以前に、あの家族が何か悪いことをしたか……?)
男(一代で大きな会社を立ち上げ、成功させた。ただそれを妬んでいるだけじゃないか……!)
男(あそこの家系はダメだ……腐ってる。僕の会社に何をしようと、問題は無い。それだって、妬んでるだけだ……)
男(……だけど、少女ちゃんは、少女ちゃんは絶対に僕が守る……)
――少女視点――
家政婦B「おっけー。流すよー」
少女「うん。よろしく……」
家政婦B「ざばーん!」
少女「ひゃぅっ! 冷たっ……」
家政婦B「あれ……? ご、ごめん。レバーが冷たい方向いてた……」
少女「いいよ、もう。次、私が流す」
家政婦B「うん、よろしく」
少女「んしょ……」
家政婦B「上手いなぁ……」
少女「変に気を遣わなくても、いい」
家政婦B「いや、ホントに……!?」
少女「……柔らかい……」
家政婦B(Eカップ)「どこ触ってるのよー!」
少女「さっきの、お返し」
家政婦B「許してくれたんじゃなかったのー!?」
少女「いい、とは言ったけど、許すとは言ってない」
家政婦B「あんっ! ちょ、だめだって……」
少女「声が、艶かしくなってきたから、やめる」
家政婦B「あれ……S? Sなの?」
書き貯め無いから、遅くてごめんね。
少女「意識したことは、無かった。けど、こういうの好き」
家政婦B「末恐ろしい……」
少女「うん、出来た。肌、綺麗」
家政婦B「ありがと。でも、少女ちゃんの肌の方が綺麗だよ。……少女ちゃん、何歳?」
少女「え、16歳……」
家政婦B「若い――――! 若い、若い、若いー!」
少女「ゲシュタルト崩壊したから、やめて」
家政婦B「16ぅ!? 若いねー! もうそれだけで武器になるじゃない!」
少女「16歳で、処女。需要、ある?」
家政婦B「あるでしょ、あるでしょ。少女ちゃん可愛いし! 私なんて来年三十路よー! 三十路で処女よ-! 侵入する価値のない砦よー!」
少女「まあ、そう言わないで。巨乳は、垂れなければ需要ある。多分」
家政婦B「うっ、少女ちゃん優しい……」
少女「だけど、垂れたら、終わり。あとは、熟女専の人ばかり」
家政婦B「持ち上げてから落さないでー!」
少女「……楽しい」
家政婦B「……ふふっ。さて、次は髪だねー」
少女「うん……手入れしてないから……パサパサ……」
家政婦B「そうでもないよー、枝毛もないし綺麗なロングヘアーじゃない」
少女「切りようが、無いだけ。伸ばすと言うより、伸びてる」
家政婦B「そっかー。して見たい髪型とか、ある?」
少女「……疎いから、分からない」
家政婦B「そっか。気が向いたら、家政婦Cさんにやって貰いな。あの人は刃物の申し子だからさ」
少女「前髪は、うっとうしい」
家政婦B「あとで、切って貰えるように言っておくよ」
少女「……ありがとう……」
家政婦B「いいのいいの。はい、ざぱーん!」
少女「……熱い」
家政婦B「うわぁっ! ごめん!」
少女「……いいけど、許さない」
家政婦B「ごめんなさい、ごめんなさい……」
少女「次は、下……」
家政婦B「やめて! 女の子同士のお風呂でロストバージンなんて嫌!」
少女「……まあ、冗談」
家政婦Bさん、ちょっと天然なのかな……?
悪い人では、ないとおもうけど。
少女「……湯船、つかる」
家政婦B「うん、ゆっくり暖まってね。私、採寸の結果報告して、服取ってくるよ。すぐに戻るから」
少女「……分かった」
一人で、湯船に肩まで浸かる。
はぁ……温かい……。
…………。
……っ!!
