王「我が息子の結婚相手は勇者にしようそうしよう」勇者「え?」(293)

謁見の間

王「よく来たな、異国の勇者よ」

勇者「どうも。はじめまして」

王「魔王を倒してすぐに呼び出すのもどうかと思ったのだが、すぐにでも話しておきたくてな」

勇者「なんでしょう?」

王「我が息子、つまり王子と婚姻の儀を交わして欲しいのだ」

勇者「え?」

王「お前ほどの美貌、資質。どれをとっても未来の妃に相応しいと思う」

勇者「あの……僕、男なんですけど」

王「え?」

勇者「え?」

王「そんなに結婚したくないのか?悪い話ではないのだが」

勇者「いえ、本当に男です」

王「またまた、そんな美しい男がいるものか。わっはっはっは」

勇者「……そこの兵士さん」

兵士「はっ」

勇者「こっちにきてください」

兵士「なんでしょうか?」

勇者「……みてください」バッ

兵士「うわぁぁぁ!!!そんな勇者殿!!いきなり―――」

勇者「よくみてください」

兵士「おぉ……」

王「ど、どうした?」

兵士「王、勇者殿は男です。立派な」

王「なんだと……!!」

勇者「もう……」

勇者「それではこれで」

王「ま、まて!!」

勇者「なんですか?」

王「その……王子に会っていってはもらえんか?」

勇者「しかし、結婚はできません」

王「いや……その……王子はお前の写真をみてひとめぼれしてしまってな」

勇者「……」

王「それでその……結婚する気まんまんなのだ」

勇者「男であるということを説明してください」

王「だが……」

王子「―――父上!!勇者様はこられましたか!!」

王「あ、ああ。いるぞ」

勇者「……」

王子「うつくしい……結婚しましょう!!」

勇者「え……」

王子「貴女の写真をみたときから慕情が私の胸に芽生えました」

勇者「はい……」

王子「毎日、貴女の顔が浮かんでは締め付けられるような息苦しさを覚え、夜空に向かって嘆息を吐いていました」

勇者「それは……どうも……」

王子「貴女を想うだけで幸福と不幸が同時に来るようで……私はもう……どうにかなってしまいそうです」

勇者「……」

王子「勇者様……」

勇者「あの……」

王子「私と……結婚をしてもらえませんか?」

勇者「ごめんなさい」

王子「……」

勇者「結婚はできません」

王子「何故ですか?」

勇者「それは……僕が男だからです」

王子「お、とこ……?」

勇者「はい。そこまで愛していただいて大変嬉しく思いますが、お断りさせていただきます」

王子「なるほど……勇者様」

勇者「はい?」

王子「私は性別など気にしない」

勇者「は?」

王「お、おい!!」

王子「私は貴女が好きなのです。女だから、男だからなんて瑣末ごとにすぎない」

勇者「大事だと思うのですけど……」

王子「勇者様……さぁ、結婚しましょう」

勇者「だからぁ」

王子「わかりました……では、一週間だけ私と生活してみませんか?」

勇者「あのですね……」

王子「それで私のことを受け入れられないというなら、潔く諦めましょう」

勇者「……」

王子「一週間、一週間だけ……どうかこの哀れな道化に慈悲を」

勇者「お断りします」

王子「おねがいします。絶対に苦痛を与えたりはしません」

勇者「既に苦痛なんですけど」

王子「この通りです!!」

勇者「……」

王「どうやら諦める気はないようだ。勇者よ、一週間だけでもお願いできんか?」

勇者「でも……」

王子「……」

勇者「……一週間で諦めてくれますね?」

王子「は、はい!!」

勇者「なら、構いません」

王子「勇者様……!!」

勇者「は、はい……」

王子「幸せにしてみせます」

勇者「あの……一週間だけですよね?」

妃の部屋

王子「どうぞ」

勇者「うわぁ……ここが部屋ですか?なんというか一般家庭の家ぐらいありますね」

王子「私の妃になったものは、この豪奢な部屋を使ってもいいのです」

勇者「そうですか」

王子「貴女はここで一週間、過ごしてください」

勇者「いえ。こんあ立派な部屋はいりません」

王子「しかし……」

勇者「私は兵士さんの宿舎でも……」

王子「いけません。兵士といえど男。変な気を起こす輩もいるやもしれない」

勇者「王子が言うんですか?」

王子「わかりました……。では私の部屋で―――」

勇者「ここでいいです」

勇者「ふう……」

勇者「僕の容姿は……本当に女の子みたいだから、よく同姓にも告白されたけど……」

勇者「まさか結婚なんて……」

勇者「……」

勇者「そういえば……」


僧侶『勇者様、将来の伴侶はいるのですか?』

勇者『特にいないかなぁ』

僧侶『では、自分と……』

勇者『いや、僕は男です。貴方も男です』

僧侶『魔法で女になります』

勇者『やめてください』


勇者「旅をしているときも色々あったからなぁ」

