魔王「おかしいと思わないのか?」
勇者「何を語るかと思えば! ふざけるなよ魔王!」
魔王「まぁ、待て。一つ話しをしようじゃないか」
勇者「聞く耳もたん!」
魔王「まずそこだ。何故我々の言葉がわかる」
勇者「?」
魔王「いや、正確には何故我々は人間と同じ言葉を使うのか。何故意思疎通が可能なのか」
魔王「疑問に思わないか?」
幼女「まあいい・・・・・・・・・・下がってろ・・・・・・・・・魔王」
魔王「はっ・・・・・・・・・」
幼女「勇者よ・・・・・・・・よくきけ・・・・・・・・・・・わたしのまんこが世界だ・・・・・・・・・・・・・」
勇者「なんだって!!!!」
魔王「我々魔族と人間、どうだ? まるで同じような姿形ではないか」
勇者「魔物は違うだろう!」
魔王「ふむ、確かに。魔物は違う。しかし、どうだ。不思議に思わないか」
勇者「……?}
魔王「犬、ネコ、熊、虎、龍.......数え上げればきりが無い。どうしこうも人間の世界にある者と同じなのか」
勇者「龍は存在しない!」
魔王「しかし、伝承にある」
勇者「……それは魔物が先だったのだろう!」
魔王「いや、龍とは本来神聖な物の筈だ。どうして魔物となる」
勇者「貴様が悪意を持たせのだろう!」
勇者「漫画だと外国人と普通に会話できたりするだろ!? それと同じだ!」
魔王「なるほろ」
我々は>>1が何故このようなスレッドを立てたのかという疑問を解決するため、1の故郷である◯◯県に向かった。
「まだ日本にこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。
小人が住むような小さな家、ツギハギだらけの服を着る農夫たち、
そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
高度成長だの、神武景気だの、オリンピックだので浮かれていた我々は改めて農村の現状を噛み締めていた。
ボロ屑のような家に居たのは老いた母親一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに
「息子が申し訳ありません」と我々に何度も土下座して詫びた。
我々はこの時初めて1を許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、農村の貧しさが全て悪かったのだ。
我々は1の母親から貰った干し柿を手に、打ちひしがれながら東京へと帰路についた。
r ‐、
| ○ | r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧l☆│∧ 良い子の諸君!
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、 l
|ヽ ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒) 「既存の繰り返しはつまらない」という理由で斬新な展開を求めても
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /| 大抵は練り込み不足でそれまでよりつまらなくなる場合が殆どだ!
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' |
│ /───| | |/ | l ト、 | 王道という言葉の意味がわからん奴に面白い作品は作れないぞ!
| irー-、 ー ,} | / i
| / `X´ ヽ / 入 |
r ‐、
| ○ | r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧l☆│∧ 良い子の諸君!
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、 l
|ヽ ~~⌒γ ⌒ ) r'⌒ `!´ `⌒) よく頭のおかしいライターやクリエイター気取りのバカが
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ ⌒~~ / 「誰もやらなかった事に挑戦する」とほざくが
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' | 大抵それは「先人が思いついたけどあえてやらなかった」ことだ。
│ /───| | |/ | l ト、 | 王道が何故面白いか理解できない人間に面白い話は作れないぞ!
