紅莉栖「岡部が好きすぎてつらい……」(104)
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖(今日の朝、起きたらあの世界線の事を全部思い出していた)
紅莉栖(岡部が私にセクハラした事、岡部と口喧嘩した事、岡部と一緒に買い物をした事、岡部が私に頼ってくれた事、岡部が……わ、私の事を好きだって言ってくれた事)
紅莉栖「はあ……」
紅莉栖(この世界線で、ただでさえ岡部は私の命の恩人なのに、あんな記憶思い出したせいで岡部への好感度がヤバい……今すぐ岡部にルパンダイブしたい)ウズウズ
紅莉栖「岡部が好きすぎてつらい……」
岡部「…………」
まゆり「………」
ダル「………」
紅莉栖「はあ、おかべ……」ウットリ
岡部「……なあ、ダル」ヒソヒソ
ダル「……なに、オカリン」ヒソヒソ
岡部「……ふ、普通本人の前であんな事言うか?」
ダル「……もしかしたら牧瀬氏なりの釣りかも」ヒソヒソ
まゆり「でも、あの顔は本気みたいだよ~」ヒソヒソ
岡部「だ、だが!あの助手がそんな恥ずかしい事を本人の前で言う筈が!」
紅莉栖「……岡部とラブちゅっちゅしたい」
紅莉栖「二人で手を繋いで外を歩きたい。色んな所に言ってデートしたいな。最後は夜景の見える場所でディナーをしてちゅっちゅしたいよ……」
ダル「ほ、ほら!また言ったお!」ヒソヒソ
岡部「」
まゆり「紅莉栖ちゃん、大胆なのです」ヒソヒソ
岡部「い、いや待て!これは罠かもしれん!助手の巧妙な精神攻撃に違いな……」
紅莉栖「外じゃなくてもいいな……二人っきりのラボでひたすらいちゃいちゃしたい。岡部に膝枕してあげて一緒にお昼寝とかしたい」
岡部「」
ダル「オカリン……諦めろ、あれはガチだお」ヒソヒソ
まゆり「うんうん、ガチだよね~」ヒソヒソ
岡部「し、しかしだな!あ、あんな事を聞かされては今後あいつとどう接すれば……」ヒソヒソ
紅莉栖「岡部が私にもっと優しくしてくれたらな……」
岡部「!?」
紅莉栖「ま、まあ私と岡部はまだこ、恋人同士じゃないから仕方ないけど……もっとまゆりの時みたいに優しくしてくれたらいいのに」
ダル「……だってお、オカリン」ヒソヒソ
まゆり「オカリン、これからは紅莉栖ちゃんに優しくしないとダメだからね」ヒソヒソ
紅莉栖「大体、岡部はまゆりに過保護すぎるのよ!いつも駅まで送って言ってるし、その時は手まで繋いでるし!羨ましすぎるだろ!」
まゆり「なんだが、まゆしぃはとても申し訳ないのです」ヒソヒソ
紅莉栖「わ、私も一緒にホテルまで送って欲しいな……そしたら、手も繋いでくれるかな」
ダル「……だってお、オカリン」ヒソヒソ
まゆり「今度から紅莉栖ちゃんとも一緒に帰ってあげてね、オカリン」ヒソヒソ
岡部「……か、考えておく」
紅莉栖「せめて……ちゃんと名前で呼んでほしい。時々名前で呼んでくれるけど、その度にドキドキするから止めろよなっ!まったく………えへへ」
ダル「………名前で呼んで欲しいのか、欲しくないのかどっちだお」ヒソヒソ
まゆり「じゃあ、みんなの前ではいつも通りで紅莉栖ちゃんと二人きりの時は名前で呼んであげたらどうかな、オカリン」ヒソヒソ
岡部「あ、ああ……」
紅莉栖「岡部……」ウットリ
ダル「おっ?……とりあえず、独り言は終わったみたいだお」ヒソヒソ
岡部「あ、あれは本当に独り言なのか?」ヒソヒソ
まゆり「でも紅莉栖ちゃん、自覚なしみたいだよ~?」ヒソヒソ
ダル「オカリン、とりあえず何か話かけてこいよ」ヒソヒソ
岡部「は、はあっ!?何故!?」
まゆり「いいから、いいから♪」
岡部「き、貴様ら絶対に楽しんでいるだろ!」
ダル「ふひひ」
まゆり「えへへ」
岡部(ええい!他人事だからっていい気になりおって!)
岡部(だ、だが……このまま紅莉栖を放置していてもマズいな。これ以上あんな事を聞かされては精神衛生上よくない)
岡部(よ、よし、とりあえず本人の希望通り、名前で呼ぶか)
岡部「なあ、紅莉栖。ちょっといいか?」
紅莉栖「だから助手じゃないって………ふぇ?いま、紅莉栖って」
岡部「ああ……まあ、今日は名前で呼んでみたかった気分なのだ。気にするな」
紅莉栖「お、岡部が紅莉栖って……えへ、えへへへ」
紅莉栖「そ、それで何か私に用なの?」
岡部「えっ?ああ、その……」
岡部(しまった、特に用などなかったのだが……)
岡部「そ、そろそろ昼飯の時間だからな!昼飯はどうするのだ?」
紅莉栖「えっ?もうそんな時間!?……気付かなかった。随分と読書に集中してたみたい」
岡部(……こいつ、本当にさっきのは全部、独り言だったのかよ)
紅莉栖「岡部はどうする予定なの?」
岡部「俺か?そうだな、今日はまゆりとダルもいるしたまには四人で外食するのも悪くは……あれ?」
紅莉栖「どうかした……?」
岡部「……ダルとまゆりはどこに行った」
紅莉栖「あれ?確か今日はラボに来てた筈よね……」
岡部(あ、あいつら!そんなに俺と紅莉栖を二人きりにしたいのか!?)