メイド「失礼します」

勇者「はい?」

メイド「どうも一週間、身の回りのお世話をさせていただきます」

勇者「そうなんですか」

メイド「よろしくお願いします」

勇者「あの、そんなことしなくても……」

メイド「仕事ですので」

勇者「そうですか?」

メイド「……」

勇者「じゃあ、お願いします」

メイド「はい」

勇者「それにしても立派な部屋ですよね」

メイド「そうですね」

勇者「……」

メイド「……」

勇者「あの……なんでそこで立っているんですか?」

メイド「基本的にこの場所に私はいます。何かありましたらお声をかけてください」

勇者「そうですか……」

メイド「……」

勇者「……」

勇者「す、することがないですね。お話でもしませんか?」

メイド「いえ。侍女と王室の方が私語を交わすのは厳禁です」

勇者「僕は王室じゃないです。お客さんですから」

メイド「……しかし、王子の妃となるのでは?」

勇者「なりません。僕は男ですから」

メイド「……」

勇者「なにか?」

メイド「おとこ……?」

勇者「ええ」

メイド「またまた」

勇者「いやいや」

メイド「どうみても女性……」

勇者「でも、男なんです。身も心も」

メイド「……」

勇者「だから、僕は……」

メイド「そうなのですか」

勇者「え?」

コンコン

メイド「……どうぞ」

王子「勇者様!!」

勇者「どうも」

王子「城内を案内しましょう」

勇者「え……」

王子「さぁさぁ!」

勇者「あの……ちょっと」

メイド「いってらっしゃいませ」

王子「どうですか、この城は。景色もいいし、清浄な空気に包まれている」

勇者「そうですね」

王子「魔王がいなくなってから周辺の魔物も随分と大人しくなりましたし、これも勇者様のおかげでしょう」

勇者「どうも」

王子「だけどまだまだ、世界は、この国は混乱の中です。国の未来は私の双肩にかかっている」

勇者「がんばってください」

王子「私を支えてください……ずっと」

勇者「だから」

王子「そうだ。今宵の晩餐は勇者様のリクエストお応えしましょう。なんでもおっしゃってください」

勇者「……」

王子「肉ですか?魚ですか?」

勇者「僕は男なんですよ?どうしてそこまで……」

王子「性別など関係ないといったでしょう?」

勇者「それでも一国の王子ですか?」

王子「勇者様……?」

勇者「国の未来を考えるなら、きちんと女性を傍に据えるべきです」

王子「……」

勇者「子孫なくして繁栄はありえません」

王子「それなら問題はありません」

勇者「え?」

王子「確かに王と妃の間に子を宿すのが理想ではありますが、それでも必ずしも妃が孕むということはありません」

王子「体質、相性、持病……様々な要因で子が生まれないこともあります」

勇者「それは……」

王子「その場合……どうするか」

勇者「どうするんですか……?」

王子「側室です」

勇者「な……」

王子「だから、勇者様。私との子を宿せないのを気に病む必要など、どこにもありません」

勇者「いや……あの……」

王子「さぁ……国のために尽力を……!!」

男だからダメといってたけど王子に調教される展開はよ

妃の部屋

メイド「おかえりなさいませ」

勇者「おぉ……」

メイド「どうかされましたか?」

勇者「王子の熱烈な愛の告白を受けていました……」

メイド「……」

勇者「はぁ……」

メイド「お疲れのようですね。マッサージでもどうでしょうか?」

勇者「いいですよ。大丈夫です」

メイド「そうですか」

勇者「すこし寝ますね」

メイド「はい。では晩餐の準備が整いましたらお呼びいたします」

勇者「はい……」

勇者「……」

勇者(一週間もいたら僕の貞操がどうにかなりそう……)

レイプきぼんぬ

メイド「勇者様」

勇者「ん……?」

メイド「お目覚めになってください」

勇者「あ、時間ですか……?」

メイド「はい」

勇者「それはどうも―――って、なんですか!?このドレス!!??」

メイド「王子様がそれを着せろと」

勇者「いや!!こんなのないですよ!!やめてください!!」

メイド「申し訳ありません。これも侍女のつとめです」

勇者「……誰が着替えさせたんですか?」

メイド「侍女が5人がかりで」

勇者「僕を起こさないように事を済ませるなんて……」

メイド「侍女ですから」

勇者「……ん?なんだか……違和感が……」

メイド「下着も女性モノにしてあります。ガーターベルトもつけておきました。セクシーです」

晩餐会場

王子「おぉぉぉ!!!勇者様!!お美しいですよ!!!」

勇者「……それはどうも」

兵士「すげー……おれ本当に男か?」

兵士「かわいすぎるだろ……」

兵士「だける……」

勇者(男性の見る目がこわい……)