リラックスしたら、おしっこしたくなった……。
出なきゃ……。
――男視点――
家政婦A「少女さんの親戚に、ご連絡は入れなくて宜しいのですか?」
男「連絡はしない。どうせした所で良い返事が聞ける訳がないし、不快になるだけだ」
家政婦A「……彼女は、捨てられたのですか?」
男「恐らく、ね。何を考えているんだか……」
家政婦A「どうするおつもりですか?」
男「…………」
――少女視点――
少女「……タオル……使っても、良いよね」
さっき、家政婦Bさんが言ってた、縛られる必要はないって……。
縛られる……必要は……。
少女親戚『まったく、あんたが居るだけで家が狭くなる!』
少女親戚『居るだけで邪魔なのに、ティッシュなんて使っていい訳無いでしょ!』
少女親戚『誰が食器使って良いって言った? あ?』
少女「あれ……ダメ…………」
振り切った、つもりだったのに、忘れてた、つもりだったのに。
こんなにも簡単に、記憶が、甦る。
嫌だ……。嫌だ……、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
少女『…………幸せ』
少女親戚『お前が幸せになんて、なっていい訳がないだろう!!』
体が、震える……。
涙が、止まらない……。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
少女「ごめんなさい……。ごめんなさい……」
家政婦B「少女ちゃんお待たせー! 服持って……どうしたの!?」
少女「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
家政婦B(……これは、心の傷……?)
少女「ごめんなさい、ごめんなさい。生き残ってごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
家政婦B「……少女ちゃん、服着て」
少女「……うん……」
家政婦B「…………大丈夫?」
少女「だい、じょうぶ……偶にあるから……」
家政婦B「そっか……」
少女「でも、ちょっと、寝たい……」
家政婦B「うん、寝室に連れて行ってあげる。寝て良いよ」
少女「……ありがとう……」
家政婦B「起きたら、そこの電話掛けてね」
少女「うん……ありがとう…………ごめんなさい……」
家政婦B「謝らなくて良いよ。縛られる必要はないんだから……」
少女「…………うん」
頭では、分かってる。
さっきまで、呪縛を、振りほどいたつもりだった。
でも、ダメ。
頭で分かってても、心が、ついてきてくれない……。
……寝よう。
寝たら、楽。何も、考えなくて良いから。
でも、目は覚める。
……死んだら、何も考えなくて良いんだよね……。
お父さん、お母さん……。
会いたいよ……。
――男視点――
男「……そうか」
家政婦B「かなり、傷は深いようです。見たところ、起因と成るような物は見当たりませんでしたし」
男「体に傷は……?」
家政婦B「見たところは……」
男「……体に傷が無かっただけ良かったというか、なんというか……その分心にダメージが行ってるような気もするな……」
家政婦B「そうですね……」
男「少女は、何か言っていなかったか?」
家政婦B「ごめんなさい、と何度も。……そういえば一度、生き残ってごめんなさいって」
男「……そうか、抜け出せていなかったんだな……」
家政婦B「どういう事です?」
男「少女ちゃんの両親は、交通事故で亡くなったんだよ」
……これは、語っても良いのだろうか。
知ってしまえば、同情してしまうだろう。
同情が、悪いこととは言わない。
でも、彼女はそれを望むだろうか……。
↓3
男「これから話すことは、大事なことだ。良く聞いて欲しい」
家政婦A・B・C「はい」
男「知ってると思うけど、少女の父はν速社の元社長だ。僕は、その元で働いていた。とても温厚な人だったよ」
家政婦B「ええ、良く聞きました」
男「でもね、彼は才能がありすぎた。そのせいで、親族中から疎まれていたらしい」
男「彼は、彼なりに頑張ってたみたいだけど、全部裏目に出てね。あの優しい物言いの裏で、私達を馬鹿にしてるんだ、とかさんざんだったらしい」
男「でも、彼はそれでも頑張った。決して挫けなかった。……でも、神は理不尽だった」