| irー-、 ー ,} | / i
| / `X´ ヽ / 入 |
幼女「おまえのちんぽを私の世界につなぐごとで・・・・・・・・・・・・愛が生まれるのだ・・・・・・・・」
勇者「そんな!!!!」
幼女「勇者よ・・・・・・・・わたしのからだいやらしいだろう・・・・・・・・・くるのだ・・・・・・・・・・きもちよくさせてやろう」
魔王「それは追々語るとしよう」
勇者「なに! 逃げるのか!」
魔王「何故我々はこんなにも人と似ているのだろうか。この城にしてもそうだ、何故城など建てた?」
勇者「……貴様らが真似たのだ! 人は尊く、偉大だからな!」
魔王「ふむ……なるほど。城はそうだとしても姿形を変えたと言うのは通らんな」
魔王「そもそも私は生まれた時からこの形だ。長い時を経てこうなったのか? 違う! 父も、その父も、そのまた父も、文献によれば皆人型よ」
勇者「……」
魔王「さて、次だ。少し戻るが、何故城などがあるのだろう」
幼女「そうだ・・・・・・・・まずおまえのちんぽをおおきくしないとな・・・・・・・・・・・・・・」
ぺちゃぺちゃ・・・・・・・・
幼女「おいしい・・・・・・・・・・・・・おいしいぞ!!!!ははあっ!!!」
勇者「知るか! 己の偉大さを知らしめる為か!」
魔王「ふむ。そうだな、権威を振りかざしているのかもしれない」
魔王「しかし、妙なことに。貴様、何故この場所に居るとわかった?」
勇者「ここが王の間だということなど当たり前だ!」
魔王「そこだ! 何故ここも人間そっくりなのだろうか!」
魔王「そもそも何故こんな孤島に居城を建てたのか」
勇者「人の目に触れぬようにだろう! こそこそと影から卑怯め!」
魔王「魔物は強大だ。人間では歯がたたない。魔族となれば抵抗できるのは一握りだ」
魔王「そんな圧倒的差があるのに何故こんな所に? 大陸の真中でもいいではないか。私自身最強と自負している」
勇者「……我が一族が代々貴様らを屠ってきたのだ! そしてここに追いやったのだろう!」
魔王「それも不思議だ! 何故毎度の如く貴様らの血縁なのだ!」
勇者「我々は選ばれた一族だ!」
魔王「そうだ! 神に! そしてここでもうひとつ疑問だ!」
魔王「何故貴様らは我が一族を根絶やしにしない?」
勇者「何を寝ぼけた事を。もちろん貴様はここで朽ち果てる運命よ!」
魔王「ふむ、ふむ……その後は?」
勇者「その後? 凱旋するだけだ!」
魔王「何故子孫が居ると疑わない? また争いの種が生まれるぞ?」
幼女「種がでたあああああああああ!!!!!」
勇者「はあはあ////////////////」
幼女「かわいいやつめ・・・・・・・・・・・・・ぺしゃあっ!!!」
勇者「……子供の命を取るなど卑劣な真似はできない!」
魔王「しかし私自身そうやって生かされまた立ちふさがった! ここで断ち切るべきではないか?」
勇者「……ならばやってやろうではないか!」
魔王「よし、分かった。さぁ、次だ。根絶やしにした後はどうする?」
勇者「同じ事を何度言わせるつもりだ! 国王陛下に報告なさるのだ!」
魔王「何故?」
勇者「そんなの諸悪の根源が消え去り、世界が平和になったからに決まっている!」
魔王「そこも疑問に思わないのか!」ガタンッ
勇者「」ビクッ
魔王「何故世界に平和が訪れると分かる!」
勇者「だ、代々魔王を討てば世界に光は取り戻す伝えられている!」
魔王「今までずーっとそうだったのか」
勇者「当たり前だ! 何をふざけた事を!」
魔王「魔物はどうした」
勇者「?」
魔王「今まで暴れていた魔物だ。まさか貴様一人で全部殺すという訳にも行くまい? そいつらはどうした」
魔王「今もこうして奴らは思い思いに暴れている。それが何故私が死ぬと同時に居なくなるのだ?」
勇者「……そんな事はどうでもいい! 貴様を倒せばそれでいいのだ!」
魔王「奴らは不思議だ。魔物は何故この私に絶対の忠誠を誓っているのだろう」
魔王「何故この私に逆らわない? どんなことをしても守る?」
勇者「だから貴様がそうしたのだろう!」
魔王「違う! それは違うぞ、父が殺された日。魔物は消えた。皆死んだと部下に伝えられた」
魔王「部下とはこの城に残った魔物たちだ。私は彼らに育てられた。そして私が王位についた」
魔王「するとどうだろう! 魔物が暴れているというではないか! 各地に兵を送り、次々と侵略していった!」
勇者「やはり貴様ではないか!」
魔王「いや、問題はそこではない。どこから奴らは出てきた? 潜んでいたのか? どうして私が魔王になったと知った?」
魔王「そもそも何故そんなに忠実な部下が私が死んだら引き下がるのか。普通は貴様らに仇討ちの為に襲い掛かるのではないか?」
魔王「さて、ここからが本題だ」
魔王「何故私は魔王なのだろうか」
勇者「……はぁ?」
魔王「父が死んだことに対する怒りの念はない。ただ周りのものから魔王になれと言われてきた。私自身そうだと思っていた」
魔王「王座についた。何故人間を侵略していったのだろうか」
魔王「私はただ、人間を滅ばせねばならない。ただそう、思っている。何故だ? 分からない」
勇者「……気でも狂ったか」
魔王「お前だってそうだ! 何故貴様は勇者なのだ?」
勇者「勇者だからだ!」
魔王「何故貴様らなのだ? 別に他のところから出てきても良さそうなものを」
勇者「……選ばれたものは我ら一族のみだ!」
魔王「仲間なしにか」
勇者「仲間は、いない」
魔王「何故だ?」
勇者「必要ないからだ。居ても足手纏いになる」
魔王「お前より強い剣士は居なかったのか」
勇者「居た……いたが、彼では魔王を倒せない! この選ばれた者のみが振るうことのできる聖なる剣がなければ貴様は斬れん!」
魔王「そもそもそれはなんなんだ?」
勇者「は?」
魔王「なんでそんなものが存在している」
勇者「魔王を倒す為だ!」
魔王「いつから存在しているのだ」
勇者「先祖代代伝えられている……初代様からだろう!」
魔王「ふむ、文献によれば、初代勇者は神より授かった、と言われているが?」
勇者「そのとおりだ!」
魔王「お前たちはなんと伝えられている」
勇者「……」
魔王「私は父から聖なる剣の話を聞かされていた。もちろん、我々にとって恐ろしい武器だからな」
魔王「その父によれば世界を征服中、聖なる剣を持った勇者が突然現れたといわれている。どこで授かったのか。教えてくれ」
勇者「天からの啓示だ」
魔王「天?」
勇者「そうだ! 初代様はある日、天より啓示を受けたといわれている!」
魔王「なんと?」
勇者「夢枕に立った神が道を教えたのだ!」
勇者「その道の通り進むと岩に突き刺さった剣があった! それを抜いたものがこれだ!」ジャキン
魔王「ふむ……なるほど。岩に突き刺さっていた、か。どうして今までその場所が割れなかったのだろう」
勇者「深い洞窟の先にあったといわれている!」
魔王「と、言っても。魔物も居ただろう?」
勇者「いない! 聖なる剣によって守られていたのだ!」
魔王「では尚更不思議だ。何故そんな安全な場所なら、もっと話題になって良いはずだ。魔物が近寄らない洞窟がある、と」
勇者「……」
魔王「そしてそれならば調査隊が向うはずだ。そして剣は見つかる」
魔王「何故地元の人間は見つけなかったのだろうか。いや、旅人でもいいさ。誰でも良い」
勇者「……」
魔王「それに、何故我々魔王はいつも負けるのだろうか」
魔王「そもそもにして、勇者の一族。これを根絶やしにすればよい。魔王が生まれると同時に勇者も生まれる」
魔王「それまではただの人だ。赤子が生まれる前に片っ端から殺せばよい」
魔王「というより、何故魔王と勇者は同時期に存在するのか」
魔王「決して違える事の無い輪廻。突如現れた剣。繰り返される英雄譚……」
勇者「……」
魔王「勇者よ、お前はこの世界に疑問に思わないか?」
勇者「なるほど、確かに貴様は魔王だ」
魔王「……」
勇者「人心を惑わす」シャッキン
勇者「しかし、俺も疑問を持った」
魔王「そうか! ありがたい! 部下に話しても、そういうものだとしか言われなかったからな!」
勇者「俺もだ。そういうものだと、思っていた」
魔王「部下は世界征服、ただ、それだけしか考えていない。魔物もそうだ。暴れることしか脳にない」
魔王「何故そんな者が存在するのか。どうやって繁殖したのか。これも疑問だ」
魔王「まるで、ただこの世界を脅かす為だけに存在しているようだと思わないか?」
勇者「俺はただ世界を救う為だけに、か」
勇者「しかしだ魔王。疑問に持ったからといってどうする」
勇者「その答えなど、どこにあるかもわからないんだぞ。あるいは……無いのかもしれん」
魔王「それはありえないな」
勇者「なぜだ」
魔王「そんものこの世には存在しない。この世に生きとし生けるもの、すべては己が種の繁栄が本能だ」
勇者「しかし現に魔物は存在しているぞ。貴様もだ」
魔王「……」
勇者「それ見たことか」
魔王「いや、我々がそうではない、と言うことはありえるな。しかし、だからと言って答えが無いはずは無い」
魔王「我々はそう、誰かに計画的に作られたのだとしたら?」
勇者「誰か?」
魔王「うむ。妙にお膳立てされていると思わないか」
勇者「……神か」
魔王「ああ、そもそも何故この世界において、神とは一つなのだろうか」
勇者「そういえば……確かにどこの国を回って信仰の対象は一つだったな……」
魔王「ここまで一神教が普及するというのもおかしいと思わないか? どこかに邪教が存在してもいいはずだ」
勇者「確かに……」
魔王「第一に、何世代我々は同じ事を繰り返している?」
勇者「?」
魔王「父も、その父も、その父も、またまたその父も……」
魔王「初代様とやらは何百年前だ」
勇者「……え、えーと、ち、ちょっと待て。確か……うん、ちょうど1000年前?」
魔王「ふむ。おかしいな、どうして我々は同じ事を繰り返しているのだろう。私たちのことではないぞ」
勇者「?」
魔王「この世界だ! まるで技術的革新がないではないか!」
魔王「明らかにおかしい。そう思わないか?」
勇者「そ、そういうものか。俺は難しい話はわからん……」
魔王「1000年前のお前らはなにやってた? 1000年後の今のお前らは? 全然違うだろう? そういうものだ」
魔王「とりあえず、神の元へ向う。当てが外れても、手がかりはつかめるはずだ」
魔王「乗れ」
勇者「お、おう」
龍「ォオオオオオオ!」ゴォオオオオ
魔王「……」
勇者「な、なぁ。魔王よ。どこへ向かってるんだ?」
魔王「聖地だ」
勇者「聖地……? ああ、神々の祠か。確かに。あそこは一つだけだな」
魔王「世界の真中、孤島に聳え立つ。怪しいにも程がある」
勇者「俺はそこで魔王の居場所を知るからなぁ……」
魔王「居場所なんていつも同じではないか」
勇者「あれ? そういや、そうだなぁ」
魔王「何故伝えられん」
勇者「まぁ、目的はそれだけじゃない。あそこでレベルアップも兼ねるし」
魔王「ふむ……」
勇者「しかし、あそこには魔王は入れないんじゃないのか?」
魔王「ああ、多分な」
勇者「じゃあどうすんだよ!」
魔王「一旦、死ぬ」
勇者「は……?」
魔王「ここに薬がある。これを中に入ったら私の身体にぶちまけてくれれば復活するはずだ」
勇者「な、なに!? 貴様そんなものを!」
魔王「当たり前だ。私がただ座して死を待つとでも思うか! 貴様に斬られた後は部下にこれを使わせるつもりだった」
勇者「ふ、ふーむ……抜け目ない奴だな」
魔王「とは言っても試用したことはない。失敗だったら悲惨な目に合うな」
勇者「……」
魔王「仮に蘇生に復活しても、中で復活した場合どうなるかわからん。爆発するかもしれないし」
勇者「……嫌な役目だな」
魔王「我慢しろ」
魔王「ご苦労であった」
龍「ォオオオ」ゴォォオオオオォォォ.........
魔王「ふむ。では、やってくれ」
勇者「ああ、それでは、覚悟ッ!」ジャキッ
魔王「ま、待て待て待て!!」 ヒョイッ ズドンッ
勇者「なんだ魔王! 貴様往生際の悪い!」
魔王「ね、念のためその剣で切るのはやめてくれないか」
勇者「何故だ。この聖剣でなければ魔王は倒せん」
魔王「確かに攻撃力、破壊力は凄まじいものだが……ほれ」ヒュッ
勇者「うん?」パシッ
魔王「その剣には劣るが、この世界で最も最強の剣だ。そいつを抜かしてな」
勇者「……これで斬ろと?」
魔王「ああ。その聖剣とやらも臭うのでな」
勇者「しかし、こんな事聞いたことが無いぞ。聖剣でなければお前は倒せないだろう」
魔王「私の体力は確かに天の高さほどだ。その体力を削るにはその馬鹿みたいに強力な剣で泣ければ易々とは倒せん」
勇者「……つまりアレか。貴様が言いたいのは城門を向上平気で倒さず、木槌で壊せと」
魔王「うむ。概ねそのとおりだ」
勇者「……」
魔王「安心しろ。私は一切抵抗せん。ただ少々貴様が疲れる、と言うだけの話だ」
勇者「……わかった」
勇者「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」グッタリ
魔王「うむ、ご苦労」コキコキ
勇者「し、死ぬかと思った……」
魔王「はははは、笑える冗談だ。死んだのは私ではないか」
勇者「じ、冗談じゃない! ほんとに疲れたんだ!」
魔王「問題なく薬の効用も機能しているようだし、今のところ内部に居ても問題はない。いいからさっさと行くぞ」
勇者「ち、ちょっと休ませてくれ……」
魔王「誰かさんのお陰ですっかり日が暮れてしまっているんだ。それともなにか戦闘中に疲れたと言って休む奴がいるのか。ほら、行くぞ」
勇者「お、鬼め……生き返らさなきゃ良かった……」
魔王「今の所は何も問題はない」
勇者「はぁ、はぁ、なんだよ……」
魔王「あくまでこれは今のところだ。たまたま今回は想定外だったために処置がとられていないだけに過ぎない」
魔王「いつ気付かれるか分からん。気付かれたらどうなるかも分からん。急げ」
勇者「……分かったよ」
魔王「ふむ、素直でよろしい。とりあえずここまではすべて私の推測どおりだ。聖剣でなくても私が殺せる、と言う事は証明された」
勇者「ああ、そうだな。中々死なないから無理かと思ってたが……案外やってみるもんか」
魔王「これによって一つの仮説を立てた。何故わざわざ馬鹿みたいに体力がある魔王なのか。聖剣は何故それに対抗しうる力なのか」
魔王「おそらく聖剣にはなんらかの機能が施されているのだろう。故にそれ以外では倒されないように、私の能力を高め、それに応じ剣の威力も高めた」
魔王「まぁ、その機能というのはなんなのかは分からんがね……」
魔王「こんなところだが、どうだろうか?」
勇者「どうだろうか、と言われてもな。どうとも……まぁ、その機能ってのはよっぽど大事なもんなんだな」
魔王「一体どんな仕掛けがあるのか……謎だ」
勇者「んー、例えば……ほら。疑問に思わなくなる効果とかそうなんじゃないか?」
魔王「馬鹿な。そうなら私は疑問に思ってないだろう」
勇者「それもそうか」
魔王「まぁ、その考察は後でも良い。今は一刻も早くこの祠の謎を……おっと! 早くも見つかったな!」
勇者「本当か! どこだ?」
魔王「ここさ」
勇者「ここって、ただの像じゃねーか」
魔王「いかにも、だろう?」
勇者「いやぁ……ないと思うがな」
魔王「おい、協力してこの像をどかすぞ」
勇者「どかす?」
魔王「ああ。確かこの像は神だそうだな」
勇者「そういわれているな。この地に神が降り立ち、我々に知恵とパンを授けた、と言われている」
魔王「故にこの地は聖地として崇められ祠となっているのだ。つまり、一度だけここに神は降り立った」
勇者「うん……それで? なんなんだ?」
魔王「なんの為かはわからんが、何かの用事で来たんだ。ここに。何かあるに決まっている」
勇者「……だからパンと知恵授けに来たんじゃ……まぁ、ないか?」
勇者「せーっの!」グッ
魔王「ふんっ……くくくく」グググググ
勇者「ぐぅぅわぁっ! 駄目だ! うごかねえ!」