王「す、すばらしいな……勇者よ、そこに座るが良い」

勇者「では失礼します……」

王子「もう風格が出ていますね」

勇者「……はずかしいんですけど……」

王子「時期になれます」

勇者「なれたくないです……」

王「さあ、勇者よ。宴をはじめよう」

勇者「はぁ……」

王「―――なるほど。魔王とはそのように恐ろしい怪物だったのか」

勇者「はい。辛い旅でした。ですが、僕は人間的にも成長できましたし、掛け替えのない友を得ることが出来ました」

王「そうかそうか」

王子「ですが、これからはもう貴女が辛い目に遭うことはありません」

勇者「え……?」

王子「私が守ります」

勇者「歯、眩しいほどに白いですね」

王「ふふ、この国も安泰ということか」

勇者「だから!!何度も言ってますけど!!僕は男ですからね!!」

王「す、すまん。その格好だと……どうしてもな」

勇者「……」

王子「まだ性別の問題を口にしますか?」

勇者「しますよ!!そこが一番の問題点ですよ!!」

王子「気にすることはありません」

勇者「気にしてくださいよぉ……」

妃の部屋

勇者「つかれたぁ……」

メイド「勇者様、お風呂はどうされますか?」

勇者「え……あぁ……入ります」

メイド「ご案内いたします」

勇者「大丈夫です。昼間に確認しましたから」

メイド「そうですか」

勇者「では」

メイド「おやすみなさい」

勇者「え?」

メイド「いえ。夜は私もここを離れますので」

勇者「ああ、そうですか。一日、お疲れ様でした」

メイド「いえ。これが侍女のつとめです」

勇者「は、はい……」

浴場

勇者「広いお風呂だなぁ……」

勇者「泳いでもいいかな……?」

勇者「……」バシャバシャ

王子「―――おや、勇者様」

勇者「わぁ!!!」

王子「何を驚かれますか?」

勇者「僕が入浴してるんですけどぉ!!」

王子「何を照れることがありますか。男同士なのに」

勇者「卑怯な……!!こんなときだけ男扱い……!!」

王子「背中を流しあいっこしませんか?」

勇者「け、けっこうです!!」

王子「ふふ。この程度で恥ずかしがっていては……夜は……」

勇者「そ、それ以上言ったら……怒りますよ……?」

王子「これは失礼しました。それにしても……その裸体もやはり洗練されている。理想的な肉体といえましょう」

勇者「も、もうでます!!」

王子「そうですか?」

勇者「……」タタタッ

王子「あ―――」

勇者「え―――」ツルッ

王子「危ない!!」パシッ

勇者「あ……どうも……」

王子「ここではあまり走らないほうがいいですよ?清掃が行き届いているとはいえ、水場。滑りやすいですから」

勇者「すいません……ありがとうございます……」

王子「勇者さま……」

勇者「王子……」

勇者「―――ふん!!」ドゴォ

王子「おふぅ!」

勇者「顔が近い!いつまでも腕を掴まないでください!!」

王子「こ、これは失礼しました……。その紅潮した顔も素晴らしいですよ?」

妃の部屋

勇者「もう寝よう……」

勇者「寝間着まで女性モノなんて……」

勇者「下着も全部……」

勇者「もう……どうにかなりそう……」

勇者「いつまでもここにいるわけには……」

勇者「よし……」

勇者「逃げよう……」

勇者「着替えないと」

勇者「……」ゴソゴソ

勇者「うん」

勇者「自分の貞操は自分で守る……!!」

廊下

勇者「……兵士さんに見つからないように」

勇者「……」コソコソ

勇者「ん?」

メイド「……」スタスタ

勇者(あれは……メイドさん……こんな夜中にまで仕事を……?)

メイド「……」コンコン

ガチャ

王子「―――」

メイド「―――」

勇者(何か話している……なんだろう……?)

兵士「勇者殿?なにをされているのですか?」

勇者「きゃぁ!」

兵士「部屋にお戻りください。平和になったとはいえ夜は危険ですよ?」

勇者「は、はい……すいません」

翌朝

勇者「ふわぁぁ」

メイド「おはようございます」

勇者「あ、おはよう……」

メイド「顔を拭きます」

勇者「ちょ……うぷ……!」

メイド「……」ゴシゴシ

勇者「うぷぷ……」

メイド「はい、綺麗になりました。では、今日のお召し物をどうぞ」

勇者「またドレス……」

メイド「王子様のご希望ですので」

勇者「そうですか……」

勇者(昨日のはこれを伝えていたのか……)

メイド「では、お手伝いいたします」

勇者「ひ、ひとりでできますよ!!」

王子の部屋

王子「おはようございます、勇者様。今日も麗しいお姿ですね」

勇者「どうも」

王子「今日は城下を案内しますよ」

勇者「え!?」

王子「この国の民に姿を見せるのも次期王室の務め」

勇者「だから!!一週間の約束ですよね!?」

王子「さ、いきましょう!!」

勇者「やだぁー!!」

王子「わがままいわずに」

勇者「こ、こんな醜態を衆目に晒したくないです!!」

王子「醜態?どこがですか?まるで水面に浮かぶ可憐な月。その秀麗さは如何なる魔物の心もひきつけることやむなし」

勇者「やめてぇ……」

王子「勇者様が出る!!道をあけろぉ!!」

兵士「ははぁー」

城下町

「あれが噂の?」

「可愛いな……」

「この国もきっと今以上に大きくなるよ」

王子「どうですか、勇者様。皆は好意的です」

勇者「そうですね」

王子「このままこの地に骨をうずめても……」

勇者「お断りします!!」

「なんだ、喧嘩か?」

「王子との仲がよくないのかしら……?」

王子「ほらほら。笑顔笑顔」

勇者「あ、はは……」

王子「そう。貴女にはその愛らしい笑窪を浮かべているのが似合っております」

勇者「そ、そうですか……?」

王子「ええ。民も貴女の美しさに酔っているようだ。このまま街を巡りましょう」

王「ハァハァ…王子ぃ…ウッ…ふぅ」

兵士「―――以上です!!」

兵士長「うむ」

勇者「なにかあったんでしょうか?」

王子「おい」

兵士長「これは王子に勇者様!!」

王子「何があった?」

兵士長「この民家に盗賊が押し入ったとの情報がありまして」

勇者「盗賊……?」

兵士長「はい。最近、被害が相次いでおりまして、こちらとしても捜索に全力を出しているのですが」

勇者「なにかお手伝いできることがあれば……」

兵士長「いえ!勇者様のお手を煩わせることはありません!!」

王子「その通りです。勇者様はもうこういう危険なことからは身を退くべきです」

勇者「ですが……」

王子「ありがとう。捜索のほう、引き続き頼むぞ」

兵士長「はい!」

王子「どうでしたか。我が街は」

勇者「いいところですね」

王子「そうでしょう、そうでしょう」

勇者「……でも、妃にはなりませんからね」

王子「ふふ、またまた」

勇者「なんで冗談を言っているようにおもうんですかぁ!!」

王子「それでは勇者様、私はこのあと用事がありますので」

勇者「そ、そうなんですか……?」

王子「ええ。おい、そこの者」

兵士「はっ!」

王子「勇者様を部屋までお連れしろ。いいか、くれぐれも失礼のないようにな!」

兵士「はい!」

勇者「……」

王子「では、また夕食のときに」

勇者「わ、わかりました……」

妃の部屋

勇者「はぁ……」

メイド「おかえりなさいませ」

勇者「どうも」

メイド「お疲れのようですね。マッサージでもいたしましょうか?」

勇者「いいですいいです」

メイド「さようですか」

勇者「この街は……いいところですね」

メイド「え?」

勇者「活気もあるし、街には笑顔が満ちていました」

メイド「王と王子の尽力によるものです」

勇者「……」

メイド「それと勇者様のご活躍があってこその平和ですから」

勇者「そういわれると……嬉しいですね」

メイド「晩餐まで時間がございます。ごゆっくりお寛ぎください」

晩餐会場

王「そうか!この街を気に入ってくれたのか!!それはよかった!!」

勇者「ええ」

王子「これであとは婚姻の儀を済ませるだけですね」

勇者「しません!!」

王子「時間の問題です」

勇者「ひっ……」

王「これこれ。無理やりはいかんぞ」

王子「ふっ……私としたことが、すいません」

勇者「もう謝らなくて結構です。全然反省してないんですから……貴方は」

王子「流石は勇者様、慧眼でいらっしゃる」

勇者「あなたは酔眼です」

王子「確かに。もう私は貴女の美貌に酩酊しているようだ」

勇者「くっ……こののれんに腕押し感……悔しい……」

王「あっはっは!!仲がいいな!!実に素晴らしい!!」

城内 廊下

勇者「―――だれもいない?」キョロキョロ

勇者「今日こそ逃げないと……」

勇者「またお風呂場に王子が入ってきたし……いつ寝込みを襲われるか……!!」

勇者「……」コソコソ

勇者「ん?」

王子「―――」

メイド「―――」

勇者「またあの二人……」

勇者「明日の僕の衣装を決めているんだな……」

勇者「……」キョロキョロ

勇者「そうは行きません……!!」

勇者「今日は逃げる……!!」



勇者「はぁ……なんとか外に出られた」

勇者「さてと。変装でもして宿に……」

「きゃー!!」

勇者「……!?」

勇者「悲鳴……!?」

勇者「こっちか……!!」


「やめてー!!」

盗賊「へへ、これは頂いていくぜ」

「あぁ……」

勇者「―――そこまでだ!!」

「え!?」

盗賊「だれだぁ!!」

勇者「武器を捨てろ。さもなくば……斬る」

盗賊「おもしれぇ……ガキのくせにいきがんじゃねえぞ!!!」

盗賊「がはぁ!!」

勇者「大丈夫ですか?」

「は、はい……あ。貴女は……王子の……」

勇者「あ、いえ……人違いです……」

盗賊「ちくしょう……おぼえてろよ!!」

勇者「まて!!」

盗賊「へへーん!!」

勇者「くそっ……!!」

「うっ……」

勇者「怪我をしているじゃないですか」

「私は平気です……それよりも盗賊を……」

勇者「安心してください。顔ははっきり見ました。すぐにでも捕まえてみせます」

「あぁ……ありがとうございます……やはり妃にふさわしいわぁ」

勇者「えっと……僕は―――」

兵士「何かありましたか!?」

兵士「―――なるほど。わかりました」

勇者「すぐに手配を」

兵士「はっ!!」

王子「勇者様!!」

勇者「王子……」

王子「お怪我は!?」

勇者「大丈夫です」

王子「なんて無茶なことをしたんですか……!!」

勇者「この程度、なんてことありません」

王子「しかし……貴女の身に万が一のことがあれば……私は……自殺してしまう!!」

勇者「やめてください!!」

王子「自殺は冗談ですが。でも心配はします。一報をきいたときは臓物を吐き出しそうになりました」

勇者「王子……そこまで……」

王子「勇者様を部屋にお連れしろ」

兵士「はっ!」

妃の部屋

メイド「お怪我は?」

勇者「なんともありません」

メイド「そうですか」

勇者「心配をおかけしました」

メイド「このようなことはもうないようにして頂きます」

勇者「すいません」

メイド「王子のためにも……」

勇者「え……?」

メイド「いえ」

勇者「……」

メイド「では失礼します。お着替えはそこに」

勇者「あ、ありがとうございます」

勇者「はぁ……」

勇者「盗賊が捕まるまで……この地を離れるわけにはいかないな……」

翌朝

王子「勇者様!!今日も太陽は高く上り、その燦々と輝く陽光は一片の雲すらも散らしてしまいました!!」

勇者「晴れてますね」

王子「このような日はもう二度と訪れないかもしれません」

勇者「明日も晴れると思います」

王子「さあ!!この過ぎ行く今を切り取る為に、婚姻を―――」

勇者「しません」

王子「……」

勇者「あと四日ですよ。いいですね」

王子「ふむ……私のどこがいけないのでしょうか?」

勇者「王子はいい人だと思います。民からも慕われているようですし、悪い人にはみえません」

王子「では……?」

勇者「無論、性別です」

王子「勇者様に男根があるのがいけないと……!?なんとも健気な……。ですが親から賜った体に手を加えるなどと―――」

勇者「なんでそうなるんですかぁ!!」

勇者「今日は自由にさせてください」

王子「ええ。構いません。城の者にも伝えておきましょう」

勇者「では」

王子「ええ。また後ほど」

勇者「……」

勇者(すごい熱烈だけど近づ離れずを保っているというか)

勇者(付き纏うことはしないんですよね……)