男「今から7年前。久々の休みで、家族サービス。そんな日に限って、真っ昼間から飲酒運転のトラックが走ってたんだ」
男「高速道路の中央分離帯を横切って正面衝突。普通あり得ないだろう? 不条理にも程がある」
男「でも、そこで一人生き残ったんだよ、彼女は」
男「僕は、自慢じゃないが、彼に好かれていてね。よく少女ちゃんとも遊んでた。だから、僕は毎日のように励ましに行った」
男「でも、会わせて貰えないんだ。親が死んだんだぞ。社長が死んでまでご機嫌取りかい? そんな言葉を、毎回投げかけられた」
あれ、Cさんマジ空気
男「そして、ある日急に新社長が決まった。彼の親戚らしい。この人も例に漏れず、また強烈でね」
男「やれ、仕事が遅いだの、業績はたったこれだけかだの、とにかくなんにでも文句を付けてきたんだ」
男「だから、僕はあの会社を辞めて、今のν速+社を立ち上げた。新社長を反面教師にして、精一杯頑張ったよ」
男「……今思えば、それがダメだったのかも知れない。自分の事で精一杯で、少女ちゃんのことは二の次三の次だった」
男「ようやく、仕事が軌道に乗った時、つまり1年ほど前、ようやく少女ちゃんのことを前の同僚から聞くことが出来た」
男「何でも、親戚にたらい回しにしてると、新社長が言っていたらしい。とんでもないゲスだ。でもそれだけじゃない」
男「なんでも、あのガキには才能が全くない、邪魔なだけだ。とまで言っていたらしい。流石に恐怖を感じたよ。親族にそこまで言えるのか、とね」
男「だから、僕は少女ちゃんを捜すことにした。ここからは君たちも知ってるだろう」
男「今日見つけて、連れてきた。保護、と言った方が良いかな。本当は警察に届けなきゃいけないんだろうけど、それはダメだ」
男「僕が引き取る、何て言ったら取り返そうとするに決まってる……だから、僕は……」
僕が言葉を詰まらせていると、不意に電話の着信音が鳴り響いた。
起きたか、少女ちゃん。
家政婦B「……もしもし? うん、うん。分かった。すぐ行くね」
男「……多分、あの子に隠し事は無駄だ。余計に傷つけかねないしね。だから、何か聞かれたら、正直に答えてあげて」
家政婦B「分かりました……」
男「二人も、持ち場に戻って。きっと、食事食べるよ」
家政婦A・C「分かりました」
男「…………僕は……」
――少女視点――
……ちょっと寝たら、大分落ち着いた。
睡眠は、私にとってはリセットボタンを押すのと、同じような意味。
気持ちを、リセット。
……でも、これは逃げてる、だけだよね。
いいのかな、これで。
家政婦B「……少女ちゃん? 入って良い……?」
少女「うん……入って」
家政婦B「落ち着いた?」
少女「うん……」
家政婦B「良かった……ビックリしたよ……?」
少女「……ごめんなさい」
家政婦B「謝らなくて良いよ。謝るのは、自分が悪いことをしたときだけ」
少女「前は、怒られたよ、人に迷惑を掛けるなんて、何様だって」
人に迷惑を掛けるのは、悪い事。
家政婦B「私達は、そんな事言わないよ。そんな事言う人の方がおかしいの。心配はしたけど、迷惑にはなってないよ」
少女「……何か、あった?」
家政婦B「……どうして?」
少女「言葉を……選んでるみたい。気を遣ってる……?」
家政婦B「……ご主人様からね、話を聞いたの」
少女「男、さん?」
それが、どうしたんだろう。
私とは、なんの関係も、無いはず……。
家政婦B「……お父さんの仕事、覚えてる?」
少女「……うん……社長、やってた」
家政婦B「じゃあ、会社の人が、家に来たこととか、覚えてない……?」
少女「…………もしかして、男さんって、あの男さん……?」
家政婦B「思い出した……?」
少女「うん……何となく……でも、良く覚えてない……」
家政婦B「あなたを、ずっと捜してたんだよ……。幸せにするために……」
家政婦Bさんが大粒の涙をぽろぽろと流す。
その涙は、薄い色のカーペットに、二つの染みを作る。
少女「……そう……」
家政婦B「…………ご飯、食べる?」
少女「……うん……」
長い廊下を歩きながら、ない頭を絞って、ゆっくり考える。
……どうして、私のためにそこまでしてくれるの……?
親戚でさえ、あんなに疎まれたのに。
どうして、赤の他人がここまでしてくれるの?
どうして、そんなに優しいの?
