仗助「見滝原市ィ?その町がどーかしたんスか?」2 (721)

前スレ仗助「見滝原市ィ?その町がどーかしたんスか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362308155/)の続きです。

立てるだけ立てましたが、更新は明日の夜になります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365085012

スイませェん……今日は更新できそうにないです。
スイませェん……。

>>25
3部じゃなくて?

>>27
4部に昔、仗助がDIO復活の影響でスタンドが発現して死にかけたシーンがある

露伴「そら、これで元通りだぜ」

キリカ「…………」

織莉子「キ……キリカ。もう、大丈夫?本当に……」

キリカ「織莉子ぉーーーーーッ!!」

織莉子「きゃっ!」

キリカ「うわあーーん!織莉子、織莉子!さっきのは違うんだよ!ほんとだよ!?
    ホラホラ!また前みたいにこうやって抱きつける!くっ付ける!もう離れない!」

織莉子「キリカ……」

露伴「ム!なかなか珍しい光景だな……レズビアンを描く時の参考になりそうだ。
   もう少しそのまま密着しててくれ!今スケッチブックを持ってくるから」

キリカ「言われなくたって離れるもんか!織莉子、さっきは酷いこと言ってごめんよ!
    私は織莉子の全部が好きだ!織莉子のことを近くで見ていたいし声も聞きたい!
    だから嫌いにならないで!さっきのは、さっきのは……!」

織莉子「ええ……わかってるわ、キリカ。嫌いになんてなるわけないわ。
     貴女がこうして元通りになってくれて、とても嬉しいもの……」

キリカ「う……うわぁ〜〜ん!織莉子ぉ〜〜〜!」

億泰「(こいつら……マジにできてんのかなぁ……)」

仗助「(ま、まあ恋愛は人それぞれだしなァ〜〜……)」

康一「(でもなんていうか……み、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうよ〜〜)」

マミ「すごい……まさかこんな『能力』があるなんて」

康一「!そ、そう!すごいよね!ほんと、露伴先生!」

杏子「こんな変なヤツがこの『能力』持ってて、よくこの街は平和でいられるよな……」

ゆま「わるいことに使っちゃったりはしないのかなあ?」

康一「はは……まあ、ウン……」

ほむら「…………」

今のが、岸辺露伴の『ヘブンズ・ドアー』……。
人格はともかくとして、この『能力』は本物だ。
彼なら確かに……人一人に契約させないことくらい、造作もない。
まどかを連れてきて、『契約できない』と、そう書き込んでもらえば、それだけで……!

露伴「……いいぞ。なかなか良い画をスケッチに残せたな。
   さて、僕の『能力』はこれで分かったと思うけど……これで君たちの用事はおしまいかい?」

ほむら「いえ……本当の用事は、これから。あなたに1つ、お願いがあるの」

露伴「おいおい〜〜言ったよなァ?さっき。『年上には敬意を払え』ってさ〜〜。
   『お願いがある』ってんなら、なおさらそうだろう?僕は何か間違ってるか?ンン?」

ほむら「……ごめんなさい。あなたに、お願いがあります。聞いてもらえますか?」

露伴「内容によるね。とりあえず聞いてやるから言ってみな」

ほむら「あなたの『能力』で、書き込んでもらいたい子が居るんです」

露伴「フム……そのくらいなら別に良いか。珍しいモノも見ることができたしね。
   それで?誰になんて書き込めば良いんだ?」

ほむら「いえ、その子はここには居ません。今から連れて来るので……」

露伴「今から?悪いけど、それは無理だな」

ほむら「……え?」

露伴「この荷物が見えないのかい?それに、さっき言っただろう?
   僕はこれから出掛けるところなんだよ。ちょいと仕事をしにね」

ほむら「それじゃあ……帰りはいつになるんですか?」

露伴「そうだな、早くても2週間後といったところかな」

ほむら「なっ……!?」

織莉子「……今、『2週間後』と……?」

ほむら「そんな、どうして……!」

露伴「マンガの『取材』だよ。前々から決めていたことでね。
   何か焦っているようだけど、変更はできないよ。残念ながらね」

ほむら「そ、そんなことで……!」

露伴「……『そんなこと』?」

ほむら「なんとか変更してください……!私の用事は、マンガなんかよりもっと……」

露伴「この岸辺露伴のマンガを侮辱するのかァーーーーッ!!」

露半先生に『漫画なんか』とか不味い…

露伴「マンガを読まないのはまだ良い。個人の勝手だ。だが!今の発言は許せんッ!
   僕のマンガに対する想いを侮辱したのと同じだからだッ!岸辺露伴の人生の侮辱だ!
   今の発言でこの岸辺露伴が『確かにマンガなんかより君の言うことを聞く方が大事だ』
   なんて考えると思ったのか!?馬鹿にするんじゃあないぞッ!」

ほむら「私は、そんなつもりじゃ……!」

露伴「フン!どちらにしろもうすぐ時間だ。出発させてもらうぜ。
   どうしてもと言うのなら2週間後に菓子折りでも持ってまたここに来るんだなッ!
   付いて来るんじゃあないぞ。もし付いて来たら『二度と頼み事ができない』とでも書き込んでやる!」

ほむら「っ……」

億泰「オ、オイ!どーすんだよォ〜〜。露伴先生、行っちまうぞ!」

康一「うわあ〜〜!な、なんてことだ!露伴先生がヘソを曲げてしまった!
   ああなったらもう、聞く耳を持ってくれないよ〜〜!」

仗助「聞く耳持たねーんならよォーー!無理矢理にでも引き止めるしかねーだろ!
   多少ブッちめてでもよォ!世界の運命がかかってんだからよォ〜〜ッ!」

康一「あッ!?ちょ、ちょっと仗助くん!?」

仗助「理由はあとで説明すりゃあ良いだろ!おい待てェ!岸辺露伴ンーーーッ!」

露伴「近付くんじゃあない!『ヘブンズ・ドアー』ッ!」

仗助「ウッ!?な、なにッ……!?」

露伴「離れていても文字を飛ばして書き込めることを忘れたのか?マヌケめ!」

仗助「ろ、『露伴に近付けねえ』……!」

露伴「帰ってきたら元に戻してやるよ。
   これで君たちも分かっただろう?分かったならもう追ってくるんじゃあないぞ!」

康一「ろ、露伴先生ッ!駄目なんです!彼女の言う通りにしないと!
   世界が終わってしまうんです!だ、だから彼女の頼み事を……!
   だ……駄目だ!い、行ってしまったッ……!」

億泰「マ、マジかよォ〜〜〜……!」

仗助「クッソーーーッ!露伴の野郎ぉ〜〜〜!」

杏子「お、おい、やばいんじゃないのか?2週間後って言ったら、
   例の『そいつ』が魔女になる頃だろ!間に合うのかよ、岸辺露伴は!」

……なんてこと……せっかく掴んだチャンスを、私の、あんな失言で……!
まずい……これで、『確実な方法』が潰れてしまった。
こうなってしまったら、美国織莉子は……!

マミ「もし、彼が間に合わなかったら……」

ゆま「ゆまたち、みんな死んじゃうの……?」

織莉子「……いえ、そうと決まったわけじゃない。まだ希望は残されてます」

ほむら「ッ……!」

ほむら「やっぱりあなた、あの子を……!」

織莉子「違うわ。その子を殺す必要は、もうない」

ほむら「え……?」

織莉子「だって、その日さえ超えてしまえば良い。その日さえ契約させなければ良い。そうでしょう?」

キリカ「?えーっとつまり……ああそうか!
   その日に誰かが『そいつ』を見張ってれば良いんだ!そういうことでしょ、織莉子!」

織莉子「その通り。賢いわね、キリカ」

ほむら「……!」

キリカ「ん?何をそんなに驚いてるの?まさかこんなことも思い付かなかったの?」

ほむら「……あなたたちの方からそんな提案が出たことを驚いているのよ」

織莉子「言ったでしょう?私達の目的は人の命を奪うことじゃない。人を救うこと。
    その日を超えればもう一生契約することがないのなら、命を奪ってまで契約を止める必要もないのだから」

キリカ「そうだよ。君さ、私達のことを殺人鬼か何かと思ってるわけ?
    殺す必要がないのにわざわざ殺すわけがないじゃないか」

マミ「……それじゃあ本当に、もう『その子』の命を奪うようなことは、しないのね?」

織莉子「ええ。むしろこれからは、暁美さんに協力するつもりで居るわ」

キリカ「織莉子がそう言うなら、私もそうするよ」

杏子「ふん……協力、ねえ。それは別に良いんだけどさ。何か言うことがあるんじゃないの?」

ゆま「?」

織莉子「……そうね。ごめんなさい。貴女みたいな幼い子を利用するなんて、酷いことをしたわ。
    それに酷いことを言ったりもして、ごめんなさい」

ゆま「えっ。いいよ、だってゆま、役立たずじゃないもん!
   織莉子がゆったことはウソだってわかったからいいよ。
   でも、もうウソついちゃだめだよ!悪いこともしちゃだめだよ!」

織莉子「ありがとう、許してくれて。ええ、もう嘘もつかないし、悪いこともしないわ」

杏子「……なんかあっさりし過ぎのような気もするが、ゆまが良いってんなら良いか」

〉〉織莉子「ええ。むしろこれからは、暁美さんに協力するつもりで居るわ」

だったら何故最初からそうしないというわけになるわけで

キリカ「あっ!そう言えばさ!東方仗助!」

仗助「ン?なんだよ?」

キリカ「キミ、織莉子に酷い暴言を吐いたよね?
    『クソッタレ』とか『ボケカス』とか!それをまだ謝ってもらってないよ!
    私を嵌めるためだったとしても、あれは許せない!」

仗助「は、はあ〜?あのよォ、それを言うんならこっちだってテメーに殺されかけたんだぜ〜〜ッ!
   マミの魔法で大体治してもらったから良かったもののよォ〜〜〜!
   髪型も崩れてエラい目に遭ったんだぜこっちはよォ〜〜〜ッ!」

キリカ「治ったんだから良いじゃないか!でも心の傷は簡単には治らないんだよ!?
    傷付いた織莉子の心は魔法でもスタンドでも治らない!大体、髪……」

織莉子「キリカッ!!」

キリカ「えっ?や、やだ、どうして怒鳴るの?怒っちゃイヤだよ!」

織莉子「怒ってるわけではないわ……。だけど、今言おうとしたことは決して言っては駄目よ。
    私のことなら大丈夫だから、心配しないで?」

キリカ「?う、うん。織莉子がそう言うなら……」

織莉子「3人とも……ごめんなさい。私達が、貴方達の命を奪おうとしたことは確か。
    あの時はあれが最善の方法だったとは言え、本当に申し訳ないことをしました」

仗助「えっ?お、おう……まあ、反省してんなら別によォ……」

億泰「傷は治ったわけだしなァ〜〜……。
   それにゆまの件も本人が許すっつってんなら、もう怒る理由もねーしよォ」

仗助(しかし、『あれが最善だった』っつー考えは変わってねーんだな……)

康一(『反省』はしてるけど『後悔』はしてないって感じだなぁ〜〜……。
   今は彼女にとっての『最善』がボクたちにとっても『最善』だから良いけど、
   やっぱりちょっと危なっかしいなぁ、この子……)

織莉子「それから……康一さん」

康一「えっ?」

織莉子「もう1つの道を指し示してくれて、感謝しています。
    貴方が『説得』してくれなければ、私達は人の命を奪う道を歩まなければなりませんでした。
    私達を別の道へと導いてくれて、ありがとうございます」

康一「あはは……そ、そー言われるとなんだか照れちゃうなぁ〜〜」

億泰「(こ、康一ってよぉ〜〜。ああいうちょいと気の強い女に縁があるみてーだよなぁ……)」

仗助(流石の億泰も殺されかけたヤツ相手じゃあ羨ましくはならねーのなァ〜〜)

キリカ「ねえキミ。ちょっと織莉子と親しくなったからって調子に乗ってもらったら困るよ。
    織莉子の友達になるのは構わない……でも織莉子の一番は私だし、私の一番も織莉子だ!
    それは分かってる?分かってるよね?大丈夫だよね?」

康一「わ、わかってるよ!誰もキミから彼女を取ったりしないからさ!」

織莉子「こら、キリカ?無意味に恩人を困らせては駄目よ」

キリカ「無意味だって!?そんなことはないよ!これは私にとっての一大事だ!」

織莉子「もう。貴女が私の一番であることは変わらないのだから、
    そんなことを心配するのが無意味だということよ」

キリカ「!織莉子ぉーー!そっか、そうだよね!ごめんね、私が馬鹿だったよ!」

康一(や、やっぱりこの子たち、2人ともちょっと危ないよぉ〜〜)

マミ「あの……盛り上がってるところ悪いのだけど、ちょっと真面目な話をしても良い?」

織莉子「ふざけているつもりはなかったのだけど……何かしら?」

マミ「『例の子』が魔女にならないよう、美国さんが『予知』で見た日に
  その子を見張るということだったけれど……見張るだけで防げるようなものなの?
  私たちはその子のことも、どんな理由で契約するのかも知らないのだけど……」

織莉子「それに関しては……彼女の方がよく知ってるのでは?」

ほむら「……そうね。そろそろ、話しておかないといけないわね。
    2週間後、『あの子』が契約する原因は……ワルプルギスの夜なの」

マミ「っ!ワルプルギスの夜って、あの……!?」

ほむら「ええ。2週間後の見滝原に、そいつが現れる」

杏子「……おいおい、マジかよ」

ゆま「?わるぷ……?夜?」

仗助「妙な名前だが……タダ事じゃあねェみてーだな」

杏子「魔法少女をちっとでも長くやってれば知らないヤツは居ないよ。超弩級の大型魔女さ」

億泰「そ、そんなヤベー奴なのかよ……」

康一「今まで見た魔女も結構大きかったけど、『大型』ってことはもっと……?」

ほむら「……大きさで言えば、100mは軽く超えるわ。200mか300mかは分からないけれど……」

億泰「さ、300mだァ〜〜〜ッ!?か、怪獣映画じゃあねーんだからよォ〜〜〜ッ!」

康一「ご、『ゴジラ』よりもっと大きいぞ!そんな魔女が実在するなんてッ……!」

ほむら「しかもあいつは、結界を必要としない。ただ一度具現しただけで何千人という人が犠牲になる。
    魔女の見えない普通の人が大災害だと誤解するほどの被害が生まれるわ」

仗助「グレート……。マジにとんでもねーバケモンだな、そいつァよぉ……」

億泰「ま、まさか……戦うんじゃあねーよなァ?そんなバケモンとよ……」

ほむら「……今まで何度も、ワルプルギスの夜のせいで……あの子は契約した」

まどか「傷付いた町を見て……人を見て。優しすぎるあの子は、いつも『守る』ために契約する。
    それが2週間後にあの子が契約する理由」

……ただ今回は、極論を言えば……その日だけまどかを連れて
どこか遠くへ逃げてしまえば、あの子のことは守れる。
その後すぐ岸辺露伴に会いに行けば、まどかは二度と契約することはない。
つまり、ワルプルギスの夜を倒す必然性は、ない。

でも……だからと言って倒さなくても良い理由にはならない。
自分の住んでいた町が崩壊して、大勢の人が死んだりすれば、あの子は悲しむ。
もしかしたら、その悲しみは一生続くかも知れない。
私は、まどかの悲しむ顔は見たくない。
だから……

ほむら「私はワルプルギスの夜と戦う。あの子に悲しい思いをさせたくないから」

億泰「ほ、ほむらおめー……!」

織莉子「だけど……貴女1人勝てないわ。私はそれを識っているもの」

ほむら「……あなたの見た光景には、他の魔法少女は居なかったの?」

織莉子「居なかったわ。少なくとも、昨日までは」

杏子「昨日までは……?」

織莉子「未来は、私が何か行動を起こすたびに少しずつ変わる。
    だから今もし私が『貴女を手伝う』ことに決めれば、
    次に視た時にはあの光景に私が加わることになるでしょうね」

ほむら「それは……手伝ってくれるということかしら」

織莉子「1人も殺めずに世界を救えるかもと知って……少し欲が出たみたい。
    今の私は、1人でも多くの命を救えるならそれに尽力すべきだと考えているわ。
    それに見滝原には、キリカの家もあるのだし」

キリカ「え、私の家?いやいやそんな、私の家なんて別に壊れちゃっても……」

織莉子「あの部屋も、短い間だけど私とキリカが過ごした大切な思い出のある場所よ。
    貴女が淹れてくれたお茶の味、今でもまだ覚えているわ」

キリカ「織莉子……そっか、うん。キミの言うとおりだ。
    あそこだって、私と織莉子の思い出の場所だ。
    そういうことなら迷う必要なんてない。私も戦うよ。2人の思い出を守るために」

織莉子「ありがとう、キリカ。……そういうわけで、暁美さん。
    私とキリカも、貴女と共に戦うわ。力を合わせて、見滝原を守りましょう」

ほむら「……!」

まさか、信じられない……。
あの美国織莉子と呉キリカが、私に協力する……?

……信じたい。
だけど……私はまだ、あの時のことを忘れられないでいる。

わかってる……まどかを殺したのは、『この美国織莉子』じゃない。
そのことは、わかってる。
『この美国織莉子』は、私に協力してくれると言っている。
まどかを守る手助けをすると、言ってる。
だけど、私はまだ、信じられない……。

いや、違う……信じていないわけじゃない。
彼女の言葉に、嘘はないのだと思う。
ただ……『信頼』することを、私の感情が邪魔している……。
たぶん私は、まどかを殺したこの女をまだ、心の奥の方で……。

織莉子「暁美さん……?」

ほむら「……ごめんなさい、なんでもないわ。あなたたちが協力してくれるなら、とても心強い。
    ありがとう、これからよろしくね。美国さん、呉さん」

今日はこのくらいにしておきます。

どんな圧倒的「絶望」があろうとッ
「覚悟」を決め「恐怖」に打ち克ち往く者は「勇気」を持つッ!
それこそが受け継がれていく「人間の魂」だッ!
そしてそれを決して持たぬ吸血鬼や屍生人、魔女に負ける道理は無いッ!!

今日も更新できそうにないです……。
明日は更新します。

織莉子「取り敢えず……これで、3人ね。貴女達は?」

杏子「あたしは……ん〜、あたしの縄張りは風見野だしなあ。別に人助けにも興味ないし……」

ゆま「え!キョーコ手伝わないの!?どうして!」

杏子「どうしてって、知ってるだろ?人のために何かするなんて、あたしのやることじゃないんだよ。
   そんなもんは物好きなお人よしに任せときゃ良いのさ。まあでも……そうだな。
   ワルプルギスの夜のグリーフシードをあたしにくれるってんなら手伝ってやっても良いぜ?」

ほむら「……私は別に構わないわ。あなた達はどうかしら」

織莉子「ええ、私たちもグリーフシードが目的なわけではないもの。あなたに譲るわ」

杏子「!へえ、まさか本当に譲ってくれるなんてね……。
   ……うん。あの馬鹿でかい魔女のグリーフシードが手に入るってんなら、手伝う価値もありそうだ。
   こんだけ魔法少女が揃えば負けるってこともないだろうしね。良いよ、手伝ってやる」

ほむら「ありがとう、佐倉さん」

杏子「礼なんていらないよ。その代わり、約束は守ってもらうからね」

ほむら「それじゃあ、巴さんは……」

マミ「……私は……ごめんなさい、少し、考えさせてもらっても良い……?」

杏子「……?意外だね。あんたのことだから、迷わず戦うもんだと思ってたよ。
   『街を守るために放ってはおけない』とか言ってさ」

マミ「私にだって……迷うことくらい、あるわ」

ほむら「…………」

杏子の言うとおり……本当に意外だ。
まさかあの巴さんが、街のために戦うことを躊躇するなんて。
彼女の性格から考えて、迷うことなく戦ってくれると思っていたけど……。
それとも、私が巴さんの性格を勘違いしていただけ……?

……もしかして、あの時覚えた『違和感』と何か関係が?
でも、『立ち直りが早い』ことと『戦いを躊躇する』ことにどんな関係があるのか……。

やっぱり、私の考えすぎかしら。
巴さんにだって、命を掛けるとなると少しくらい迷うこともあるかもしれないのだし……。

マミ「ねえ、暁美さん……。1つ訊いても良い?」

ほむら「……何かしら」

マミ「もし……私が居なくても、本当にあなた達だけで大丈夫?」

ほむら「え……?」

マミ「あなた達だけで、見滝原を守れる?」

ほむら「…………」

これは……どう答えるべき?
彼女は、『あなたがいないと無理』と言って欲しいのか、それとも……。

……下手に考えない方が良いかも知れないわね。

ほむら「できれば一緒に戦って欲しいというのが本心だけれど……
    無理強いするつもりはない。よく考えて、自分で決めてくれれば良い。
    協力しなくても責めはしないし、協力してくれれば歓迎するわ」

マミ「……わかったわ、ありがとう。よく考えて、どうするか……自分で決めるわね」

……巴さんのことは、彼女自身の選択に任せるしかない。
とにかく……これで、魔法少女が少なくとも4人揃った。
あとは……

康一「う、う〜〜ん……ボクたちも手伝いたいのはヤマヤマなんだけど……。
   何か役に立てることってあるかなぁ〜〜……?」

仗助「だよなァ……。こー言っちゃあなんだがよォ〜〜。
   数百mのバケモン相手に戦うっつー『イメージ』がまるで湧かねーんだよなァ〜〜……」

億泰「削り取るのは無理だぜ〜〜何百mも流石によぉ〜〜〜〜!」

ほむら「そうかも、知れないわね……」

『スタンド能力』は確かにすごいけれど、本体の身体能力は普通の人間と変わらない。
ワルプルギスの夜を相手に上手く立ち回れるかと言われれば……。

仗助「まーでも……『サポート』ぐれーは出来るはずだぜ。
   怪我はオレが治しゃあよォー『魔力』の節約にもなんだろ?」

ほむら「!」

康一「それは……確かにそうだ!だ、だけど危険じゃあないだろうか?
   『回復役』になるとすれば、それなりに戦いの近くに居る必要があるんだし……!」

仗助「そこんとこよぉ……どーなんだ、ほむら?ただ近くに居るだけでもよォ、
   『クレイジー・ダイヤモンド』じゃあ自分の身も守れねェほどやべー戦いなのかよ?」

ほむら「……守れない、ということはないでしょうけど……」

仗助「そんじゃあ決まりだな!オレもできるだけ近くまで行ってよォーー。
   おめーらの怪我治してやっからよ〜〜〜」

億泰「クッソ〜〜〜おれもなんか手伝えることねーのかよ〜〜〜!」

康一「それじゃあボクたちがさ、『例の子』を見張っていれば良いんじゃあないかな」

億泰「オオッ!そーだよな〜〜!その役目を忘れてたぜェ〜〜〜!」

織莉子「そうですね……それが良いかも知れません」

杏子「そんじゃ、あれだ。ゆま、おまえもその役目だな」

ゆま「えっ?」

杏子「おまえもこいつらと一緒に、『そいつ』のことをキュゥべえから守ってやりな。
   地球の運命がかかってる大事な仕事だが、ゆまに任せる。できるな?」

ゆま「!うん、まかせてっ!ゆまがきっと、キョーコも地球もまもるよ!」

杏子「ああ、頼りにしてるよ」

ほむら「『スタンド使い』のあなた達まで……。ありがとう、本当に助かるわ」

仗助「まっ、礼は置いといてよ〜〜。これからのこと考えるとよォ。
   例の『そいつ』のこと、オレたちも知っておく必要があるよなァ?」

康一「だよねぇ。特にボクと億泰くんとゆまちゃんはさ、その子を守らなきゃいけないんだし」

ほむら「……ええ、そうね」

仗助「だからよーー。できれば今からでも見滝原に行って会っときてーんだけどよ〜〜〜」

……彼の言う通り。
私たちの目的はまどかの契約を阻止することなのだから、全員あの子の顔を知っておく必要がある。
それは理解してる。
だけど……。

織莉子「……キリカ、私たちは家に帰りましょうか」

ほむら「……!」

キリカ「えっ?良いの?『例の子』に会わなくても」

織莉子「ええ。それはまた、今度にしましょう?」

キリカ「まあ、織莉子が言うなら良いけどさ」

ほむら「……美国さん、あなた……」

織莉子『貴女の気持ちは理解できるわ、暁美さん。
    だけど……時間はあまりない。出来れば早めに、心を開いてくれれば嬉しいわ』

ほむら『……努力するわ』

織莉子「……。さて、暁美さん?まずその子に連絡してみた方が良いのではないかしら」

ほむら「ええ……そうね。今日会えることが確認できたら、見滝原に戻りましょう。
    『スタンド使い』の3人は自分の町をまた離れることになるけれど……」

仗助「まっ、必要なことだしな」

億泰「それにどーせ、帰ったってやることもねーしよォ」

康一「なんだかちょっと緊張しちゃうなぁ〜〜。どんな子なんだろう?」

ほむら「……会えば分かるわ。それじゃあ、連絡してみるわね」

ほむら「…………」

まどか『も、もしもし!』

ほむら「こんにちは……どうしたの?何か様子が変じゃないかしら」

まどか『あ、ううん、えっと……。ほ、ほむらちゃんから電話来るの初めてだから、
    何があったんだろうって、ちょっと緊張しちゃって……』

ほむら「……別に緊張することなんてないのに」

まどか『えへへ……。それで、どうしたの?』

ほむら「その……突然なんだけど、今日この後、何か予定はあるかしら」

まどか『え?ううん、何もないよ』

ほむら「だったら、少し時間を取れる?ちょっと、用事があるのだけど」

まどか『それは大丈夫だけど……用事って?』

ほむら「詳しいことは、会ってから説明するわ。
    しばらくしたらまた連絡するから時間と場所はその時に」

まどか『?う、うん、わかった』

見滝原

織莉子「——私達はこれで失礼するわね。
    協力する上で色々話し合うことも必要でしょうから、その時になったら連絡をお願いするわ。
    ここが連絡先。それから……一応暁美さんの連絡先も教えてくれるかしら。
    何か視えた時、貴女にすぐに伝えられた方が良いでしょう?」