勇者「さてと……城内を散策しようかなぁ」

勇者「……」スタスタ

メイド「勇者様」

勇者「あ、どうも」

メイド「どちらへ?」

勇者「今日は城内を散策しようかと思いまして」

メイド「お供させていただいても?」

勇者「ええ、構いません。一緒に行きましょう」

中庭

勇者「すこし休憩しましょうか」

メイド「はい」

勇者「いい天気ですね」

メイド「ええ」

勇者「……」

メイド「勇者様。もうドレス姿が板についてきましたね」

勇者「もうなんだかスカートになれてきました」

メイド「下着のほうは?」

勇者「違和感ありません」

メイド「それは重畳」

勇者「あのですね……」

メイド「ですが後四日です」

勇者「……」

メイド「王子の傍にいてあげてください」

勇者「傍にって……」

メイド「……」

勇者「あの……一つ訊きたいんですけど」

メイド「なんですか?」

勇者「えっと……貴女と王子って何か関係があったりするんですか?」

メイド「側室です」

勇者「……」

メイド「まだ候補ですけど」

勇者「そ、そうなんですか……」

メイド「はい」

勇者「側室ってどんなものなんですか……?」

メイド「この国の場合ですが、妃に身体的な問題があるときだけに用意される女性のことですから」

勇者「それって僕が来たから……!?」

メイド「そうですね」

勇者「……」

メイド「どうかされましたか?」

勇者「あの……僕は……」

メイド「気にしないでください。この城に雇われている以上、その可能性は常にありましたし、私も覚悟はできています」

勇者「でも……」

メイド「お気になさらず」

勇者「王子のことは……?」

メイド「勿論……嫌いではありません。あのように良い人ですから」

勇者「……」

メイド「そろそろ戻りましょうか」

勇者「あの……僕がここを離れたら……貴女は解放されるのですか?」

メイド「……王子が新たな妃候補を選び、その女性になんの問題もなければ」

勇者「そうですか」

メイド「でも……私、個人の意見を言わせていただくと……」

勇者「は、はい?」

メイド「貴女には妃になってほしいですね」

城内 廊下

兵士「いくぞ!」

兵士「はっ!」

王子「……」

勇者「なにかあったのですか?」

メイド「……」

王子「これはこれは勇者様。ええ、実は盗賊のアジトが見つかったのです」

勇者「そうなんですか……」

王子「それで今、討伐隊を編成したところです」

勇者「僕も……」

王子「いけません。その雪原のような肌に傷がついてしまったらどうするのですか?」

勇者「……」

メイド「では、お部屋に」

王子「ああ、頼むぞ」

勇者「別に傷ついても問題は……」

妃の部屋

メイド「王子は貴女のことを本当に愛しています」

勇者「本当ですか、それ?」

メイド「ええ。王子は貴女が来て以来、貴女のことを口にしない日はありません」

勇者「……」

メイド「嫌ですか?」

勇者「まあ、僕、男ですし」

メイド「でも、王子になら……」

勇者「……」


王子『勇者様……さあ、こちらへ……貴女の初めてを……もらいます……』

勇者『や、やさしくしてください……ね……ぁ……』


勇者「ないないない!!!!ないわー!!!」

メイド「そうですか?美男同士……特に問題は」

勇者「いや!!なんか妄想しちゃったじゃないですか!!もうやめてー!!」ジタバタ

夜 浴場

勇者「はぁ……」

勇者「今日は一日中、王子を変に意識しちゃった……」

勇者「……」

王子「これは勇者様、奇遇ですね」

勇者「もう狙っているでしょう?」

王子「ふふ」

勇者「もう……」

王子「裸の付き合いもいいものです」

勇者「……あの盗賊たちはどうなりました?」

王子「それが討伐隊が現地に着いたときには蛻の殻で」

勇者「そうですか」

王子「今、更に人員を増やして捜索しているところです」

勇者(てことは今夜の警備は薄いってことか……逃げるには絶好のチャンスだけど……)

勇者(流石に盗賊を放ってはおけない……)