紅莉栖「ふ、二人きり、……ふふっ」
岡部「が、外食はまた今度にするか」
紅莉栖「えっ?……う、うん」ションボリ
岡部(ええい!露骨に落ち込んだ顔をするな!)
岡部「この前、買ったカップ麺がある。俺はそれにするつもりだが……お前も一緒にラボで食うか?」
紅莉栖「ふぇ?」
岡部「べ、別にサンボが食いたいと言うなら一人で食いに言ってくればいいが……」
紅莉栖「わ、私も!私も岡部と一緒でいい」
岡部「そ、そうか」
紅莉栖「……岡部と一緒がいい」ボソ
岡部「えっ?」
紅莉栖「ううん、何でもない」
岡部「そうか、なら湯を沸かしてくる」
紅莉栖「うん……えへへ、岡部と一緒」
三分後
岡部・紅莉栖「「いただきます」」
岡部「……」ズルズルズル
紅莉栖「………」ジー
岡部「……どうした?食べないのか?」
紅莉栖「たっ、食べるわよ……」
岡部「………」
岡部「……さては貴様、箸が使えないのか」
紅莉栖「つ、使えるわよ!失礼な!み、見てろよ」
紅莉栖「あれっ」つる
紅莉栖「このっ」つる
紅莉栖「くっ……」
岡部「サンボでは箸を使って食ってた記憶があるが?」
紅莉栖「め、麺はフォークで食べる派なのよ」
岡部「仕方ない、貸してみろ」ヒョイ
紅莉栖「あっ」
岡部「これで食えるだろ。ほら、口を開けろ」
紅莉栖「い、いやさすがにこれは」
岡部「さっさとしろ、お前の麺が伸びるのは構わんが、俺の麺が伸びるのはご免だ」
紅莉栖「わ、分かったわよ!……あ、あーん」パク
紅莉栖「んっ……おいし」
岡部「ほら、次いくぞ。口開けろ」
紅莉栖「な、なによ!偉そうにっ……あーん」パク
紅莉栖「んっ……」
岡部「フゥーハハハ!まるで親が雛鳥に餌を与えている気分だ!」
紅莉栖「う、うるさい!ばか……」
岡部「しかし、何時までもこのままではいかんな……今度、お前にフォークでも買ってやる」
紅莉栖「えっ?」
岡部「……次いくぞ、口開けろ」
紅莉栖「うん、………ありがと」
岡部「……ごちそうさま」
紅莉栖「ご、ごちそうさま……」
岡部「………」
紅莉栖「………」
岡部(き、気まずい……それに恥ずかしい!お、俺は何て事をしてしまったんだ)
紅莉栖「ね、ねえ岡部」
岡部「な、なんだ?紅莉栖」
紅莉栖「そ、そのさっきのフォークの件なんだけど」
岡部「あ、ああ」
紅莉栖「も、もしかして、前の世界線の事、ちゃんと覚えていてくれたの?」
岡部「な、なに!?」ガシッ
紅莉栖「あっ、えっ?お、岡部?」
岡部「お、お前、思い出していたのか!?」
紅莉栖「あ、うん……その、今日の朝。起きたら思い出してた」
岡部「ど、どの程度思い出しているのだ?」
紅莉栖「たぶん、全部……その、岡部がラボで私にこ、告白してくれたのも、覚えてる」
岡部「えっ?あっ、あれを……?」
紅莉栖「う、うん……」
岡部「で、ではその……き、き、き」
紅莉栖「キスの事も……何回もしてくれた、よね」
岡部「あ、ああ。そうだ。お前を、忘れたくなかったから……」
ぎゅっ
紅莉栖「あっ……」
岡部「……全部、思い出してたんだな。紅莉栖」
紅莉栖「うん……全部。岡部と過ごしたあの長い夏の事、全部」
岡部「そうか……すまない」
紅莉栖「な、なんで謝るのよ」
岡部「お前にとっては辛い記憶だってあるだろ……」
紅莉栖「それでも、私は岡部の事を思い出せて良かったと思ってる」
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「……そう言えば、その」
岡部「どうした?」
紅莉栖「あの時、岡部が世界線を移動する前に私が言った言葉、ちゃんと岡部に届いてた?」
岡部「……すまない。最後までは聞き取れなかった」
紅莉栖「そ、そっか……」
岡部「………」
紅莉栖「………」
岡部「い、いつまでもこの体勢でいる訳にはいかんな」
紅莉栖「待って」
ぎゅっ
岡部「紅莉栖?」
紅莉栖「その、あの時伝わらなかった言葉。いま言う」
岡部「そ、それは構わないが、何も抱き付いたままで言わなとも」
紅莉栖「だ、ダメ!たぶん岡部の顔を見ながらじゃ、話せないと思うから……」
岡部「そ、そうか、なら仕方ないな」
ぎゅっ
紅莉栖「うん、仕方ない」
紅莉栖「でもその前に、岡部も……もう一度、私にあの時の言葉を言って」
岡部「あの時って、まさか貴様!もう一度俺にこ、こ、告白しろと言うのか!?」
紅莉栖「だって、私のは岡部の告白に対する返事だし」
岡部「し、しかしだな……」
紅莉栖「いや、なの……?」
岡部「わ、分かった!ただし、一度だけだからな……」
紅莉栖「うん……」
岡部「………紅莉栖」
紅莉栖「な、なに」
岡部「好きだ」
紅莉栖「う、うん」
岡部「俺はお前が好きだ。お前は、どう思っている?」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません