璃緒「早すぎよ」 凌牙「は?」(28)

璃緒「ありえないから、こんなに早くこっちに来るなんて」

凌牙「会って開口一番がダメ出しかよ」

璃緒「ダメ出しだってしたくなるわよ。こっちに来てるって事は負けたって事でしょ? あれだけ大きな口叩いといて情けないわね」

凌牙「優しくしろとは言わんがもう少し言葉を選んでくれ。これでも少しはナーバスな気分になってんだから」

璃緒「札付き(笑)のwwwあなたがwwwナーバスとかwww本気で似合わないからwww」プーブックス

凌牙(……この妹、イラっとくるぜ)

璃緒「でもナーバスと言ってるわりにはすっきりした顔してるわよ? その顔に免じてこれ以上のお小言は許してあげるわ」

凌牙「そりゃどーも。しかし何で出迎えがお前何だよ?」

璃緒「あら、嬉しくない? こんな可愛い妹に出迎えて貰えて♪」ニパァー

凌牙「おかしいな。遠くのデュエリストの手札が分かるくらいには視力に自信はあるんだが、お前の言う可愛い妹が何処にも見えない」

璃緒「ここ、ここにちゃんと居るじゃない! 目ん玉かっぽじって良く見なさいよ!」プンスカブックス

凌牙「いや、それ逆に何も見えなくなるだろ」

凌牙「しかしお前はこっちでも相変わらずだな。逆に何か安心したよ」

璃緒「当たり前よ。どんなに場所や立場が変わっても私は私ですもの」

凌牙「で、俺らは今何処に向かってんだ?」

璃緒「役所よ」

凌牙「役所?」

璃緒「貴方も今日からこっちで暮らすんだから。いろいろ手続きしなきゃでしょ?」

璃緒「でもナーバスと言ってるわりにはすっきりした顔してるわよ? その顔に免じてこれ以上のお小言は許してあげるわ」

凌牙「そりゃどーも。しかし何で出迎えがお前何だよ?」

璃緒「あら、嬉しくない? こんな可愛い妹に出迎えて貰えて♪」ニパァー

凌牙「おかしいな。遠くのデュエリストの手札が分かるくらいには視力に自信はあるんだが、お前の言う可愛い妹が何処にも見えない」

璃緒「ここ、ここにちゃんと居るじゃない! 目ん玉かっぽじって良く見なさいよ!」プンスカブックス

凌牙「いや、それ逆に何も見えなくなるだろ」

>>4ミス

役所……

職員「それではこちらの方にサインをお願いします」

凌牙「…………」カキカキ

職員「はい、結構です。では数日の内に住民票を手配しますのでしばらくお待ち下さい」

凌牙「……おい、こんなんで良いのか?」

職員「はい。では次の方も居ますのでご退席お願いします」

凌牙「…………」

璃緒「どう? 一人でちゃんと出来た?」

凌牙「まじで役所仕事って感じだったぞ。良いのか、これで?」

璃緒「正直私も最初は面食らったけどね。まあ変に複雑じゃないだけ良いじゃない」

凌牙「てか俺、こっち側に住んで良いのかよ」

璃緒「貴方って札付き(笑)とか言われてたわりには特に大きな前科とかないからじゃない?」

凌牙「その(笑)やめろ。それでもあれだけ騒ぎを起こしたんだから多少は覚悟していたんだが……」

璃緒「それは正当な理由があるって判断されたからじゃないかしら?」

凌牙「まあ間違った事した覚えはないけどな」

凌牙「しかし俺でも大丈夫って事は他の奴らもこっちに居るのか?」

璃緒「ええ、大半は」

凌牙「大半?」

璃緒「一人だけ下に行ったわ。本人は納得してたみたいだけど……誰かは言わなくても分かるでしょ?」

凌牙「……そうか」

凌牙「あいつとはこっちで会ったのか?」

璃緒「ええ、役所の前でね。とりあえず挨拶がわりに一発顔面をグーで殴っといたわ」

凌牙「役所の前で暴力騒ぎかよ」