翌日

勇者「あと三日……がんばろう……」

王子「勇者様!!おはようございます!!今日も素敵な衣装ですね」

勇者「貴方が選んだんでしょう?」

王子「さぁ。今日は少し遠出をしませんか?」

勇者「どこにいくんですか?」

王子「近くの湖畔まで」

勇者「んー」

王子「駄目ですか?」

勇者「お付きは何人で?」

王子「兵士が二人に侍女を一人」

勇者「それなら……まぁ……」

王子「ふふ、では行きましょう!!蜜月の我らで逢引を楽しみましょう!!」

勇者「あの!!貴方の脳内で既に結婚しちゃってます!??」

湖畔

兵士「ここです」

勇者「うわぁ……素敵な場所……」

王子「ここは我が国が誇る観光名所でもあります」

メイド「ここでは結婚式もあげることがあります」

勇者「え?」

王子「よし」

兵士「では、こちらへ」

王子「さぁ」

勇者「あのぉ……」

兵士「では、誓いのキスを」

王子「んー……」

勇者「うわぁ!!」ドゴォ

王子「いたぁ!!冗談、冗談ですよ!!」

勇者「はぁ……はぁ……!!」

勇者「はぁ……」

王子「勇者様、お弁当でも」

勇者「いりません」

王子「な、なぜですか……?体調が?」

勇者「ここに来てから僕の体調はすこぶる悪いです」

王子「おいたわしや……」

勇者「あなたの所為です!!」

王子「では、少々お待ちを。食事の用意をさせます」

勇者「……あの」

王子「はい?」

勇者「貴方は……僕のことが好きなんですよね?」

王子「ええ」

勇者「それで一人の女性が望まない子どもを産むことになってもいいのですか?」

王子「え……?」

勇者「どうなんですか?」

王子「もしや側室の……?」

勇者「はい。結婚し始めて子どもが産めないと分かったなら、一国の主として側室との間に子どもを作ることも理解できます」

勇者「国王の務めは国の発展と繁栄。それは子孫なくてしはできません」

王子「ええ」

勇者「でも、僕との間に子どもは作れない。それは最初から分かっていることです」

勇者「なのに側室がいるから問題がないと言い切る貴方には……疑問を感じざるを得ません」

王子「なるほど……。流石は勇者様。侍女のことも気にかけていると。全くもって素敵だ」

王子「その清純な心……内外ともにいじらしい。益々惚れました」

勇者「あのですね……」

王子「わかりました。では、側室とは関係を切りましょう」

勇者「はぁ!?」

王子「次期王は養子でも―――」

勇者「なんでそこまで……!!」

王子「それだけ私は貴方を好きだからです」

勇者「王子……きもい」

○4

王子「ふふ、褒め言葉として受け取っておきます」

勇者「だめだ……この人……」

王子「それでは食事をお持ちします。しばらくお待ちを」

勇者「……」

メイド「勇者様」

勇者「あ……」

メイド「これで分かったでしょう?王子は真剣です」

勇者「でも……」

メイド「無論、あと三日しかございません。それでも心が変わらないようでしたら、この国を去ってください」

勇者「……」

メイド「でも、勇者様には是非とも妃になっていただきたい」

勇者「どうして?」

メイド「それは―――」

盗賊「―――へへ……いたぞ」

勇者「!?」

王子「勇者さまー、食事を―――あれ?」

王子「勇者様!!勇者様!!」

王子「おい!!」

兵士「はっ!!」

王子「勇者様はどうした!?」

兵士「それが少し目を離した隙に……侍女とともに」

王子「何をやっている!!昼寝でもしていたのかぁ!!」

兵士「も、もうしわけありません!!」

王子「くそ……探すぞ!!」

兵士「はっ!!」

王子(胸騒ぎがする……!!)

王子「勇者様……!!」

洞窟

盗賊「こいつがあの王子の?」

盗賊「えらいべっぴんだなぁ」

勇者「貴様ら……!!」

メイド「申し訳ありません……私が人質になったばかりに……」

勇者「何をするつもりだ……!!」

盗賊「そうだなぁ……」

首領「―――まずは身代金だ」

勇者「お前が……ボスか」

首領「ふふ……と思ったが、この美しさ……いいねえ……」ペロッ

勇者「ひっ……!!」

メイド「やめなさい!!その方は未来の妃ですよ!!触れていいのは王子だけです!!」

盗賊「やまかしい!!」ドゴォ

メイド「ふぐぅ!!」

勇者「彼女に手を出すな!!」

首領「いいねえ……その気丈さ。実に俺好みだぁ」

勇者「……っ」

首領「このメイドを助けたければ言うことを聞きな」

勇者「何が望みだ……!!」

首領「俺の女になれ」

勇者「僕は男だ」

首領「え……?ぶわっはっはっはっは!!!なんだその嘘はぁ!!」

勇者「本当だ!!」

首領「じゃあ、確認させてもらおうか?」

勇者「……」

首領「ぐふふふ……おらぁ!!!」

ビリビリビリ……!!!