ほむら「そうね……教えておくわ」

織莉子「私への『連絡』は……『出来るだけ早く』してくれれば助かるわ。よろしくね、暁美さん」

ほむら「……ええ。それじゃあ、また」

彼女は……私がまどかと会わせるのを躊躇っていることに気付いていた。
その上で私が心を開くのを待つと、『連絡』を待つと言うのだから……
やっぱり、信用しても良いのだとは思う。
問題なのは、私の感情だけ……。

今の彼女はまどかを殺していないし、殺すつもりもない。
この事実を改めて認識し直さないといけない。
彼女の言うとおり、時間に余裕はないのだから……。

マミ「……暁美さん?」

ほむら「あ……ごめんなさい。少し考え事を……何かしら?」

マミ「その……今日はもう、家に帰ろうと思うの」

康一「あれ?マミさんは会わなくても良いの?例の『あの子』にさ」

マミ「ええ。1人でゆっくり、これからどうするか考えたいから」

ほむら「……わかったわ。そういうことなら、そうしてちょうだい」

マミ「そうだわ……みんな、本当にありがとう。
  佐倉さんもゆまちゃんも見滝原の住人じゃないのに、この町を守ることを決めてくれて」

杏子「ん、なんだよ。だから礼なんていらないって」

マミ「それに『スタンド使い』の3人は『魔法少女』でもないのにここまで協力してくれて……本当に感謝してます」

億泰「こっちも礼なんかいらねーよ〜〜。おれたちが勝手に首ツッコんだだけだからよォ〜〜」

マミ「それでも、本当にありがとうございます。……それじゃあ、さようなら」

仗助「…………」

ゆま「……いっちゃった」

杏子「なんかさ……『1人で考える』とは言ってたが、あれじゃあまるで……」

康一「『協力しない』ことに決めたみたいだよね。わざわざ改めてお礼を言うなんてさぁ〜……」

億泰「だとしてもよォ〜〜仕方ねーんじゃあねーのかァ?
   オレたちと違ってよぉー、あいつはあのバケモンと直接戦わなきゃあならねーんだろ?
   ちょっとビビっちまったって責められるわけねーよ〜〜〜」

仗助「……ビビってるって感じでもなかったよーな気がするけどよ……」

杏子「そもそもそんなことで迷うってこと自体、あいつらしくないんだよな……。
  ……まあ、今日だけで色々あったしな。こういうこともあるか……。
  あたしだってまだ完全に心の整理が付いたってわけじゃないんだし、あいつも絶対……」

ほむら「…………」

やっぱり、そうなのかしら。
そんなに早く立ち直れるはずがないとは思ってたけど……。
……まどかに会った後、一応様子を見に行った方が良いかも知れないわね。




杏子「——ところでさ、そいつはもう『魔法少女』のことは知ってるわけ?」

ほむら「いえ、まだ知らないはずよ。キュゥべえが接触していなければだけど」

億泰「そんじゃあよォ、今からおめーが説明するっつーことか?」

ほむら「ええ……。黙っていても恐らく、近々キュゥべえに接触されてしまう。
    それならいっそこちらから話してしまって、初めからキュゥべえを信用しないようにするわ」

康一「そーだね。それが良いんじゃあないかな」

ゆま「全部ゆっちゃうの?魔法少女のひみつ、全部?」

ほむら「……そうね。もう、誰に隠す必要も……。っ!」

仗助「ン?なんだ、電話かよ。まさかよー、早速織莉子からじゃあねーよなァ?」

康一「いや〜〜、それはいくらなんでも早速過ぎるよ仗助くん〜〜。きっと、例の子が……」

ほむら「……そのまさかよ」

康一「えっ!?」

億泰「な、何か見えたのか!?『予知』でよォ〜〜〜っ!」

ほむら「それは、確かめてみないと……もしもし?」

織莉子『!暁美さん、今そこに巴さんは居る?』

ほむら「いえ、少し前に帰ってしまったけど……それがどうかしたの?」

織莉子『ッ……今すぐ彼女の家に行って!』

ほむら「え……?」

織莉子『巴さんは自らの命を絶つ気だわ!だから早く!』

ほむら「ッ……そ、そんな!?」

織莉子『信じられないかも知れないけれど、事実よ!もうあまり時間はないわ!
    私たちの居る場所からではもう間に合わない!だからすぐに行って!あなたたちが!』

ほむら「わ……わかったわ!それじゃあ、切るわよ……!」

杏子「なんだ?あいつ、何て言ってたんだよ」

ほむら「今から巴さんの家へ向かうわ!」

杏子「はあ?って、お、おい!待ちなよ!せめて説明だけでも……」

ほむら「彼女は、自殺しようとしているのよ……!」

ゆま「えっ……!?」

康一「じ、自殺だってッ!?」

杏子「くそッ、あの馬鹿……!おい、悪いがあんたたちはゆまを頼む!
   あたしたちは先に行かせてもらうよ!」

億泰「おおっ!?は、速えッ!」

仗助「さすが『魔法少女』っつーことか……!オレたちも急ぐぞッ!」

ほむら「っ……」

走りながら考えて……やっと分かった。
あの『違和感』の正体が……。
巴さんは魔女化の事実を聞いて、『立ち直った』わけじゃない。
『諦めてた』んだ……!

『心の準備をしていた』というのはきっと、本当だった。
もしかしたら魔女化の事実すら、想定していたのかも知れない。
そして、想像が的中していた場合は自らの命を絶つという『覚悟』を……。
あの時既に、終えていたのかも知れない。

そして、美国織莉子の問題を『最後まで見届けて』から……死ぬつもりだった。
だから、ワルプルギスの夜を倒すのに協力することを躊躇っていたんだ。
だから私に、『自分が必要か』を訊いたんだ。
美国織莉子の件が解決すれば死ぬつもりだったから……!

  『もし……私が居なくても、本当にあなた達だけで大丈夫?』

  『あなた達だけで、見滝原を守れる?』

あれは、ワルプルギスの夜との戦いを指していたんじゃない。
『これからずっと』のことを、巴さんは……!

……死なせたくない。
せっかくまどかを救える希望が見えたのに……。
全員生きてワルプルギスの夜を越えられるかも知れないのに……!

今彼女の自殺を止めたところで、私に説得できるかどうかは分からない。
今止めても、いつかは結局同じ運命を辿るのかも知れない。
だけど、とにかく、今だけは……!

ほむら「佐倉さんあなた、巴さんの家はわかる……!?」

杏子「ああ、一応ね!」

ほむら「じゃあ案内の必要はないわね、先に行くわよ……!」

杏子「うおっ!?瞬間移動……いや、あれが時間停止か……!」

杏子『確かにあんたはその方が早いな!すぐ追いついてやるから、とりあえずは頼んだよ!』

ほむら『ええ……!』

今日はこのくらいにしておきます。




巴さんの部屋に入る直前に、時間を止める。
部屋の扉に鍵は……かかってない。

中に入り、そしてリビングへ向かう。
そこに……巴さんは居た。
手に、マスケット銃を持って。
テーブルの上にはソウルジェムが置いてあった。
その横には手紙。
読まなくても分かる。
間違いなくこれは……遺書。

彼女は今まさに、自分の魔法で自分のソウルジェムを破壊しようとしていたところだった。
……あと少し遅かったら……。

私はソウルジェムをその場からどかして、そして、時間を動かした。

マミ「……え?っ……!あ、暁美さん?どうしてここに……!」

ほむら「…………」

マミ「もしかして……美国さんに?」

ほむら「……どうして?巴さん、どうして、こんな……!」

マミ「ごめんなさい……あなたに協力してあげられなくて。
  でも、もう決めたの……。だから暁美さん、私のソウルジェムを返して?」

ほむら「……返すわけがないでしょう……!」

マミ「……。それじゃあ、あなた壊してくれるの?私のソウルジェムを」

ほむら「ふざけないで!私は、あなたに死んで欲しくなんかない!」

マミ「……でも、仕方ないじゃない。私たちはいずれ、魔女になるんだから……」

ほむら「っ……」

杏子「マミ!無事か!?」

マミ「!佐倉さん……!」

杏子「良かった……まだ死んじゃいないね」

マミ「……あなたも、私を止めに来たの?」

杏子「当たり前だろ。自殺なんて馬鹿な真似やめなって。もうちょい落ち着いて……」

マミ「魔女になるくらいなら死んだ方が良い。そうでしょう?私は、何か間違ったことを言ってる……?」

杏子「ッ……それは……」

億泰「マミてめ〜〜〜ッ!何やってんだよ、コラ!」

康一「よ、良かった!間に合ったんだね!」

マミ「あなた達まで……」

ゆま「マミおねえちゃん、死んじゃイヤだよ……」

マミ「……ごめんね。でも、もう決めたことなの」

億泰「お、おめー、本気かよ……マジによ〜〜ッ!」

マミ「もちろん、本気です。魔女になって人を襲うようになるなんて、絶対に嫌ですから……」

康一「そ、それはそうかも知れないけど……」

マミ「だから、止めないでください。私を、『魔法少女』のままで……死なせてください」

仗助「……確かによー……。『魔女になるくらいなら死んだ方がマシ』っつーのも……
   わからねーワケじゃあねー。それに『魔法少女』でもねえオレたちが
   『そんなことねー』とか言ったって、説得力なんかありゃあしねーしよぉ……。
   つーか、ひょっとするとマジで『死んだ方がマシ』なのかもしれねーしな……この場合はよォ……」

ほむら「ッ……あなた、何を……!」

仗助「けどよォ……何も今死ぬこたあねーんじゃあねーのかよ」

マミ「でも……いつか魔女になるのなら、いつ死んでも同じことでしょう」

仗助「……『いつ死んでも同じ』っつってよォ。
   それで簡単に捨てられるほど軽いモンなのかよ?『命』ってのはよぉ」

マミ「…………」

仗助「おれの『クレイジー・ダイヤモンド』はどんな物でも怪我でも治せる。
   だが死んだ人間はどうしようもねえ。終わっちまった命は戻せねえ。
   だからよぉ……なんとなく分かるんだよ。上手く言えねーが、『命』ってのは
   『そんなに軽く扱って良いもんじゃあねー』っつーことがよ……」

マミ「……それじゃあ、どうしろって言うんですか?『魔女になれ』って、そう言うの……!?」

仗助「いやそうじゃあねーよ!だからよォ〜〜、『簡単に死ぬな』っつーことだよ。
   やれるとこまでやってよー、そんで『いよいよ限界』って時になってから
   覚悟決めるんじゃあダメなのか、っつーことが言いたかったんだけどなぁ〜〜……。
   上手く言えねーんだけどよォ〜〜〜……」

マミ「……『どうせ死ぬなら、魔女になる直前まで頑張ってから死ね』。そういうことね……」

仗助「オ、オイ。そこまで酷ェ言い方はしてねーだろうがよ……」

織莉子「……いいえ。『死ぬなら限界まで頑張ってから』。貴方の言ってることは間違っていません」

マミ「っ……!」

仗助「織莉子!?それにキリカも来たのかよ!」

キリカ「大急ぎで引き返してね。そしたらなんだ、巴マミはずいぶんダダッ子だね。
    魔女になるからすぐ死ぬなんてさ。どうせならその瞬間まで今まで通り生きれば良いのに。
    人はいつか死ぬ。それと同じことなんだからさ」

マミ「っ……よくそこまで楽観的でいられるわね」

キリカ「良いじゃないか、それで。楽観視しようが絶望視しようが結果が同じなら、楽しい方が良いに決まってる」

織莉子「巴さん……。貴女の考え方は、尤もだわ。『魔女になるくらいなら死んだ方が良い』。
    私達もその通りだと思う。でも……すぐには死にたくない。
    だから彼の言うように、魔女へと変わるその瞬間まで、出来る限り長く生き続けることに決めているわ」

マミ「……どうして……」

織莉子「だって、少しでも長くキリカと一緒に居たいもの」

キリカ「私も同じだよ。まだまだ織莉子と一緒に居たい。
    だから死ぬわけにはいかない。ま、でも、そうだね。
    私は仮に魔女になったとしてもずっと織莉子の傍に居続けられる自信があるけど」

杏子「……あたしもさ、魔女になる瞬間までは生き続けるつもりだよ。
   少なくともこいつが居る限り、そう簡単に死ぬわけにはいかないからね」

ゆま「!キョーコ……」

マミ「……生き続ける理由があるから、生き続けられる……ということね」

康一「マミさんには、無いの……?そういう……『生きるための理由』みたいなのは……」

マミ「私には……何もない。だって今までずっと、1人で……。
  ただただ魔女と戦い続ける毎日を送っていたから……」

ほむら「……巴さん……」

マミ「ずっと1人で魔女と戦って……クラスのみんなは放課後に寄り道したりしてるのに、
   私は毎日、1人でパトロールして……。町のみんなを守るんだって、
   それが正義の魔法少女としての使命なんだって。そう思いながら、頑張ってきた。
   でも、それでも……私だって!友達と遊んだりしたかった……!」

マミ「一緒にお茶を飲んだり、お出かけしたり……
  一緒に居てくれる、傍に居てくれる友達が、欲しかった……!
  だけど私には何も無い!この街だって、あなた達が居れば私が守る必要もない!
  私の人生には、何も無い……!そんな自分がいつか魔女になるというのなら、
  これ以上生きている意味もないのなら、いつ死んだって構わないじゃない!」

ほむら「っ……」

マミ「……東方さんの言うことは、理解できます……。
  今すぐ死んだりせず、限界を迎えるまで生きるべき……。多分、それが正しいんだと思います。
  だけど、私は……他のみんなとは違う。『頑張り続けられる』理由も、目的も、何も……」

キリカ「……あのさ。ちょっと気になったんだけど……。
    キミもしかして、遠まわしに私たちに『友達になってくれ』って言ってる?」

マミ「え……?」

キリカ「?違うの?『友達が居ないから死ぬ』って言ってるように聞こえたからさ」

マミ「私は……別に、そんなつもりじゃ……」

織莉子「……巴さん。貴女は自分には何もないと、そう言ったけれど……そんなことはないわ。
    お友達と、この部屋でお茶を飲み、お菓子を食べ、笑いながら話をする……。
    そんな『未来』が、この先貴女を待っているわ」

マミ「『未来』って……まさか……!」

織莉子「ええ。今、はっきりと視えたわ。とても幸せそうな光景が、ここに広がっているのが。
    それなのに、貴女はここでその幸福を捨ててしまうの?
    貴女の望むものがもうすぐ得られるというのに?幸せな未来を放棄するの?」

マミ「っ……それ、は……」

ほむら「……彼女の言葉は、私が保証するわ。
    あなたの友達になる子のうち1人は多分……今から会う予定の子だもの」

マミ「!えっ……!?」

ほむら「私と同い年の、あなたの後輩。あなた達2人は、いつもとても仲が良かったわ。
    あの子はあなたのことを慕っていた。今回もきっと、あなたはあの子と良い関係になれるはず」

康一「こ……この2人が言うんなら間違いないよ!
   巴さん!きみの人生は、もう『何も無い』なんてことはない!
   大切な仲間が、友達ができるんだッ!きみはもう、『独りぼっち』なんかじゃあないッ!」

億泰「そ、そーだぜェ〜〜〜ッ!それによー、ホレっ!おれたちだって居るじゃあねーか!」

杏子「あんたは見た目的にマミとお茶飲むってのは変な感じがするが……」

ゆま「ゆまも!ゆまもいるよっ!」

杏子「はいはい、そうだね。おまえもマミのこと心配してたもんな」

マミ「え、えっと、その……」

仗助「……織莉子とほむらが言う通りよォ。『未来』にはおめーの『幸福』が待ってるんだろーぜ。
   だがそれだけじゃあなくてよーー。大体、こんだけの人数がマミのために集まったんだぜ。
   全員おめーに生きて欲しくてよ〜〜〜。
   それを『何も無い』っつーのは……ちょいと違うんじゃあねーのかよ?」

マミ「っ……」

仗助「もう一度訊くぜ……。今すぐ死んだりしねーでよ〜〜……
   限界まで生きてみても、良いんじゃあねーのかよ?」

マミ「わ、私は……そう、そうよね……。私、もう……独りぼっちじゃ、ないんだよね……」

ほむら「!巴さん……!」

マミ「こんなにたくさん、私を心配してくれる人が居て……。
  それに、もうすぐ私がずっと欲しかったものが手に入るなんて知って……。
  そんなの……死ねるわけないじゃない……!
  限界を迎えるその時まで、今までの分を取り返してやるんだから……!」

ほむら「……巴さん、本当にもう大丈夫?」

マミ「ええ……魔女になるのはもちろん、すごく怖いわ。でも怖いからこそ、
  その瞬間は出来る限り遅らせる……!長く、長く……精一杯、生きることにするわ。
  みんな……ごめんなさい。心配をかけてしまって、本当に……」

ほむら「……あなたは、魔女になんかならない」

マミ「えっ?」

ほむら「私がそうさせない。もしその時が来たら……すぐに私が殺してあげるわ、巴さん。
    私がこの手で……あなたの仲間として、必ず」

マミ「暁美さん……。でも、あなたにそんなこと……いえ、そうね。『仲間』だもの、命を預けて当然よね。
   ……ありがとう。あなたが居れば魔女にならないと思えば、ちょっとだけ気が楽になったわ」

ほむら「そう……良かった」

織莉子「……ねえ、巴さん。貴女、今まで魔法少女のお友達が居たことはないのかしら?」

マミ「ええ……さっきも言った通り……」

織莉子「まあ!それなら、私が貴女の初めての魔法少女のお友達になっても良い?」

マミ「えっ……?」

織莉子「貴女、お茶が好きなのでしょう?きっと私たち趣味が合うと思うの。
    だから、お友達になっていただける?」

マミ「……!ええ、喜んで!」

キリカ「……ねえ、巴マミ!織莉子と趣味が合うからって、織莉子の一番は……」

マミ「ふふっ……ええ、わかってるわ。美国さんの一番はあなたよね?」

キリカ「その通り、わかってるなら良いんだよ。
    私の一番も織莉子だから、悪いけどキミは私の中の二番だ。それもわかってるね?」

マミ「!あなたも、私と友達に……?」

キリカ「当たり前じゃないか、キミは織莉子の友達なんだから」

杏子「どういう意味かはよく分からないが……ま、良かったじゃんか。
   一気に2人も魔法少女の友達が出来てさ」

ゆま「じゃあゆまも!ゆまも、マミおねえちゃんの友達になるよ!」

マミ「ええ……ありがとう、とても嬉しいわ。よろしくね、ゆまちゃん」

仗助「オイオイ、マミのやつ大人気じゃあねーかよ〜〜。
  『友達が居ない』とか悩んでたとは思えねーよな〜〜とてもよォ〜〜」

康一「自分から距離を置いてたんだよね、きっとさ。
   だって普通に人気者っぽいもんなぁ〜〜。ホラ見て、もーあんなに楽しそ〜に話してるよ……」

仗助「…………」

康一「…………」

仗助「(……こう言っちゃあなんだがよ……オレたち結構『場違い』じゃあねーのか……?)」

康一「(うん……高校生だし、男だし……。
   なんていうか、あそこに『女の子だけの空気』っていうのができつつあるよーな……)

億泰「いやぁ〜〜っ、マジで良かったぜ〜〜!マミに友達ができてよォ〜〜〜っ。
   オレもよーーっ!もちろん友達だぜ!なぁマミ〜〜〜っ」

康一「っ!?よ、よくこの空気でそーいうことができるよ億泰くん〜〜〜っ!」

仗助「おめーのそーいうとこだけはよー、尊敬するぜ……。マジによォ〜〜〜……」

ほむら「…………」

とにかく、良かった……本当に良かった……。
今度こそ巴さんは、立ち直ってくれた。
魔女化への不安や恐怖が全く無いということはないでしょうけど、
それでも、生き延びる努力をするための『希望』を抱いてくれた。

やっぱり……『予知』が大きかったわね。
生きていれば自分の求めていたものが確実に手に入るなんて、これ以上ない『生きる理由』、『希望』だもの……。
すごく良いタイミングだった……本当に、良すぎるくらい……。

……もしかして。

ほむら『美国さん……あなた、本当にさっき、未来を予知したの?』

織莉子『!……さあ、どうかしら』

ほむら『あなた……“もう嘘はつかない”と誰かと約束してなかったかしら』

織莉子『ふふっ、そうだった?まあ、嘘だったとしても本当にしてしまえば良い話でしょう?
    貴女の反応からして、あながち嘘でもなかったようだし』

ほむら『……その通りね。お礼を言うわ、ありがとう』

織莉子『いいえ、どういたしまして』

今日はこのくらいにしておきます。

>>キリカ「その通り、わかってるなら良いんだよ。
    私の一番も織莉子だから、悪いけどキミは私の中の二番だ。それもわかってるね?」

ホル・ホース「やっぱNo1よりNo2だよな」

同じ未来予知持ちのボインゴと組んだホル・ホースだが織莉子と組んでたら、どんなコンビになるやら

更新は明日になります。
という報告です。

えっ、何かおかしいとこあった?