璃緒「だって我慢出来なかったんだもん。で、殴り足りないからもう一発今度はお腹でも殴ってやろうと思ったんだけど……」

璃緒「あいつ、殴られた癖に何か凄いすっきりした顔で笑ってたのよ。私がデュエルしていた時とは違う……さっきの凌牙みたいな顔でね」

凌牙「…………」

璃緒「何かそれ見たら気が抜けちゃって……勿論まだ完全に許した訳じゃないけど、前ほどの感情は今はないわ」

凌牙「そうか……それなら俺も少しくらい挨拶したかったな」

璃緒「挨拶ならそのうち出来るわよ」

凌牙「でもあいつは下に居るんだろ?」

璃緒「多分何年かしたらこっちに来るんじゃないかしら?」

凌牙「そうなのか?」

璃緒「どうも下は一種の刑務所みたいな所らしくてね、罪さえ償えばこっちで暮らせる様になるらしいわ」

璃緒「犯した罪によっては長くなるけど……それでも何時かはこっちに来るでしょ」

凌牙「そうか、なら待ってやるか……幸い時間だけはたっぷりあるみたいだからな」

璃緒「その口ぶりだと戻って来たらまた迎えてあげる気なのかしら?」

凌牙「……やっぱり不満か?」

璃緒「まさか。私の事ならもう済んじゃった事で今更どうにもならないし、貴方がそうしたいんなら私は何も言わないわよ」

凌牙「お前って結構懐の大きい女だったんだな」

璃緒「何なら聖母と呼んでも良いわよ」フフン

凌牙(しかし懐以上に態度がでかい)

璃緒「さて何時までもこんな所に居るのも何だしそろそろ出ましょうか」

凌牙「今度は何処に行くんだ?」

璃緒「貴方がこれから暮らす所よ。他の皆もそこで待ってるから」

璃緒「あ、でもその前に連れて行きたい場所があるんだけど良いかしら?」

凌牙「お前に任せるよ」

璃緒「そう、じゃあ行きましょう」

…………

璃緒「どう、良い景色でしょ?」

凌牙「ああ……それにしても良く似てるな。少し驚いた」

璃緒「うん、あの高台に似てるわよね。見える景色はちょっとだけ違うけど……あ、あそこ見て」

凌牙「あそこって……!」

璃緒「……何とかやってるみたいね」

凌牙「ああ……しっかし相変わらず馬鹿面してるな、あいつ」

璃緒「声、掛けてみたら?」

凌牙「掛けても聞こえねえだろ、この距離じゃ」

璃緒「分からないわよ。どんなに離れていても想いは届くって言うし」

凌牙「ハッ、何だよ、それ」

凌牙「…………」

璃緒「…………」

凌牙「……やっぱり止めとくぜ」

璃緒「……良いの?」

凌牙「ああ、別れの挨拶はもう済ましてる。今更送る言葉なんてねえよ」

凌牙「それにあいつなら……『遊馬』なら大丈夫だ。この先何があってもな」

凌牙「なんせ遊馬には無敵の力が……『かっとビング』があるんだからな」

璃緒「……そうね」クスッ

凌牙「さて、そろそろ行くか」

璃緒「ねえ」

凌牙「ん?」

璃緒「私、もう貴方には二度と会えないと思ってた。だけど今、私と貴方はこうやって隣に立って話してる」

凌牙「こんな形になっちまったけどな」

璃緒「形なんてどうでも良いわ。貴方が近くに居れば私はそれだけで幸せなの。だから――」

メラグ「――これからはずっと私の側に居てね、ナッシュ」

ナッシュ「お前の方こそ離れんじゃねえぞ、メラグ」




Wonder Wings 連れて行くよ

繋いだ手は ほどかぬまま




<おわり>

神代兄妹のSSは今までも幾つか書いて来ましたが、今回で一応完結です(面白そうなネタが浮かべば書くかもしれませんが)。

今回読んでくれた人も、これまで読んでくれた人もありがとうございました。

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