勇者「くっ……」

メイド「あぁ……勇者様……」

首領「ま、マジじゃねえか……!!こ、こいつ男だ!!」

盗賊「ひぇぇ……!!」

勇者「わかっただろう……女になることはできない」

首領「……」

勇者「……」

首領「つまり、あの王子は変態野郎ってことか」

勇者「否定はしない」

首領「いいネタができたぜぇ」

勇者「え……?」

首領「王子は男を妃にしようとしていた。大スキャンダルじゃねえか」

メイド「それは……!!」

首領「この世には他人の弱みで食っていく術だってあるんだぜぇ?」

勇者「やめろぉ!!」

首領「こりゃあ、国が傾くかもなぁ……ぶわっはっはっは!!」

勇者「卑劣な……!!」

メイド「勇者様……!!」

首領「しばらく、牢屋にいろ。殺しはしねえよ。くひひ」

勇者「……」

メイド「勇者様……私の上着を……あ、でも下は隠せませんね……」

勇者「えっと、腰巻にします」

メイド「どうぞ」

勇者「大変なことになりましたね」

メイド「はい……」

勇者「でも……この程度の危機など何度も経験しています」

メイド「え?」

勇者「逃げましょう」

メイド「どうやって……?」

勇者「―――うぁぁ……!!うぐ……!!」

メイド「勇者様!?どうされたのですか?!」

盗賊「なんだ!どうした!?」

勇者「くるしい……胸が……はぁ……このままだと……僕は……女の子になってしまう……!!」

盗賊「なんだとぉ!?」

メイド「そんな!!」

勇者「はぁ……もう股間から……うわぁぁ……」

盗賊「……」ゴクリ

勇者「おねがいだ……こんなところ誰にも見られたくない……!!何か……布を……!!」

盗賊「よ、よし……わ、わかった……へへ……」

ガチャ

メイド「……」

勇者「はやくぅ……おねがぃ……んぁ……」

盗賊「どれどれ……どんな風に女へ―――」

勇者「変態!!」ドゴォ

盗賊「がふぅ!?」

勇者「さ、逃げましょう」

メイド「え、ええ。あの……この手はよく使われていたんですか?」

勇者「仲間から教わりました。こうすれば大概は逃げ出せると」

勇者「はぁ……はぁ……!!」

メイド「向こうですね」

勇者「よし」

盗賊「まちな」

首領「どこにいくんだ?あぁ?」

勇者「くっ……」

メイド「そんな……」

首領「てめえ……逃げられるとおもってんのか?」

勇者「ふぅー……こい」

首領「やっちまえ!!!」

勇者「はぁぁぁ!!!」

メイド「勇者さまぁ!!―――あまり足技を使うと見えてしまいます!!」

勇者「え?」

盗賊「すきありぃ!!」バシィ

勇者「あぅ!!」

首領「へへ……面だけなら絶品なんだけどなぁ」

勇者「しまっ……」

メイド「あぁ……そんなぁ……」

首領「そうだ……身代金をせしめた後でど変態にでも売るか」

勇者「な、に……?」

首領「お前みたいな容姿は希少価値がある。ふふ……高値がつくだろうよ」

勇者「くそ……」

メイド「やめてください!!」

盗賊「うるせえ!!」ドガァ

メイド「きゃぁ!!」

勇者「やめろ!!―――言うとおりにする。彼女にだけは手を出すな!!」

メイド「勇者様……」

首領「ふふ……いいぜ?じゃあ、行くか。開発して売ればもっと高くうれるからなぁ」

勇者「か、かいはつ……?」

首領「お前ら可愛がってやれ」

盗賊「誰からいく?」

盗賊「股間さえ見なけりゃ、俺いける」

盗賊「俺も」

盗賊「じゃあ、じゃんけんな」

盗賊「久々でこうふんしてきたぁ!!」

首領「壊すなよ」

盗賊「はーい」

メイド「やめて!!勇者様に酷いことをしないで!!私が!!私が代わりに―――」

首領「ブスはだまってろ!!」

メイド「そ、んな……」

盗賊「へへ……かわいいぜえ」

盗賊「お、おれ……もうがまんできねえ……」

勇者「……お父さん……お母さん……ごめんなさい……」

勇者「僕は……」

王子「―――勇者様ぁ!!!ここですかぁ!!!」

勇者「マダンテ‼‼‼‼‼‼」
http://beebee2see.appspot.com/i/azuYmbq-BQw.jpg

勇者「え……おう、じ……?」

首領「ほほう……?」

王子「貴様……!!」

首領「変態王子はきたぞ」

盗賊「へっへっへっへ……」

王子「勇者様!!」

勇者「王子……逃げて……」

王子「我が妃を……死ぬ覚悟はあるのだな?」

首領「あぁ?」

王子「俗物が……我が憎悪をもって……斬り伏せてやる」

兵士「王子!!下がって!!」

王子「ならん!!勇者様を自身の手で救う!!」

首領「立場をわきまえろ?こいつがどうなってもいいのか?」

勇者「うっ……」

王子「お前……!!」

首領「そこで大人しくみておけ。こいつが快楽に溺れていく様をな!!」

盗賊「くひひ……!!」

王子「やめろぉ!!!」

首領「ふん……やめろといわれてやめるようじゃあ悪党にはなれん」

王子「……痴れ者め」

盗賊「よぉし……じゃあ……」

勇者「いやぁ!!」

首領「ふはは。一思いにやってしま―――」

メイド「えい!」ドガァ

盗賊「うわぁ!!」

首領「こいつめが!!」ドンッ

メイド「あぅ!!」

王子「―――でぁ!!」ズバッ

首領「うご!?」

勇者「王子……!!」

勇者弱すぎんだろ

王子「勇者様、こちらです!!」

勇者「はい……」

王子「よくやったな。感謝する」

メイド「いえ……」

兵士「王子!!下がってください!!」

王子「ああ!!」

首領「くそがぁ!!捕らえろ!!にがすなぁ!!」

盗賊「にがさねえぞ……!!」

王子「勇者様、剣を」

勇者「どうも……」

メイド「……ひぃ」

勇者「大丈夫……武器さえあれば遅れを取ることはありません。守ってみせます」

メイド「ゆうしゃさま……」

勇者「こい!!たたききってくれる!!!」

王子「勇者様と私の剣舞……近づけば粉微塵になるぞ!!覚悟しろ!!」

勇者「―――終わりだ」

首領「く、くそ……」

兵士「こっちだ!!」

兵士「王子ー!!ぶじですかぁ!!」

王子「なんともない。それより勇者様にお召し物を」

兵士「勇者殿、これを」

勇者「どうも」

王子「さて……貴様らの処分は処刑以外にありえんが?」

首領「そ、それだけは……!!」

王子「我妻に手を出しておいて生き残れるとは思わんことだ!!存分に城の地下で生まれてきたことを悔やませてやる!!」

首領「ひぃぃ!!!」

王子「つれていけ!!」

兵士「はっ!!」

勇者「王子……」

王子「さぁ、こんな湿気の多い場所は勇者様には似合わない。外に出て日の光を浴びましょう」

城内 中庭

勇者「……」

王子「ここに居ましたか」

勇者「あ……王子……」

王子「部屋で休まれていたほうがいいのでは?」

勇者「いえ……」

王子「なにか?」

勇者「今日は……その……ありがとうございました」

王子「……」

勇者「あの……僕……」

王子「勇者様……」ギュゥ

勇者「ちょ!!なにを抱きついて―――」

王子「本当に無事でよかった……貴女に何があれば……私は……私は……!!」ポロポロ

勇者「王子……」

王子「勇者様……」

勇者「……」ドキドキ

王子「……」

勇者「あの……」

王子「勇者様……」

勇者「あ……そんな……」

王子「……」

勇者「……」

王子「ふっ……よしましょう」

勇者「え……?」

王子「あと三日……いや、二日ですね」

勇者「あの……?」

王子「貴女の答えを聞くまでは……」

勇者「……」

王子「では……良い夢を」

勇者「は、はい……」

>>180
頼むやめてくれ…

>>183
だ、大丈夫さ!
SEXの話してただけだよ!



…そうですよね?>>1

廊下

勇者「……」トボトボ

勇者(僕……なんか変だ……)

勇者(なんでドキドキなんて……!!)

勇者「はぁ……王子……」

勇者「ん?」

メイド「……」トントン

勇者「……」

メイド「―――」

王子「―――」

勇者(またあの二人だ……なにが……?)

