唯「トクホのムギちゃん」 (3)

「唯ちゃん! 唯ちゃん! しっかりして!!」

あれ、誰かの声が聞える。

「唯ちゃん、すぐにお医者様が来てくれるから」

あぁ、そういえば私、階段から足を滑らせて……。

「ほら、もう来てくれた。……! こっちです!! こっちこっち!!」

あ、お医者さんが来てくれたんだ。

「はい……はい……。頭を強く打っているかもしれないので……」

私、どうなっちゃうんだろう。

「あの、私もついていっても……」

……。

「……そうですか。ではくれぐれもお願いします」

▶病院

梓「まったく、どうなることかと思いました」

律「ほんとほんと」

澪「あぁ……」

唯「ごめんごめん。あれ、澪ちゃん顔色が悪いみたいだけど大丈夫」

律「あぁ、それはな。唯のことを心配して……」

澪「べ、別にずっと泣いてたわけじゃないぞ」

唯「澪ちゃんがツンデレさんだー」

澪「そ、そういうのじゃ!」

梓「でも、本当になんともなくてよかったです」

唯「うんうん。あのときはもう駄目かと――」

紬「いいえ、大問題だわ」

唯「ムギちゃん!?」

紬「早急な対応が必要よ」

唯「え、だって擦り傷だけだったんじゃ」

紬「そうじゃなくて、念の為にやったこの血液検査の結果……」

梓「なにかあったんですか?」

紬「血糖値が糖尿病と判断される寸前なの」

唯・律・澪・梓「へっ」

紬「あぁ、私のせいかしら。唯ちゃんにいつもケーキを食べさせてたから……」

唯「そ、そんな大げさな」

紬「唯ちゃん。糖尿病って大変な病気なのよ。目が見えなくなったり、体が腐ったりするんだから」

唯「え、そんなの嫌だよ」

紬「唯ちゃん。明日から糖尿病対策ね。あ、憂ちゃんとも相談してこないと」

唯「憂と?」

紬「憂ちゃんはご両親に電話をかけにいったのよね。ちょっと探してくるわ」

唯「む、ムギちゃんの目が本気だよー」

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