どうして、どうして……。
どうして、欲しかった暮らしを、こんなにも簡単にくれるの……?
…………でも……私だけ、生きていて良いのかな……。
お父さんと、お母さんは死んじゃったのに、私だけ生き残って……その上、幸せになんて、なっていいのかな……。
分からない……分からないよ……。
男「……それは、難しい問題だ」
全員で食卓を囲みながら、そのことを男さんに話すと、そんな言葉が返ってきた。
男「……考え方を変えてみたらどうだろう。死んでしまった二人の分まで生きる、とかさ」
少女「それは……ダメ。私は、私で、他の人じゃないから……それに」
男「それに?」
少女「私なんかが二人の変わりじゃ、申し訳ないよ……」
男「どうしてさ?」
少女「私は……出来た人間じゃないから……」
男「そんな事はないよ」
少女「あるよ! じゃあなんで今までさんざん、虐げられて来たの!? 人間は平等!? 違うでしょ!? どんな環境でも、絶対に覆せない上下関係はあるでしょ!? 私は……、私は、常にその最下位なんだよ……」
……今日は、二回も怒ってしまった。
あぁ……ここも、もう出なきゃ……。
居心地、良かったのになあ……また、私のせいだ……。
執事A「……お嬢さん。老いぼれの話を聞いて貰ってもよろしいですかな?」
少女「…………はい」
執事A「わたくしは、長い間タクシードライバーをしていました。私は同僚達の中では売り上げは最下位、いつも馬鹿にされておりました」
執事A「でも、だからこそ、燃えたのです。客は少なくとも、必ずや、満足させてみると」
執事A「そうして頑張っておったときの事です。わたくしのタクシーに、久しぶりのお客が乗ってきてくださったのです」
執事A「それが、男様でございました。わたくしはもう必死で、あれやこれやとサービスを致しました。飲み物を出したり、気の利いた話を続けたり」
執事A「そこで、男様が言いました。あなたを、うちで雇いたいと。最初は私も冗談だと思い、是非そうしてくださいと言った所、本当に雇ってくださったのです」
執事A「そして今、ここで素晴らしい毎日を過ごさせていただいております。これは、わたくしの話なので参考にはならないかも知れません、ですが、心に置いておいてください」
執事A「人は、環境において変われる、と。あなたは、たまたまそうでは無かった……」
家政婦A「と、言うより元より環境は変っていないでしょう。住む場所が変っているだけで、回りは全員が敵だった。それはもう、あなたの力だけではどうすることも出来ません」
家政婦A「それと、上下関係はどこにでもありますよ。この家にだって、キチッとした上下関係があります。でもそれは、行動を縛ったりするための物ではない。むしろ秩序正しく動くための物です」
家政婦C「ええ、少女さんが言っているそれは、上下関係などではない。上下関係という言葉を借りた、ただのパワーハラスメントです」
家政婦B「……少女ちゃん。ここに、住まない?」
少女「……え?」
怒って、無いの?
あんなに馬鹿な事言って、全部完全に論破されてるのに、それでもまだ、私のこと嫌いにならないの……?
なんで……?
男「少女ちゃん、これが本来の人間だよ」
男「助け合って、協力して生きていく。僕たちは、形態は違えど、『家族』というコミュニティなんだよ」
男「家族に、ならないか……?」
少女「…………」
――男視点――
迷っているのかな……。
……でも、これじゃあダメだ。
ただのコミュニティとしての家族じゃ、法的には意味がない……。
……そうだ、僕は少女ちゃんを守るって決めたじゃないか。
だったら、出来ることは全てやらなきゃ、嘘だ。
だから、僕は――――法を犯す。
僕は、少女ちゃんを法で守るために……法を犯す。
なんと矛盾した考えだ……。
でも、今すぐに救うにはこれしかない……。
男「少女ちゃん……養子に、ならないか?」
――少女視点――
男「少女ちゃん……養子に、ならないか?」
少女「……え……?」
あまりに突然の事に、頭が、ついていかない。
少女「で、でも養子って……今日会ったばっかりだし……その、一応、私今の時点で籍は養子だし……」
男「……それを、無理矢理ちょろまかすんだ。書類の上でね。全て偽装する」
少女「そんな……」
男「ごちそうさま、美味しかったよ」
家政婦A/C「お粗末様です」
少女「……そんな、私のために、一生を棒に振るようなことしちゃダメ!」
男「大丈夫だ……僕は、しくじらないよ」
――男視点――
さて、 とりあえず現在の少女ちゃんの状況について確認しよう。
少女ちゃんは、特別養子だ。
特別養子縁組における離縁は、実父母が居ないと出来ない……。ここがまず問題。
養子にするためには、離縁して貰わないとダメだから、ここで確実に引っかかる。
これはいよいよ、一大事だ……。
せめて、法の穴でも付ければ、と思ったんだが、ここは流石に法治国家、中々見つからない。
ダメだ……。
あれだけ格好つけても、やっぱり法を犯すのは、怖い。
書類偽装なんて、罪重いんだろうな……。
いやいや、やる前からネガティブになってどうする。
やると決めたんだから、僕はやる。
明日だ。明日全ての工程を済ませる。
ばれるなよ……。
――少女視点――
馬鹿、みたい。
私を、愛してくれているのは、分かった。
だけど、そこまでするものなの……?
……分からない。
これが本来の人間……?
私に言わせれば、とっくにそんな物逸脱してる。
私に、そんな価値なんて……。
家政婦B「今何考えてるか当ててあげよっか?」
少女「え?」
家政婦B「……私には、そんな価値はない。あの人は馬鹿だ。こんな感じでしょ?」
少女「え、うん……よく、わかったね」
家政婦B「私が少女ちゃんの立場だったらそう思うもん……。でも大丈夫。あの人なら、きっと……」
少女「……」
少女「きっと、か」
少女「きっと、きっと。今までずっとそう考えて生きてきた。きっと、お父さんお母さんは死んでない、きっと、いつか迎えに来てくれる」
少女「きっと、この人達も優しくなる。きっと、次の人たちは優しい。きっと、きっと」
家政婦B「…………」
少女「でも、ずっと裏切られてきた。でも、そのきっとを支えに生きてきたから、私」
少女「きっと、大丈夫だよね?」
笑って、家政婦Bさんに確認する。
家政婦B「ふふっ。アハハハ!」
少女「……なに?」
家政婦B「少女ちゃん笑うの下手すぎー!」
……確かに、そうかも。
笑う必要なんて、なかったから。
でも、これからは……きっと。
少女「……ん……」
地面が、柔らかい……?
いや、これ地面じゃない……ベッドだ……。
ベッドで寝るなんて、久しぶり……。
というか、ここで経験した殆どが……久しぶり……。
家政婦B「少女ちゃん起きたー?」
少女「うん……」
家政婦B「今日、全部やってくるってさ、ご主人様」
少女「一日で……?」
家政婦B「うん。ホント無茶するよね」
少女「そんな事しなくても、きっとあの人達は、こない」
少女「私なんて、いらないから」
家政婦B「きっと来るわよ、少女ちゃんをだしにして金をふんだくるなんていかにもやりそうじゃない」
あ、確かに、それやりそう。
少女「大丈夫、だよね」
家政婦B「うん、きっと大丈夫……」
――男視点――
机の引き出しを、そっと開ける。
そこには、二枚の紙が厳重に仕舞われていた。
それは、生活苦を申し立てた人から買い取った戸籍情報。
大人二人に、子供一人。
これがあれば、大丈夫……。
きっと、ばれない。
――――震える手で、必要事項を埋めていく。
筆跡を使い分け、家政婦A・B・Cに指紋を付けて貰う。
念には念を入れなければ……。
これに、少女の運命が掛かってる……。
3枚だた 痛恨のミス
結局、書き終えるまでに3時間も掛かってしまった。
震える手が未だに止まらない。
これが、受理されてくれれば……。
執事A「役場まで、お送りいたしましょうか?」
男「執事A……良いタイミングだ」
いい、家族だ。
男「……執事A、僕は、最悪捕まるかも知れない」
執事A「ええ。そうですね」
男「その時は……僕の代わりに少女を助けてくれないか……?」
執事A「もちろん。こんな老いぼれですが、彼女は家族ですよ……さしずめ、おじいちゃんと言った所でしょうか」
男「おじいちゃんになつく孫は多いからね……きっとなついてくれるよ」
執事A「そうだといいですなぁ…………着きましたぞ」
男「行ってくるよ……」
執事A「自然に、ですよ。スマイルを忘れずに」
男「役場でスマイル振りまく方が不自然だと思うけどなぁ……」
役場男「…………はい、問題ないですね。受理します」
男「……ありがとうございます」
通った……! よし! YES! Yeah! GJ!
