神代家・朝……
凌牙「ケホッケホッ! あ~畜生、久々にやっちまったか……ん?」
タッタッタッタッ……ガチャ!
璃緒「おはよう、凌牙! さあ、今日も元気良く学校に行くわよ!!」
凌牙「妹だからって相変わらずノックも無しに入って来るのはイラッとするぜ……悪いが今日は静かにしてくれ。頭に響くんだよ」
璃緒「あら、凌牙ったらまだパジャマなの……って、何だか顔色が悪くない? まるで魂を抜かれて干物になったみたいよ?」
凌牙「どういう例えだ、それ? いや、どうやら少し風邪引いちまったみたいでな」
璃緒「何ですって!?」ビックリボー
凌牙「8度3分か……まあまあ高いな」
璃緒「十分高いわよ、もう。さあ、すぐに病院に行くわよ」
凌牙「わざわざ病院に行く必要なんてねーよ。これくらいの熱、バファ○ン飲んで1日大人しくしてれば治る」
璃緒「駄目よ、ちゃんとお医者様に診て貰わないと。バ○ァリンなんて半分は優しさで出来ているっていうけど実際には胃に優しい成分は4分の1しか入ってないのよ?
CMで堂々と嘘をついている薬なんて信用できないわ!!」
凌牙「何でそんな事知ってんだよ……分かった、病院には行くからお前はそろそろ学校に行けよ。いい加減出ないと遅刻するぞ?」
璃緒「私も着いて行くから今日は休むわ。気づいてないでしょうけど今の凌牙、普通のモ○スターボールを投げても簡単に捕獲されそうなくらい弱っているのよ?
放っておけないわ」
凌牙「何だ、俺はサメ○ダーか何かなのか?」
璃緒「茶化さないで! 今は真面目な話をしているのよ!?」プンスカブックス
凌牙「振ったのはお前だろうが」
璃緒「とにかく早く着替えて出掛ける準備をして! 私は学校に連絡するから……あ、保険証も用意しなきゃ!!」ドタバタ
凌牙「頼むから静かに動いてくれ……」ズキズキ
※今更ですが若干のキャラ崩壊注意
ハートランドシティ総合病院……
璃緒「大丈夫? 1人でお医者様のところに行ける?」
凌牙「ガキじゃないんだから行けるに決まってるだろ?」
璃緒「そうよね。病院は凌牙のテリトリーで慣れっこですものね」
凌牙「うるせえ、好きで慣れてる訳じゃねえよ! うっ、ケホッケホッ!!」
璃緒「ほら、騒がないの。じゃあ私は待合室に居るから何かあったらちゃんと呼びなさいよ?」ノシ
凌牙「……おう」ノシ
璃緒(とりあえず座って待ってましょう)
看護士「あら、神代さん? どうしたの? またお兄さん、怪我したの?」
璃緒「あ、いえ。ちょっと風邪を引いたらしくて……」
患者「おお、お嬢ちゃんか。お兄さん、今度は何処怪我したの?」
璃緒「あら、おじいさん。違いますわ、今日は怪我では無く風邪で……」
医師「あれ、神代君? おかしいな? お兄さん、外科の方では見てないけど……」
璃緒「先生、兄は今内科の方に……」
璃緒(何だかこの病院での顔見知りの数が増えた気がする)
再び神代家……
凌牙「やっぱりただの風邪らしい。わざわざ行って損した」
璃緒「何言ってるの。インフルエンザじゃないって分かっただけ良かったじゃない」
璃緒「それにただの風邪だからって油断は出来ないから。という訳でこれから私がしっかりと看病するから覚悟なさい、凌牙!」ビシッ
凌牙(看病受けるのに覚悟必要とか凄い怖いんだが?)
…………
璃緒『薬を飲む前に何かお腹に入れておいた方が良いわね。お粥作って来るからちょっと待ってて』
凌牙(--とか言って台所に向かってからかれこれ1時間以上経ってるぞ?
どんだけ熱心にお粥作ってんだよ?)
凌牙(まあ律儀に寝ないで待ってる俺も俺だが……あー頭が煮えたぎったみたいにぼーっとする。
風邪なんて何年ぶりだろ?)