勇者(もう少し近づいてみよう……)コソコソ

メイド「―――王子、私はやはり側室には向いていません。候補から外していただきたいのです」

勇者(え……?)

王子「何度も言うように、君は王族の血を少なからず引いている。側室になってもらわないと困るんだ」

メイド「しかし……私との間に生まれた子どもは……恐らく……」

王子「……」

メイド「あの勇者様と王子の子どもとは到底思えないでしょう」

王子「そんなことはない。お前も十分に美しい」

メイド「でも……!!」

王子「なんだ?」

メイド「わ、私には……好きな人も……」

王子「なに?―――まさか」

メイド「はい……私……勇者様のことが……」

王子「……だれだ!!」

勇者「あ……」

王子「勇者様……」

メイド「あ……」

勇者「ご、ごめんなさい……」

王子「……聞かれてしまっては仕方がない。勇者様、中へどうぞ」

勇者「はい…」ズプププ

王子「アアアアア!!イイ!」ビクビク

王子「侍女の全てが側室になれるわけではないのです」

王子「側室の間に生まれた娘が侍女になり……その侍女がまた側室に選ばれる」

勇者「……」

王子「そうして王室を血を絶やさないようにしてきたのです」

勇者「そうなんですか」

王子「ええ。ですから、いずれはこの侍女とも関係をもつことになるでしょう」

勇者「……」

メイド「すいません」

勇者「いえ……」

王子「……」

勇者「……」

王子「勇者様、私は真剣です」

勇者「え?」

王子「私は貴女と結婚がしたい。それは事実です」

勇者「そ、そうですか……」

王子「だが、この侍女も不敬としりながら勇者様に恋をしてしまったようです」

勇者「……」

メイド「すいません……でも……」

王子「一つ、聞こう。我が妻を愛したこと……それ相応の覚悟があるのだろうな?」

メイド「はい」

王子「そうか……」

勇者「王子……!!あの!!」

王子「勇者様、ひとつ提案が」

勇者「え?」

王子「貴女にはやはり妃になっていただきたい」

勇者「そ、それは……あの……」

王子「そして、この侍女との間に次世代の王子を作ってもらえませんか?」

勇者「え!?」

メイド「王子!?」

王子「王族の血を引いているお前なら何も問題はあるまい。男さえ産めばな」

やめて王子‼

メイド「ですが……」

王子「覚悟はあるのだろう?」

メイド「……」

勇者「でも……それだと王子の子どもが……」

王子「気にしなくてもいいですよ。私は貴女と添い遂げることが出来れば、何もいらない」

勇者「……」

王子「国王としてはふさわしくないでしょうが……でも、勇者様と一緒なら国のために生涯を費やせる」

メイド「王子……」

王子「勿論、勇者様の気持ち次第です。首を横に振られれば、何もできません」

勇者「僕は……」

王子「ですが……国の繁栄のため……考えてもらえませんか?」

勇者「……あと二日で、ですか?」

王子「お願いします」

メイド「勇者様……」

勇者「か、考えてみます……」

妃の部屋

勇者「王子と結婚して……あのメイドさんと子作りをする……?」

勇者「なんだそれ……」

勇者「でも……」

勇者「……」

勇者「……でも、みんな真剣だった」

勇者「命がけで王子もメイドさんも僕を助けてくれた……」

勇者「僕は―――」

二日後 夜 王子の部屋

トントン

王子「はい」

勇者「王子……」

王子「勇者様……答えはでたのですか?」

勇者「……」コクッ

王子「では……イエスなら私のベッドのほうへ、ノーなら退室してください」

勇者「な、なんですかその確かめ方……」

王子「さぁ……今宵は冷えます故、褥に入りましょう」

勇者「……」トテトテ

王子「ふふ……うれしいです……勇者様」ナデナデ

勇者「こ、これでいいんですか……?」

王子「ええ。さあ、一緒に寝ましょう」

勇者「いや……自室にもどりま―――」

王子「何をいいますか。今夜が初夜です。逃がしません」

勇者「え……!?」

王子「さあ、横になってください」

勇者「まってください!!」

王子「なにか?」

勇者「こ、こんなの……だめです……だって……僕、男ですよ……?」

王子「ふ……美しく咲く花に雌雄はありません。めしべもおしべもあります」

勇者「……いや」

王子「勇者様……」

勇者「お、うじ……だめ……」

王子「勇者様の決意……無駄にはしません……」

勇者「あ……やめ、て……」

王子「この日をどれだけ待ち望んだか……!!」

勇者「ひぇぇ」

王子「勇者様……愛しています……愛していますよ……」

勇者「うわぁぁ―――」

翌日

メイド「おはようございます。勇者様」

勇者「う……ん……」ヨロヨロ

メイド「どうかしたのですか?」

勇者「な、なんでもないよ……」

メイド「……?」

王子「勇者様ー!!」

勇者「王子……」

王子「さ、婚姻の儀の準備が始まりました。国民にも今しがた伝えました」

勇者「そ、そうですか」

王子「絶対に幸せにしてみせますよ……勇者様」

勇者「はい……」

メイド「勇者様……私も幸せにしてくださいね……?」

勇者「はい……もう……世界を救ったんですから……二人ぐらい幸せにしてみせます……」

王子「さぁ!!新しい王国の幕開けだ!!あはははは!!!」
                                            おしまい。

菊門開通詳細

>>260
勇者が涙目になりながら「いたいたい」って叫ぶ
王子は優しいから口で抜いてっていう
勇者は口でするのはいやだから後ろでしてくださいって言う
勇者は下唇を噛みながら目に涙をためて我慢する

開通

開発ぅ

ベジータ「とまあそんな訳でお前は俺の子じゃない。残念だったな、トランクス」

トランクス「そりゃないよ……パパ……」

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