男「これで、ようやく……」
感情が昂ぶり、双眸から涙が溢れ出る。
……ダメだ。ダメだ。男は泣いたら……。
執事A「お乗りください。早く報告したいでしょう……?」
男「あぁ……頼むよ……」
冷静に、冷静にだ……。
執事A「目が、赤いですぞ」
男「なに、気付かれやしないさ……」
執事A「良かったですな……」
男「あぁ、本当に……」
これで、少女ちゃんを守ってやることが出来る……。
これで……ようやく幸せにしてあげられる……。
執事A「着きましたぞ……ご報告をしてあげてください」
男「うん……ありがとう」
家の扉を、勢いよく開く。それこそ、大きな音が鳴るぐらいに。
男「帰ったぞ!! 成功だ! 受理された!」
少女「これで……ホントに……」
男「あぁ……そうだ……親子、だ」
少女「ありがとう……」
家政婦A・B・C「おめでとうございます!!」
男「ありがとう……」
少女「うん……ありがとう……」
男「少女ちゃん、いや、少女これからよろしく」
少女「こちらこそ……私、ずっとここにいて良いんだよね……? 幸せになっても……良いんだよね!?」
男「あぁ、それが――家族だ」
~Fin~
最後まで付き合ってくれた方お疲れさまでした。
遅筆だからイライラしたでしょうwwwwそうでしょうwwww
プロットも無しに書き始めたもんだからwww最後の方とかこれは酷いって感じにwwwwww
……後日談……いる……?
よろしいならば、しばし待て、結構待て、かなり待て。
あれから2年……。
少女は、随分と明るくなった。
しゃべり方も、随分と流暢になり、学校でも友達は多いようだ。
環境が、人を変える。それは真理だと思う。
……しかし、この頃どうも少女から変な目でみられてる気が……。
今日、帰ってきたら聞いてみよう……。
そんな事を考えながら、家でうとうとしていると、不意にインターフォンの音が鳴った。
そういえば、今僕しか家にいないのか……。
めんどうだが、玄関まで行くしかないな……。
男「はーい」
軽く声を出しながら、玄関のドアを開け放つと、そこには強面の男が二人、立っていた。
男「どちら様で……?」
警官A「警察です。男……さんですね?」
警官B「すこし、お話を聞きたいのですが……」
……イヤな予感がする。
僕が警察にお世話になるなんて、心当たりは一つしかない。
戸籍売買、書類偽装、つまり、少女絡みのこと。
警官A「宜しいですか? 男さん」
男「え、えぇ……どうぞ」
警官A「……何故来たか、分かります?」
男「……戸籍、ですか?」
警官B「察しが良い。こりゃ楽ですね」
警官A「少し黙ってろ。まあ、ぶっちゃけてしまえばそうなんですけどね」
男「……どこから……?」
おや
警官A「まあ、警察のネットワークは侮れませんよ。それで、あなたの養子……つまり少女さんの本当の養親から通報がありましてねぇ」
警官A「まあ、早い話がうちに帰して欲しいってわけですわ……あちらは、裁判も辞さない、といっていますがどうします?」
男「……ダメだ。帰さない。あの子は帰さない。俺の娘だ」
警官A「と、言ってもねぇ……」
男「……僕の罪は、どのぐらいですか? 闘えますか……?」
警官A「……戸籍売買と書類偽装、それと、略取となりますかねえ」
警官B「闘えないことはないですが、厳しいですよ」
男「……なら、闘います。僕は、少女を守ると……約束したんだ……」
警官A「……そうですか。分かりました。弁護士を用意しましょう、話はそれからだ」
男「分かりました……」
今になって、バレるなんて運がない。
少女『運なんて……最悪だよ』
そんな言葉が、今になって甦る。
……でも、これは確かに。
――最悪だ。
少女「ただいまー、暑いぃー……」
男「お帰り……」
少女「どうしたの? 顔色悪いけど」
男「……なんでもない」
少女「絶対何かあったでしょ……言ってみて」
男「……やっぱりお前に隠し事なんて無理かー!」
少女「人を疑うことには慣れてますから」
男「……でも、今は言えない。『家族』が全員揃ってから、な」
少女「なにそれ……」
夕方になると、みんなバラバラの時間にだが、家へと帰ってきた。
さて、なんと切り出した物か……。
少女「さてと、『家族』全員揃ったよ。話って何?」
おっと、少女から切り出してくれたか……。これは有り難い……。
男「えーっと……今日、警察が来た」
全員「……えっ?」
男「戸籍をちょろまかしたのがばれたらしい。どこから漏れたのかは分からないけどな。それで……なんというか、本当の少女の養親が、娘を帰せと言っているらしい」
少女「……そんな……」
――少女視点――
また、だ。
また、私のせいだ。
しかも、今回、被害を被ったのは私じゃない……。
男さん……だ……。
人を、傷物にした……。
……やっぱり、私はダメだ……。
戸籍弄るのは刑法の罪だから一発タイーホだよ
相手方が裁判も辞さないとかいうのは関係ない、それは民法の話
少女「……帰る……」
男「……え?」
少女「私、家に帰るよ……! そっちの方が良いでしょ!? ねえ!?」
男「……僕は、闘うよ。裁判できっと勝ってみせる」
少女「無理だって!! だって、私を養子にするために色々無茶したんでしょう!? 罪が重くなるよ! ダメだよ、そんな事!!」
ダメ……自分が傷つくのは、まだ良い。
でも、男さんを……私の大切な…大切な……。
一番好きな人を傷つけるなんて出来ないよ……!!
男「……君を、守るって決めたときから、こうなる覚悟はしてたよ」
男「だって、無理矢理だもん。法を犯して、法で守って貰う筈が、法によって破れた……当たり前だよね」
男「元から無理があった。自分から裏切った物に、守って貰おうとしてたんだもの、馬鹿だよね本当に」
男「でも、君だけは渡さない……大丈夫。あの家には帰さない」
>>205
お恥ずかしい(´・ω・`)
でもここ目本だから! 法律違うから! って言い訳してみる。醜いね!
少女「……今日は、もう寝る」
男「……ごめんな」
少女「…………」
自分から裏切った物に、守って貰おうとしてた……か……。
確かに、ちょっと考えれば分かることだった……。
無理にでも、止めれば良かったんだ……。
だってあの人達は、一度も私を捜さなかった。
何もしなければ、ばれなかったんだ……。
……裏目、にでた……ね。
男
…………良いことをした人が疎まれて――。
養親
…………悪いことをした人がそれで良いと言われる――。
――確かに、男さんは悪いことをした。
――養親は……何もしていない、文字通り。追い出されたけど、帰らなかったのは私の勝手だし……。
大丈夫なのかな……これ……。
眠くて何書いてるか分からんくなって来たwwwwww
支離滅裂になっても大目に見てくだせぇ
――男視点――
さて、大見得切った物のどうするか……。
とりあえず、弁護士を立てないと……。
家政婦A「男様、あまり気を張り詰めないようにしてください。コーヒーです」
男「ありがとう……まあいつこうなってもおかしくないとは思ってたから、一応準備はしてたんだけど……」
家政婦A「中々思うようにいきませんか?」
男「そうじゃないんだけどね、やっぱり緊張するよ。裁判なんてドラマでしか見たこと無いし」
家政婦A「そうですね……私も、楽しみですよ。相手の悔しそうな顔が、ね」
男「ハハハッ、そうだねそりゃ楽しみだ」
――少女視点――
この状況で、私ができる事って何だろうと考えて早1時間。
何も思いつかない自分が悔しい……。
家政婦B「起きてる?入って良い?」
少女「ん、うん、開いてるよ」
ガチャリと、ドアを開けて家政婦Bが部屋へ入ってくる。