璃緒「りょーがー」←ドアの向こうから
凌牙(やっと来たか)
璃緒「お盆で両手が塞がってドアが開けられないのー。開けてー」
凌牙「たくっ……」ヨロヨロ
ガチャ
凌牙「おせーぞ。お前の少しは一体何分……!?」
璃緒「ジャジャジャ~ン! 私、神代璃緒♪」ニパー
凌牙(ドアを開けたら妹がミニスカナース服で立っていた。何を言っているかry)
凌牙「……その服は何だ?」
璃緒「凌牙を看病する為の戦闘衣装よ。私、形から入るのって大事だと思ってるの」
凌牙「いや、何でそんな服持ってんだよ?」
璃緒「さっきド○キに行って買って来たのよ。中々似合うのが見つからなくて思ったより時間かかっちゃったわ」
凌牙「遅かったのはそれが原因かよ……何かもう文句を言う気力も湧かない」
璃緒「凌牙、さっきより顔色悪くなってない? ほら、病人なんだから早くベッドに戻って安静にしてなきゃ」
凌牙「誰のせいだと思ってんだよ、くそっ……」ヨロヨロ
璃緒「さあ、私特製のスペシャルお粥よ。これを食べてしっかり栄養補給なさい」
凌牙「スペシャルとか付いてるわりには普通のお粥だな」
璃緒「さすがに食べ物でふざけたりはしないわよ」
凌牙「それを聞いて安心した。ところで匙が見当たらないだが、まさか直で食べろとか言わないよな?」
璃緒「まさか。スプーンなら私の手の中にちゃんとあるわ」
凌牙「……一応聞いてやる。何でお前が持ってんだ?」
璃緒「勿論凌牙にあ~んして食べさせて上げる為よ」
凌牙「畜生、この予感は外れて欲しかったぜ」
璃緒「という訳で凌牙。はい、あ~ん♪」
凌牙「断る」プイッ
璃緒「遠慮しないで」
凌牙「いらない」
璃緒「ほら、あ~んしてよ」
凌牙「やめろ」
璃緒「……良いからあ~んしろよ」メキメキ
凌牙「いててて! え、笑顔で病人の手首を捻るな!?」
凌牙「……もう好きにしろ」←逆らうだけ無駄だと悟った
璃緒「最初から素直にそう言えば言いのよ。はい、あ~んして」
凌牙「…………」アーン
璃緒「美味しい? 熱くない?」
凌牙「ああ……」モグモグ
璃緒「良かった。二口目行く?」
凌牙「ああ」アーン
璃緒「ふふっ、良い食べっぷりだわ。何だかんだいって上のお口は正直ね、凌牙」
凌牙「年頃の娘が妙な言い回ししてんじゃねーよ」モグモグ
…………
璃緒「さて、無事に食事も済んで薬も飲んだわね。凌牙、他に私にして欲しい事はないかしら?」
凌牙「強いて言えば何もせず、静かに寝かせて欲しい」
璃緒「そうだ。デュエルしない?」
凌牙「人の話聞けよ。ていうか何でデュエル何だよ?」
璃緒「あら、知らないの? デュリストの生存本能は体内の免疫力を活性化させる効果があるのよ?」
凌牙「お前は何を言っているんだ?」
璃緒「だから私とデュエルすれば免疫力が上がって体調が良くなるかもしれないわ」
凌牙「こんなフラフラな状態でデュエルが出来るかよ……何処でそんなふざけた情報を聞いた?」
璃緒「みんな大好き2ちゃんねるよ」
凌牙「ますます信用できねーよ。そんなのどうせニートが暇つぶしに書いたホラ話だろ?」
…………
V「ぶいくしょん!!」
Ⅲ「V兄さま、風邪ですか?」
Ⅳ「ずっと部屋に篭ってるから体調崩すんだよ」
璃緒「う~ん、デュエル以外で他に何か凌牙にしてあげられる事があるかしら?」
凌牙「だからもう何もすんなって言ってんだろ」
璃緒「そうだ。あれよ、あれをしましょう!」
凌牙「あれじゃ分からねえよ。ほぼノーヒントじゃねえか」
璃緒「キスよ」
凌牙「は?」
凌牙「……何で急に魚の話するんだ?」
璃緒「鱚じゃなくてキス。KISS、マウストゥ・マウス、接吻よ。
良く言うじゃない? キスして相手に移せば風邪は早く治るって」
凌牙「確かにそういう話はたまに聞くが……そんなのやらないに決まってんだろ?」
璃緒「あら、凌牙は私とキスするの嫌なの」
凌牙「逆に聞くがお前は良いのか?」
璃緒「構わないわ」
凌牙「何?」
璃緒「私、凌牙とならキスしても良いって言ったの」
凌牙「お前、ふざけんのもいい加減にしろよ」
璃緒「ふざけて何かないわ。私は本気よ」
凌牙「俺達は兄妹だぞ?」
璃緒「兄妹だからただのスキンシップなんじゃない。凌牙は変に考え過ぎよ」サッ
凌牙「おい、それ以上近付くな。風邪が移るぞ?」
璃緒「移してよ」
璃緒「苦しいんでしょ? 辛いんでしょ?