ほんとだ(白目)

こういうミスは出来るだけ無くします。
明日から気を付けます。

ほむら「……それじゃあ、行きましょうか。あの子に会いに……。今度は、巴さんも一緒にね」

マミ「ええ、もちろん!えっと……私のその子は、見滝原中の生徒?」

ほむら「そう、私と同じクラスの子よ」

億泰「!っつーとよォ、やっぱりアレだろ!
   こないだよ〜〜、公園に居たヤツらの中の誰かじゃあねーかとオレは睨んでるんだけどよ〜〜っ!」

ほむら「ええ……その通りよ。あの時迷子になっていた男の子の、姉。それが例の子だわ」

康一「あ、あの子だったのか!」

仗助「うはあ〜〜〜っ、あいつがかよ〜〜……。『意外』だよなァ、なんつーかよ〜〜」

キリカ「やっぱりキミの友達だったのか。私達の睨んだ通りだったね、織莉子」

織莉子「……暁美さん。その情報を話してくれた、ということは……」

ほむら「ええ。美国さんと呉さんも来てちょうだい。あなた達にも、会わせたいから」

織莉子「……!ありがとう、暁美さん……。ぜひ、そうさせてもらうわね」

杏子「ていうか、何?あんたたち3人はそいつに会ったことあるわけ?」

仗助「まーな。偶然なんだけどよォ」

ゆま「ねえねえ、どんな人だったの?怖そうだった?優しそうだった?」

億泰「1回会っただけだが、ありゃあ『優しい』ヤツに違いないぜ!ほむらの言ってたとおりよ〜〜っ」

康一「あとそれから、大人しそーな感じがしたなぁ」

ほむら「そうね……。そのイメージで間違ってないわ」

キリカ「イメージがどうこうよりさ、直接会って話した方が早いよ。
    ほら、早く行こう。早くしないと日が暮れちゃうよ!ほらほら早く早く」

織莉子「キリカったら、せっかちなんだから。でも、早く会ってみたいというのは同感ね」

マミ「ええ、私も。だけどこんなに大勢で行ったら、きっとびっくりさせちゃうわね。
  怯えたり、変に警戒されたりしないように気を付けなくちゃ」

ほむら「きちんと説明すればわかってくれるはずだけど……」

億泰「ン?なんだぁ?」

ほむら「……あなたには、出来るだけ大人しくしていて欲しいわね」

億泰「??」




杏子「——この辺だよな、待ち合わせ場所」

ほむら「……居たわ、あそこよ」

織莉子「!あの子が……」

まどか「あっ、ほむらちゃん!……と、あれ……?」

ほむら「ごめんなさい、鹿目さん。待たせてしまったかしら」

まどか「う、ううん。待ってはないんだけど……。それより、その……」

マミ「初めまして。鹿目まどかさんよね?」

まどか「へっ?あ、はい……。えっと……?」

マミ「私は巴マミ。あなたと暁美さんと同じ、見滝原中の3年生よ」

まどか「あっ、そうなんですか!初めまして!その、ほむらちゃんとはどういう……?」

ほむら「そのことや後ろの人たちのことも含めて、色々説明しないといけないわね。
    驚くこともあるし、信じられないかもしれないけど……聞いてくれる?」

まどか「う……うん。わざわざほむらちゃんの方から電話してくれたんだもん。
    すごく大切な話なんだよね?大丈夫だよ、ちゃんと聞くよ」

ほむら「……ありがとう、鹿目さん」

ほむら「鹿目さんは……『魔法少女』という言葉を聞いたことはある?」

まどか「?『魔法少女』って……魔法で悪者と戦う、アニメとかマンガとかの……?」

ほむら「……もしその『魔法少女』が実在すると言ったら、信じられるかしら」

まどか「えっと……え?ま、魔法少女が実在する?……?」

杏子「そりゃまあそういう反応になるよなあ」

キリカ「どうやって信じさせるかは考えてあるの?実際に魔法でも使ってみせる?変身するとか?」

ほむら「……ええ、そのつもりよ」

織莉子「やっぱりそうだったのね。こんな人気のないところを待ち合わせ場所にしているんだもの」

マミ「確かに、目の前で変身でもすればそれだけで証明にはなるわね」

まどか「あ、あのー……」

ほむら「鹿目さん、少し驚くかも知れないけど……出来るだけ早く落ち着いてくれると助かるわ」

まどか「——っ……!?」

ほむら「……どうかしら。これで分かってくれた?『魔法少女』が実在するって」

まどか「へ、変身、え、あの……え……!?」

康一「や、やっぱりすごく混乱してるみたいだよ」

ゆま「おねえちゃん、だいじょうぶ?」

まどか「あ、えっと、あの……ま、魔法少女……?ほ、本当に……」

マミ「ええ。私たちはそこのゆまちゃんを除いて全員、魔法少女なの」

まどか「ほ……本当に、居たんだ。魔法少女って……!
    で、でもどうしてそんなこと、わたしに突然……?も……もしかして、わたしも魔法少女に……?」

キリカ「違うよ違う、逆だ。止めに来たんだよ。キミが絶対に魔法少女なんかにならないように」

まどか「えっ……」

織莉子「暁美さん……どこまで話すかは、あなたに任せるわね」

ほむら「……ええ、ありがとう」




まどか「——ほ、本当……なの?それ、全部……」

まどかに話したのは、私が時間を繰り返していること以外のすべて。
魔法少女の秘密、インキュベーターの目的、まどかが契約してはいけない理由……。

杏子「実感が湧かないか?まあ、あんたはまだキュゥべえに会ったことも魔女を見たこともないんだ。
   いきなり言葉だけで説明されて理解しろって方が難しいかもね」

まどか「え、えっと……ごめんなさい……」

ほむら「……だけど、すべて事実。近々、間違いなくあいつがあなたの前に現れる。
    そして言葉巧みに契約を持ちかけるけれど……決して耳を貸しては駄目。
    それだけは絶対に忘れないで。覚えていて」

まどか「そ、その……みんなは、へ、平気なの?『魔女』になっちゃうって……。
    も……戻せないんだよ、ね?一度『魔女』になっちゃったら、もう、元には……」

ほむら「……ええ。死んだ人間を生き返らせることができないのと同じ……。
    私たち魔法少女ができることは、せめてこれ以上呪いを振り撒かなくても良いように、
    倒してあげることくらい……。とても、悲しいことだけど……」

まどか「っ……それじゃあ、みんなも……」

マミ「鹿目さん……心配してくれてるのね、ありがとう。でも平気よ。
  やっぱり初めはすごくショックだったけど……もう、大丈夫だから」

ほむら「巴さんの言うとおりよ。だからそのことであなたが心を痛めたりする必要はないわ」

まどか「ほ、本当?本当に……?」

キリカ「あのね、確かにキミはすっごく優しい人間なのかも知れないよ。
    他人のことでそんなに心配できるなんてさ。
    だけどあんまり心配心配されると話が先に進まないよ。
    平気だって言ってるんだからそれで良いじゃないか。本当に平気なんだからさ」

まどか「え、あ……は、はい、ごめんなさい……」

織莉子「キリカったら、言ってることは正しいけれど少し口調が厳しすぎるわ。
    ……ねえ、鹿目さん。心配してくれるのは嬉しいことだけど、
    それもあまり度が過ぎるとそれは相手を信用していないということになるわ。
    私達は、本当に平気。事実を受け止め、乗り越えたわ。それとも、私達のことを信じられない?」

まどか「……!い、いえ!そんなことないです、ただ、その……」

ほむら「わかってるわ、あなたは……とても優しい子だから」

ほむら「だけど、何度も言うとおり、私たちは大丈夫。だから心配する必要なんてないわ」

まどか「う……うん、わかった……。本当にみんな、大丈夫なんだよね」

ほむら「ええ、大丈夫よ」

まどか「そっか……。それじゃあ、えっと……わたしは、気を付ければ良いんだよね?
    その『キュゥべえ』っていうのと会ったら、契約しないように……」

ほむら「そう。それだけ分かってくれていれば、十分」

まどか「それから、あの……実はずっと気になってたんだけど……」

康一「あ、そっか!まだボクたちのことは説明してなかったよね」

まどか「えっと、確かこの前公園で……。あなたたちも、魔法少女と何か、関係が……?」

仗助「ま〜〜関係があると言えばあるなァ。おれたちの場合は『魔法』とはちっと違うけどよ」

億泰「オレたちもよ〜〜『能力』持ってんだぜェ〜〜。『スタンド』っつー能力をな〜〜」

まどか「す……『スタンド』?」

仗助「『こいつ』のことなんだが……見えるか?」

まどか「えっ!?な、なに……ひ、人……!?」

康一「!やっぱり君にも見えるんだね!」

杏子「そういや直接確認はしてなかったが、ゆま。おまえにも見えてるんだよな?」

ゆま「えっ?うん、みえてるよ?」

織莉子「契約はしてなくても『素質』があれば見える、ということね」

億泰「2週間後にオレたちがこの『スタンド』でよ〜〜。
   くそったれキュゥべえからおまえを守ってやっからよォ〜〜〜っ」

まどか「に、2週間後……?」

マミ「そうね、そのことも話さないといけないわね」

ほむら「鹿目さん……大丈夫?ちょっと情報量が多すぎるけど、混乱はしてない?」

まどか「う……うん、なんとか」

ほむら「そう……。それじゃあ、話すわね。2週間後に何が起こるのか」




まどか「——そ、そう、なんだ……」

織莉子「あら。初めに比べたら落ち着いてきたみたいね」

まどか「なんていうか……あんまりびっくりすることばっかりで、逆に落ち着けちゃったみたいです」

ほむら「そう、良かった」

まどか「でも、あの……ほんとに、大丈夫?すごく強い魔女、なんだよね?『ワルプルギスの夜』って……」

杏子「あのさあ……さっき言われたばっかじゃん。心配しすぎなんだよあんた。
   魔法少女が5人も揃ってりゃ十分過ぎるっての。
   それとも何?あんた、あたしたちのことナメてるわけ?」

まどか「えっ、あ、いや、そうじゃなくて……!」

マミ「もう、佐倉さん?あんまり脅かさないの」

杏子「ふん……」

ほむら「……負けるはずがないという点では同意ね。
    だから、鹿目さん……心配しないで。私たちを信じて、待っていて」

まどか「ほむらちゃん……」

まどか「……うん、わかった。わたし信じるね……!」

ほむら「ありがとう……鹿目さん」

まどか「それじゃあ、えっと……その時にわたしと一緒に居てくれるのは……」

億泰「オウ!おれたちだぜェ〜〜〜ッ」

康一「キュゥべえなんか近付けさせもしないくらいの……そーいう気持ちでやらせてもらうよ」

ゆま「ゆまたちが、まどかおねえちゃんをわるいキュゥべえから守ってあげる!」

まどか「う、うん。ありがとうございます、よ、よろしくお願いしますっ」

マミ「さて、一通り説明が済んだところで……今からみんなで喫茶店にでも行かない?」

杏子「は?」

マミ「みんな協力するんだもの、少しでも親睦を深めておいた方が良いでしょう?
  それに鹿目さんも、何も知らない人に守ってもらうというのも変な気分でしょうし、ね?」

織莉子「良い考えだと思うわ。鹿目さん、時間は大丈夫?」

まどか「は、はい。大丈夫です」

マミ「良かった。なら決まりね!早速行きましょう」

喫茶店

杏子「……なんつーかさ。妙な光景だよな、これ」

ほむら「ええ……本当にそう思うわ」

まどか「まさかタツヤが怪我してたなんて……。仗助さん、本当にありがとうございます!」

仗助「いーって礼なんか別によォ〜〜」

マミ「それにしても、本当にすごいですよね。どんな怪我でも一瞬で治せるなんて……」

ゆま「キョーコの手と足が取れちゃったときも、すぐに治ったんだよ」

織莉子「キリカが切り落とした手も、一瞬で治っていたものね」

まどか「え、え……?と、取れちゃった?切り落とした……?」

康一「あ……うん、まあイロイロあって……」

億泰「まさか二度も右手がなくなっちまうなんてよォ〜〜〜思わなかったぜ〜〜マジによ〜〜〜」

キリカ「へえー、キミ前にも右手なくなったことあるんだ。すごいね!
   そんな人なかなか居ないよ!貴重な体験ができて良かったじゃないか」

億泰「オオッ、言われてみりゃあそーだな。いや〜〜ありがてえぜ、こんな貴重な体験させてくれてよォ!
   ……ちょっと待てテメーーーッ!いくらオレでもそこまで馬鹿じゃあねーぞコラアッ!
   なんでオレがおめーに感謝しなきゃあいけねーんだよ!殺されかけてよォ〜〜〜ッ!」

キリカ「感謝はキミが勝手にしたんじゃないか」

マミ「に、虹村さん、お店の中ですからあんまり大きな声は……」

織莉子「こら、キリカ?今のは貴女が謝らないと駄目だわ」

ほむら「……鹿目さん、分かったでしょう。魔法少女の戦いはとても危険なの。
    魔女化の事実を差し引いても、魔法少女なんかにはなるべきじゃないのよ」

まどか「う、うん……」

康一(こんな時でもまどかさん第一なんだなあ、ほむらさん……)

杏子「……そう言えばさ、仗助。あんた、ほんとにどんな怪我でも治せるわけ?
  例えば、ずっと前に付けられた古傷だとかさ」

仗助「ん?まー治せると思うぜ。どっか怪我してんのかよおめー?」

杏子「いや、あたしじゃないんだけどさ……ちょっと耳貸してくれる?」

仗助「?…………なるほどな」

杏子「やってくれるか?」

仗助「ああ、良いぜ。オ〜〜イ、ゆま。ちょっとこっち来てくれよ」

ゆま「?なに?どーしたの?」

仗助「いや、おまえの頭に『ゴミ』が付いてっからよォ〜〜ちょっと取ってやるよ。
   ……ホレ、もー良いぜ。これで『ゴミ』が取れてよー、綺麗になったなァ〜〜」

ゆま「うんっ。ありがとう、仗助おにいちゃん」

杏子「悪いね、手間かけさせちゃってさ」

仗助「いーって。こんな『ゴミ』ぐれー取ってやるのに手間も何もねーしよォ」

今日はこのくらいにしておきます。
次の更新は所用により月曜日になります。




マミ「——今日はとても楽しかったわ。あんなに大勢で喫茶店に行くなんて、初めてだったから。
  みんな、突然の提案だったのに付き合ってくれてありがとう」

康一「いやいや〜お礼だなんて。最初はボクたち場違いじゃあないかなぁーって
   思ってたけど、案外馴染めたんで安心したよ〜〜」

織莉子「鹿目さんも、ちゃんと親睦を深められたかしら?」

まどか「あ、はい!億康さんも康一さんも、初めて会ったときはちょっと怖かったけど、
    とっても優しくて良い人だって分かりました」

ゆま「ゆまはっ?ゆまはっ?」

まどか「ゆまちゃんは、可愛いけどすごくしっかりしてる子なんだな、って」

ゆま「えっへん!そうだよ、ゆまはしっかりしてるんだからね!」

杏子「ま、上手くやっていけそうで安心したよ。
   そんで?明日から早速『ワルプルギスの夜対策会議』するんだっけ?」

ほむら「そうね。出来れば早いうちからやっておきたいわ」

キリカ「ところでその『会議』って、魔法少女だけでやるの?スタンド使いの3人は?」

仗助「そりゃあオレたちも行った方が良いんじゃあねーのか?
   確かにオレたちは直接戦うわけじゃあねーけどよォ〜〜。
   おめーらがどーやって戦うとか、そーいうのなんにも知らねえままっつーわけにも行かねえだろ?」

康一「やっぱり知っておいた方が良いよね。特に仗助くんはさ」

億泰「それにどっちにしたってよ〜〜。これからも見滝原には行くわけだしなァ。
   ちっとでも多くグリーフシード集めるのを手伝いによォ〜〜〜」

織莉子「なら、魔法少女とスタンド使い、全員で話し合うということで良いのかしら?」

ほむら「ええ、それが可能ならそうした方が良いでしょうね」

織莉子「わかったわ。では時間も時間だし……私達はそろそろ失礼しましょうか、キリカ」

キリカ「ん、そうだね」

織莉子「みなさん今日は……本当に、ありがとうございました。
    改めて、これからよろしくお願いしますね。それでは御機嫌よう」

マミ「ええ、さようなら。また明日ね」

杏子「さて、と……。そんじゃ、あたしたちも行くか」

康一「2人とも風見野に戻るの?」

杏子「ん?あーいや、どうせ明日もここに来るんだし、見滝原の中で適当にホテル探すよ」

マミ「あら。だったらウチに泊まらない?そうすれば晩御飯もごちそうできるし」

ゆま「!ねえキョーコ!ゆま、マミおねえちゃんのお家いきたい」

杏子「はあ?おまえなあ……」

億泰「オオッ!そりゃあ良いじゃあねーか!宿もメシも手に入るってんならよォ〜〜!」

杏子「まあ、そりゃそうだけどさ……。
   ……わかったよ、ただし今日だけだからね。あんまり借りも作りたくないしさ」

マミ「もう、貸し借りなんて考えなくて良いのに。でも良かったわ、今日の夜はにぎやかになりそうね。
  それじゃ、今から晩御飯のお買い物に行きましょうか。
  そういうわけで暁美さん、私も帰るわね。それから……今日はありがとう。
  みなさんも、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします」

康一「みんな行っちゃったね〜〜。ボクたちももう帰る?」

ほむら「待って。帰る前に、東方さんに1つお願いがあるわ」

仗助「ン?今日はやけに『頼み事』されるな。まー良いけどよォ」

億泰「仗助に『頼み事』っつーこたぁよ。怪我を治してくれ……っつー感じかァ?」

ほむら「私ではないのだけど……あなたに、怪我を治してもらいたい人が居るの」

まどか「あっ……だったらわたしも、その……。お願いしても良いですか?」

ほむら「鹿目さん、多分あなたが今考えている人と私が考えている人は同じのはずよ」

まどか「へっ?」

仗助「よくわかんねーけどよ……そいつの怪我、そんなにひでぇのかよ?」

ほむら「……ええ、とても。現代の医学では、二度と治ることはないわ」

まどか「えっ!?そ、そうなの……!?」

仗助「……そりゃあ流石に治さねーわけにいかねえな。
   良いぜ、どんな怪我でも『クレイジー・ダイヤモンド』なら治せる。早速案内しろよ、そいつのとこによ〜〜」

病院

まどか「えっと……ほむらちゃんは、上条くんに会ったことはないんだよね?」

ほむら「ええ。だから……最初の挨拶はお願いするわね」

まどか「うん、わかった……コホン。か、上条くーん?入るよー?」

恭介「……鹿目さん?」

まどか「こ、こんにちは」

恭介「さやかは……一緒じゃないのかい?」

まどか「えっ?う、うん。もしかして今日、さやかちゃん来てないの?」

恭介「あ……うん。……それより、珍しいね。鹿目さんが1人でお見舞いに来るなんて」

まどか「あ、えっとね。実は1人じゃなくて……」

ほむら「……こんにちは」

仗助「どーも〜〜っス」

恭介「……?この人たちは……?」

まどか「えっと、さやかちゃんから聞いてない、かな?
    ちょっと前に、ウチのクラスに転校生が来た……っていう話」

恭介「あ……。もしかして、君が暁美ほむらさん?うん、話は聞いてたよ」

ほむら「初めまして、上条恭介くん。挨拶が遅れてしまってごめんなさい」

恭介「いや、良いよそんなこと。気にしないで。それで、そっちの彼は……」

まどか「こ、この人はその……わたし達の友達で。だから一応、紹介しておこうかなって……」

恭介「?そっか……えっと、初めまして。上条恭介です」

仗助「ども、東方仗助っス。まっ、挨拶っつーことでよォ。
   とりあえず……『握手』でもしよーぜ。男同士よ〜〜」

恭介「あ、はい。よろしく……」

仗助「……さて、と。そんじゃあ、挨拶も済んだしよ〜〜。オレはもう行くぜ〜〜」

恭介「えっ?えっと……はあ」

ほむら「……!」

まどか「も、もしかして今ので……!?」

恭介「……?どうしたの、鹿目さん?」

まどか「あ、えっと、その……か、上条くん!怪我の調子はどう?」

恭介「ん……あんまり、良いとは言えないかな……。なかなか治らなくて、もどかしくて。
   そのせいで最近、さやかには…………え……?」

まどか「ど、どう?左手とか、あ、それと足の調子とか……」

恭介「そ……そんな、まさか!う、動く!動くよ……!指が動く!」

まどか「っ……!ほ、本当!?」

恭介「そ、それだけじゃない!嘘だろ……ほら、見て!立てるんだ!
自分の足で簡単に!事故に遭う前みたいに!
   ゆ、夢じゃ、ないよね?これ、夢じゃないんだよね!ねえ、鹿目さん!」

まどか「う、うん!うん!やったあ!本当に治っちゃったんだ!」

看護士「……上条くーん、どうかしら、具合は……えっ?」

恭介「あ、看護士さん!見てください、これ……!動くんです、指も、足も!
   まるで事故に遭ったのが嘘みたいに……!」

看護士「うそ……!い、今先生を呼んでくるから、すぐベッドに戻って念のためジッとしてて!
    まだ一時的に治ったように見えるだけで、何が起こるかわからないんだから!」

ほむら「……だそうよ、上条くん」

恭介「うん……そうだね、一応ベッドに戻るよ。でも、なんとなくわかるんだ。
   一時的とかそんなのじゃなくて、これはもう、本当に治ってるって……!
   で、でも一体何が起こったんだろう……?こんな突然、指も足も治ってしまうなんて……」

ほむら「きっと、奇跡が起こったのね。とにかく……これで安心ね。美樹さんもきっと喜ぶわ」

恭介「あっ……そうだ、僕、さやかに謝らないと……」

医師「上条くん!体が治ったというのは本当かい!?」

恭介「先生……!」

ほむら「……それじゃあ、私たちは出ましょうか」

まどか「う、うん!」

上条くんに一言別れを告げて、病院を出る。

『クレイジー・ダイヤモンド』……。
これがどんな『能力』なのかを聞いた時から、こうなることは期待していたけれど……。
本当に簡単に、あっさりと解決してしまった。
今まで一度も解決できなかった問題を、こんなにあっさり……。

億泰「おっ。2人とも出てきたぜ!」

まどか「仗助さん……!あ、ありがとうございます!上条くん、すごく喜んでました!」

仗助「そーかい。そいつァ良かったぜ〜〜」

ほむら「本当に、ありがとう。あなたが居てくれて、本当に助かったわ」

康一「そんなに喜ぶなんて……2人とも本当に彼と仲が良いんだね!」

億泰「!ほお〜う……。さてはおめーら惚れてやがんなァ〜〜?その上条恭介ってヤローによぉ〜〜〜」

まどか「へっ?」

ほむら「……あなた何を言ってるの?」

億泰「イヤ!照れなくてもいいぜ。なんつっても『天才ヴァイオリン少年』だろ〜〜?
   そんなもんカッコイ〜〜に決まってんもんなァ」

仗助「……おめーホントこーいうの好きだよなぁ〜〜」

億泰「惚れちまうってのも無理はねーよなァ〜〜特におめーらぐれーの年はよォ〜〜〜」

まどか「ちっ、違いますよっ!上条くんを好きなのはわたしじゃなくて……!」

億泰「ホ〜〜〜。そんじゃあほむら、おめーかよ?
   見るからに『クール』な見た目してっけどよォ〜〜。
   やっぱおめーも『年頃』っつーことだなァ〜〜ウン」

ほむら「違うわよ、私でもないわ。……そうね、一応話しておくわ。
    なぜ彼の腕を治してもらう必要があったのか」

康一「……?友達だからじゃあないの?」

ほむら「もちろん、単純に上条くんに回復して欲しいという気持ちもなかったわけじゃない。
    だけど一番の理由は……彼の腕を治すために契約してしまう子が居たから」