魔王「ふぅ……疲れた。駄目だ、びくともしないな……」
勇者「あー、明日は筋肉痛酷いなこれ……」
魔王「ふむ、ふむ、ふむ……」
勇者「何やってんだよ。多分それ関係ないよ」
魔王「関係ない分けないだろう。動かないんだから。ところで、この像誰が建てたか知ってるか?」
勇者「いや。知らん。誰か土地の人間じゃねーのか」
魔王「そうか……ふーむ……」
魔王「絶対に関係あるんだ。壊してはしかし、いけないものに違いあるまい……」ブツブツ
勇者「……もういいだろ。他のところ探そうぜ、こんな所に時間かけても仕方ないし」
魔王「ブツブツ」
勇者「チッ。んじや俺一人で周ってくるよ」ヨット グイッ
カコン
勇者「んぁ? なんだ今の音」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
勇者「ん、んぉっおっおっおわぁあああ!」ゴロンゴロンゴロン ドスーン
魔王「おお、動いた。なるほど、どこかにスイッチがあるのか。それを押すと作動すると……でかしたぞ勇者よ!」
勇者「いててて……でかしたじゃねーよ! バーカ!」
魔王「今いくぞ」フワッ スタッ
魔王「どうだ?」
勇者「……」
魔王「どうした?」
機械群「ピピ゚ピピピ ピコピコピコピコ」
勇者「な、なんだ……ここ……」
魔王「……ふむ……」ジロジロ
勇者「あっ!」
魔王「これは……なんだ? 年代……か? いや、ふむ……おお、これはもしやふむふむ」ポチポチ
勇者「お、おい! 勝手に触ったら何が起きるか!」
魔王「ふむ、ふむ……ふむ、ふむふむふむふむ……」ピッピッピッピッ
勇者「……」
魔王「……うむ、大体は分かった」
勇者「ど、どういうことだ?」
魔王「とりあえずここには現在の世界情勢が詳しく書かれている」
勇者「は、はあ」
魔王「次に、気候等も設定されているようだ。繁殖率も設定されている。また、この数値では現在の進行度が……」
勇者「????」
魔王「全てが数値化……まぁ、有り体に言えば。我々は神に管理されていた、と言うところか」
勇者「な、なんだって!」
魔王「いや、正確には……箱庭だった、と言うべきか……」
魔王「……」
勇者「こ、これからどうするつもりだ」
魔王「どうするこうするも、な。神に会えればいいのだが」
勇者「じゃあ会おう! 方法はあるはずだ!」
魔王「ふむ、神に会うのは問題ないさ。いつかは分からんがね」
勇者「どういうことだ?」
魔王「すべての管理はここで行われている。つまり、なんらかの不祥事が起きた時、対処するにはここに来なければいけないのだ」
勇者「ほ、ほう……」
魔王「ああ、ちなみに勇者と魔王の関係性もここに記されてあったぞ。互いに争わす事で国家間の戦争を妨げる。文明は魔物によって壊される」
魔王「つかの間の平和を与えることで神への信仰心を高める。この信仰心、とやらがどうやら大切なものらしいな。良くは知らんが」
魔王「それと、お前の言っていた聖剣の機能。あっていたみたいだぞ」
勇者「?」
魔王「疑問を無くす、という効果だ。これで斬られると世界全体にこの効果が撒布される。ただ、どうやら私はなんらかのバグでそれが通用しなかったらしい」
勇者「ふ、ふむ……ところで、疑問なんだが」
魔王「なんだ?」
勇者「ここで待っていれば神が来ると言ったな」
魔王「ああ。問題に気付けばの話だが。勿論、ここであらゆる各種設定を行うんだ。今もう既に私が手を加えたから来ない訳には行くまい」
勇者「もし、もしここ以外にもその設定とやらを弄ることが可能だったら?」
魔王「……それはどうしようもない。我々からあちらに会いに行く方法もないしな」
勇者「……賭け、か」
魔王「不本意ながらな。それも分の悪い」
魔王「まぁ、来るさ」
勇者「本当か?」
魔王「ああ、ほら。そこにいる」
勇者「えっ!?」バッ
神「こっちだアホ」ブゥン
魔王「おっと……まさか本当に来ていた、とはな」
神「……よくも勝手な真似をしてくれた。全く……まぁ君たちはどちらにせよ排除せねばならない」
神「ここまでだ取り付いたご褒美だ。何か答えてあげよう」
勇者「じゃあお」
魔王「この世界のことについてだ」
神「この世界……うん、そうだな。その昔、人はもっと優れていた」
神「我々は人を作り、その信仰心、と言う力をエネルギー替えて利用していた。重要な産業だったわけだ」
神「ただ、少々優秀すぎてね。彼らはこの世界の中から世界の外を観測しはじめた」
神「いつしか彼らの技術も進歩し、世界の中から世界の外へと飛び出し始めるようになった。最初は無人だったんだが……」
神「いつのまにか有人探査になっていた。こうなると揉み消すのも難しい」
神「とは言え所詮この手で作り上げた者だ。平気だろうと放置しておいたら、人間派世界の外までもを飛び出した」
神「我々の世界はめちゃくちゃだ。バグは新たな真理を見つけ、いつしか彼らはウィルスになっていた」
神「ウィルス駆除は我々と人間との闘争の歴史だよ……長かった。あらゆる物が機能不可能に陥った」
神「まぁ、最終的には我々が勝利したので、今ではこうして勝手に進化しないように管理しているという訳だ」
神「ご理解いただけたかな?」
魔王「なるほど」
神「言い換えてみれば、君たちは英雄なのさ。我々を助けてくれている」
勇者「……」
神「救世主様なんだ。うん?」
魔王「しかし先ほどは排除すると言ったが?」
神「ああ、興奮していたものでね。すまない。元々は君たちを説得する為に来たんだ」
神「分かってくれて、これから協力しつづけてくれるなら。なにもしないさ」
勇者「だからって……だからと言って貴様は認めん!」ジャキンッ
神「……」
勇者「魔王はなんだ。ずぅーと虐げられつづける運命か。そんなものは救世主と呼ばない。道具って言うんだよ!」
神「はぁ。プログラムの癖に……」
神「俺は創造者だぞ。この世界での能力はカンストしてる」
神「やるのか? あ?」
魔王「勇者」ポイッ
勇者「……これは」ガシッ
魔王「私の為に怒ってくれてありがとう」
勇者「はは。うるせーぞ魔王。あとでお前も斬ってやるからな」
魔王「期待してるよ」
神「おいおいおいおい。そいつは私が設定した聖剣だぞ」
神「精々攻撃力500~800。それに大して俺の能力はすべて9999だ。そんなものじゃ倒せないなぁ」
勇者「やってみなきゃわかんないだろう!」
神「ま、いいや。ほれ、かかってこいやほれ」
魔王「一つ尋ねる」
神「ああ。どうぞ」
魔王「お前の能力は関すとしている、といったが。それは現実とどうなっているんだ?」
神「元々、私たちと君とは同じ大きさだよ。我々の科学力で箱庭を作り、縮小してあるにすぎない。モデルは私たちだからね」
魔王「ふむ。と、なると。ここでは自分も縮小、という形になるのか」
神「そうだね。ま、能力は桁違いだけど」
魔王「十分だ。ありがとう」
勇者「よし、覚悟しろ、神よ!」
神「君たちにはどれだけ頑張っても越えられない壁があることを教えてあげよう。一発、斬りかかってみなさい」ニコッ
勇者「……」
神「罠じゃない。格の違い、って奴を教えてやるって言ってるんだ」
神「ハンデみたいなもんだとでも思ってくれればいい。本気できな」ニヤリ
勇者「うおおおおおおおおおおおおお!!!」ヒュゥンッ
神「……」ニヤニヤ ザシュッ
神「……ごふっ……えっ、はっ・……? えっ・……?」ボタッボタボタ
勇者「……き、斬れた」
神「が、がひゅっ……ごはぁ!! く、苦しいっ! 痛い! な、なんで! なんで!?」
神「ギャアアア!! 痛いぃいいいいいい!!!」
魔王「ははは。笑わせてくれるな。こちらもそっちの機械で弄くらせてもらったよ。剣の機能」
神「すひぎぃいややあああ! いたいよぉおお!!」
勇者「……」
魔王「ほら、何を呆けているんだ。斬れ」
勇者「えっ? あ、ああ」
魔王「あいつは何も身につけていない。装備による効果はなしで、身体能力のみだ」
魔王「武器の威力と奴の防御力は同じ。後はお前自身のレベルによる力のダメージさ」
神「ひぎぃいいいい!!!!!!!」
魔王「奴を倒すのは根気がいるぞ。体力は私より多いからな。ま、痛みに慣れてないんで抵抗しそうにないってのが救いか」
勇者「……」
魔王「早くしろ。私では太刀打ちできん。世界を救えるのは、君だけだ。勇者様」