……あれ。
少女「あのさ、家政婦Bさ」
家政婦B「どうしたの?」
少女「……垂れた?」
家政婦B「うるさーい! 言うな!!」
少女「アハハ、冗談冗談……半分本気だけど」
家政婦B「はぁ……そこまで言えるんなら大したもんね。でも、起きてたって事は何か考えてたんでしょう?」
少女「うん、まあね……何も思いつかなかったけど……」
家政婦B「そっか。でも、さ。きっと証人として呼ばれるんじゃないかな?」
少女「証人?」
家政婦B「そ。相手側の主張がどうだとか、こっち側の主張がどうだとか言う奴、それを頑張れば良いんじゃないかな?」
少女「……なるほど」
家政婦B「きっと弁護士さんと打ち合わせとかあるだろうけどねー。頑張ってね」
少女「うん……ありがとう……」
家政婦B「あぁ、それと」
少女「?」
家政婦B「私、彼氏出来たよ!」
少女「……おめでとう」
家政婦B「ありがとー!!」
……今言わないといけない話題だったのかな、それ。
わからないなら無理に話に組み込まなくても良かったと思うの
>戸籍やら養子云々
しかし、彼氏かー……。
考えたこともなかったなー……。
ていうか、私男さんの事……好きだし。
あれ……? これって、確実に戸籍は剥奪されるよね……?
だったら、養女からただの赤の他人になって……。
チャンス? チャンスなの?
問題は、男さんに彼女が居ないかってこと何だけど……あの人女っ気無いし大丈夫だよね!
少女「よーし! 養女頑張っちゃうぞー!!」
うん、頑張る。
それからの日々は、早かった。
毎日のように入念に打ち合わせ。
何度も、何度も確認をして、もう完璧なレベルまで昇華させ……見事に本番でも披露して見せた。
結局、情状酌量の余地が認められて、男さんは執行猶予付き判決を受けた。
弁護士さんに言わせると、これは奇跡と言って良いらしい。
まあ、そんな事はどうでも良くて……。
>>220
そうだねーww我ながら馬鹿だと思うはwww
男「ふー、終ったかー……」
家政婦A「あの顔、最高でしたね……こう、ぐぬぬ! って感じの!」
男「えー? そんなの見てる暇なかったなぁ。ずっと緊張しちゃって……」
家政婦B「ガッチガチだったもんねー……」
家政婦C「良くあれでこんな結果に……あれ? 少女さん?」
少女「お、男さん、ちょっと大事な話が……」
男「え? 僕?」
少女「うん……場所を変えて……まあいいか、みんな『家族』だし」
男「え? 何々?」
少女「……今回の事でさ、私達、赤の他人に戻ったじゃない……?」
男「うん……そうだね、ごめん」
少女「そうじゃなくて、さ。今度は……私を子供じゃなくて……お、お嫁さんにして見ない!?」
全員「大胆……」
こっちのほうが私的には大事だったりする。
男「……本気で言ってる?」
少女「勿論……」
あー。絶対今私耳まで真っ赤。ゆでだこ状態。
男「……でも、僕おじさんだよ?」
少女「いいの! 年齢なんて関係無いよ……私のために、一所懸命になってくれた、男さんが好きなの」
男「…………そう、か」
少女「い、良いの!?」
男「うん……よろしくね」
少女「や、やったぁあぁあ――――」
こうして、私達は夫婦となった。
親子になったり、夫婦になったり、中々に楽しい人生だよね……お父さん、お母さん、そっちに行くのは、まだ先になりそうです……。
この先は、また別のお話――――。
終わり
いやぁ……最後まで見てくれた方、こんな夜中までお疲れさまでした。
学無いのに法律とか扱っちゃってホント馬鹿かと。
自分で自分を殴りたい。てか殴った。
それじゃあ、私は寝ます。ニートは気軽でいいねっ! 仕事無いし!
おやすみなさい!
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