まどか「えっ!?そ、それって……さやかちゃんのこと、だよね?」

まどか「それじゃあさやかちゃんにも、魔法少女の『素質』が……?」

ほむら「その通りよ。キュゥべえはあなたと同時に、必ず美樹さんにも目を付ける。
    そうなればあの子は高い確率であいつと契約してしまう。上条くんの腕を治すために」

まどか「た……確かにそうかも。さやかちゃんが契約するとすればきっと、上条くんのことだ。
    そっか……。だから、上条くんの腕を治してあげなくちゃいけなかったんだね」

億泰「なるほどねェ……そのさやかってヤツは、上条恭介の恋人か?それとも片想い?どっちだァ〜〜〜?」

康一「(お、億泰くん生き生きしてるなぁ〜〜)」

ほむら「片想いのはずだけど……そうよね、鹿目さん」

まどか「あ、うん……。幼馴染なんだけど、さやかちゃんずっと告白できてなくて……」

仗助「フ〜〜〜ン。『奥手』なんだなァ、そいつ」

まどか「告白しちゃえば、きっと上手く行くと思うんだけどなあ……」

ほむら「一応訊いておくけれど……あなたたちの知り合いに、
    恋愛を成功させるような『スタンド使い』は居ない?」

康一「えっ?うーーん……ちょっと、今は居ないかな……」

ほむら「……そう」

仗助「まさかとは思うけどよォ〜〜……そいつ、『失恋』で契約しちまったりすんのかよ?」

ほむら「……鹿目さんと同じように事前に魔法少女の真実を伝えておけば、
    いくらなんでも『失恋』で契約しようなんて馬鹿な気は起こさないでしょうけど……」

まどか「そ、そうだよね。いくらさやかちゃんでも、流石にそんなことはないよね!」

康一「それじゃあ、どーする?今からその子に会いに行く?」

ほむら「いえ……実は今日、鹿目さんと一緒に美樹さんも呼んだのだけど、都合が付かなかったの。
    でもキュゥべえに先を越されたくはないから、明日には会うつもりよ。
    みんなで魔女退治に行く前にでも会いに行こうと思ってるわ。どうかしら」

仗助「そーだな、それで良いと思うぜ」

億泰「じゃあそん時ついでに告白ウンヌンのことも言っちまうか?
   上手く告白できるよーに『アドバイス』する感じでよォ〜〜〜!」

仗助「あのな億泰……『手助けしてやろー』っつー気持ちはスッゲェー伝わってくっけどよォ。
   おめー、『アドバイス』なんかできんのかよ?」

億泰「え!?……オ、オレにゃあ無理かもしんねーけどよぉ!ホレ!おめーならよぉ仗助!
   女にもモテるし結構そーゆーの得意じゃあねーのかよ〜〜〜っ!」

仗助「はあ〜〜?馬鹿言ってんじゃあねーよ!
   オレだって今まで恋愛なんつーのはまるで未経験だぜ〜〜〜〜ッ?」

億泰「そんじゃあ康一ならいけんだろッ!由花子のヤツと『あつあつ』だもんなァ〜〜〜!」

康一「イ、イヤイヤイヤッ!無茶言わないでよぉ〜〜〜〜ッ!」

億泰「康一でも無理となりゃあ……」

まどか「わ、わたしも恋愛経験なんて……」

ほむら「……『アドバイス』は諦めましょう」

仗助「慣れねーことはしねえ方が良いかもな。話題に出して軽く『後押し』するぐれーにしとこーぜ」

康一「そ、そーだね。ボクたちなんかがやっても、的外れなこと言っちゃいそーだし……」

ほむら「ええ……恋愛の問題はあの子自身に任せて、
    とりあえず私たちは、あの子に魔法少女の真実を伝えることだけを考えましょう」

億泰「まあそーするしかねーか……。
   だがよ、もし何か問題が起こったらすぐ言ってくれよ!なっ、ほむら、まどかッ!」

まどか「は、はい。わかりました……」

康一「まあとにかく、明日きっちり彼女の魔法少女のイロイロを教えてあげなくっちゃあね!」

仗助「だな。そんじゃあよー、今日はもう手伝うこととかねーか?」

ほむら「そうね……今日はもう、大丈夫だと思うわ」

仗助「ならオレたちも帰るとすっかァ。じゃーな、2人とも。また明日な〜〜」

まどか「あ、はい!今日はありがとうございました。さよなら!」

そうして、3人は杜王町へと帰っていった。
あとには、私とまどかの2人が残される。

ほむら「私たちも、帰りましょうか」

まどか「うん、そうだね」

ほむら「……今日はごめんなさい。突然わけのわからないことを色々と言ってしまって。混乱したでしょう?」

まどか「あはは……最初はやっぱりびっくりしちゃったけど……でも大丈夫だよ、気にしないで。
    それより、ありがとうほむらちゃん。さやかちゃんのことまで考えてくれてたんだね。
    上条くんの怪我も治って、これで……さやかちゃん、魔法少女になっちゃったりしないよね?」

ほむら「ええ、きっと」

まどか「2人とも……恋人同士になれたら良いね」

ほむら「……そうね」

契約せずに上条くんの腕が治るなんて、こんなことは今まで一度だってなかった。
本当に……今回くらいは破滅せずに幸せを掴んでもらいたいものね。

翌日、まどか宅

まどか「……あっ、もしもしさやかちゃん?」

さやか『はいはいさやかちゃんですよー。どーしたの、メールじゃなくて電話なんてさ?』

まどか「あ、えっとね。もうほむらちゃんから今日のことは聞いてる?」

さやか『あー、なんか話があるってやつ?うん、聞いてるよ』

まどか「そっか!うん、だったら良いの。確認しておきたくて」

さやか『む?そんなにこのさやかちゃんが信用できないとー?』

まどか「あっ、ち、違うの!そうじゃなくてその……」

さやか『あははっ、ジョーダンだよジョーダン!ごめんごめん!
    まーとりあえず、すごく重要な話だってことは分かったわ。そんなわざわざ電話で確認してくるくらいだしね」

まどか「う、うん……」

まどか「あ、そうだ……今日ってもう、上条くんのお見舞いには行った?」

さやか『……あー……いや、行ってないよ。っていうか、今日は行かないかな……』

まどか「……そうなの?」

さやか『うん……。恭介、入院が長引いてなんていうか……結構、参っちゃってるみたいでさ。
    それでちょっと……なんとなく行き辛いかな、って』

まどか「……ねえ、さやかちゃんっ!」

さやか『わっ!な、なによ?いきなり大声出して』

まどか「今日の話聞いたらね、きっとさやかちゃんすっごく元気になるよ!
    だからね、その、えっと……」

さやか『……あははっ。ありがと、まどか。どんな話か楽しみだね!
    ま、遅刻しないように気を付けますっ。そんじゃ、また後でね!』

まどか「う、うん!また後で!ばいばい」




さやかちゃんと上条くん、ケンカしちゃったのかな?
昨日の上条くんの様子からなんとなくそんな気はしてたけど……。

でももう上条くんの怪我は治ったんだし、それを聞いたらさやかちゃんだって元気になってくれる。
早く教えてあげたいな。
きっとすごくびっくりして、最初は信じてくれないんだけど、
一緒にお見舞いに行って、元気な上条くんを見て……。
そのまま告白……とまでは上手くいかないかな。

でも、さやかちゃんの喜ぶ顔が見られるのはわたしもすごく楽しみ。
もうすぐ待ち合わせ場所。
ここを進めば……

『まどか、まどか』

まどか「……え……?」

今、何か……。
頭の中に直接……もしかして、テレパシー……!?

まどか「だ、誰?誰なの……?魔法少女……?」

  『まどか。君に大切な話があるんだ。君の命に関わるかも知れない、重要な話だ』

まどか「えっ?い、命に……!?」

  『そうさ。話を聞いてくれるかい?』

まどか「で、でも、どこに……」

  『ここだよ、ここ』

まどか「え……。ッ!?あ、あなた、もしかして……キュゥべえ!?」

QB「ああ……やっぱり僕のことは聞かされているんだね」

QB「どこまで聞いたのかは知らないけど、初めに弁解しておこう。
  僕は君の敵じゃないよ。むしろ味方と言っても良い」

まどか「っ……」

QB「やれやれ、信じられないという表情だね。まあ、それは仕方ないとしよう。
  ところで、君はもうほむら以外の魔法少女には会ったのかな?
  巴マミ、佐倉杏子、美国織莉子、呉キリカ。彼女たちのことは知っているかい?」

まどか「……知ってるよ」

QB「そうか。そして君は、彼女たちのこともみんな信用しきっているのかな。
  だとすると、それはおかしいことだよね?
  僕のことを疑うのなら、初対面の彼女たちだって信用するに値するとは思えないよ。
  その相手が君にとって危険人物かも知れないのに」

まどか「ど……どういう意味?」

QB「美国織莉子と、呉キリカ。この2人は、君のことを殺そうとしていたはずだよ。
  少なくとも、昨日の午前中の時点ではね」

まどか「……え?」

QB「聞こえなかったかい?だから、あの2人は君のことを……」

まどか「う、うそ!そんなはずない!」

QB「嘘なんかじゃないさ。紛れも無い事実だ。
  殺される理由は……その様子を見ると、察しはついているようだね」

まどか「ッ……」

QB「今君が生きているところを見ると……どうやら彼女たちは計画を変更したらしい。
  だけど、ほんの数時間の間に目的さえも丸っきり変えてしまうなんてことがあるかな?
  つまり……今すぐには殺さなくても、機を狙って殺そうとしている可能性が十分にあるということだ」

まどか「そ、そんなはず……」

QB「僕の立場から言わせてもらえば、まどか。今君は非常に危険な状況に置かれている。
  このままだと、何の抵抗もなく突然殺されてしまうかも知れないよ。
  だけど……君には自分の命を守るための力が備わっている。
  だから僕と契約して、魔法少女に……グギュッ!?」

まどか「ッ!?え……!?」

キリカ「危ない危ない!ギリギリせーふっ!間に合ったよ!」

まどか「キ、キリカさん……!?」

キリカ「まったく、油断も隙もあったもんじゃない。私たちの目を盗んで契約しようだなんてさ」

QB『キリカ……この足を、どけてはくれないかな。潰れてしまうよ』

キリカ「あははははッ!どけるはずないじゃないか!むしろこのまま潰してあげるよ」

まどか「っ……!あ、あの、何も、そこまでしなくても……」

さやか「まどか!あんたこんなとこで何して……。っ!?」

まどか「!さやかちゃん!」

キリカ「ん?ああ……君が例の。話は聞いてるよ」

さやか「あ、あんた、誰!?何してんのよ……!?」

QB『さやか、まどかを連れて逃げるんだ……!』

さやか「!?え……!?」

QB『まどかが殺されてしまうかも知れない!この子は、目的のためには手段を』

キリカ「うるさい」

QB「ギュブッ……」

まどか「ひっ……!?」

さやか「こ、殺した……!?」

キリカ「まったく、余計なことばっかりペラペラペラペラ……。
    でも、まあ、うん。そうだね。
    今すぐ逃げた方が良いっていうのはその通りだよ。『死にたくなければ』ね」

まどか「……そ、んな……」

さやか「ま、まどか!何ボーッとしてるの!逃げるよほら!早くッ!!」

キリカ「私はもうちょっとだけここに残るけど……キミたち、早く逃げなきゃ死んじゃうよ?」

まどか「ッ……」

キリカ「おっ、やっと逃げたね。ホラホラホラホラ!もっと速く走らないと死んじゃうよ!速く速く速く速く!」

キリカ「……自分で急かしといてなんだけど、何か変だなあ」

織莉子「キリカ!」

キリカ「!織莉子、やっと来てくれたんだね!」

織莉子「ごめんなさい、遅くなってしまって。でも、間に合って良かったわ。
    2人ともここから逃げてくれたようね」

キリカ「ああ、うん。そのことなんだけどさ。あの子たち、私を見て怯えてたような……」

織莉子「え……?……貴女、説明はきちんとしたの?」

キリカ「えっと、それがさ、その、まあ、うん。かなり省いちゃった。
    とにかく契約を止めることと、ここから逃がすことだけを考えてたから……。
    ご、ごめんよ織莉子、あの、えっと、私は、えっと……」

織莉子「大丈夫、怒ってはいないわ。ただ、少し急いだ方が良いわね。私は今からあの子たちを追うわ。
    貴女は今から現れる魔女を倒したら、すぐに追いついてきて。1人でもできるわね?」

キリカ「う、うんわかったよ、すぐに倒してキミのところへ行く!」

織莉子「ええ。それでは、また後で」

今日はこのくらいにしておきます。




さやか「な、何なのよ今の!まどか、さっきの知り合い!?何がどうなってんの!?」

まどか「わ、わかんない……キリカさんが、織莉子さんが、そんな……」

さやか「とにかく、ちょっとでも遠くに逃げよう!あいつ、まだ追いかけて来てな……」

織莉子「大丈夫、もう逃げる必要はありません」

さやか「っ!?ま、また変な格好の……」

まどか「織莉子さん……!」

さやか「ま、まさかさっきのヤツの仲間!?」

織莉子「貴女たちは誤解をしているわ。キリカは鹿目さんを襲ったわけではない。
    あの場所に魔女が結界を張ろうとしていたから、逃がそうとしていたの」

まどか「えっ……?」

さやか「は、はあ?何言ってんの?魔女!?そんなわけわかんないこと言って……」

まどか「ま、待ってさやかちゃん……!」

さやか「まどか!?なんで……!」

まどか「お、織莉子さん、それ、本当ですか……?」

織莉子「ええ、もちろん。私達が貴女を襲う理由なんてないでしょう?」

まどか「じゃあ……わ、わたしを殺そうとしていたって言うのは……!?」

織莉子「っ……!キュゥべえから、そう聞かされたのかしら……?」

まどか「はい……」

織莉子「……どうして私達が、貴女を殺そうとするの?」

まどか「わ……わたしが、世界を滅ぼす魔女に、なるから……」

さやか「なっ……え、な、何?どういうこと?」

織莉子「…………」

まどか「だ、だから契約する前に、殺そうとしてる……そ、そうなんですか……?」

織莉子「……初めは確かにそうだったわ。私とキリカの目的は、鹿目さん。貴女を始末することだった」

まどか「ッ……そ、そんな……!」

織莉子「だけど、今は違うわ。彼らに諭されて、私達は考えを改めた。
    今は暁美さんたちと同じ。貴女を守り通すことを目的としている」

さやか「それ、信用しろって言うの……!?
    よ、よくわかんないけど、そうやって油断を誘って……」

織莉子「殺すつもりなら……もうとっくに殺しているわ」

さやか「っ……!」

織莉子「2人とも、お願い……。私を、私達を……信じてはくれないかしら」

まどか「!変身を……」

さやか「ふ、服が……何なのよ、これ……何が、なんだか……」

ほむら「美樹さん、鹿目さん。彼女のことは信用して大丈夫。私が保証するわ」

さやか「ほむら!?……え……!?」

杏子「はあ……ったく。面倒くさいことになったよね、ほんと」

キリカ「ご、ごめん……。私が悪かったよ」

まどか「みんなっ……!」

織莉子「キリカを手伝ってくれていたの?」

ほむら「ええ。結界の反応があったから行ってみたら彼女が戦っていて……
    事情を聞いて急いでここまで来たのよ」

さやか「な、なんでほむらがそいつと一緒に居るの!?っていうか、その人たちは……」

ゆま「おねえちゃんっ。キリカはわるい魔法少女じゃないよ。
   わるかったけど、もうわるくなくなったんだよっ」

さやか「なっ……!こ、こんな小さい子まで……」

マミ「ほら呉さん、2人に謝って」

キリカ「えっと、うん、その……ご、ごめんよ。私のせいで、怯えさせちゃって……。
    で、でも、あの、誤解なんだよ、ほんとに!
    私はキミたちをどうにかしようなんて思ってないんだ!ほんとだよ!信じてくれ!」

さやか「そ……そんな簡単に信じられるわけないでしょ!?
    あんな、生き物をなんでもないみたいに殺しちゃうようなヤツのこと……!」

杏子「生き物ってのは、こいつのことかい?」

QB「やれやれ……もう少し丁寧に扱ってくれないかな」

さやか「っ!?う、うそ、なんで……!」

まどか「た、確かにさっき、キリカさんに……!」

ほむら「鹿目さんには昨日説明しておくべきだったわね。
    こいつは……キュゥべえは、殺したところでいくらでも復活するのよ」

さやか「で……でも、だからって……」

キリカ「私達は鹿目まどかを殺すんじゃなくて守ることに決めたんだよ。本当だ!」

さやか「だ、だからその、まどかを殺すとか守るとか……何なのよ!?意味わかんないじゃん!
    魔女がどうとか!その生き物も!ほ、ほむら!まどか!あんたたち何か知ってるの!?」

ほむら「だからそれを説明するために、今日呼び出したのよ」

さやか「……!じゃ、じゃあ、早く説明してよ……!」




ほむら「——これが今まで起こったことと、私達の現状。理解してもらえたかしら」

さやか「し、正直言って、信じられないような話ばっかりだけど……。
    実際に、『魔法少女』は目の前に居るわけだし……その話は、信じるよ。でも……」

織莉子「……私達のことは、信じられない。そういうことかしら」

さやか「当たり前でしょ!だって……!」

まどか「さやかちゃん……わたしはね、その……織莉子さんもキリカさんも……もう大丈夫だと思うの」

さやか「え……!な、何言ってんのよ!?確かに今は大丈夫かもしれないよ!?
    でもさ!これからずっとそうだとは限らないじゃん!
    その、何?『ヘブンズ・ドアー』とかいう『能力』なら安心だって言うけどさ!
    本当に安心できるのかも、2人がその『能力』を信用してるのかもわかんないんだよ!
    『気が変わった』とか、『やっぱり念のため』とか、そんな理由で殺されちゃうかも知れないんだよ!」

キリカ「え!ちょ、ちょっと待ってよ!そんなことないって!
    『ヘブンズ・ドアー』さえあれば鹿目まどかを殺す必要なんてない。
    それは私も織莉子も心の底から確信してるし、信用してるよ!」

さやか「本当にそうだったら良いけどね……!」

ほむら「っ……」

この子は……私の話した内容に関しては、信用してくれている。
『魔法少女』の真実や『スタンド使い』の存在、キュゥべえの正体……。
これらに関しては、疑いはしていない。

ただ問題なのは、美国さんと呉さんがまどかを狙っていた理由、狙わなくなった理由。
これらを『理解』はしているけど、『納得』していないということ……!

『スタンド能力』を……『ヘブンズ・ドアー』を目の当たりにした者なら、
その『能力』を使えばまどかの安全が保障されるという事実を疑うわけがない。
美国さんと呉さんがまどかを殺すのをやめたということも、十分に『納得』ができるはず。

だけど美樹さんは、『スタンド能力』を知らないから……信用しきれない。
『ヘブンズ・ドアー』のことも……美国さんと呉さんのことも。
まどかと違って、彼女たちと会話だってほとんどしたことがないのだから……

億泰「オ!見付けたぜ!全員こんなとこに居やがった!」

康一「や、やっと見つけた……!心配してたんだよ、誰も居ないからさぁ〜〜〜」

仗助「何してんだよこんなとこでよォ〜〜〜待ち合わせ場所にも来ねえでよォ〜〜〜」

さやか「……!」

億泰「ン?よぉー、『美樹さやか』か、おまえ?」

康一「君がさやかさん?前に一度公園で会ったよね!覚えてくれてるかなぁ?」

さやか「……覚えてるけど……」

まどか「さやかちゃん、この人たちだよ!さっき話した、『スタンド使い』」

さやか「!こ、この人たちが?」

仗助「なんだ、もう話しちまったのか?別に良いけどよォー」

ほむら「……ちょうど良かったわ。美樹さん、今から病院に行きましょう」

さやか「は……?び、病院?なんで?」

まどか「!ほむらちゃん、もしかして……」

ほむら「ええ。上条くんに会いに」

さやか「な、何で今、恭介に会いになんか……!」

ほむら「必要だからよ。彼を見れば、あなたも少しは『スタンド能力』の信頼性の高さを理解できるはず」

さやか「な……何言ってんの!やだよ……だってそれ、みんな行くんでしょ?
    ほむらやまどかだけならまだしも、なんでこんな……」

杏子「はあ……自分が惚れた男にこんな得体の知れない連中を会わせるなんてイヤだってかい」

さやか「ッ!?あ、あんたたち、恭介のこと知ってるの!?」

マミ「話くらいは……ごめんね」

億泰「オイオイ待ちなっ!『得体の知れない』だと〜〜〜?そりゃあオレたちのことか!?」

康一「いや当たり前だよ億泰くん……考えてもみてよ。
   結構勇気の居ることだと思うよ、初対面の『不良高校生』を会わせるっていうのはさ……」

仗助「でもよォ〜〜少なくともオレは昨日既に『会っちまってる』しよぉ。だから……」

さやか「ッ!?ど、どういうこと!?恭介に会いに行った!?なんで!?」

仗助「オ、オイ落ち着けよ。オレは別に何も……い、いや、したことにはしたけどよォ〜〜〜」

さやか「な、何したのよ!?恭介に何したのッ!?」

ほむら「美樹さん、落ち着いて……」

さやか「ッ……恭介……!」

まどか「あっ!?さ、さやかちゃん!?」

ゆま「走っていっちゃった……」

康一「き、きっと病院に向かったんだ。恭介くんの無事を確かめるために……」

億泰「ウ〜〜ム……なんつーか『思い込み』の激しいヤツよの〜〜〜」

杏子「あいつさ……別にキリカの『説明不足』がなくてもあんな感じになってたんじゃないの?」

キリカ「え。じゃあなに?私はそんなに悪くないっていうこと?」

織莉子「こら、キリカ?貴女は反省しなくては駄目よ!」

キリカ「うわあ!ご、ごめん!反省する、反省するよ!そう、全部私が悪かったんだ!うん!」

マミ「それより、追いかけた方が良いんじゃないかしら……?
  上条くんの姿を見ればすぐ誤解は解けるでしょうけど、どちらにしろ説明は必要でしょう?」

まどか「だ、だったらわたしが追いかけて、説明します!」

ほむら「……私も行くわ」

億泰「よしッ!そんじゃあオレも……」

杏子「待ちなよ、あんたはやめた方が良いだろ。っつーか、『あたしたちは』か」

ゆま「?ゆまも?」

康一「そうだね……。ボクたちじゃあなくて、さやかさんの友達……。
   つまりまどかさんとほむらさんに任せておいた方が、きっと彼女も落ち着いてくれるはずだ」

仗助「そーだな。今のあいつを考えりゃあ、それが良いぜ」

織莉子「では……お願いするわ。鹿目さん、暁美さん」

ほむら「ええ……ついでにあなたたちへの疑いも晴らせるよう、説得してみるわね」

キリカ「!それは助かるよ。ぜひお願いしたい!」

まどか「が、頑張ります!行ってきますね!」

病院

さやか「はあ、はあ、はあ……き、恭介!」

恭介「わっ!さ……さやか?どうしたんだい、そんなに慌てて……」

さやか「良かった、無事だ……!」

恭介「……?無事って、何が……」

さやか「あ、あのさ!昨日、不良の高校生がここに来たって本当!?」

恭介「え?ああ、うん。鹿目さんと、それから暁美さんも一緒だったよ。
   彼女たちの友達だって聞いてたけど……さやかとは友達じゃないのかい?」

さやか「な……何かされなかった!?変なこと、何か!」

恭介「へ、変なこと?別に……彼がしたことと言えば、ただ挨拶して、握手して……。
   そしたらすぐに帰って行っちゃったよ。ちょっと変わった人だなあとは思ったけど……」