なら私にキスして凌牙の風邪を頂戴。そうすればすぐに楽になるわよ?」
凌牙「璃緒……」
璃緒「それとも凌牙は……私とキスするの嫌なの?」
凌牙「…………」
凌牙「嫌だな」キッパリ
璃緒「キッパリ言い切った!?」
凌牙「当たり前だろ。ハッキリ言わないと馬鹿なお前には伝わらないからな」
璃緒「むぅ、馬鹿って何よ!」ホッペプクー
凌牙「……良いか璃緒。お前は俺のたった一人の妹だ。これでも大切に思ってる」
璃緒「そして急にデレた。いや、大切に思われてるのは知ってるけどそんなストレートに言われると……」アタフタ
凌牙「なら馬鹿なお前でも分かるだろ?」
凌牙「大切だから、風邪なんか移させたくないんだよ」
凌牙「大切だから、辛い思いなんかさせたくないんだ」
凌牙「例え風邪治っても、代わりにお前が引いたんじゃ意味がねえ」
凌牙「辛い思いをするなら俺だけで良い。だから俺は病気の時にお前とキスなんか死んでも嫌だ」
璃緒「…………」
凌牙「……話はこれで終わりだ。もういい加減俺は寝るからな」
凌牙「お前も早く自分の部屋に戻れ。あんまり近くに居るとマジで移るぞ?」
璃緒「……分かった。でも」
凌牙「何だ、まだ何かあんのか?」
璃緒「その、せめて凌牙が寝付くまで近くに居て良い? もう騒いだりしないから」
凌牙「……勝手にしろ」
凌牙「…………」
璃緒「…………」
凌牙「…………」
璃緒「……凌牙は優しいね」
凌牙「……うるせえ、寝かせろ」
璃緒(うん、凌牙は本当に優しい)
凌牙「…………」
璃緒(ぶっきらぼうに見えて……何時も私の事を大切に想ってくれている)
凌牙「……Zzz」
璃緒(だけど知ってる? 凌牙が私を大切に想ってくれてるのと同じくらい私も凌牙の事、大切に想ってるのよ?)
璃緒「……さすがに寝てるから唇は駄目でも、おでこくらいなら良いわよね?」
璃緒(おやすみ、凌牙……早く元気になってね)
チュ
…………
凌牙「8度2分……こりゃ完全に俺の風邪が移ったな」
璃緒「ケホッ、ケホッ……」
凌牙「だからあんまり近付くなって言っただろ?」
璃緒「だって……でも良いでしょ? おかげで凌牙の風邪、早く治ったんだし」
凌牙「は?」ギロリ
璃緒「……ごめんなさい。失言でした」シュン
凌牙「たくっ、まあ引いちまったもんはしょうがねえ。とりあえず病院に行って診て貰うか」
璃緒「ごめんなさい、凌牙……」
凌牙「いちいち謝るなよ。それにこの前は俺がお前に迷惑掛けたんだ。
お互い様さ」
璃緒「凌牙……」
凌牙「さて、お前が治るまできっちり俺が看病してやるから……覚悟しとけよ?」ニヤッ
璃緒「……うん♪」
璃緒「あ、ナース服ならクローゼットの中だから」
凌牙「着ねえよ!?」
おわり
読んでくれた人、ありがとうございました。
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