勇者「お、おうっ!」
勇者「よう」ザッ
神「ま、待て待て待て!!」
勇者「……」チャキッ
神「わ、わかった! お前は優遇してやる! だから!」
勇者「……」ジッ
神「そうだ! 我々の世界に連れてってやる! こんな野蛮的な世界ではないぞ!」
神「素晴らしい桃源郷だ! 女だって沢山いるし!!! 美味しいものも!!」
勇者「女?」
神「そうだ! 女だ! 女! 絶世の美女! だからっもうっ早くっ助けてええええええ!!」
勇者「女なんてのはなぁ……魔王がいりゃそれでいいんだよおおおお!」ザシュッ
神「びきいいぃいいやああああああああ!」ザシュッザシザシュッュ
勇者「はぁっはぁっ……はぁっ……」グイッ
神「」
魔王「お疲れ様。汚れたな」フキフキ
勇者「あ、ああ。ありがとう」
魔王「……さて、仕事は終わった。これから私たちはこの地を奴らから守る一族として手を取り合っていかなければな」
勇者「! お、おう!」
魔王「ところで、さっきのことなんだが」
勇者「えっ? さっき?」
魔王「ああ。正確には斬る、前。女は私だけで良いとかなんとか……」
勇者「ひぁっ! あ、アレはそ、そのだな! え、えーと!」
魔王「プロポーズと受け取っていいのかな?」
勇者「う、うう……」コクッ カアア
魔王「ふむ。まぁ、そちらの方がお互いにここを守る、という目的の為には楽だろう」
勇者「……い、いいのか?」
魔王「別に私は構わない。ところで、どうして私を?」
勇者「えっ! い、いや……その、最初はほら。魔王だと思ってたけど。その……なんつーのかな」
勇者「寂しそう……だったし……いや、それだけじゃないよ! 知的だし! 俺は馬鹿だからさ!」
勇者「それにそれに超絶美人じゃねーか! 嫁さんにもらえるならこんなにいい人は……」
魔王「嫁?」
勇者「えっ? うん」
魔王「私は男だ」
勇者「えっ」
魔王「王は男に決まっておろう」フフンッ
勇者「……えっ」ヒュゥゥゥ
魔王「なんだ、どうした。さっきの気持ちは偽りか」
勇者「えっ、いや、いやいやいやいや! だって、だって! えっ。だって男!?」
魔王「うむ」
勇者「女じゃん! 見た目! 一人称も私だし!!」
魔王「私と使う男なんていくらでもいる。さっきの神だってそうだろう。それに第一口調は男ではないか」
勇者「ち、ちょっと男勝りって言うか……魔王だからそういうもんなのかと……」
魔王「見た目云々に関してはどうも言えんがね」
勇者「う、うそだ……そんな馬鹿な……俺の初恋が……」グスンッ
魔王「心配するな。勇者よ、幸い目の前には魔法の箱があるじゃないか」
勇者「えっ!?」
魔王「これでどちらかを古賀埋めるように設定すれば良い。私は男だから女になりたいとは思わんがね」
勇者「いや、是非ともお願いします!」
魔王「まぁ、いいさ。性は男のままだぞ。ただ子を産める身体にするだけだ。いいか? 私は一向に構わんッッッ」
勇者「え、う、うーん……」
魔王「分かった、産むのは勇者に設定しておこう」
勇者「ま、待った待った! いいよ! それでいい!」
魔王「ふふ。それじゃあ、末永く頼むぞ。幸せな家庭を築こう」ニコッ
勇者「へっ、へへへ……へへへへ……」
以降、勇者と魔王の一族はどこか孤島に移り住み
二人は死ぬまで幸せに過ごしたそうな……
・-☆-☆-☆-・
「千年でバグが発見か」
「ええ」
「このまま続行しろ。修正はしたか」
「もちろんです」
「万が一の為に設置しておいて良かったな。あの時の教訓だ」
「ああ。やはりどうやってもバグとの戦いは続く。これは永遠の我々の課題だよ」
「まぁ、なんにせよ。緊急対処装置のお陰か。奴らはすんなり引いてくれた。これで」
「以後監視の目、それと開発者チームにバグ潰し、軌道修正を連絡しろ」
「完璧な箱庭を作り上げるその日は、まだ遠いな」
完
終わり
支援サンクス
ありがちネタだったけど楽しめてもらえたなら幸いです
ちなみに機械って言葉知ってるんだってって指摘がありましたが
ミスです。ごめんなさい
それではおやすみなさい
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