さやか「あ、挨拶、握手……?」

恭介「うん、それだけだよ。……それより、さやか。君に言わなくちゃいけないことがあるんだ」

さやか「い……言わなくちゃいけないこと?」

恭介「実はね、ちょうどその彼が帰った直後くらいなんだけど……
   僕の怪我が、完全に治っちゃったんだよ……!事故に遭ったのがウソみたいに!」

さやか「……え?な……なに?今、なんて……?」

恭介「信じられないかい?でも……」

さやか「!ちょ、ちょっと恭介、危な……え!?」

恭介「ほら、こうして自分の足で立てるだろう?
   もちろん足だけじゃないよ。指だって、思い通りに動かせるんだ!」

さやか「……うそ……」

恭介「僕も最初は夢か幻でも見てるんじゃないかと思ったよ。
   先生も、まったく原因がわからない、まるで奇跡だ、って……」

さやか「ほ……本当?本当に、治ったの?」

恭介「もう、本当だよ。ここにヴァイオリンがあれば今すぐだって証明できるんだけど……」

さやか「ま……またヴァイオリン、聴けるの?恭介のヴァイオリン……」

恭介「もちろんさ。何度だって聴かせてあげられるよ」

さやか「っ……恭介、恭介ぇ……!」

恭介「君には、お礼を言わなくちゃいけないね。毎日お見舞いに来てくれて本当にありがとう。
   それと、ごめんね……。最近の僕は、本当に酷いヤツだったと思う。
   怪我が治らないからって、1人でふさぎ込んで、イライラして……」

さやか「う……ううん、良いの、そんなの!気にしないで!
    あたしは、恭介の怪我が治っただけで十分!すごく嬉しい!」

恭介「……そっか。ありがとう、さやか」

まどか「さやかちゃん!……あっ」

恭介「!鹿目さんに、暁美さん……」

ほむら「……ごめんなさい。邪魔してしまったかしら」

さやか「っ!?じゃ、邪魔って何が!?そ……そうだ、恭介!
    あたし、まどかたちと大切な話があるんだったよ!だからもう行くね!」

恭介「え?そっか、わかったよ」

さやか「退院する前にまた来るから!……おめでとう、恭介!じゃあね!」




まどか「良かったね、さやかちゃん!上条くんの怪我が治って!」

さやか「電話で言ってた『元気になる話』って、このことだったんだね……。
    本当に、その通りだよ。だって、全然思わなかったもん。まさか恭介の怪我が治ってるだなんて……!」

ほむら「……どうして突然、彼の怪我が治ったのか……。もう、察しは付くわね?」

さやか「!そ、それじゃあ、やっぱり……」

まどか「うん!仗助さんが『スタンド能力』で上条くんの怪我を治してくれたんだよ」

さやか「っ……あんなに長く入院しても治らなかったのに……。
   でも、あの人がやったのは挨拶と握手だけだって、恭介が……」

ほむら「ただ少し触れるだけ……それだけで治せるのよ。それが彼の『能力』。
    たとえ手足が千切れようと、命さえあればどんな怪我でも一瞬で治せる。
    『スタンド能力』は、私たち魔法少女の常識さえ軽く超えるわ」

さやか「……そう、みたいだね。常識外れだよ、ほんと……」

ほむら「これで……『納得』できたかしら。
    美国さんと呉さんが『ヘブンズ・ドアー』を信用して、まどかを殺すことをやめたということに」

さやか「……!う、うん……。確かに、こんなすごい『能力』があるんなら……。
    これから先あの人たちの気が変わるなんてこともないのかも……」

まどか「よ、良かったぁ……。さやかちゃん、分かってくれたんだね!」

さやか「あはは、なんか変なの。命狙われてた張本人の方が、相手を信頼してるなんてさ」

まどか「あ……い、言われてみれば確かに」

ほむら「美樹さんが疑い深すぎるのだと思うけど……」

さやか「そんなことないでしょ……だって、友達を殺そうとしてた相手だよ。
    そんなの疑うに決まってんじゃん。
    まあ、今は殺すのやめた理由に『納得』できたし、信用するけどさ」

ほむら「……そうね」

康一「!3人とも戻ってきたよ!」

マミ「……良かった。あの様子を見ると、大丈夫そうね」

さやか「……!あ、あのっ!!」

仗助「おおッ?な、なんだァ?」

さやか「さっきは本当にごめんなさい!それと、ありがとうございました!」

仗助「!あ〜〜、いーって別によォ〜〜。
   それよりよ〜〜、もう大丈夫かよ?織莉子とキリカの件に関してはよォ〜〜〜」

さやか「はい……。もうまどかを殺すことはないんだって、
    『スタンド能力』のすごさを知って、わかりました。そのことについては信用します。
    えっと……さっきは、魔女から助けてくれてありがとうございました」

キリカ「いやー、良かったよ!わかってくれたんだね!」

さやか「まあ、はい……そうですね」

織莉子「……とにかく、わかってもらえて嬉しいわ。
    とは言え、私達が貴女の親友に殺意を抱いていたことも事実……。
    その償いというわけではないけれど、これからは精一杯、貴女の親友も、貴女のことも守らせてもらうわ」

さやか「……!その……はい。よろしくお願いします」

ほむら「…………」

美樹さんがまだ少し壁を作っているように見えるのは、たぶん気のせいじゃない。
まどかを殺すことはない……その事実を『信用』するとは言っても、
一度親友を殺そうとした相手を心から『信頼』できるかは別問題みたいね。

……これについては仕方のないことかも知れない。
事実私だって2人が協力してくれると言ってくれた時、
嘘をついていないとは思いつつも、『信頼』はできなかった。
心を開くことができたのは、巴さんの件があったから……。

これに関しては、私たちが何か言ってどうにかなるようなものでもない。
まあ、それでもさっきまでの状態に比べれば遥かに良くなっていることは確か。
美樹さんも、出来るだけ心を開くようにはしているようだし……状況は決して悪くはないわね。
あとは欲を言えば……

億泰「!そー言やあよォーさやか。おまえ、恭介のヤツとはどうなんだよ?」

さやか「は、はいっ?何、恭介がどうしたってっ?」

仗助「ま、またトートツだなおめーはよォ〜〜〜。
   もーちょい『流れ』っつーもんがあんだろうがよォ〜〜〜」

康一「そ、そーだよ!なんていうかこう……さり気ない感じにさぁ〜〜〜」

QB「へえ……さやか、君は恋愛で悩んでいるのかい?」

さやか「!あ、あんたまだ居たの!?」

杏子「一応ずっと捕まえといたからね」

億泰「てめーは話に入ってくんじゃあねーよ!コラッ!」

ゆま「キュゥべえはもうあっち行ってっ!」

QB「話に参加するくらい別に良いじゃないか」

仗助「ケッ!どぉ〜〜せ契約に結びつけるつもりだろーが!
   ゆまの言うとおりどっかへ消えな!ブッ潰されたくなけりゃあよーーっ」

QB「やれやれ、嫌われたものだね。わかったよ」

康一「まったくムカツクなぁ〜〜キュゥべえ!あの様子じゃあ、まだ契約を諦める気はないぞ!
   2週間後には気合を入れなくちゃあいけないね!」

億泰「まったくそのとおりだぜッ!……で、話を戻すがよぉ〜〜。どーなんださやか?
   おまえ好きじゃあねーのかよ?恭介のことがよォ〜〜〜〜」

さやか「なっ……何よいきなり!?べ、別にそんなんじゃないし!」

まどか「さやかちゃん……」

杏子「ん?なんだよ、話が違うじゃんか」

さやか「は、話って……恭介はただの幼馴染!それだけだよ!別に好きとか、そういうんじゃ……!」

ほむら「……本当にそうだったら苦労しなかったのに」

さやか「え……?どういう意味よ?」

ほむら「いいえ、なんでもないわ」

まどか「あ、あのね、さやかちゃん!わたしはね、その……さやかちゃんと上条くんって、
    すっごくお似合いだと思うな!もしもさやかちゃんが告白したら、きっと上手くいくと思うの!」

さやか「ちょ、ちょっとまどか、あんたまで……!」

まどか「だからね、えっと……わたし、応援してるね!」

さやか「いや、だから……」

億泰「フム……おまえがそう言うんならオレたちも何も言えねーけどよ〜〜〜。
   心の中に思ったことをした方が良いぜ。正直によォ〜〜〜」

康一(お、億泰くんが『マトモ』なことを言っている!)

仗助「ほぉ〜〜〜、たまにゃあ良いこと言うじゃあねーか億泰。
   その通りだぜさやか。まっ、こいつほど『単純』になる必要もねーけどなァ〜〜〜」

さやか「は、はあ……。えっと、それより!もうちょっと色々な話を聞かせてよ!
    まだみんなのこともよく知らないし、これからの事とか、色々さ!」

ほむら「……そうね。それも必要なことね。
    じゃあ改めて、今度はもう少し細かいところまで説明するわ」




さやか「——それじゃあ……本当にみんな、大丈夫なんだね?
    魔女になっちゃうとか、そういうのについては……」

杏子「ああ。だから心配とかは要らないよ。
   もうまどかにたっぷりしてもらったからさ、こう言っちゃあなんだが流石にもう腹いっぱいだ」

まどか「あはは……な、なんだかごめんなさい」

さやか「そっか……うん、わかった。もうそのことで心配はしないよ。
    えっと、ところで……これからみんなはどうするの?」

ほむら「魔女を探しに行くわ。ワルプルギスの夜に向けて、少しでも多くグリーフシードを確保するために」

仗助「オレたちはそれを手伝うために来たんだしなァ〜〜〜」

まどか「その……わたしはやっぱり、行かない方が良い、ですか?」

億泰「なにっ!まさか付いて来たいのかよおまえ!そりゃあやめといた方が良いぜェ〜〜〜!」

康一「そうだね、危険だし……。ボクもやめといた方が良いと思うなぁ」

まどか「そ、そうですよね……。ごめんなさい、変なこと言って」

杏子「あのさ……あんたまさか妙なこと考えてるんじゃないよね?
   みんな戦ってるのに自分だけ……とかさ」

まどか「えっ!あ、あの、えっと……」

杏子「はあ……ったく。図星かよ」

さやか「まどか……。いや、あんたの気持ちもわからなくはないよ。でもさ、やっぱ……」

まどか「う、うん、わかってる。大丈夫だよ、もう変なこと言わないから……」

ほむら「鹿目さん……そんな、引け目を感じることはないわ。あなたが居るから、私たちは頑張れるのよ」

まどか「!ほむらちゃん……」

マミ「そうね……少なくとも私は、鹿目さんに救われてる……。それに、魔法少女にとってはね。
   自分が守ってる人が自分のことを知ってくれてる、覚えてくれてるっていうことがとても嬉しいことなの。
   そういう人が居てくれるだけで、幸せなのよ?」

ほむら「巴さんの言うとおり……私もそう。あなたが信じて待ってくれてるということが、
    私の『希望』になる。だから、自分は力になれてないだとか、そんな風に思わないで。
    あなたは私たちに、十分すぎるくらい力を与えてくれているわ。……もちろん、美樹さんもね」

まどか「っ……!う、うん!」

さやか「な、なんかあたしは取って付けられた感がするような……。
    まあでも、まどかが元気になってくれたみたいだし良かった、安心したよ」

仗助「『納得』したみてーだな、まどか。そんじゃあ、そろそろ行こーぜ」

織莉子「ええ……近くの廃ビルにもうすぐ結界ができます。そこへ向かいましょう」

億泰「オオーーッシ!いっちょやってやるぜェ〜〜〜!」

杏子「気合は十分すぎるくらいだね……。あんたたちには期待してるよ。たっぷり魔力温存させてくれよな」

マミ「じゃあね、鹿目さん、美樹さん。キュゥべえに気を付けて帰るのよ?」

さやか「もちろん。あんなこと聞かされたんだもん。絶対契約なんかしないよ!」

まどか「え、えっと……頑張ってくださいね!応援してますから!」

ほむら「ええ……。それじゃあ2人とも、また明日学校で」

今日はこのくらいにしておきます。

予知してー(おりパイ)
重くしてー(act3)
絡め取って動き封じてー(杏子・マミ)
ウダラァアアーー!(アホ)


回復も完備してるしな(サザエさん)

今日は更新できそうにないです
明日も多分無理です
日曜は更新できます
という報告です




ほむホーム

ほむら「——今日は、そろそろ解散にしましょうか。時間も時間だし」

マミ「そうね……。あの、3人とも今日はありがとうございました。
  魔女退治だけでなくて、『会議』にも参加してくれて……」

織莉子「貴方達が率先して戦ってくれたおかげで、私達は今日はほとんど魔力を使ってません。とても助かりました」

仗助「おお、そーか?手助けになったんなら何よりだぜ〜〜」

杏子「まあそれはそれで助かるんだけど、あんまり張り切りすぎてもらってもねえ……。
   あくまであんたたちは『スタンド使い』であって『魔法少女』じゃないんだからさ」

ゆま「キョーコ、心配してあげてるの?」

杏子「……は?」

億泰「なんだァ〜〜?案外優しいとこあるじゃあねーかよ杏子ォ〜〜〜」

杏子「チッ……ああ良いよもうそれで」

マミ「あら、意外ね。てっきりムキになって否定すると思ってたけど」

杏子「ふん。助けてもらった身だからね、そりゃ文句も言い辛いっての。
   言っとくが、認めたわけじゃねーからな!」

億泰「あ〜〜分かってるって、そんな睨まなくたってよォ〜〜〜」

康一「えーっと、それじゃあボクたちはもう帰るけど……さやかさんは、本当に大丈夫なんだよね?」

ほむら「それに関しては……ほぼ間違いないと思うわ」

仗助「『ほぼ』だとぉー?『ぜってぇー確実に』じゃあねーのかよ?」

ほむら「美樹さんが契約せずに上条くんの怪我が治ったことなんて、今まで一度だって無かった。
    今のこの状況は、初めて体験するのよ……。そうは言っても、『絶対』に限りなく近いとは思うけれど」

マミ「そうよね?仮に……失恋したとしても、流石に契約はしないわよね」

杏子「あの話聞かされてそんなくだらない理由で契約なんかしたら逆に関心するよ」

億泰「しかしさっさと告っちまえば良いのによォ〜〜〜。
   好きじゃあねーとかごまかしやがってよォ〜〜〜っ」

ゆま「あのおねえちゃんはどうしてウソついちゃったんだろ?」

キリカ「自分の気持ちに嘘をつくなんて理解できないなあ。素直になれば良いのに。ね、織莉子?」

織莉子「……あの子も、貴女くらい素直だったら良かったでしょうね。
    だけど恋愛というのはそう単純なものではないわ。とても複雑なものなのよ」

キリカ「ふうーん。そういうものなのか」

マミ「やっぱり私たちには見守ってあげることしかできなさそうね。ちょっと残念だけど……」

杏子「まっ、契約しないってんならどうとでもなれば良いよ。あたしには別に関係ないしね」

仗助「……そーだな。んじゃっ、オレたちはもう行くぜ。また明日の放課後に来るからよォ〜〜」

ほむら「ええ、よろしくお願いするわね。また明日」

杜王町

仗助「ま〜〜とりあえずこれでよォ。
   大体のでっけぇー問題は片付いたっつーことで良いんだよな?」

康一「うん、だと思うよ。後はワルプルギスの夜を倒して、
   まどかさんを露伴先生のとこに連れて行って書き込んでもらえれば解決!だよね」

億泰「あとついでに言やあ、さやかの件も気になるよなっ!な!」

仗助「おめーほんと好きだよなァ〜〜〜。別に悪いとは言わねえけどよォ〜〜〜」

康一「さやかさんに関してはボクたちはアドバイスとかもできないんだし、静かに見守って……ん?」

億泰「?どーした康一?」

康一「う……ううん、なんでもないよ。それじゃあ、ボクはここで!
   仗助くん、億泰くん、また明日学校でね!」

仗助「おおーじゃあな〜〜〜」

億泰「学校かァ〜〜〜憂鬱だよなぁ〜〜日曜の夜っつーのはよォ〜〜〜〜」

康一「…………」

康一(今誰かに見られていたような気がしたけど……気のせいだよね)

翌朝

康一「それじゃあ母さん、そろそろ行くね。今日も帰りはちょっと遅くなるから!夕飯には間に合うようにするよ」

康一母「あら、今日も?最近毎日だけど……」

康一「あ、うん。ちょっとね……」

康一母「もしかして……由花子さんとデート?
     ふふっ、あんな良い娘さんなかなか居ないんだから、大事にしなくちゃあ駄目よ?」

康一「ち、違うよぉ〜〜もぉ〜〜〜。じゃあ、もう行くからね!」

康一母「ええ、いってらっしゃい」

康一「いってきまぁーす。……まったく母さんってば、からかってくれちゃって……」

由花子「……康一くん」

康一「!?ゆ……由花子さんッ!?」

康一「ど……どうして君がここに……?」

由花子「一緒に登校しようと思って、待っていたの」

康一「い、いつから?」

由花子「大した時間じゃないわ。朝の4時からよ」

康一「あッ、『朝の4時』ィ!?」

由花子「…………」

康一「い……一緒に行くんなら、先に電話でもしてくれれば良かったのに……」

由花子「……だって、勇気が出なかったんですもの」

康一「ゆ、『勇気』?……?」

由花子「康一くん……あなた、今日も放課後はどこかへ出かけるの?」

康一「え!え〜〜っと、それは……」

由花子「……言えないの……?」

康一「い、言えないってわけじゃあないんだけど、その、なんというか……」

康一(参ったなぁ〜〜〜どうしよぉ〜〜〜……。
   できれば、あんまり他の人は巻き込みたくないんだけどなぁ〜〜〜〜)

由花子「……ぐすっ……」

康一「えッ!?」

由花子「分かっているわ、康一くん……あたし、分かってるの……。
    『女の子たち』に、会いに行くんでしょう……ぐすっ……」

康一「……!」

康一(ま、まさか!見られていたのかッ!露伴先生に会いに言った『あの時』!)

由花子「康一くんあたし……康一くんが他の女の子とも遊びたいと思う気持ちは、理解できているつもりよ。
    康一くんだって男の子ですもの、だから頑張って理解しようとはしたわ。
    だけど……やっぱりガマンできないのッ!怒っているわけじゃあないわ!
    寂しくて悲しくてガマンできないのッ!ねえ康一くん!あたしはどうすれば良いの!?」

康一「ど、どうするって……!」

由花子「あなた、年下の子が好みなの?それとも、胸の大きい子が好みなの?
    だったらあたし!あなたのために若返るわ!胸だって大きくするわッ!
    だから康一くんッ!今から一緒に『スタンド使い』を探しに行きましょう!」

康一「え、ええッ!?と、突然何を言い出すんだ由花子さん!?」

由花子「あたしの体を変えることができる『スタンド使い』が、世界のどこかに居るはずだわ。
    荷物なら心配は要らないわ。ホラ見て、あたし、きちんと準備してきたのよ。
    お金だってあちこちから借りて来たし、1ヶ月くらいは旅ができるわ。
    だから康一くん、付いて来てくれるわよね?
    だってあなたがいなきゃあ、あたしの体をあなた好みに変えることなんてできやしないもの」
 
康一「ち……違うんだッ!誤解なんだよ由花子さん!
   別にボクはあの子たちの中の誰かが好みだとか、そーいうことは決してない!」

由花子「……だったら、あの女たちが勝手に康一くんに擦り寄ってきているということね」

康一「エ!?」

由花子「康一くんにその気がないってんなら話は早いわ。
    待っててね、康一くん。すぐにあの女どもを……」

康一「うわああーーーーーッ!!だ、だから違うんだってばあーーーーッ!
   わ、わかった!わかったよ!全部説明するよーーーーッ!!」

康一(昔に比べればだいぶ落ち着いたと思ったけど
   やっぱり由花子さんは由花子さんだったぁ〜〜〜ッ!)




康一「——と、いうわけなんだけど……」

由花子「…………」

康一「し、信じられないかも知れないけどホントのことなんだよ。
   ボクだってそりゃあ、いきなりこんなこと言われたら
   『マンガの見すぎなんじゃあないか?』って思っちゃうとこだけど……」

由花子「いいえ、信じるわ」

康一「え!ほ、本当!?」

由花子「康一くんがそんな下らない嘘をつくはずがないもの。
    それに嘘をつくということは、あたしを騙して他の女とイチャつこうとしているということでしょ?
    康一くんがそんなことをするはずがないもの。あたし、信じているわ」

康一「よ、良かった……」

億泰「オ〜〜〜イ康一ィ〜〜。何してんだァ?学校遅れちまうぞ〜〜〜」

康一「あ!億泰くん、仗助くん!」

仗助「ってなんだ由花子、おめーも一緒だったのかよ」

由花子「ええ。それがどうかした?」

億泰「別に康一と一緒に登校することに関しちゃあ文句はねーけどよォ〜〜。
   先に言っとくが下校はちょいと無理だぜ〜〜。オレたち、今日も用事あっからよォ〜〜〜」

由花子「……あたし思うんだけど、康一くんは別に行かなくても良いんじゃあないの?
     『ワルプルギスの夜』とかいうヤツを倒すのは、『魔法少女』の仕事なんでしょ?」

億泰「なにっ!?康一おめー、話しちまったのかよッ!」

康一「う、うん。仕方なかったんだよ……」

仗助「……話聞いてんならよ〜〜、おめーだって分かってくれるだろ〜〜?
   康一は『協力』することに決めたんだぜェ?
   一度決めたことを曲げるよーな男にゃあよォ〜〜〜なって欲しくねーよなァ?おまえもよォ〜〜」

由花子「……だったらあたしも付いていくわ」

仗助「なにィ〜〜〜〜っ?」

由花子「あたしが行くことで何か問題があるというの?」

仗助「問題っつーかよォ〜〜〜……」

康一「由花子さん……できれば、あんまり他の人は巻き込みたくないんだよ。
   魔女との戦いはやっぱり危険だし、君の気持ちは嬉しいけれど、ボクは君を危険に晒したくないんだ。
   ボクのこの気持ち、由花子さんならわかってくれると思ってるんだけど……」

由花子「康一くん……でもあたし、やっぱり少し不安なの。
     たとえ康一くんにその気がなくたって、相手の女がどうかは分からないわ。
     だからせめて一度。そう、一度で良いから……この目で見て確認しておきたいの!
     それと『康一くんにはこのあたしが居る』ってことをハッキリと見せておきたいのよ!」

康一「だ、だからそんな心配は……」

由花子「お願いよ、康一くん。一度だけ、一度だけ連れて行ってくれれば安心するから。
    そうじゃあないとあたし、きっと『ワルプルギスの夜』の問題が解決するまで一睡もできないわ」

仗助「(オ、オイどーするよ康一……。こいつの場合、マジで一睡もしねー可能性だってあるぜェ〜〜〜)」

康一「(あ、あり得る……。ここまで言うんだったら、今日くらいは連れて行ってあげても……)」

億泰「オ、オイちょっと待ちな……。オレぁ今よ〜〜〜。
   すっげぇ〜〜〜ナイスなアイデア思い付いちまったかもしんねーぜッ!」

康一「!?こ、今度は何を言う気なんだ君は……!」

仗助「ナイスなアイデアだとぉ〜〜〜〜?(信用できね〜〜〜〜っ)」

由花子「何よ?ナイスなアイデアって?」

億泰「ズバリ!由花子のヤツに『アドバイス』してもらえば良いじゃあねーか!さやかの件に関してよォ〜〜〜!」

康一「な……なんだってェ〜〜〜ッ!?

仗助「お、億泰ッ……おめーってヤツはまたブッ飛んだ発想を……!」

由花子「……?何……『さやか』?誰よそれ?」

仗助「あ〜〜えーーっと、さやかっつーのはな……」




由花子「——ふう〜〜ん……。まあ……恋に悩む気持ちはわからなくもないわね」

億泰「そこでよ〜〜!『積極性の塊』みてーな由花子、おめーによォ〜〜!
   さやかに『アドバイス』をしてもらいてぇーっつーわけだぜ!
   今日連れて行ってやる代わりと言っちゃあなんだがよォ〜〜〜!」

由花子「連れて行ってもらえるのならなんだって良いわ。『アドバイス』だってなんだってしてあげるわ」

仗助「た、確かにおまえも一時期康一のことで悩んでたし、
   そーいうヤツの言葉なら説得力もあるかもしんねーけどよォ〜〜……。
   ほ、ほんとーに大丈夫なのかよ……?」

由花子「大丈夫って……どういうこと?」

仗助「い、いやだからよ……おまえの『アドバイス』で、さやかのヤツが
   ちょいと『積極的』になりすぎねーかなぁ〜〜っつー心配が……」

由花子「……フン。私だって昔に比べればだいぶ落ち着いたわ。
    中学2年生の知らない女の子にあんまり無茶苦茶なことは言わないわよ。
    フツーに『アドバイス』すれば良いんでしょ?フツーに」

康一「そ、そうだよね!ボクも信じてるから、た、頼んだよ由花子さん!
   (どっちにしろ無理矢理付いてくるだろーしなァ〜〜〜)」




放課後、見滝原

さやか「——え〜っと、それじゃ。あたしはそろそろ……」

ほむら「上条くんのところ?」

さやか「ああ、うん。退院の予定とかも聞いておきたいし」

まどか「わたしたち、行かない方が良いかな?」

さやか「は?あ、あんたまさか、まだ昨日のネタ続けるわけじゃないでしょうね!」

ほむら「ネタというか……事実じゃない」

さやか「もう!だ、だから昨日言ったじゃん!恭介は別にそんなんじゃ……」

仗助「おっ、居たぜ……今学校終わったとこみてーだな」

億泰「早めに見付かってラッキーだったぜ〜〜〜」

ほむら「早いわね、もう来たの?まだ待ち合わせの時間じゃないはずだけど……」

康一「じ、実はちょっと、早く来なきゃあいけない用事ができたっていうか……」

まどか「あの……そっちの、女の人は?」

さやか「あれ、まどかも知らない人?」

由花子「……初めまして。康一くんとお付き合いさせていただいてる、山岸由花子です」

さやか「お、お付き合い?それって……恋人同士、ってこと?」

康一「由花子さん、そんないきなり……」

由花子「恥ずかしがることなんてないでしょ?本当のことなんだから」

康一「そりゃあそーだけどさぁ〜〜……」

ほむら「……それで、どうしてあなたの恋人がここに?もしかして……『スタンド使い』ということかしら」

由花子「ええ、そうよ。だけど『魔女』をどうこうする気はないわ。
    あたしが用があるのは、『美樹さやか』という子よ」

さやか「へっ?」

ほむら「……!」

まどか「さ、さやかちゃんに用事って……」

由花子「あなたが美樹さやかさん?」

さやか「えっと……うん、そうですけど……」

由花子「…………」

さやか「な……なんですか?そんな、じっと見て……」

由花子「フゥ〜〜〜ン……。自信持って良いと思うわよ、あなた」

さやか「は、はいっ?」

由花子「中学2年生にしてはスタイルも良いし、顔も結構可愛いじゃない。
     自信持って想いを伝えても良いんじゃあないの?」

さやか「ちょっ……な、なんのことよ?何が……」

由花子「とぼけるんじゃあないわよ。わかってるくせに」

さやか「ま、まさか恭介の……なんでこんなに広まってるわけ!?」

由花子「あなた、好きな人に告白できなくて悩んでるそうね。あたしで良ければ相談に乗ってあげるわ」

さやか「いや……だから、別にそんなんじゃないんだって!恭介はただの幼馴染なの!」

億泰「(オイオイ、まだ意地張る気かよ〜〜さやかァ〜〜〜)」

康一「(『強情』というか、なんというか……)」

仗助「(こー言っちゃあなんだが結構『メンドクセー』やつだな、こいつ……)

由花子「フン……くだらないわね。『その程度』ってことよね、それって」

さやか「え……?なに、どういうこと?」

由花子「自分の気持ちに嘘をつくなんて、本当にその人のことを好きならできっこないわ。
    最初はちょっと応援してあげようと思ったけど、所詮小娘の恋愛ごっこだったってわけね。くだらないわ」

さやか「なっ……何よ、そんな言い方ないでしょ……」

由花子「あたしは、康一くんに気持ちを打ち明けるのを怖いと思ったり、
    彼にどう接すれば良いのか悩んだりしたことはあったわ。
    だけど、自分の気持ちに嘘をついたことなんて一度だってなかったわよ。
    だって、彼のこと本当に愛していたんですもの」

由花子「でも……あなたは違うみたいね。
    『好きじゃない』なんて簡単に言えるってことは、『その程度』ってことでしょ?」

さやか「っ……」

由花子「自分で言ってる通りあなた、その……上条くんとかいう人のこと、
     なんとも思ってないのね。じゃあもう良いわ、どうでも。あなたに会ったの、無駄だったわね。
     行きましょう、康一くん。あたし、他の女の子にも会っておかないと」

康一「えっ!?でも……」

さやか「ま、待ちなさいよ!」

由花子「何よ?何か用事?」

さやか「わ……わかったわよ。認めれば良いんでしょ……!」

まどか「!さやかちゃん……!」

由花子「認める?何を?」

さやか「あ、あたしが……恭介を好きってこと……。
    だ、大体!ちょっと照れくさくてごまかしてただけだし!
    別に自分の気持ちに嘘ついてたとか、そんなんじゃないし!」

仗助「(おおっ!さやかのヤツ、ついに認めやがったぜ!)」

億泰「(やるじゃあねーか由花子〜〜〜!)」

由花子「そう……それじゃあ、告白はするの?」

さやか「えっ!いや、それは……し、した方が良いとは思うけど、でも……」

由花子「しないの?」

さやか「し、しないって決めたわけじゃ……」

由花子「恭介くんって、彼女は居るの?」

さやか「えっと……今は居ないはずだけど……」

由花子「そう。だけどきっとすぐにできちゃうわね。退院したらきっとすぐよ」

さやか「!な、なんで?」

由花子「聞いたわよ。彼、ヴァイオリンがとても上手なんですってね。天才ヴァイオリン少年だとか」

由花子「それに、顔もカッコイイんでしょ?そんなの、他の女の子が放っておくはずがないわ」

さやか「うっ……」

由花子「気持ちを伝えるのを悩む気持ちはわかるけど、伝えるのなら早くした方が良いわ。
     『彼のこと思ってるだけで幸せ』って思えるのなら話は別でしょうけどね」

さやか「あ、あたしは、その……」

康一「(さ、さやかさんの反応が変わってきた!
   『果たして由花子さんで本当に大丈夫なんだろうか』と最初はちょびっと思ったりもしたけど……。
   予想以上にちゃんとした『アドバイス』になっているかも知れないぞ……!)

さやか「は……早くした方が良いって、どのくらい……?」

由花子「決まってるでしょ。退院するまでが良いわ」

さやか「ええ!?そんな、急過ぎるよ……!そ、それにさ、退院したからって
    本当に他の誰かが告白しちゃうとも限らないんだし、もうちょっと待っても……」

ほむら「……いいえ。待つ余裕はないと思うわ」

さやか「ほ、ほむら?どういうこと……?」

ほむら「上条くんが退院したら告白すると……誰かが言ってるのを聞いたことがあるのよ」

さやか「う、うそ!?そんな……」

由花子「彼に全然相手にされなくたって良いと思うのなら、それはそれで良いわ。
    だけどそうじゃあないのなら、早く告白してしまわないと後悔するわよ。
    もう一度言うけど……あなた、見た目は結構良いんだから自信持ちなさい。
    元々彼と仲が悪いわけじゃないんでしょ?告白すればきっと上手く行くわ。
    ……まあ色々と言ったけれど、結局は決めるのはあなたよ。せいぜい後悔しない方を選びなさい」

さやか「う……か、考えておきます……」

まどか「じゃ、じゃあさやかちゃん!早く病院に行かなきゃ!
    退院の日、上条くんに聞くつもりだったんでしょ?急いだ方が良いよっ」

さやか「そ、そうだね……!えっと……ア、アドバイスありがとうございました!
    それじゃ、あたしはこれで……さよなら!」

まどか「……さやかちゃん、告白するって決めてくれるかな」

ほむら「どうでしょうね……。あの様子じゃ、まだ迷ってるみたいだけど……」

仗助「しかし由花子おめー、ああいう『アドバイス』得意なんだな!正直意外だったぜェ〜〜〜!」

億泰「やっぱりなァ〜〜!オレの睨んだ通りだったぜ!
   信じてたぜェ〜〜おめーなら上手いことやってくれるってよォ〜〜〜!」

由花子「別に、あんなの大したことないわよ。
    恋をしたのことのある女の子なら、誰だってあのくらいは言えるわ」

康一「そ、そーいうものなの?でもとにかくありがとう、由花子さん!
   同じ女の子でしかも『恋愛の先輩』からの『アドバイス』っていうのが良かったんだよ!」

ほむら「私からもお礼を言うわ。良い『アドバイス』をしてくれてありがとう。
    仮に告白が失敗しても……何もせずに失恋するよりは良いでしょうしね」

まどか「わ、わたしも。ありがとうございました!」

由花子「あたしは康一くんの手助けになると思ってやっただけよ。お礼なんかいらないわ。
    それより……他の子はまだなの?早く会ってみたいわ」

康一「あ、ああ、うん……。待ち合わせの時間はもう少し後だから、それまで待っててね……」




杏子「へー。康一あんた、マジで恋人とか居たんだね」

ゆま「おねえちゃんは康一おにいちゃんのどこを好きになったの?」

由花子「全部よ。あたし、康一くんのこと全部好きだわ」

康一「あ、あはは、照れるなぁ……」

マミ「まあ、素敵ですね。そういう恋、私もちょっと憧れちゃいます」

由花子「あなたにもきっと運命の出会いがあるわ。あたしと康一くんとの出会いのようにね」

仗助「(な、なんかよォ〜〜。由花子のヤツいつにも増して『見せ付けて』んなァ〜〜〜)」

億泰「(あーやってアピールしてんだろーぜ。
   『自分たちの間に割って入るよーな隙間はないッ!』つーことをよォ〜〜〜)」

キリカ「運命の出会い、ねえ。まっ、私には関係ないか、もう出会っちゃってるし。ね、織莉子?」

織莉子「ふふっ……そうね。私と貴女の出会いは運命に違いないわ」

まどか「わたしもいつか会えるのかなあ?運命の人……」

ほむら「……ええ、きっと」

キリカ「それはともかくとしてさ。そろそろ行かなくて良いの?魔女退治」

マミ「あ、えっと……山岸さんは、私たちのことはどこまで?」

由花子「色々と聞いているわ。『魔法少女』のことや『魔女』のことも」

杏子「へえ。そんじゃあ何か?あんたも付いてくるっての?」

由花子「…………」

康一「ゆ、由花子さん……。もうわかったでしょ?ボクは何も心配ないんだって。
   だから君はこの辺で、杜王町に帰ってて欲しいんだ。
   今朝も言った通り、由花子さんを危険な目に遭わせたくはないから……」

由花子「……わかったわ。康一くんとあたしの仲を見せてあげることもできたし。
    それにここで帰らないということは、康一くんを信じないってことだものね」

康一「そーそー、ウン!そうだよっ!ぼくを信じて、杜王町で待ってて!」

由花子「ええ。それじゃあ、あたしは先に帰ってるわね。康一くん、また明日学校で会いましょう。
    ただし……ワルプルギスの夜を倒したら、フフ、今までの埋め合わせはきっちりしてもらうわよ?」

康一「あはは……わ、わかってるよ、もちろん……」

ゆま「あのおねえちゃん、康一おにいちゃんのこと大好きなんだね」

康一「それはボクもすっごく思うよ……」

億泰「しっかし、前に比べりゃあ随分マトモにゃあなったけどよォ。
   体から滲み出る圧迫感は相変わらずよのォ〜〜〜〜」

仗助「こいつらにケンカ吹っかけやしねーかハラハラしたぜオレぁよ〜〜〜」

康一「ま、まあここに来るまでに十分言って聞かせてたからね……」

杏子「っつーか、あいつなんだったんだよ?散々ノロケ話聞かせてさ」

マミ「そのためにわざわざ見滝原まで来た……ということはないですよね?」

康一「あーえっと、実はここに来る前にね、さやかさんに会って……」

億泰「ちょいと『アドバイス』してもらったっつーわけよ!オレのアイデアだぜェ〜〜〜!」

キリカ「へー、そうだったんだ。なんて?」

ほむら「『思いを伝えるか伝えないか、後悔しない方を選ぶこと』、
    『伝えるのなら退院までに伝えること』。……要約すれば、大体こんな内容だったはずよ」

織莉子「では今、美樹さんは……」

康一「うん、病院に行ったよ」

まどか「さやかちゃん、もうどうするか決めたかな……。明日学校で聞いてみる?ほむらちゃん」

ほむら「そうね。様子を見て……聞けそうだったら聞いてみましょう」

億泰「その結果はぜひ教えてくれよな!」

マミ「お願いするわね、暁美さん、鹿目さん」

キリカ「ん?なんだ、マミも結構好きなんだね、こういうの。虹村億泰だけかと思ってたよ」

マミ「それはだって……やっぱり気になるじゃない?」

仗助「オレも流石によォーー。ここまで来りゃあ結果ぐれーは知っとかねーとモヤモヤするってもんだぜぇ〜〜」

織莉子「ではその件はまた明日に回すということで……とりあえずは魔女退治に行きましょうか」

杏子「そうだね。『会議』もあるんだし、ちゃっちゃっと済ませちまおうぜ」

ほむら「……そうね、行きましょう」

翌朝

ほむら「……美樹さん、まだ来ないわね」

仁美「『先に行ってて』とのことでしたけど……思っていたより遅いですわね」

まどか「どうしたのかな?ただの寝坊とかなら良いんだけど……」

ほむら「…………」

昨日の今日でこれは……やっぱり少し気になる。
あの後病院で、何かあったのか……。
やっぱり、こっそりでも良いから付いていくべきだったかも知れない。
悪いことになってなければ良いけど……

さやか「おっはよー!いやあ、間に合った間に合った!」

まどか「!さやかちゃ……」

恭介「あはは、のんびり歩き過ぎたね。退院早々遅刻しなくて良かったよ」

仁美「……!」

ほむら「上条くん、もう退院を……」

まどか「し、しかも2人で登校してきた……?」

中沢「よお上条、久し振りだな!もう怪我は良いのかよ?」

恭介「うん、ばっちり。完治しちゃったよ」

中沢「つーか、なんだ?退院早々、見せ付けてくれるじゃねーかオイ!夫婦で登校とはよ!」

さやか「や、やだなあ!夫婦だなんて気が早いって!ね、恭介!」

恭介「そうだね、お互い結婚できる年になるまで待たなくちゃ」

中沢「え?な、なんだよその反応……」

ほむら「……もしかしてあなたたち……」

さやか「えへへ……うん、まあね」

まどか「や……やったあー!おめでとう!さやかちゃん!」

女生徒A「うわー!やっぱり付き合っちゃったんだ2人とも!」

女生徒B「ぜーったい付き合うと思ってたもん!むしろやっと付き合ったかって感じ?」

中沢「お、おいちょっと来い上条!詳しく聞かせろよ!」

恭介「うわっ!わ、わかったから引っ張らないでくれよ」

さやか「いやー……や、やっぱ照れちゃうなあ」

ほむら「おめでとう、美樹さん。彼に気持ちを伝えられたのね」

さやか「うん……ありがと、ほむら」

仁美「あの、さやかさん……」

さやか「うん?なに、仁美?」

仁美「……本当に、おめでとうございます。私、心からお祝い申し上げますわ」

さやか「うん!ありがと、仁美」

仁美「…………」

さやか「?仁美?」

仁美「さやかさん……絶対に、絶対に幸せになると約束してください。
   もし幸せになれなかったら、すごく怒りますからね!」

さやか「えっ?あ、うん……?」

仁美「約束ですわよ!良いですね、さやかさん!」

さやか「お、おう!もちろん!幸せになるよ、絶対!」

ほむら「…………」

この様子を見ると……心配はなさそうね。
美樹さんと上条くんが付き合った場合、当然志筑さんは失恋してしまうわけだから、
そうなった時に志筑さんがどう反応するかが、唯一少し心配だったけれど……。

だけど、志筑さんは2人のことを認めてくれた。
失恋したのだから悲しくないはずがないのに……。
美樹さんも、少しはこの子を見習って欲しいわね。

放課後

億泰「ホオ〜〜ウ!そりゃあオドロキだなァ〜〜昨日の今日とはよォ〜〜〜」

康一「まさか昨日で退院だったなんてねぇ〜。よくそんないきなりで告白できたなぁ、さやかさん」

マミ「きっと、もうほとんど心は決まっていたんでしょうね。『気持ちを伝えなきゃ』って」

仗助「それか焦ってわけわかんねえまま告白しちまったのかもな!あいつのことだしよォーー」

杏子「ははっ、あり得るね」

ゆま「でもよかったねっ、あのおねえちゃん」

キリカ「まっ、これでアレだね。何も気にせずにワルプルギスの夜に集中できるね」

織莉子「ええ。あの魔女が現れるまで、残り2週間を切っているわ。集中して、準備を整えましょう」

ほむら「そうね。それじゃあ、早速出発しましょう。
    作戦会議だけじゃない……少しでも多く戦って、大勢で戦うのに慣れておく必要があるものね」




今回は、本当に色々なことがあった。
スタンド使いのことや、美国さんたちのこと。
魔法少女の秘密が知られたり、巴さんが自殺しようとしたり、
美樹さんが勘違いしたり、上条くんと付き合ったり……。

特にここ数日は、本当に濃い日が続いた。
だけどその分、一気に多くの問題が解決した。
初めはどうなることかと思ったけれど……。

おかげで残り2週間弱という時間を、今までにないベストな状態で過ごすことができる。
魔法少女が5人も揃い、まどかも美樹さんも契約する可能性は0に近い。
更に『スタンド使い』まで居る。

これならきっと、大丈夫。
今度こそ、私はこの長い旅を終わらせられる。
この2週間で、グリーフシードの回収、5人での連携の確認……やれるだけのことをやろう。
そして今度こそあいつを倒して、今度こそ……まどかを守るんだ……!

今日はこのくらいにしておきます。

告白シーンは一応考えてはいたんですが、
ちょっとテンポ悪くなるかなあと思って割愛しちゃいました。

当日

ほむら「……いよいよね」

仗助「なんつーかよォ〜〜。ここにオレ1人っつーのは妙な感じがするぜ。上手く言えねーけどよォ〜〜〜」

キリカ「1人だけ『スタンド使い』だし、男だし、高校生だしね」

杏子「寂しいってんならあいつらのとこに戻ったって良いんだぜ?」

仗助「ケッ!馬鹿言ってんじゃあねーよ!きっちり働かせてもらうぜ!オレはオレでよォ〜〜!」

マミ「ふふっ。ええ、とても頼りにしています。
   ところで美国さん……私たちの戦いの結末は、見えたりしない?」

織莉子「……残念だけど。未来は、私の行動1つで簡単に変わる。
    言い換えれば、自分自身のことや『自分が干渉している出来事』に関しては、私の『予知』はとても脆い。
    『過程』を少しずつ見ていくことは出来ても、『結果』を見ることはできないわ。
    って……この説明は以前にもしなかったかしら?」

マミ「ええ……。ちょっと聞いてみただけよ」

キリカ「なんだい、マミ。もしかして不安なの?」

マミ「不安じゃないと言えば嘘になるわ。でも、大丈夫。
   私は勝って……この街を、そして私の未来を、守らないといけないんだもの」

織莉子「っ……!みんな……準備して。もうすぐ現れる。方向はあそこだわ」

仗助「なにっ!っつーこたァ、マジにほむらの言ってたとおりだな〜〜〜!」



キリカ「さすが、未来人の『統計』は正確だね!」



杏子「っし、そろそろ行くか!仗助、怪我したらすぐあんたんとこ行かせてもらうからね!」



仗助「オオ!いつでも待ってるぜェ〜〜〜!」



マミ「みんな、頑張りましょう……鹿目さんたちが、信じて待ってくれているものね!」



ほむら「ええ……。今度こそ、決着をつけてやる……!」

ワルプルギス「アハハハハ!ウフフフ!アハハ、ウフ、アハハ、アハハハハ!」

避難所

億泰「スッゲェー風だなぁ〜〜マジでよォ〜〜〜」

まどか「これが、魔女の仕業なんですよね……」

さやか「魔女ってさ、こういうことできるヤツばっかりっていうわけじゃないんだよね?」

康一「うん……。今まで僕たちが見てきた魔女とは、やっぱりレベルが違うみたいだよ」

ゆま「でも大丈夫だよっ!キョーコたちがやっつけてくれるよっ」

まどか「うん、わたしも信じてるよ。きっとみんな、元気で帰ってきてくれるって」

康一「みんなと別れてから、どのくらいたったかなぁ?戦いはとっくに始まってるとは思うけど……」

QB「みんなのことが気になるかい?」

億泰「!テメーー!やっぱり出やがったなコラッ!『ザ・ハンド』!」

 ガオン!

さやか「うわっ!わ、わかっててもやっぱキツいなぁ、それ……」

QB「酷いじゃないか。話くらい聞いてくれても……」

億泰「うるせえダボがああーーーッ!」

 ガオン!ガオン!ガオン!

康一「ま、まるで話を聞いていない。さすが億泰くんだ……」

QB『やれやれ……仕方ない。少し離れてテレパシーで話しかけさせてもらうよ』

ゆま「えっ!ど、どこ?どこにいるの?」

億泰「テメーッ!コラ!隠れてねーで出てきやがれくそったれがァーーーッ!」

QB『潰されるとわかっているのに出られるわけがないじゃないか。
  というか、そんなに叫ばなくたって心の中で考えれば会話は出来るよ。
  そして君は少し落ち着いた方が良いんじゃないかな。話くらいは聞いてくれても良いだろう?』

まどか『は……話って、何?契約ならしないからね……!』

QB『この際、契約のことは一度置いておくよ。
  その代わりというわけじゃないけど、ちょっと質問に答えて欲しいんだ』

さやか『な……何よ、質問って……』

QB『単刀直入に訊くけれど、君たちは彼女たち魔法少女が本当にワルプルギスの夜に勝てると思ってるのかい?』

億泰「ど……どーゆー意味だ!コラッ!」

QB『だから、叫ぶ必要はないんだけどな……。まあ良い。
  君たちももう聞かされてるとは思うけど、ワルプルギスの夜は史上最大級の魔女だ。
  そんな強大な魔女を相手にして、彼女たちが5人程度で勝てると思うかい?』

ゆま『5人じゃないよ、6人だよっ!仗助おにいちゃんも居るもんっ』

QB『そうだとしても、だよ。彼女たちだけでワルプルギスの夜に勝てると簡単に信じ込んでしまうのは、
  少し楽観的過ぎると僕は思うけどね』

まどか『み……みんなが、負けるっていうの……?』

QB『可能性としてはそう低くはないんじゃないかな。尤も、君たちが居れば別だけど』

さやか『ほ、ほらやっぱり!契約の話じゃん!』

QB『僕は提案してるだけだよ。仮に君たち3人が契約したとすれば、
  まず間違いなくワルプルギスの夜は倒せるはずだ。それは断言できるよ。
  だけど彼女たちだけだと、そうは言い切れない。敗北してしまう可能性が残るんだ。
  それはつまり、彼女たち全員の死亡、もしくは魔女化を意味する』

まどか『ッ……』

億泰「て、てめえーーッ!適当こいてんじゃあねーぞ、コラッ!」

QB『適当なんかじゃないよ。僕は嘘をつかないことも知っているだろう?
  さて……もう一度訊くよ、まどか、さやか、ゆま。
  君たちは彼女たちを救う力を持っているにも関わらず、本当にただ傍観しているだけで良いのかい?
  彼女たち全滅の可能性を残してまで、そんなことをする意味が本当に……』

康一『キュゥべえ……僕からも1つ質問させてもらうよ』

QB『……なんだい?出来るだけ手短に頼むよ』

康一『君の言うことが本当かどうか、実際に目で見て確かめるというのはどうだ?
  そうすればハッキリするじゃあないか……本当に彼女たちが全滅してしまうのかどうかがね』

QB『それはそうかも知れないけど、やめた方が良いよ。危険だからね』

康一『……そうか。これでハッキリしたぞ!キュゥべえ……おまえは焦っているなッ!』

億泰「なにっ……!?どーゆーことだ康一!」

康一『考えてみたんだ。もし僕がキュゥべえの立場なら、どーするか、何を考えるか……。
   ナメクジを丸呑みしたような吐き気のする気分だったけど……こいつの気持ちになって考えてみたよ。
   そして今の答えでわかった!キュゥべえ、おまえはみんなが全滅する可能性があるなんて
   言っちゃあいるけど、実際はその逆なんじゃあないのかッ!
   みんなが優勢で、ワルプルギスの夜に勝ってしまいそうだから焦って契約しようとしているんじゃあないのかッ!
   だからボクたちに戦いを見せたくないんだろ!』

QB『…………』

さやか『ど、どうなのよキュゥべえ!そうなの!?』

康一『彼女たちは優勢なのか劣勢なのか!
   おまえが嘘をつけないというのなら、正直に答えてもらうぞ!インキュベーターッ!』

QB『……この調子で行けば、彼女たちは勝ってしまうだろうね』

まどか「っ……!」

億泰「み……見やがれ!ボケッ!やっぱり騙そうとしてたんじゃあねーかッ!」

QB『ただし、あくまでこの調子で行けば、だよ。何が原因で結果が変わるかわからない。
  彼女たちに敗北の可能性が残っているのは事実だ』

ゆま『ふんだ!でもキョーコたち勝ってるんでしょっ。だったらゆまたちは信じるよ。約束したもん!』

さやか『そうだよ!さっきはちょっとだけ不安になっちゃったけど、あたしたちの気持ちは変わらないよ!』

まどか『約束したから。みんなを信じて待ってるって……。だからキュゥべえは、諦めて……!』

QB『やれやれ……。まあ、何か戦況に変化があればまた来ることにするよ。
  次に来るときは本当に彼女たちが劣勢の時だから、それまでに色々と考えておいてくれると助かるな』

康一『もう二度と来ないことを祈ってるよ』

QB『……それじゃあ、またね』




織莉子『巴さんはそのまま射撃を続けて!佐倉さんは3m左に移動!キリカは5秒後に下から崩して!』

マミ「おっけー、任せて!」

杏子「おおっと!危ない危ない、助かったよ織莉子!」

キリカ「3、2、1……せーのっ!」

ワルプルギス「ッ……アハ、ウフフ……アハハハ……!」

ほむら「……!さすが、指示が的確ね……」

美国さんの『予知』……。
味方になればこれほど頼もしいものだったなんて。
彼女の指示のおかげで、私たちはまったくと言って良いほど攻撃を受けずに済んでいる。
この調子なら……

仗助「……こりゃあ、オレの出番はないかもしんねーなァ〜〜〜」

織莉子『!東方さん!10秒以内にそこから移動して!50mほど!』

仗助「!?わ、わかったぜェーー!」

ワルプルギス「アハハ、アハハハハハ!」

仗助「うおっ!?何か飛んで……ビルか、ありゃあーー!?
   危ねえ……!直撃コースだったぜ、あそこに突っ立ってたらよォーーッ」

QB「さすがの君も、ビルが丸ごと飛んできたら防げないというわけかい?」

仗助「!?キュゥべえ、てめーいつの間に!」

QB「少し前からだよ。まどかたちのところに行ってきたんだけど、あしらわれてしまってね。
  それでさっきから劣勢になるのを待っているんだけど……。
  このまま何も起こらないと戦況は変わりそうにないね。
  魔力もまだ少し余裕があるみたいだし、本当にワルプルギスの夜に勝ってしまいそうだ」

仗助「ケッ!目論見が外れたみてーだな!良い気味だぜッ!」

QB「……何か起きるとすれば、そろそろだと思うんだけどな」

仗助「なに……?どーゆーことだてめー!コラ!『何か』っつーのは……」

織莉子『みんなッ……!急いで魔女から離れて!!出来る限り遠くにッ!!』

ほむら「まずい……!」

仗助「っ……!?ほ、ほむら!?おまえ時間を……」

ほむら「じっとして!」

ワルプルギス「ウフ、ウフフ……アハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

仗助「うぐぁ!?」

ほむら「ぐっ……!」

その瞬間、激しい衝撃が私たちを襲う。
時間を止めてかなりの距離を取ったはずなのに、この衝撃……。
だったら、他のみんなは……!

……嫌な予感がする。
この衝撃が治まれば、すぐにみんなのところに行かないと……。
お願い、早く。
早く、攻撃が終わって……!

避難所

康一「な、なんだ!?この衝撃は……!」

さやか「まさか、あの魔女が……」

億泰「ここまで揺れるっつーことは、あっちじゃあかなりヤベェー衝撃に違いねーぜ……!」

ゆま「だ、だいじょうぶだよねっ?キョーコ、だいじょうぶだよねっ」

まどか「う、うん!大丈夫だよ!さっきのもきっと……」

QB「残念ながら、そうでもないよ」

億泰「ッ!てめー!また出やがっ……」

康一「ま、待って億泰くん!こいつが再び現れたということは……!」

QB「今の衝撃は、ワルプルギスの夜の攻撃だ。
  あんな攻撃を受ければ当然、無傷では済まない。
  少なくとも数人は、戦闘不能レベルの怪我を免れないだろうね」

さやか「ふ……ふん!怪我とかしたって、仗助さんが居るじゃん!
   あの人が居ればそんなの関係ないよ!」

QB「まあ、それはその通りだ。魔法少女はソウルジェムさえ無事ならとりあえずは死なないんだから、
  東方仗助が居れば、全員生き残れる確率は十分にある。だけど、問題はその後だ」

ゆま「そ、そのあと……?」

QB「ソウルジェムさえ無事なら良いとは言っても、あれほどの衝撃を
  まったくの無防備で受けてしまえばそのソウルジェムだって無事では済まない。
  当然、魔力で守りを固める必要がある。
  その防御に使う魔力量が、生半な量じゃ済まないということがまず1つ問題だ」

康一「つまり……攻撃で死ぬことはなくても、魔女化はしてしまう。そう言いたいのか……!?」

QB「グリーフシードも少しは残っていたようだし、すぐに魔女化することはないだろうね。
  僕が言いたいのは、残った魔力でワルプルギスの夜を倒しきれるかが分からないということだよ。
  それもただ倒すだけじゃない。『時間内に』倒さなければならないんだから」

億泰「『時間内』だァ〜〜?どーゆー意味だ!コラッ!」

QB「状況が変わったのさ。さっきの衝撃は、『変化』の前兆だ。
  完全に『変化』を遂げてしまう前にあの魔女を倒さないと……君たちも全員、死んでしまうよ」




ほむら「っ……はあ、はあ、はあ……」

仗助「ほ、ほむらおまえ、オレを守って……!
   傷だらけじゃあねーか!『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!」

ほむら「!あ、ありがとう、助かったわ……」

仗助「そりゃあこっちのセリフだぜ!そ、それよりよォ!なんだったんだ今のはよォ〜〜!」

ほむら「その話はあとよ……!私の手に掴まって。早く、みんなを探しにいかないと……!」

仗助「あ、ああ!そーだな!」

ほむら「っ……」

私が最後に見たみんなの位置と、衝撃の大きさ、向き……。
それを考えると、この辺りのはずなんだけど、瓦礫が多すぎて、わからない……!

ほむら『みんな、どこに居るの!?無事!?聞こえているなら返事をして!』

ほむら「っ……みんな、お願い……!」

仗助「……オ、オイほむら!見な、あっちだ!」

マミ「こ、この、声……」

杏子「……!た、助かった……もう大丈夫だぞ、マミ!
  あたしの魔法じゃどうにもならないとこだったが、仗助が来てくれた!」

ほむら「!良かった、2人とも生きて……。っ……!?」

確かに……2人とも、息はあった。
ただ、とても無事とは言えない。
杏子は、右側の手足がおかしな方向に曲がって……。
そして巴さんは、首から下が……完全に瓦礫に押し潰されていた。

ほむら「東方さん……!」

仗助「わかってるぜ!『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!
   そこの瓦礫をブチ壊し、同時にマミを治すッ!ドララララアーッ!」

マミ「っ!な、治った……。東方さん、ありがとうございます……!」

仗助「おめーもだ杏子!右手を右足を治すッ!」

杏子「……!わ、ワリー。助かったよ、ほんと……。くそっ、マミあんた無茶すんじゃねーよ!
   あたしを庇って自分が潰されてんじゃ意味ないじゃんか!相変わらずだなマジで!馬鹿野郎!」

マミ「だ、だって……」

ほむら「2人とも、言い争いは後にして!今は早く、美国さんと呉さんを……!」

織莉子「居た……!居たわ、キリカ!見える!?これでもう安心だわ!」

キリカ『いやー、ホッとしたよ。東方仗助が無事でさ。一生このままなんか死んでもゴメンだからね』

マミ「ふ、2人とも無事だったのね!良かった……」

杏子「?でもなんでキリカはわざわざテレパシー……で……」

ほむら「ッ……!?」

キリカ『首だけだと上手く声が出せないんだよ。
    こうして織莉子に抱かれてるっていうのも案外悪くないけど、やっぱり私からも抱きつきた……』

仗助「『クレイジー・ダイヤモンド』オオオーーーーーーーッ!!」

織莉子「み、見てキリカ、あなたの体よ!飛んできたわ!」

キリカ『うわあ、なんかすごい光景だね』

杏子「ど、どういうことだおい……。こいつ、バラバラじゃねえか……」

キリカ「……ふー。いや、助かった!首も手足も完全にくっ付いちゃったよ!
   でも織莉子を守るためとは言え、まさか五体がバラバラになるとは思わなかったなあ」

仗助「おめーなああ〜〜〜〜〜ッ!!コントやってんじゃあねーぞコラアッ!!
   オレが居るからって無茶苦茶しやがってよおおーーーーーッ!
   もっと『緊張感』持てっつゥーんだよッ!!命がいくつあっても足りねえぞ!わかってんのかボケッ!」

キリカ「やだなあ、そんなに怒らないでくれよ」

マミ「で、でも……全身があんなことになって、よくソウルジェムが無事だったわね……」

織莉子「それは、私がキリカのソウルジェムを守ったからだわ」

ほむら「呉さんが美国さんの体を、美国さんは呉さんのソウルジェムを、お互いに守った……ということ?」

キリカ「そうそう、そういうことだね!良いコンビネーションでしょ?」

織莉子「それでも貴女が無茶をしていたことに変わりはないわ。
    守ってくれたことはお礼を言うけれど、帰ったらお説教よ?」

キリカ「うっ……ご、ごめんよ織莉子……」

仗助「と、とにかく今は!ワルプルギスの夜だぜェーー!
   さっきから見てたがよォ!あいつひょっとすると、ヤバイんじゃあねーのか……!?」

ワルプルギス「アハハハハ、ウフフ、アハハハハハハ……!」

ほむら「気付いていたのね……その通りよ。あいつは今、『正位置』に『戻ろうと』している……!」

杏子「さっきの衝撃はその合図でしたってか?ご丁寧な魔女だね……!」

マミ「だとしたら、急がないと!もし完全に『ひっくり返って』しまったら……!」

織莉子「私達に……勝ち目はないわ」

キリカ「あいつが『ひっくり返る』前に倒さなきゃいけないってことか!だったら早く行こう!」

ほむら「……グリーフシードは、すべて使い切ってしまったわね。残りの魔力で、短期戦で勝負を決めるわよ」

杏子「ああ!仗助のおかげで体は万全だしね!なんとかなるだろ!」

仗助「た、頼むからよォ、オレが居るから怪我しても構わねーみてえな発想はすんじゃあねーぞ!?
   さっきみてーなのは心臓に悪いっつーんだよ、マジによォ〜〜〜ッ!」

マミ「ええ、もう出来るだけ怪我は避けます。それじゃ、行きましょう!」

今日はこのくらいにしておきます。




杏子「だぁありゃああああああ!!」

ワルプルギス「アハ……アハハハ、アハ、ウフ……アハハハ!」

キリカ「アアアアアアアもうしつこいなああああ!!しつこいしつこいしつこいしつこい!!」

マミ「っ……暁美さん、ちゃんと攻撃は効いてるのよね!?」

ほむら「それは間違いないわ!あと少しで倒せる!それは事実……!」

織莉子「だけど……このままでは無理だわ!
    わずかに時間が足りない……!『ひっくり返る』までに、倒しきれない!」

仗助「ぐっ……あいつが『ひっくり返ろう』とするのを止めることができりゃあよォ……!
  倒しきる時間を稼げるっつーのによォ〜〜〜〜!」

康一「じょ、仗助くん!大丈夫!?」

仗助「!?お、おめーら!?」

億泰「ウオオーーー!あ、あいつがワルプルギスの夜か!?で、でけえッ!」

杏子「なっ……!こ、康一と億泰!?」

マミ「どうして2人がここに……!」

織莉子「きっと……キュゥべえに聞かされたのね。私達の『現状』を……!」

キリカ「いやいや、でもさ!来てどうにかなるの!?危ないだけじゃないの!?」

仗助「お、おめーら、まどかたちはどーしたんだよ!?」

康一「流石にここに連れてくるわけにはいかないからね、ゆまちゃんに任せて残ってもらったよ!」

億泰「それよりよーー!状況は聞いたぜ!
   あいつが『ひっくり返る』前にトドメ刺さねーといけねえんだよなッ!?オレたちも手伝うぜェーーーッ!」

仗助「あ、ああ。そーなんだけどよ……。でもオレたち『スタンド使い』にやれることは……。っ!」

億泰「なんだァ、おい仗助ェ!なんかあんだろ!オレたちにも出来ることがよォ!」

仗助「ああ……あるぜ!ただし!相変わらず『サポート』だけどよォ〜〜〜!」

ほむら「っ……何をする気……!?」

仗助「オイ織莉子ォーー!聞こえるかァーーッ!?」

織莉子「っ!え、ええ!聞こえます!」

仗助「教えてくれッ!『あいつが次に通り過ぎる場所』をよォーーーッ!!」

織莉子「ワルプルギスの夜が、次に通り過ぎる場所……?
     ……もうしばらく、方向転換はしません!
     このまま、『ひっくり返り』ながら同じ方向に進み続けます!」

仗助「そーかよ……だったらよォーーー!億泰!
   『ザ・ハンド』で『あそこで倒れてるビル』の瓦礫をこっちに瞬間移動させろッ!」

億泰「なにっ?……そぉーか!珍しくオレにもわかったぜ!おめーの考えがよォ〜〜〜!
   『あのビル』の瓦礫で良いんだなッ!?上手くキャッチしろよォ〜〜!『ザ・ハンド』!」

 ガオン!

仗助「っ!グレートだぜ億泰ッ!そして次は……!」

康一「うん!ボクにも君の考えがわかったッ!エコーズ……『ACT2』ッ!」

仗助「グレート……!そんじゃあ行くぜェ〜〜〜!『クレイジー・ダイヤモンド』!このビルを治すッ!!」

ほむら「……!瓦礫が飛んで……!」

康一「『ACT2』!文字を瓦礫にくっ付けろ!」

マミ「えっ……?な、何の文字を……」

織莉子「みんな、ワルプルギスの夜から離れて!
     あの瓦礫は……『ちょうどここにあったビルのもの』だわ!」

キリカ「え……うわあ!?が、瓦礫が!ビルの瓦礫がすべて!こっちに向かって飛んでくる!
    いや……ワルプルギスの夜に向かって飛んでくるぞ!」

仗助「『ビル』っつーのはよォ〜〜!地面に埋まってんだろ?『基礎』みてーなもんがよォ〜〜〜!
   ワルプルギスの夜……今おめーが居る真下には!このビルの『基礎』があるんだぜェ〜〜〜ッ!」

杏子「それじゃあまさか……康一がくっ付けた文字ってのは……!」

康一「流石にただのビルじゃあ簡単に壊されちゃうだろうから……。
   そのビルが直る時、頑丈に固めさせてもらうぞ!『ガチイッ』とねッ!」

ワルプルギス「ッ……!ア、ハ……!ウフ、アハハ……!」

億泰「ウオオ!ワルプルギスの野郎!完全に挟まれやがったぜェ〜〜〜!大量のビルの瓦礫によォ〜〜〜ッ!」

仗助「あのビルは特別デッケェー高層ビルだったからよォ〜〜。
   ワルプルギスの夜相手でも、デカさは十分だぜェ〜〜〜〜!
   だがこれだけじゃあねーぞ!ほむら、キリカ!おめーらにも協力してもらわねーとなァーーッ!」

キリカ「えっ?あ、うん!」

ほむら「今そっちへ行くわ……!」

織莉子「……!巴さん、あなたはトドメの準備を!」

マミ「えっ!?でも、まだ……」

織莉子「大丈夫、貴女は最後の砲撃のために、魔力を込めて!」

マミ「っ……わかったわ!」

キリカ「東方仗助。この3人で協力ってことはもしかして……」

仗助「ああ。大体察しはついてるはずだぜ……!」

ほむら「ええ……それじゃあ、2人とも掴まって!」

 カチッ

仗助「グレート……これが『時の止まった世界』っつーヤツか……!」

ほむら「私はもう、残った魔力は多くない。
    あまり長くは時間を止められない……だから、あなたにかかってるわ。呉さん」

キリカ「もちろん、わかってるよ。それじゃ行くよ……『速度低下』!」

そうして呉さんは、自分と東方さん以外の速度を落とした。
それはつまり……私の速度も落ち、時間停止の効果時間が長くなるということ。
これなら少ない魔力でも、十分な時間、時を止めることができる。
ただしその分、私の速度は落ちているから、移動や攻撃は……

キリカ「じゃ、ワルプルギスの夜のとこまで行こうか!ちょっと速過ぎるかも知れないけど、手は離さないでね!」

ほむら「っ……!」

キリカ「……ふーん、なるほどね。こいつ、瓦礫に思いっきり挟まってはいるけど結構不安定みたいだね」

仗助「ああ。だからよォ〜〜。おまえらがコイツを倒し切る十分な時間を稼ぐにゃあ、
   もうひと作業居るっつーことだぜ。コイツを完全に『固めちまう』作業をよォ〜〜〜!」

キリカ「うん。それじゃ、頼んだよ」

仗助「ちょいと激しい動きになるかもしんねーけどよォ!ほむら、ガマンしてくれよォ〜〜〜〜!」

ほむら「………………え」

仗助「ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララ
   ララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ
   ララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ
   ララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ
   ララララララララララララララララララララララララララララアアーーーーーッ!!」

康一「……あっ!?み、見て億泰くん!仗助くんたちが、あんなところにッ!」

億泰「しかもよォ〜〜〜!見ろよワルプルギスの夜をよォ!あいつ、完全にビルと一体化しちまってるぜェ〜〜〜!
   康一の尻尾文字のおかげで、ガッチリとよォ〜〜〜!」

ワルプルギス「ッ……ア……ハ、ハ……」

ほむら「はあ……はあ……」

仗助「大丈夫かよほむら。結構疲れてるみたいだけどよぉー」

ほむら「速度の落ちた状態で振り回されるというのが、思ったより大変だっただけよ……。
    ただ、魔力の量を考えると……私はこれ以上時間を止めない方が良いかも知れないわ」

キリカ「そっか、うん、まあ、大丈夫だよ。
    どうせもう少しで倒せるんだし、あんな状態になったんなら十分に間に合う!
    キミはそこで休んでると良いよ、あとは私達がやっちゃうからさ!」

ほむら「ええ……お願いするわね」

キリカ「行くよ、佐倉杏子!マミのトドメまでは、私達でコイツを削ろう!」

杏子「へっ……足引っ張るんじゃねーぞキリカ!」

キリカ「アハハハハハハハハハハハハ!動けない相手を切り刻むっていうのも結構新鮮で良いね!
    どーしたの、もう笑わないの?さっきまで馬鹿みたいに笑ってたじゃないか!
    もう笑わないの?だったら代わりに笑ってあげよう!アハハハハハ!アハハハハハハハ!」

ワルプルギス「ア……ハ……」

杏子「あたしにゃそういう趣味はないが……でも悪いね!
   あんたを倒さないとあたしたちが困るからさ!あんただって、そろそろ眠っても良いだろ!?
   あたしたちで寝かしつけてやるよ!ぅうおおりゃあああああああッ!!」

織莉子「その拘束がもつのはあと10秒!それまでに巴さん、トドメをお願い!」

マミ「了解!もう準備はできてるわ!」

キリカ「あと10秒だってさ!あと10秒で終わりだよ!永遠に休めるよ!良かったね!」

杏子「康一ィ!直前に尻尾文字は外しとけよ!?砲撃なんか食らったら巻き添え食っちまうからな!」

康一「わかってる!だからマミさん、気にしなくて大丈夫だよ!」

ほむら「……!ビルが、割れる……!巴さん!撃ってッ!!」

マミ「ええ!飛び切り大きいのをお見舞いするわよ……『ボンバルダメント』ッ!!」

仗助「うおぁッ!?な、なんつー威力だよありゃあッ……!」

康一「よ、良かった……。尻尾だけとは言え、あんなの食らったらタダじゃあ済まないところだったよ……」

億泰「!オ、オイ見ろ!ワルプルギスの野郎ォ!まだ消えちゃあいないぜェーーッ!!」

ワルプルギス「ッ……アハハ……ウフ……」

ほむら「そんな……!」

マミ「うそ……『ボンバルダメント』を受けて、原形を留めているだなんて……!」

杏子「チッ……おい、どうするんだよ……あたしたち、もう魔力なんか残ってないぞ……!」

織莉子「……やった……」

キリカ「!織莉子、『やった』ってことは、もしかして……」

織莉子「私達の、勝ちだわ。あの魔女はもう、何も出来ない。ワルプルギスの夜は、もう……!」

ワルプルギス「ア……ハ……」

ほむら「き……消えていく……。ワルプルギスの夜が、消えていく……!」

QB「やれやれ、恐れ入ったよ……。まさか本当に倒してしまうなんてね」

マミ「キュゥべえ!それじゃあ、本当に……」

QB「ワルプルギスの夜は消滅し、グリーフシードとなった。
  結局あの3人とも契約できなかったし……地球のノルマを達成するにはまだ先が長そうだ」

康一「や……やったッ!ついに、ついに倒したんだ!ワルプルギスの夜をッ!!」

杏子「っ!へへっ、あったあった!」

キリカ「ん?ああ、なんだ。グリーフシードか」

杏子「あたしはこれのために協力してたんだからね。そんじゃ、約束通りこいつはもらうよ」

織莉子「ええ……どうぞ。好きに使うと良いわ」

杏子「そんじゃお言葉に甘えて……よっし、綺麗になった!……お?」

仗助「?どーしたよ杏子?」

杏子「ああ、いや。流石あの魔女のグリーフシードだと思ってね。
   まだまだ何回でも使えそうだ。……あんたたち、使っとくかい?」

ほむら「……え?」

マミ「佐倉さん、今、なんて……?」

杏子「いや、だから……結構濁ってるだろ、ソウルジェム。一応浄化しといた方が良いんじゃないの?」

織莉子「あら……良いのかしら。使っても?」

杏子「流石に魔女になんかなってもらっちゃ夢見が悪いからさ。
   それに、人数分浄化してもまだ余裕がありそうだしね、このグリーフシード」

キリカ「へー、君が他人にグリーフシードを分けてあげるなんてね。なんていうか、うん、意外だ」

杏子「フン……別に使いたくないってんならそれでも良いんだぜ?」

マミ「ふふっ、いいえ。使わせてもらうわ。ありがとう、佐倉さん」

仗助「ま〜全員で力合わせて手に入れたモンだしよォ〜〜〜。全員で使うのが妥当っつーもんだぜェ〜〜〜」

杏子「チッ……。だが約束は約束だからな!一通り浄化した後はあたしがもらうよ!」

康一「ま……まさか穢れを吸いすぎてワルプルギスの夜復活なんてオチは……」

杏子「ねーよ!くそっ、ちょっと気ぃ使ってやったらコレかよ!」

億泰「ところでよォ〜〜〜……マミ、おまえ最後にトドメ刺した技……なんか叫んでなかったか?」

マミ「え?『ボンバルダメント』のことですか?」

億泰「そ……そりゃあ、どーゆー意味なんだよ?」

マミ「えっと、イタリア語で『砲撃』という意味です。
  実は『ティロ・フィナーレ』よりももっと威力の大きい技を考えてて、これだけはとっておきにって……」

億泰「ぶふっ!!」

仗助「(ばっ、馬鹿!億泰おめー!もう散々わかってたことじゃあねーかよ!マミの『センス』はよォ〜〜〜!)」

億泰「(だ、だってよォ〜〜!まさか新技が出てくるたァ思わねーだろ!
   そのうちよォ〜〜〜!『ボンバルダメント・フィナーレ』とか言い出すに決まってるぜェ〜〜〜〜ッ)」

仗助「(そのネーミングは流石に……い、いやあり得るぜ。マミの場合……)」

康一「イタリア語がそんなにカッコ良いなんて気付かなかったなぁ〜〜!ボクも何かイタリア語から技名……」

億泰「イ、イ〜〜ヤ康一ィ〜〜〜!それは別によォ〜〜〜!必要ねーと思うぜェ〜〜オレぁよォ〜〜〜〜!」

ほむら「…………」

織莉子「……暁美さん、さっきからずっと黙っているけれど、大丈夫?」

ほむら「え?あ……その、まだ少し、実感が湧かなくて……」

織莉子「……そうかも知れないわね。
    貴女は私達が想像もできないくらい、長い旅を続けてきたのだものね」

ほむら「ええ……本当に、長かったわ。……ありがとう、色々と、手伝ってくれて」

織莉子「ふふっ、お礼なんて。それにまだ全て終わったわけではないわ。
    鹿目さんを彼のところに連れて行って、『書き込んで』もらってから。そうでないとまだ安心はできないわよ?」

ほむら「ええ……そう。そうよね。まだ終わったわけじゃ……」

さやか「あっ!居たよ、まどか、ゆま!ほら、みんな無事だよ!」

ゆま「わあーい!ほんとに勝っちゃったんだっ!」

まどか「よ、良かった、みんな……!」

ほむら「……!」

そういや露伴先生ワルプルギス見損ねたんだな
惜しいことしたな

ゆま「キョーコー!」

杏子「うわっ!おい、いきなり飛びつくんじゃねーよ。危ないだろ?」

ゆま「ゆまね、まどかおねえちゃんのこと守ったよ!
   キュゥべえが来たけどね、こーやって、ギュウーってやって、こらしめたんだよっ」

杏子「……ははっ。そーか、よくやったよ、ゆま。ありがとね」

ゆま「うん!」

まどか「み、みんな怪我はないみたい……良かった……」

億泰「そりゃあおめー、仗助が居るしよォ〜〜!怪我なんかねーのは当然だぜ!」

まどか「そ、そっか!えっと、仗助さん、ありがとうございました!」

仗助「あーいやいや。それよりよォ……ちょっと耳貸しな」

まどか「?」

仗助「オレたちよりよォ、ほむらのヤツを労ってやってくれよ。
   あいつがオレたちの中で一番頑張ってたのはよー、なんとなくおまえも知ってるだろ?」

まどか「あっ……はい、そうですね!」

このグリーフシードのせいでここからまたなんかありそうだな・・・

>>605
???「フッフッフッ、まぬけめ!」

ほむら「…………」

まどか「えっと……ほむらちゃん」

ほむら「鹿目さん……?どうしたの?」

まどか「えっとね、ほむらちゃんにわたし、お礼言いたくて……」

ほむら「お礼なんて……。それに、まだ全て終わったわけじゃないわ。あなたを杜王町に連れて行かないと……」

まどか「あ、そっか。そうだよね、まだ終わりじゃ……」

ほむら「?鹿目さん?」

まどか「……ううん。やっぱり、お礼言わせて。なんでかな……。
    ワルプルギスの夜を倒すのが一番大変で危なかったから、かな?
    ……ここでお礼を言っておきたいっていうか……。
    上手く言えないんだけど、お礼を言わなきゃいけないような気がして……」

ほむら「え……」

まどか「えっと……ほむらちゃん、ありがとう、お疲れ様!」

ほむら「ッ……ま、どか……」

まどか「えっ?ほ、ほむらちゃん……?」

ほむら「ぅくっ……まどかあ、まどかぁああ……!」

まどか「きゃっ!え、えっと……」

ほむら「うぁああ……ぅああぁああん……!」

まどか「……大変だったんだよね。本当に、ありがとう。ほむらちゃん」

さやか「お、おお……これは迂闊に入っていけない空気……。
    しかしほむらがあんな表情を見せるとは……」

康一「(億泰くんッ!声かけたりしちゃあ駄目だよ!絶対に駄目だからねッ!?)」

億泰「(な、なんだよォ〜。そんな怒ったみてーによォ〜〜)」

仗助(しかしあのほむらが号泣するたァ……。よっぽど『来る』もんがあったんだろうな。
   まどかからの『労いの言葉』っつーのはよォーー……)

ゆま「?ほむらおねえちゃん、どうして……」

マミ「しーっ。少しだけ、そっとしておいてあげましょう?」

杏子「……まああの2人はほっとくとしてさ。岸辺露伴はいつ帰ってくんの?
   あいつの言ってた通りなら、早ければもう今日には帰ってくるってことだよね」

康一「ああ、うん……。それじゃあ、今日帰って確認してみるよ。
   それで、帰ってきてたら連絡するっていうのはどーかな」

織莉子「ええ……それで良いと思います。帰って来ていれば、明日にでも行きましょう」

億泰「ところでよォ……。『菓子折り』持ってくのか?マジによォ〜〜」

仗助「何かしらの『手土産』ぐれーはあった方が良いだろうな……。
   そーでもしねえと機嫌直さねーぞ、あのヤローはぜってーよォ〜〜〜」

ほむら「……それなら、良い手土産があるわ」

さやか「うわっ!復活した!」

まどか「ほむらちゃん、もう大丈夫なの……?」

ほむら「ええ、ごめんなさい……。情けないところを見せてしまったわね」

キリカ「それで『手土産』っていうのは?あの岸辺露伴のことだ、本当に良いモノじゃないと駄目だと思うよ」

ほむら「大丈夫……きっとアレなら、気に入ってくれるはずよ」

ついにやったッ!
ワルプルギスは死んだッ!
大げさかもしれんが世界は救われたんだッ!

翌日

康一「いやあ〜、良かったよ昨日帰ってきてくれてて。
   やっぱり早く済ませちゃった方が安心できるもんねぇ〜〜〜」

ほむら「2人とも、失礼のないようにね。本当に気難しい人だから」

まどか「う、うん……なんだか緊張しちゃうなあ」

さやか「っていうか……やっぱあたしも『ヘブンズ・ドアー』受けなきゃ駄目なの?
    本にされるって、なんか怖いんだけど……」

マミ「みんな美樹さんのことも心配してるのよ?世界を滅ぼすとか、そんなことは関係なくね」

杏子「あたしは心配っつーか、これ以上魔法少女が増えて欲しくないだけだけどね」

ゆま「えっ。ゆまのことも?そう思ってるだけ……?」

杏子「あ〜……くそ、調子狂うよな、ほんと……。
   あんたのことは心配してやってるって、ちゃんと。だからさ、あんたも書き込んでもらいなよ?」

ゆま「うん!」

織莉子「……着いたわね。それでは……康一さん、お願いします」

康一「ああ、やっぱり最初はボクなんだね……良いけどさぁ」

康一「……あっ、露伴先生……こ、こんにちは」

露伴「…………」

ほむら「……こんにちは」

露伴「ふん……。なんだ、本当に来たのかい」

康一(う、うわあ〜〜。ほむらさんを見て露骨に嫌そうな顔してるよぉ〜〜……)

億泰(やっぱまだ怒ってんな〜〜露伴先生ェ〜〜〜)

露伴「まあ良い……僕も根に持つタイプじゃあないからな。
   本当に謝罪の品でも持って来てるってんなら、
   そこの無礼な小娘の頼み事ってのを聞いてやらなくもないぜ」

仗助(思いっきし根に持ってんじゃあねーか!露伴のヤロォ〜〜寝言言いやがってよォ〜〜)

露伴「で……何か持って来てるんだろうな?僕への侮辱を帳消しにするような品物は?」

ほむら「……菓子折りではないけれど、これで許してはもらえませんか?」

QB「もう少し丁寧に扱ってくれと前にも言ったと思うんだけどな……」

露伴「なんだこいつ?スタンドか……?」

ほむら「説明するより、こいつを『本』にした方が早いと思うので……お願いします。
    こいつを読めばきっと、気に入ってもらえると思いますから」

露伴「フン、言われなくたってそうするつもりだよ。
   本当に『読めば気に入る』かどうか確かめてやる。『ヘブンズ・ドアー』ッ!」

QB「……!」

まどか「きゃっ!?き、キュゥべえが、『本』になった……!」

さやか「きもっ!っていうかなんかグロいし……!」

仗助「うおっ!効いたぜこいつにも!『ヘブンズ・ドアー』がよォ〜〜〜!」

康一「多分効くだろーとは思っていたけど、良かった……安心したよ」

露伴「?何をそんなに驚くことがあるんだ?
   僕の『ヘブンズ・ドアー』はスタンドにだって効くし、動物にだって……ム?」

ほむら「…………」

露伴「な、なんだ……こいつの体験は!?『魔法少女』!?『インキュベーター』……!?」

これで(まずありえないが)露伴先生のネタが尽きる心配は無くなった

露伴「な、何ページあるんだ!?1900年……1000年……紀元前にまで遡っているッ!
   すごい、すごいぞ!人類の歴史の影を、今僕は目の当たりにしているのか……!
   人類と『インキュベーター』、そして『魔法少女』ッ!!
   なんてことだ……!僕は今、これまでにないほどの素晴らしいマンガのネタを掴んだぞッ!!」

ほむら「……気に入ってもらえましたか?」

露伴「ああ気に入ったとも!気に入らないわけがないッ!ほむらくんと言ったね!
   この『贈り物』を、君の最大の誠意として認めよう!以前の無礼もすべて許そうッ!
   こんな素晴らしいマンガのネタを持ってきてくれたんだ……その誠意に答えないわけにはいかないな!」

ほむら「!それじゃあ……」

露伴「さあなんでも言いたまえ!誰かに何かを書き込んで欲しいんだろう?
   ム!君たち、初めて見る顔だな。こないだは居なかったはずだ。
   そうか、君たちに書き込めば良いんだな?よし書き込んでやろう。何を書き込めば良いんだい?」

まどか「あ、あの……えっと……」

さやか「ちょ、ちょっとすみません!その……こ、この子が怖がるんで、えっと……」

露伴「おっと……ついつい興奮してしまったかな。悪かったね」

露伴「だけどまあ、そんなに怯えることはない。フフ、安心したまえ。
   君たちの記憶を取ったりなんかはしないよ。
   なんせ、こいつさえ居ればしばらくマンガのネタには困らないからね」

仗助(テ、テンション上がってんなァ〜〜岸辺露伴……)

ゆま「キ、キョーコ。ゆま、こわい……」

杏子「耐えろ、ゆま……。あんたならガマンできるはずだ……」

露伴「それで、ほむらくん。僕はなんて書き込めば良いんだ?」

ほむら「……そこの2人と、それからこの子に、『インキュベーターと契約しない』と書き込んで欲しいんです」

露伴「『契約しない』?……『契約しない』か……。フム……」

織莉子「……どうしたんですか?まさか、書き込めないと……?」

露伴「ム……いや、書き込ませてもらうよ。この岸辺露伴に二言はない。
   わかった、この3人に書き込めば良いんだな?」

まどか「っ……」

露伴「オイオイ〜〜。だから、そんなに怯えるなよ。書き込むだけならちょびっとだけ本にすれば良いんだ。
   気を失うこともないから余計な心配もいらないぜ。それじゃあ……『ヘブンズ・ドアー』!」

露伴「ちょっと殺したいな」

ほむら「……!」

露伴「『インキュベーターと契約できない』。
   これで君たちは、もう一生こいつとは契約できないよ。何があろうと、絶対にね」

さやか「た……たった、これだけで……」

まどか「あ、ありがとうございます……!」

ゆま「えっと……ろ、露伴せんせー、ありがとう……」

露伴「ン?ははっ、素直で大人しい子どもは嫌いじゃあないぞ。
   そのままの調子で成長すれば少しはマシな大人になるかもしれないぜ。まっ、せいぜい頑張るんだな」

ほむら「……本当に、ありがとうございました……」

露伴「なあに、礼には及ばないよ。ところで……こいつのことは、もらっても構わないよな?
   一体くらい減ったって、インキュベーターは無限に居るんだろう?」

ほむら「ええ、もちろん。あなたに差し上げます」

露伴「フフ……これならきっと最高傑作が描けるぞ。
   なんせ人類の歴史すべてがここに詰まっているんだ。しばらく寝られないかも知れないな……フフフ……」

まどか(うぅ……や、やっぱりちょっと怖いよぉ……)

さやか(き……岸辺露伴って、こんな人だったんだ……)

マミ『えっと、それじゃあ……そろそろ帰る?』

キリカ『うん、そうしよう。早く帰ろう。ちょっとこいつの近くにはあんまり居たくない』

織莉子『私も……感謝はしているけれど、少し苦手だわ』

杏子『まあ……そうだね。用は済んだし……』

仗助(そいつにゃあオレも賛成だぜェ〜〜〜っ)

ほむら「……それじゃ、私たちはもう行きますね」

露伴「おや、もう帰るのかい?」

康一「ええ、まあ……。先生はこれからキュゥべえの体験を読む作業で大変でしょう?
   マンガのための時間をお邪魔しちゃあ悪いですし……」

露伴「そーかい、気を使ってくれて助かるよ。
   君の言うとおり、早速これから作業に入らせてもらおう。
   じゃあね、康一くん。ああ、それから……ほむらくん」

ほむら「?はい……?」

露伴「是非いつか、君の体験を読ませてもらいたいね……。
   気が向いたらいつでもこの岸辺露伴を訪ねてくれたまえ。それじゃあ、またいつか会おう」

杏子「な……なんだ、あいつ?なんでほむらに……」

織莉子「キュゥべえの体験に……何か書いてあったのかも知れないわね。
    彼の興味を引くような何かが……」

康一「あ、危なっかしいなあ、あの人は本当に……」

仗助「オレたちが居なきゃあよォーー。おまえ、その場で本にされてたに違いないぜッ!
   以前オレに散々痛めつけられたことをまだ覚えていやがったみてーだがよォ〜〜〜ッ」

キリカ「もう二度と行かない方が良いよ。絶対」

ほむら「……そうね」

ただ……感謝の気持ちはやっぱり大きい。
だってこれで、まどかは絶対に契約することなんてなくなったのだから。
これで本当に、私の長い旅は終わり。
そして……新しい旅の始まりでもある。

ワルプルギスの夜は越えたけれど、魔女との戦いの日々はまだ続く。
戦い以外の日々も、続く。
これからの毎日を、精一杯暮らそう。
普通の人よりは短命かも知れないけれど、精一杯生きよう。
最期の時に、決して後悔しないように。

ほむら「みんな……今までありがとう。……これからも、よろしくね」




露伴宅

露伴「すごい……すごいぞ!面白いようにマンガが描ける!
   創作意欲が火山の噴火のように湧き出てくる!君のおかげだよインキュベーター!」

QB「ところで……本当に僕はずっとここに居なければならないのかい?」

露伴「当然だよ。君の『体験』は、ほんの数ページいただくだけじゃあまったく足りない。
   君は一生ここに居て、僕にマンガのネタを提供し続けるのさ!
   なんせ『魔法少女』の1人1人がまるで主人公だ!
   歴史上の人物だって居る!まるでネタが尽きる気がしないッ!」

QB「…………」

露伴「逃げようとしても無駄だよ。もう分かってるだろう?
  君には既に書き込ませてもらったからね。『岸辺露伴からは逃げられない』と」

QB「……そのようだね。君から逃げるのは諦めたよ。
  だから、岸辺露伴……僕と取引してみないかい?」

露伴「……なに……?」

QB「君はマンガの題材を探しているんだろう?
  だったら、魔法少女がもっと増えた方が君にとっても都合が良いんじゃないかな。
  その分、マンガの題材が増えるんだから」

露伴「……それはその通りだな」

QB「だったら、僕が君のマンガの題材となり得る少女を探して、教えてあげるよ。
  そして君はその子に書き込めば良いんだ。『今すぐインキュベーターと契約する』とね」

露伴「つまり……おまえはこう言うのか?『代わりのネタを提供してやるから自分を逃がせ』と」

QB「この際、僕は逃がさなくても構わないよ。ただ協力してくれれば良い。
  僕は『本』として君にマンガの題材を与え続けるし、
  さらに『インキュベーター』として、新しい魔法少女の情報を提供し続けるんだ。
  君は僕の『体験』により過去から題材を得られる上に、協力してくれれば新しい題材をも得続けることができる。
  どうだい?悪くない提案だと思うけど」

露伴「なるほどね……君に協力して、次々と魔法少女を生み出せば、
   僕は一生マンガのネタを得続けることができるというわけか」

断る時に画像が使われまくったおかげで有名になってものすごい名ゼリフ扱い受けてる一言ッ

露伴「だが断る」

QB「……?なぜだい?君はマンガの題材が欲しくはないのかい?」

露伴「おまえの言うとおり、確かに魔法少女の人生や体験は貴重な素晴らしいネタになるだろう。
   だが……僕の手でいじくり回して作った人生になんの価値があると言うんだ?
   契約するのかどうか、悩んだ末の選択だからこそリアリティが生まれ、価値が生まれる。
   僕が求めているのはリアリティなんだよ、わかるか?
   『契約する』だなんて書き込めば、リアリティが損なわれてしまうじゃあないか。
   そんな人生はニセモノだ。僕のマンガのネタにはならない。
   魔法少女の情報を提供してくれるのは構わないけど、そいつの人生に手を加える気はないよ。
   何かするとすれば、ただ『本』にして観察するだけだな」

QB「……おかしいな。君はさっき、まどかたちに『契約できない』と書き込んだと言ってなかったかい?
  それは彼女たちの人生のリアリティを損なうことにならないのかな」

露伴「そうだ。だから躊躇ったんだよ」

露伴「あまり気は進まなかったが、ほむらくんはマンガに対して誠意を見せてくれたんだ。
   それを裏切れるはずがないだろう?
   それに、少なくとも鹿目まどかだけには契約させるわけにはいかなかったしな」

QB「!そうか……僕の体験を読んで彼女のことを知ったんだね」

露伴「そういうことさ。世界を滅ぼす魔女というのも興味はあるけれど、
   死んでしまったんじゃあマンガも描けないし、読者だって居なくなってしまう。
   まあ、正直言うとあとの2人は別にどうでも良かったんだが……」

QB「……そうかい、わかったよ。君に協力する気がないというのなら仕方ない。
  この話はなしにしよう。ただし、僕からも能動的に君に情報を与えることは……」

露伴「おっと、待ちなよ。そんなことを言うもんじゃあないぜ。
   君の言うとおり、新たな魔法少女候補の情報というのは僕にとって実に興味深い。
   だから……その情報だけは提供してもらうことにしよう!『ヘブンズ・ドアー』!」

QB「……!……あれ、僕は……」

露伴「フフ……さて、キュゥべえ。君が今からすることは何かな?」

QB「……そうか。君に魔法少女の情報を提供するんだったね。
  今から早速探してくるよ。日が暮れる前には戻ってくるから、待っていてくれ。それじゃあ、またね」

露伴「……行ったな。僕はおまえに協力はしない。その代わり、一生利用させてもらうよ。
  僕のマンガのためにね。これからよろしく頼むよ……インキュベーター」

ほとんど上位互換みたいな存在のホワイトスネイクの話題にならなさは異常
見た目か、見た目が悪いのか




康一「みんな帰っちゃったねぇ〜〜。やっぱりなんだかちょっと寂しくなっちゃうなあ」

仗助「まっ、これからも時々は会えるんだしよォ。別に悲しい別れっつーわけでもねーだろォ〜〜」

億泰「しっかしソーゼツな一ヶ月間だったよなァ〜〜〜!
   『魔法少女』の存在だとかよォ〜〜〜。織莉子やキリカの件も大変だったしなァ〜〜〜!」

康一「マミさんの件もすっごく焦ったし、さやかさんも結構大変だったよねぇ〜〜〜」

仗助「ワルプルギスの夜も、一時はどーなることかと思ったがよォ〜〜!
   いやァ〜〜〜、何もかも解決してよかったぜェ〜〜〜ッ!」

康一「そうそう、何もかも……ン?ちょっと待ってよ、何か忘れてるよーな……」

億泰「忘れてることだァ〜〜〜?そんなもん、ありゃあしねーよっ」

仗助「そーだぜ。問題はぜぇーんぶ解決したんだしよォ〜〜〜」

康一「……ウン、そーだよねっ!ごめんごめん!」

仗助「オイオイ頼むぜ康一ィ〜〜〜!平和になってボケたんじゃあねーのかァ?ギャハハハハハ!」





承太郎「……連絡が来ないな。流石にひと月も経てば心配になってきたぜ……やれやれ」



   おしまい

だいぶ長かったけど付き合ってくれたありがとう、お疲れ様でした。

本当は「だが断る」は敢えて使わないつもりだったけど
あんまり期待が大きかったからやっぱり使っちゃったぜ

乙!
プリンスの「1999」でも聞くか(対抗)

8 : マロン名無しさん[sage] : 投稿日:2006/12/12 00:27:33 ID:???
康一「汐華初流乃はイタリアでは『ジョルノ・ジョバァーナ』と名乗っています
初流乃=ジョルノですよ…!」
承太郎「ああ……オレも覚えがあるぜ康一くん………
『自分は本当はファンタジー・ゲームのような世界の救世主で
べらぼうにカッコいい名前のヒーローだ!』って設定を自分で考えてな…
いつその世界から迎えが来てもかまわない様に厳しい必殺技の修行をするんだ………
男の子ならだれしも通過する道だぜ………」

康一「承太郎さん………………」
承太郎「康一くん……………………」


┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨ ┣¨


承太郎「ジョ『ヴァ』ーナ?」

康一「『ジョバァーナ』です 承太郎さん」
承太郎「ヴゥ?」

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